単純にイライラしていた、朝から小さなイラつきが積み重なりむしゃくしゃしていた。けどそのどれもが単一だと小さなイラつきだったから、放置してしまっていた。
「首痛くない?大丈夫そ?」
「うん、平気だ……頭も撫でて欲しい」
「了解」
「ん」
結果として、私はトレーナーに甘える事にした。
「珍しいですね」
「何がですか」
「貴方がこんな風に甘えてくる事がです」
「私は割かし普段から貴方に甘えていると思いますよ」
「甘え方の話ですよ、普段の貴方の甘え方は何処かこう、猟犬が狩りを遊びながら学んでるみたいな感じですし」
「私の事普段そんな風に見てたんですか?こんな可憐な少女を相手に、酷い人です」
「それならもう少し〝おいた〟を控えてください、噛み跡誤魔化すのも一苦労なんですよ?貴方の外面が良いせいで」
「その外面のせいでストレスが溜まってるんです、多少のおいたは受け止めてこそトレーナーというものでしょ」
「全く…出来れば分かりにくいところにして欲しいんですがね」
「ソレは嫌です、貴方は私のものだって分かりやすくする為の処置なんですから。言わば名前を書いてるのと同じです、受け入れてください」
「とんだ所有者に拾われたものですね」
「自分で自分の事押し売りしてきた癖に良く言いますよ」
彼との会話は心地良い…きっと私を受け止めてくれるという確信が、この心地良さをもたらしてくれるのだろう。
「トレーナー」
「ん、なに?ドリーム」
「私って、結構重たいですよね」
「出来ればもう少し重たくなってくれると、健康面での懸念事項が格段に減るんですけどね」
「そっちじゃないですおバカ……」
私は起き上がり、彼と向かい合う。
「私は学生で、貴方は教育者。けれども想いを止めず、貴方を束縛する……女の趣味が悪いんでなくて?」
「ソレを自分で言っちゃうのね…」
「事実でしょ……ねぇ、本当になんで私みたいなちんちくりんを受け入れてくれてるの?」
「…………ソレを聞くこと自体重いって分かってて聞いてるでしょ」
「うん、だって貴方の口から聞きたいんだもん。ソレに、貴方は私の重さを含めて受け入れてくれてるって分かってる」
「分かってて、それでも聞きたい訳か」
「分かってる、知ってる事だったとしても聞きたいなんて事は幾らでもあるでしょ」
「はぁ……キミには敵わないな」
そういうとトレーナーは私の顎に手を当て、少しだけ上に傾けさせる。
「キミが好きだからさ、ドリーム」
「私もよ、愛しのコンパス」