秋季大会で結果を残し、明治神宮大会もベスト4となり、野球部は春の甲子園はほぼ確実となった。
秋季大会を勝ち抜いたので野球部に文化祭はなかったが、
時が流れてクリスマスシーズンが訪れ、部員の中には恋人とデートに行くために休む人もいる中で、夜月は寮で相変わらず練習に打ち込んだ。
そんな中であおいは夜月に声をかける。
「夜月くん! ちょっといいかな?」
「
「あのね、そろそろクリスマスでしょ? たまには息抜きにどこか二人でリフレッシュしたいなって思って、どうかな?」
「リフレッシュか。そういや高坂にあんまり無理しすぎる俺は嫌だって言ってたな。わかった、監督に休みを聞いてみるよ」
「ありがとう! それでお出かけ先はもう決まってるんだけど、ヤンキースっていう不良が野球を通じて更生して甲子園を目指すドラマって覚えてる?」
「覚えてる、中学時代に見てたからな。ってまさかその映画を観に行くのか?」
「そうだよ」
「俺もちょうど気になってたところだ。一緒に映画に行こう」
「うんっ!(やった! 夜月くんとデートだ!)」
あおいは夜月を映画デートに誘うことに成功し、あおいは心の中ですごく喜んだ
夜月も気になってたドラマの映画化ということで観に行けることが嬉しく、きっかけがないとなかなか観れないので楽しみが増えた。
翌日の練習でクリスマスイブ当日に石黒監督に休みを申請したところ、あっさり許可が出るがやはりマネージャーと二人なので早速からかわれる。
「ほー、マネージャーと二人でお出かけか。夜月も男になったなー」
「そんなんじゃないですよ。てかクリスマスに休む許可をあんなに出して大丈夫なんですか?」
「まあうちは家族や恋人と過ごす特別な日は許可している。プラスになる経験となって帰ってくればそれでいいんだ。ただしマイナスな経験だった場合は、体調不良以外は二度と休ませないがな」
「休みに寛容な心、感謝します」
「いいか、マネージャーとデートするんだから、部の空気を壊すようなデートにだけはするなよー?」
「だからデートじゃないですって!」
石黒監督は部内恋愛の可能性を信じて夜月を応援する。
しかし夜月はまだ恋愛感情というものがなく、あおいの片想い状態だった。
あおいも数時間後に監督に休みを申請し、背中を押しながらもあおいをまたからかった。
そしてクリスマスイブ当日、夜月は必要最低限のオシャレを勉強し、清潔感とフォーマルさをイメージしたコーディネートをする。
同じ寮に暮らしているので寮の前で待ち合わせをし、あおいが来るのを待った。
少し時間が経つと、思ったより準備が早かったのかあおいとすぐに合流する。
「お待たせ!」
「思ったより早かったな。メイクとかでもっと遅くなると思ってた」
「私でもビックリするくらい早く起きて、時間がかかると思って早く準備しちゃった」
「っ……!?」
「どうしたの?」
「あ、いや……その服、似合ってるぞ(高坂ってこんなに可愛かったっけか……?)」
「本当……? ありがとう……」
あおいはマネージャーとして普段のジャージ姿ではなく、スカートに黒タイツ、ダッフルコートと女子らしさとカジュアルさを出したコーディネートだった。
夜月はあおいの服装に見惚れ、いつものポニーテールに少しだけアレンジが加わった髪型に、女子としての魅力を感じたのだ。
照れながらもバスに乗って川崎駅に向かい、劇場版ヤンキースのチケットを二人分取る。
中に入って上映が始まると、少ない新入生の中でも三年生になったヤンキーたちが甲子園を目指して猛練習する中で、不良に襲われた主将が入院する事態となり、主将のために甲子園を目指すことになっていた。
主将の回復力が医者の想像を超えるほど早く、すぐに練習に合流して夏の大会へ挑み、そして甲子園に出場することができた。
その甲子園の初試合の整列後に時が流れ、最後の卒業式に卒業生の不良たちが監督にお礼の言葉をかけ、旅立ったところで終わった。
上映後の夜月とあおいは、二人で喫茶店でお茶をしながら映画の話をする。
「あのエースの涙を流しながらマウンドで立つシーン、感動したな」
「うん、卒業式のシーンも私、泣いちゃった……。あの時に夜月くんがさりげなくハンカチ渡したの、嬉しかったな」
「俺も感動で涙を流すと思ってたが、まさかあおいが先に泣くと思わなかったな」
「あれは感動するよ。夜月くんよく泣かなかったね」
「ハンカチがあの一枚しかなかったから泣きづらかったんだ。それにいつか俺たちもその時が来るんだろうなと思うと、甲子園に行くぞって気持ちになれたから熱くなってたな」
「そっか、夜月くんらしいね。その向上心の高さは瑞樹から聞いた以上だよ」
「あいつ、また俺のことをベラベラと……」
「もうこんな時間かあ。時間が経つの早いなあ」
「そうだな、そろそろ帰るか」
「うん」
お茶をしているとすっかり夕方になり、寮で夕食が作り始める頃だった。
スクールバスに乗って寮に戻ると、あおいは少しソワソワしていた。
夜月はあおいは何かあるなと感じたが、あえて何もしないことにする。
寮に着いてバスを降りた瞬間、あおいは夜月の腕に少し抱きついた。
「っ!?」
「夜月くん! その……クリスマスってことでね、夜月くんにプレゼントがあるの!」
「そういやクリスマスだったな。俺にプレゼントってなんだ?」
「その……メリークリスマス! これが私からのプレゼントだよ!」
「えっと、ありがとな。もう開けてもいいのか?」
「うん! 開けて!」
あおいからのクリスマスプレゼントに夜月はワクワクし、プレゼントを早速開けた。
するとそれは練習用の野球のスパイクで、夜月はプレゼントに驚く。
あおいはプレゼントの説明をする。
「夜月くんのスパイク、中学時代の時から使ってるものでしょ? だからすごくボロボロで、買い替える時間がなくてケガしちゃうかなって思って、それで新しいスパイクを買ってきたの。サイズはちゃんと合わせてるし、メーカーも同じものだよ。気に入ってくれるかな……?」
「何言ってるんだよ、最高のプレゼントだよ。高坂、ありがとう。実は俺もプレゼントがあるんだ。スパイクと比べたら安いけど、受け取ってくれ」
「え、これって……!」
あおいが夜月に新しい野球のスパイクをプレゼントし、夜月は今のスパイクがボロボロなので買い替えようかと迷った時にプレゼントだったので嬉しかった。
同時に夜月はあおいにプレゼントを渡すが、あおいと比べて安いんじゃないかと少し不安がっていた。
あおいは夜月のプレゼントを開け、あおいは驚くことになる。
「実は監督に頼んで、あおいの分のユニフォームシャツと帽子を早めに頼んだんだ。まだベンチ入りしてないとはいえ、あおいもマネージャーとしてだけでなく、チームの一員として早く受け入れたいと頭を下げて頼んだんだ。あおい、俺からの奢りだ。ユニフォームも帽子もちゃんと選手と同じモデルの本物だよ、受け取ってくれ」
「すごく嬉しい……! 本当そういうところが人気投票でも上位にいくんだよ夜月くん……!」
「高坂、これからも同じチームとしてよろしくな」
「もちろんっ!」
こうしてクリスマスデートを終え、あおいは夜月のことが本気で好きになる。
クリスマスシーズンを終えて正月になり、チーム全員での初詣では春の甲子園出場と同時に優勝を祈願する。
夜月は春の甲子園に出れることに期待して練習にまた励んだ。
つづく!