全身タイツじゃないです。
なんでアメコミヒーローってほぼ確で全身タイツなんですかね?
日アサ?
その者は勇者である。
至高の姿は、まさに勇者に相応しい。
雄々しく。
猛々しく。
勇ましく。
最強最悪の勇者である。
紋章のみをその身に纏い。
全てを薙ぎ払い。
全てを打ち倒し。
全てを無に帰す。
そんな勇者である。
コイツに勝てるヤツはいるものか。
コイツよりも強いヤツはいるものか。
コイツよりも無双するヤツはいるものか。
否。全ては否。
これこそが最強。
これこそが災厄。
これこそが不縛。
その者が。その者こそが
人の形をした、1つの厄災である。
見上げるほどの巨体が。歩くたびに地面を揺らす怪物が。静かに、その身を起こす時、いったい何が起きる?
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ぽ〜んと。
装備含めて100キロはありそうな騎士が、吹き飛ぶ。
目の前には、筋骨隆々な男。否、
身長は、2mはゆうにに超えているだろう。
体重はわからない。が、決して華奢とは言えない私のウエストと同じくらいのぶっとい腕。
その腕に負けない、分厚い身体。
たぶん、身体を横にしたとしても、私の身体ぐらいならすっぽり覆い隠せそう。
ぶっとい脚は、象の脚をそのまま持って来て人間につけたみたい。
デカいって言葉では、形容しきれないほどの身体の大きさ。
コレが『先代最強』の勇者かぁ。
今代の勇者代表としては、やる気失せるなぁ。
私そう思った。
もう、全部コイツだけでいいんじゃないかって。
………なんでこんな事になったんだっけ?
ここに来るまでのやり取りを思い出してみよう。
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私は、そう。
異世界に転移した。
興奮したよ。だって私、ヲタクだよ?
そりゃあ興奮するよ。でもさ、すぐに現実が襲ってきた。
王様が。『謁見の間』?でさ。
『魔王を倒してくれ』
だってさ。
この天城優香に。
ムリムリムリ!!!
剣もロクに握った事がないのに、戦うとかムリだって。
でも、私には『勇者の力』があるんだって。
右の手の甲を見る。そこには、見た事ないタトゥーが手の甲いっぱいに彫り込まれている!?
だれ?コレ彫ったの!?
温泉入れないんだけど!!!
周りの人!?
「………おぉ」じゃない!!!
「………流石ですな」じゃない!!!
「………資質十分ですな」じゃない!!!
私、戦う気ないんですけど!?
え?なに?
「貴方が、今代の『剣の勇者』様ですか」
………私、『コンダイノケンノユウシャサマ』らしい。
「違います」
「何をおっしゃいますやら。その手の甲。それは明らかに『剣の紋章』」
言われてみると、確かに剣をモチーフにしたタトゥーに見える。
………アイタタタタタタ。
厨ニはたくさんなんだよぉ!!!!!
「私、帰ります」
もう帰りたい。
普通にベッドで寝たい。
帰してくれって思いで周りを見ると、それとなく目を反らす人達。
「すまん。お前を帰すことはできん」
玉座なのかな。豪奢な椅子に座った爺が答えた。
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1日後。私は訓練をしていた。
剣の。
………勇者ってスゴい。
私、今日初めて木剣を握った。
なのに。それなのに。
目の前にはノビた男。正確には騎士の男。
めちゃくちゃ強いハズなんだよ。
めちゃくちゃ強いハズなのに。
私の目は、剣が止まってる様に感じる。
私の身体は、剣が遅く感じ過ぎる。
私の身体は、剣を速く操り過ぎる。
勇者とそれ以外には、文字通り『隔絶した』差が出てしまう。
私の身体は知ってるのだ。
どういう風に剣を握るのかを。
どういう風に身体操作するのかを。
どういう風に理を掴むのかを。
この手の甲の『紋章』が教えてくれる。
キモチワルッ!!!
お前はもっと剣を振れって?もっともっと才能を開花しろって?
ヤダ。
だって疲れるし。ゲームやりたいし。
そもそも論、私は剣を振るうのはあまり好きではない。
むしろペンを振るうのが好き。
ペンは剣より強しって言うからね。
え?
その超理論はあくまで例外。大抵は剣は銃に敵わない。拳は剣に敵わないし。
………私は例外に含まれそうなのが問題だけど。
強いって錯覚されちゃいそうだけど、この力は違う。
所詮は借り物。仮の力でもある。この力に溺れない様に気をつけないとなあ。
あ。なんか王城から騎士が来た。
「今代の勇者様。先代の勇者を参考にされてはいかがですか?」
え?今日の訓練はこんなものでいいの?
その疑問が顔に出ていたのだろう。
「本日の訓練は以上で終わりです。予想外の早さで訓練が終わったので、スケジュールを組み直す必要がございます。なのでその間に先代の勇者様をご覧になった方が良いかと存じます。そして良い影響を色々と受け取る事ができるのではないかと愚考いたします」
なるほど。やる事がなくなったのか。
それで先代の勇者様に先生代わりにみてもらおうかと。
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で、冒頭部になったわけだ。
人間としては不自然すぎるほどデカい。身長は2m半ほど。
その身体には紋章を纏い、一昔前のアニメの悪役のような強面の顔。
「俺んちになんか用?」
その声は野太い。
「貴様が先代勇者か。ちょうどいい。この方が今代の勇者様だ。鍛えて………」
ポーンと飛んだ。兵士がゴミの様に。
多分、鎧含めて100キロはありそうな兵士が。
「…………………へ?」
ドシャッ
音が真後ろでする。まるで重たいものが落ちるような音が。
恐る恐る振り向くと、そこには先ほど話をしていた騎士がいた。
…………………。
………イヤ。さっきはさ。明らかに無礼ではあったよ。あったけどさ。
…………容赦なさすぎない?
「へぇ~。君が今代の剣の勇者かぁ」
気がつくと目の前が暗い。日光を遮っているのは分厚い身体。
…………………先代勇者だ。
………全く接近に気づかなかった。
否。気付けなかった。そして、いま気がついた。
この男。
否。この漢。
「変態だ!!!!!!!!!!」
全裸だった。
最強のアメコミヒーローみたいな感じのキャラでしょ?
身体能力で戦うとことか特に。