アウラ、ノースティリスに行け。   作:ぷろぷろマスター

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Elonaネタ、葬送のフリーレンネタともにここおかしいぞ!というときはご指摘ください。
某エレメンタルナイトさんに感銘を受け作りました。後悔はあるかもしれない。


ノースティリスにやってきた魔族

「アウラ、自害しろ」

 

 以前苦汁をなめさせられた勇者パーティの一員、魔法使いフリーレンを自らの手で斬首すべく

”服従させる魔法”を使った。

 

「…ありえない…この私が…?」

 

――お前の前にいるのは千年以上生きた魔法使いだ。

 

 魔族を欺き殺す。そのためだけにフリーレンは体外に放出される魔力量を制限していた。

アウラは解放された魔力量に圧倒された。

 

”服従させる魔法”『服従の天秤』に自身と相手の魂を載せ、魔力量が劣った相手を魔力量の多い方が操る魔法。支配される対象は術者のアウラも例外ではない。

 

”服従させる魔法”の効果は絶対だ。強い意志を持つ者には抵抗されるが、魔力量の差、自身の魔法によって自害を命じられるという屈辱。アウラのプライドはズタボロ、抵抗などできない。

 

 不死の軍勢で圧殺していれば、そんな考えをアウラは思い浮かべた。そんなことを考えたところで意味のないことは理解していたが。

 

 フリーレンの首を切り落とすために用意した剣を自分の首へと持っていく。

 

「……っ!」

 

 最期の抵抗を試みるアウラだったが体は完全に自分の意志とは関係なく動く。

 

 首に食い込んだ剣を振りぬき、アウラは胴体と泣き別れとなった。

アウラの異名である断頭台。その異名に違わぬ最期だろう。

大魔族アウラは自ら首を切り落とし、死んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 体を包み込むように吹く生ぬるい風、およそ知性の感じられない魔物の唸り声。

そんなあまりよくない不快な感覚と雑音を目覚ましに、アウラは目覚めた。

そう、目覚めたのだ。

 

「…どういう、ことなの…」

 

 アウラは確かに死んだ。フリーレンに自害を命じられ、自分で首を落とすといった形で。

だが生きている。

 

「”服従させる魔法”の効果が無くなっている…?」

 

”服従させる魔法”の効力は一度支配を受けたものはその肉体が朽ちるまで続く。

となれば、命じられた自害をするべくアウラの体は動くはずだ。

しかし、剣を自分の首に向けたり攻撃魔法を自分に使ったりなどはしていない。

自分の意志で動くことができている。

 

「私は、死んだのね…」

 

 正確に言えば消え去ったというべきか。魔族は死体を残さない。魔力の粒子となって消える。これが”服従させる魔法”の制約である肉体が朽ちると無効となるいう判定になったのか今は命令は取り消し、魔法の効果は失効された。

 

「それで、ここはどこなの?」

 

 どういうわけかアウラは生き返った。いったんそこは置いておくとしても気になる点があった。

それは現在地はどこかということ。暗く恐らく魔物がいるということからダンジョンだろうか。

 

「天国ってやつなのかしら?」

 

 殺されそうになった人間がうわごとのように発する単語に天国というものがあったことを思い出した。ここで死んでも私は天国で安らかに暮らすとかなんとか。

人間の話では楽園のような場所、居心地の良い所とされていたがこんな陰気な場所なのだろうか。

 

 現状の把握も大事だが自分の力だけでは限界があるだろうと考え思考を切り替え、とりあえずこのダンジョンのような場所から離れることを目標とした。

ここがどこなのかなどの情報は同族から聞き出すか、最悪人間に取り入れば良いだろう。人間から情報を得るのはいつも部下にやらせていたが今は自力でやるしかない。

 

「どうしてこの私が」

 

 愚痴を吐いても仕方がない。アウラは目を覚ました場所を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 適当な攻撃魔法や”人を殺す魔法”で魔物を蹴散らしていく。魔力の粒子にならず死体が残ることに疑問をおぼえたがそこまで気にすることではないだろう。知らない魔法を使う者もいて、魔法の探究者として興味をそそられることもあったが割と簡単な構造をしていることからすぐに再現できるだろう。

 

 襲ってきた魔物はアウラが見たこともない個体ばかりだった。燃え盛る巨大な木にブレスを吐く犬、残った死体を観察しようとしたら豪快に死体の肉を一飲みにした巨大なトド、青く輝くハリネズミなど様々だ。

 

 ちなみに途中で人間と思しき存在もいたがアウラ、ましてやフリーレンと比べるまでもないくらい弱かった。

普段のアウラなら”服従させる魔法”でとりあえず手駒にしていたところだが、それをしなかった。

 こんな弱い奴らを服従させても使えない役立たずじゃない、と考えていたが、実際はもし”服従させる魔法”を使って魔力をまた隠している相手だったらどうしよう、といった考えが根底にあった。アウラ本人は気づいていないが。

 

 魔力によってその者の優劣を判断する、という魔族の本能を上書きするほどの死の恐怖、一度死んだからこそまたあのような死にざまをさらしたくない。そんな思いがアウラを生物としてひとつ成長させた。

 

 

「退屈ね」

 

 襲ってくる魔物も人間も弱かった。500年以上生きた大魔族なのだ。そんじょそこらの存在に負ける道理はない。

 そうして進んでいくうちに階段を見つけた。ダンジョンの出口は基本的に上層にある。上に昇ればばいずれ地上に出れるだろう。まあこの不思議な状況に自分の知る法則は当てはまらないのかもしれないが、その時はその時だ。

アウラは階段を昇った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…嘘でしょ」

 

 階段を昇った先、待ち受けていたのは出口でも強力な魔物でもなかった。

それは人型だ。

それは長い耳を持っている。

それはあなたに敵対的だ。

アウラが知るこれらの情報に合致する存在、それは

 

「…エルフ」

 

アウラを殺したと言っていい存在、魔法使いフリーレン。彼女と同じエルフがなぜここに?絶滅寸前といった話は嘘だったのか、一人ならまだしもざっと数えただけでも10人近くいる。

 

「っ…はー、はー」

 

 トラウマを刺激され呼吸が荒くなる。見える魔力量ではフリーレンに比べるまでもないほど低い。前の階層で出会った人間といい勝負だろう。

しかし、

――アウラ、自害しろ。

 フリーレンではない、そして目に映る情報では取るに足らないと思われるエルフたちだが、そんな慢心をしてアウラは死んだのだ。他ならない自ら生み出し研鑽を続けた”服従させる魔法”によって自害させられるという最悪の結果で。

 

 どんな形であれ相手はやる気だ。ある者は武器を構え、またある者は魔法を使おうとしている。

やることは一つしかない。

 

「かかってきなさい!私は500年以上生きた大魔族だ!」

 

 やけっぱちに叫び、アウラは”人を殺す魔法”を乱射した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 戦闘はあっけなく終わった。「なによ、結構当たるじゃない…」と独り言ちるほどだ。鈍器を振り回すが如く四方八方に発射していたが、すぐにすべてのエルフが片付いた。

 

 残った死体にアウラは近づいていき、死体にかぶりついた。魔族の本能である食人。この場合はエルフを殺してやった、という相手を征服したのだという実感を得るためでもある。

 

 しばらくはエルフの死体を貪り食欲と自尊心の回復に努めよう。そう決めたアウラは食事を続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこでなにをしてるんだ?

 

 

 食事を続ける中突如アウラは背後から声をかけられた。言語を使うのなら同族か人間だろう。人間ならば食人をしているところを見つかった場合確実に敵対、あるいは発狂し逃げだすだろう。余計なことをさせないでほしい、ここの情報も聞き出したいし同族であってほしい。そう考えながら振り返った。

 

(なに…これ…)

 

 振り返ったアウラが目にしたものそれは人間の男だった。だが魔力量がここで遭遇した人間たちとはレベルが違った。七崩賢全員で対処に当たった人類側のバケモノ、南の勇者に並ぶような男がなんでもない表情で立っている。そしてそんな存在であるとは悟られないような隠密能力。声をかけられるまで全く意識に入らなかった。

 

死んだ。

 

直感でそう思ったアウラだったが、男は食事中だったのかと言い、難しい表情をした。

 

(まずいまずいまずい!よりにもよってこんなバケモノに見つかるのよ!どうなってるの!)

 

殺されたくないそんな時にすることは一つだ。

 

「っご、ごめんなさい!人間の皆さんと仲良くしたいの!お母様に会いたいわ、もう人間は食べないから許して!」

 

 人の心がない、猿真似、単純に不快といった評価を得ている魔族の十八番、命乞い。もしここに魔族の生態について知るもの、それこそフリーレンでもいればガン無視で攻撃していただろう。だが男は何も言わずこちらに視線を向けている。

 

 しばしの沈黙。そして男が口を開いた。

 

人肉食は別にいいが料理せず生で食うとか正気を疑う

 

 想定している返答のうちすべてを外してきた。コイツは何を言っているのだろうか。他者を尊重するという人間の精神性が理解できないアウラだが、それはそれとしてこのような習性があるのか、という知識でなら人間性というものをある程度知っている。そしてこの男の言葉は人間的な思考からは出ないものだろうと思われた。

 

 唖然とするアウラをよそに男はどこから取り出したのかそこそこの大きさの鉄製の魔道具を置いていた。料理できないなら自分が料理しよう。このバーベキューセットで。そう宣った男にされるがまま残りのエルフの死体を差し出した。下手に逆らったりすればどうなるか怖かったともいう。

 

 エレア肉のステーキ一丁上がり そう言った男から焼き上がった肉と皿をもらう。かなり美味しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 食事中にも特に敵意を見せてこないので途中から美味しい肉を堪能し始めていたアウラだったが、男が話しかけてきた。

 

なんでそんな必死な命乞いをしてたんだ?何かに追われているのか?

 

 話したくないならそれでいいと続けた男からは何も敵意は感じない。魔族を知らないのか大きな角だな、とも。敵になりえないならそれでいいのだが機嫌を損ねるのまずいので当たり障りのないことを言うことにした。

 

「気づいたらこの場所にいていろんな魔物や人間が襲ってきて、パニックになっていたの」

 

 すると男は、なら脱出の手伝いと近くの町まで送る必要があるだろうかと言ったが、

 

「いや、大丈夫よ。ひとまずここから出たいだけだから」

 

 正直早くこの男のそばから離れたかったのでアウラは若干早口になりながらそう言った。

 

帰り道は覚えているからついてきてほしい そういった男にアウラは従うことにした。

 

 こうして一時的ではあるが人間と魔族によるパーティが結成された。まあ扱いとしては護衛依頼と同じ一時的なペット枠だが。

 

 

 道中にも戦闘は起きた。が、手札である魔法を見せたくないアウラをよそに目にもとまらぬ速さで敵をミンチにしていく男。途中で「あなた何者なの?」と尋ねればこう答えてきた。

ティリスの地で活動する冒険者だ、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そうして男に連れられダンジョン(男が言うにはネフィア)を出た一行。アウラは目指す場所としてグラナト伯爵領と告げた。ここがどこかわからないが、一度あの場所に戻ることを選んだのだ。

 

ノースティリス、サウスティリス、果ては浮遊大陸といった様々な地で冒険をし、高名な冒険者であるという自負があるが、グラナトなる伯爵も、その領地も知らない。

 

 そんな返答が男から返ってきた。

 遠く離れた地であるという予想はしていたが本当に知らない場所に来てしまうとは。予定を変更しよう。

 

「なら近くの町まで案内してくれない?町が見える場所まででいいわ」

 

 町に入る気はない。当たり前だ。基本的に人間が集団生活する町には衛兵や魔法使いがいて魔族を視認するや否や迎撃してくる。この男は実際の技量を見ても規格外の存在だ。こうしたものたちは基本的に自分の道理を重視する。アウラだってそうだ。なんならこの男はアウラを人間の少女だと思っているような言動をしている。命乞いが効いたのだろうか。とにかくこの男の言う認識がこのあたりの地域にいる人間の常識であるという確証は持てない。なので町が見えてきたら適当なことを言って離れてもらうつもりだ。

 

 現地時点でアウラのこの男への評価は、何するかわからない上に意味の分からない力を持っているが、特に敵意を向けない人間なので情報源にするべきだろう、というものだ。膨大な魔力は常に見えているため魔族としての本能は常に逃げろと叫んでいるが、下手なことをすれば逆に今の友好的な状態ではなくなるという嫌な確信があった。そのために適度に談笑しつつ歩みを進めることとした。

 

 

 男との談笑の中判明したことが多数あった。この男を信用するとは別としてとりあえず参考にすることはできるだろう。

 

 料理した肉はどうだったか、と聞かれ「それなりに美味しかったわ、あのエルフたちの肉」と返せば、

 

エルフ?エレアじゃないか?そちらの地域ではエルフと呼ぶのか、と返され

 

 アウラの知る限りのエルフの情報、そして白髪のエルフを知っているかと続けた。

「あの魔法使いには因縁があるの。知っているなら教えて?」

 

聞いた限りのエレアとエルフは外見的特徴は同じだが、エレアは比較的どんな地域でも見かけるため数が少ないというエルフの特徴には当てはまらないだろう。そして自分の知り合いや友人にもエレアはいるがフリーレンなるエルフの特徴と合致する人物は知らない。そして復讐よりも気ままに冒険者でもやった方がいいだろうと。

 

 最後の一文は余計なお世話だがそんな言葉はださず、次の話題に移した。

 

「私は同族を探しているの。魔族を知らないのなら、頭に角が生えていて魔法の扱いに長けた種族を知らない?魔族は生涯一つの魔法を探究し続けるのよ」

 

 これは人間の子供がする命乞い、そしてそれを模倣する魔族から学んだことだ。人間の特に若い個体、子供は保護者から離れた場合保護者を見つけようとするかその種族の群れに戻っていこうとする習性がある。魔族を知らず人間と同じような存在であるとこの男が考えているのなら、同族の元に戻ろうとするのはアウラの姿は恐らく自然なことだろう。

 

すると男は、一つの魔法を極めている存在という者はいるがこれもまた知り合いに特徴に合致するものはいない。一つの魔法のみならストックを気にする必要があるし攻撃魔法なら相手の耐性次第で詰むしでずいぶん変態的な種族なんだなと言った。

 

 思いっきり魔族に喧嘩を売っている言い草だがここでプライドのために戦いを挑めば秒でミンチにされると出ている。アウラは出かけた「あんたの力のほうがよほど変態的よ!」という言葉をすんでのところで飲み込み、男に連れられ歩みを進めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そうして歩いているうちに高い壁に囲われた建物が見えた。アレが男の話によれば

 

 

「あれが王都パルミアね?」

 

 

そうだ。と言いコクリと頷く男。じゃあここでお別れだなとも。

 

 

「助かったわ」

 

 

 実際大まかな情報を得られたので助かってはいる。しかしながらいつ殺されてもおかしくないような相手と一緒にいるのは嫌だったのでさっさと歩きだした。町に入る気はないが、ここで引き返したりすると怪しまれるのでパルミアの門へ向けて歩く。早くあの男どこかに行かないかしら、そんな考えを浮かべながら。

 

 

 

 

 

 

 




《Elonaplus》elonaの開発者ではない開発者が制作した二次創作的な追加データ。レシマス制覇後のストーリー第二部以降と様々なイベント、魔物等が追加され、ゲーム全体のバランス修正が行われている。


《サウスティリス》ストーリー第二部の舞台。ノースティリス南にある関所から行ける。本家開発版でも行くこと自体はできるが、こちらは煙とパイプ亭以外の施設に入れない上にイベントも固定ネフィアも存在しない実質的に虚無マップと化している。

《男》冒険者のなかでもかなりの実力者。喧嘩を売ったらさっくり殺されていた。


《食事》生の状態よりも料理した方が食べた時の恩恵が多い。人肉は変異で あなたは人肉食に抵抗がない を取得していない状態で食べると発狂する。…本当に食べてしまったのか?
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