ゆりの手帳   作:Aa_おにぎり

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空から降下してきたのは大和だった。

空からの登場に大淀達も驚いていると、大和は大淀に話しかける。

 

「ここは私が抑えます。大淀さん達は撤退してください」

「は、はい…!!」

 

そこで大淀達宿毛湾艦隊は大和の支援を受けてすぐさま撤退を決断する。

 

「大和も気を付けて……」

「ええ、勿論です」

 

去り際に加賀が大和に向かってそう話すと彼女は頷き、砲を向けながら答える。

 

「私も、彼女とは長い付き合いですので」

「……そう」

 

加賀も目の前にいる深海棲艦がかつて山郷の秘書艦を務めていた艦娘と言うのを分かっているからこそ、大和の答えに疑問も持たずに去って行った。

 

そして海域に残った大和は目の前で頭を抱える深海摩耶を見る。

 

「大和…オ前マデモガ、私ノ邪魔ヲスルノカァッ!!」

「ええ、今の貴方を山郷提督の元に合わせるわけにはいきません」

「フッ、フフフ…随分ト成長シタ物言イジャナイカ」

 

深海摩耶は不気味に笑うと大和は砲を向けながら鋭い眼差しで答える。

 

「ええ、あの後色々と経験を積みましたからね」

「アノ頃ノ可愛ラシイ大和ハ何処二消エテシマッタンダイ?」

「今でも可愛らしい部分はありますよ」

 

そう答えた瞬間、大和は砲撃を加える。そして深海摩耶も大和の砲撃を避けるとその直後に砲撃を加える。

 

「ハハハ、懐カシイ。昔ハヨク演習ヲシタモノダ」

「そんな無駄口叩いていられますか?」

 

その瞬間、大和が深海摩耶の腹を目掛けて脚を向けると彼女は吹き飛ばされて口から血を吐き出す。

 

「ゴフッ?!」

 

そして吹き飛ばされ、艤装にややビビが入り、苦痛の表情を向ける。

 

「艤装がやられると本人にも影響するんですか……興味深いですね」

「酷イナァ、ココマデ強ク蹴ルナンテネ」

 

深海摩耶はそう話すと大和は砲撃を叩き込む。

 

「(大淀さん達が泊地に帰るまでは足止めをしなければ……)」

 

大和は深海棲艦となった摩耶を見ながらそう考えていた。

 

 

 

 

 

四宮に呼び出しを受けた大和は防衛省に帰還すると、そこで特務命令を受けていた。

 

「宿毛湾沖の競合海域に例の《HC-11》が現れたそうだ」

「っ!!」

 

番号付きの重巡棲姫、そして山郷を探している奇妙な深海棲艦。それを聞いただけで大和の警戒度は上がっていた。

 

「すぐに羽田に飛んでくれ」

「はっ!」

「君の艤装、並びに特殊装備も積んである」

「了解しました。大和、これより任務に着きます」

 

敬礼をして答えると、大和は防衛省を出て羽田に向かう。

現在は軍用機ばかりが目立つ羽田に到着した大和はそこで駐機していた改造されたP-1に乗り込む。

 

「これが今回の新装備ですか……」

 

そして機体の中で大和は改造された機体と自分の艤装を見る。

 

「艦娘用特一型空挺降下装備の一式です」

 

すると一人の航空機関士が大和に装備の説明をする。

この機体も空挺降下の為に後部に油圧式ランプを備えた改造機だった。

 

艦娘の空挺降下と言うありそうでなかった方法、それを行うための装備を四宮から大和は提供されていた。

 

「ありがとうございます」

 

そして説明を受けた大和はそのまま艤装を装着したまま羽田から宿毛湾沖に向かって離陸した。

当該海域での戦闘はガンカメラは勝っているのか映像を確認できなかったが、無線を傍受して《HC-11》が深海棲艦と化したかつての友人のあの摩耶だと言う事実に大和は驚いていた。

 

「(まさか山郷提督の海に摩耶さんがいるだなんて……)」

 

これも何かの因果かと思いたくなる事案だが、それよりも気になったのは……

 

「(艦娘が深海棲艦となると言う事があるのですか……)」

 

そう、摩耶は明確に艦娘としての意識がある状態で深海棲艦となっていると言う事実だ。

ドロップ艦は深海棲艦の時の記憶が曖昧か、若しくはない場合が多い。と言うか、艦娘が深海棲艦となった事実に驚きを隠せない。

おまけに無線を聞いていると戦況は劣勢の様子だった。

 

「(早く行かないとまずいですね)」

 

山郷の摩耶の強さは自分がよく知っている。訓練では摩耶に勝てた回数の方が少ないくらいだ。

 

「見えました!」

「降下準備!」

 

そして機体のレーダーに影が映るとパイロットが叫ぶ。そして大和はパラシュート付きの艤装を装着すると機体の後部ハッチが開き、風が吹き込む。

 

「ロケット弾発射!!」

 

そして威嚇のために翼下に懸架されていたロケットポッドからロケット弾が発射され、深海摩耶の近辺に着弾する。あくまでも陽動を目的としていたので当たっていなくとも問題はなかった。

 

「降下!降下!」

 

そしてそのままパラシュートを開きながら海面スレスレを飛ぶP-1から大和は海面に降下していた。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「直ぐに入灌だ!」

「壊れた艤装は全部取って!」

 

宿毛湾泊地では山郷や妖精さん達が怪我を負った矢矧や羽黒を入灌施設に運び、黒岩はボロボロの艤装の修理に早速乗り出していた。

 

「一日でこうも大破が続出するなんて……」

 

黒岩は改めて深海棲艦化した摩耶……かつての山郷の秘書艦の実力に顔が青くなっていた。

 

「修理にはどのくらい時間がかかる?」

「ながくてじゅうにじかんほどです」

 

妖精さんがそう答えると黒岩は修理中の先に怪我をした阿賀野達の艤装を見る。

 

「阿賀野達の修理は?」

「いまはよんわりほどです」

 

いくら妖精さんの数が多いとはいえ、人数に限りはある。大破した阿賀野達の修理で大忙しだと言うのにこの状況だ。

 

「まずいわね…これ以上リソースを割くと帰って効率が悪くなるわね…….」

「はい、なのでさきにあがのさんたちのしゅうりをゆうせんさせます」

「ええ、そうして頂戴」

 

黒岩はそう言うと工廠で大小怪我を追った加賀達を見ていた。

 

 

 

 

 

そして右手を持って行かれた羽黒を入灌させ、司令室に飛んだ山郷は聞く。

 

「今の状況は?」

「はい、きゅうえんにきたやまとさんがしんかいまやさんのあしどめをしています」

 

そこで妖精さんが答えると山郷は軽く息を吐く。

 

「四宮か……」

 

わざわざ飛ばしたのだろう。その事に感謝をしていると、妖精さんは山郷に提案する。

 

「きかんしたばくげききをばくそうしてふたたびだしますか?」

「…出来るのか?」

「はい!こんぺいとうがあればわれわれはどごまででもいきます!」

 

妖精さんはそう答えると山郷も少し考えた後に指示を出す。

 

「……よし、取り敢えず大和撤退の援護だ」

「りょうかいです!ただちにしゅつげきさせます!」

 

そう言うとその妖精さんは司令室を後にしていた。

 

「……」

 

そして司令を出した山郷はそのあと大きく息を吐いた後に小さくこぼす。

 

「神はこの手で部下を鎮めろと言うのか……」

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

その頃、洋上では大和と深海摩耶が戦闘を続けていた。

 

「発射!」

 

直後に野太い砲声をあげて大和から砲弾が飛翔する。そしてその砲弾を避けながら深海摩耶も反撃をする。

 

「大和、提督ニ会ワセロ」

「今の貴方では無理です」

「ナラバ力ヅクデ居場所ヲ聞クマデダ!!」

 

そう言い接近してきた所を大和は持っていた傘を前に向ける。

 

「ッ!!」

「撃てっ!!」

 

そして一瞬飛び出た傘に驚いた深海摩耶に大和は傘が壊れる勢いで前部砲塔を向けて引き金を引いた。

 

「グアッ!?!?」

 

そしてもろに攻撃を受けた深海摩耶は大きく後ろに飛ぶと、身体中から青い血を流して子鹿のように震えて再び立ち上がった。

 

「やりきれませんでしたか……」

「フハハ、強クナッタジャナイカ…」

「これでトドメです」

 

二基の主砲を向けながら大和は深海摩耶を見ると、彼女は不気味な笑みを浮かべた。

 

「ソレハ如何ダロウカ?」

「……何?」

 

するとその瞬間、深海摩耶は大和に向かって砲撃をすると、軽く大和はその砲弾を弾いた瞬間に大和の周囲を真っ暗な煙幕が包んだ。

 

「っ!しまった!!」

 

咄嗟に周囲を警戒していると深海摩耶の声が周囲に木霊するように聞こえた。

 

「次ニ会ウ時ハ必ズ提督ノ居場所ヲ吐イテモラウ」

「っ!!」

 

大和は黒煙を抜けるとそこに彼女の姿は見当たらなかった。

 

「……逃しましたか」

 

妹の武蔵ならばここで逃すことはなかっただろうと軽く歯噛みすると大和に無線が入った。

 

『大和さんはそのまま宿毛湾泊地に帰還して下さい』

「……了解です」

 

大和はそう答えると進路を反転して宿毛湾泊地に戻って行った。

上空には直掩の為か四式重爆が飛んできており、大和を案内していた。

今後の展開、読んだらどれかに投票してほしいです。

  • ハッピーエンド
  • 微ハッピーエンド
  • モヤモヤエンド(?)
  • 全部書け。
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