ゆりの手帳   作:Aa_おにぎり

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千島列島沿いに北上を続ける艦隊。その道中で船団を護衛する艦娘。

 

「新たな敵艦隊確認。数六」

「護衛戦闘機、発艦!」

 

大淀が偵察で知り得た情報を参考に加賀に伝達を行うと、直ちに戦闘機隊が発艦を始めていく。

 

「撃て!」

 

先にヤオビクニを摂取した艦娘による砲撃や佐伯湾泊地所属の艦隊によって進路警発が行われると、確保した進路を船団護衛を行いながら宿毛湾泊地艦隊は砲撃を行う。

羽黒と足柄を中心に打撃部隊が編成され、阿賀野と矢矧は駆逐艦を率いて高機動戦闘を行う。

 

「砲撃開始!」

 

阿賀野が指示をすると一斉に不知火、高波、大波が砲撃を開始する。

全員が10cm連装高角砲に換装された艤装で砲撃を行っており、黒岩謹製の改造が施された主砲は正確に敵艦隊に打撃を与えていく。

 

「魚雷、第一射発射用意!」

「魚雷発射用〜意!」

 

そして遠くに映る艦影を最新の電探を装備していた大波の持つ夜の目によって的確に把握すると、直ちに全艦娘が射線を合わせる。

 

「戦闘、砲雷同時線。発射雷数四。方位角、左六〇度」

 

艦隊の中で最も夜の目が効くように改装されたのが大波だ。故に彼女の指示に従って全艦艇が照準を合わせる。

 

「発射、用意よし」

「全艦、魚雷発射、用意よし」

 

そして彼女達は魚雷発射管の発射準備を終えたことを伝える。

 

「攻撃始め!」

 

艦隊旗艦の阿賀野はその直後に号令を出すと、一斉に艦隊から魚雷が発射される。放たれた魚雷は次々と海面に着水を開始すると、その後に雷跡を残して海面を進んでいく。

 

「…」

 

そこで発射した魚雷を、大波は手元に巻いた腕時計を確認しながら着弾までの時間を計測する。

 

「着弾まで、あと十秒」

「敵艦発砲!」

 

その直後、不知火が太陽の沈んだ大海原中で閃光を視認すると、阿賀野が指示を行う。

 

「回避運動!」

 

そして艦隊は不規則に之字航行を行うと、直後に周辺に水柱が上がった。

 

「着弾!」

 

その瞬間に大波が叫ぶと、遠くで爆破すする音が聞こえた。

 

「魚雷の着弾音と思しき爆発音を確認!」

 

そこで高波が報告を入れる。同じ夕雲型駆逐艦の大波とはまるで正反対の…どちらかというと黒岩寄りの印象が強い彼女は、優れた索敵能力をもって敵情を正確に捉える。

 

「爆発音は?」

「一、二…すみません。複数の爆発音で把握不可能です」

 

矢矧に聞かれるも、彼女は申し訳なさそうに返すと、阿賀野はそこで言う。

 

「大淀さんに偵察機を出してもらいましょう」

「了解しました」

 

そこで通信を行うと、羽黒を率いていた大淀は了承した。

 

「瑞雲、発艦!」

 

大淀はカタパルトに瑞雲を乗せて発艦を行うと、空に上がった瑞雲はそのまま魚雷攻撃を行った海域に飛行を行って偵察を開始する。

 

「私たちからも飛ばす?」

 

そこで足柄が聞いてきたので、その問いかけに大淀は首を横に振った。

 

「いえ、瑞雲に爆装を行ってください。加賀さんの艦載機が着艦作業を行なっている間の艦隊防空を行います」

「了解しました」

 

その指示に羽黒も頷くと、直後に早速大波の電探が敵を察知する。

 

「新たな航空機の反応。数十二。そっちにむかってる!」

「了解しました」

 

すぐさま大淀は山郷に報告を入れると、彼は承諾をした上で船団に指示を出す。

 

「全艦に通達。対空戦闘用意」

「了解しました」

 

彼は接近する航空機を前に最新の対空レーダーに映る小さな影でもノイズとして処理されないように改修が施されたレーダーで敵航空機部隊を探知する。

 

「対空戦闘用意!」

「総員配置に付け!」

 

そして船団に乗り込んでいた軍人達は警報音を聞いて一斉に甲板や銃座に滑り込む。

 

「ちんたらすんな!」

「対空射撃用意!!」

 

彼らは増設されたチェーンガンや重機関銃の前に入ると、弾薬手が隣で真新しい弾薬箱を用意して準備する。

 

「試射開始!」

 

そして銃座に指示が降りると、取り付けられた機関銃から曳光弾が飛んで夜空に彩りを与える。若干の試射によって問題がないと確認されると、船団は接近中の航空機に対して対空射撃を開始していく。

 

「撃て撃て!」

「敵機を撃墜しろ!!」

 

深海棲艦の航空機が撃墜できることはすでに把握されていた。すでに遠くでは艦娘達による対空射撃の爆発音と対空砲弾の信管が起爆している様が確認でき、その度に戦場が近づいていると彼らに緊張の汗が走る。

無数の機関銃の曳光弾が空をミシン縫いのように覆い尽くすと、その光景はさながら第二次世界大戦のような光景が広がっていた。

 

チェーンガンから25mm砲弾が発射されると、その弾丸は深海棲艦の航空機に着弾し、爆発して炎と共に海に落ちていく。

 

「戦闘機隊、交戦!」

「船団を守って!」

 

そこに艦娘の戦闘機隊も追従を行って次々と航空機の撃墜を開始していく。

 

「砲撃、撃て!」

 

その間、大淀が黒岩に頼んでやや強引に乗せてもらった20.3cm連装砲が砲撃を行う。基本的に宿毛湾艦隊の艦娘は全員が黒岩の手解きを受けた艦艇であり、彼女達が求めた通りの改修を施されていた。

そのため全員が精鋭級の特別仕様。…言ってしまうなら専用機である。

 

同じ艦級の艦娘であれば他人の艤装を装着しても違和感なく使えることは知られているが、この宿毛湾泊地艦隊の艤装は他人が使用してもまともに扱えるとはとても言い難かった。

 

「阿賀野達の援護を行ってください!」

「主砲、斉射!」

 

大淀達率いる打撃部隊は、一旦確保した橋頭堡を船団護衛を行いながら維持することである。最も危険な場所は別より派遣された長門を旗艦とした艦隊が砲撃を行っていた。

 

「全主砲、斉射!撃――ッ!!」

 

そこで闇夜に41cm連装砲の砲撃が轟く。そこで艦隊を護衛していた駆逐艦から連絡が入る。

 

「見えました!カムチャッカです!」

「よし、このままペトロパブロフスク・カムチャツキーまで突撃せよ!」

 

長門はすかさず指示を出すと、一斉に艦隊は深海棲艦に夜戦で次々と撃滅していく。

 

「しかし素晴らしいな…」

 

次に彼女は自分の手のひらを見つめる。

 

「ヤオビクニ…摂取したときはどうかと思ったが、これほどの威力であるならば…」

 

彼女はそこで自分たちの上官から摂取するように言われたとある薬剤を思い出す。

その薬剤のなは『ヤオビクニ』。中央の研究所が発明した艦娘の強化用の薬剤である。言って仕舞えばドーピングだ。

単にドーピングといっても適切な管理があれば肉体に強化をすることが可能だ。

 

彼女達、いわゆる軍艦派と呼ばれる軍人の下に配属される艦娘は全員がこのヤオビクニの摂取を命じられていた。

 

「これを作った研究者には感謝せねばならんな…」

 

彼女は摂取者の一人として、責任ある者として一番最初に新薬の接種を行なっていた。

 

 

 

 

 

そして艦隊は経由地であるヴィリュチンスクに到着する。

戦前は閉鎖都市としてロシア海軍の潜水艦艦隊の基地が整備されていたその場所は、深海棲艦との戦争が始まった際に街全域が一度徹底的に破壊された街で、湾内には多数の原子力潜水艦が撃沈していた。

 

「そんな場所に船団を止めるとはね…」

「海底に沈んだ原子力潜水艦だ。放射能漏れも今のところ確認されていない」

 

そこで陸地から補給艦による給油を受けている中、一夜を戦闘で明かした艦隊は疲労の中で食事をとっていた。

 

「昨日、海産物の航空機を叩き落としてやったぜ!」

「はっ、あんなの誰でもやってんだろ?」

 

食堂や甲板で食事をとりながら彼らは口々に昨晩の戦闘のことを意気揚々と話していた。

 

「聞いたか?本国の連中、もうすぐそこまできてるってよ」

「へえ、どこまで来たんだ?」

 

そこで海兵隊員が聞いた。

 

「アンドリアノフ諸島らしい。CICにいる連中が言ってた」

「何処だそこ?」

 

知らない場所を前に質問をした海兵隊員は首を傾げると、答えた陸軍兵は呆れていた。

 

「馬鹿だな、合流地点のアッツ島のすぐ直前の場所だよ」

「へえ、ダッチハーバー超えたのか?」

「とっくの昔に奪還してらあ」

 

彼らは共に深海棲艦から自分たちの故郷への帰路を守ろ抜いたことで気分が高揚していた。

 

「Good morning」

「Yeah!Good morning」

 

そこで彼らに話しかけるのは見慣れない制服を纏った男。日本海軍の関係者の宇野だ。彼は流暢に米兵と食事を共にしていた。

 

「あれ、艦娘は?」

「彼女達はウェルドックで休憩している。いつ出撃するか分からなくてね」

「おお、そうか」

「畜生、一緒に飯食いたかったのによお…」

 

彼らはそう話しながら宇野と食事をすると、そこで彼は軽く笑う。

 

「すまない。我が軍の規則で海軍関係者以外で彼女達との接触は禁止されているんだ」

「え?そうなのか?」

 

そこで米兵はやや驚いた様子で宇野を見ると、彼は頷く。

 

「ああ、彼女は全員が女性だ。男女の肉体関係による事件にならないように、可能な限り彼女達との接触は、我が国では制限されている」

「「「…」」」

 

淡々と彼から語られた話に聞いていた米軍兵士達は驚いた様子で彼を見ていた。

 

 

 

その頃、ウェルドックに一艘の内火艇が到着する。

 

「あ!提督だ!」

 

そのウェルドックで休憩をしていた夕立達が乗っていた一人の男に気がついて声を上げると、他の艦娘達も一斉に顔を覗かせてウェルドックから上がってきた男を見る。

 

「皆んな、元気にやっているようだね」

「提督〜!」

 

そこで米兵の敬礼を受けながら上がってきた彼に、飛びつくように艦娘達は群がった。

 

大村慎二准将。

若きエリート軍人として堅実に実績を積んできた提督である。彼は中立派の提督であり、軍内部の政争からは一歩距離を置いていた軍人でもあった。

そこで彼は飛びついてきた夕立に聞いた。

 

「宇野少尉は何処にいるかな?」

「うのっち?」

 

夕立はそこで大村の特徴である巨漢で、腕にぶら下がって戯れると、秘書艦でもある時雨が答えた。

 

「少尉なら朝ごはんを食べに行きました」

「おお、あいつ飯か」

 

事前に一報でも入れておけばよかったなと思っていると、時雨が聞いてきた。

 

「何か御用でしたか?」

「ああいや、君達の現状を聞こうと思っててね」

 

片腕で艦娘を下げて戯れあいながら答えると、すぐに近くにいて朗らかに遊んでいる艦娘達を見ていた米軍兵士達に話して宇野を呼んでもらった。

今後の展開、読んだらどれかに投票してほしいです。

  • ハッピーエンド
  • 微ハッピーエンド
  • モヤモヤエンド(?)
  • 全部書け。
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