アメリカから派遣された艦隊を回収し、無事に日本まで帰還した大淀達。奪還した千島列島まで長門率いる別働部隊が護衛を担当していた。
「よく戻ってきた」
「ああ、お陰様でな」
苫小牧港にて海原は岸壁に出て現場指揮官の山郷を出迎えると、両手で彼を抱擁して喜びを露わにしていた。
「奪還した海域は青森をはじめ、日本海側で十分に修練を積んだ艦隊が派遣させることとなっている」
「ああ、帰りに輸送機を見たさ」
そこで北海道本土から次々に出港していく貨物船を思い出す。
国土防衛のためにこの国は補給に関して十分な防衛を国防方針として固めていたこの国は、現在も日本海側を中心に多数の貨物船の建造を行っていた。
「流石は佐世保の虎だな」
「やめてくれ。地味に恥ずかしいんだ」
「何をいうか?おかげでアメリカとの航路が出来上がったんだ」
海原はそこで山郷に話すと、そこで新たに単冠湾や幌筵島に拠点ができている話を聞いていた。
「択捉は北部方面の重要拠点に改造される。まもなく、新しい提督が着任する予定だ」
「ほお、流石に仕事が早いな」
「まあな」
帰還したおおすみ型輸送艦は後続で多数の客船を引き連れると、その到着した客船を前に駐留米軍は歓喜に沸いていた。
自分たちは見捨てられたわけではないのだという安堵が、彼らを心の底から安堵させていた。すると上空をV−22が飛行していく。
「あの機体は?」
「ああ、米軍から売り飛ばされた機体だ」
日の丸のマーキングの施されたその機体はホバリングを行いながら港近くのヘリポートに着陸を行うと、中から一式の装備品を纏った米軍兵士が降りてくる。
「とりあえ人を優先して運ぶって話で、装備していた戦闘機も格安で払い下げられたのは知っているだろう?」
「ああ…種子島の作戦の時もそうだったな」
そこで彼は駐留米軍から払い下げられたF-18を思い出す。このほかにも多くの車両が日本に払い下げられており、戦車や歩兵戦闘車のような向こうが必要としている車両以外は全て日本政府が購入していた。
そして岸壁から次々と整然と並んだ米軍兵士は接岸した客船に乗り込んでいく。
これから本国に帰還することとなる彼らは、十隻単位で船団を組んで確保した北方航路を通ってアラスカに帰国する。
「これからは確保した海域で安全に彼らは帰国をすることになる」
「ああ、浮き足立っているのが見て取れるな…全く」
そこで彼らは帰還したおおすみ型輸送艦を前に実に陽気に、そして歓迎をして出迎えていた。
「船団の損害ゼロ…流石に驚いたもんだ」
「何、優秀な部下のおかげだ」
山郷は照れ隠しのように返すと、海原はそんな彼に軽く笑って言う。
「四宮からも連絡があった。『よくやってくれた。あとは楽しみにしておけ』だそうだ」
「はっ、なんだ。あいつ南部方面艦隊の参謀だろう?それも連絡要員なのに」
彼はそこで四宮の役職を思い出しながら答えると、海原はそこで話す。
「ああそうだ。来月異動になって、本部付きの副作戦参謀だ」
「マジか」
そこで初めて聞かされた話に山郷は驚くと、そうなった理由を海原は教えてくれた。
「ああ、前任が心労を理由に退官して、それで本部で余っていた人材で上山さんがねじ込んだって話だ」
「出世してんなあ…」
順調に出世をしている様子の同級生に少し羨望していると、海原はやや苦笑気味に話す。
「ただまあ秘書艦に大和を連れていたら、自然と戦力は東京に集中することになる。だから大和を秘書艦から外すように言われて苦労しているらしい」
「だろうな、どうせ鎮守府押さえている連中の圧力じゃないのか?」
軽く嫌味混じりに山郷は言うと、海原は苦笑気味に言う。
「僻むなよ。そもそもお前さんだって、途中で宿毛湾にいたじゃねえかよ」
「阿呆、燃料切れで休憩してただけだわ」
彼はそう返すと、そこで自分の知っている雰囲気の山郷を見て海原も安堵した様子で彼の肩を二度ほど叩く。
「ま、無事に帰ってきてくれて何よりだ」
「そうか…」
そこで山郷はそんな海原の雰囲気に納得をした上で作戦成功を祝う。
「じゃあ、何か飲むか?」
「いい居酒屋でもあれば」
「はははっ、まかせろ!今回の作戦成功で俺らは勲章確実だ。前祝いと行こうじゃないか」
海原は豪快に笑ってそう答えると、二人はそのまま事後報告の為に司令部まで向かった。
その頃ウェルドックでは、複合艇の傍らで宇野が酒保で購入した煙草に火を付けていた。
「ふぅ…」
そこで一服して他の艦娘の艤装が釣り上げられているウェルドックを見下ろしていた。
「なんとか間に合ったか…」
そこで彼は、この先頭において現場単位での修復によって予備パーツが払拭してしまっていたことを振り返りながら、それでも無事に作戦が終わったことに胸を撫で下ろしていた。
「お疲れ様」
「おう」
一服している中、榎木が話しかけてきたので彼も手を上げて答える。
「無事に何とかなったわね」
「ああ、まあ予備で持ってきたパーツはすっからかんだけどな」
彼はそう言い、小麦色によく焼けた肌によく似合う煙草を吸っていた。
「どうだった?」
そこで宇野は榎木に聞くと、彼女はいまだに信じられないと言った様子で答えた。
「恐ろしいわね。この三日間、一睡もせずに整備してたんじゃないかしら。彼女」
そう言い、このウェルドックに棲んでいたように常に足元を濡らして損傷した艦娘の補修を行っていた黒岩を思い返す。
「だろ?やっぱ彼女天才なんだよ」
「ええ…少なくとも、もう一人も腰抜かしてたわね」
彼女は作戦中帆ぼウェルドックに棲んでおり、帰還した艦娘の修理や補給を行っていた。
「ほぼほぼ、この艦は彼女一人で回していたんじゃないかしら?」
「はははっ、そりゃあすげえや」
内火艇に乗ってアメリカ海軍の強襲揚陸艦から所属した艦娘とともに帰還した彼は、そこで今もウェルドックで自分のパソコンと睨み合って座り込んでいる黒岩を遠目に見ていた。
「腕前は本当みたいね」
「ああ、どうだった?彼女の兵装は」
「すごいわよ?同じ兵装でもパーツ点数が減っているから、整備に苦労しないわ」
榎木はそう言い、この艦艇に置かれていた宿毛湾泊地から届いた装備品を前に驚いた様子であった。
作戦中、大量の装備品を持ち込んでいた彼女は、その中で艤装の修理に必要な装備品のいくつかを彼女から融通してもらっていた。
「あと彼女、異様に妖精さんに好かれている」
「ああ、らしいな」
そこで彼女の周りに集まっている無数の妖精さんを見る。彼らは黒岩の方や頭の上に乗っかったりして作戦後の余暇を満喫している様子だった。彼女も持っていた金平糖を彼らに与えており、もらった妖精さん達も嬉しげに金平糖に舌鼓を打っていた。
「でもパーツが2/3で同じ性能を出せる装備品を作れるなんて…」
「宿毛湾泊地は宮崎泊地よりも激戦区だからな。それで日々艤装をぶっ壊すからじゃねえの?」
「なるほど…」
実際、今回の作戦でも後方での船団護衛だと言っているのにも関わらず積極的に船団を離れて深海棲艦をボコボコに叩きのめしていたため、意外な損耗を生み出していた。
「流石は佐世保の虎とか言われた人なだけあるわ」
「正直、ここまで好戦的とは…演習相手になったら恐れ入るね」
そう言い、戦艦がいないにも関わらず戦艦を組み込んだような戦果をあげていた宿毛湾泊地の精鋭に恐れをなしていた。
「まあ、おかげで帰りは潜水艦の攻撃以外はあまり確認できなかったがな」
「ええ」
そこで宿毛湾艦隊の実力を改めて思い知らされると、彼らは下船準備を開始した。
「黒岩大尉〜!」
「?」
宇野はそこで彼女に呼びかけると、黒岩は顔をあげたので話しかけた。
「これから下船しますが、いかがですか?この後、飲みに行きませんか?」
彼はそこで作戦成功祝いで飲みの誘いをしてみたが、彼女は首を横に振った。
「あら残念」
「振られちったよ、トホホ…」
榎木は分かっていた結果に宇野を見ると、彼は少し肩を落としていた。そして宇野に話しかけられた黒岩は、酒の誘いを断ってから再び視線をパソコンに落としていた。
「今回は阿賀野達が被害大きいのよね…」
そこで彼女は、少しでも宿毛湾泊地艦隊の攻撃力を高めるために装備させていた15.5cm三連装砲の損耗率の高さにため息を漏らす。
「今回の砲撃で大波達も装備壊しちゃったしなあ…うーん…」
燃料もボーキサイトなど、諸々の消費も激しく、この作戦のために持ち込んだ資材も一部はこの艦に乗り合わせていた佐伯湾艦隊や他の泊地や鎮守府などの艦娘にも余分な装備品を渡してしまったことで、予備パーツはほぼ空になってしまった。
「副司令〜」
「ん?」
パソコンを前に頭を悩ませていると、そこでウェルドックに艤装を外して現れた大波が話しかけたので、黒岩は顔をあげた。
「そろそろ下船の時間やで」
「あ、うん…ありがとう」
そこで彼女は教えたことで黒岩はパソコンを閉じると、立ち上がって傍に用意していたボストンバッグを肩に担ぐ。
「ほな行こか〜」
「うん」
大波は黒岩の手を取りながら言うと、彼女は頷いて下船を始めていく。
作戦を終了させた艦娘達は、帰路は貨物列車を使って宿毛湾まで帰ることがすでに決まっていた。
これから千島列島を中心に艦娘の運営拠点としてこのしもきたは運用されるため、このような措置が取られていた。
「よかったな!噂の北極海の怪物にも出くわさなんだ」
「そうね…」
そこでタラップを伝って岸壁に降りながら二人は話していた。
現在、ロシアでその存在が確認されている『北極の怪物』と呼称される深海棲艦。まだ正式な呼称はないものの、かの新型個体はロシア戦線にて猛威を振るっているという。
今回の作戦で太平洋と北極海が分断されることを危惧して警戒をしていたが、少なくともこの作戦中はそのようなことがなくて皆が安堵していた。
「帰ろうか。大波」
「おう!宿毛湾の磯臭くない香りが楽しみでたまらんわ」
訛った関西弁で大波は大いに黒岩に賛同すると、二人は港まで繋げられていた貨物ターミナルに次々と積載されていく艤装を前に連結された客車に乗り込んでいく。
「あれ、提督は?」
その車内で座っていた艦娘を見ると、そこで一人見当たらないことに首を傾げると、大淀は事情を説明した。
「提督でしたら、先に海原提督と街に飲みに行かれました」
「ああ…そうですか」
そこで黒岩はその一言で事情を理解すると、少しため息混じりに頷いてから彼女はコンテナに積み込まれる艦娘達の艤装の確認に向かった。
今後の展開、読んだらどれかに投票してほしいです。
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ハッピーエンド
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微ハッピーエンド
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モヤモヤエンド(?)
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全部書け。