東京に出向いた艦娘達。
「んん〜、美味しい〜」
月島の某店で湯気の立つ鉄板の前でヘラを使ってもんじゃ焼きを頬張る大波。
「あつつつっ」
店内では曙が軽く口内を火傷しながら出来立てのもんじゃ焼きを食べていると、反対の席で天龍や龍田も飲み物を片手にそんな駆逐艦の面々を見ながら引率としてもんじゃ焼きを堪能していると、目の前にどんぶりに盛り付けられた生地が提供される。
「ほい、サービスでお餅つきね」
「おお!!」
「ありがとうございます」
店主に天龍達は言うと、彼は笑って返す。
「良いさ良いさ、こんな時間に来てくれたサービスだよ」
そう言い、店主は店の奥に消えていく。
かつて一千万人以上が暮らした広大な関東平野は、深海棲艦との戦争が始まって北陸地方の復興がようやく始まったことで安全な地域に避難を始める人々が多くいた。その為、最近は戦線となっている太平洋側の都市部からの移住が絶えないと言う話だ。
現場、政府は何も発表をしていないが、これほど戦争が続いていればそうなるのも仕方のない話と言えるのかもしれない。
「ベビースターラーメンが合ってんね〜」
「元々は戦後に駄菓子屋では定番だった料理らしい」
「「へえ〜」」
天霧がちょっとしたトリビアを披露すると、聞いていた曙、不知火は相槌を打っていた。
「うわっ、あちちちちっ!」
「姉さん。もう、だから冷ましてから食べれば良いのに…」
矢矧はそこで熱々のもんじゃ焼きをモリモリと食していく阿賀野を前にため息混じりに見ていた。
この店にはあ軽巡洋艦と秋月・涼月以外の駆逐艦の面々が集まっていた。
彼女達は大波のもんじゃ焼きが食べたいという要望に沿って月島を訪れて有名なもんじゃ焼きの店でこうして昼間から食べていた。
「んん〜、美味しいです〜」
彼女達は艦娘であるために食欲旺盛で、並の人よりも食べている。そのため、すでに彼女達は大量に注文をして店主は目を白黒させていた。
私服を纏っているので、雰囲気が学生にしか見なかったことも店主は『テスト終わりかな?』などと思いながら彼女達にもんじゃ焼きを提供していた。
彼女達はラムネを片手にもんじゃ焼きを堪能していた。
その頃、加賀は大鳳を連れてある場所を訪れていた。
「ここは?」
「提督おすすめのお店だそうです」
大鳳の疑問に加賀はそう答えてからひしめき合う住宅地の中にひっそりと佇んでいるその店に入る。
この店は、東京に赴く際に山郷から教えてもらった店である。彼が東京を訪れた際、何度か寄ったことがあると言う。
「失礼します」
加賀は暖簾をくぐると、その静かな店内では一人の女性が顔を上げて加賀達を見てやや驚いていた。
「あら、艦娘さんがいらっしゃるとは…」
「初めまして…鳳翔さん」
そこで彼女はこの『居酒屋 鳳翔』を営む女将の鳳翔に軽く会釈をすると、大鳳も軽く会釈をしてから案内を受けた。
「どうぞ。お好きな席に座ってください」
鳳翔はそこで二人を案内すると、彼女達は近くのカウンター席に座る。
「どうかされましたか?」
そんな動作の中、加賀は何度か視線を合わせる鳳翔に首を傾げると、彼女はその訳を話す。
「いえ、大和さん達以外で艦娘だけでお越しになるのは珍しいものですから」
「…なるほど」
「そう言うことですか」
宿毛湾と佐伯湾の唯一の空母でもある二人は、同じ空母の艦娘としてこの東京の市井に溶け込んでいる鳳翔に少し意外な表情で接していた。
「何をご注文されますか?」
「あ、では…この天ぷらの盛り合わせの…赤城盛りを一つ」
「はい。かしこまりました」
鳳翔は微笑んで注文を受けると、早速天ぷらを作っていく。
「静かなお店ですね」
「ええ、私が負傷して退役をした際に上山提督が用意してくれたものなんです」
カラカラと音を立てて天ぷらの揚がる音を聴きながら大鳳が聞くと、鳳翔は少し頷く。
彼女は傷痍軍人となり、右足に麻痺が残ったことで一線からの退役を余儀なくされていた。その際、彼女が秘書艦を務めていた上山の采配で彼女はこの居酒屋を経営する女将として再就職をしていた。
「大和さんもこちらに?」
「はい。以前は長門さんと共にお越しになられていたのですが、長門さんが札幌泊地に異動になってからは、たまに明石さんと訪れる程度ですね」
「そうなんですね…」
そこでこの居酒屋のある立地を思い浮かべながら加賀は提供された日本酒を傾ける。
「明石さんも来るんですね」
「ええ、よくお店にいらっしゃいます」
鳳翔は頷くと、加賀達は以前に大和と合同で作戦を行った時のことを思い出していた。
その頃、神田町では扶桑と山城は飲んでいた。
「「乾杯」」
一升瓶を注文し、二人はコップに注いで酒を飲み合うと、一気にそれを飲み干していく。
先の北方海域での作戦成功を祝い、篠海から毎月の給金のほかに特別給金があったことで二人は酒場に突撃を敢行していた。そんな二人は酒を飲み交わしながら話す。
「しかし楽しみね」
「ええ、黒岩大尉による改装が行われるとなれば尚更ね」
山城に扶桑は頷くと、彼女達はこの後の予定を思い出す。
「航空戦艦への改装計画…」
「一気に私たちの扱える航空戦力は増えるわ」
彼女達はこの後、宿毛湾泊地所属の艦隊と同行して彼女達に施される改修を思い出す。
後部甲板にカタパルトとクレーンを装備することで、水上機運用を前提とした航空戦艦への改装が行われることが正式に篠海から伝えられていた。
そのための資材と設備は幾らか宿毛湾泊地が担うことや改装後の習熟訓練など、諸々の連絡を受けて彼女達は気分が高揚していた。
秋月と涼月の二人は上野公園で動物園や博物館を敢行していた。
「おお、これが…」
私服姿で一般人に変装していた彼女達は、そこでアメリカバイソンを見ていた。
戦時下ではあるが、こういった動物園は通常通り開園しており、戦時下で減ってしまった娯楽を維持しようと努力している様子がひしひしと感じ取れた。
同刻、市ヶ谷に程近い場所で大淀は大和とカフェで落ち合っていた。
「先ほどの作戦はお疲れ様でした」
「はい。なかなかにやりがいのあるお仕事でした」
そこで二人はまだ本物が提供されているコーヒーを飲みながら語り合う。
個室タイプのカフェで彼女達は完遂した遠征作戦を前にとりあえず安堵していた。
「実は、今度四宮提督が中央配置になってしまうことで、私の配置で揉めてしまっているようなんです」
「大和さんは西日本防衛の主力として見られていますからね…」
かつて世界最大の戦艦として、軍艦の魂を受け継ぐ艦娘の中でも有数の火力を持つ大和。彼女の活躍というのは遠く宿毛湾泊地でも聞くことができた。
「提督が防衛省の副作戦参謀に出世してしまうので、私は秘書艦としての役割はそろそろ終わってしまうのです」
「大変ですね…今はどこでも大和さんは引く手数多ですからね」
「活躍できる場所であれば嬉しいのですが…」
大和はそう言いながら頬に手を当てると、その後にふと思い出したように大淀に話す。
「現状、防衛省は私と武蔵が東京に集中していることがあまり防衛策としてよろしくないと思っているようでして…」
「そうなんですか?」
「はい。信濃も暫くは北部方面に掛かりっきりですし、武蔵も木更津泊地に居ます。最近の深海棲艦の動向が読めない以上、戦力の集中はよろしくないというお話があるみたいで…」
「なるほど…」
大淀はその意見に一理あるなと思ってしまった。
現状、欧州に主力を置いていると言われている深海棲艦の動き。日本から援護として欧州派遣艦隊も考えられている現状、北方海域での戦闘を終えて駐留米軍の帰国が始まっている中、太平洋戦線は比較的安定していた。
「それで、私を一時的に呉か馬毛島基地に預けようと言ったお話があるそうで…」
「四宮提督も大和さんを生かそうと考えておられるでしょうからね…」
戦前に南方に整備された海上自衛隊が運用していた馬毛島基地。日本の滑走路と十分な港湾施設は、太平洋戦線における重要な後方基地として運用されていた。
そんな最前線に大和がいれば、確かに深海棲艦に対して十分な押さえつけもできるに違いない。
「どうしようかと考えているのですが…」
「そこら辺は辞令が届くまで我々にできることはありませんよ」
大淀は大和とそんな話をしながらコーヒーを楽しんだ。
東京が今もなお戦時下で最前線にも関わらず灯火管制が行われないのは、東京湾に幾重にも設けられた東京湾要塞があるからだ。
遥か昔にその役目を終えたとされ、一部は一般開放までされていたそれらの施設は、深海棲艦との戦争によって沈没した護衛艦から引き上げた兵装や誘導兵器。レーダー施設などを新たに敷設したことで再活性化を行なっていた。
無人砲塔の
「…」
そんなレーダー施設を前に一つの影が水面に落とされる。視界の先は一面の大海原。しかし僅かに見えるは富士の頂。
彼女はそこで静かに波の音を聞きながら傍に複数の重装な連装砲で囲まれた禍々しい容姿を持った艤装を展開しており、直後にその主砲に仰角がつけられる。そして薬室に砲弾と装薬が充填される。
「発射」
その直後、放たれた砲弾は爆炎と波が立つほどの衝撃波を伴って空高く飛翔する。
そして放たれた砲弾はそのまま放物線を描くと、東京湾を防衛していた海堡や砲台に次々と着弾していく。
「何だ!?」
その衝撃によって無人砲塔はなすすべなく一撃で土台ごと吹き飛ぶと、その衝撃で操砲を担当していた軍人は飛び起きた。
ヒューッ
「っ!伏せろ!!」
その直後、重たい風切り音を前に近くにいた別の海軍軍人が叫ぶと、海堡や砲台、レーダーサイトに次々と砲弾が着弾した。
「こ、こちら第二海堡監視塔!現在砲撃を受け、砲台は破壊された!繰り返す!」
そこで砲台司令官は慌てて通信を行うと、轟々と火災による炎で黒煙が立ち込める砲台を目の当たりにしていた。
「何?」
その爆発は本土からでもよく視認することが可能で、火災が発生している様子がすぐにSNS上に上がる。
「砲撃…?」
「え、やばくない?」
燃えている砲台を前に見ていた市民は口々に言うと、直後に横須賀鎮守府に警報が鳴り響いた。
今後の展開、読んだらどれかに投票してほしいです。
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ハッピーエンド
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微ハッピーエンド
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モヤモヤエンド(?)
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全部書け。