ゆりの手帳   作:Aa_おにぎり

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東京に襲撃を開始した深海棲艦。その砲撃の情報は上野駅地下四階に降りてきた天龍達も聞いていた。

 

「提督!!」

「お前達!こっちだ!」

 

上野駅、地下四階の新幹線ホーム、22番線。その場所で山郷が階段を駆け降りてきた天龍達に叫んだ。

 

「状況は?」

「すでにいくつかの建物に砲撃された。敵は木更津沖で武蔵とやり合っている」

「マジかよ…」

 

そこでホームに停車していた貨物列車に乗り込みながら山郷は話をしていく。

 

「司令部から連絡があった。敵は『北極海の怪物』の可能性が高いそうだ」

「「「「「っ!!」」」」」

 

新たな情報を聞き、途端に彼女達も背筋が伸びる。

 

「どうやら、俺たちが思うよりもずっと前に敵は動いていたらしい」

 

そんな情報を前に山郷はコンテナを開放して準備を行っている黒岩を見る。

 

「ベーリング海で出くわさなかったのはこれが理由らしいな」

「…してやられたってわけか」

 

少し忌々しげに天龍が言うと、彼女達は続々と集まってくる。

 

「扶桑さん…」

「すぐに出ます。皆さんも急いで」

 

コンテナの中では扶桑や山城がその巨大な艤装をすでに装着していた。顔はやや赤くて酒臭く、居酒屋から帰ったばかりだと言うのが容易に伺えた。

 

「急げ、敵は目前だ」

 

山郷は急かして到着した面々から艤装を装着させていく。

 

「これからは山郷提督の指揮下でお前達は動け」

「了解しました」

 

篠海はそこで帰還した扶桑達に命令を行うと、そこで大波が首を傾げた。

 

「一体何が起こっているのよ!!?」

 

そこで足柄達が怒号と共に、両手にブランド品を詰め込んだ紙袋を前に戻ってくると、その買い物の量に文句を言う前に山郷が端的に話す。

 

「敵の襲撃だ。現在、東京に上陸する可能性大で防衛省から俺たちに出撃命令ってわけ」

「なるほど了解」

 

その一言で全てを理解した様子で足柄は直後に憤怒の矛先を深海棲艦に向ける。

 

「都内全域で避難命令が発令。もう時期ここも避難民でごった返すことになるぞ」

「了解。あと集まっていないのは?」

「あとは加賀と大鳳だ」

 

彼がそう言った時、階段を駆け降りて送る音が聞こえて加賀と大鳳が現れた。

 

「申し訳ありません。遅れました」

「いや、問題ない。それより先に艤装をつけてくれ」

「了解しました」

 

そこで加賀達も艤装を装着していくと、その中で大波は首を傾げていた。

 

「これからどうするん?」

「詳しい作戦、まだ何も聞いていないんですけれど…」

 

隣で艤装を装備し終えた高波も首を傾げると、話しかけられた黒岩はそこで外を指差した。

 

「みんな、とりあえずあれに座って」

「「え?」」

 

そして彼女の言葉に二人は首を傾げた。

 

「そろそろ出発だ!」

「分かりました」

 

山郷はそこで叫ぶと、黒岩は頷いて鉄板を雑に敷いただけのコンテナ貨車に並べたラーメン椅子を確認した。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

東京に襲撃を開始した深海棲艦。

 

「…」

 

その禍々しく巨大な艤装は、多数の砲塔を備えた動く要塞とも言える重装備を誇っていた。

 

「砲撃」

 

彼女は短く指示を送ると、一斉に20inch連装砲が砲撃を行って迎撃を行ってきた木更津艦隊に放たれる。

その無数の触手のように動く無数の巨大な腕のようなもの。レーダーサイトやハリネズミのように突き出た巨砲は、その隙間から青い光を漏らしていた。

 

「上陸させるな!」

「撃て!」

 

武蔵達はそんな単身で突撃を行ってきた深海棲艦の撃退のために単縦陣で一斉射撃を行うと、砲弾もいくつか着弾していく。

 

「魚雷攻撃!」

 

砲撃の中で駆逐艦や巡洋艦の魚雷攻撃も行われると、その攻撃は水柱を上げつつも大した効果を確認できていない。

 

「っ、やはり陸上型か!!」

「もうそろそろ上陸されます!」

 

そこで市街地が見えてくる距離で砲撃を行っていることで、武蔵達は避難警報のサイレンまで耳に聞こえてきていた。

その直後、彼女達は別方向からの着弾により、その深海棲艦は爆発を伴って煙の中に包まれた。

 

「…遅いぞ、大和」

 

不敵に笑みを見せて武蔵はその砲撃を行った主を見つめると、そこで彼女は言った。

 

「ごめんなさい。少し艤装の装備に手間取ってしまって」

 

傘を持って大和は水面に立つと、彼女は前方に二つの巨大な三連装砲を向けた。

 

「第一、第二主砲。斉射、始め!」

 

その直後に水面に衝撃波をもたらしながら彼女は砲撃を行うと、深海棲艦に着弾していく。

 

「…チッ」

 

今まで無反応に近かったかのこが初めて反応を見せると、大和はそんな深海棲艦を見つめる。

 

「一体何のために単身で突撃をしたかは計りかねますが…」

 

そこで彼女は傘を肩に傾けて宣言する。

 

「ここは東京。国を守るものとして、ここを通すわけにはいきません」

 

長門から受け継いだ帝都の守護神としての任務を全うするために彼女はその深海棲艦と相対すると、彼女はその連装砲の照準を向けて砲撃を開始した。

 

「貴女、邪魔です。退いてください」

「無理です。ここを通さないと言ったばかりですよ?」

 

大和は少し後退を行なって砲弾を回避すると、水柱が上がる。

 

「流石に大きいですね」

「気をつけろ、そいつは陸上型だ」

 

そこで無線で武蔵が連絡を入れると、大和は納得した様子で目の前の深海棲艦を見た。

 

「なるほど。通りで圧倒的な火力を持っているわけです」

 

彼女の目の前に立つ深海棲艦は顔に面を被っていた新型の深海棲艦。武蔵曰く北極海の怪物と推定されているが、確定した情報ではない。

 

「(ですが、流石にこれは本物でしょうね…)」

 

内心で彼女は唾を飲み込む。今目の前にいる存在というのは、圧倒的な力量を持った深海棲艦であると警鐘を鳴らしていた。圧倒的な『破壊』を体現したように重武装で、暴力的なまでに装備されたそれらの火砲は、すでに陸地に被害を出していた。

 

「っ!」

 

放たれた砲弾を回避すると、その砲弾はまっすぐ反対の市街地に着弾して埋立地にあった団地を一棟、一撃で破壊する。

 

「(何て火力…!!)」

 

粉々に砕け散った団地を前に大和は反撃で、交互撃ち方による断続的な砲撃で敵に撃たせない方針を取る。

 

「敵艦載機確認!」

「対空防御!」

 

そこで目の前の深海棲艦から航空機が放たれ、大和と武蔵達による対空防御で砲撃が行われる。

 

「敵は高火力な兵装をお待ちな様子で…」

 

彼女は東京湾中で聞こえる砲声を耳にしながら目の前の巨大な深海棲艦の艤装を納めて行く。

 

「(なるほど、これではロシア軍も恐れるはずです)」

 

体全体を囲むように砲塔を備えたこの深海棲艦は、ロシアにて甚大な損害を与えた艦娘でもあった。

 

「(東京湾に単身で突入したと言うのに、この余裕ですか…)」

 

大和はそこでその深海棲艦の異質な雰囲気に不気味さを感じていた。かなりの至近距離での砲撃戦で流れ弾が次々と市街地に着弾して行く。

 

「提督!」

『あと五分で間も無く増援部隊が到着する。そこまでの辛抱だ』

 

大和は無線で四宮と連絡を取ると、彼はそう答えてから司令室で聞いた。

 

「陸軍はどうしている?」

「現在、新木場付近にて16式機動戦闘車改が展開中。間も無く現場海域に哨戒防備隊が到着します」

 

その直後、陸軍の戦闘服を纏った士官が司令部で報告をあげた。

 

「朝霞の第一偵察戦闘大隊が若洲に展開しました」

「ただちに砲撃を開始せよ」

 

その直後、東京湾の埋立地で16式機動戦闘車改の砲撃が行われる。それとほぼ同時刻にミサイル艇が到着をして砲撃を始める。

 

「はやぶさ型ミサイル艇、海域に到着」

「横浜港より出港した海上保安庁の艦艇は沈没。各砲台は現在消火作業中」

 

司令室ではありとあらゆる軍人が集まって次々と指示を送って行く。

 

「山郷達はどうしている?」

「間も無く予定地点に到着。しかし付近には民間人がまだいるとの報告です」

 

四宮もその中の一人として深海棲艦の上陸阻止を厳命されていた。

 

「構わん。射撃地点に変更なしと伝えろ」

「了解しました」

 

彼は副官に伝えると、無線で大和に連絡する。

 

「山郷が配置についた。始めるぞ」

『了解しました。提督』

 

大和は承諾すると、武蔵にも離れるように指示を送った。そこで大和や他の艦娘などのガンカメラなどから映し出されたその深海棲艦を前に思わずこぼす。

 

「なんで禍々しい深海棲艦だ…」

「北極海で確認された個体と特徴が酷似しています」

「くそっ、既に太平洋に入られていたとは…」

「ロシア軍め、見落としていたか…」

 

口々に彼らは忌々しげにその深海棲艦を前に文句を呈していた。しかしそんな事を言う暇は無く、すぐに彼らは展開した陸軍と海軍部隊に攻撃命令や避難誘導の確認を行わせていた。

 

「上山大将。官邸から民間人がいる中での砲撃は原則禁止と通達が入りました」

「馬鹿か!!?」

 

そこで届いた政府からの命令に上山は驚愕した。

 

「既に敵の射程内に入っているのだぞ!?艦娘は陸戦運用などできないんだぞ!!」

 

そこで水際防御となっている現状に彼は怒鳴り散らした。

 

「どうされますか?」

「知ったことが!部隊に下命しろ、作戦続行せよ!」

「大将!?」

 

即決した彼の判断に部下は驚愕すると、上山は言う。

 

「責任は俺が取る!退官寸前なんだぞ、今更なんだ!」

 

彼は怒鳴り散らして既にお台場付近まで接近している現状を指差す。

 

「とにかく上陸をさせるな!市街地戦になったら目も当てられんぞ!」

「はっ、直ちに」

 

上山の言葉に部下達も同じ感情を抱き、生憎と命令が届く前に作戦を開始してしまった。

 

 

 

 

 

その頃、帰還した大淀達は神田駅付近の新幹線の路線上で夕陽に染まる東京の街並みを見た。

 

「全く…」

「提督も無茶言う」

 

足柄と大波は呆れたような、感嘆したような様子で秋葉原付近で地下から地上に上がって行く列車の上で呟いた。長物車の上でズラリと並んで彼女達は座標諸元を受け取る。

 

「このままでは架線に影響出ません?」

「ぶっ壊してもいいから大和さんの支援砲撃だって」

「なるほどね」

 

そこで全員が椅子に座って自分の艤装を空に向ける。彼女達は山郷の提案で列車の上から砲撃を行って敵を撃退しろと命令を受けていた。

 

「諸元入力完了」

 

大淀から伝達された情報に合わせて彼女達は砲熕兵器に仰角を付ける。

すると列車は全線で運転取り止めで全ての車両が停車していた路線上でブレーキをかけると、首都高と交差する場所で停車した。場所は新常磐橋交差点の近くの高架橋。

 

「全砲門。よーく狙って。てーっ!」

 

そこで貨車の上で座り込んだ彼女達は一斉に砲撃を開始すると、その衝撃波で付近の建物の窓ガラスが粉砕しながら砲弾が飛翔して行く。

 

「ひっ!?」

「何だ!!?」

 

その砲撃音を聞いて付近で避難中だった市民は悲鳴をあげた。

今後の展開、読んだらどれかに投票してほしいです。

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  • 微ハッピーエンド
  • モヤモヤエンド(?)
  • 全部書け。
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