日本が大量の外貨を放出したことにより、各国政府は自国通貨の回収に苦心することとなった。
「主砲発射、撃て!!」
比叡が指示を送ると、仰角のついた砲身から轟音と衝撃波を伴って砲撃が行われる。その視線の先では洋上を航行していた軽巡洋艦を中核とした深海棲艦の護衛戦隊が攻撃を受けていた。
「っーーーー!!」
砲撃が夾叉し、交互撃ち方によって砲弾が次々と着弾したことで深海棲艦艦隊は悲鳴を上げ、その青い血を同色の海に溶かしていく。まるで海に溶けるかのように彼女らは沈んでいくと、艦隊は直後に艦載機による攻撃を追撃で受ける。
「爆弾投下!」
艦上爆撃機が急降下を開始すると、対空砲火によって数機が迎撃をされながらも投下に成功。水柱が上がる中で爆炎が轟く。
「敵影確認できず」
「電探、電測にも反応なし。周辺に敵は居らへんと思うで」
水上と水中を探って大波は答えると、隣で高波が言う。
「一応、爆雷を落としていた方が良いかもです」
「分かりました。高波、不知火は撹乱の為に爆雷を投下してください」
「了解」
加賀の指示に頷いて二人は爆雷を海中に投げ飛ばすと、少し時間が経ってから水面に巨大な水柱が上がる。
「では撤退します。各員対潜警戒を」
「「「「了解」」」」
そして一仕事を終えた彼女達は回頭を行い、本土に帰還していく。
「でもすごい改造がされているんですね」
帰りの途中、榛名が聞くと加賀は自分の甲板を一瞥する。
「他の場所の加賀さんとはまた違う改造が?」
「ええまあ…」
その甲板は彼女の要望に応える為に黒岩が改修を重ねた上に海水で何度も洗われて黒ずんでいる甲板だった。
「腕の良い技師がいるんだよ」
「明石さんですか?」
「正確にはあの人の弟子?だと思います」
不知火が言うと、蒼龍は入れ替わるように出ていってしまった黒岩のことを思い出す。
「私は少ししかお会いできなかったんですよね…」
彼女は現在、鎮守府制度の教育課程を受ける為に泊地を離れていた。
「大尉が帰ってきたら、本格的に艤装に手を加えるんですよね?」
比叡が質問をすると大波が頷く。
「せやで、副司令はそろそろ帰ってくるって話やしな〜」
彼女は相変わらず嬉しそうにしていると、不知火は少し意外そうにしていた。
「思っていた以上に早いですね。帰ってくるの」
「当然ですよ!何せ提督の教育を受けているんですから!」
そこで航行していた阿賀野も大いに頷く。そもそも入口の狭い提督業の試験を通過した時点で上澄みである。
「これで副司令は艤装技師の他に提督もできるようになるわけですね」
「改めて考えると、凄いかも?」
「改めんくってもヤバいで?今の副司令」
そんな事を話していた時だった。
ッーー!!
突如、洋上に砲声が轟く。
「「「「「!?」」」」」
直後に彼女達は警戒をして輪陣形を組み直して対空警戒を行うと、付近に水柱が立ち上る。
「着弾!!」
「総員警戒、方位二七〇!」
水柱が上がり、彼女達は戦闘態勢に移行するとすぐに砲声から高波が報告を入れる。
「何ですか!?」
榛名が驚愕して今の尋常ではない砲声がした方角を見ると、広い太平洋の水平線上に一つの影が現れる。
「っ…」
その瞬間、加賀は着弾した際の水柱の大きさから戦艦が現れたかと思うと続いて砲声が轟いて砲弾が一瞬空高く飛翔してから接近をして付近に着弾した。
「敵視認!」
「直ちに反撃を」
「了解」
加賀が指示を送ると、榛名と比叡は砲塔を旋回させて仰角を付ける。
「測距良し!距離八〇〇〇!敵速…えっ?」
その時、速度を計測しようとした榛名は驚愕した。
「動いていない…?」
彼女は測距儀越しで敵が微動だにしていないのを観測して思わず驚いた声を漏らしてしまった。
「敵に動きなし!静止状態で撃ってきています!」
「なら好都合です」
加賀は報告を受けてそう返すと、爆装を終えた艦上爆撃機を持って弓を引く。
「全艦艇で砲撃を開始。大波、泊地に通報は?」
「もうしておいたで」
加賀の問いかけに大波は答えると、全員のインカムに連絡が入る。
『大波から通報を聞いた。現状を報告してくれ』
「了解」
そこで接敵をしたことを受け、加賀は山郷に情報を入れる。
「担当競合海域ーーにて敵艦と接敵。砲声から戦艦級……」
その直後、砲弾の風切り音が吹いて着弾する。
「っ、敵は明らかに高火力を有している!」
『異性体の可能性は?』
「…捨てきれません」
巻き上がった海水をかぶりながら加賀は山郷の懸念に答える。すると大波が叫ぶ。
「電探に感あり!敵航空機を確認!」
「全駆逐艦で対空防御!」
そこで展開していた艦娘の対空砲による砲撃が行われると、上空では敵航空機が急上昇を始める。
「敵機上昇!」
そんな敵の動きを詳細に大波は報告すると加賀も指示を送る。
「回避運動!」
「おもーかーじ!」
比叡や榛名も回避行動を行うと、次々と急降下をしてくる敵航空機に対して砲弾が命中し、撃墜をされながらも投下を始めた。
「敵機、爆弾投下!」
そして次々と着弾していく爆弾。水面に水柱が上がりながら比叡に着弾した。
「きゃあっ!」
「比叡!」
爆弾に包まれた彼女に加賀が聞くと、彼女は軽く煙を払う。
「げほっ、大丈夫です!」
そこで爆撃を受けた彼女は左舷側に設置された対空砲の一部が破壊されていた。
「他に被害は!?」
加賀は聞くと次々と僚艦から返答が来る。
「高波、大丈夫かも!」
「大波、被害ナーシ!」
「榛名、無事です」
「不知火、以上無し」
「阿賀野、回避成功したよ!」
比叡以外は爆弾の回避に成功したと確認すると、加賀は安堵した。
「艦載機、発艦!」
加賀はまず用意していた艦載機を発艦させ、比叡の仕返しと言わんばかりに艦上爆撃機を発艦させる。
「戦闘機、発艦!」
そして続いて戦闘機を発艦させると、既に交戦状態にあった戦闘機部隊に増援を送る。
「比叡被弾!損害軽微!」
『了解した。こちらも足柄達増援部隊を出撃させた』
山郷はそこで港から出撃していく足柄達を見送る。
「急ぎなさい!」
足柄が言うと、他に艤装を装備した羽黒や秋月達は追従していく。
「戦闘区域に到着する為に戦闘機を発艦。艦隊を支援してくれ」
「了解しました」
そして陣形の中心に蒼龍を置くと、彼女は頷いて洋上に出てから装備した戦闘機を発艦させる。
「…」
その時、岸壁に摩耶は立って海を見つめていた。
「摩耶?」
その時、彼女の意味深な行動とその眼差しに山郷は首を傾げて話しかけた。すると彼女はぽつりと呟く。
「…深海が来る」
「?」
その直後、泊地に爆発が起こる。
「っ!?」
爆炎と衝撃波が彼らを襲うと、山郷は帽子を抑えて立ち昇る黒煙を見る。
「何だと…!?」
その光景を見て彼はすぐに手元のタブレットを確認しながら叫ぶ。
「泊地に着弾した!繰り返す!泊地に着弾!」
そして火災が発生すると警報が鳴り、慌てて妖精さんが飛び出して消火作業を始める。
「なんだなんだ!?」
「かじだ!」
「みず!みずもってきて!」
彼らは慌てた様子で工廠や施設からホースを取り出してバケツで水をかけ始めると、消火栓をつないで消火作業を始める。
「どこに命中した!」
「おくのけんしゅうしせつです!」
「ちっ、運の悪い…!」
軽く舌打ちをして山郷は砲撃が着弾をした場所を恨む。幸いと言うべきなのか、菌類などは一切無いので二次被害の可能性は無かった。しかしそれでも研究資料や資材が丸々吹き飛んだ事実は変わらない。
「消火急げ!二回目が無いとは限らんぞ!」
彼は叫ぶと、海からの攻撃を前に加賀達のガンカメラに映し出される深海棲艦を見る。
「畜生、敵はどんな火力を持ってやがるんだ」
彼は着弾した泊地を背に首を傾げた。
そして泊地が着弾したことは足柄達も見ていた。
「泊地に着弾!?」
「どう言うことよ!」
爆発した泊地を背に彼女達は驚愕をすると、蒼龍が聞く。
「どうしますか?引き返しますか?」
「いいえ、私たちはこのまま行くわ」
足柄はすぐに首を横に振ると、直後に海を睨みつける。
「どう言う手品かは知らないけど、これだけの長射程を持った奴が敵なら、発射地点を叩かないとこの後もやられるわ」
彼女はそう判断をすると、最大戦速で海域に急行していく。
『不知火、接近してくれ。敵情報を知りたい』
「了解しました」
山郷は攻撃を行ってきた敵に対して指示をすると、不知火は承諾して加速を始める。黒岩によって主機関に大きく手を加えられた事で爆発的な加速力を持つようになった彼女は大きく波を立てて加速をすると、砲撃の合間を掻い潜って接近していく。
『榛名、比叡は砲撃続行。不知火のカバーを』
「了解」「分かりました」
そして接近を行う不知火の視線をそらす為に二人は砲撃を行う。
「…っ!!」
周辺に水柱が上がり、海水が頭に絶え間なく降り注ぎながら彼女は大波からの情報を聞く。
『敵発砲、砲弾は十秒後に右二〇に着弾』
「了解」
不知火は秒数と方角を確認して数え始めると、直前に体を傾けて取舵をとって回避を行うと、着弾した砲弾が水柱を高く上げる。
「着弾!!」
『敵航空機を確認!』
『戦闘機隊、交戦開始せよ』
無線はオープンチャンネルで繋いでいた為、海域にいる全艦娘の声が混ざり合って聞こえてくると、不知火の接近を察知した敵航空機が加賀の艦載機の妨害にあった。
「…やはりこの音は」
接近中の不知火はこの絶え間ない砲撃音を耳にして背筋が冷たくなっていくと、ついにその姿がよくわかる距離まで接近した。
「っ、やっぱり…」
その巨大な艤装、無数の砲塔と砲身がハリネズミのように突き出したその姿は自らを守る為の哀しささえ感じられた。
『まじか…』
それには思わず山郷もそんな言葉を漏らしてしまう。
「こんな所で出くわすかよ…!!」
その姿を見て彼は冷や汗を漏らす。
「…」
タブレットを使ってその姿を見た摩耶は神妙な雰囲気を浮かべる。
「不知火、すぐに距離を取れ。加賀達も離れろ!」
『了解です』
すぐに彼は指示をすると、背中で黒煙が立ち込める中でタブレットで見る。
「すぐに呉に救援要請だ」
「はい!」
山郷が叫ぶと妖精さんは敬礼してその場を後にする。
「畜生、北極海の怪物が現れやがった!!」
予想外の会敵に彼は『何故だ?』と言う疑問をとりあえず置いてから救援要請を発した。
今後の展開、読んだらどれかに投票してほしいです。
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ハッピーエンド
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微ハッピーエンド
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モヤモヤエンド(?)
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全部書け。