キヴォトスの若鷲(エグロン) 作:シャーレフュージリア連隊員
スポットライトお願いしまーす
今回の事件はすれ違い勘違いに多少の事実が重なった上で生まれたアクシデントでした。
封印を破る方もアレだと思いますが、トロッコ問題じゃなくて普通の複合要因による事故なんですよね。
おほん。
臆病ですが強い信念を持つ合理主義者は世界の危機を語ります、ですがあなたはそれにどう答えるんですか?
肯定?否定?それとも……?
そして忍び寄る預言者の影。
んふふ……それではアロナでした。
しかしアリスちゃんは調べれば調べるほど分からないことが分かるぐらいです。
無論「分からんという事が分かる」は科学的に大きな意味を有しているのは事実ですが、少なくとも抱き上げたりするのは少し大変としか。身体検査の時に力加減を教えておいたのは英断だと思います。
シャーレに遊びに来た時に身体テストを兼ねて色々遊んでみるとビックリ。
これのスペックを受け止めて、怪我しないネル部長の強さがよく分かります。
無論最大の理由はアリスちゃんに正規戦闘プロトコルが無いからなんでしょう、OS無しで動いてるわけですから。
ミレニアムでアリウススクワッドとC&Cの演習の隊長同士の戦いは先生も「実写版モフングルかACの撮影でもしてんのか?」と苦笑いしてましたもん。
モニターがスロー再生で漸く観客に分かりやすいようになってましたもん、蒼と紅だから映えますしどっちも王子様系だから受けますよ。
2回目の時は先生もユウカさんも「これでしばらく予算は安泰」って顔でしたもん。
「やっぱり賭けは胴元に限るな!」は駄目でしょ!
「A分隊の隊長出して良いんですか?」と聞いたら「なんで調査研究班の特別執行部隊A分隊の隊長とアリウススクワッドの錠前サオリが同じだと思うんだ?」
と素顔で言い切るから参りました、そりゃ作戦行動中は大概皆覆面ですからね。
誰もバラクラバ着けてMICH2000ヘルメット着用した彼女らとは言えません、ヘイローも正確に形を識別出来るのは先生だけですからね。
そんなこんなのお披露目もあり、アリウススクワッドはミレニアムで有名人になりました。
サオリさん仕様のARをコレクションアイテムで販売とか大丈夫なんですか?
今は光の剣と呼ばれて半封印中の、試製特大型大電力電磁投射砲は艦載搭載砲なんですから、規格外なのは当然。
殆ど照準器も無く腰だめで少し踏ん張るだけで、高精度で当てれる何らかの射撃アシストがあるのはサイドアームのMPXを並以上には使いこなしているの見ても明らかです。
確かにMPX-Kは抑え込みやすい部類です、しかし彼女はどうも射撃のブレのパターンや銃の個性、つまり部品の組み合いによる揺らぎを理解してます。
今日はアビドス射撃演習場に来て色々確認するそうです。
何処でも誰にでも可愛がられて少し羨ましいですね……。
炎天下の中で蜃気楼もあるのに、190m先までは
勝てるか賭けをしたセリカさんは155mで限界でしたので、多分これは慣れの問題なのでしょう。
賭けに勝ったのでアリスちゃんには景品として柴関割引券が与えられました。大将も中々驚いてましたが、あの人200mまで当ててましたよ……。アビドス住民は逞しいですね。
「大将良い狙撃してんね!うちに入らないか!下士官が足りないんだよ」
「悪いが歳には勝てねえんだ、ガハハハッ!」
「それならアリウスの方にも支店作ってくれねぇか?」
「そっちは人手が足りねぇなぁ!」
先生の勧誘は玉砕してました。
帰りの車内で先生にふとアリスちゃんが尋ねる。
「先生は何になりたかったのですか?」
「偉大な英雄になりたかった、9歳の子供の頃だ」
「なれなかったのですか?」
「なったよ、英雄と怪物はコインの裏と表の関係と言うのも分かった。好きでやったから後悔はしてないよ」
少し怪訝な顔をしてましたが、アリスちゃんに誠実に答えたのは理解してくれたようです。
ぼおっとアビドス新市街を風に乗せられた砂が過ぎていきます、最近嵐が増えたり雹が降るケースも増えていて、ミレニアム気象研究部がシャーレのアビドス駐屯地に観測機材を置きたいと頼んできました。
風向や風速はこれまでと異なっていますが、殆ど勢いの中心は砂漠鉄道跡や旧市街です。*1
おかげでカイザーや不良学生も紛争を中断してます、作戦活動が出来ませんし視界がありませんから。
「アリスはどんな勇者に成りたい?」
先生が尋ねます。
「みんなを守れる勇者に!」
「そりゃいい、一つアドバイスだ。義務感でなるな、それだと折れるからな」
「勇者の中の勇者になります!」
「それは駄目だな、上司を裏切るし命令をろくに読めない奴になるぞ、マジだぞ」
なんで貴方はそう、なんか発言が一部生々しさあるんですか。
またある日、カフェにゲーム開発部がインスピレーション獲得に来てました。
人が多い所なら創作のエッジや正確性も上がる気がしたそうです。
「で、具体的に何に困ってるんだお前ら」
「それが……どうもお姫様っぽさが出ないんですよ……」
ミドリさんがあんぐりと放心してます、ここら辺は姉妹お揃いですね。
ユズ部長も困り果てています。
「……そうだなあ、よし。」
先生は電話でミカさんを呼びました。
「ザ・貴族って感じの資料見に来たら、本物来ちゃった……」
「持ちこめてる分だから大分少ないんだけどね」
「要するにミカは故郷を追われたお姫様なんですね!」
「そう言う発想は無かったかなぁ……」
アリスちゃんの天然ボケにミカさんもたじたじですが、楽しそうです。
結構な人が零しますが口の割におねだりが続くと、この大人動いてくれます、意外と甘いですね。
案外この人は特に何事も無いなら甘い態度なのかもしれません。
「ここまでしたんだから、ちゃんと開発しろよ?」
「「グエー」」
そう言う話ばかりではないんですがね。
以前からGバイブルが解析不能なのを気にしてるらしく、謎プログラム解析を依頼してきましたが困りますよ!
「この解析不能のGバイブル、色々試したがどうにも不明だ。お前どうにかしろ。最悪カイザーのサーバーみたいにしてもかまわん」
「やーです。対応手段がありません。下手するとシャーレのデータリンク全部爆発しますがよろしくて?」
流石にこのクラスのデータは嫌な予感がします。
開封するにしても適切な人と物を用立ててくれねば困りますよ。
「スペック負けならそう言ってくれ、それくらいの危機と判断するが」
「もしこれが本来のOSならどうします、先生もアリスちゃんは間違いなく愛玩ロボではないと言われてましたよね。寝た子を起こすのは不適当と思案します」
「参ったな、種類も口径も分からない砲と弾薬で砲撃しろと言われてる気分だ」
厳重監視も兼ねているのでしょうが、この頃の先生はミレニアムのエージェントが監視してるのを誤解してますからね……。
まさかリオ会長と先生が互いに誤解し、誤断し、そしてすれ違いが別のルートへ導くだなんて……。
私も分かってたら教えてましたからね!
【発動篇】
それは唐突に起こりました。
接触、発動までは数秒もなく、咄嗟にサオリ分隊長が先生やモモイたち諸共室外へ押し倒す様に飛びかかり、ヴェリタスが部屋から出るまでの瞬間しかありませんでした。
非常事態対応部隊に緊急出動を指示するのが精一杯。
『繰り返します。非常警報が発令されました、全人員は速やかに退去し───』
煌めく紫色の爆轟の柱、部室棟上層20階層が瞬く間に吹き飛び、ミレニアムが大きく揺れました。
その大火力は極めて局所的でしたが、位相変換、重力波変動もわずかに起こしていました。が、スーパーAIはなんとか先生を守ってます。
ですが明らかに好ましからざる事態です。
『区画熱滅却とクオーツ単位で分子分解する用意を。少しでもいい、時間を稼いで』
『排除実働班現地到着。』
『僅かでも良いからエネルギーを集約させないように』
ミレニアムのチヌークから外骨格に光学兵器を担いだセミナー保安要員が展開し始めます。
幸い、先生の防壁を全開にしたので、瓦礫の中に空間が生まれてますが……。
外の様子は本当にろくでもない事になってそうです。不本意ですが力場とシールドの操作精度が最近上がってる気がします。
『対象捕捉!』
『スイッチを3秒間のホールドにセット!』
『エイム!』
『撃てェい!』
瞬間、瓦礫の一部が真っ二つにされました。
新型レーザー砲だかいう、リオ会長の研究品だったはずですが……レーザーが、曲がる?
どういうことですか、光すら逃げられない何か、ブラックホールとでも言うんですか!?
『キルできず。第二射で目標のシールドを飽和させる! 撃てェ!』
数秒しない内に、新たな衝撃波が襲い掛かってきた。
あの後、ネル部長の到着と増援の保安部隊によるATACMSのDPICM飽和攻撃でようやくエネルギーが切れたアリス、いや、AL-1Sは機能を停止しました。
リオ会長は公開情報を完全に管制し、公然には「ミレニアムに侵入した不明ロボットが弾薬類を吹き飛ばした」という隠蔽がされ、状況確認の連邦役員を締め出した。
事実はほぼ隠蔽され、表向きにはヴェリタスが不明ロボの沈静化を図ったと称賛まで送る。
……ビッグシスターの名は伊達じゃありませんね、多分カイザーの中央役員会や秘密作戦部員も真相を知る事は無いでしょう。
”AL-1S(通称アリス)の引き渡し要求”
完璧にやられました、大人の義務、責任、権限、合法性、全部抑えられ動けません。
「連邦生徒会の命令書も得てきたわ。本学園破壊及び戦闘のテロ容疑者引き渡しを要求します」
「まだ捜査が済んでいない、暴走の危険を加味しシャーレが預かるべきだと助言させて頂く」
「お心遣いには感謝します。しかし本案件は”専門家”が居ます」
「ヒマリか?」
先生とリオ会長の話し合いは、互いのすれ違いを再発させてます。
「”一度もそれを疑問に思わなかったのかしら”。”異常を通り越した強権、強大な武力、忽ちのうちに一切合切を解決する大人”」
「”トリニティとゲヘナの和平”。”アビドスの廃校阻止と発掘調査阻止”。”アリウス戦役”。貴方の仕事は……まったく以て素晴らしかったわ。ついにはAL-1Sまで見つけたんだもの」
「貴方は貴方のやり方で世界を救おうとしている。砂漠の戦いも廃墟の探索もエデン条約もアリウスの解放も防衛室への強いフックを手に入れた事も」
うわああああん!ツケがこういう形で出るなんて信じられませんんんん!
でも確かにリオ会長から見たらそれ以外の認識になるんですよね、インテリの宿痾ですよ、自分と相手の思考の違いを忘れるって。
大概それで破滅したりしますし。
「ごちゃごちゃうるさいんじゃい! アリスはアリス! よく分かんない設定盛っても破綻するだけでしょうが!」
おっとモモイ再起動……???
「あら、元気そうで何より。爆心地に居て生きていられたのは不思議の限り」
「スーパーモモイはめげない、しょげない!」
「そして書類を書き換える?」
「ヴっ」
「まああれは許してるわ、アリスの性能を図るテストだったけど、代わりに変数たる先生が見れたし」
リオ会長、猶予はするけどお忘れにはならないタイプなんですね……。
こわー……。
対象当該機の機能停止、会長はルビコンを超えようと考えている。
「どうしようユウカ」
「どうしよう。じゃないですよ!止めなきゃだめでしょ!」
思わぬ爆弾炸裂に先生が珍しくやっべえと焦ってます。
まずいですよ、この大人が焦るって絶対にやばい!非常にまずい!
緊急事態に、あほほどあてになるのにそれは非常にまずい!
「今何時だ?」
「午前6時です」
「短期決戦でやるぞ、連邦が介入する前にカタをつける。」
先生が目を変えた。
そうだったこの大人、土壇場になればなるほどにキレが良くなる。
滅茶苦茶に打たれ強い天才。まだ手はあるんですね!
「リオがアリスを連れていきそうな場所を捜索する。あれだけのやんちゃ娘を管理しようとするとえらい規模のが要るはずだが公然記録とずれがあるはずだ」
「はい!」
「ノアにコユキも呼び出せと連絡しろ、資材は無から湧かねえ、移動も隠す事は出来ん。」
流石に専門家集団を振り回すと天才的なだけはあるのか、それともリオ会長の準備時間が整わなかったか、地点の特定を速やかに終えてます。
鉄道線路の痕跡や光学、熱源、音波、地形図参照で確認してるあたりタスク割り振ると鬼みたいな強さですね。
不明都市、エリドゥへ入りましたが流石にリオ会長たちは寝ていた訳ではないようです。
光学迷彩を解除して、上からすとんとメイドさんが降りてきました。
「どうも先輩方。コールサイン04、飛鳥馬トキです」
まずは小手調べと言わんばかりに双方の交戦が開始。
流石にリオ会長の要塞と言うべきか、あの手この手で攻めてきています。
武装交換システム、シールドの展開、MGタレット展開、無人機の展開による包囲形成。
でも論理的で筋が通る指揮は先生に最も読みやすいわけで……。
「てぇ!」
迫撃砲の弾幕射撃がドローンを破砕、MGタレットからの攻撃をユウカさんの個人携行シールドを展張し防御、その隙にセンサーをヒヨリさんが撃ち抜く。
続けてトキ側面からアツコ猛射、回避軌道を読んで配置されたカリンからのライフル弾を被弾!
更に直上ネル部長壁を走って降下する。急降下!
『やはり脅威ね。トキ。いまより装備の無制限使用を許可します』
トキさんが恐らく強化装甲服、いや、人型機動兵器に近いものに搭乗!
先生は即座にスクワッド交戦継続、時間稼ぎで残置決断!
リオ会長の指示もありトキはやや先生たちからずらす様に戦闘地域をずらしだしました。
妥当な判断です、戦力を分断して切り離すのは必定です。
『スーパー・アヴァンギャルドくんを投入します』
リオ会長は本当に用意周到というか、予備戦力をしっかり握ってますね。
多分先生の観測データで、本来存在しなかったリオ会長の戦闘経験値が参考資料により爆増されてます……。
『自律思考戦車AMAS3、戦闘を許可』
「鍋に帰ればっきゃろう!」
重量級多脚戦車⁈リオ会長、そんなものまで作ったんですか!?
いや確かにある程度の質と火力と要地防衛兵器としては最適解でしょうけど……。
戦闘は一時小康状態へ移り、小手調べを終えて双方さあどう出るという雰囲気です。
『弾を演算で回避してますが、どう勝つんです?』
「演算ではなく人の意思ならかなり困るが、機械なら手はある。ヒヨリ!」
先生がテキパキと移動を下命し、火力計画をくみ上げていきます。
しかしこの計画には相手に踏み込ませるようなエサが要る様な気がしますが。
「で、エサになるのはこの俺よ」
先生はふふんとそう言いました。
先生がリオ会長の部隊で一番脅威と認識したトキさん、最大の理由は人間だからです。
予測しえない行動をとる機械は存在しない、天才の製品の場合は特に。
ある意味、先生の作戦はリオ会長のシステムを信用しないとできない手でした。
危機感知センサーや飛翔体警報、そしてトキさんがミサキさんのミサイルを避けれるという信頼。
「だんちゃーく、いま!」
モモイたちによる砲迫、ユズ部長の擲弾攻撃。
普通なら、1秒前ならそもそも当たらないからノイズとして除外されるもの。
効力射撃、空中曵火射撃、同時弾着、フレシェット弾のめくら撃ち! 単純で古典的な暴力!
「止まったぞ。やれ」
ノアさんが放ったレールガンは、完璧にアビ・エシェフMk2右脚部粉砕!
完全な命中弾です、計算通り、完璧―!ユウカさんの計算式とウタハ部長の予測は完璧でした。
そりゃあ制作者の支援があるんですもんね、そして計算式と確率をノアさんは完璧に記憶してます。
一切電子機器を使わないで、ただの阿吽の呼吸。
小手先の武装や戦術ではなく、専門家を配置して複合させ、個体を群体へ変えて一つの生き物のように動かす。
完全に相手を嵌め殺しました、相手を信頼して嵌め殺しましたよコイツ……。
「薄皮一枚の読み合いは実地で慣れるしかないからなぁ……電力サージすげぇ。ここ以外なら使えんぞ」
シラトリでこの規模の電力サージはテロとかになりますよ。
そのまま正面入り口を超えてそれぞれに指示を出し直し中央指令室に向かいます。
リオ会長が魔王か何かを見るような目で見てきます。
ですが寧ろ最後の問いかけが始まりました。
「それは理想よ、銃弾が銃弾以外になれるわけが無いのと同じ、生まれついたものは変わらない」
「だが場合によっては散弾として大砲から飛び出す事が出来る」
そうしてリオ会長は抵抗をやめました。
普通ならここで万事解決、のはずがKEYが再起動して更にデカグラマトン総進撃です。
KEYが指揮管制システムに接続するわケテルが榴弾砲投射してくるわ、ケセドのオートマタが大量に波状突撃してくるわでもう滅茶苦茶です。
『一部じゃ既に白兵戦になるまで押し込まれてる!』
サオリ分隊長が入り口で遅滞戦闘してますが、流石にオートマタの人海戦術に呑み込まれかけてます。
銃剣による白兵戦まで行って時間稼ぎしてますが、数的劣勢があまりに大きすぎてます。
即座に階段まで後退して階段を爆破、阻止線を再編しても連中倒れた味方で乗り越えて来てますよ!
「この都市そのものを供物にしてあの遺物は箱舟を形成する! そうなっては世界が終わるわ!」
「なら手はまだある! コユキ! やれ!」
「ハッチャ!」
コユキさんの渾身のハッキングで、なんとか時間を稼げました。
待機していた部隊が移動を開始し、我々が助かるか、デカグラマトンが横から全て掻っ攫うか、KEYが勝つか。
三すくみです、3方1両損でとなる訳もなさそうですね。
「ヒマリ部長。リオ会長。アリスを覚醒させれば、KEYは機能しなくなる……指揮権はなくなるんですよね」
ユズ部長???
え、本気で言ってるんですか?
「はい! わたしは、ゲーム開発部部長で、アリスの友達だから! そして、ゲーム開発部戦隊の、指揮官です!」
……一番意外な人が意外な覚醒した。
ユズ部長は勇気を振り絞り、いま、誰かから逃げる為ではなく、友人を救うために一歩踏み出しました。
『保安4班到着!』
『スズ戦闘団到着。効力射撃諸元を送信』
『UAVデータリンク』
増援部隊が展開し始めた、ケテルに対しての対砲兵射撃戦が始まる。
先生はいま空間へ接続中だ、様子は殆ど分からない。
データリンクであらゆるデータが入り込んでくる、セミナー保安部隊のレーザー砲がゴリアテを集中射撃で撃ち抜く姿や、曵火射撃でケセドの部隊を吹き飛ばすのを手伝うしかない。
先生がいま居ない、ならやる事はわずかばかりだけど支援だ。
スーパーAI舐めんじゃないぞ!よたよたのポテト電池AIに舐められてたまるか!アロナは健康優良不良AIですよ!
『ユウカちゃんが呑み込まれた!』
『ノア!そのレールガンをオーバーロードさせて!爆発させて飛び込んで救出!』
『はい!』
なんとか遅滞戦闘は出来てますが、少しの異変で失敗しかねません。
でも問題は有りません、アロナには先生との経験があります。
単純な数の平押しで勝てると思わないでくださいよ!
迫撃砲弾の手りゅう弾転用、コトリさんによる火力支援による装填時間確保、HEに変えてヒヨリさんで阻止射撃!
続いて戦闘団へ管理棟前面へのエアバースト要請!諸元よし!
手本・見本をあれだけ見ていればアロナにもそれくらいは出来ますよ!
『弾着、今!』
『自走重迫隊射撃継続!手を緩めるな』
よしよし、先生の訓練が行き届いてます……。
空中部隊のCAS計画も送信、ヘビーホッグのロケット砲と擲弾で掃滅してやりますよ!
……うっわあ、ガンランで掃射して走り去るだけで撃破が3桁手前ですか。
対空火力が無い密集攻撃って自殺の同意語なんですね、先生と居ると良く分かりますよ。
『155㎜砲3番7番、増せ200!残りは効力射撃に入れ』
『ケテルに命中弾多数!』
次の計画を考えていると、アリスを中心とするクレフシン発光がデカグラマトンを押し返してしまいました。
AL-1Sは、恐らくこれで正式起動したのでしょう。
正真正銘、アリスとして。
名もなき神の遺産だけはあります、起動時の莫大な電磁波でデカグラマトンのオートマタだけをこんがりローストにしちゃいましたよ……。
なんとか、勝ったようです。
「こうした状況を、どう呼ぶべきなのかしらね」
「めでたし、めでたし。で良いのではないでしょうか」
リオ会長の疲れ切った様な呟きに、静かにヒマリ部長が返しました。
「ふぃー、終わった終わった……。あ、アロナ、お前俺の射撃計画使いまわしたな」
『ぎくっ』
「使うんならあの状況の場合教練3番の方が適切だぞ」
うう、頑張ったご褒美がAAR総括は酷いです。
アロナが何をしたというんですか、そう思いますよねリンちゃんも!
ありきたりとは言いますが、めでたし、めでたしのハッピーエンドが一番です。
その時の私は知り様がありませんでした、マダムの放った嚆矢が、最期の聖戦を望む男を呼び寄せるとは。
「貴女は……」
『対象を確認。シッテムのデータリンク。権限対象者確認。コンファーム。』
「誰です?」
『……貴女の敵。』
感想評価お待ちしてます。
毎度誤字脱字などの報告本当に助かっております、この場を借りて心の底からお礼申し上げます。
また、来週もアロナの愚痴に付き合ってもらいましょう!(予定は未定)