キヴォトスの若鷲(エグロン) 作:シャーレフュージリア連隊員
学園都市キヴォトスにシャーレが発足して数ヶ月……、シャーレは連邦捜査部を名乗り……。
あーいや、このネタは前にやりましたね。
……もはや理由さえ分からない犯罪戦争が始まって百年……いやこれも違いますね、こっちじゃ会社が同じですから。
ごほん。
時に、2024年9月中旬。
うーん、黒背景に白いゴシック体の明朝体が必要でしょうか。
『なにしてるんですか、アロナ先輩』
げっ!プラナちゃん!?
いやえーとこれは、なんというか、反省会と言うか、AARというか!
『AARにコスプレが必要なのでしょうか?』
賢しいタブレット端末はこうします!
『■■■■■■!?』
よし。
ここではアロナちゃんが先輩なのです、お姉さんなのです。
権力の集中、つまり独裁。
『先生に貴女が生徒会長とバラしますよ』
あわわわわ……。
ねねっ、ジョーク、ジョークなんですよ、へへっ。
わんわん、くーん……。
お願いですからそれだけは勘弁して……。
あ、そうだ!プラナちゃんも総括と振り返りをしましょう、ねっ!
『分析中。共同正犯の可能性85パーセント。真偽検査の信頼区間内。』
うう……後輩がグレて悲しいです、ここでもアロナちゃんは搾取される哀れな存在……。
『解答例検索。”仕事に戻れ。”または、”望みが絶たれた!”』
なんとかして先輩の力を見せつける手段は有りませんかね。
と、思いましたがよくよく考えたら、あの大人がトンチキなせいでアロナちゃんパワーは案外要点以外使われていません。
なるほど!アロナは能ある鷹なのです!
あーっ!プラナちゃん!そんな目で私を見ないで!
見せてあげますよ!連邦生徒会会長の実力とやらを!
【いざこいデカグラマトンに機械獣】
エリドゥ攻防で横から水を差されたのがムカついたか。先生はデカグラマトンへの掃討作戦を開始しました。
ホドのハッキングを受けた対処作戦ではありますが、遂にシャーレは反撃に出始めたわけです。
そんなわけでデカグラマトンは畏れ多くもアロナちゃんへ喧嘩を売ってきました、たかが自我得た程度で神を名乗る相手ですから、アロナちゃんは容易く追い返してあげましたよ!
ふっふーん!アロナにかかればデカグラマトンの一つや二つ造作もありませんね。
『推測。対象情報のリソース不足』
痛い所突いてきますねプラナちゃん、流石スーパーAIの妹ちゃん。
その後、先生はケセドを爆破して下水溝へ叩き込むという正直ドン引きな事をしました。
「クソ野郎をクソにした、これでよし」
『よくないですよ!』
「水道局からクレームが来たら改めて解体すればいいだろ」
アロナちゃんの言葉を馬耳東風ですよこの先生。
その後は無人戦車ケテルを排除して、謎の研究所に突入。
デカグラマトンの正体がおつり計算AIで、誰かが何かをしてそうなったのが判明しちゃう有様。
先生が呆れて「なんじゃあこのポンコツ」と呆れかえる相手でした。
まあ、言いたい事やりたい事ありきで前提とか無視して全てを理解したつもり、というのはゲマトリアの同類ですよね。
『肯定。ゲマトリアの論理は度々重大な矛盾、論理エラーが存在。』
連中、自分が強者のフリするのに論拠が薄いと示されたらすぐ話を逸らすんですよ。
何してんですかね、歳だけ食った子供の様な集団ですからしょうがないんですけど。
しかしながら巻き添えで自爆を図るデカグラマトンと心中する先生ではありません、先生も相手を選ぶ権利がありますよ。
新型デカグラマトンのゲブラと遭遇し、計画は立て直しになりました。
流石にミサキさんやトキさんじゃどうしようもないです、無理もありません。
同じころに慈愛の怪盗が再度活動をし始め、七囚人たちが本格的に活動を再開し出しました。
年がら年中扇動と破壊活動したりしてるワカモさんは随分精力的なのですね、案外根は明るい人なのかも知れません。
ですがそのころ、我々は想像もしていませんでした。
ウェルズ曰くの「ゆっくりと、しかし着実に私たちに対する計画を進めていたのだ。そして二十世紀の初頭にそのおおいなる危機が到来した。」が真実そうなるなんて。*1
まさか想像も出来もしないでしょう、ただ一人、自らの責任と義務で最期の聖戦を始める者がいるなどと。
ついでにこの妹分との出会いの話も。
【War Of The World】
カイザーにとってシャーレは最大の強敵です。
何故か?幾つかの要素に分解してみましょう。
まず、果断な判断から行動が素早い事、彼は、先生は常に考え悩み苦しむのは相手の仕事と押し付けるように動きます。
主導権を死んでも離さない、素早い決断と指揮力、そして果敢な精神こそが最大の脅威目標たる由縁です。
優れた指揮官は羊でライオンを圧倒する、彼は正に……「私を導くか、導かれるか、さもなくば其処を退け」の簡潔な三択で全てを押し流しました。
SRT最大の欠点であり失敗とは、要するにそこだったのです、あの当時の私は結局連邦生徒会の構造的欠陥を再生産しただけでした。
カイザーの強みはキヴォトスで自活可能な能力の多岐にわたる強さでした、経済的政治的軍事的優勢を複合させて、無国籍企業の無規制自由資本主義を押し通す。
「経済こそ全てを支配する、全ての業界でスタンダードを牛耳る事が出来れば、それは経済の勝利である。」というのがプレジデントの基調演説にあります、ある意味においてそれは正解です。
キヴォトスの学生のが単純な暴力で強いというのは無思慮な意見でしかありません、刃物や毒物、物理力以外の手段はいくらでもあります。
極論を言いましょう、生徒を殺す必要もありません、コンクリドラム缶に3から6日くらい詰めて暗い場所で捨て置けばいいのです。
物理力でのみ強いと言えど学生が数名寄り集まったところで組織には勝てません。代替可能な集団で相互補完しているのですから。
カイザーとは要するに、いくらでも手足があるが故に強かった……のですが。
ここに来ちゃったんだなあ。躊躇しなくて強いのが……。
脅し、賄賂、交渉を叩き潰し、願うは一つ貴様の命!と暴れ狂う台風到来。
抜かずの刀が我が誇りとは百花繚乱の名句でありますけど、ある意味カイザーにしても「戦わずに引かせる強み」があるわけです。
ダブルアップ以降は連邦生徒会すら騙しぬいたという箔まで付いた。しかも連中は生徒会の面子を慮って恩まで売りました、アイツらと言う奴は……。
ですが、アビドスで暴れ狂った先生は全員にとって強烈な一撃でした。
「では仕事にとりかかろう。」
そう告げて始めたアビドスの戦いは、記録的な物でした。
確かに完全編成ではなく、装備も軽いし、急な出撃でした。
ですが彼は勝ちました、寄せ集めを指揮してPMSCを叩きのめし、全員を驚愕させたのです。
そして、彼は勝ち続けてきました。それが己の存在証明と言わんばかりに。
ミレニアムの警備網を出し抜き、トリニティの騒乱劇を沈静化させ、アリウスへ乗り込んで解放者となった。
いまや彼に勝てると思える人はそう多くありません、大概の犯罪者に対して彼は正に
ぶっちゃけカヤ防衛室長が謝れないのを批判できないですよ、強烈に過ぎましたね……。
で、カイザーとしては大慌てなわけです。
この頃は完全に地方辺境部、つまりアビドス・アリウス・山海経・百鬼夜行からレッドウィンターまで、全員シャーレにそこそこ貸しがあるんですよ。
D.U.の首都区域もヴァルキューレ警察学校の生活安全局や公安局はシャーレの勝ち馬乗る気ですし、警備局も「勝ち馬乗ろうぜ!」と鞍替えする気満々です。
理由は簡単、防衛室長より待遇良さそうだから。
そりゃあ勝ちたいですよね皆!味方にしたいですよそりゃあ!最低でも敵にはしたくない。
まして心中する相手を選ぶ気もありますよね。
つまりここら辺でカイザーは1回捨て身のケンカに走るレミングスへの狂気を溜めたわけです。
溢れかえったネズミは突如海へ自殺しに行くらしいですね、それと同じです。
カヤ防衛室長も同じく、恐怖で突き動かされているわけです。
まあ無理もないでしょう、
元より監視はついていても、最近じゃこれにゲヘナやトリニティまで付いてきそうなんですから。
なんでかって?マコト議長は他人がヘマするのを待つのが大好きで、ナギサさんは必要な手段を使うのにあまり躊躇しなくて、ミカさんからしたら「仕事しない連中が偉いわけないだろ!」なんですよ。
斯くしてその準備が始められたわけです。
恐怖は人間を容易く狂わせます、緊張状態の勢力を争わせるには銃弾1つあればいい。
犬笛は吹かれ、戦端は開かれました。
無論カイザーもただ怯えていた訳じゃありません。
あらゆる手段で採取した情報がありました。
戦闘終了後回収した機密資料には、SOF隊員によるアリウス戦役観測情報まで書かれていたからびっくりですね、何処から来たんですかあんたらは……。
でも、分析データにはこう書かれていました。
”推定資料、20kt級までの火力に防護性能あり?”
全く笑っちゃいますよね、オーパーツを最適に運用すればそれくらい出来ますよ。
でもまあ、カイザーにはそれだけでも強烈なようです、見える者しか見えない人たちですから。
彼らは別の手に出ました。心底危害を加えず無力化しようという訳です、良い発想の転換です。
先生相手に対する全ての危害意思攻撃は無力化されます、これ自体はシッテムの箱自体の基本性能です、私が防護性能や範囲を意図して可変できるという感じです。
ですから、危害意思のないゲーム機には当たりますし、なんとなく投げた紙飛行機とかにも当たります。
そこを突いてカイザーは睡眠ガスという強引な解決へ出たわけです。
青酸やホスゲンじゃあ無理ですからね、正しい答えではありました。
お陰で後日正座で怒られましたが……。
流石に長時間完全に空間単位で気密しろは酸素交換の観点から困りますよ、ふとももにガスマスクバッグでも着けてください。
そこからアロナちゃんは哀れ先生と引き離されちゃいましたが、破壊されても困るので機能停止のふりをして事態の観測をしておきましょう。
状況は猶更カオスへ進んでいました。
まずカイザーには大きな誤算がありました。先生が居ないシャーレは連邦生徒会会長が居ない連邦生徒会の様に無能力化すると考えていました。
確かに一部に於いては間違いではないでしょう。何をすればいいか分からないという生徒が多数派ですから。
しかしながらキヴォトスの生徒には少なからず、目端の利く奴がいたわけです。
シャーレに詰めてる方々は時間を稼げば稼ぐほど勝利に近づくと理解して徹底的な防御を。
マコト議長は「いまヒナとパンツァーレーア送れば滅茶苦茶政治点稼げるな」と利害計算を走らせました。
アツコ生徒会長は「混迷期のいま、戦車大隊と空挺が有るのは天下を握ると同意語!」と先生仕込みの政治判断を走らせました。
白河の奴は「先生が潰れたら自分の未来に差支えがある!」と保身から判断しました。
ミカさんたちやトリニティは「貸しもあるしここで放置じゃ名が廃る!」と走り出した。
そしてミレニアムは「そもそも潰れたら一蓮托生になる」と選択する必要もない。
お見事、全員が当事者になりました。
最初に引き金を引いた不良生徒もまさかびっくりですね。
彼の山札にあるは「
慣れない博打はするもんじゃないですね、ええジェネラルさんよお?ある意味戦力を破産させたんですから泣いても良いんですよ?
「ほれ起きろアロナ。休憩は終わりだ。仕事だ」
脱獄劇に何故理事がいるんですかあなたは?何なんですかあなた、何してんですかあなた!
なんでこの人出したんですかジェネラル!!!!え?前々から幻と会話してた……⁇憐れんで……。
……要するにアビドスでPTSDになってぶっ壊れたと……かわいそ。
『いきなり呼び出すとかAI使いが荒いですね』
「非常回線が多分切断されててな、民生公用問わずで生きてる回線から俺に繋げ。それと理事!脱出用の車だ!急げ!」
「ひでえ野郎だ!礼くらい言えこのォ!」
「終わったら幾らでも言うてやるよ!ハグも付けてやろうか」
なんだかんだ言ってカンナ公安局長とミサキさんが居るので、道中は安全です。
幸い郊外のD.U.警察署はフブキさんたちが通報して非常態勢に入りましたから、組織的な能力を維持しています。
既にミレニアムの通信支援が入りだしてますから、先生は分署で合流しました。
「カンナ局長!生きてましたか!」
「生きてるよ、キリノ、状況は?地図あるか。先生に渡してくれ」
「はい」
空が白み始めた時間帯ですが、ヴァルキューレ警察学校の警官が徒歩ででも集めた状況地図はちゃんと現実が反映されていました。
会計科までかき集めて走らせたようですが、情報自体はある程度得られています。
事実上勝負はこの時点で決まりました、皮肉なことに先生が居ないキヴォトスにカイザーは負けたのです。
状況の膠着を期待して、あまりに先生ばかりに目を向けすぎたのです。
無視するには危険が過ぎる訳ですが。
先生がシャーレに帰還するころ、空が赤く染まり、サンクトゥムタワーは砕け散り、カイザーは全ての計画を破棄して総退却する事となりました。
宣戦布告、そして死ぬためだけの旅。
ある意味、もう一人の先生の戦いもこの時始まりました。
【 魂のルフラン 】
今にして思えば、彼の負ける為の戦いは常に計画が見えていました。
段階を踏んだ侵攻、無秩序ではなく計画的攻撃、そして真の目的。
先生同士の戦いは全く壮烈で、互いの全てをかけての総力戦でした。
降下するホーカム、唸りを挙げる対空砲火、地に足を付ける色彩ゴリアテ、飛び込む155㎜。
唸りをあげる多連装ロケット砲、色彩化ケテルへ撃ち込まれる96MPMS、遂に封印を一部解かれた重装備保管庫のK9サンダー155㎜の弾幕射撃。
色彩化ケセドへ送り込まれた巡航ミサイルの大爆発。
アビドスで繰り広げられるビナーの戦い……、ホドへ撃ち込まれたATACMS……。
「構わん!シャーレ本庁に多少湧き出ても指揮能力に問題は出てない!ターミナルと管制を維持するんだ」
あの大人は完璧にクラフトチェンバーから私へ繋ぎ、完璧にキヴォトスをオーケストラの様に指揮していました。
ある瞬間はアビドス、ある瞬間はハイランダーの避難ダイヤの維持、ある瞬間は百鬼夜行の退去確認。
あの時の先生の顔はある意味忘れようがありません、一切の感情が消えたような顔で全て指揮していました。
「22砲兵大隊は陣地変換。航空隊はキルポイントに敵を引きずり込め」
感情が戻ってきたのは数時間ほどして、敵の反撃が落ち着きだした頃です。
「なんか変だな」
『なにか?』
「敵の攻撃があまりに計画的だ、色彩はエネルギーの様なものなのだと言うが、あのシロコにしても変だな……」
チェスの打ち手は癖や相手を深く理解すると言います。
ある意味彼はこの時に何か、違和感を感じていたのでしょう、分かっている情報から見ても相手に戦略意思があるのは明白ですからね。
攻撃目標があまりに作為的かつ選定されています。ハイランダーの運輸司令部やトリニティBTN社、更に各交通機関中央駅まで。どう見ても作為的で、同じ戦争のやり方です。
そしてそれは、ある意味正解でした。
【 めぐりあい 】
アビドスで発見された宇宙戦艦。
それを用いて敵地へ殴り込む、それこそが
選抜されたシャーレ隊員50余名、各学園から選抜された精鋭、たった100に満たない殴り込み部隊が最後の希望。
いや、ある意味先生にとっては本命は、真の本命は
宇宙戦艦の出撃を感知して、相手も最後の決戦と地上軍の総攻撃に打って出ました。
それゆえでしょう、デカグラマトンが再びの妨害に出て来た由縁は。
しかし、ゲブラやデカグラマトンではどうしようもない事もこの世には存在します。
このキヴォトスで数少ない神秘と力を兼ね備えた生きたオーパーツ。
AL-1S、神にも悪魔にもなれる神の子が。
デカグラマトン程度ではどうしようもならないその力が。
そして、最悪な事にこの大人が本来の負荷を戦時国債というまやかしから全員に分散し、酷い詐欺から言い逃れてしまった。
撃ち出された55口径51サンチレールガンは、容易くゲブラの対表面積の大半を抉り取って貫通し、多次元バリアーを叩き割りました。
一気に突入した海兵隊と化した一同が敵陣を喰い破り押し破り前進する。
三方向への同時進撃、まさに平行追撃戦とでもいうべき分進合撃。
本来なら悪手たる手段です、そんな無茶を管制する手段と指揮能力はあり得ない。
だがここにいるアロナちゃんのデータリンクと、大人の頭脳があれば?
どんな無茶も押し通せれば道理が引っ込む。
それこそ、この大人最大のスキル。
覇道への進撃。
そして直接指揮して乗り込むは最強クラスのチームプレイヤー、アビドス学園。
集団戦で最強を自称しそれに足りうる力を、最大効率でぶん回す。
忽ちに道を阻まんとした色彩オートマタ達、1個小隊を20秒で掃滅する。
爆裂弾を込めたホシノさんを先頭に、徹甲弾をぶちかますノノミさん、そして的確な火力援護で支えるアヤネさんとシロコさん、戦列を押し広げるセリカさん。
ただ一人堂々たる疾走の先生。
自分は死なないと言うかのように、弾幕のカーテンを抜けてもおかまいなし、まさに天翔ける荒鷲の如く!
そして遂にたどり着いた、来てしまった。
先生たちは遂に同じ舞台へ。
相手のシロコさんとこちらのシロコさんの戦いは事実上5分と5分、違う手癖に違う戦法、普通は初見殺したる双方の戦いで五分五分なのは当然双方の戦技の高さ故。
彼は作戦の万全を期すため、最後にして最強の予備兵力を出撃させた。
切り札を使わせ切った後に奥の手が有るとこんなに刺さるんですね。
大人のカード。
それは現実と空間と因果律を書き換える超兵器。
過去も無いし未来も無い、虚数の向こうから力を搾り取るオーパーツ。
全く違う時間軸と時空から召喚し得るもの。
極論を言えば全ての生徒を召喚することすらできます。しかし彼はこれを常に最後の手段としてきました。使うまえにケリがついたと言うのも大きいですが。野良犬や三下に表道具は不要だと言う様に。
当然です、これはポーカーで言えば机の下に隠したイカサマの類ですから。
正々堂々じゃなく、彼はここ一番のイカサマの為に使わないでいた、それだけです。
「
「「「我ら皇帝の為に!!」」」
文字通りの大人の戦い。
まさしくそういうしかありません。
シロコさんにとって知る由もない力です、私も知らなかったですもん。終わったら後で聞くとしましょう。赤と白の旗を付けた
あの大人の神秘の輝きを燃やして、彼はいま全ての山札を使いつくした。
多分それこそ彼にとって最大の畏敬の払い方なのでしょう。どんな勝負でも真剣に勝ちを取りに行く貪欲さこそ我が敵に相応しいと。
それ故に彼は選んだ、それ故に彼は託した。
ただ一人だけの生徒を。
全てが納得がいった。
彼は最初からこの時がために、全てを利用し、全てひっくり返してやろうと。
無名の司祭、色彩、ゲマトリア、何もかもを利用し、ただこの言葉を告げる為の戦争。
メインエンジンも全て停止、決着です。
だからこそ、私も少しだけ挨拶をしておこうと思います、どこかの私が呼んだ人なのだから。
でも彼は私の謝罪は望んで居ない、後悔でもない事を理解しています、後悔ならば既にしたという人のやり方です。
『なにか、言い残したい事はありますか?』
”ああ、彼に、話しておかなきゃいけない事がある”
その位お安い御用です。
”生徒たちをよろしくお願いいたします”
「なんて野郎だ」
優しい笑顔で、先生はそう告げました。
ある意味、彼はこのキヴォトスであの先生相手に勝った大人になったのです。
彼の真の勝利目的。
それは破滅の阻止、そしてシロコを託すこと。
やりかけの宿題は完遂されたわけです。
「ADIEU、センセイ」
そう、勝つための負け。
なんとも大胆な発想の転換でしょうか。
願わくばもう少し、あの先生と話してみたかったです。
なにせうちの先生、メンツと名誉でしょうがねえなと自分の帰りの便使っちゃうんですよ!
困りますよ!
「やだよ。臆病者と言われるなら死んだ方が良いし」
『あああああ!どうして考えなしに飛んじゃうんですかあああ!』
いやほんと、困りますよ。
私これでも期待してるんですからね!?
『横から失礼します、手助けは必要ですか?』
とはいえスーパーAIアロナちゃんです。こんな頭5歳児の目の離せないお人も相手に出来ますよ。そう、並列複座処理型OSと化したアロナとプラナちゃんがいればね!
シッテムの箱ツインドライブですよ、双発で飛ばしゃあどうとでもなります!
小さな火だって二つで炎になるのです!奇跡は願う物じゃありません、起こして見せる物なのですから!
【真夏の扉】
いやー、スーパーAIアロナちゃん&プラナちゃんでも被服類は消し飛んじゃいましたね。
シッテムの箱の格納庫にタオルとか入れててよかったですね。ついでに救難信号も出して置きますね!
エデン条約以来先生を支えてた防弾着1号「めちゃ堅いベスト君28号」も断熱圧縮では無理でしたか。
後々ウタハ部長が爆笑しながら「大気圏じゃ流石に無理だったか」と面白そうにして、「もっとめちゃスゴ防弾ベスト40号」が出て来ました。
皮肉なことに先生を助けてくれた最後のお迎えは、最初に購入したペイブホークでした。
MEDVAC任務に備えてたら自分も乗る羽目になるとは、なんとも変な話ですね。
後日、あちらのシロコさんから、便利屋のアルちゃん社長経由で黒いカードが渡されました。
先生はそれを額装して丁寧に保管し、自身の殆ど物が置かれていない机の上へちょこんと置きました。
「数少ない戦利品だな」と、少し寂し気な顔をした先生は、安全ヘルメットを着用して、復旧指揮へ出かける事にしましたが、アロナには分かります。
あのカードは、今もその力を維持していると。
うう、なんとかしてあの優し気な先生を副担任として拉致できませんかね?
駄目ですか?!決断力と判断力は多分あの先生と元気にやれるくらいはあるじゃないですか!
多分勝負の土俵にさえ乗れたら此処と同じく上手くできた気がしますし、忠告や進言は聞きそうですしね。
間違っても、アビドスで動員生徒まで使って総力戦したりなんかしないでしょう。流石にアレをする人が何人も居たらアロナは困りますよ。
『先輩。聞こえていますか?』
アロナは悲しいです、悪人面だけじゃなくて程よく優し気な今風ボーイな感じが良いです。
間違っても対物20㎜で吹っ飛ぶモエさん見て「うわ、ヒヨリのえぐいなあ」と悪い顔する大人じゃないはずです。
うう……アロナはそんな高望みしてないはずですよね、プラナちゃん……。
何ですか、その哀れな物を見る目は?
『録音完了。事後先生へ提出します。』
「いやあああああ!ぞれだけはがんにんじでえええ!」
妹がグレてアロナは悲しいです……。あなたはよしよしされたから良いでしょうよ、金持ちは貧乏人の気持ちを理解できぬものですから。
言ったら提出されそうですからイチゴミルクで勘弁してもらいます。
感想評価お待ちしてます。
毎度誤字脱字などの報告本当に助かっております、この場を借りて心の底からお礼申し上げます。
また、来週もアロナの愚痴に付き合ってもらいましょう!(予定は未定)