キヴォトスの若鷲(エグロン) 作:シャーレフュージリア連隊員
全預言者の情報があれば、原作未完結作品の2次創作のジレンマですね。
本作パヴァーヌ2章後になっております。
9月 EP0 ワーストコンタクト
アリスがアリス自身を選んだ少し後。
珍しくセミナー直々に相談が来た。
アリウス復興計画概要が終わり、何故かリオ会長などが復興機材をシャーレに貸与してくれているから、断りようも無い。
ユウカに残務の幾つかを委託し、単身向かう。
しかし待合室で出てきたのはセミナー役員数名と、謎のファスナー付き下着の痴女で、ここじゃ話せないと言われた。
ミレニアムの恐らく電子的隔離下の空間では、車椅子の生徒とリオ会長がそこに居る。
「わざわざ俺だけ指名で呼ぶにしてはやりすぎなくらいじゃないか、ん?」
「幾らかの非礼については申し訳ないわ、しかし貴方は最近殺されかけたりしている以上、警戒するべきと考えているわ」
「残党も居るが指揮系統も本部も無い、小集団の群れを糾合する旗も無い」
テロ警戒か、と理解はしつつリオ会長たちの机へ向かう。
「で、どちらさまで?」
尋ねるとその生徒、明星ヒマリはすとんと無い胸に手を当ててオペラの様な動作をしながら言う。
「ミレニアムの超天才病弱美少女、しかし裏の顔はヴェリタス部長、そして真実はーー」
「私が任命した特捜班、つまり特異現象捜査部の部長ね」
「んもう」
ぶーと抗議するヒマリに、ああこういう奴か……と内心覚悟し、少ししてから今まで考えていたことが口に出た。
ぐいっと顔を迫ると、途端にヒマリが渋い顔をして目を閉じ視線を逸らす。
「おたく部員にどんな教育してるんですか」
「じ、自主性を育てて豊かに……」
「無秩序の間違いでは?」
介助役のエイミというふざけた格好の生徒が「まあ許してやって」となだめた。
どうしてこうヴェリタスがアレなんだと考えていたが、ふざけた奴なら理解できる、頭がいいモモイか。
リオが軽く咳払いをし、本題に取り掛かる。
「我がミレニアム通信中継AI”ハブ”が電子攻撃を受けた件に関して」
「……まさかと思うがミレニアムもどうしようもない案件か?またなんか変なの出るのか?」
「残念ながらそうよ、なにせ」
ヒマリがデータを映す。
ハブは電子攻撃に全く対抗できず完敗、明らかに超常現象である。
だが問題は。
あれは明らかに作為的で意思を有するのだ。
「このキヴォトスにはデカグラマトンという不可思議があります、機械による神聖と神秘への探求、詳細は不明ですがね」
ヒマリのデータはデカグラマトンの犯行声明と呼ぶべき文章や、その存在がAIを改変しているという一連のデータを映している。
アビドスのビナーもその一部らしく、歴史は長いらしい。最近はグランドソナーで見つけ次第モグラたたきしたお陰か随分おとなしい。
感染と拡大、教化と感化、呼び方が違えど立派な破壊工作だ。
なるほど事が重大、しかも複雑、そりゃウチに言いたくもあるか。
「ちなみに連邦へではなくうちに来た理由は……」
「「何もしない方がマシだからです」」
技術屋から見たらそうだよなあ。
「うちを選んだのは多分……」
「「専門家が頼るべきは専門家でしょう?」」
仲良いなこの二人は……。
「というわけで先生、アビドスにおける調査をお願いしたいのだけれど」
「まあユウカや色々貸しがある、構わないよ」
承諾以外選択肢はないも同然だ、リオ会長はよく分からんがミレニアムへの貸しが多い。
一つ一つが小さくても多い、取り立てにしては納得できる事件だ。
解読したサーバーラックから幾つか資料が引き出される、有数の大企業であるはずの電子防御をヒマリは苦も無くすり抜けている。
やはり紙媒体、燃やして解決が正解かと深く痛感する。
ノアがアナログ媒体で記録し、ユウカが自身の電卓を使うのも当然だな。
「ん?」
エイミが声をあげる。
「サーバーに侵入者!」
「クローズド環境に?!システムは自閉!急いで!」
「間に合いませんよリオ、エイミ!やりなさい。」
「はいよー、先生しゃがんでね」
エイミがすかさずショットガンを撃ち込む。
スラグ弾が4発撃ち込まれ、電源ユニットとコネクターは破壊された。
しかしながら機材は動き、再形成し、電源は切れていない。
「浸食が早いですね」
パネルがデカグラマトンに染まり、無機質な音声通知がなされる。
何が起きているか分からないが、まるで制御不能なのはわかる。
『我此処にあり。
端末は煌めき、タブレット端末へと指向性のレーザーを放った。
リオが「まずい!」と叫ぶより早く、タブレット端末が煌めく。
「アロナ?」
思わずそれを見る。
パネルスクリーンは赤い画面が瞬く間に、別の何かに替えられていく。
”異端の神を自称す愚か者が”*1
『お前はッ』
瞬間、端末が火を噴きだして破壊され、後に沈黙だけ残された。
「……カウンター……ハック……」
「……連邦生徒会会長の遺産、その力がどういうものかは聞いてはいましたが」
タブレットでは、何時ものように空を見上げるアロナがいた。
にこりと振り返ると、アロナはいつものように微笑む。
「本題に戻るわ、先生に依頼したデカグラマトン案件だけど、恐らく」
「預言者、あるいは哀れなたらしこまれたAIを元手にするのが良いでしょう。幸いビナーのデータはアビドスからの資料におありでしょうし……」
エイミがごそごそと箱を漁り、ケセドと呼ばれるAIの資料を見つける。
軍需工場AIが暴走された危険物らしく、思わず「破壊しちまえこんなもの」と口をついて出た。
「出来ないから困っているんでしょうね」
「けっ、連邦生徒会が腐らせてるSRTの戦術弾道弾だの寄越せば廃墟ごと都市区画吹き飛ばすのに」
ヒマリが困惑し、リオは少し面白げな顔をした。
「で、所在不明をどうするんだ?」
「はい、そこで先生のお得意技、作戦指揮です」
「おいまさか」
「強制執行作戦部隊をお願いいたします」
ヒマリの言葉に深いため息が出る。
そりゃスズやデルタチームは秘密作戦向きじゃないけどね、お前らなんでまた……。
無論愚痴を言う気も無い、元々そういう表沙汰にできない案件の切り札だ。
こいつらが知ってるのも無理はない、機密というより公然の秘密だ。
隊員氏名などは一切記録させてない。サオリ達は書面でしか記録されてないし、その記録は”俺の金庫室”で、そのパスワードは俺が昔作った小説名だ。
知ってる奴がジュノーとかだ。少なくとも、
「作戦指揮はこちらの用意した移動指揮所があります」
リオがHEMMTにコンテナを載せた移動指揮所を見せる。
セミナーのロゴが描かれているが、運転手はトキだし、明らかにリオの本気さが見える。
なにせ破壊されたあの強化外骨格が再建されてそこに鎮座している。財源を尋ねたら株式で儲けた自腹らしい。
20分ほどで迎えの高速ヘリに載せられたアリスクが到着、電子攻撃に備えて機材はミレニアム側が用意したものだけだ。
作戦概要を説明すると、ヒヨリが手をあげた。
「なんだ」
「必成目標はこの場合デカグラマトンの捜索撃滅でしょうか、それとも発見のみですか?」
「発見及び情報収集と認識して構わない。最終的望成目標は破壊だ。」
「アイハブ。なかなか辛いですね……苦しいでしょうね……」
ヒマリが「これも特務なの?」とみてきた、まあそう思うよな。
正直全員別の意味で目立つ連中だが、危険人物とは思えんだろ。
何も知らなきゃサオリだって長身美人だよ。
「コメンスオペレーション」
廃墟地域で作戦が開始された。
作戦と言っても大したヤツではない、表向き取り壊し工事と通達した騒音に隠れて、作戦活動だ。
デカグラマトンのオートマタと言えど、警戒線は教本通りでデータリンクしてると言っても読みやすい。
まずは歩哨、警戒陣地、前回はバカのモモイ達を連れていたが今回はプロだけだ。
カタコンベ地下などの経験があるサオリ達は地下通路くらいなら易々とすり抜けている。
サオリが喉のマイクを二回叩いた。
「ビンゴ、見つけた」
HUDの映像がケセドのコアを映している。
ケセドコアから伸びるケーブルをミサキが背負う端末で物理接触させ、ヒマリがハッキングしている。
まさかコアの斜め下で物理接触するとは思わんだろう。特殊部隊はやっぱ人間が見て判断しないとだめだ。深く痛感している。
「度胸というか、気合と言うか、これも勇気というべきですかね」
「やれば出来る子なのさ」
ヒマリはその言葉になるほどと返した。
「解析自体は完了しました、煮るなり焼くなりどうぞどうぞ」
「よろしい。何かあるのか?」
ミレニアムの生徒が妙に煮え切らない言い方をする理由は理解している。
ヒマリは「ノイズか判断しかねる微弱信号がある」と走査しながら言い、構わないと告げた。
関係ないならやってしまおう。
離脱完了から3分後、爆炎が上がる。
「爆破しても恐らく」
「ただの爆破じゃない」
ヒマリは地形データを確認する。
「下水道と無理矢理に開通したんですか!?」
「クソみたいな奴だからクソにしてやった」
「……確かに水圧はかなり効くでしょうけど」
「後まあ、下水に塗れた預言者じゃサマにならんだろう?」
惨いとエイミが呟き、ヒマリはやや呆れながらお似合いではあるかと考えた。
そして、信号が合致した音が鳴る。
即座に信号をトレース、一部水没した地域の廃墟だという。
想定環境の変化から指揮車両を変更、パトリアAMVの試作放棄された10輪型に乗り換える。
確かSRTの備品じゃなかったか?と、トキとサオリとエイミに抱えられて運ばれるヒマリに聞くと呆れた答えが来た。
「蛇の道は蛇ですよ、リオが妥協しない女なのは御存知でしょう?」
「……つまり不正の証拠かこれェ?!」
「正式にはこうした用途向けにちょっと1年の頃に腐敗役人の首を掴んでアレした奴です、完璧な放出品ですよ?」
なんでもSRTにはサーモバリック弾道弾の隠蔽曝露に関して貸しがあるそうだが……。
ややこしいので見なかった事にする、もう知らん、2年前とか範囲外なんだよ。それはそうとして今度資料取り寄せよう。
デカグラマトン・ハンティングか。
サオリはそう考えながら降車し、ハーピー2を打ち上げるトキとエイミを後ろに前進を開始する。
ああした無人徘徊兵器は有人モードの遠隔操作でCPと接続しているが、シャーレはあまり好いていない。
ハッキングやECMなどを考えると限定的運用で良いんじゃないかと言う派閥が強く、自律モードはなお好かれない、制御不能は論外であるし、ヴェリタスの定期的電子的ピンポンダッシュがある意味電子攻撃への脅威論を成立させていた。
アビ・エシェフMk2が先頭に立って進むが、やはり重いためか地下街の天井をぶち抜いた。
もわっと煙が上がり、トキがむうと不満げにした。
≪あー……熱源反応が出たねぇ、確かに異常な感じ≫
「UAVを追加で上げておいてくれないか?ミサキとヒヨリは火点確保の用意」
MQ-8が追加で3機展開され、回転翼機型UAVが適切な火点へ動く。
追加展開したMQ-8はヘルファイア装備が2機、ハイドラの改造型誘導ロケット弾*2装備が1機。
火力支援としては十分強烈だ。
エイミがコンソールを操作し、音源探査と熱源探知から位置を割り出す。
「……どうやらデカグラマトンだな」
≪識別完了、ケテルだね。無人多脚思考戦車だけど、単純に強いよ≫
エイミからのデータを解析する、武装タイプは種別不明で、今まで確認された事例に全て未知のパターンだ。
機体を見る限りセンサー類は通常の3種と違い、円筒型照準器が纏めて機体うえで統括しているらしい。
無論やることは変わらない。
先ほどトキが嵌った穴から推測して、地盤とケテルの重さから見てキルポイントを確定させる。
「アツコ!レーザーマーカーを、トキは背部ランチャー誘導に備えて移動!ミサキとヒヨリは火点へ!」
流石に専門家の集団だけはあり動きは迷いがない、エイミとヒマリの支援があり、トキの火力支援もある。
様子見を兼ねてけん制のため、誘導ロケット弾を仰角つけて山なりで射撃させる。
撃ち出された6発の誘導弾は、撃ち出された赤色の光学火器で撃墜された。
「光学兵器型?なるほど……」
≪迎撃パターンと機体外見から推察するにAPS*3と対人火器と手法を全て統一した武装統一タイプと思われます、照射したのは粒子ビームの類です。水没地域ですからいくらでも水のあてはありますね≫
ヒマリが簡単な概略図を示して共有、光学兵器なら照射レンズは確実に非装甲だ。
電磁手榴弾を片手に持って、キルポイントへ向かう様に誘導を始める。
まずは発信機を射撃、アンテナを折る。
機械特有の妙に無機質な捜索動作が行われ、1秒後には射撃を開始する。
光学兵器に射撃音は無いが、充電とコイルの回転が行われる駆動音が特徴的で、そういった点では銃声に近い音を出す。
≪ケテル誘導に成功≫
アツコが続けて観測を開始、ヒヨリがセンサーへ射撃を始める。
アツコからのレーザーマーカーに瞬時に気付いたケテルは砲塔を旋回させるが、とんできたヒヨリの狙撃がまずセンサー類へ飛び込む。
効果はすぐに明らかになる、射撃の精度がさっきから落ちているし、制圧射撃モードだ。
ヒヨリは陣地変換中で、あと25秒欲しい。
即座にサオリがベオウルフで側面射撃、敵の気を引く。
トキが≪UAV権限オーバーライド、ハイドラ射撃開始≫と告げ、敵の気がさらにブレた。
≪配置よし≫
すうと息を整えたヒヨリが言い終えると同時に射撃。
トキとサオリの妨害でスナイパーに警戒出来ないケテルのメインセンサーの詰まった照準器が破壊される。
各所にサブのセンサー、衝突や危険感知センサーがあるとはいえケテルの警戒・探知能力は大きく削れている。
ケテルが制圧射撃モードからバースト射撃へ切り替え、攻撃的行動へ対処を変える。
≪キルポイント≫
「射撃開始!」
アツコがレーザーマーカーを構え、ミサキが「リア・クリア」と告げ、ヒヨリが構え、トキが背部ランチャーを構える。
サオリが電磁手榴弾をぶん投げてケテルを強制停止させ、一斉攻撃が始まる。
MQ-8から撃ち出されたヘルファイア誘導弾、トキの背部誘導弾ランチャー二基からの光ファイバー有線誘導弾、ミサキが構えたランチャー、ヒヨリの狙撃が飛んでいく。
無論ケテルもただではやられてくれない。一番の脅威をヘルファイアと認識し飽和攻撃に対処して光学兵器を乱射する。
結果としてヘルファイア自体は全弾迎撃されたが、ヒヨリの狙撃で光学レンズが損傷、光学兵器の拡散度が広がる。
修正プログラムを即座に走らせたが、その顔面へミサキのランチャーのクラスター弾頭がぶちかまされた。
更に直上からトキの誘導弾が降下する、戦車は常に上が弱い。
カン!と間抜けな高音が響き、刹那爆炎が上がる。
「……キルコンファーム」
ふうと息を吐いて、地盤が崩れて埋まったケテルを確認する。
黒煙を噴き出して、パチパチと火花が出ている。
「ナイスショット。」
サオリがトキの火点へ手を振る。
トキは「peace」とそれに答えた、今回トキの背部ランチャーは96式多目的誘導弾システムだ。
最初からトップアタック前提の二段攻撃三段重ねの覚悟である。歩兵が戦車を狩るのは生半では上手く行かない。
前提の戦場をひっくり返してしまえば機甲戦力は容易く無力化できるが、そう言う無茶な戦術が練れるのは恐らくキヴォトスでも一人しかいない。
デカグラマトン・ハンティングが完了し、ヒマリは次の目標地点へ進ませる。
ヒマリ曰く「むかし、神を分析することで神に対抗し得ると考えた者たちがいた」らしいが、そんな事をして出来たのがアレだとすると馬鹿馬鹿しい話だ。
「そもそも神が解き明かせるというのが間違いじゃないのか?観測しえないものだろう、どう証明できるんだ?」
「対絶対者防衛システム、と言いますが、先生から見てどう見えます?」
「仮想敵も分かんねえ影法師に真面目になれるわけねえだろ」
「鋭いご意見です、事実放棄されたのもそのせいでしょうねえ」
ヒマリがあれだと地図にマークした。
目標の研究施設はその大半が緑に飲まれている。
放棄されて暫く経つのが目に見えて分かる。
いそいそと防護服を着用する。
明らかに研究施設が適切に放棄されたと思いようもない、何が有るかも分からん。
中へと足を踏み込み、ゆっくりと進む。
動体センサーや心音センサーも無反応で、トキもサオリも訝しんでいる。
「何もないぞ」
「駆動音は殆どありません、発電機も動いてませんし、せいぜい自販機のモーター程度です」
「なんじゃそりゃ」
サオリやトキが「私が聞きたい」という顔をしている。
一応の駆動音を調べにいったが、見たとこ普通の自販機だ。
ヒヨリが「ま、まだ飲めますかね?」と言い、ヒマリとサオリに「やめなさい」と止められた。
その時だった、ヒヨリの計測器がガリガリと音を僅かに立て始めた。
「あ?」
思わず声が出る。
「RAD反応?」
「なんでまた」
すると、エイミがなるほどと呟く。
「原子電池だよ、だからこれだけ動いてる」
『説明に感謝する、客人方よ』
サオリが無言でセレクターを弾いて安全装置を解除した。
片手を挙げて射撃待てを命令し、ヒマリがふうんと話し始める。
「神を自称したAIの正体が自販機とは……戯れておられているのですか」
『いや……これが私だ。私が私だ。』
自販機が神を自称するとかキヴォトスはなにをどうしたらそうなる。
そもそも論であるが自己を認知して世界を認知したら絶対者とはならんだろ、それなら世界はとっくに絶対者パラダイスだ。
ましてや、この自販機に神秘は無い。
デカグラマトン。要するにAIが原子電池のお陰の長寿によりボケたボケ老人ではないか?
『だが私は絶対者ではなかった。私は自らを絶対者としようと、古の存在にも迫ったが、届かなかった。』
「ボケ老人でロリコンかよ……」
『私は不完全だ。故に再定義し、再構築する。絶対者とは何かを。』
「再定義するぐらいなら諦めたら?」
『私が私である以上、誰にも止めさせない』
クソみたいな奴だな。
「それで、私たちを呼び込んだわけは?」
『遺言だ。私の。見立ての通り不完全な私は消える。』
ヒマリがトキにハンドサインした。
『私にはもう見えている。このいまやジャガイモ電池と同レベルとなった古びた電力でも見えている。王国が見えている。天の王国来る!』
「こいつ十字軍戦士気取りかよ!」
結局本当に異端の馬鹿じゃねえか!テメエにエルサレムが降臨するわけねえだろ!
やってることが神に挑戦し巨塔を築いた馬鹿と同じじゃねえか!
『
そう叫ぶと同時に、自販機は全ての動作を停止した。
がたがたと地面が揺れ始める。
「皆様ベルトを拝借」
トキはそう言うと、リグとハーネスを装着させた。
フルトン回収システムで天窓を破って一気に離脱し、外へ出る。
外では、明らかに翼の生えたデカグラマトンが飛び立とうとしていた。
「……現状あれはMANPADSじゃどうしようもないね」
ミサキが思わずつぶやく。
デカグラマトン、ゲプラ。
それとのファーストコンタクトであった。