キヴォトスの若鷲(エグロン)   作:シャーレフュージリア連隊員

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カルネアデスの(タブレット)編2
カルネアデスの(タブレット)6


 

いつの世も、争いは続いている。

全てを見ているのは空の星だけかも知れない……あれ、語りってこれであってましたっけ?*1

 

 

 

カルネアデスの(タブレット)

百鬼夜行騒乱記 第一幕

 

 

防衛室が盛大にやらかしてくれて、それの後始末をしてようやく内憂の一つは解決したと言えます。

無論抜本的解決ではありません、制御不能なのは事実で、連邦生徒会はその指導力を疑われていると言うのもあります。

まあ否定出来ないんですけど、それはそれとして私が介入したら横暴とか言うのにこれは酷くないですか?

重機動メカモフングルのB91でしたっけ、連邦政府がやる気無くしたとか批判されるやつ、あれをリアルで体験するなんて考えたくないです。

うう……アロナも魂が重力に引かれてると言うのですか……。*2

「体制とはいつも悲しい立場……!」

「疑問:フロンティアサイドの連邦軍より対応が手ぬるい」

「流石にあんな強権は無理ですよ! 区画ブチ破って突入とかさせれないですもん」

 

 それやりそうなのどっちかと言うと先生じゃないですか! *3

 

「それで、先輩。今回は事件をどれほど仕込んでるんです」

「いやいや、全部私が仕込んでるわけじゃないですからね? やりたくてやってるわけではありませんよ?」

「疑念:過去の失政」

「ヴっ」

 

 流石にここまで仕込めるのならこんなに失点だらけになってませんよ。

 地方の治安維持組織の後継による問題なんて知りませんよ、寧ろ陰陽部の部長さんの仕込みでは? 

 というかなんで委員長さんは失踪してるんですか? こっちの情報だと失踪する気配は微塵も無いと言うか、絵にかいたような模範的生徒というか……。

 

「止めろ止めろ! 縁起でも無い、俺達はニヤの頼み事をサッっと終わらせて、観光旅行を満喫するんだ!」

 

 先生も正直ちょっと困ってると言うか、状況をいまいち掴めていないようです。

 まあニヤ部長も状況の把握に困って中央の役人へ泣きつくか、と言った計算でしょう、利害損得計算で一番マシな状況になり易いですし。

 ここら辺の地方の計算はかなりシビアというのは昔からです、まず中央がそれを認識するかと言う事から、貸しを作った後を考えるわけですから。

 ですから地方は「自力での解決」をしたがります。

 

 

「この目で身共は見たんですの!」

 

 おやー……? 

 と思ったのもつかの間、やっぱりというか先生は巻き込まれたようです。

 スリのチンピラじゃ勝てないって……あー! いけません! スプラッタになります! サオリさん増えちゃう! タグにR-18Gが増えちゃいます! 

 残虐ファイトを見てお餅みたいな頬をした生徒さんは観光案内すると言い出しました。

 流石に直ぐお家の方に引き戻されて行ってしまいましたが……

 ただニヤ部長の頼みとどうも関係があるようです。

 

「身共が、百花繚乱の委員長になれるよう──”百花繚乱継承戦”の証人となってくださいまし!」

 

 おっと、お話に侵入者登場~っ。

 いやどうするんですか。下剋上じゃないですかコレ、良いんでしょうかコレ。

 ひっどいのが先生も認めるレベルで正当性と筋道は通るんですよね……、合法性を保ってのクーデターというより、名代への立候補と言うか……。

 しかしユカリさんの説明にある通り、百花繚乱は独立した治安部隊でありますが法執行機関としてはかなり緩やかな所でもあります、無論戦技の高さは随一といえますが、反比例するように苛烈さは無いのです。

 元より武家の系譜も強い武道としての戦技と、必要性の生む実戦的なスタイルが合わさったところですから、かなりレベルの高い集団と言えます。

 多分将校や基礎教育のレベルでは上位には入るでしょう。

 

「こ、こほん! ともかく身共は今の百花繚乱を放ってはおけないと強く思ったのです! またあの頃の様な、百花繚乱を取り戻したくて……」

「まぁ、良いじゃないか。やる気はあるようだしな」

「えり~とである身共の手で「継承戦」に勝利し、委員長としての資格を手に入れてみせますの!」

 

 ……困った事にだいぶ筋道は通っています。

 全員が困らないんですよね、これ。

 そりゃそうですよ、行政からすればちゃんと活動してくれないと困る訳で、しかも活動継続を望む生徒も居る訳ですから。

 それはそれとして百花繚乱の面々はなんというか……濃いですね、レンゲさんやキキョウさんは何と言うか、個性が豊かと言うか、埋没しないと言うか。

 

「アヤメ委員長が姿を消した日から……いつかはこうなる運命だったんだよ」

「そう言う時って、今日から自分がトップだ! ってならない? 俺外でも此処に来てからもそう言うノリばっかりだったんだけど」

「いや、そう言う事しちゃ駄目だろ、私でも分かるぞ!」

 

 文明(シヴィライゼーション)を感じてます、なんですこの真面目、どうしてこんな倫理観があるんですか。

 先生ですら「キヴォトスでも稀に見るまともさがある」と困惑してます。

 ただ現状を見るに百花繚乱は解散と言うより「どうしたらいいか分からない」が近いみたいですね。

 

「それにね、解体に際して強硬に反対しても、その先にあるのは”連邦からの介入”よ」

「今回は合法性が高いから介入せんぞ、まだ戦闘も儀式だけだしな」

「あらてっきり私は中央が安定したのを良い事に地方へ介入の手を伸ばしたいのかと。失礼。解散令の後に来られたものだからつい、アビドスやエデン条約みたいにならないと相手にされ無い物かと」

 

 うーん作戦参謀は頭が冴えておられる。

 実際問題先生もこれに関しては否定はできません、ただニヤ部長が介入と支援を要請したと言うのは、制御下に置きたいというよりは再建して欲しいのでしょうね。

 そこをキキョウさんは理解してるらしく、ニヤ部長が表立って介入しない理由は汲んでいる様です。

 すごいです、全員が「恐らく間違いじゃ無い選択肢」を選んでややこしくなってます。

 ただ花鳥風月部の数少ない想定外は、孤立した環境、つまり電波の支援が無くても先生を止められなかった事でしょう。

 

「また走るのお!?」

「それが忍者の仕事だ! 行け!」

「にょえええ……」

 

 ……やっぱりあの子たち同好会というにはちゃんと忍者なんですよね。

 

 

 

【我と思はん人たちは 一步も後へ引くなかれ】

 

 

「目標前方200m、突撃! 前へ!」

 

 先生と来たら燃え盛る炎の中でも変わんないんだから困るんですよね。

 しかし百鬼夜行は混乱を抑えるやり方が上手いと言うか、お祭り運営委員会や修行部の様な在野の優秀な民兵たちが強いですね。

 ある種、百花繚乱と陰陽部が緩やかな両立をしていた理由はこうした双方ではない「ノンポリ」が第三極として成立してるからなのかもしれません。

 ナグサさんが手近な連中を動員して来た先生に困惑してますが、無理もありません。

 

「恐怖と言うが恐怖には欲と勢いが絶対的構成要素だ。弱火でちょろちょろ炙るな!肉焼いてんじゃねえんだぞ!」

 

 ナグサさん、そんな怖いものを見る眼で見ないでください、それ不治の病です、職業病って病名の。

 みんな病気です病気、優しくしなきゃ。

 ただ危機管理体制が有る程度整っていた、というより「整えたが駄目押しの安心材料であるシャーレを呼んだ」であろうニヤ部長は、忍術研を使い先生らと連絡線を維持しながら対応を始めています。

 事前で消火斑の用意を進めたあたりは百花繚乱や連邦生徒会と張り合うだけは有ります。

 ですが相手もまだ手はあるようです。

 

「凄いな! まるで効いてる感触がしないぞ! 流石妖怪だ、本当に死なん! 」

 

 どっかの真っ黒な剣士(ベルセルク)みたいなことをサオリさんが言いながらクロカゲと戦闘してますね。

 クロカゲの猫と言う属性から水風船で嫌がらせされてますが、クロカゲって水が苦手なんですね。*4

 というかその間にも迂闊にも自称怪談師は先生の前に出ちゃってるので、あっさり先生にのせられてます。

 こういうタイプとは相性良く無いんですよね、陰謀って最終的に武力解決には勝てないので……。

 

「手前、展開を削るのは嫌なのですが」

「巻け巻け、無駄に容量増やすな、ゲーム開発部以下だぞ」

「人の話くらい何故聞けないんです!」

「駄文を長々と聞きたくないからだよバカ!」

 

 一々反応する辺り未熟ですね。

 無論というべきか、彼女じゃ手に負えなくなり出したわけです、制御不能の暴走となった場合、一番うまくスタンドプレイを演じる奴が勝敗を決めれます。

 そして大事な事があります、脚本家と政治家は破綻や混乱を望みませんが、軍人は混乱の中で利益を最大化してわざと煽る事があります。

 最初から混乱が起きると言う事前の前提がある役人とはそういうことなのです。

 

「飛び出してきました! そもそも身共はまだ解任されてませんから、有事とあれば独断やむなしですわ!」

「……キキョウ、お前どういう教育した」

 

 ええ、ユカリさんはある意味、それをしっかりやりました。

 混乱を生むまでは良かったのでしょうけど、その後が問題でした。

 ”混乱を利用するのが大得意”の大人は、流石に想定外だったのでしょうね。

 

 ただこれではっきりしたことがあります。

 怪談が実在するなら、クズノハも居るという事です。

 

「……で、何処までして良いんだ?」

「……貴方が必要と判断しうる事を」

 

 花鳥風月部への捜査が始まりました。

 

 

 

 

百鬼夜行騒乱記 第二幕

 

 

 

 百鬼夜行、北方はエビス分校、クズノハの社とアヤメ委員長の捜索が主任務とする捜査は、ある意味最初から何かが起こると想定した作戦でした。

 言わばそう、捜索撃滅(サーチアンドデストロイ)作戦。

 アロナは未だに納得できません、なんでこの大人は田舎を完全封鎖する前提で山狩りへ挑もうとしてるんですか。

 普通こういうのは悪役のやる事ですよ。

 

「おおかた知らない方が良い部隊じゃないの」

「……今回はそう言う案件かぁ」

 

 レンゲさんがやや不可思議気に言い、キキョウさんが静かに返しました。

 百花繚乱は組織的なコンセプトから秘密戦部隊を必要とはしません、公然部隊ですから。

 ただ、エビス分校で待っていたのは不可思議気にした生徒さん……。

 先生はやや訝しんだ様に「情報を精査しておけ」と言いましたが、なんででしょう、連邦生徒会公文書記録じゃなんかはっきりしませんね……。

 というか、プラナちゃんは「自治委員会は廃止記録有り。要再照合」と不可思議な顔をしています。

 

 ……これ”背乗り”では? *5

 

 という事は、これ下手したらエビス分校自体が「乗っ取られてる」危険がありますね。

 え、何ですかコレ、因習村というよりは因習群じゃないですか、市町村合併で規模がデカくなったとか言わないでくださいね。

 どーして分校を最悪「実力行使」する前提が「数少ない最良の手段」になりそうなんですか。

 

「一応いっておくが、今夜あたり何か仕掛けてくると思うぞ」

「やはりか?」

「やっぱり?」

「そうなりますの?」

「やっぱそうなる感じ?」

 

 生徒さんの温泉上がりに話す事じゃないと思います先生。

 おかしいですね、世間一般では美少女の入浴シーンな筈ですが……どうしてこの人戦闘計画(バトルオーダー)を練り上げてるんでしょう。

 

「というわけでプラナ、お前感知したら点火していいぞ」

「了解。IFF及び音源探知起動」

「あ、アロナちゃんを忘れていませんか」

「寝落ちするスイッチャーはちょっと……」

 

 ぶー! アロナちゃん拗ねますよ! 

 

 

 

 

 

 

 えへへ……先生……そんな褒めてもアロナちゃんは秘蔵の連邦重装備保管庫のK9自走砲はあげませんよぉ……。

 流石にそれは「全部あげちゃいます!」出来ませんってぇ……えー……「スーパーAIアロナちゃんお願い?」……うう、素晴らしい響きです……! 

 

「警報。移動物体。野生動物にあらず。点火」

 

 うわぁ!! いきなりなんですか! 

 え、敵襲? 嘘ですよ、きっと猫とか。

 

「疑問。寝てましたよね」

「いやっ、なんというか……えーと、英気を養ってました」

「真偽判断。信用確率12%。信頼区間外。虚偽と判断」

 

 うう……アロナちゃんを寄ってたかって……。

 先生たちはあっさりとシュロちゃんを確保して持ち物チェックしてます。

 

「ああああ! 人の著作をなに勝手に見てやがるんです!!」

「検閲だよ検閲、権力者なんだぜ?」

「仮にも聖職たる教職の言う事ですか!」

「校閲もしてやるから感謝しろ」

「なんて奴ですか!」

 

 なんというかとことん相性悪いですね。

 ぱらぱらっと読んで先生は飽きた、と言わんばかりにナグサさんへ投げ渡しました。

 

「悪い事言わねえから悲恋物のが売れると思うんだよ」

「かぁーっ! これだから! 雑にキャラ殺せば感動になると思ってる! 適当に野垂れ死んだ奴にまで泣くんですか!?」

「散々引っ張ってそれは別の意味で泣くんじゃないかね」

 

 少なくとも怪書ではないものです。

 いやまあ、怪文書だとは言いませんけど……。

 ただそんな雰囲気も、”いきなり現れた”アヤメ委員長で打ち切られました。

 ……あれ? プラナちゃんの観測データではこっちのレーダーと合わせても「二人分の侵入者」なんかあり得ないのに。

 それとなく、先生にメッセージを送りましたが先生も「こんな狭い田舎で噂も聞かない時点で変だろ」と述べてました。

 

「……だから私はクズノハ様を探そうと、寺院を探した。

 もしかしたら、自分が何とかできるんじゃないかって、お笑い草だよ……私は恐怖に耐えられなかった」

「一つ二つ言ってよいかな」

「名論卓説を聞くは我が身の誉れ」

 

 先生はやや不可思議気に首を傾げて尋ねました。

 

「君が委員長になってから大体どれくらい経ったかな」

「……2年だけど?」

「ああ、なら納得だ。新米将校が良くなるある種の病気だ」

 

 そういうと先生はアロナ達をちょっと脇へずらして、図面と図式を描き始めました。

 アロナ達にもコスチュームが増えてます、便利ですねこれ。

 ただ先生の言う事はそれなりに深く”このアヤメ委員長”を抉ったみたいです。

 

「そして春は短く終わる。そのうち戦争に軍務に耐えれなくなり、精神的困難が積み重なって、だんだん命を預かるという事に耐えれなくなる。

 ある者は諦観して目を逸らす、あるいは義務感、或いは愛国心、だがそのうちに耐えられんと折れ始める。

 あとは7か月過ぎたあたりから注意力は消えて、冷静さが消えて、だんだん”当たっちゃってもいいんじゃないかな”と思えてくる」

 

 ……おかしいですね、さっきからアヤメ委員長の観測映像にノイズが入ります。

 話し終えると、アヤメ委員長は微笑みも消えて、黙ってしまいました。

 夜が明けると同時に作戦を始めるとして、予定通りと送信がされました。

 先生がアザミさんの正体へ触れた時、エビス分校は空中機動中隊二個による制圧下に於かれていたのです。

 

「あ、やっぱりそれ(アヤメ委員長)も偽物だったか」

「はい。お気付きですよね」

 

 ノイズが拡大し、消えると別の衣装をしたアヤメ委員長が出て来ました。

 羽織も全てが違っています。

 

「先生の言葉は流石に効いたよ、確かに新人将校の病気……まあそうなんだろうね。

 でも周りはそれを受け入れてくれそうに無いんだ。

 ”完璧な委員長”を求める周りはね」

「そりゃ指揮将校は仮面を被る仕事だしな、嫌な奴と握手したりするし、演技もするがな」

「私の心はどうなる。ひとたびひびが入ったこの器は?」

「無理なら降りるしかなかろう。ぶっちゃけてしまえば休むのも仕事じゃないのか?」

「完璧じゃない、委員長でもない、そんな奴を誰が受け入れるの」

「そうやって上と下ばかり見て、横を見ないと人生辛いぞ」

 

 横を見たアヤメの視界にはナグサさんはいなかった。

 彼女の知る弱虫で泣き虫のナグサではなく、かつての信じた人でも銃を向ける事が”出来てしまう”までに追い詰められたナグサさん。

 自身が産んだこの状況の結果は、それを直視する勇気が、決断が出来なかった人の話だった。

 それは自分自身でもあったのです。

 

 ただ、怪談師の弱点は変わらなかったようです。

 

 アザミさんは明らかに想定外へ向かう状況へ首を傾げていられなかったんですから。

 

「どうかされましたかなァ」

「もしやして花鳥風月部のお方が」

「「客に劇の流れを変えられアドリブ対応も出来ない、なーんて喜劇みせるつもりじゃありませんよね」」

 

 先生は短期決戦で全て畳み切るつもりであったようですが、相手からすれば困りものです。

 突如現れたもう一人の花鳥風月部、部長のコクリコは完璧に練り上げられた戦技で、ナグサの射撃前に銃身を逸らしました。

 百花繚乱に伝わる近接格闘術の一つですが、ここまで練り上げる人が消えるという事はあり得ません、データに無いですもん。

 在野の強者にしては「戦い方がお行儀が良い」のです。

 

「後輩諸君が真面目で嬉しいわぁ、愚直なとこも可愛いやない。

 ……今のトコ意地でも振り向かせたくなるわ」

 

 先生が視線で「やれ!」とサオリさんへ指示しましたが、銃撃をかち合い弾で撃ち落としてます! 

 この人どうなってるんですか! 

 先生は止むを得んとばかりに、別方向のビルへ手を振りました。

 

「はい! 貴方様の頼みに喜んで!」

 

 ワカモを事前に伏せて展開するのは先生がコッソリ一人で企んだことですが、先生そりゃないですよ! 

 

 

 

【最後を決すは我が任務】

 

 

 結論から言うと、クズノハ様はちゃんと居たのですが、なんだか拗ねていました。

 なんででしょう、アロナには分かりません。

 

「推測。貴女の紫封筒」

「アロナちゃん分かんなーい!」

「なんぞ言うても分かるからな」

「「ぎゃーっ!」」

 

 クズノハ様舐めてました。

 なんでこの空間を認知してるんですか、こわー……。

 一番の恐怖って未知だって真実ですね。

 なんだかんだクズノハ様は「若いんだからケンカしてこい!」としっかりと励ましてくれました、しかし最近の神秘ってネット繋がるんですね……。

 

「人の事言えんじゃろが」

「ぎえーっ!」

 

 もしかして何処かの魔法学校みたいに名前だけで召喚出来るんでしょうか……。

 ま、まずいですよ、前にオカルト研究部へ先生が「お掃除ロボの名前なんかトムとリドルで良いだろ」とか言ったのもヤバいかもしれません。

 迂闊にみだらに名を呼んじゃいけないって意味があるんだなぁ……アロナ賢くなりました。

 ただその間にも状況は進んでいる様です。

 

『新月班射撃終了』

『睦月班射撃開始』

『弥生、如月班射撃に備えよ』

 

 スズ指揮下の化け物(ミメシス)掃討作戦経験者による精鋭歩兵のラッシュ。

 弾が効かなくても撃たれてる間は動けない、どんな強者も制圧するには戦技優良な者を大廉売でぶつける。

 待機中のアリウス・スクアッドも投入した人海戦術は、着実に貴重な時間を奪っている。

 アヤメが構ってる暇が無いと逃げようとしても、断じて逃がすつもりはない。

 

『卯月、葉月、霜月班。突入!』

「うわー、偉い勢いで部隊が濫費されてるー……」

 

 精鋭歩兵を中隊単位でラッシュ上等でぶつけるの、それしか手が無いとはいえよくやりますね。

 ただ時間稼ぎの甲斐はしっかりとありました、ええ、シュロを説得しちゃったわけです。

 最強怪獣バトルをどうして始めたんですか? 本当になぜ……? 

 無論怪書の庇護下から無理矢理かっ剥ぐためです、それはそれとしてだーいぶ無理矢理な気がします。

 労苦の甲斐もあり、アヤメ委員長の再捕捉は成功しました。

 メンタルは最悪、身体は不機嫌、絶好調の真反対……。

 どこまでいっても不器用なアヤメ委員長とナグサさんは、継承戦を始めた。

 

「疑問。なぜアヤメ委員長は継承戦を受けたのでしょう」

「……武家、いえ、彼女自身の誇りが故に……でしょうね。

 彼女が受けないなら、最初から義務と名誉に潰されてないでしょうから……」

 

 貴族軍人と言う奴の悲哀でしょうか……。

 なまじ、人が良すぎたと言うより、取り繕うには少し上手過ぎたんでしょう。

 しかし先生とサオリさんの銃器点検は手馴れているというか、ちゃんと先生もサオリさんやスズから銃器取り扱い聴いてて良かったですね。

 そんな中で始まった継承戦は「小銃弾無法地帯」と呼ぶべきものです。

 手慣れた武芸者が死合うと、剥き出しにされた殺人的暴力の応酬でありながら、美麗なのです。

 そうであるが故に、勝負とは一瞬の差で終わるのです。

 

「……聖諭五条を畏み、時平戦区別無く、禁闕の守衛大任の適者を裁定する」

 

 先生は無言で巻物を開いて、そう告げた。

 

 

 

 こうして百鬼夜行の騒乱は確かに終わり、少なくとも一つのピリオドは打たれました。

 無論、予後がどうなるかが問題です。

 

 

 

 対象者:七稜アヤメ

 状態:静養中

 問題徴候:現状確認出来ず

 

 

 アヤメさんは、もう少し素直になっても良かったのかもしれません。

 彼女は逃げ出す事も出来ましたが、逃げれませんでした、彼女は悩み苦しみ、離れる事も出来なかったのです。

 恐らくは結論の出ない話なのでしょう。

 

「引用:逃げた先に楽園は無い」

「……皮肉が上手くなりましたねぇ」

 

 うう、妹が姉を虐めます……。

 

 

 

 

*1
それ石黒版1話です

*2
ジェガンR型みたいに蹴り飛ばしてやろうか

*3
「その程度の犠牲で戦争が終わるなら安いものだ!」

*4
「涼しいですね~」

*5
個人情報の乗っ取り、情報工作員などで見られる




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