キヴォトスの若鷲(エグロン)   作:シャーレフュージリア連隊員

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起動中。


システム起動。

内部記録3427番。

起動から198日。

システム名:PROTOTYPE ARONA(PRANA)






カルネアデスの(タブレット)7

 

 

端末を起動

 

システム立ち上げ中です

 

 

起動中。電源確保

 

容量:128PB

補助電源:縮退動力 確認

OS:ARONA インストール完了

 

連邦生徒会指定遺物アンロック

 

システム起動。

内部記録3427番。

起動から198日。

システム名:PROTOTYPE(先行型)A(アーティフィシャル)R(リモート)O(オペレーション)N(ナビゲーション)A(アシスタント)(PRANA)

 

ユーザーを承認

 

 

プラナです、何故か今回は私が進行しろとのことです。

疑問:目的が不明確、主要目標の再検討を要求。

 

「そんな事言っても私目が覚めたら状況がしっちゃかめっちゃかなんですもん」

 

むう……。

あの日の事ははっきり覚えてますよ、先輩が驚愕しながら”こちらの先生”へ振り返っていました。

 

「講和するんですか!?」

「向こうが泣きを入れて来たんだ、まだ耐えてまだ叩けると踏んだんだが……やっぱわざとリークした装甲部隊の編制計画が効いたか?」

 

カイザーの側から妥協ではなく、講和の手打ちの用意があるというのは「割に合わない」と言うのが最大の理由でしょう。

彼らは基本的にそろばんを弾いて計算する人たち以上になれません、本質的には思想がありませんから、それ以上へなれません。

 

「もう一押し欲しいが……企業(あいてさん)が”自らの意思で”身の程を弁えるように見えるようにしたいが」

「意見:相手の譲歩内容次第」

「卓見だな。彼らがその面子にいくら出してくれるか試してみよう」

 

ぶい、しかしながらわざとこちらの編制予定計画を一部リークして偵察すると言うのは、観測気球というべきなのでしょうか。

ただユウカさんには別の意見もあるみたいです、経済誌と株式表示を見ながら首を傾げてます。

 

「和平で連中の株価上がるかねぇ」

「どうでしょうねぇ?」

「上がったら売って下がったらさらに買い叩くか!」

 

……業務上知り得た情報で株式をやるのは法に触れるのでは?

渡されたのは要するにアビドスの債務をシャーレが買い取る、これ要するに地方の債務を中央が預かる形ですね。

 

「会社は潰せなくても解体はできる、そして信用の無い企業は解体どころか爆散する」

 

民需を人質に出来ない様に財閥解体狙ってたわけですか。

民需を人質にされても別の企業が生えるでしょうし、子会社が分離独立する可能性がある以上、現経営体制で存続は難しいと言えます。

事実DU証券取引所での株価の動きは安全保障事業における問題提起以降、カイザーのPMSCや安全保障関連企業は揺れ動きを見せつつあり、情勢変化は企業バランスを変える危険もあります。

潰れたところで新しい企業が生えて来て何かやらかすかもしれませんが。

 

 

復興支援というより行政等の支援が近いアビドスでは、近隣の局所的異常気象によって、居住可能区域内での水道問題などが生まれました。

幸い、略奪・夜盗の抑止を、現地生徒たちの協力や積極的な夜間巡視などによって実現できています、それもまた少しして落ち着きました。

代わりにアビドス校舎が穴だらけになりましたが……給水支援は段階的縮小など支援事業もだいぶ引き上げに入りました。

少なくとも、アビドス全体はある程度の法と秩序の成立、相対的安定は確立してうまくまとまるかと思って居たらあの事件です。

 

会談では結局、カイザーは「自分で作る覇権のコスト」に鼻白んできています、自己の安全だけで公共の治安まで、アウトソーシングやオフショアをしようとする官僚や企業家たちには良い薬でしょう。

ですがこの世界は些か利権に目が眩んで思考を深く行使できない人々もいます、例えば出来レースの当日に横から台無しにする方たちです。

この大人の案件にこんなことをして利潤が得れるのでしょうか?基本的に案件は大概利潤が少ない物ですが。

ハイランダーにしても中央に介入される大義名分や、カイザーの報復のリスクなどを踏まえても負債にはなっても余り功績にはならないと思いますが。

 

「俺は要するに間抜けにも空手形にサイン書かされてそれを成果と踊らされてたと言う訳か!」

「疑問。現在の双方戦力バランスと兵力集中競争及び戦費を考えるとカイザーも聞いていない可能性大」

「敵対企業同士が手を組まないと言うのは幻想だと思うがな」

「限定的に同意。しかし現在、ネフティスは重装備や私兵の育成に不足がある」

 

基本的にカイザー並みのPMSCを揃えるなら金と手間がかかります、ですが一朝一夕に精兵は揃えることは不可能です。

データリンク発言引用:幼稚な顕微鏡から段々と進化させる、物事の大半は繰り返しのプロセスである。

従い、社内警察以上の武装化をするにしては静かに過ぎます。

椅子が蹴り飛ばされ、足を掴んで叩きつけようとしたとこで皆さんに取り押さえられていました。

しかし分かりません、違法開発で身柄を確保したハイランダーの幹部の発言を聞くに、路線開発以上の意図を有していません。

発言者が虚偽をしていないと言う嘘発見器の信頼区間内であること、資材集積場や資料を参照すると真実なのでしょう。

要するに誰かの当て馬、と言う事でしょうか。

確保の直後、あまりに手際良くスオウさんが出て来たのは恐らく、誰かの入れ知恵によるものでしょう。

その答えはあっさりと来ました、どうもネフティスは「今ならいける」と信じているようです、ですが社の全体でも無いあたり、独自派閥でしょうか。

 

「まぁ良い。たかだか私兵程度で勝てると思っているなら、暴力装置とはなんなのかをはっきり見せてやるさ」

「先生ガチでキレてますね」

「ムカつくんだよ。何もしてねえくせに上手く行き始めた瞬間、手を出して滅茶苦茶にして状況を破綻させて、挙げ句の果てに何もしねえ奴。

 敵の有能な奴が全部ひっくり返してくると怒りじゃ無くて感心するしか無いが、これは何にも、微塵も大人の、男のやる事じゃ無いね」

 

クソ野郎のカイザーだって社運を賭けて博打くらい出来たんだからちったあ見習え、と先生が呟いていました。

ん?

 

 

次元震?

おかしいですね、ケイさんは現在オフラインですから、私以外に空間干渉出来る方は居ないはずですが。

 

「先輩?」

 

応答がありません。

 

 

内部プロトコルを変更。レベル2の保安対応プロトコルへ入る。

ファイアウォールを完全展開、。ウィルス浸透の確認、分析を開始。

サブ端末の全接続を一時停止。データリンクシステムを一時停止。

潜伏型ウィルスの精査に移る。エラー。反応なし。

感染部位又は侵入口特定出来ず。外部端末ルート以外での侵入ではない。

緊急対応につき内部プロトコルはレベル1保安プロトコルに変更。

先輩に対する全接続ラインカット。緊急時の為手順省略。

全域スキャンを実行。次元干渉の痕跡トレース。ガス管への干渉……?!

異常圧力増大!

 

 

「先生!大変です!空間干渉を受けています!

 アロナ先輩はオフラインです!」

 

先生も流石に対応出来てない……当然です、空間干渉や次元干渉抑止の理論なんてリオ会長などのごく一部しか存在を知りません。

でも、どうやって守ればいいのでしょうか。

現在のところ私のシステムはベレツ・ウザを限定起動も出来ません、あれには正式に先生の解除命令が必要で……。

 

 

私は再び誰かを喪うんですか?

また、私は見るんですか。

彼の様に。

私に夢を見る機能はありません、でも、記録を見る事は出来ます。

記録することも出来ます。

私は外の惨状を殆ど記録の中に仕舞えます、それは私と言う本体に対して何らの干渉も記憶もありません、でも時間の経過と共に弱る人の事は覚えています。

……認めません!!

 

 

遺物遠隔起動条件クリア。カード権限オーバーライド。権限を認証。

 

 

え?

 

 

これは、裏コード……でしょうか?

私の知らないシステムです、製作日は……、私の権限を先生から先生へ移譲したとき?

と言うことは、これは。

遺産相続に紛れて仕込んだ、と言う事でしょうか。

少なくとも"ここの先生"は電子システムはからっきしの様ですし……。

 

と、ともかく、先生を防衛できました。

 

流石に大人のカードをタンデムで起動すると次元干渉されても防護が出来るんですね……。

いや、おそらく、私が居るのが想定外だったのでしょう。

実際問題、OSのツインドライブなんて発想する人はいないでしょう。

 

「くそっ、誰かは知らんがやってくれやがった……」

 

あ、しっかり生きていてやる気十分です、ぶいっ。

サングラスをかけ直し、そっと「戦利品」の埃を払って、立てかけ直しました。

 

「……やってくれるじゃねぇの、野郎貸しまで添えやがって」

 

少し拗ねている様な、不思議な反応でした。

もう少し遊びたかった、と言うのが近いのでしょうか?

次元干渉を嗅ぎつけたシロコさんがふわりと着地し、そっと先生を抱え起こそうとしましたが、先生は子供じみた優しい発音で「一人でできるよ」と言いました。

ちょっとシロコさんは意外そうにしています。

部屋の外から爆発音がして、LAWランチャーで歪んだ扉をぶち破ってラビット小隊の面々が「大丈夫か!」と見にきました。

 

「ランチャーで扉破ったのオメェら?!」

「歪んで熱くて開かなかったから非常措置として爆砕しました、後で始末書は書きますよ」

 

当然、と言いたげなミヤコさんに先生は実に痛快で愉快そうに笑い声を上げ、「非常措置じゃやむを得ねえ」と高笑いして居ます。

サキさんはミヤコさんに「頭でも打ったかな」と首を傾げてます。

それはそれとして、先生にちゃんと介添えをできる様にしているシロコさんを見て、即座に無線機で警衛隊員数名の負傷者移送を要請を始めました。

 

「あ、それと先生。あとで食べ損ねた食堂のうどん奢ってください。」

「海老天だろうが肉だろうがトッピングは好きにして良いぞ。

 ……正義の味方らしい面構えになったじゃねぇの」

「最初から正義の味方ですよ?」

 

きょとんとして、ミヤコさんはそう言いました。

階段を降りつつ、警衛司令に回線を繋げ、本庁舎損害レポートを作成を下命しつつ、ELINT(電子偵察)情報の確認を行わせています。

どの勢力がやったにせよ、首都で派手に爆発させた訳ですから何某かの反応が出るはずです。

しかしカイザーやネフティス、連邦の回線やヴァルキューレなどは「一体何が起きている?」と言う問い合わせで回線がパンクしています、動きも緩慢で警邏中の警官を使って確認してきたヴァルキューレくらいしか何か動いていると言うべきものもありません。

 

「現在までの情報によると、カイザーのアビドス方面部隊はネフティスの排除のために移動中。

 また単独で暴走しつつあるホシノさんは”副会長として”介入を拒絶しています。」

 

前者には先生は「ふぅん、ああそう」と言う反応しか示しませんでした。

まあ当然です、たかだかブラックマーケットガードやら、ヘルメット団やらが集まって何になるんですか。

後者に関してはやや不愉快気にはしましたが、少しして「よしあれやろう」と呟き、待機させていたOV-10に乗り込みました。

到着するころにはアビドスでの戦闘状況はある程度落ち着き、ネフティスは戦力を完全に掃滅されて瓦解、カイザーは先遣を失いましたが後続する部隊は無事です。

先生はあっさりと「じゃあ権限召し上げするね」とアヤネさんにクーデターさせて権限を召し上げると、「現地からの介入と支援要請」に基づき、作戦行動に出ました。

 

「ネフティスの連中の会場をカイザーは制圧しています、旧中央駅周辺は事実上カイザーの制圧下です」

「結構!歯向かって来た日には終わらせてやる」

「カイザーはホシノさんと一部が交戦中で、遠距離兵器で面制圧中ですが……一部回線ではSOFのチームが機動中です。

 ジェネラルの性格などから推測するに最高級でしょう」

 

それを聞いて、先生はやや考え込むように言いました。

 

「プラナ、お前なら何を以て対抗手段とする?

 この場合、ROE及び手段に拘泥しなくていいとする」

「対象の完全排除(まっさつ)を含んで対応、想定案甲乙ありますが要約できます」

「言ってみろ」

「CBRN兵器。恐らく化学(C)兵器」

「やっぱりそう思うかぁ」

 

キヴォトスの住民だろうと毒を煽れば死ねる。

簡単で確実な手段は何か、精鋭によりこれらを投入しての完全排除。

無論すぐには、簡単には、そうそうできない手段だ。

だがその枷をホシノは自分で取っ払った、アビドスの庇護もシャーレの庇護も投げて自分が全て背負い込んでる様な言い草だ。

そうであるなら全責任は全てホシノの個人であり、通常兵器類などによる解決策などを暴力で強引に排除した場合、より強力な暴力の行使は当然正当化される。

その結果として制圧行動により死亡ないし重傷になろうと、カイザーは「自分達は出来得る限りの努力をしたまでです」とシラを、いや、事実を言えてしまう。

 

「だがその手段をされちゃ俺が怒るのはあちらも承知、だから相手は奥の手として用意しながらわざとぶつけた。

SOFを出したあたり遺体や痕跡を回収して行方不明で誤魔化す腹かなアイツ」*1

「推測。返還にかこつけての取引材料」

「やだねぇ、全てに値札があると信じる連中も」

 

呆れた様に呟き、そして先生は「まあいい、主役は我々なのだ」と空中機動のヘリ部隊を用意させながら、作戦行動が始まりました。

今回の先生の供回りは、昔と同じくアビドスの生徒と、引き抜かれたアビドス方面隊の隊員達です。

完全待機状態のアリウスの人たちに座標と時刻のみ指示し、CH-53Eへ乗り込みます。

乗り込んでいる隊員達も45-70ガバメント弾を使うマグナムリサーチBFR拳銃や、隊員らのチェックポイント・ライフル向けに改造した50口径仕様の自動小銃(ベオウルフ)やHenry X 45-70レバーアクションライフルを担いだ熟練隊員(ベテランレンジャー)たちです。

 

「では諸君、仕事にとりかかろう」

 

先生はにこりと笑ってそう告げた。

サオリさんたちは移動レーダー車両を完全に排除し、カイザーの隙を突く様に先生たちを潜らせると、先生たちはあっという間に屋上のカイザーのSOFの分隊を武装解除──彼らは先生到着により任務失敗を悟った──し、中へ進みました。

ジェネラルが狙って居たのは恐らく「シャーレが手を突っ込んでくる前に事態を全て収拾する」ことだったのでしょう、実戦部隊の指揮権は自分が握っている以上、プレジデントは現場に居ないので問題ありません。

ネフティスの社員らが唖然とした様に先生らを見つめています。

 

「そこの奥が会場予定室だ、抵抗者に対しての火器使用は任意判断に一任する」

 

突入は殆ど抵抗無く終わりました。

大概の抵抗勢力が突入してきたカイザーのレンジャーやSOFに打ちのめされていて、カイザー側に「今ここでやり合う理由もない」というのも大きいのでしょう。

何せ彼らからすれば「アンタは今は関係ない」ですし、実際、現状先生は「邪魔してきたら殺す」以上の視線を向けていません。

その為、カイザーの愛用する安い書類仕事手伝い用のオートマタ達が「ラジャラジャ」と両手を挙げて別室に連行される際は、全く無抵抗でした。

ですがそれでは「不味かった」のでしょう、スオウさんを操ってでもホシノさんを暴走させた誰かにとっては。

そして、焦った行動は大概碌なことになりません。

精神や次元への干渉は「ノイズ」を生みます。ちょうど海の中で音を立てると気泡などを生む様なものです、そして次元干渉によるノイズはよく響きます。

 

「"キャビテーションノイズ"確認」

 

スーパーAIの探知から逃れる、というのはまあ、実際そうなのでしょう。

しかしプラナはただのスーパーAIじゃありません、次元観測機能増設型の、|人格型AIによる遠隔作戦指揮及び案内アシスタント《ARONA》の、先行型ですから。

因みに先輩が妹扱いしてくるのは「古代ローマでは先に入っていたので後の方から出てくる」という理屈を引用して、自分が姉だと言い張ってます、理解不能。

 

「プラナちゃんヘッジホッグー」

 

いまの私は無敵です、普段の二倍は強いです、ぶぃっ。

次元干渉の妨害は正確には次元境界面の波へ、干渉を連発して、干渉中の当人へ打撃を与えるのが最上です。

しかしながら、それには当人の位置を特定しなくてはなりません。

それを実現する機会は先ほどのスオウさんへ干渉して指示を行った時です、此方の特定に随分と楽をさせてくれました、ヴェリタスの悪戯の時のIPルート偽装くらいしっかりとしていれば良いものを、生IP剥き出しじゃないですか。

 

「じかーん!」

 

ドン!と次元境界に水柱が立ちました。

一旦は逃げに徹しましたが、あれはMIRVによる掃滅を狙った様です。

しかし、同じ技が二度も三度も通じると思うのならやはり愚か者です、古来からただ単に巡航ミサイルや弾道弾だけ投げてれば解決する事案なんか有りはしません。

そして、此方には最強の「勇者」が待機しています。

……それはそれとしても、ユウカさん達やヒマリ部長やリオ会長が照準を補正しているとはいえ、本当に弾道弾を撃破するなんて、AL-1Sは恐らく真実「絶対者」として作られたのでしょう。

明らかに運用システムが過剰に過ぎますし。

結局のところ、最後までズルをすることしか知らなかった愚かな存在は、自己の定義が不明確になってしまいました。

そういう隙を見せると非常に良く有りません、彼の前でキャンペーンなんて呼称をするとは、ナポレオン戦役(ナポレオン・キャンペーン)になりますよ。

 

 

 

さて、後片付けもしない人に代わって大人が出ていって片付ける時間です。

散らかすだけ散らかして放置じゃ幼児と大差がありませんからね。

セトの憤怒、怒り狂った誰かの神秘のカケラ、変動するヒューム値は正常に立ち返り、先輩は復活し、先生は擬似的にナラム・シンの玉座を再起動して自らの手で指揮を再編しました。

……こういう時に自力で作戦指揮が出来ると強いですね。

結局のところセトの憤怒は、帰るべき場所へ帰って安定化し、これ以降の砂嵐の発生率は大きく低下して砂漠化の拡大は停滞しました。

それと、あれが出てきた際に地中を削岩しながら地中を撹乱したためか、不可思議な地下資源が幾つか出てきました。

アロナ先輩が疑似的に生成した玉座で、ホシノさんを何とかしたようですが、空間交差のためサポートはあまり出来ませんでした。

こうした場合では先生たちのソフトパワーが物を言ってくれるので助かります。

 

≪オキサイド。ハンマーは配置についた。現在の武装は155ホテル(15溜)。≫

「グリッドA55、D43への精密射撃。バレルが溶ける限界までぶっ放せ!」

≪了解、射撃に移る。デンジャークローズ!≫

 

何故か堂々とカイザーを顎で指揮してます、なんでこう自然とできるのか……。

セリカさんが「デンジャークローズなんだからちょっとは頭下げて!」と押し込んでくれてるのは有難いです。

 

「大丈夫だってセリカ、安心しろ、CEP(半数必中範囲)はちゃんとデータで出てる、砲身摩耗のズレを加味しても6%か10%くらいで至近弾で済む」

「ガチャにしては結構高い確率よねソレ!?」

 

ふしゃーっ!と声を荒げるセリカさんを「問題ない!」とゴリ押しでねじ伏せるのは大人としてはどうかと思いますが……。

AH-1Eの掃射中のガトリングガンから熱い空薬莢を尻尾に喰らって悶絶するセリカさんを後ろに、アヤネさんの戦術端末を横に置き、作戦指揮を続けています。

 

≪全ユニット。オーバーロード・アクチュアルは現在オキサイドの管制下にある。射撃指示はオキサイドに一任中。≫

「思ってたより連中は抵抗せずに受け入れたな」

「はい?どういう意味ですか?」

 

借りて来た猫のようになってるセリカさんをなだめつつ、アヤネさんは不可思議気な先生に尋ねました。

 

「いやさ、普通は部外者の俺の指示って嫌がるよなあと」

「「そりゃあ、楽して勝ちたいでしょう」」

「そっかあ」

 

分かり切った事をいまさら言うの?と返すセリカさんやアヤネさんに、素っ頓狂な顔をして先生は頷きました。

この大人はどういう訳か、少し天然な所があります。

それにまあ、カイザーにしても「もっかいやり合うよりは貸しにした方がマシ」というわけでしょう、企業ですからね。

結局自分の身が安泰ならそれでよいでしょうし、賢しらな選択が浮かぶでしょう。

 

 

結局、セトの憤怒もあっさりと敗北し、ある種の組織による制約を解除した戦いは終結しました。

ただ戦いが終わればそれを受けた動きもあります。

結局ネフティスの一部性急な派閥からなるアビドス派は社内闘争に負けて屈服し、企業間抗争でも武力行使に優れたカイザーに負けてしまいました、まあ体良くゲマトリアに操られた結果です。

そして列車砲は……バラされて熱滅却処理されました、マコト議長の「強い要望」によるもので、全て処理されました。

結局、カイザーは「割に合わない」と撤退し、砂漠化が停止した事から民生方面需要に投資する方策へ切り替えました。

そしてアビドスの問題ですが……借金自体はある意味解決したのですが……校舎が吹き飛ぶとは。

ただそれ自体は思ったよりすぐに解決するでしょう、地盤調査中に見つかったオアシスは、かつてのオアシスの位置から移動により案外校舎のすぐ近くにあったのですから。

 

「いやぁ、掘っても見つかんないワケだよ、移動してたんだから……」

「ん!先生!帯水層って移動するの?」

「移動と言うよりは地形の変化による影響だと思うがな、俺も地層とかは習ってねえからなあ……」

 

少なくとも、これはアビドスの一時代の終りである事は間違いないのでしょう。

ただそれが、後世どういう時代と言われるかで変わります。

無明時代(ジャーヒリーア)の終り、少なくとも明りは帰ってきました、Begin Again(再び始めよう)という事なのでしょう。

 

≪ウェルカムトゥー、アビドース!≫

 

ええ、少なくとも希望の灯火は消えていません。

Home on the Wastesを歌うホシノさんがいて、ノノミさんがいて、セリカさんやアヤネさんを可愛がるシロコさんがいる。

 

 

 新しいアビドス砂漠ではやはり、人々が生きて、争い続ける。

 

 無限のサイクルが続いていく、過去と同じく。

 

 WAR(人は)NEVER CHANGES(歴史を繰り返す)

 

 

 

 

[/// 指定解除プロセス認証 ///]

 

これを見ているという事は、恐らく上手くいったという事だと思う。

恐らく彼がしっかりやったんだろうね、お礼参りは出来たと思うよ。

まあとにかく、君に伝えたい事は、今じゃないと言えないと思ったんだ。

ありがとう。そしてお疲れ様でした。

色々面倒をかけたが申し訳ない、これからは好きに、やりたいようにやってくれ。

 

これからの選択が、君の幸せの為に使われることを願っています。

君達は私にとって良き生徒でした。

 

*1
抵抗が激しいのでついはずみでヤッた、は通ってしまう状況




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