キヴォトスの若鷲(エグロン) 作:シャーレフュージリア連隊員
「龍武同舟 ~思い描くは、ひとつの未来~」
あれは何時だったか、エデン条約締結間近だったか?
まぁいい、あの馬鹿*1焼いたランチャーくれた料理屋だから覚えている。
この件のお礼と思ってと拝み倒してランチャーを借りたのだ。
ルミ会長から正式に依頼が来た、学園内部の紛争の調停という。
一応確認しておきたい要件だったうえに、山海経には殆ど行ったことが無かったのもあった。
まだこの頃はゲーム開発部のクソガキとも出会っていないので、俺はほいほいと釣られてしまったのである。
連邦生徒会のUH-1Yを公用で徴発。
やたら雑学の多いヘリパイロットに送られた、山海経は百鬼夜行とはまた違う、オリエンタルな場所だった。
活気が賑わい、おいしい匂いも漂っている。
地図を確認し、玄武商会の看板が見えた。
「ここかぁ、先生だ。入らせてもらうぞ」
裏口とか営業時間外でも良かったかもしれないと思いながら、店に入ると無茶苦茶歓待された。
しかし、腹が減る匂いだ……
タケノコパンダと言いつつ、豆腐料理とは? と思ったら泰山蒸鶏店なるなかなか旨そうな名前に興味を惹かれたり。
条約締結が終わったら関係者で山海経で宴会でも良いかもしれないなと思う。
店の店主は喧嘩しているが、胃弱の俺にはどちらも魅力的になる。
そういうことを考えて居たら今回の呼び込み主。玄武商会長の朱城ルミが来てくれた。
正直助かった、会長の客人と聞くと即座に下がるあたりよく教育されている。
「あまり、大皿は困るぞ。胃弱なんだ、あまり堂々とは言えんが食事より周りとの会話などを重視するタイプでな」
「ありゃ、まあ大丈夫大丈夫、胃弱でも軽く食べれるヤツも作れるよ」
「サービス精神旺盛で何より」
メニューを見てみると成程、宮廷料理か。
料理の説明を貰いながら、山海経の食事マナーを聞いておく、宮廷料理を出される文化と言う事は、流石に顰蹙を買うのは不味い。しかもホストは顔役だ。
良好な関係の為に聞いておかなければ月の無い夜を歩けなくなる。
「前菜のこの佛跳牆(フォーティャオチァン)旨いし、全家福も素晴らしいが、説明を聞いてるとこれを食わせてもらえるほど時間と働きに見合えるか時間が無いぞ」*2
温菜のエビ団子スープから続くメニュー。
これはフルコースだな、点心を食する場合、通常は会話を楽しみながら食するので、お茶を注いでくれる人に対して礼を言うと他の人との話の腰を折ってしまうので、それを防ぐ為である。勉強になった。
全部食べ終えた後、点心を食べながら本題と言う事か? 箸が使えて本当に良かった。*3
「胃弱は聞いてるけど、ユウカって子から普段まともに食べてないからよく食べさせておいてください。何てきたから、全部食べて行ってよ」*4
余計なことをと思いつつ、確かに食える量だと思いながら玄武商会のフルコースを楽しむ。
ウェイトレスかルミの紹介によると、この会長の隣の鹿山レイジョは護衛も兼ねてる様だ。
大変だな、大変なのはこれから俺か。
しかしニンジャの次はカンフーか……?
「会話の主導権を握る、カンフーにおいても「先手」を取るのが大切だと映画から学びました」
「愛称見たいなものだったんだが、手は相手に先に出させた上で先手を取るのが大事だ、ごろつきの喧嘩じゃ無いだろうし」
また妙な方向に尊敬された。
「困っては無いが、護衛だと色々求めてしまうからな」
ルミ曰くカンフーの話に繋がると、ちょっと周りが見えなくなるらしい。
ユウカの「砲が絡んだ先生みたいですね」*5と言う言葉が脳内で聞こえた、お土産頼まないぞ?
「やはり高級店の貸し切りなのか? 客が見えないが」*6
外ならともかくこっちで高級店貸し切りに高級食材のフルコース、別の意味で腹が痛くなる。
そういうわけではないらしく、親指で後ろを差した。
厄介客だぁ、向こうだと近衛兵がたたき出すからこの手の店で見るのは久しぶりだ。
「反社な方々か。逮捕状出そうか?」
「そうもいかないんだよ先生」
話を聞くと密貿易が行われており、薬物密輸容疑がかけられたらしい。
……急になんか連邦捜査部らしい仕事が来た*7、不安定化工作の砂漠の紛争地域じゃないのか?! *8
反社のチンピラの因縁みたいな言いがかりだが、どうやらあちらもこちらも”どこからか流れてるのは事実”と認識しているし、証拠もあるらしい。
美食のバカですら満足するだろう店に何という言い草だろうか、奴らならもう手が出てる案件だ。*9
連邦捜査部の権限と言うか権威は便利なもので、ルミ会長の後押しもありもう片方の勢力とお話しできるようだ。*10
玄龍門ねぇ……玄武商会と関係が宜しくない、ある意味アンシャンレジームの体言。
伝統と古さに拘ると、スペインとか碌な思い出が……。
個人的には飯の礼もあるし心情的には玄武商会側だが。
出てきたキサキを見てややビックリした、小さいという事は強いのかもしれない、対戦車銃を撃てたりするのかな。*11
「貴重な特産物を密輸しておる阿呆がおる、しかもかなり巧みに」
会談の席につき、空のコップを傾ける。
相手の護衛──あとで聞いたが近衛ミナとかいうらしい──が「滅茶苦茶偉そうだな」と顔に浮かべながら茶を注ぐ。
「というわけで、先生。調査を、なるだけ正確にお願いしたい」
「密輸ともしかしたら密貿易、ついでに違法な栽培もありうると」*12
「なにせ量が異常だからの」
キサキとの会話が終わり、付き添い兼リエゾンで一人増えた。
そしてレイジョ、争うなお前ら、チワワの喧嘩をするな、頼むから。*13
しかしまあ組合や寄り合いに自由主義か、革命でギルドとか宮廷が吹き飛んだから、市街地にレストラン増えたんだよな。*14
「組織だって時代に合わせて変化しないと、ね?」
まったくもって同意である。(後のエデン条約でのやらかし)
密貿易の疑惑かぁ……俺なら稼ぐだけ稼がせて荷物が重くなって動けなくなったら吐き出させるが。
なぁ、マッセナよ。
「まあ急激な変化をしても無理に胃に詰めるのと同じだ、吐いては料理は台無しだ」
「……含蓄あるねぇ、大人の知恵?」
「実体験、話すと長いぞ」*15
伝統と変化は急に変えると大変なことになるからやめておいた方が良い。
反動と反発は火が付くと偉い事になる。
振り返ってルミ会長へ尋ねる。
「誤解を解くだけで良いのか? てっきり……」
「少なくともアビドス見たいな物は注文外かなぁ?」*16
「あそこまで叩かないと話を聞かない方が悪い」
レイジョとミナ、変な目で俺を見るなぁ……俺は何時も穏便に終わらせようと努力してるんだ!
ルミ会長は「しばき倒したのは事実なんだ」と面白げな顔をしている。
玄龍門の敷地を出ようとすると、向こうの下っ端が色々言ってるが、レイジョが俺をシャーレの先生と言ったとたん顔が固まる。
「なっ、シャーレの、先生!?」
「お、おい……どうする、何方かが燃え尽きるまで戦うと言う噂だぞ」
エデン条約合同警備本部長(仮称)のワッペンを見せる。
まだ正式に発令・交付はまだされてないから仮である。
しかし効果は絶大だ、相手はやや足踏みしている。
「伝統も良いが拘り過ぎると外界に取り残されて食いものにされることもある、大きなうねりの前触れならなおさらだ」
ルミは頭が回る。俺の使いどころをよく理解しておられる。
ミナが「お前ら門主様の顔に泥塗るつもりか?」と追い払い、下っ端は後退する。
「確かに戦争も商談も即断即決だ。時価で値段が変わるのも良く似てる。人命大特価の大安売りになるからな」*17
おい青くなるな! さっきまでの威勢は何処だよ!?
レイジョとミナが「やっぱあの大人やべーよ」と会話してる、共通の脅威見つけて仲良しかコラ!
「戦場にされたら、商売どころじゃなくなるんだけどなぁ……」*18
玄武商会の段ボールに入った高級品、証拠としてはまだ薄い。
段ボール自体は擬装できる、塗り替えてしまえばなお変えれる。
戦争屋や武力組織扱いされるが、本来ならこの手の捜査が本業の筈だ、何時もが可笑しいんだ。
携帯を出す。
「ユウカ? 俺だ。密貿易の捜査依頼、仮調査だから最低限の人員回してくれ」
ルミ会長や全員に聞いたところ、サヤの薬品関連から聞き込むことにした。
WZ-551*19が手配され、それに乗り込む。
重装備型*20ではなく14㎜機銃搭載型で、玄龍門なりの”配慮”らしい。
伝統伝統言うならそれの美学を見せてもらおう、アンシャンレジームの美学だ、これくらいはしてもらう。
斯くして到着したが、サヤは連れてるうちの法務官など増えて累計8人ほどのチームに露骨に嫌な顔している。
お前の予想通り厄介事だよ、おらドアを開けろ! 開けなきゃマスターキー(M870散弾銃)だ!
「玄武商会と玄龍門の争いなんて、ぜ~ったいに巻き込まれたくないのだ!」
「トリニティとゲヘナの争いの間に立ってる俺によく言うな、おい!」
断固立てこもる姿勢に、ルミ会長が餌でつり出して開城させた。
搦め手が出来る奴なのか?
「いやいきなり”開けるかドア破るかお選びください”は交渉じゃないよ」*21
「やっぱ連邦捜査部やべえな」
ミナ! お前まで!
「カイザーにはこれで許されたんだがなあ」
「サヤはカイザーほど悪じゃない」*22
「確かにそうだった、すまん」
改めて話を伺う、学術的インテリは明確に質問すれば正しく答えてくれるから素晴らしい。*23
そして聞けば聞くほど分からない、植生と加工、どちらも難しいらしい、違法に採取してるとしても、栽培してるにしても、高度な技能者ですぐにバレる。
ミナとルミ会長に「そちらの取り扱い技能者、マークしておけ」と指示し、首を傾げる。
「尻尾を掴めるとは思えんが、唯一の栽培地へ向かうか」
「手配しよう」
ミナは目を輝かせながら電話している、あの目を見た事ある、なんだこのミナって奴アルの同好の士の類か? *24
見た目が面白いし仕事はこなしてるから面白くて無害だから良いけど!
外へ出て、栽培地へ向かう。
やはり、記録は完璧にきれいなままだ。
しかし何処からか持ち出されているのは事実だが、ミナとルミ会長の話では「配送所はうちの検査が入るから無理だろ」と言う。
しかも密輸警戒で定期的に抜き打ちされるというから、汚職と言うのも考えにくいらしい。
「だが、自治区を跨ぐような密輸は連邦捜査部の案件だからなぁ。いちおう確認にいこう」
ルミ会長は、やや暗い面持ちをしていた。
配送所は連邦生徒会や配送業者で大忙しである。
ドローンが飛び交い、数少ないヴァルキューレの警官があくせく走っている。
抜き打ちで慣れたか幹部を見ても慌てた様子もないし、検査官も記録照会をすぐにしている。
疚しさもなさげであるが、過去発見された段ボール箱はここで見つかったらしい。
「だが検査してるわけなんだろ?」
「してますよ、嫌になるくらい……」
ウーロンを呑みながら検査官は呟いている。
するとまた集荷されてきた荷物がするりと通り、検査官は「それは気にせんでいいから通しちまえ」と指示した。
「検査しなくて良いのか」
「梅花園ですよお? 幼児趣味じゃなきゃ開ける奴いませんよお」
検査官は呆れた顔をしている、法務官に検査指示を出した。
「あー、予定が」
「公務妨害はダメ」
「連邦生徒会め」
検査官から嫌そうに言われるのを無視し、集荷の箱から一つ出た。
「出た!」
本当に出ちゃったよ。*25
検査官も唖然としている、ミナは笛を吹き「直ちに総検査!」と慌てて指示している。
すると出るわ出るわ密輸品! あふれ出る密輸品! 大体10箱に1つで出てくる密輸品!
「全体で6%だとしても」
「梅花園から送り出されてるんだから洒落にならんぞ」
事があまりに大きくなり始めた。
電話して、強制執行用に10名ほど増援を呼ぶ。
嫌な気分だ、児童教育施設に警察としてガサ入れとは。
「交戦規定は先制射撃禁止だ、作戦地域は民間人の子供が居ると想定しろ。物品その他の被害と破片も考慮しろ」
建物の地図を確認し、隊員たちに交戦規定を通達する。
SRT生徒ならば度々訓練でもあるシチュエーションだ、幸い時間帯が夕方で児童は少ないがまだ居るかもしれない。
全員がセレクターを単発へ変え、シャーレでは珍しい防弾盾を持ち出す。*26
ココナ教官は最悪の日を迎えた。
窓から進入した第2班と裏口から進入した第1班のエントリーをいきなりくらった。
職場に重装備の特殊部隊が出た、ココナの思考は動作を停止して、立ち尽くした。*27
「腹這いになって手を広げろ!」
ビーンバッグ銃を向けられて隊員に組み伏せられ、拘束されながらココナはなんでと驚愕していた。*28
荷物置き場からは、おつかい練習用の段ボール箱に密輸品が見つかった。
「どういう事だ」
びえええと泣いてるココナ教官を横目に、シュン教官が答える。
「はい、それが以前から度々おつかい練習で依頼を下さる方が居まして」
心の底から安心した、梅花園は監視カメラ記録や目録をちゃんと記載している。
ずびーっと鼻水啜って、泣き止んだココナ教官が言う。
「明日もその方が来ますよ」
「大当たりだ、ありがとうココナ教官」
「お願いですから重武装で乗り込まないでください……」
「いやあ下手すればここが本拠地かと恐れててな」*29
心の底からココナ教官に絶望を向けられる。*30
酷い、爆破も強行もまだしてない! 窓と裏口をピッキングしただけだ! *31
送付先リストも判明した、ならばやる事は一つ。
外郭地域のビルが拠点だと判明した。
事のあらましをキサキへと語ると、キサキは心から安堵した様子で、そちらとの協同と言う形で構わぬと告げた。
「いいのか? 自治権や介入だと抗議してもいいし、戦果は其方で取ってくれても構わん」
「いや、此方のが引き締めに使い易い。いい加減内部を締めなおす頃合いだろう」
「本音をききたいな」
「……うちの阿呆たちがこれじゃ引っ込みつけれんじゃろう?」
その阿呆に自身も含んでるのかもしれない、案外センチメンタルな奴なのだろうか。
ともあれ勢力指導者から許可が出た、証拠も掴んだ、ヴァルキューレへ報告する用意も終えている。
くるりと振り向き、各作戦部隊に状況を確認する。
「ミナたちは地上から一気にぶちのめす役割だ、重要だぞ、気合いれていけ」
ミナは妙にうきうきとしながら執行部を確認している。
「レイジョ、ルミ会長たちは隣接するビル外壁を爆破後側面から突入、敵を分断し証拠破棄を阻止する」
「誤射するマヌケはうちにはいないよ、安心して」
レイジョも頷き、カンフーぶちかます気満々だ。
「そして最上階からうちの部隊がヘリボーンを開始する」
作戦計画は確認された、地図も概ね信用できるらしい、無論改築されてる可能性もあるから完全に信用はしない。
「速度が全てだ、急いで正確に制圧する」
密輸グループの拠点、ビルは9階建てで、6階にその部屋があった。
赤を基調とした気品あるその部屋では、玄龍門の幹部と震えた様子のオートマタのブローカーが座っている。
「やりすぎたんだ、連邦捜査部まで絡んできやがった。連中容赦ないぞ」*32
ブローカーが震えた声で言う。
近頃ブラックマーケットにシャーレが介入してくるケースは多い。場合によっては闇銀行だろうと金庫を焼いて滅茶苦茶にするという。
彼らが介入し始めたせいでカイザーが迂闊に武器を売らなくなり、むしろシャーレが「無刻印銃、買います」と新手の手段に出たので闇市は大混乱だ。*33
ブローカーは「もうおしまいだあ」と震えているが、下級幹部の彼女にはおかしな話だと思えた。
連邦生徒会? 連邦捜査部? そんなもん鼻薬きかせりゃすぐ飼える、ブタの何が怖いという。
だいたいSRTですら横流しされた武器が出てんだ、そのうちボロが出るさ。*34
「あ?」
やかましい音がする、ヘリコプターだ。
ドン! と爆発音が轟き、足音や物音が響く。
「くそ! 侵入者か!?」
「もう終わりだァ!」
「じゃかましい! 逃げるぞ!」
電話をかけて自身の配下部隊を呼ぼうとするが繋がらない、回線が切られたか。
1階からも戦闘音が聞こえている、あの音はQBZ系だ、やばい玄龍門の執行部隊か! 。
屋上から突入したシャーレ作戦部隊は最上階を制圧、続けて下へ向かう。
戦闘が始まっているのに指示がないからどうするべきか判断をつけかねてるオートマタ達を排除、前進する。
倒したオートマタがまた動こうとしたので、MP5を撃ち込んで黙らせ、確実に制圧する。
「上からも来たぞ!」
56式を構えた玄龍門の人間が叫び、即座に排除するが、続けて3名が現れフルオート射撃で制圧してくる。
分厚い防弾盾を構えて掃射を耐える前衛の裏から、二人がM67手りゅう弾を投擲する。
ドン! と爆発が起こり、縦隊を横隊へ変更して前方へ掃射する。
5人からの一斉掃射は凄まじく忽ちに立ちはだかる相手を制圧する。
「でやああ!」
横から薄い壁を破って玄龍門の人間が一人襲い掛かるが、隊列中衛が腹に3発叩き込んでくの字に相手を折り、その隙に頭へ撃ち込む。
続けて階段へ向かい、8階へ降りる。
「装面」
ガスマスクをつけ、暗視装置を起動する。
「追い立てるぞ、ガス展開」
CSガスが飛び交い、さく裂する。
たちまちに8階の各所がガスで満たされる。
部屋にだれかが居るならガスで咽てるからすぐに分かる、非戦闘員が居ないと非常に楽である。
「爆破」
「投擲!」
ドアを爆破し、9バンガ―を投げ込み、眼を眩ませる。
眼がくらんだ相手を狙撃し、一つ一つ部屋を制圧する。
相手はろくに戦闘準備が出来てない、今日日特殊部隊に9㎜や45口径が通じない以上、圧倒的武力で制圧されるのは必然だった。
各所で投降が相次ぐ。
状況は絶望的だ、各所で分断されて制圧されている。
どんとさらに爆発音、かなり近い。
「クソ! 上の敵がもう来たか!?」
「いえ、横の建物を爆破してこじ開けたようです!」
下級幹部の問いに部下が答える。
こうなっては上の敵は素通りだろう。
「やばいぞ降伏しよう!」
「るせェ! 素直に降伏して受け入れる連中じゃねぇだろ!」*35
また爆発音、銃声が近くなった。
外の通路で交戦が始まっている、7階の床を爆破して6階へ侵入したらしい。
「ランチャー!」
シャーレの突入部隊に63式3型ロケットを撃ち込む。
爆発が起こるが、相手から擲弾がぶち込まれた。
「ひい!」
40㎜擲弾が2発弾着し、Mk46軽機関銃がうなりを上げる。
全く戦意が折れていない*36、損害が出たのは軽機関銃が制圧射撃してる点から分かるが、怯んだ様子がない。
「もうダメだァ!」
「泣き言言うな!」
バリケードを死守しろと命じながらブローカーを立たせる。
すると何か、バリケードに長方形の何かが投げ込まれた。
「あ」
C4爆薬*37が点火され、ビル全体が震える。
「奴ら狂ってる!!」*38
「やりすぎだあの連中!」
突撃が開始され、最後の数名も倒された。
「ちくしょう」
「ひいい、お願いです殺さないで」
2人に返答代わりのストックが叩き込まれ、意識を飛ばされた。
『状況終了。現在までに制圧19、投降27、輸送願う。どうぞ』
遅ればせながら到着した輸送警備車がつき、呆れた顔でヴァルキューレの警官が運んでいく。
「ひっでえなまるで市街戦だ」
「あーあやりすぎだよ取り壊しなんじゃねえか」
商会も玄龍門も下級構成員たちが頭を掻きながら話す。
シャーレの法務官は記録目録の撮影と書類を記載し、突入隊員たちは3名の負傷者を抱えて帰還準備中だ。
「いやあえらいもん飛んできた」
「なあ」
ロケットが幸いHEATで手前に命中したため、破片を食らう程度で済んでいる。
フェイスバイザーのお陰で深刻な怪我ではないから良かったが、眼がチカチカしている。
「で、だ」
「黒幕は7囚人か」
以前から薬物密輸の前科、サヤをして問題児と言わしめるとは。
下級幹部にしても詳しくは何も知らんだろう。
今後も警戒し、捜査を続けるが……雲隠れしてんだろうなあ。
「いやはや、動くときは嵐の様にというか」
「火のごとし?」
ルミ会長とキサキが呆れたような、感心したような顔をしている。
「今後は気を引き締めていかねばならんな」
「ねー。毎度毎度こう爆破されちゃ困る」
好きでしてるんじゃない。
ともかく一応大団円となったが、今となっては、考えただけで頭痛くなる。
「うわぁ、シャーレだ!?」が聞こえる聞こえる、まあ梅花園の園児には受けが良いんだけど*39……理由は知らない。*40
山海経で大仕事があるときはスクワッドは必須だよなぁ……。
実績たっぷりでまた会いましょう
明日は7月7日7時7分ですトリプル7で縁起が良い、公安副局長もお喜びでしょう。
皆さん明日は何を願います?私は長谷川ナポレオンがミリオンヒットを超える事です。