キヴォトスの若鷲(エグロン)   作:シャーレフュージリア連隊員

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何度も改定が入りそうなので初投稿です。

サブタイが無い時は悩んでる回です

人は、真実であってほしいことはすぐに信じてしまうものである
   ─ユリウス・カエサル─




謀議

 

 定刻前に部屋の片づけを行う、機密事項と考察資料も多い。

 盗聴などが無いのはアロナが確認した、監視がついていますと言われたが、当たり前だとそれは気にしない。

 ついてませんと言われた時の方が恐い、何かがあるという事だ。

 ある程度片付けが終わり換気が終わるころに部屋の扉がノックされる、ある意味3者面談の時間だ。

 鍵を開け、扉を開ける。

 

「よく来た、入りたまえ」

「失礼します、先生。コハルちゃんはモヤモヤしてたようでしたが、お茶を一杯飲んで寝ました」

 

 ヒフミが入ってくる、後ろからハナコが水着できたが……まぁそれはいい。

 全裸だろうがフルアーマープレートでも話すことは変わらん

 二人が入室した後鍵を掛けなおす。

 

「こんばんわ、先生」

「約束を守って来てくれて嬉しいよ」

「二人とも座ってくれ」

 

 ハナコが普段、あまり見せない視線をする。

 いよいよお前の本音が聞けそうだ。

 

「あら、先生? 驚かれないんですね?」

「換気中に雨の匂いと雲の匂いがしてな。それで水着なのかなと」

 

 不満気だな。成程、ある程度掴めてきた、どこから切り出すか。俺の事はあまり好まれてない様だからな。

 

「これはパジャマなので、お気になさらず」

「うむ、体調管理ができるなら構わんよ」

 

 駄目だ、こういう返しにはつい皮肉気に返してしまう、多少いい意味で雑に扱えるモモイ達が懐かしい、放課後補習部は薄いガラス製品が多いのは困る。ヒフミが必死の表情でハナコのジャージを掲げている。

 

「君も俺に相談があるのだろう、アズサの事だろう?」

「……何でも見透かしておられるようですね」

 

 声には不満げ、というより反感があった。

 

「そうだとしたら、楽なんだがな、何時も人生とはままならぬもんだ。ヒフミ、どっちの話から聞きたい?」

 

 ヒフミさん、何「わー何だか凄いことになって来ちゃったぞぉ~」って面してやがる。

 お前がカギだと言ってるだろう、現状お前が一番アテになるんだからな、コハルもまああてになるが、今は不向きだ。

 

「ひゃぃ!? ここで私ですか?」

「君は人徳もある、話しやすい方に任せるのもいいだろう」

 

 ヒフミは深呼吸して、話し始めた。

 

「なら、まずアズサちゃんの方からで、先生も心配をされてるようなので、此処から入る方が先生も他の話をしやすいかなぁって……」

 

 良い方法だ、命令と言う力推しに頼りすぎたな、イタリアの切れが俺も鈍っていたらしい。

 もう少し俺も、話が分かる先生としての努力を怠って居たかもしれん……。

 関係者に配られた「あの、名作が生まれるまで開発者たちの最後の48時間」と言う番組風ダイジェストを持ってるが、アレを使うと、全員のイメージが戦死する。

 モモイ投げたり*1ミドリに飯食え言ったりアリスにユズを風呂にぶち込め*2と言ってる姿なんか今は見せられない、今度解決したら見せてやろう。

 

「実はアズサちゃん毎晩どこかへ出かけてるようなんです」

 

 背中に走る電流! 眉間を抑え膝をついてしまった、ハナコが続けようとするが俺の山が当たって居れば危険だ……。

 

「それは今日もか?」

「そうだと思いますよ」

 

 やらかした! 悔いても足りん、ヒフミもハナコも俺の様子に気づいたのか、駆け寄る前にジャージを羽織っていた。

 

「どうしたんですか? 生徒が夜に怪しい逢瀬するのは先生としてはいただけない、そういうところでしょうか? いいじゃないですか」

「今からでも探しに行きたい気分だ……”アイツに夜中誰かと会うほど親しい奴は居ない”……」

 

 今までとの空気の凍え方が変わる、何だ真面目な顔と雰囲気を出せるんじゃないか、ハナコさん。

 何度か見えていた君の本音を見せてもらおう。

 

「そのためには浦和ハナコ、君の話になるわけなんだ……もはや取り付く島さえ惜しい、君から話してくれた方が嬉しいのだが……」

「あらら、先生と言うより、探偵さんですねー」

「トリニティでは先生探偵と言うジャンルでやって行こうと思ってる、ここの空気はあまり好きでは無いんだ」

 

 ジョブは転職できる、アリス、お前の発言は役に立ったぞ。

 どうした、急に表情を変えて。

 

「だからと言って、先生もヒフミちゃんも遅くまで起きてちゃだめですよ、確かに試験も大事ですが、ただ落第と言うだけです。体の健康と比べられるものでは無いと思いませんか?」

 

 ため息を付いて顔を上げるとヒフミと目があった。

 

「普通だったらな、これ読んでみろ。刺激的だぞ、眠気も月まで飛んでいくぞ」

「あら、どのような内容なのでしょう──ー」

 

 ヒフミと作っていた双方の状況連絡手帳を渡し3ページ目を開くころには、ハナコの表情は凍り付き始めていた。

 ある程度読み進めたハナコが聞いてくる。

 

「そう言えば先生は態度はどうでも良いのですか? この手帳にはそのようなこと書かれてませんが」

「放課後補習部の赤点を解決するために来たんだぞ。それはそれとしてテストには合格してもらう、なんであろうとな」

 

 仕事は仕事だ、合格はしてもらう。

 此処まで見せたんだ、お前の話も聞かせて貰うぞ? 

 

「お前の怒りは分かる、これをどうにかするためにお前の素性が分からないとある種の手詰まり、横から何とかしてやりたいが、退学後になってしまう」

「あら、連邦生徒会捜査部シャーレの権限を使っても良いんですか?」

 

 ジャージの裾をぴらりとめくる、そういうの似合うのは多分コハルやハナコじゃないのは分かるぞ。

 

「俺もお前に劣らないぐらいには怒っている、光学迷彩下着が賞を取るキヴォトスで露出などそこまでとがめはせんよ、氷の張った湖を半裸で泳いでウォッカがぶ飲みして鶏の真似に比べればマシだ」

「まぁ! 先生は法を破る生徒は嫌いなのかと「腹の色と真逆の色の制服を着た皆さん」(シャーレ通常隊員の制服は白)の責任者ですから」

 

 ハナコの本音が出た、こいつ根っからのリベラリストだ、凄いぞ多分ジャコバンも驚くばりばりの極左だ。

 良いだろう、俺もここでの此処までの本音をさらけ出してやる! 

 

「お前は泣いてる子供が居たら無視する人間か、おれは違うと信じるが? ここは余りにも泣いてる人間を無視する人が多すぎる、それを何とかしようとしているだけだ」

 

「そして自身の権勢は御拡大」

「したくてしてるなら俺は手が遅いと思ってる事になる、お前そんな風に俺を見てたのか? 俺がお前をどう見てたか教えてやろうか?そして俺が権力握ったらこんな馬鹿騒ぎさえ起こさせない、今頃市民の武器没収について考えてるよ」

 

 ハナコが押し黙る。

 社会学の授業は受けただろハナコ、でもBDはこれを教えてくれなかったはずだ。

 革命期の混乱で権力を掴んだ男の話だ。

 

「碌に権力に過度に干渉する権威に価値があると思うのか? それぞれの職分をこなすのに必要以上に権力も必要ない、無能に行政権を好きにさせるだけで犯罪だと俺は思うね」

 

 コーヒーのお代わりをいれ、ハナコに砂糖とミルクはそこと指さす。

 

「その癖、権力を持つと発生する義務は果たさないと来た、責任は大人が背負うのかもしれないが、権力を振るうなら対価は払え。権力や権威にタダ乗りして己の力の様に振るう存在は絶対に存在しても存続出来ないし、しそうなら俺が潰す!潰した後の責任は取ってやるさ」

 

 此処までの調査で見て、聞いてきた怒りが噴出した。

 成るほど共和制ローマ末期にスッラが現れ、カエサルがルビコンを渡るわけだ、そしてルビコンを渡ったカエサルが友人に刺された訳もな! 

 そして共和政は崩壊しその残骸を容赦なくアウグストゥスが全てを掃除して帝政になった、変革は避けられないのだ。

 エデン条約とは西ローマ(神聖ローマ帝国)東ローマ(ビザンツ帝国)の再統合か? 東西教会の和解か? ビザンツとも言えるトリニティに賛成派が少ない訳だ。本来なら救世主見たいな奴が自己犠牲と原罪を背負い死んで3日後蘇るかもしれんが、俺は神聖ローマを終わらせて、東帝国の残骸2つと戦った男だ、寛容は俺の武器だが、自己犠牲は俺に求めるな! 

 

「先生……」

 

 ヒフミが俺を別人を見る目で見ている、どうしたハナコ。これが俺の一つの本音だぞ。

 

「そんなに大きい声だと外の警邏に聞こえちゃいますし、コハルちゃんが起きちゃいますよ」

「大人は長話するんだ、これは雑学の区分だぞ」

「みっ皆、座りましょう私ペロロ様サイダー取って来ますね」

 

 ヒフミが、一旦退出しようとする。

 鍵を開けてドアを開けると、コハルが小動物の様に震えていた。

 

「……今夜の謀議は終わりかな」

 

 天気予報を見る。

 明日は雨か、どのみち雨は嫌いだが、これもよかろう。

 

「よし、明日は午後から少し出かけるか」

「む、無断外出はダメ!」

「コハル、良いこと教えてやろう」

 

 コハルに全権委任状を見せる。

 

「権力は大体の悪徳を正当化できるんだ、やると寿命が削れるけどな」

 

 心の底から呆れたような顔をするなコハル、ジョークだよ。

 

 

 

ロココ様式の空間では、「陰謀の匂いがしてきた」と身を乗り出し始めた自称警察長官がホットドッグを齧っている。

 

「謀議にしては、甘いですな皇帝陛下!まあ先手を打ってクーデター出来ないからしょうがないですけど」

「あのクーデターの時は肝が冷えたよ」

「ベネヴェント大公はあの時逮捕しておけばよかったと今でも思ってますよ」

 

食べ終えたホットドッグの袋を丸めて自称先輩へ渡す、ゴミ箱はあそこだと指を指した。

 

「あの爬虫類人間来てから、一気に冷えてきたよ、何とかしてくれ先輩だろ?」

「ひぃん……あんな露骨にいやな顔してる師に関わりたくないよぉ……ホシノちゃん助けてぇ」

 

自称先輩がとぼとぼとゴミ箱へ歩く。

基本的に自称先輩はこの部屋ではあまり偉くないらしい。

 

「しかし、絵図は見えてきましたね」

「預言だか予知夢ではどうなって居るんだね?」

 

これだよこの大人どもは。

本棚の本を押し込む、あまり良い光景が見れないし、見たくもない。

 

「そう簡単に言わないでくれ。君達には他人事かもしれないが、私は当事者なんだ。」

「おや、先は知れても怖いと見える」

「人がいつか死ぬことを思い出すのがそんな不愉快かねえ」

 

こいつら……!

セイアがむすうとするが、意にも介さない。

だいいちに未来予知というが、組み合わせパズルでピースが変わる事もある、無論そのようなことは万に一つも無い。

だが未来予知がその実、恐らく自身の神秘による平行世界観測と言う疑惑が出て来てしまった。

最大の夢との違い、そう、先生だ。

ノイズと砂嵐で分からない、でも分かるのはあの夢で見た撃たれた先生と今の先生が何か違うということ。

 

「君たちは、私の預言を信じないのか?私の故郷が戦火に包まれるんだ、分からないのか、私だって違って欲しいんだ」

「別に日常的に戦闘してるだろ」

「殴り合いの感覚で銃撃してるじゃないか」

「……それが殺す為でもか!?」

 

大人二人は口をそろえて言った。

 

「「セ・ラゲール(それが戦争だろ)」」

 

殺意も無く銃器を握り、凶器を手にする。

キスの仕方も知らない子供が銃の撃ち方だけは知っている、純粋な蛮人に近いキヴォトスの住民には無い考えだった。

 

 

 

 その翌日。

 夜間、ランドローバーを借用して外へ出る。

 なんか午前中には水着でパーティーだと声がしていた、お前ら何をしてたんだ、俺はサクラコと資料提供の交渉してたのに。

 なんなんだシスターフッドとか言う組織は、政治介入しないのは良いが、何も言わないとそれはそれで政治集団と同意語だぞ。

 その点をどう思ってるか聞いたら滅茶苦茶嫌そうな顔された、事実を言って許される! 権力はここだけが良い点だ。

 

「でまあ、お前ら何か気になってるところでもあるか」

 

 アズサが片手を挙げた。

 ここでお前か。

 

「噂に聞いた喫茶店がある、そこへ行きたい」

「深夜に甘いものが食えるのは若さだなあ」

 

 喫茶店か、しかしあの目は多分本気で気になってる目だ。

 だが近づくにつれ、あまり良く分からなくなった、こいつ私情で言ったのか。

 先生てっきり偵察だと思ったのに。

 

「こんなところ見られたら」

「多分制服やめた方がいいと思うんだけどな。それを言うなら」

 

 コハルは「だ、だって私は」と目をウルウルさせている。

 そうだった、コハルのアイデンティティの問題であった。

 

「まあ」

 

 聞き覚えある声がした。

 ハスミ、何故ここにいる。

 しかもその空いたパフェの容器2つはなんだ、コハルからダイエットしたいと言ってる話は聞いたぞ、おい! 

 こらハスミ、もぐもぐするな、流れるように3つめ頼むな。

 

「……たぶん夜間警衛の帰りなんでしょう」

 

 ハナコが見かねて助け舟を出した。

 ごくんと喉を鳴らして、ハスミは落ち着き払った動作で「ええ」と言った、本当か怪しい。

 だがある意味これで話がしやすくなる。

 

「そういえばコハル、成績が伸びてると聞きました」

「えっ」

「先生から聞きましたよ」

 

 コハルはなんで! と驚いているが、すぐに気づいた、そうだよ俺は合同警備本部長だよ。

 

「だからたびたび外出したり校内をせわしなく動いてるんですねえ」

「締結前のリエゾンは色々やってるよ」

 

 この前はカンナ公安局長と道路封鎖に関して話し合いをしたし、連邦生徒会のモモカに交通管制の計画を話したりした。

 

「まるで戒厳かクーデターみたいですね」

「よして縁起でもない、ただでさえ連邦生徒会の一部はこの世の問題はシャーレが生んでると信じてそうなんだぞ」

「あらあら理由充分」

 

 ハナコの奴本性隠すのをやめたな、先生はコハルじゃない、遊ぶな遊ぶな。

 そのコハルはハスミにドーナツ与えられて餌付けされてる、頑張ったご褒美と言ってるが明らかに共同正犯のための言い訳だろ。

 ヒフミとアズサは噂の……ぱおろ? だかのキャラのケーキ食べてる、アズサもハマったのかお前。

 広がる邪教信仰とか言ってクロノスあたりに書かせたら面白そうだが、フランスより引き金が軽いから吹き飛びそうだな。

 

『もしもしハスミ先輩、イチカっす。ちょっと襲撃事件で封鎖線築いたんですけど、突破されそうで』

「こんな時期に? どこの連中です」

『ゲヘナ生徒ですね』

 

 ハスミが嫌そうに言う。

 

「またゲヘナの悪童ですか、規模は? 不良が大隊で来ようとこのハスミは」

「あー、構成員は4ないし5。戦闘能力は極めて高しと報告が」

 

 それを聞いて思わず頭に陸八魔アルという単語と顔が浮かぶ、アル、お前もか。

 しかしそうなると極めてやばい、あいつら凡百の悪童じゃないのだ、たまに喧嘩売る相手間違えるだけで戦闘能力は高い。

 いまだにヒナにボコボコにされて収監されてないあたりが証左だ、投降する悪知恵もある上に、逃げる事に躊躇がない。

 しかし逃がさんぞ、覚悟しろアル。

 

『ゲヘナから情報来ました、美食研究会とかいうテロ集団だそうです』

 

 何だ違うのか……疑って損した、あとでアルに難癖でもつけて遊ぶか。

 

『あっ! 目標封鎖線突破!』

 

 爆発音が聞こえ、車両の音が聞こえてくる。

 仕方ない、鎮圧協力をしよう。

 善きサマリア人だったかを見習って。

 

 

 

 

 

 現場にハスミとイチカが居てくれて助かった。

 正義実現委員会の指揮権とシャーレから緊急展開したヘリボーン小隊で直ちに鎮圧出来た。

 補習授業部も銃口の数の面から投入したが、かなりあてになった。

 ヒフミがぶん投げたバルーンで視界を遮られたところに、補習授業部全員で集中射撃して車両を停止させ、人質らしき生徒を確保した。

 市街地に車両放棄して逃亡した残りはうちと正義実現委員会のみんなで追いかけ、見つけ出して、ボコボコにした。

 増援としてツルギが来た頃には大体完了しており、ツルギからの何か感情籠った熱いお礼の握手がされる。

 

「条約前の時期に何してくれとんじゃあ!」

 

 あーあ、深夜出動でうちの隊員がキレている。

 正義実現委員会のメンバーは発火した車両の消火を急いでいる、アズサ、お前何を撃ったの。

 聞いたら「装薬増加型のフルメタルジャケット弾だ」と言われた、そりゃエンジンがお釈迦になる訳だ。

 

「またうちの不良生徒たちが手間をかけたようね」

 

 シャーレのぺイヴホークから、ヒナが降りたつ。

 補習授業部の一同は全員が驚いた顔をしているが、そんなおかしい事じゃあない、合同警備本部だからな。

 

「そこのした……えー、負傷者から順で」

「アイアイ」

 

 うちの隊員に運ぶように連絡し、セナとかいう生徒が書類を纏めていた。

 

「そっちの救急担当か」

「ええ、明日のニュースには”シャーレとの共同で逮捕”となるでしょうから、まあ舞台裏の護衛みたいなものよ」

「早く片付いたから出番なし、って事になったが詫び文はいれにきた、まあそういうところか」

「理解が早くて助かるわ」

 

 ヒナがあれこれツルギとハスミと話、一礼して去る。

 

「そういえばまた何か変な事してるって聞いたわよ」

 

 補習授業部をちらりと見る、これで二回目のヒフミ以外全員ビビッていた。

 いたずらごころか、ヒナが微笑んで手を振る。

 ふと、マコトのあたりがエデン条約の意見を有しているか聞いてみた。

 

「あれにそういう思考があると思う? 元々エデン条約は私が主導して締結させようとしてたのよ」

「それに関しては初耳だな、理由は……楽隠居か? うちの隊員の枠はまだあるぞお」

 

 ヒナはそれを聞いて「勘弁してよ」と心底困った顔をした。

 

「全収容者収容。委員長だけです」

 

 ぺイヴホークからコパイが声を出す。

 ヒナは分かったと返事をすると、振り向いて言った。

 

「ETOは知っての通り、権限は分散される、貴方の望み通り。でも条約は文章を書き替えるのも出来る、案外狙いはそれじゃないの?」

「心外だぞ、アビドス砂漠ではあんな可愛らしかったお前にそれを言われるとはな、書き換えれると言う事は改定も更新もできる。」

 

 耳まで赤くしてヒナはヘリへと乗り込んだ。

 やっぱ怒らせたかな……。

 

『状況終了。全部隊は30分後までに撤収準備に入れ』

 

 後ろの無線機が、戦闘が終わった事と、朝が近づいていることを知らせた。

 

 

【次回予告】

 

人は戦場に何を求める。

アズサはただその日の糧のため引き金を引く。

ミカは理想のために己の手を血潮に染める。

マダムは実りなき野心のために、硝煙と死臭にまみれる。

雨は穢れた大地を禊ぎ、流れとなり、川となって常に大海を目指す。

 

次回「 スッラのローマ進軍 」

 

人は流れに逆らい、そして力尽きて流される

 

 

*1
思い付きで変なこと言った

*2
サービスシーンではなく殺害現場の再現みたいになりそう




求められてるであろう役割への怒りと、放課後補習部ガラス細工のような繊細さが皇帝を襲う。

見るたびに改定して終わりそうにないので一旦ここで投稿です
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