キヴォトスの若鷲(エグロン)   作:シャーレフュージリア連隊員

45 / 148

七夕なので久しぶりの2度撃ちです。
解釈などで殴って来たのがいけない、ので初投稿です。

暑いですので涼しい場所で本作読んで暇つぶしにしていただければ、全話のここすき量に驚きました。


La Patrie en danger(祖国は危機に有り!)

 

 

 

 

 最高の逆転勝利を手に入れて最高の気分が台無しだ。

 この目の前の前衛芸術男の演説のお陰だ、偉そうな事をほざいているが何が言いたいか分からない。

 

「先生、貴方の力は、これ以上作用しない」

「あの、アリウスに居た、無能の同輩か? もう少し謙虚な感じがしたが、家は新聞と宗教とゲマトリアの勧誘はお断りしてんだ、帰れ」

 

 やっぱり帰らねぇまた長話するぞ。

 お前らよりデカルトの主張聞き流したりやミヤコの抗議やミノリのデモ相手してる方が楽しい、何故なら連中は常に前向きだ。

 とんちきで馬鹿であほらしいが、人生を愉快で素敵に生きようとしている、そうした人間的煌めきこそ人を魅了する。

 

「嘗てお前が見たゴルゴンダはもう居ない。私は「フランシス」だ。デカルコマニーと共に新たにお前を見守るもの。従って、最後の宣告を傾聴せよ」

 

 青白い馬に乗れよ最後の宣告するのなら。

 

「見守りサービスなんて間に合ってんだ、長くなるなら帰れ、帰れ」

「この物語は、一つのジャンルを掲げていたが故に、「先生」が主人公で居ることができた」

 

 帰らねぇなら少し相手してやる、口は悪くなるが警告したぞ。

 

「落書き、俺は侮辱に慣れていない、その上で言葉を続けるならきつい言い回しで返しても文句は無いよな?」

「物語であったから、あなたは無敵だった。───これはそう言う物語だった」

「無敵ならここまで苦労してねぇんだよ、そういうってどういう物語だよ?」

 

 ぶっちゃけて言えば物語というには滅茶苦茶したぞ、記憶ないのか。

 無論奴は構わず話してる。

 

「しかし──今となってはこの物語は覆された」

「お前が無敵なだけじゃねぇか、クソ馬鹿!」

 

 おー続けてくれるねぇ、脈絡、構成、ジャンル、意図、解釈……全てが破壊されてってもう、大体壊れてる気がするぞ。

 アビドスとミレニアムと、エデンのあれこれ、連邦生徒会抗争、全部絶対ジャンル違うぞ。

 統制できてない物を何を今更、滅茶苦茶さで言えばジロンド‐ジャコバン‐総裁政府‐俺の政権交代シリーズくらいのレベルだ、アシニア紙幣のが安定してる。

 忙しいんだよ、暇人の相手は別の時にな。

 

「喧しいだけのへぼ物書きが自分が成れない、書けない物に嫉妬してるだけだろ? 作品出せるだけ、マエストロの方がマシだ。お前の構想と編成が下手なだけだ、編集も付けてもらえないのか? それだけ大口叩いて?」

 

 おう、俺の問いに答えろよ、宣言と演説以外出来ないのかこいつ等は? 

 俺は俺だ、お前の宣告はいらないんだよ。

 

「失せろ、へぼ作家、歴史だって物語だ、何やっても良いんだよ、読んだ奴が面白くて作者が自分の作品と胸を張れればいい、落書きみたいな顔に穴増やしてほしく無けりゃ失せろ!」

 

 胸元から短銃抜いてぶっ放したら、何か言って帰って行った、人生の数だけ物語がある、オリーブの木の下で死ぬものも居れば月桂冠を被るものも居る、それだけだ、ロディの橋も渡れなさそうな奴が抜かす。

 露悪やシニシズム(冷笑主義)こじらせたアホは王党派より役に立たん、小ピットのが面白いかもしれん。

 アロナが呼びかけるが、只の臆病者が人外の力持って好き放題言ってるだけだ。

 そんなことより動員掛けるぞ、アロナぁ! 

 

「はっ、はい、どこまでですか?」

 

 オフィスの衣服かけの上に乗せていた、三角帽の埃を払い被る。

 

「世界の危機らしいからな、”祖国は危機に有り”と言う事だ!連絡できる奴全員!!」

「生徒さん以外も?」

「当たり前だろう、子供が戦うんだ、戦える奴は全員*1だ、全ての部署に人手が居る」

 

 屋上から気配がする。

 黒服はご丁寧にメールで連絡してきた。

 

「よぉ、黒服! 住居不法侵入者は今日で二人目だ! そして一人目のせいで俺は非常に機嫌が悪ぃんだ、捕まえてホシノに売りつけてやろうか? 最近ゲマトリアはイメチェンでも流行ってんのか?」

 

 ビジュアル壊れてんぞお前、作画崩壊とか言う奴か? 

 そもそもこいつら攻撃されても効くんだろうか?効くなら仕留めても良い。

 

「クックックッ……お見苦しい姿で失礼します」

「俺が長ーい前置き嫌いなのは知ってるよな、その上で頼むぞ」

 

 黒服は相変わらずだなと言いたげに肩を竦める。

 

「承知しました。ゲマトリアは壊滅しましたよ、到達した「色彩」に襲われて」

「はー、お気の毒に、人に迷惑かけてるからだ、因果応報ってやつだろ。色彩って今空を赤くしてる奴か?」

「正しくは「侵略してきた」とでも申しましょうか」

 

 黒服は頭を掻くような動作をする、搔けるのか何の意味があるのかは知らないが。

 ちゃんと要望通りに纏めれるじゃないか。

 

「詳しく、まどろっこしいと承知しねぇ、逮捕権はこちらにあるんだ、抵抗する場合射殺する」

「先生、我々なら何しても良いと思ってませんか?」

「違うのか?」

「もう少し、手心と言うかですね」

「人に手心加えれるようになってから言え、おこがましい」

 

 ジョークのセンスも上げてきたようだ、ほざきやがる。

 未成年者や庇護すべき者への対応をされるほどお前らロクな事してねえよ。

 

「侵略してきた「色彩」と狼の……つまり砂狼シロコとそれとが接触したのです」

 

 黒服が地面へ腰掛けた。

 

「専門用語混ぜますが、恐怖の領域へと反転した彼女は、命あるすべての物を、あの世へと導く死の神「アヌビス」となり自身の本質が赴くがままに──この世界に終焉をもたらすでしょう」

 

 それを呼ぶ儀式してたのはお前らの所のアホだろ、変な儀式して店焼けましたから助けてと言いだすのは流石に革命期フランスにも居ない! 

 

「良いところで申し訳ないが、それ呼んだのお前達だよな? 外患誘致はどんな罪か分かるよな?」

「そう言われればその通りです、我々の同志が……あの何を?」

 

 言質を取ったぞ。今までの憂さ晴らしだ売国奴、破壊活動容疑者、ついでに誘拐、あと難癖でロリコン。

 

「逮捕と言う概念だ、捜査官が犯罪を突き付け犯人が認めたので犯罪者に手錠をかける、お前達の好きな言葉遊びだ」

「これは、一つ取られましたね、犯罪者の人権は?」

「どうせお前ら、研究結果も奪われたんだろ? 機密漏洩にまだ乗せれるよな?」

「これはお手厳しい……」

 

 なるほど痛いところを突かれたと黒服が笑う。

 

「これからは、俺が聞く、お前が答える、取り調べだよ、逃げても良いが犯罪者が逃亡した場合に取れる概念も乗せれるよな」

 

 丁度良い、連行して調書を書いてやろう。

 連行中確認すると色彩の特徴と、その指導者の名を聞いた。

 「プレナパテス」ねぇ?

 

「そう言えば、貴方は大人のカードを使わないのですね……」

「祈った事が無いんだ」

 

 詳細を聞くと奇跡とかアレだのこれだの言われたが、なるほど。

 

「俺は運試しはしても祈らないからな、敵には砲と銃剣、内には法と秩序この2つだ」

「では、その胸ポケットは?」

 

 何か入っている、見覚えのあるグラサンだ*2、何か使ってると消えそうだ。

 

「祈り、奇跡、概念ねぇ……、俺は祈られたことはあるようだ、ここでは特に」

「まぁ、恐怖と狂気によるものであれ、結果はそうですね」

「そこで俺は思いついた、これを買え黒服、お前とマエストロ位なら司法取引と言う事にしてやる」

「何ですかこれ?」

 

 黒服が素で紙を見ながら尋ねた。

 

「戦時国債だよ、知らない? 祖国防衛戦争だよ、資本家は買えよ、侵略者を撃退出来たら返済完了だ」

「まさか貴方、人に奇跡の対価の肩代わりをさせるのですか。これは驚いた*3

 

 ようやく少し理解してくれたようだ。

 

「戦争なんて狂ってないと出来ないだろう? 狂気も恐怖も勇気も大体の感情は情熱があるから生まれるんだ」

「貴方、侵略者は絶対に許さないと思いましたが、ここまでとは」

 

 黒服が心からの笑い声をあげる。

 

「俺の武器は寛容であるが、重犯罪者と侵略者に居る物かね? 買うか差し押さえか選ばしてやる」

「では、購入するものとして聞かせてください、勝算は」

 

 愚問だが、気分が良い、相手があやふやな物頼りで助かる。

 

「投資家としては当然だな。勝つのは俺達だよ。お前の同志が俺を主人公と定義してきただろ?」

「貴方に挑むと、魅せられるか焼き切られるかの2択ですか。なるほど賭けたくなってくる」

「しばらく大人しく傷を癒してろ」

「まあ私は時間と空間には縛られないのですがね、楽しみに待っていますよ……」

「脱獄しても良いぞ、遠慮なく始末できるからな!」

 

 黒服は異常なほど、おとなしく入っていった。*4

 

 

 

 

 あの世でもこの世でもない空間。

 ロココ様式のこの部屋もまた、空が赤くなっている。

 窓を開けて葉巻に火をつけるか迷い、やめたタイユランが歩く。

 

「いやはや、勝ちすぎてまた世界中と10年以上戦争することが無いよう祈るよ、あれ相手に交渉しろと言われたら私も困るがね」

「悪質なことはこうなると言う、良い見本だね。先輩、私の耳よりあちらの方に行けばいいんじゃないのかい? あっ握るな引っ張るな」

 

 頭が重い、乳を載せるなとセイアが抗議する。

 何故かアビドス生徒がまたきた。

 確か2年生の砂狼シロコだが、体格が小さいし、なんだかもちもちしている。

 たぶんイブキよりもちもちしてる。

 

「先輩は、2人目以降の後輩にどう接すれば良いのか分からなくなっているんだ、それに向こうに凄い共鳴してる相手が居るからねぇ」

 

 少し離れたテーブルに大型の石鹸カッターを持った強面の男とシロコが話していた。

 

「良いか、強盗ってのは強いからできるんだ」

「ん……お師匠の話は為になる、マスクを付けても箔が付けばバレるようになるから気を付ける」

「自分の戦利品には名前書いておけよ、奪われた後取り返しやすい、マフラー宝物なんだろ、名前刺繍して置け、Sってだけでも良いからな」

 

 セイアが顔を上に向けた、相変わらず自称先輩の乳が視界を半分は埋めてる。

 

「あの二人、シンパシー高すぎてあのヤバそうな方も引っ付けて戻りそうだが、大丈夫なのかい?」

「いやー私にも分からんねぇ……」

「私の後輩が、大強盗になっちゃう瀬戸際なんですよ師」

「セイア君には許したが、君にはまだ許してないんだがねぇ……」

 

 セイアが指をさす。

 

「並行世界の彼女の反転と言うなら、あそこまでズレてくると融合率が下がって行きそうだね」

「そのずれ方が問題なの! セイアちゃん」

「まぁ、取り込んだ方には同情するよ……大陸軍での大悪党ではあるが、最高峰の元帥であり勝利の女神の申し子とまで呼ばれたんだから」

 

 さっき邪悪なカメレオンみたいな自称警察大臣が帰ってくれたのに、先輩がこの調子で来客との相性が高すぎる……。

 古狼が若狼に狩りのやり方を教えてるような絵面だ。

 

「ふがいない、絶対奪い返す」

「その時は、これをもってけ若い強盗、あのチビが宝物を出せたんだ、ここで会った後輩に俺からも思い出だ、だからレッスンだ、奪ってみろ、その得物の使い方教えてやる*5

「ん……望むところ!いつかホシノにも勝つ!」

 

 周りの観客も盛り上がってる。

 ネジがキヴォトスより飛んでる。

 

「いいぞぉ! アイツから一本取ってやるとええがぁ~!」

「1発ぶち込んでやぇ!」

 

 こんなのが世界中暴れたって、修羅の国かよとセイアは思った。こいつ等に比べたらゲヘナの方がまだ常識的で淑女だ……。

 それと戦った敵達も品行方正な物語の勇者でもなく、奇天烈人間大乱闘であったようだ、外って怖いとこだなぁ。

 

 

 

 

 いやぁ、良い事をすると気分が良い、悪い大人も国家に貢献できれば大満足だろう*6

 作戦会議だと2週間も時間がある、預言者を探すとか言って居るが、預言で侵略者が帰るものか、鉄量を持って侵略者の血を絞り、勝つしかない。

 そしてカイザーが欲しがったお宝の正体、勝ち筋は見えてきた、あのクソボケ組織自分達で管理できない危険物で遊んでるって分かって寒気がしたぞ……。

 砲と言う恐怖と音楽と信仰、機動と言う芸術と畏敬を使い、6本の柱をへし折るのと世界をひっくり返すのはどちらが難しくやりがいがあるのだろうか? 

 

 アビドス砂漠採掘は元理事とエンジニア部と温泉に任せるか。

 結果次第で、元理事には恩赦どころか褒章が居るな……まあ司法取引とかで釈放してやるか。

 あの元理事自分が釈放されるまで、部下に会社立ち上げの準備までさせてやがったり。

 今回の敗残兵からも引き抜き行って「海関係でシャーレの下部組織をやるもよし! 学園を作り自分の伝説を作るもよし! 退職してからの方がやりたいことが増えて大変気力に満ちているぞ!」とか言ってたしどこに行くのだ元理事よ、そしてあいつを失ったカイザーの幹部級の影響大きいなぁ。

 

 おっ里帰りが終わったアツコだ。泣きそうな面しやがって。

 絶対勝てると確信させてくれたのだ、偶には俺が驚かせてやろう。

 

「先生、肝心な時に……」

「連邦生徒会の馬鹿どもが警備の手を抜くせいだ、アリウスは良かったか?」

「たくましい子達」

「奴にはもったいない場所だったな! お前の本来の居場所だ、育て上げろ! 革命の女神よ! 申し子よ!」

「えっ? えっ?」

「旗は私が持ってたじゃんね」

「市民革命の火は守らなきゃな、俺の勝利を信じてくれ、そうすればあの柱位幾らでもへし折ってやる!」*7

 

 各校の連絡を再編する、有線と無線と伝令も大忙しだ。

 カイザーと防衛室に感謝するとすれば、各学園が非常事態即応体制に入っていたことだな。

 これで色々楽になったが、防衛室ふくめ各幹部の連中殆ど所在不明だよカイザーのせいで! まあ、当てにしてはいない。

 どうせ雁首揃えて中身があるようで空っぽの事しか話さん、余計な事しかしないだろうから感謝して非常時戒厳を遊んでいこう。

 

『各地域で例の不明機体が出てます。現在交戦中』

「非戦闘員の白兵は回避させろ、まずは作戦地域からの民間人退去だ。概ねはエデン条約時の対処プロトコルで対応」

『DUロストハイウェイ地区は放棄!該当地域部隊は非戦闘員と避難民をDU-山海経並行在来線へ誘導!』

 

 あれこれと指示を出しつつ、アロナと接続させて全部隊とのデータリンクを確立させる。

 C4ISRとか言うシステム・概念らしいが、お陰で戦況は良く分かる。

 まず作るべきは聖域だ、即座に全生徒の端末をアロナから接続させ、地図アプリから更新させる。

 放棄予定地域、交戦地域、避難地域の3種に区域を分ける。

 各自手荷物は1人1個だ。

 

『そうだ、消火作業は通信線を最優先』

『D.U.ウェストパークをEVAC地点とする!』

『D.U.577区域は放棄! 民間人はいない、ただちに熱滅却措置に入れ!』

『クロネコ市場外郭から避難車両を通せ』

『D.U.407地区連絡が途絶えました、ヴァルキューレ第8分署との交信がとぎれとぎれです、直接指揮願う。』

『双葉公園は民間の傭兵に守らせろ! 近隣公園サービスセンターを中心に部隊を回す』

 

 各作戦部隊でまずDUを安定させ、根拠地から各所の部隊と連携して対応する。

 悦びや悲しみが因数分解出来るかは知らんが、敵を分解して叩き潰すのは得意である。

 

『甲種閉鎖区域3番地通信途絶、丙種閉鎖区域7番地に大規模爆発』

『ゲヘナ中央区役所駅消火作業難航! 鉄道は別から回してくれ』

『南区第二公立高校の避難所防衛部隊到着』

『旧第56工業地区退避確認!熱滅却措置に入る!』

 

 いまは戦力維持と避難計画が大事だ、あまり土地に拘らせなくていい! 

 そう各所に指示しながら、サオリの敬礼に答礼して部屋へと帰る。

 続けてハイランダーのCCCを呼び出し、地図アプリに送り付けた避難概要に従い臨時で列車を走らせろと指示を飛ばした。

 

『出来得る限り努力はするが防衛は頼むぞ』

「何とかしてやるから安心しろ!」

 

 監理官へそう言って一通りの指示を追える。

 すると、また黒い光が輝き、各所に敵が出てきたようだった。

 部屋にも光が轟き、黒い服のシロコが現れる。

 だがなにもかもがシロコと違うのだ、だいいちに、あんなスタイル良くない、デカくない、身長伸びすぎだ。

 

「おめーシロコであっても家のシロコじゃねーな」

 

 自分用のSIGを装填してスライドを引きそう言うと、このシロコのような何かは少し驚いた顔をした。

 

「!? ……あなたは……先生? でも、未来を変えることはできない。キヴォトスが終焉を迎えることは、決まっている」

「そいつは、生徒やその他と俺が決めることだ、お前じゃない」

「私は、宣言に来ただけ……、ここの先生、これは私自身の「本質」この世界を定められた未来をへと導く、その役割を私が担当しただけ。色彩はその手段の一つに過ぎない」

 

 向こうもどう呼ぼうか困ったようであるが、どうも違う。

 

「家のシロコじゃないんだよなぁ、お前。家のだったら「ん……奪えば全部」とか「奪った金はいずれ病気にも効くようになる」とか「カイザーは貯金箱」って言うような奴だぞ?」

 

 流石に向こうのシロコも困惑している。

 何か黄昏た、全ての命を別の場所(あの世)に導くこととか言い出したので。

 

「家のだとすべての宝を「別の場所(自分の金庫)」に導くとか言うぞ?」

「ここの先生、ここの私に何教えてるの? 確かに世界線同期が悪いと思ってたけど……」

「ちょっと、カイザーローン焼き打ちした時、お掃除用の熊手を持たせただけだから、俺が聞きたい。なんでだ、お前シロコだし分かるだろ教えろ!」

 

 意味が分からない、SIGを置いて、シロコらしき誰かが椅子に座る。

 

「んん~……理不尽、一応戻すよ? 最初に先生を導いたのも」

「ここへは、変な奴*8に連れて来られて、厄介ごと押し付けられてるねぇ、アビドスは自分で車列で向かったが?」

「こっちじゃそうなんだ……うん、でもね、避けられない物もある。この色彩も……わたしも……貴方はよくやっているけど……いずれ破綻する」

「良く知ってる。外で散々味わった。夢見て60万将兵溶かした」

「……なら、話は早い」*9

 

 彼女はそう言うと、椅子から立ち上がる。一言あったので呼び止める。

 

「ありがとうよ」

「何?」

「ゲマトリアのアホ共を顔面替わるほどしばいたのお前だろ?」

「そうだけど」

「あんなクソどもでも息の根止めてないなら、反転しても君の「本質」は同じだ、優しい子だ」

「言いたいことはそれだけ?」

「土産も無いのは感心しねえぞ、そっちのホシノにそう言っておけ。最後に勝つのは俺だ、あのクソ共ボコボコにしてくれたから恩赦はやるよ」

 

 無言で彼女は去っていった。

 数秒後、ユウカから『シロコが何者かにより目の前で消滅した』と連絡が入る。

 隊員のヘルメットカメラには、例の黒い光と、謎の背の高い巨人めいた、不審ななにかが居た。

 

「ど、どうしましょう」

 

 ユウカが困り切った顔をした、ユウカはなんだかんだ言って、面倒見が良い心配性だから当然ではあるが。

 

「今慌てても意味はない、状況を安定させていこう」

 

 

 

 

 虚妄のサンクトゥム、面倒で長いからただ単に目標とか攻撃目標とか呼んでるが、それ自体は対応は容易だ。

 住民避難が完了次第、砲撃やサーモバリック弾で解決している。

 いやァ!光の槍みたいに落ちていく戦術弾道弾が敵を吹き飛ばすのを見るのは身体に良いなあ、俺の胃も喜ぶ!

 

「ああああああSRTの秘蔵の弾道弾があああああ!ちゃんと返して下さいね!」

「弾道弾は持って嬉しいコレクションじゃねえだろミヤコォ!」

 

 「ぶー!」とラビット小隊が押収火器類を回収して出撃していった。

 物理攻撃が効果的なのは正直予想外であった。

 各地域での住民避難は幾らかの混乱が起こってはいたが、エデン条約時の避難計画を一部転用するだけで済んだ。

 それでも避難所にはたびたび後方に湧き出た敵が攻撃を仕掛けていたが、アビドス砂漠での「サーチアンドデストロイ」が戦術として転用している。

 いくつかの車両部隊で定期的に避難地域を巡回し、湧き出た敵を狩りつくす、詰まる所ゲリラ掃討だ。

 無論、それでも攻撃はあるがよくやっている。

 

『ちゃ、着剣!』

 

 コハルが避難所防衛で踏ん張っている声が聞こえた。

 

『ミカさん! 頼みます!』

『おっけー! 目指すはコールド勝ち!』

 

 爆音とともに地図から敵性反応が集団単位で焼失した。

 なにがあったんだ。

 

『なにって、廃棄されたT-80Uで野球しただけだよ。ガンランチャーって投げても炸裂するんだね』

『キヴォトスベースボール大会の優勝は確実ですよ』

 

 ナギサとミカはなにを言ってるかわかんねえな、コハルなんて絶句してるよ。

 

『非常警報! 大型移動物感知! 各自治区に接近中!』

「相手もどうしてやる事早い」

 

 小物の軍勢だと勝てないとみて、大物か! 良いだろう! 

 全部耕してやる。この前のデカグラマトン総進撃のお礼参りだ。

 いま俺はとてもむかついている。

 

「ユウカ、スランピア遊園地は更地にしたら流石に怒られるかねぇ?」*10

「アリスちゃんが悲しみますからダメです。昼の間は普通の遊園地なんですよ」

 

 ユウカにNOと言われてこれはやむなしだ、歩兵の肉薄攻撃になる。

 

「俺相手に古聖堂に立てこもるとはいい度胸だ、やっていいよな? サクラコ」

「駄目ですよ!近くに避難所あるんです。勘弁してくれませんか」

 

 巡航ミサイルの残りはダメと言われた。

 仕方ないし、サオリが私私と指さしてる、しょうがないな。

 

「155mmレーザー誘導砲弾1発借りてこい、ダブルタップで屋上壊して、爆破する!」

「勘弁してください、まだ色々遺跡があるんです」

「あなたは俺の部下(生徒)を殺す気ですか!」

「うう……」

 

 別に熱滅却でサーモバリック使うって訳じゃない、感謝しろよ配慮してんだぜ。

 サクラコ様が渋い顔して去っていった、梅干しでも食べてるのかな。

 すると、また黒い光が輝き、敵が転送されてきた。

 

『第7警備小隊からシャーレ指揮所! 敵が侵入!』

『第5警備小隊は交戦してますが転送は防げません!』

「なんでもありかよ! ふざけんな! 俺もそれ使いたいぞ!」

 

 これでロンドンへ攻め込むから貸せよ色彩! *11

 また黒い光が輝き、今度は上からも銃声が聞こえる。

 

「ユウカ! 上の方頼むぞ!手ェ空いてる奴ァ机と棚でバリ作れ」

「はい!」

「ロンドンに攻め込めても、この様ならレッドコートに叩きだされるな……」

 

 緊急用の武器庫を開け、MPXの安全装置を解除する。

 サオリも湧いて出たクマみたいななにかと格闘してるし、いよいよ滅茶苦茶だ。

 爆発が巻き起こり、今まで神聖不可侵だったシャーレ執務室に敵が侵入した。

 色彩化オートマタを銃撃して自衛する、生徒でもない敵なら別に躊躇せず撃てる。

 

「先生!後ろ!」

 

 サオリが叫ぶ。

 多脚の不明機体、恐らくKEYの呼び出した奴と同型の機体が現れる。

 視界を桜色の光が駆け抜ける。

 

「シャーレのワンちゃんも大変ですねえ」

「あ、ワカモじゃねえか、てめえまた抜け出したらしいな」

「だってつまらないじゃないですか」

「楽しいムショはないだろ」

 

 ワカモがぶんぶんと38式を振り回して主張する。

 しっかり右足で不明機体を踏んづけて、レーザーを撃てなくしてる辺りがワカモらしい。

 

「そいつまだ動いてるぞ」

「あら失礼。うふふ」

 

 相変わらずのボルトアクションと思えぬ連射で敵を排除し、ワカモは楽し気だ。

 

「思えば遠きあの頃! 初めての出会いもここでしたわね」

「地下のクラフトチェンバーだろうが」

「貴方様は私に一瞥を送り、私は心を掴まれてしまい」

「顔真っ赤で走り去っただろ!」

 

 どうもワカモはよく分からない、引くと押すけど押すと引く、ゲリラ戦か? 

 

「それからというもの、アビドス砂漠から今まで破壊と戦闘を見ているだけでワカモは熱い思いをたぎらせてしまいます」

「治安維持活動!!」

「つまり暴力では?」

「うーんお前インテリなのがたち悪いなあ」

「あら、貴方様にかかれば私はネコに」

 

 そういう話じゃない。

 だがまあ、仕方ない。

 

「しょうがないな、ワカモ。俺が許可する。色彩勢力に関しての交戦を許可する。やれるな?」

「はい!」

「今回の敵は活きは良いぞ、楽しんで来い!」

 

 ワカモが飛び出し、駆け抜ける。

 楽し気な笑い声と隊員の『良いんですかあれ!』という声が聞こえるが知らん、もう知らん、指揮に戻る。

 無線を確認したらヒーローみたいなテロ集団が防衛に参加してる、なんなんだよ。

 

『フハハハハ! 悪とはいえ、この世界が大事と見える! 共闘といこう! 数多くの戦闘員を送り出した悪の秘密結社シャーレよ!』

「秘密でも無ければ結社でもねぇ! 捜査部だ! うちは悪の組織みたいに毎週新型を出せねえよ!」

 

 こんなキヴォトスが欲しい奴がいるわけねえよ。*12

 3時間後を以て総攻撃だ、待ってろよ。

 

 

【次回予告】

 

死にかけた無名の司祭が呼んでいる。

全宇宙を敵にしても、我が下に来るべし。

我は与えん、無限なる力を。

我は伝えん、色彩の愉悦を。

神なる者の壮大な誘惑。

人たるアリスの壮絶なる決意。

いまキヴォトスに、最後の戦いが始まる。

 

次回「 キヴォトス防衛戦 」

 

全てを得るか、地獄に落ちるか。

 

*1
所確幸ほぼ動員確定

*2
それくれるって言ったのに……

*3
祖国防衛戦争で徴兵逃れるんならそれ相当な対価をだな

*4
色彩到来を祖国防衛戦争と定義されたら驚く

*5
タダで与えるのはマッセナではない

*6
動員か資金援助の2択

*7
この男に革命防衛戦争と言う概念を与えると

*8
酷い言い草だ

*9
噛み合ってるようで噛み合ってない

*10
この作品を読まれてる先生方々はどう思います? 

*11
ふざけんな! 

*12
でも愛着は沸いてますよね陛下




どっちがラスボスか分からない、最終編開幕だぁ!

どんな話が見たい?傾向を見たいだけです

  • モブ回
  • 一部の連中を原作と交換してみた
  • 上を踏まえた掲示板回
  • 空飛ぶモンティパンソン回
  • あの世でもこの世でも無いとこの連中回
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。