キヴォトスの若鷲(エグロン)   作:シャーレフュージリア連隊員

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最終章直後の報告書です、本作の現状維持を兼ねて


早瀬ユウカによる最終章直後のキヴォトスレポート

 

 

【現情勢における各種状況】

 

 機密ランク:A

 本部一部職員以外の閲覧を禁じます。

 

 編集者:早瀬ユウカ

 

 まず全般のキヴォトスにおける社会的情勢について。

 可能な限りの速やかな対応により襲来した不明勢力(色彩と一部呼称される存在)と、カイザーPMCによるクーデターにより再びキヴォトスは、会長失踪後の2週間よりはマシとは言え不安定な状況にあり、連邦生徒会はかかる事態において機能が不足しつつある。

 再建計画にあっても建設会社選定で依然明確な選定が出せず、また治安問題は以前からそうである様に防衛室が機能していない点から見て、行政及び権限の執行はかなり曖昧で具体性を欠いている。

 室長クラスの数名が入院又は過労である点などが社会インフラの再建にあたり大きな問題と化しており、指揮レベルの人材の不足は弱体な社会インフラを更に弱めている。

 かかる情勢下で我々連邦捜査部は炊き出しや仮設住宅建設などに加え、給水支援活動等でその作戦能力を割かざるをえない。

 しかしヴァルキューレは度重なる行政のミスと怠慢と汚職と指揮レベルの欠陥によりその能力は市民からの不信へ繋がりつつある。

 更に一部地域で色彩戦終了後に便乗したテロリズム、略奪活動も確認されている。

 大半はフーリガン的な個人単位、一部グループ単位と言うべき便乗犯たちだったが、交通インフラや指揮・通信への破壊活動、更に要人テロも行われており、明らかに”特殊訓練を受けている”犯行グループの存在は明白である。

 加えて申すなら、市民や学生の間にさえ政治的二極化の気運が存在しています。

 こうした情勢下には多種多様な原因が存在していますが、本組織の急速な拡大も原因の一つです。

 

【現在の治安】

 

 無規制に近いメガコーポ群による役員との汚職や不正行為の常套化は以前から言われていましたが、それに対し明白に対決姿勢を示したこと、そしてアビドス作戦(所謂サン・バースト作戦)と治安維持支援部隊は犯罪率の低下に貢献しました。

 しかしキヴォトスは全般的に大量の犯罪、ギャング抗争、汚職、企業、テロリズムが存在しています。

 我々はその大半に対して時に市街戦上等の精神で交戦を続けていますが、現刻情勢下では過度な武力作戦と明らかな法執行は市民感情の不安を植え付ける可能性が高く、”本質的にはDUやシラトリの市民は政治参画の意思や根幹も有しておらず、昨日よりは少しマシな明日”以上のビジョンも帰属意識も乏しくあります。

 明白なまでの地元主義者(ナショナリスト)であるゲヘナやトリニティの面々、更にアビドスに於けるホシノさんなど、明確に”連邦生徒会に好意は無いし貸しも無い”という思考は根強く、最近の我々の活動で連邦生徒会の権威や権力は増加するどころか低迷していると言えます。

 無論政権支持率は極端に下がる事があっても上がる事は極々稀で、本質がテクノクラシー(技術官僚制)のミレニアムでもない限り、政権は支持率の低迷の速度を緩める事しか出来ません。

 こうした間隙を突くように無規制なメガコーポは進出し、ギャング抗争は拡大し、ブラックマーケットも拡張しています。

 この問題は所謂「短期的で短絡的解決法」、つまり本質から言えば愚行であるのに無思考な案、権力の集中、つまり独裁は解決策になりません。

 熱しやすく冷めやすい民衆は無思考・無理解の烏合の衆だという点は、私が述べずとも先生は御知りであるかと思いますが、選んでおきながら期待を裏切られたと容易く敵意へ変換します。

 

 つまるところ、現在の社会的な混乱は長期療法で、すなわち我々のみならず各種下部組織を連帯させて上部組織へ締め上げていく方向になるかと思います。

 政情不安を加速させるような過激な重犯罪に対しては特務分隊による「サーチアンドデストロイ」、更に新規雇用の一部アリウス生徒たちによる”制服無き部隊”の秘密作戦などで、対処療法的に戦っていくしかありません。

 ヴァルキューレに対する予算や訓練マニュアル再編支援も我々が介入するしかありません。

 法執行機関が二つに分かれているのは許容する事は出来ても、片方が連邦生徒会を象徴する諸問題、「資金なし、装備不足、訓練未了、人員無し、意欲乏しく仕事は多い」である状況は明らかに不適当です。

 事実公安局や警備局、生活安全局のレポートなどでは会長失踪以降ヴァルキューレの警官が「過剰な暴力、看守による虐待、不必要な攻撃的姿勢」を引き起こしています。

 しかも誠実な職員は大半が報われない仕事に自信と意欲を失っており、それでも意欲的な一部職員や幹部は最早狂信者に近いものです。

 さらに多数の犯罪により捜査は停滞しがちで、証拠不足として幾つかの犯罪は黙殺されています。

 これにより少なくない幹部は心的な問題を抱えており、離職率は上がりつつあります。

 

 

【各勢力】

 

 ヴァルキューレ警察学校

 

 彼女らに必要な包括的な支援の要請です。

 我々の一部作戦部隊(必要なら特務も用いて)による演習と訓練マニュアルの改訂や、装備品取り扱いに関しての援助を続けるべきです。

 我々は確かに司法や警察権より上に存在していますが、治安をこの先も維持するのは彼女達です。

 別途提出した訓練及び装備改善支援計画書を基にご検討願います。

 

 

 

 ギャング勢力

 

 ヘルメット団などに代表されるキヴォトスに於けるある種のミリシアともいうべき勢力です。

 トレンチコートマフィアと言うにはやや反社会的ですが、本質的にはシステムから脱落した集団であり、善悪の判断で対応するには不適当です。

 我々の主な抗争相手ではありますが、あまり敵意は無いようです。

 恐らく彼女たちにとっては小賢しい手を使わず正面から粉砕する我々のドクトリンを好ましいと感じている様です。

 彼女らはそれ以外にも他勢力とのギャング抗争や度々企業に雇われ企業民兵として活動しています。

 

 ・暴走族

 

 ゲヘナ地域によく見受けられる集団です。

 基本的にバイカーギャングの類であり、交通法規違反の常習犯です。

 度々ヴァルキューレ警察学校のクルーザーパトロール隊(4輪車両による重パトロール)や、我々のMRAPに追撃されています。

 停学や無断欠席が多いらしく、気分で登校している様です。

 

 ・ヘルメット団

 

 共通の意思、主体性があやふやの勢力です。

 極論を言えばただヘルメットを被ればこれを名乗る事が出来ます。

 少なくとも大勢力化するとある程度の総体としての会議を行うようです。

 

 ・ファミリーギャング

 

 トリニティなどにおけるギャング勢力の一種です。

 基本的にトリニティのシステムに嫌気が差した不良学生の勢力ですが、縄張り意識と身内への相互防衛は筋金入りです。

 軽犯罪などで度々検挙されていますが、最近はシスターフッドの援助により犯罪率は低下し、自警団との協力を深めつつあります。

 その代わり彼女らは政治勢力に近くなり始めました、主な主張は社会福祉計画です。

 

 

 

 アリウス過激派

 

 アリウス地域における未だ既存の社会秩序に抵抗する勢力です。

 具体的思想や指導部は存在していません、更に言えば連邦生徒会やトリニティに対して「見捨てられた」「裏切られた」と考える者たちも多数存在しています。

 段階的自由化計画が始まり、ほとんどは非武装化や武装解除を受けましたが、各所で武装解除されていない生徒もいまだに残存しています。

 

 ・残党(アリウス・レムナント)

 

 数々の裏切りによって崩壊したアリウスの責任は自分たち以外全てにあるという派閥です。

 こうした他責的思考はベアトリーチェの洗脳とそれまでの歴史が融合した結果であり、こうした漠然とした思考は一部が事実であるがゆえに関心を集めます。

 この勢力は要するに宗教的民族主義者勢力と言えます。

 少なくとも現在までに数件の要人テロが摘発されています。

 またその歴史的理由により度々偽装や変装も行われており──1回は何とクロノスの記者団に紛れて本施設への攻撃を企図した──今後も要注意対象としていかねばなりません。

 こうしたローグ(ならずもの)は我々にも原因があるのは事実ですので、対応していくべきでしょう。

 

 

 

 企業群

 

 企業は殆どがそうである様に営利組織です。

 一部連邦生徒会の”信じがたいまでの民営化”による影響で、脅迫、強請り、賄賂や誘拐にスパイ活動、更に不安定化工作と内戦の扇動未遂まで確認されています。

 特に大多数の企業は法を超えて活動しますが、一部メガコーポは「自身が法」と言わんばかりです。

 更に言えば企業内部ですら汚い手口や縁故主義、不正が巧みであるかで昇進が続きます。

 既にアビドスで見受けられる様に企業が完全な支配権を固めようとしており、連邦生徒会はそれを掣肘出来ず、資本主義の暴力と恐喝や賄賂に腐敗、企業民兵や警備組織の介入を受けています。

 それでもキヴォトスから追い落とすのは難しいことでしょう。

 大半の市民労働者は企業の建てた家、企業の電力、企業の食品、企業のテレビがあるわけですから。

 

 ・カイザーグループ

 

 多角化した無国籍企業コングロマリットであり、我々の初期からの仮想敵です。

 多数の子会社を有しており、資本金も多いですが各企業が大きすぎる為か、あまり連携は見受けられません。

「カイザーは黒をグレーと言い張り商売する」との世間の一部の風評に関しては事実であり、我々の数々の作戦で不正は明らかにされています。

 しかし防衛室(恐らくそれ以外の役員も)などに汚職と腐敗が及んでおり、現在の所公然たる法執行は難しくあります。

 無論我々はヴァルキューレと違い攻勢たる組織であり、見せつける為に適当な稚魚から締め上げるのが適切と判断します。

 

 ・ネフティスグループ

 

 鉄道事業に関してのメガコーポですが、個性は傘下学園にハイランダーを有している事です。

 こうした企業はあまりなく、また各路線で独自性が存在しており、全体としては明確な意思は薄いと思われます。

 恐らく大半の路線役員たちにとっては「線路を好きな所に敷いてなぜ悪い」以上の感性を有していないかもしれません。

 最近ではアリウス新線建設と復興輸送需要により収益は増大しており、内部では「ハイランダーは新線建設を考えている」と投資家筋で噂が出ています。

 基本的にこうした輸送路は腐敗や不正が及ぶことが多く、事態を注視していくべきでしょう。

 

 

 

 ”正義を護るのが我らが仕事” シャーレモットー   印*1

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 キーボードから手を離して、ユウカは一息いれた。

 ミレニアムで会計している方がまだ気が楽だった、収支と支出どちらも数字がデカいミレニアム学園では、まだ気は楽であった。

 先物取引などで投資をして稼いでいるユウカではあるが、まさか先生から「一部は資産運用していい」とか言われるし、ここの組織は四六時中誰かをぶちのめしてるか、ぶちのめす計画を考えてる。*2

 酷いのは社会的には極めてまともな組織……というよりは連邦生徒会が勝手に自縄自縛してるせいであるが、今では完全に「子会社が親会社を買い取りそう」な勢いである。

 そうなっては本当に困る。

 社会や政府権力とは属人的側面ではなく官僚的非人格性による資格任用制度と適切な一部官僚制度により運用されるべきなのだ。*3

 つまるところそういう点では「先生は正しくない」のだ。

 権威は属人的でも構わないが、権力が属人的じゃダメなのである。

 ちなみにこれを言ったら「何も言い返せない」*4と返されたし、政治介入は本気でやらないと確約*5は頂いた。

 だとしても問題が多すぎる、表面的には落ち着いているがぶっちゃけてしまえば先生と初めて会った時と変わっていない。

 重火器の不法流通2000%ってなにをどう放置したらそうなるのだ、システムに頼りすぎるとこれだもの。

 

「いったいどうなるんだか」

 

 正直なところ連邦捜査部シャーレは最後に自身を解体するだろう事は明々白々である。*6

 超法規的機関として作って自治権を無視して現場指揮権の優越を最初から保証された組織? これは国家内国家ではないか。*7

 なんなら告訴しに行ったら「シャーレの建物暴徒に占領されちゃった」とか言っていた*8、今もそうだが防衛室は何をしていたのか、そしてモモカとかいう役員の「もう既に滅茶苦茶だからいいか」は明らかに連邦生徒会の職分の範疇の外だ。

 何の為にその白い服着てるのか、改善するフリくらいはしろ。

 ついでにその後のトリニティから転売され横流しされた戦車が出てきた、もう滅茶苦茶と言うべきものだった。

 ミレニアムはまだそういう馬鹿が居ないと安心して──正確にはデカグラマトンのホドとかが居たけど──たら、リオ会長*9とコユキ*10がやらかした、勘弁してほしい。

 電話機が鳴る。

 

「はいこちらユウカ」

『会計、またです。ヴェリタスの連中が』

「作戦を許可します、まったく……」

 

 後日、捕まえたマキは「紙資料ばかりでつまんなーい!」と声を上げていた。

 冷凍パックで227号に送付してやろうと思う。

 

 

*1
サイン待ち

*2
敵が多い

*3
ここら辺バリバリのミレニアムの思想

*4
基本この二人は外科医と内科医

*5
確定ではない

*6
解体できる日が来ると良いな

*7
大日本帝国の内務省みてェ

*8
プロローグ

*9
横領

*10
債券乱用

どんな話が見たい?傾向を見たいだけです

  • モブ回
  • 一部の連中を原作と交換してみた
  • 上を踏まえた掲示板回
  • 空飛ぶモンティパンソン回
  • あの世でもこの世でも無いとこの連中回
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