キヴォトスの若鷲(エグロン)   作:シャーレフュージリア連隊員

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「結果を出したい者は技量に頼って戦うべきであり偶然に頼って戦うべきではない」フラウィウス・ウェゲティウス・レナトゥス





並行世界編 ユウカ編『地には平和を』

 

 

某日、遅くまでシャーレで仕事をしていたユウカは何か緑色の輝きが、突如広がるのを最後に意識を失った。

眼が覚めて顔を洗いに外に出ると、見慣れないシャーレであった。

自分の部屋の扉に備品入れと書いたのは許されざるイタズラだと思いたいが、そうにしてはあまりに違い過ぎる。

人があまりに居なさすぎる。

 

”随分早いね、今日の当番ユウカだっけ?”

 

聞きなれぬ言葉と、見慣れない男性が、少なくとも家の先生では無いのが居る、人が良さそうな顔で一目瞭然だ。

そしてユウカは居るらしい、早瀬ではないユウカかもしれないが。

間違えられるくらいには似てると言う事だ。

 

「えっ、どちら様で?この区域は連邦捜査部シャーレの関係者以外立ち入り禁止区画なんですが?」

”先生だよ!?”

「いや、そんなわけ無いでしょ?あの悪人面とあの雰囲気だけは、整形だけでは誤魔化せませんからね」

 

向こうの先生を名乗る人は困惑している、だが迷子にしてはおかしい、警備などは何をしていたと言う話だ。

少しすり合わせも必要だ。

 

”そう言えば、ユウカのシャーレのジャケットどうしたの?”

 

「所属の分かりやすさですけど、セミナーのジャケットとリバーシブルなんです」

 

公用の制服だがそれの何がおかしいのだろう。

それにしても人が居ないシャーレとはこんな気持ちが悪いと思わなかった、気色が悪いとすら言える。

整備隊も当直も幕僚も警備も非番の隊員も居ないシャーレなんて最初の数日だけだった。

 

「そちらのオフィスまでご案内していただいていいですか?」

 

そうして連れて来られた何時ものオフィスだが、まったく違う。家では絶対溜まらない量が溜まっている。

万が一、家でこの量が溜まれば、先生か私か誰かが咆哮するに決まってるし、間違いなく各級指揮官が「早くしてくれ」と怒る。

あっ、コーヒーメイカーなんだこのシャーレ、家はウォーターサーバーでご自由に好きな物おつくり下さいスタイルだけども。

我がシャーレ一階のフロアとオフィスのインテリアは便利屋の社長以上に拘った大人の拘りだった、絵の種類と大きさとテーマ迄決めて、もはや山海経や百鬼夜行の風水みたいだった。家の先生曰く正義と法の守護の組織の入り口だ、そう言うインテリアは大事との事だ。

現実に帰ろう、まずはこの山だ。

 

「この書類の要塞は?敵が来るので土嚢代わりに使われるのでしょうか?」

”最近忙しくて……”

「大人でしょ、周りに頼んでも処理するべきです!まさか連邦捜査部の仕事を先ほど言われた当番だけですべて片付けられるおつもりで?」

 

ここの私は何をしているのだろうか、出会って居ない?決裂した?数パターンがよぎる。

そうだ!こっちの私に聞けばいいんだ、完璧ね。

 

「先生、私のモモトーク連絡できます?」

 

便宜上先生(仮)にお願いする、了承が取れたので、送ってもらう。着信が来たのは私のスマホだった、ふざけんな!!

これでは私の経歴を、と考えた後そうだと思いだした。

頼れる我らが相棒、ノアが居た。

記録の転送を申請しておこう。

 

 

今日のシャーレ当番は私で助かった。これでお互いの情報のすり合わせができる。

 

家の先生が、武器装備以外でも平時は備えを良くしてる理由がわかる、あの大人普段発作的な申請をしなけりゃ優秀なのだが。

……私が居ないと言う事は、あの不良中年と愉快なバカたちが何を始めるか分かる、普段通らない装備を通す。

ここの私と交換されてても、多分あの不良中年の書類の詐術を見破るのは一苦労なのだ。

いや、ここの先生が私達の先生と中身が近ければ、ここの私も……それくらいは……

 

「先生、帳簿見せてもらって構いませんか?」

”初めて書類仕事手伝って貰った時を思い出すね”

 

確かに懐かしい、あのとんでも帳簿からすべてが始まったのだ。

並んでいたのは間違いなく書籍ではなかった。

 

「何ですかこれ?」

”あっ、ゲームの課金額かな?今月の限定品が……”

「そこは良いんです、家と比べると随分安いので。食事さえとっていただければ、パンとチーズと水で過ごしてなければ」

 

凄い!別の意味で心配になる、何時も議論の種の砲やヘリなどが、無いとここまで不安になるのか。

そしてやはり連邦生徒会ろくに仕事してないのも分かる、最初から関係が気まずいうちと比べて、ここは明らかに日干しにするみたいな扱いではないか?

無論理由は簡単だ、連邦生徒会にその能力が存在してない、恐らくここの連邦生徒会は悪意も緩い代わりに能力も乏しいのだ。

不味い、手伝うつもりが別の確認になってしまう。申し訳ないけどこれは改めて見直しね。

 

「先生、3時間で半分にしましょう!できないなら書類が片付くまで外出は許しませんよ」

”1週間前までトリニティに居たから……”

「え?」

 

並行世界と思われる場所の過去ってこと?新聞を確認するしかない。

別世界と言えど私だ、経済新聞のアカウントから相場取引や株式を確認する、見た事ある流れだった。

サオリも家のと変わってれば楽……楽ではない気がする。

仮にそうなら苦労してそうだ、先生曰く「これで、サオリも木っ端佐官に成れるぞ、ツーロンの時の俺とほとんど同じだぞ」と先生は笑顔だったたが、サオリの表情は固まって居た。

 

「エデン条約どうなりました?準備が足りない気がしますが……テロの対応とか」

 

ぽかんと呆けた顔をしていた、連邦生徒会からも特に何も言われていないらしい。

キヴォトスで政治的集会などをするのがどういう危険性を有するか、最初の大暴動で理解してないのか?

防弾着も保有されて無いようなので購入を薦めたら、君たち生徒への信用がと言われたのには本気で閉口せざるを得なかった。

銃弾や砲弾に信用が効く訳ない、破片と跳弾は”信用”すれば当たらないのか?それは魔法と言うのだ。

自分の中で正直なところ嫌な女に思われるのも構わないという感情が生まれた。これがこの先、生き残れるとも思えないからだ。

 

「信用と妄信は違うんですよ?」

 

自分の短機関銃を取り出し、マガジンを抜いて、排莢させて銃弾を取り出した。

ちょうどこの先生の親指くらいの9㎜弾が出てくる。

 

”えっ”

 

見せつけるように近づけて、先生の机に置く。

 

「これが私の使っている9㎜弾です、貴方の様な方でしたら当たりどころが悪ければ死にます。そしてこれはキヴォトスでは比較的低威力な銃弾です」

 

壁を指さし、言う。

 

「装薬強化でもしない限り壁を貫通する事も少ないでしょう。ですが……そうですね、カイザーが使う5㎜や7㎜系のライフル弾は容易く貫通します」

 

そこから私は初歩の初歩たる説明を開始した、昔ネル部長からあれこれ護身を教えてもらった時の言葉も使う。

基本的にだが銃弾は制御不能であること、何故なら飛び出た弾は戻らないからだ。

ヒビキの迫撃砲は危害範囲が何Mであるか、トリニティの榴弾砲が何Mの危害範囲をゆうしているか、そして破片や跳弾はどれだけ起こるか。

そのすべては数学的に説明できる。

 

「あなたにその謎のOSのサポートがあれど、それが使えない状況下で壁を貫通する銃弾、跳弾、まぐれが起こらないと言えますか?」

 

巻き尺で先生の体格を採寸しながら、JPCの防弾ベスト辺りがいいかと思案する。

鋼鉄プレートは重すぎるから先生には駄目だろうし、ケブラーだけもやめた方がよさそうだ、セラミックとケブラー素材の複合型が良いだろう。

採寸データと指定すべき点を指名して、着用するのが先生という点もウタハ部長に連絡を入れておく。

あの人は趣味で作って倉庫を吹き飛ばしたりするが、他人を吹き飛ばす趣味は無いから信用は出来る、携帯決済機能とかそういう余計な奴はつくが……。

 

「信用してくれているのは嬉しいのですが、それを着ていれば、もう少し護衛も行動的に動けるんですよ。貴方は”指揮者”です、先生である以前に”責任”があります」

 

我ながら嫌な女だと自嘲したくなる。

だが辞めない、むしろ言わなければならない、どんなに嫌な事だとしても進言する責務がある。

それが出来ないならこのセミナー、そしてシャーレのジャンパーなど着るもんじゃない。

先生に大人の責任と義務があるように私には言うべき義務と責任がある。

 

「何かあった時の近くにいた娘のメンタルダメージは考えましたか?貴方に当ててしまった生徒の事は考えましたか?”あなたの拘りが殺人者を不本意に生む危険を考慮されましたか?”」

 

先生は黙ってしまった。

 

「パラベラム、ですよ。平和を愛するから備えるのは不信を意味しません」

”そうかな”

「大体ですね先生、ここをどこだと思っているんですか?キヴォトスで貴方を知る人が防弾ベスト着てて不信より安心抱くに決まってますよ?」

 

なんでこういう話までしないと行けないのよ、妙に頑固だし……でも、人は良く素晴らしい善人だ、家の悪人面にも少しは見習わせたい。

しかし、どうしたものかしら、帰還を急ぎたいのは勿論なんだけど、この書類の束とその他もろもろを置いて帰るのも目ざめが悪い。

それに今後の為に幾つか未来の私に遺産を遺しておいてやりたい、取り敢えず株式市場の未来の結果を知ってるから資産的な遺産は自動で計画を組んで遺してやれる。

金は嫌う物じゃない、無いと確実に不幸だし、救えない物も出るし、大体金がないからそういう言葉を言う偉人は死んでるじゃないか。

 

「……あと武器を持たないのは適切ではあると思います、この取り扱いを見る限り貴方に武装されても暴発事件報告書が増えるだけですね」

 

先生の拳銃をちゃんと机のデスクから防護ケースへ移す、マガジンを抜いてスライドを引いて安全を確認した。

こういう時にネル先輩の護身講座は役に立つ、あの人最初の教えた内容が武器の安全確認だからなあ。

 

”む、無慈悲!”

「得体のしれない特権や現場指揮の優越に、自治権の無視まで出来る連邦そのものの否定を擬人化したような権力を握りながら、何らの政治努力や書類作成の代理を依頼しないとかまだ言ってませんよ」

 

やはり組織は個人性に頼ってはならない、確信せざるを得ないな。

呆れた顔で言ったら先生は困り顔を浮かべた、正直なところカヤ防衛室長が脅威とビビっているのは常識の範囲内に思う。

仮に汚職をしてない綺麗なカヤでも毎日気が気でないに違いあるまい。

 

”……ユウカは、君の世界が好きかい?”

「好き嫌いではないでしょう、作りたい明日をどういう物にするかです。」

 

連邦生徒会へ連絡用の書類を取りながら、振り向かずに返す。

別に好きか嫌いかで云々するほど厭世的じゃないし、私の人生はこれからの方が圧倒的に長いのであるから、そういうのは老衰で臨終する5秒前で考えればいい。

あのまるで仕事をしてない防衛室に仕事していただこう、せめて式典会場の外縁警備はテメエでやれという権利はある。

 

”良いのかいそんなことをして”

「あのですね、連邦生徒会が言い出したのに途中で”私は無関係”と手を投げ払い無関心ヅラする中央政府に何の権利や権限があるんですか?」

”り、リンちゃんはそこまでじゃ”

「民意の話です、キヴォトスの市民は本質が恩知らずですよ?トリニティの”声だけデカくて責任能力はない方たち”見たんでしょう?」

 

ユウカのミレニアム生徒らしい過激な一面だった。

ミレニアムが他と比べて異色の存在である最大の理由は無機質なまでの実力主義を標榜しているからである。

セミナーがその好例だ、リオ会長はコユキの数々のやらかしやヴェリタスの阿呆を許しても無能は許さない。

ユウカは確かにモモイなどに甘いが、才覚があるから甘いのである、これで単に無能なら切り捨てている。

というかそもそもミレニアムで暮らせていけるだけモモイですらインテリなのであるが……。

 

「貴方の権能は事実上リン行政官より大きいのに正当性は甚だ怪しいものです」

”そうなの!?”

 

驚愕する先生に思わず声が大きくなる。

 

「当たり前じゃないですか!変なタブレットと置き手紙は行政権の根拠にならないんですよ!?最高行政権は連邦である場合民主主義的選挙で決まるんです、怪しいオーパーツじゃありませんよ!?」

 

怪しいオーパーツで権能が決まるんだったらそもそも連邦生徒会は要らないの!解体して学園連合体の会議場にした方が良い。

家の先生が言って居た「何を持ってシャーレの先生は先生足りうるのだろうな?」と言う疑問を思い出す。

私も先生もミノリ部長も、それぞれの答えは出せたが統一見解には出来なかった。

コントの台本作ってた会話とは思えないけど……

 

「いいですか?もし手紙と箱に権力の委任が入って居たら、それを奪われたり改定されたらどうするんです?下手したら無職で捨てられますよ。英雄などは鮮度が良い内に偶像にされるか、煮られるかの2択ですし」

”職無しおじさんは嫌だねえ”

「我々の仮想敵である、カイザーコーポレーションで考えてみましょう」

”仮想敵って……”

「どうやって、かの社のプレジデントになるでしょうか?オーパーツで平社員が成ることはできませんよ」

 

説明することが多すぎる、ノアに文章で渡して、後で説明頼もうかな……。

それはそれとして、FAXでさっさとイロハ氏やヒナ氏、ツルギ氏へ警備概要に関する通達を送る。

続いてリオ会長に一応報告として”これはセミナーとしての意思ではなくシャーレ当番として必要と考えての行動である”と連絡しておいた。

最悪の場合リオ会長が上手く誤魔化してくれるだろう。

 

 

エデン条約の締結日の事を言えば危機感を持ってくれるだろうか?

 

家のは、偽りを植え付けられた彼女達の奥に潜んだ悪意を巣穴ごと焼き払ったが、この人だと病根にまで届きそうに無い。

確かにこうなるとあの大人が大きな権限を持とうとするのも分かる、その権限を自分なら扱いきれると言う傲慢に近い自負があるのだろうが、そう言うだけのことはできるのだ。

それに自由に動かせるある程度の戦力を求める理由も分かる、大体中央政権が運用も信用もあてにならんというのが理由にあるし、先生はやけにあてにならない中央という存在の相手が上手い。

 

すり合わせも兼ねてトリニティでの話を聞いて居ると、家のテルミット人間との差がよく分かる、善性と良識は分けてもらいたい。

プールでの話も家のと随分違う、この世界での彼女は多分助けを求めてたのだろう。

あのテルミットそう言うとこを見抜くのは上手いのだ。

仕事場に居るので当人たちに振ってたらその時の心情話してくれたし、最後に余計な一言言った先生はまたアイスケーキを買いに行く羽目になったが。

この様子だと針の筵だろう、確かにシャーレにメンタルヘルス系の療養所は帰ったら本格的に検討してみよう。

 

「ミカさんのこの後のトリニティでの生活も不安ですが、本題です。アリウスと言う単語は何処までご理解を?」

”ええっ、それも大事だと思うんだけど……、アズサが所属していてミカが同盟相手にしていた組織だよね?”

「未来の事言い過ぎてもアレですけど、前提が変わりすぎてるので、今回は概要だけでも」

”うん”

「家の先生曰く、クソ無能の軍事指導者気取りのゲマトリアが潜んでます、崇高へと至る探究でしたっけ?ルール守れないのでラスボス気取りの中ボスです」

”聞き逃せない情報が多いけど、辛辣だね。君達のシャーレ”

「改竄した教えで、恐怖政治での洗脳をしています、その実働部隊の中核部隊がアリウススクワッドです。今回先生を狙っているキヴォトス最高峰のコマンドです」

 

まだ、危機感がピンと来てないので、投入された戦力を上げてみる、巡航ミサイル3発の奇襲と空挺降下、重武装IFVと重戦車、戦闘ヘリ、C&Cを専属の護衛で雇っても守り切れる自信が無い攻撃ですよ。

そして、アリウススクワッドのメンバー紹介だ、今の私にとっては半分身内みたいな彼女達の事ならペラペラ話せる。

だってこの頃の彼女達と家のだと随分違う。

家の先生が喰らいかけたのが、ここには現物が無いのでパソコンからサオリの戦闘用の愛銃を出す。この50口径を振り回し、ヒヨリから対物銃を借りた一発だ。

 

「良くて腕が無くなるぐらい、下手したら肉片ですね、このレベルなら防弾も厳しいでしょうが、無いよりマシです」

 

50口径という奴の恐ろしさは想像がついたらしい。

 

「流石に察しが良くなってくれましたね、彼女達もまた救いを求める者たちです。私達の先生は随分悪い大人に見られてるかもしれませんが、あの人はまとめて双方救いましたよ」

 

案外あの大人の自慢になると楽し気になってしまうあたり、私も毒されてはいるのだろう。

普段は悪ガキの保護者目線だ、向こうを思い出すと装備拡張に余念がない先生と、楽して勝ちたいを突き詰めてる怠け者的思想を有してるスズが何しでかしてるか分からない。

 

「ヘリをアパッチにしようぜ」

「先生それだと直ぐに、アパッチ丸中止!中止です、されるのでAH-1Wにして、今のAH-1を修理に出すんですよ」

「スズお前やっぱ今時っ子だな、そう言うのも有りだな」

 

会話が頭に思い浮かぶ、頭が痛い。

本来のここの私だと遊ばれて泣かされてる可能性が有る。

そう言えば、こっちに私のロッカーが見えたのでジャケット仕舞わせてもらおう、冬服で夏場に来たので暑いのだ。

 

”待ってユウカそっちは……”

「ここの私とそう言う事を?」

 

何故か体操服が入っていた、何でそれがあるのか首を傾げかけたが、立場がどうあれ男と女だから無理はないかとも考えた。

家の先生にシャーレのあれこれは言い合ったが。

 

「サド侯爵の作品の人物になるつもりは無いぞ?そう言うことする年齢はもう終わったの、ここで恋愛騒ぎ巻き込まれたら、俺行方眩ませるか、退学させるぞ?極力自由に生きたいんだよ」

 

そもそも既婚者で子供もいるよ?と言っていたし、少なくとも先生の色恋は単純に波乱万丈が過ぎる、ジョセフィーヌ氏だけしか聞いてないが十分面白かった。

それにあの先生は”父性的”であって男性的とはちょっと違っている、恋愛感情というよりは甘えたくなる類と言うべきだろう、ゲーム開発部が良い例だ。

……あとはヒヨリか、肩車をせがむのは流石に想像外だった、写真を見てみんな爆笑したもんである。

 

「……ヴァルキューレに通報されない様に気を付けた方が良いかもしれませんよ」

”……はい”

 

やはりというか防衛室長がおざなりに対応しようとしてたので、お前の口座の金額と使用金額釣り合わないのアオイ室長に連絡するぞと脅迫する事になった。

無論後々の私の為に、そっと添えるように写り込んだ様に口座の情報を入れただけだ。

 

『ちょ、ちょっと待って下さいよ。SRTの生徒を一部引き抜くというのは』

「先生は連邦生徒会会長の全権委任状を受けているという事は事実上会長と同意語という事ですよね?ということはSRTに関する指揮権や廃校というのは”統帥権干犯”ではありませんか?」

『そ、そうともいえますが』

「と、いうわけでシャーレは職権と権能の範囲内としてSRTの指揮権を借用します。廃校に関しては会長がご帰還なさってから先生とお話合いして決めましょう」

 

連邦生徒会への連絡電話を済ませて受話器を置いた。

先生が唖然とした顔で見ている。

 

”良いのかい!?”

「生徒のシャーレ編入は合法の範囲ですから別になんの問題もありません、リン行政官が直々にご発言してましたよね?」*1

”い、いやしかし”

「だいたい正規軍のやるべきデカグラマトンや指名手配対応までシャーレにやらせてSRTの指揮権はあげないとか何のための特殊部隊ですか、持って嬉しい特殊部隊コレクションは金の無駄ですよ」

 

そう言えば、あの子いま配置何処だ、SRTの生徒の異動を見る。早期に異動はしてるが引き抜き方法は分かっている。

カンナ公安局長にリエゾン要員で一人回してくれと指名した。

 

「そうです局長、白河の……いえ違います、妹の方!」

 

アビドス戦役は逃したけど、初陣は大一番ね。

 

”ユウカこの子は?”

「この子は白河スズちゃんです、今日から先生の護衛と鞄持ち担当です」

 

呆けたようなアホ面ではあるが、間違いは起こさない奴だ。

家の方で物凄く優秀な娘なんですよ、怠け癖があるので常に横に置いてあげてください。

完全なシャーレ所属の生徒は一人は居ると行動も出来ることも増えますから。

 

何時だったか、あの不良中年が珍しく真面目な先生らしいことを言っていたが、たしかにそうなのだ。

 

「何になりたいかではなく、どうなりたいかだぞ?子供は何にでもなれる、だがどうなりたいか、が無いと半端物になる、古則を理解しても、それを持って何をしたいかだろ」

 

まだ、これの回答が出せてない。

先生の「誰よりも偉大な伝説になりたい」を少し笑って大喧嘩をしてしまった分、自分もその答えを出せないと。

 

 

あとあとの自分、そして先生や、サオリの為に時間指定開封用のプログラムを遺しておく。

 

”アリウスにおける戦後復興と及び今次条約に際する諸問題に関しての連邦捜査部の方針”

 

頑張れ、未来の私。

ここは貴女の世界だ、願わくばぶち壊しにならない様にね……。

 

*1
「プロローグで言いましたね」




並行世界編はまとめて。
来週完結編、感想評価お待ちしてます。

投降時間間違えて居ました、ケジメしておきます。


原作のどっちを見たり知ってます?

  • 長谷川ナポレオンシリーズは知ってる
  • ブルーアーカイブだけは知ってます
  • どっちも知ってます。
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