キヴォトスの若鷲(エグロン) 作:シャーレフュージリア連隊員
ドッグ・タイムズはいいぞ!
誕生日記念の劇場版で新旧主人公が揃うのもお約束でしょ。
【キッズ・タイムズ】
ある日のことだった、アリウスが最早理由も分からぬ内戦をうだうだと繰り返し、誰も彼も疲弊しきったころだった。
突如として屋根をぶち抜いて、大人が降ってきた。
有り得る筈がなかった、自分の部屋、小さな世界のかつて作られた
「え?」
その大人を見た時私は9歳にもなっておらず、突如その塔を、屋根を破って落ちて来た大人の事を理解出来る筈もなかった。
「あれっ、なんか人違いが起きてるっす」
落ちて来た大人の影から、瓦礫を分けて黒い犬と、青い服装の変な大人が出て来た。
自動小銃が妙に真新しいので、不可思議に思えた。
「外の人?」
「おいどうする、人が増えたし見られたが……」
「大丈夫っすよ、見られてる事より員数外が増えてる事が問題っす」
当然、屋根をぶち抜いたのだから慌てた様子で出て来た、”一応は”こちら側の大人たちがドアを開けた。
「な、なんだぁこりゃあ」
「天孫降臨か?」
「誰だよお前ら」
不可思議な大人二人と、変な黒い犬が顔を見合わせた。
瓦礫から出て来た二人目の大人は、帽子を拾ってサングラスを着けた。
「えっと取り敢えず説明すると、ここはアリウスって地域っす、内戦中っすね」
「民族紛争とは変わらんなぁキヴォトスも」
「概ね五十歩百歩の連中っす、この後外から大人が何人か現れて滅茶苦茶にしちゃうっすね」
なんとも勝手な言い草で話す黒い犬に呆れつつ、ちらりと大人二人を見た。
黒い犬は一瞬、何かを煌めかせたが、こちらを見てきょとんと首を傾げる。
「パーンさん、大変っす、認識が変わらないっす」
「お前でも出来ない事あるんだなぁ」
「笑ってる場合じゃないっす、流石に天秤の女神っすね、傾かないっす」
閉じ込めていた大人たちはみんな呆けてしまっている。
若い方の大人──あとでパーンというと聞いた──と、変な黒い犬──ケルベロスというらしい──に、員数外の3人目──名前は教えてくれていない──と共に外へ出た。
なんでもこのケルちゃんとバーンさんは、ある標的を専門に狩る猟師の様な存在らしい。
「セラフィム?」
「そんな高尚なもんじゃない」
パーンさんはそう言うと、辺りを見て嫌そうに呟いた。
「雁首揃えてこのザマか、内戦もまともに出来んのだな」
「大方体のいい口減らし、それに権力欲だろ」
3人目は呆れた様に言った。
実際事実だった、今は非常時だからとずるずると権力の味を占めたような連中だった。
ケルちゃんは「もうすぐ内戦を終わらせる奴がでるっす、でもそいつがエコーを呼んでやらかすことになるっす」と告げた。
「だから、手っ取り早くそいつを始末するっす」
「じゃあ内戦はどうなるんだ?」
「続くんじゃないっすか?流石に戦争終結まで介入するのは難しいっすよ」
「じゃあなんだ、ここで子供が餓えて腹膨らませて死ぬのは放置か?」
「そうなるっす、誰も管理する気が無いっす」
ふざけるなよ、思わず拳を握りしめた。
苦難や苦しみの中で何も知らずただ死ねと、解放されたのだから自由になれたねでおしまいだと?
ふざけている、そのような愚行がエンディングであるなど断固として拒否する、ここはアリウスだ! たとえ穢れ汚れていようと私の故郷である。
「クソみてぇな話だ」
「残念ながら変えようがないっす」
すると、員数外の3人目は思いついたような顔をした。
「おいワン公」
「ケルちゃんっすよ! 無賃乗車して何てこと言うんすか!」
「お前の話じゃ”外部からやって来た奴が内戦を終わらせる”んだな?」
「そうっす、”そういう風に決められてる”っす」
それを言った直後、ケルちゃんとパーンさんは「あっ」と顔を見合わせた。
「よしじゃあ、俺が代わりに内戦を終わらせてやる。
そうすりゃ全員救ってやれるじゃねえか。
しかし封筒避けて、投げてきたやつに1・2フックしたら何でこんな場所に居るんだ?」
ケルちゃんとあの大人は何かを取引し、そしてケルちゃんはとてとてとこちらへ歩き始めた。
「これは貴女の運命を大きく変える選択になるっす、あっしは時間・世界の管理犬ゆえ嘘も約束も出来ないっすけど、ここキヴォトスじゃ契約は深い意義を持つっす。
そのうえで問うっす、貴女は”このままのアリウス”*1と”恐らく変わるアリウス”*2のどちらが願いっすか」
「怪しい大人というのは大して変わらんからなぁ」
員数外の大人は事実そうだと笑いはした。
暫く悩み、アツコは尋ねた。
「貴方は、このアリウスをどうするの?」
「貴女の思うがままに」
その言葉を聞いて、アツコはケルちゃんに「紙と筆」と告げた。
「私はメフィストフェレスだろうと手を握る」
「大丈夫っす、コイツの部下にはファウストみたいなのも居ましたけどこの人本人は別っすよ」*3
不可思議な紙は、ケルちゃんに署名して渡すと不思議な光となって消えた。
「これで契約は完了っす、従い、世界の歴史も大まかになぞるっす。
”外からやってきた変な奴により内戦が終わるという事も”っす」
だが誰が勝つかは決まってない、2人目の員数外が来たから。
4か月ほどの情宣と地下活動が過ぎていき、アリウスの生徒会長を名乗ったベアトリーチェの勢力は、驚くべき程に進撃が遅滞した。
まず、円滑な補充と補給が出来なかったという事である。
ゲマトリアが介入を試みても補充に難儀し、自活に苦戦し始めた。
遂に指揮下の部隊の自重に潰れ始めたのが起点であった。
「しかし勝てるんすか? あんたの時代と大分違うッすよ?」
「何時もの事だ、何の為の潜伏活動したと思ってるんだ」
その間の期間はと言うと、まずケルちゃんを用いてビラをばら撒き、反対の声が存在すると認知し、徹底的に調査を続けた。*4
思わぬ収穫物は、幾つかあった。
ベアトリーチェのバシリカからミメシス運用の聖遺物が奪取されたのである。
「ミメシスってなんだよ」
「幽霊みたいな奴っす、あっしやエコーほどじゃなくても高脅威っすよ」
「……じゃあなにか、あいつズルしまくって内戦勝とうとしてたのか?」
「ゲマトリアなんて言っても暗殺や拉致や誘拐を生業にしてる集団っすよ、まともな連中なんか居ません、いたら別の組織やってるっす」
ホントにこれ大丈夫かなと思いながら、ケルちゃんに聞いてみると、少し考えてこう言われた。
「試してみるっす、何か命じてみればいいっす」
「え? ……じゃあ、おて?」
「そりゃないよオメェ」と言われながら、その大人はちゃんとお手をした。
「ついでにワンって鳴いてやろうか」
「それは別に……」
不可思議だったが効力はあるんだなと思いつつ、アツコは確信はした。
間違っても嘘をつくにしても理由は有るタイプだ、それならば問題はない。
やがて脱走兵が増え始めたのを契機として、総攻撃が始まった。
内戦で最後の大規模戦闘ではあったが、本館の戦いは規模の割に静かに起きた。
誰もベアトリーチェの為に戦う義理が無い事、そしてなにより待遇に不平が出ていた、無理はなかった。
片方はバシリカで綺麗な空間を独占してるアホの真っ赤なババア、片方は妙に兵と雨に打たれるのが絵になるタイプの大人、ならマシなのは後者に見える、そりゃそうだ。
「この弾丸ならアイツにどんなイカサマがあってもやれるんだな?」
「ちゃんと急所に当てれるんならっす」
「撃ち方分かるか」
パーンさんの質問に、何食わぬ顔で彼は言った。
「オートマチックは扱いきれん、ガバメントとか言うので良い、拳銃は使えるからな」
そのまま振り向き際に「ちょっと魔女を火刑にしてくる!」と叫んで、彼は走っていった。
慌てて追いかけるケルちゃんとパーンさんから聞いた話だと2、3当てた後に銃剣で止めを確認、火炎瓶で焼いたらしい。
「アツコとの契約、その最初の一個は完遂で、お前らも文句が無い、そうだな」
「確かに、”内戦を外の人間が終わらせた”っすね、どう統治するかはこれからっす」
「まあ、馬鹿が肥え太るより良いかもしれないが……」
パーンさんは困った顔をした。
「あんたまた大同盟組まれて終わるんじゃなかろうね」
「流石に俺だって懲りてるぞ」
「皇帝の辞書に反省と言う単語があるのか……」
「やるかお前こら!100年後の兵士相手でもやるぞ俺は!」
ケルちゃんに「フランス人同士が異世界で何してんすか」と呆れ、引きはがされた。
まだ動くラジオや拡声器を通して、声が響いている。
あちこちでは花火が打ち上げられ、暗い夜空をボンと音を立てて赤いシグナルフレア―が空へ舞い上がっている。
「自由! 自由! 自由だ!」
群衆は皆一様に興奮して歓呼し叫びまわり、昔のアリウスの旗があちこちにはためいていた。
射線で3本の矢が描かれたアリウスの旗も幾つかある、同じくトリニティから同時期に追放されたドナティスト派だ。*5
勝利に歓喜する群衆は中央の大通りを走っていくⅯ35トラックの側面を笑顔で叩き、トラックの上に乗った少女兵たちは自らのガリルやG3小銃を高く掲げて勝利を示していた。
トラック側面の荷台には「沈黙は死!」「自由または死かだ!」とアジテーション文が走り書かれており、いつしか群衆の歓声は「クソくらえだゲマトリア!」へ変容していく。
陥落したばかりのバシリカ近くではあちこちで逃げ損ねた教官たちが”吊し上げ”られていた。
「燃やしちまえクソ!」
ベアトリーチェの顔が書かれたポスターなどが纏めて火にくべられ、火の粉となって空へ消えていく。
フェレットMk2装甲車があちこちの街区へ走り回り、拡声器を使い放送をしている。
『先ほどまで検閲していた大人が去りました……今我々は、声を大きくして言えます。
”
その放送を続ける装甲車には滅多打ちにされた教官が首に縄掛けられてずるずると引き摺られていた。
翌日、内戦終結宣言が出た。
鳴り続けていた銃声が止み、アリウスは静けさを取り戻している。
彼は執政と名乗って、忙しく活動を始めた、数字の統計に人口調査にと人々は走り回り、裏では特別法廷が開廷して大半の肥えた豚が屠畜された。
残念ながらフランス人に、というかまともな教育を受けた国家の人間故、負けた無能な連中と害悪が報復されても痛痒には感じていない。
7月革命や1917年の革命に同情するバカは早々いないのだ。
「さてそんなわけでバカ騒ぎはそろそろやめさせて秩序を回復だ、執政として俺もやる事やらなきゃなぁ」
執政なんだ、と思って質問した。
「宰相とかじゃないの?」
「ばっか、幼王の裏で暗躍する宰相とか悪役じゃねーか」
「その時点で普通は悪役っす」
お前の本当の戴冠式は行うべきだが、今ではなく、もう少し見栄え良くしなきゃな、なんて言いながら時は流れた。
28日が経過するころには一通りの掃除が終わり、5週間目に再建計画が始動、28週が経過するころには居住地の再建が成立し始めた。
ケルちゃんとパーンさんはいつの間にか消えていた、仕事に戻ったのだろう。
【内政記録録アリウス】
俺の子守りが始まり時は流れ数年。
アリウスの外は外で偉い事にはなってるらしい、しかし一次産業が壊滅してるんで加工貿易で外貨を稼ぐハメになるとはどういうこったい。
ここの中央政府には申し訳ないが、無認可傭兵業と武器弾薬の密貿易が収入源になって居る、金が無いんだ、しょうがない。
だが2,3年目で最低ラインの食料生産の確保、特に農薬の安定確保で食料事情は大幅に改善した、連作障害に気を付けつつ農業は成果をあげている。
工場用の高性能マザーマシンも動くようになると随分マシになった、農機具と機械化、整備の改善も進む。
限定的な蒸気機関の運用で辛うじて産業と言うものがほそぼそと機能してる、いや、半死半生の産業を火力発電所の再建が成功したのは大きかった。
これの為に苦労は大きかった、何が足りてねえのか俺も分からねえんだ、お陰で書籍をガンガン読んだ、皆も読んだ、一部除いて文字の勉強からやる羽目になった。
アリウスの生徒は少なくない数が文盲や国語力が壊滅している、選択的無言症で話さない成人も多かったせいだ、社会の不安定さゆえである。
お陰で教育制度は大変だ。
密貿易の商品である武器弾薬も、ラインナップが増えるし品質も良くなりはしている。
幸い機材の質が良くなるのに比例して、元々あった鉱山の採掘効率と精製もどんどん改善し、火薬類も自家生産できるようになり出した。
ボーキサイトとか言うのも取れるらしいが、食料と木材以外はそこそこは取れた。
内戦期の軍も再編途上だ、なんちゃって陸軍どころじゃない。
試算させたがどうあがいてもここから後10年から20年は無いと、常備編制の師団4つは無理と結論が出た。
無理もなかった、国力は支えれる限界であり、正直連隊1個が出来たら奇跡とすら言える。
ぶっちゃけ大半の学生を建設担当に持っていかれているから無理だ。
ならば来るときに向かって備える為に、省人化であり精鋭化だ、具体的には機械化。
徴兵で穴埋めして訓練では間に合わない兵科であるが、そもそも機甲と砲や精鋭歩兵が徴兵で作れるわけねえのだ、アリウスだぞ! 金がないわ!
アツコが居眠りしてたケルベロスのカバンから、文部科学省とか言うとこの本をガメていたのは助かった、文句があるなら取りに来い。
初等教育からクラス30人、3クラス4クラスで1学年単位を作る、どう考えても兵役義務がある国のやり方だ、まあ整列行進が当たり前になるなら戦時体制でも安心だから良いのだが……。
整列や行進は素人だとまず実行できない、凄いグダグダする。
「第一執政例の物の計画が出来たってー」
「よろしい、見に行こう」
なんとか密造したAMX-13の貿易やらなんやらで、金を稼いで戦車生産工場と部品を生産開始できたと言う事だ、お手本を見ながら基礎を積み上げていく段階には入れた。
無論まだ家内手工業に毛が生えただけで、隅で錆びてた車両の再現がようやくと言う奴だ。
ショットカル・ギメルとかいうらしいが詳しくはよく知らん。
ヘリも民生用名目で輸送用にUH-34と、UH-1が買えたのでバラして部品コピーの段階だ、機甲部隊の訓練に使っているのはカイザーとかいう連中が用廃で売ってる部品から再生した戦車である。
確か外の流行りがクルセイダーとカヴェナンターとか言う奴らしいが、巡航戦車 Mk.Iが訓練用で再生できた、壊しても直せるからこれが限界だ。
「それで何作ってるの?」
「皆へのご褒美、国庫が痛まない奴、勲章だな。
今の世代には俺が授与するがお前がこれは本来やるんだからな?」
「はーい」
手掘りで金型用のモックアップを作って居ると、電話が鳴る。
これでも俺からすればバカみたいに便利なんだがなぁ、電力普及率が上がったので逓信が普及したお陰で、腕木通信は遂にアリウスから退場した。
まあ通信用の電源や線が無いんだからそうなるしか無いんだがどういうこったよ! しまいにゃ内戦期はテレグラフ担いだ兵士が必要になったぞ!
「鉄道誘致は無理なのは変わらず、それと財務室が税務調査をしてるので再びカバーを張り替えます」
「やっぱりだめか」
「中央政府に認可されておりませんからね我々、トリニティは死んでも認めんでしょうし」
投げやりに近いような声を聴いて、何とも言えん顔になった。
去年から一部他校に転入させ諜報兼出稼ぎ情報班はようやく機能を始めた、今は中央の流行り歌が分かるだけで良い、市場や外の政治状況が分かれば御の字だ、新聞だけでも結構分かる。
この最初の100人の内5人でも良いから中央政府の木っ端役人にでもなってくれれば儲けものだが、これは期待してない、出来たら世も末だ、どう考えても芋だもん。
彼女らがミレニアムなどから本を手に入れてくれるのもありがたい、工学論文とかですら有難い、部品買って送られても資料が無いと分かんないんだよ!
せめてもの娯楽にと俺が数作作って、なんか出来てたアツコの友達一同にも見せたが、特にサオリとか言うのに「ごめん、執政」と言われたときに挫折した。
それはそうとして外の学説は面白い、金本位はもう無理なのは分かる、手形取引で実際より大きい金額を取り扱っているから当然だ。
最近の情勢で他所が家レベルに落ちて来ることはあっても、3大校のラインは遥か遠い。
他所に出る道の一つで誰も居らず、目も付かない土地は都合がいい。
土地をたたき売りしてる最中のアビドスの土地を、最近ちょびちょびと買っている。
多少高くても現物払い出来るので、居住が辛うじて可能な場所でも抑えて置く。
ナイルかサハラで大分違うのだ、今は潰れてもナイルなら水源跡地があるし、それにクソ暑くて砂は多いが日照量が少なく埃っぽいアリウスより、こっちに出してやっても良いだろう。
なにより大きいのはアビドスは管理が及んでいない廃墟が新市街ですら乱立している。従い、そこに密造拠点の移設をして公然と作業してもバレないのだ。
無主地同然で司法権も警察権も曖昧だから何の文句も言わせない、法執行能力が機能してないからなガハハハッ!
立法などの作業は比較的に楽だった、俺の民法典を手直しすればよかったし。*6
後で中央政府に手を上げるとき摺り合わせが大変そうだが、今の統治のほうが優先であるし、ぶっちゃけ中央政府に権能や法執行の能力に著しい疑問点がある。
特に警察の作戦能力は極めて低下しつつある。
我々が言うのもあれだが、学区を跨いだ我々の密造の調査がまるで効果が奮わず、地方自治権と中央警察権でまるで連携できてない、官僚主義の縦割りでまるで機能してないのである。
例えばアビドスに根拠地を据えた我々アリウス外貨出稼ぎ部隊は、ゲヘナやトリニティ、それにDUなどの幾つかの地域で跨ってあれこれを売ってるわけだが、これら全ては各個個別に、バラバラで捜査している。
おかげでまるで成果をあげれず、ガラを躱されるわけだ。
【脅威目標】
そしてそんな中で月日は流れて遂に事態は激しく動揺し始めた。
まず、2年前、SRTなどという常識と倫理と政治哲学から見て悪手の極みたる、暴挙染みた行為を中央政権が敢行した。
正直言って全く分からない、ヴァルキューレ総監部などに監察を行い、しっかり内部監査を行って、暫時役員も内部調査するものである。
しかしこのSRTにはその様な適正は無い、捜査組織にしては全く論外であり、要するにこれらは帝政ロシアの
下はこうした連中に目を付けられる面倒さを嫌がって、言い訳だけが得意の弁舌しか能がない能無しがのさばる。
上はと言うと「これは自分の案件にあらずや」という官僚主義を寧ろ尖鋭化させる。睨まれる言い訳を増やしたいわけ無いし、省庁益しか考えない、当たり前である。
「何考えてんだ中央は? 誰がこんなもんに賛成票入れたんだ、議員の連中は?」
「そんなダメなの?」
アツコが不可思議気に尋ねた。
突然の政治学講座をすることになったが、こういうのも仕事だ。
「おまえなあ、職場のあちこちに俺が顔出して口出ししてるのを見て安心するか?」
「びっくりすると思う」
「そう、安心はしねえ、俺なら嫌だもん」
頷いて、最近ようやく再開できた水道の水を飲む。
まだ薬味くさいが、ちゃんと浄水出来ている、漏水や断裂の再調査がようやく終わった。
調査機材を作る段階からだから大変だった。
「まあ見てろ、数年で機能不全だ」
「ふーん」
アツコはきょとんとした。
すると、慌てた様子で報告書を一枚持って来た生徒が、何事か耳打ちした。
「え? DUの備蓄庫と店舗が摘発?」
「はい! カイザーの軍需工場摘発に合わせて襲撃されたようです」
「クソが!」
思わずそう叫び、次の指示を出す。
「やられたのは何人だ」
「幸い尾行に勘付いて人員は退去しました、書類一式は焼却済みです」
「あーあぶねえ、指示出した奴に休暇をやれ……それだけの功労だ。
それと幾つかの新聞やマスメディアを通じてSRTは弾圧機関だと言う世情の誘導へ入れ」
「はい!」
指示を受けて急いで生徒は退室していった。
「上手く行けばSRTの活動に抑止が出来るが……取り敢えず監視に警戒させるか」
摘発を図った割に、人員や書類を確保できていないという事は我々は想定外という事だ。
対応の範疇である場合、逃げるのは間に合わなかったに違いない、中央政権が幾らアレでもそれくらい出来る筈だ。
という事は狙いはカイザーあたりか、露骨に進出して来た無国籍企業にメスをいれたいのだろうが、脱税で叩く方が効果があろうに。
暫く活動地域を変更して、ほとぼりを冷ます。
公然事業のキノコ茶や代用コーヒーと魚の干物や燻製は別グループで、”綺麗な現ナマ”を搔き集めている、法定通貨、正貨を貯金しておかねばならない。
ありとあらゆる手段で経済を強化している。
「やれやれ性急な解決策は若さゆえかねぇ」
連邦生徒会もこれでは着いていく人々も割れてしまうだろう。
この強権で次に潰されるのが自分だって思われたら、残るのはおべっか使いばっかだぞ!
「内に疑心、外に外憂、砂漠化は無視して3大学校はますますいがみ合う、長くねえな」
連邦生徒会会長は各所に戦力や権力を伸ばしているらしいが、急激な介入は国家を疲弊させる。
思い出してみろローマ帝国を、不毛な蛮族との得る物の無い紛争が国家を衰弱させ、死に至らしめたのだ。*7
そんな事を考えていると、数日しない内に別のニュースが出て来た。
なんだか急にゲヘナとトリニティの紛争状態を仲介すると言い出した、やる事は条約じゃなくて武装解除、境界線の再確立だ。
これじゃ仮に条約成立しても、双方の過激派に連邦部隊が連続襲撃されるぞ!
ん?
待てよ、そうなったら俺達が仮に復活し、公然と名乗りを上げたら……奴らの過激派が大挙して俺たちを攻撃しかねない!
ましてトリニティの連中は自分の恥を、消したはずの存在が生き延びていたわけだ。
しかもそれを支援すれば「過去と向き合える素晴らしい進歩主義者」と自慰にふけれても、「独立独歩で帰ってきた」なんぞされては恥に恥を上塗りする事になる。
そんな事が起きては連中、死んでも認めれない、面子が潰れて黙っていられる連中なら、そもそもアリウスは追放されてねえんだよ!
「駄目だこりゃ、こりゃいかん。悪くて本土決戦、良くて出戦だ」
執政は、慌てて命令書を書き直し、地図とあれこれを確認し始めた。
だがこんな生活も悪くは無いと思い始めて居た。
感想評価お待ちしてます。
誤字脱字などの報告本当にありがとうございます!
この場を借りてお礼申し上げます。
原作のどっちを見たり知ってます?
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長谷川ナポレオンシリーズは知ってる
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ブルーアーカイブだけは知ってます
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どっちも知ってます。