キヴォトスの若鷲(エグロン) 作:シャーレフュージリア連隊員
【進めアビドス探検隊! 砂漠の奥地に秘境を見た!】
初等部や中等部なども順調に回り始め、クラス分けなどの参考になった本によると遠足などもある。
普段は行かない場所に行って、日帰り又は一泊などをすると言うのも外地遠征の基準になるだろう、子供の内から慣れさせる。やはり相当な軍事国家に違いない。
初等部はアリウス内で遠足などだが、中等部の2年から外貨出稼ぎ部隊の拠点を中間地とし、外というのを見せてやるのが主任務だ。
勿論、探索隊は偵察部隊が探検を終了させた場所だけだ、後に何を言われようがここは我々が購入し維持管理も行っている*1のだし、詰められて困るのは、勢力圏外の廃墟を資材目的で解体して持ち去ったりしたぐらいだ。
実際それは悪い事だから文句が来たらその時に賠償金だか、適当な取引して終わらせる。別に誰も困ってないし帳面なんか持ってないだろ。
作図練習に測量隊の訓練や工兵隊の訓練とし、有効に活用している。
しかし、産業拠点を構えて2、3年もすれば小さい工場らしくなって来た。
山麓の扇状地の地下に地下水が湧きやすいという話を信じ、工兵とボーリングして水脈を見つけた時は歓喜したものだ。
蒸発しない様にカナートとか言う地下水路を作り水を引っ張る、エジプト遠征の記憶、ワン公の本、仕入れてきた本、穴掘りに慣れた連中これが揃って初めてなんとか完成した。
不格好でもみんなで作って出来たまともな水源は大きい、飲料水と生活用水の制限を緩和、衛生の改善の本格化だ。
お陰で製造所に小さいオアシスが作れたので4年物のナツメヤシを植えた、来年には少数だがデーツが取れそうだ。
廃墟の住人が捨てていった10年以上前の地図でもヒントはある、水路の記録などが特に当たりだ。
干上がり切って追えなかった河川のヒントがあれば、標高を上げながら追えば良い。
こういった探索をしていたら、当時のアビドスの連中がでっかい大砲を作っていた。
大砲は自分たちを飢えさせると何故理解できないのだろう?
まして、性急な軍事行動による解決手段を可能とする人的資源ねえだろ。*2
「何考えてあんなもん採用したんだろうな、アビドス生徒会」
「偽りの大義すら無いのに争ってどうするんだろうね」
アツコがドライフルーツを食べながらそう言っていたのも今や昔だ。
火力発電所開設記念で特配で全員に配ったのも懐かしい記憶だ、甘味はかなり支持を挙げてくれた。
「土地を売って貯めた予算の逆転法があれではね……」
「ネフティスや生徒会は俺達を何もない場所を買いあさって砂遊びしてる変人呼ばわりだ」
「で、本命は何を探してるので? 化石燃料はないでしょうけど」
防塵マスクをしたアリウス生徒が尋ねた。
「水源が出たらうれしいが、一番欲しいのは塩鉱山」
「岩塩かなんかですか」
「塩の専売権って雰囲気じゃねえだろうしなあ」
知識は力なりだ、塩は何処にでも売れる、加工し放題だ。
大昔から開発が無いのは本当に何も無いか、深深部にあるかだ。
あんな浪費したら、機械は買えず、マンパワーを雇う労力も無いから家みたいに
「水も人も金も高きから低きに流れる」
総計して500人以上、期間3年かけて探索し、ようやく見つけたんだ、今更返せとか言ったら武力行使する。
深部の鉱脈はマンパワーと機械の混合だ、アリウスに石炭が多くて助かった。まだ生きてたのを捕まえた政治犯を組織的に投入している、子供のために働けて人生最高だろう。
塩湖はリチウムや各資源を、塩鉱脈も収入を石英の多い砂はガラスにして加工し綺麗な現ナマとしている。
アエギュプトゥス*3属州と言うのが脳裏を過ぎったが、ここでの収入はアツコの収入源になるのだろうか?
まあならなくてもぶっちゃけ学園ぐるみのペーパーカンパニーだ、学園で再分配している、ネオジャコバンもびっくりの共産主義だからしょうがない。*4
「執政! アビドス生徒会が!」
「ついに摘発か?!」
「多分違います!」
ダムが完成した時、アビドスの生徒会を名乗る二人が現れた、水着持参で。
ダムで泳がせてやった。現アビドス校舎から此処までの距離を考えると2人でここまで来るのは無謀が過ぎるぞ。
機密だったのを他所に見られた、消すことも真剣に考えたが、win-winにすることにした、ここでコイツらが消えたら目立ち過ぎる。
水は水道管持ってきたら引いてやると答えたが、維持管理が出来ないだろう。
緑色のそいつになってから土地の購入が断られ始めた、バカだが良い奴なのだろう。
ヘルメット団とかいう連中がその後出て来て、野盗が本格化し始めたが、ただの徒党集団で勝てると思うな、我々は国家ぐるみでやってんだよ!
迫撃砲ぶち込んで組織的に根拠地を襲って「次に手を出したら殺すぞ!」と脅して何とか解決した。
しかし作戦中に発見されたこの緑髪のアホ、気絶して野垂れ死にしかけてたけど何してんだコイツ。
見捨てるという気にはなれなかった、しょうがないから4人がかりで担いで帰る事になっちまったぞ!*5
【アヴァランシェ作戦】
そもそも今回書き直し、臨時修正を入れたこの対トリニティ自衛戦争計画であるが復興がひと段落付いてから始めてはいた。
復興が進むたびにぶち当たる壁、中央政府の認可を得て正式に存在を認めてもらいたいと言うのが現状の悲願だ。
だがどう考えても認可されると思えない、ミレニアムとゲヘナはトリニティの動き次第で、極論トリニティが強硬に反対したら日和りかねない。
ドナティスト派などの資料も見ると、俺達はもう縁を切っても良いと思ってるが、トリニティから「分離反乱だ!」なんて言われちゃ、許されない可能性が高い。
何せ追い出したら内戦になったなんて人道の敵だ、ヴァンデ戦争くらいにはタブーだ。
「でもトリニティの敵の場合、ゲヘナがこっちにつくかな」
「つかん! つかん方がいい、傀儡政権一直線だし、反ゲヘナという事も言えるんだぞ我々」
「あちゃあ」
アツコが困った顔をした。
下手に生きてることがバレても不味い、内戦中等ならお目こぼしも期待できたかもしれないが、住人台帳まで完成して安定した収入まで得たこの状態だと絶対に許されない。
良くて征服地扱い、悪くて財布にされるのが目に見えてる、だが国力差は楽観視して20倍、悲観したら60倍かそれ以上。
車一台作るために部品は数百、重要じゃない部品があるとしても欠けたら車にならない、素材から用意しなきゃいかんからだ。
最初に作った統計部門でアヴァランシェ計画攻勢案<ベイタウン作戦>と本土防衛などを主眼に入れた<スラップスティック作戦>に俺がベースを用意している。
遅くても後3年以内には始まる戦争だ。
何方にしても必須な鉄道線も一応完成した、路線の強度も貨車のパワーも心許ないし、スクラップ再生の機関車だ。
「執政ー! なんとかSRTから横流しできそうです」
「もう出来たの、呆れたねぇ」
「結構倉庫の管理が雑いですよ、あそこ」
対敵情報網を作るラヴェンナ計画も形になってきた。
外に良く慣れ訛りも抜けた連中から編成している、最初期にティーパーティへの
連中の最大の優位点は我々と比べて圧倒的な量的優勢と経戦能力だが、統治体制と戦時への切り替えの速さが我々の圧倒的優位点だ、いつ殴るかは我々が決めれる。
各分派がバラバラになり相互不信に陥ってくれる方が良い。
相手が600対10でも10対6を100回の方がまだ勝ち目がある。
付和雷同の連中を煽ってやるのが一番だ、戦争省情報部からの予算請求がどんどん増えているのはやむを得ない、どうしようもない。
家は外で流行りの教育BDも技術ノートが無いので、ペンと紙のノートだ、俺は黒板などに文字を書きながら教えなくてはならない
そして外でできなかった全体構想の共有化だ、実行前に変更事案は各指揮官に示す。
その為には情勢の変化、指揮官の資質、部隊の状態と戦場の特性に応じて修正をする。
【現状確認】
「それで3年でどれくらい変わっちゃったの?」
「そうだなぁ……」
GDPもぐいぐい伸びてる、元がほぼ0だからそりゃ伸び率はバカ高い、主要装備もいちおう国産だ。
どちらかと言うと正規部隊に出す兵隊の数が足りない、歩兵の枚数不足は砲の火力で補い、人的資源損耗に耐えれないから精兵主義の機械化している。
迫撃砲、105mm、175㎜砲が現状最大火力で、初期の輸出品でもあるトラックの工場。これが今生きてくる。
IFVならとうとう主力のAMX-10シリーズが何とか出せる、兵員輸送のPと装輪戦闘車のRC、水陸両用で展開能力は高いがまだ希少だ。
まあ内戦中みたいにエランド106㎜が暴れてるとかそんな状況じゃないからマシだ。
ショットカル・ギメルとAMX-13の改造タイプで機甲部隊は編成、SAMも用意できた、果たしてMANPADS増設がそう呼んでいいのなら……だが。
というか対空戦力はM42ダスターの砲塔捥いで積んだAMX-13 RAFAGAをでっち上げてみたが、これで何とかなるんだろうか。
航空戦力はミレニアムなどから中古でMD-500D、それにSRTから横流しで手に入れたAH-6改造機、なんとか自家生産したUH-1Dだ。
「なんとか見栄えはするって感じだけど、やっぱり稼働機が足りないね」
「稼働機増やそうにも金も物も足りん、平均飛行時間確保させるには飛ばさせるしかないが飛ぶと摩耗する、ジレンマだな」
しないよりはいいから飛ばさせているが、燃料や部品に整備が困る、貯金よさらば。
歩兵はアリウス本土に訓練用の市街地モックアップを用意し、派手に突入訓練している、ヘリ飛ばして連携させたり、装甲車から下ろしたりする訓練は目立つ。
冬のケースも備えてこっそりレッドウィンターの辺境に対価はプリン工場で土地を買った、”綺麗な現ナマ”の収入源の一つでもある。
アビドスにおけるサトウキビ畑計画が立案された理由だ、サトウダイコンは最初期から育成しているが需要に追い付かなくなって来た。
ある意味本末転倒ではあるが、人以外何もなかったのに、逆に産業のお陰で本来より兵隊が足りなくなった。
戦時になれば初等部と中等部は後方産業の補助だの、後方支援だので一時動員で抜けた穴を埋めるしかない、だんだん6日間で連合軍シバクRTAしてる頃の気分がしてきた。
「この書類は?」
「小火器と各種弾薬の月産量と備蓄と戦時使用予想……歩兵が200発も撃ちまくるってなんだァ、一体」
「免許制に色々制限つけた甲斐があったね」
アツコがやや驚いた顔で言った。
アビドスではエンフィールドMk4とかBARなどしか使わせてない、フルオート出来る火器は弾薬の都合からまだ駄目だ。
「取り締まりやすいからな、内戦後の荒んだ市民に強力な装備は危険だよ。喧嘩に使わせてやれるほど数も作れん。
素手や刃物ですら殺し合いに成ったら危険だ……特に家は」
3年前からの公的政策は1家屋に鶏と根菜畑と対爆シェルターだ、準戦時国家は伊達ではない。
予備役訓練はあるし、戦時になっても生き残る術として覚えてもらう。
戦闘部隊では無くても野戦築城は役に立つ、戦意と言う点から志願制は変えない、仮想敵がデカ過ぎるからこうなるんだよ。
予備役生徒と常備軍生徒で大別して分類してるが、適性を見てガンガン人を割り振っている。
「私達に敵は多いね」
少し周りが暗くなったので言い切ってやる。
「確かに我らと俺に敵は多し、けれど並ぶ者はいない、俺が10万人分は仕事してやる」
「執政が言われると信じる気分にはなりますね」
「内容は胡散臭いのにな」
「聞こえてんぞジャリども!」
軽口叩ける程度に太々しくなって大いに結構!
そうこうしていると、事件が起きた。
「連邦生徒会の会長が突如失踪しました、指揮系統が崩壊して大パニックです」
「なんで?」
思わずそう呟いた。
【洪水のあと】
サオリとアビドスの製造工場確認の帰りに線の細い兄ちゃんが行き倒れて居た。
ヘイローの無い大人は目立つから、適当に祭司服転用して顔隠す為に仮面をつけているが、生徒受けはあんま良くない。
理由を聞いたら、アビドス校舎に向かっていたが、砂鉄からコンパスが狂ったらしく、遭難したらしい。
噂の先生らしいが、流石に天測移動とかはしてないんだなぁ、肉体も見る感じどう見ても非軍人だ。
「ハローあんちゃん、悪魔執政だよ」*6
誰だよコイツと困惑してるが、水要るか? と聞いたら首を縦にブンブン振ってる、これからを思うと少し確認したくなった。
「代わりに君は俺に何ができる? 遭難者に水を売るためにタンク背負って砂漠歩く馬鹿は居ねえ。
君に水を譲って俺が代わりに遭難するかもしれない、そうなれば俺は後悔する。譲らなければ少し良心が痛むだけで済む、一番の無駄は君が2,3時間以内にまた再遭難して今度こそ干からびることだが」
”アビドスが困る事になるね”
「なるほど?」
このままラーメン屋寄って飯食って帰るんだから、問答してるより水をやれよと言う目を止めろヒヨリ。
なんでもアビドスが戦闘能力を喪失しつつあるらしい、まあ兵站組織も無いからしょうがない。
弾薬製造有資格者のユメとかいう奴がなんとかいるお陰で最低限自活出来てるだけだ、阿呆と思っていたがマジで阿呆だった、2浪はヤバいよお前!
「面白い、ほれ飲め……温いだと? 冷たすぎると体に悪いんだよ、ほれ塩と砂糖も舐めろ」
日陰で応急処置をしていると、今のアビドスの2年が来た。
邪悪じゃないマッセナことシロコだ、ナチュラルに銀行強盗を企んでいる。
以前1年の時に突如うちへ乗り込んできた、あんまりにも突然で想定外の奇襲だったから大騒ぎになったが、なんとか取り押さえて引き渡した。
悪意無く突っ込んできたのが今でも理解できない。
「ん、パーツ屋の人、どうしたの?」
「また遭難者救助だ、お前さんところに用が有るんだと」
「そうだ、ついでだけど、弾薬費もう少し下げれない? オリバは運送代も掛けてるんだよとか言ってるけど」
アビドスの苦しい経営が見て取れる。
高威力弾薬が自作できても自衛では無く売るしかない、その金でより多く我々から弾薬を買っている。
お陰で最近は弾薬貨幣価値論が出て来た、笑えねえ。
「お前らの銃がなあ、高いからなあ。家も高精度部品の挑戦ができるから大分セールしてるんだぞ? そんなに戦局悪いのか?」
「最近輸送中よく襲撃に合う」
「……へぇ、そりゃあ変だな」
先生の方をつんつんと指で突いた。
”? ”
「なんでアビドスと言う辺境の地でわざわざうちの弾薬輸送車とかを狙うんだろうな?
組織的野盗にしちゃ変じゃねえか」
”確かに、徒党組んで奪うにしちゃ割に合わない様な”
頭はちゃんと回るタイプか、不慣れなりに努力して良くしようとしてるのは分かる。
シロコに先生を預けたが、彼は黙々とタブレットを確認し、地図や統計を確認していた。
無能じゃないならいい、優秀な敵や有能な相手は信用が出来る。
【白紙と言う名の計画】
連中をそれとなーく唆し、こちらも大得を得た、どさくさ紛れにカイザーの基地からあれこれと軍用装備品類をかっぱらい、車両をバラシ、燃料を奪い、MREも奪った。
あの先生、中々抜け目ない、狙ってたロンダリングの記録を奪っていった、あれはあれで悪党だな。
まあ死体蹴りはカイザーの連中も良くやってるんだ、やられたくないことをやるんじゃ無いよ。
俺達がしたのは人助けである。
変なとこで死なれてもかなわん、アレに最適の距離で付けれる目と耳の適任で今手が空いてるのは……。
スナイパーのヒヨリか? あるいは溶け込みやすいミサキとかだろうか。
とか考えていたら変な奴が来た、ミカとかいうトリニティの三頭政治の片割れが「和平と和解の為の話し合いがしたい」とか言い出した、どうやって特定したんだ……。
バレた理由は簡単だった、諜報責任者のマギが目印に聖山家の家紋使ってたのが発見されたらしい。
「だってあの家紋はうちが一門に与えた奴だからね、だからピンときたんだ」*7
おまえ何年前の奴の家紋を覚えてんだよ! え、紋章認定官とか無しで分かったのかお前?
話し合い自体はそこそこスムーズに進んだが、我々の疑問はただ一つ。
「あんたはそうだろうけど、それが全体の総意じゃないでしょ」
「シスターフッド、メンツにこだわる門閥、事大主義者純血主義者は賛同しないだろうね」
「そ、正直言ってあやふやで我々は信じられん」
むうと唸って、ミカとの交渉は何も決まらず終わった。
少なくとも存在は露見したとみていいだろう、実在すると思われたのはマズい。
「さーて、まずくなったな、斬首作戦案は論外として……」
「……あ、これ」
生徒の一人が、外の新聞をとんとんと指さした。
「SRT廃校……? 短命だな」
「これ……用廃扱いか何かの武器類が大量に出て盗めるんじゃない?」
「……やるか、部品だけでも割に合うな」
アズサは駄目だ、今回実技で現地に居る諜報班の管理者だ。
中等部の時から目を掛けてる愛弟子たちとも言える奴だが、本来なら将校の育成コースにでも進んでほしかったが七光りは嫌だと言って、前線任務を求めて来て与えた仕事だ。
「よし、マギ! 航空関連とか優先でガメれるか?」
「その件ですがいい知らせがあります、SRTの備品の取り扱いがヴァルキューレになるかならないで大揉めしてます、しかも連中リン行政官の横槍で人手不足です」
「でかした! 被服部から直ちに警官擬装装備回収してこい!」
ありがとう未だに連邦生徒会会長捜索に拘るリン行政官! 貴女のおかげでアリウスが助かります!
失踪2週間目くらいで「さっさと臨時選挙しろよ」とか鼻で笑って悪かった!
【WarPlan:White】
宙ぶらりんのSRTから偽装警官の恰好して、いくつもコンテナ単位で装備を持ち出せた。
CH-47Fごとコンテナで輸送、ミレニアム郊外の空き地で一旦バラシて電子部品の監視チップを排除、続けて3方に分かれてアビドス・レッドウインター・トリニティのカタコンベから内地へ輸送する。
監視チップを無効化する手段は知らないが、どれが管理用の電子タグかは作っていくうちに「なんか違う部品だな」と見分けれるようになった。
案外自分たちで作っておくのが良い方向に響いたが、とんでもない掘り出し物が出て来た。
「なんだあこのヘリ」
「記録じゃブラックホークのはずです」
「……アンテナ多くない?」
ミレニアムのメカ本集めて分析したところ、EH-60Aという機体らしい。
なんでも空からこれでECMをかけれるそうだ、しかもSRTの歪みが見えるようなろくに使われていないほぼ新品だ。
正直、APILAS対戦車火器の山より面白い。
まあ一番デカいのはAH-6たちが完全武装して余裕ある弾薬類だ、ヘルファイア誘導弾やスティンガー類がぞろぞろ出て来たし、バッテリー類も大量確保である。
スティンガーのバッテリー類は大量納入でアシが付きそうで怖かった。
「そんで後始末は」
「不審火で倉庫が炎上したようです」
「記録は有耶無耶だな」
「大恥ですから公然と言えんでしょうな」
もっともこれは今回だけだ、何度も出来ると考えてはいない。
エデン条約という物が出て来たが、連邦生徒会は言い出しっぺの癖に逃げ出し、トリニティやゲヘナの間では反対勢力が本格化している。
「さて常識的に考えれば破綻が不可避だ」
「ですね」
「結んでもどうせ翌週には忘れてるよ」
ミサキがぼそりと呟く。
「そう! そこが重要なんだ!」
聴いていた全員が首を傾げる。
「今回手に入れたこれは、それを大きく変えるものだ」
「結局ヘリコプターだよ? たかが新型程度じゃ変わらない気がするけど」
アツコの疑問に頷く。
「こいつは電子戦機だ、これで奴らのいる場所でECMを焚いてやればどうなる?」
「「「あっ」」」
全員が何かを察した。
「さて、そんな中で連中は相手を撃たないほど理知的かなぁ?
トリニティは言うまでもなく、ゲヘナ風紀委員会はこの前自治権無視の作戦行動したばかりだ。
前科が色濃いことくらい、トリニティは知ってるわけだ」
「で、でも戦闘が始まったとして、どうするんです?」
何人かの生徒たちが困惑して尋ねた。
「うむ、そこで我々の出番だ。
戒律の守護者にして、”正当な古聖堂の守護者”たる、ユスティナの系譜たるアリウスが”やむをえず現地治安を回復させる”のだ」
「……それ偽旗作戦っていうんじゃないの?」
「失礼な、考えなしに引き金を引く阿呆が多いから利用するんだよ」
作戦計画としては概ねいま言った通りだ。
大して頭で考えんで揉めるアホと間抜けが不幸になって我々が”正義の味方”として世俗へ帰還する。
当然排除できない、トリニティもゲヘナも、自分たちが争っていたのは事実だ。
そしてなにより、この作戦は一つの支援作戦がある。
「そして同時にクロノスの施設を抑え、我々は”あくまで秩序と治安を守るための警察行動”と宣言する。
何故なら公的には古聖堂の所有権主張は我々にも出来るからだ、したがい、これらの活動は全て連邦憲章における自治権の範疇内で、連邦が介入する根拠はない。
つまり我々は”なんらの違法な事を一切しないでシャバに登場”ってワケだ」
「凄いね、執政が滅茶苦茶に悪人に見える」
呆れた顔をしたミサキがアツコを見た。
アツコもやや呆れているが、利害得失を走らせたか即座に「でも筋が通るしこれなら戦闘は数日で絶対に終わる」と頷いた。
やむを得ず治安維持と警察行動に出たアリウス、即座に展開し双方武装勢力を引き離し、直ちに双方過激派を武装解除する。
伝単放送により迅速な制圧をアピールし、続けて戦うなら一戦して敵を撃破し戦力を誇示する。
ぶっちゃけてしまえば、ゲヘナは組織戦闘において指揮統率のレベルが取れていない。
ヒナ委員長が強いというが部下の制御が出来てないのは明白に露見しており、組織構成員も結局自律作戦行動が下手で、「ヒナが居ない風紀はザコ」という世俗の表現はある意味、正しい。
対するトリニティだが……こっちはまず合議制体制として全くまとまりがない、組織的軍事作戦行動がまるで駄目だ。
正直なところホノリウスとかが出てないだけマシなんだろうけど、カエサルが出かねん。
「だが問題が出てくる。そう、連邦捜査部とか言う独裁・違法・非合法・違憲・存在そのものが反体制にして体制不安定の要因たる連中だ」
「排除しちゃうの?」
「いいや? こんな都合がいい奴が、しかも非武装でうろついてると言うから、試しに過激派をけしかけてみる」
「え?」
「と言う訳で我々は悲劇の英雄を颯爽と救う仕事もする、連中に独立承認させちまえばこっちのモンよ」
何故なら先生がそれをすればなし崩し的に3大校も連邦生徒会も承認せざるを得んからなブヘへ!
何考えてこんな政府不安定組織にゴーサイン出した? 正直なところ何考えてんだと思う。
というか反対した奴いないのか?
「まぁ最悪死んだらそれはそれだが……死んだらアレが更に宙ぶらりんで非常に困る」
「まさか先生に承認させて無理矢理に連邦生徒会や捜査部の権威を盾にするんじゃ」
「そうだけど?」
「……すごい、初めて執政を悪人って実感してる」
「遅いわアホ!」
アツコの言葉にそう返しつつ、地図を用意し移動ルートを確認し始める。
幸い古聖堂の地下はカタコンベと直通できる、馬鹿がやらかす様にアビドスで掻っ攫ってきたカイザーの武器類の出番だ!
全ての責任は奴にあるんだよ、そう言う事だ!
「じゃ、そういう訳で情報班はSNS使って”カイザーがシャーレを狙う”という風潮を操作するぞ。
まずはアビドスでの交戦映像を使って印象操作だ」
さ、やる事は多いぞ。
まずは地道に種をまく、いつかデカい花を咲かせてくれるだろう。
感想評価お待ちしてます。
誤字脱字などの報告本当にありがとうございます!
この場を借りてお礼申し上げます。
原作のどっちを見たり知ってます?
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長谷川ナポレオンシリーズは知ってる
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ブルーアーカイブだけは知ってます
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どっちも知ってます。