キヴォトスの若鷲(エグロン)   作:シャーレフュージリア連隊員

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壊れるのはアビドス編だけとは言って居ないので初投稿です


アビドス校舎攻撃計画

 

 

 夜のアビドスの道路を、号笛(ごうてき)が鳴り響く中カイザーの部隊が展開する。

 オートマタの足音が響き渡り、サーチライトが灯る。

 照らされたサーチライトに狙撃が加えられ、続けてシャーレ隊員が照明弾を打ち上げる。

 地上では明らかに”使い慣れたLMGの制圧射撃”のもと、カイザーの正規兵オートマタが前進を開始し、シールド持ちの大型が前面へ展開する。

 2個小銃班道路左右に固まって前進するのを、側面に隠れたシャーレ隊員たちが一斉に射撃、手榴弾を投げ込む。

 小銃射撃を防ぐ盾も前面以外から撃たれては意味がない、それに随伴の小銃班が居なくては盾がいても火力展開をする奴がいないから調理しやすいのだ。

 

「また待ち伏せだ!」

 

 無論カイザーも馬鹿じゃないから、この前衛の後ろに小銃小隊と1号自走対戦車砲の部隊が続いている。

 即座に怪しいところに制圧射撃をしようとするが、9バンガー手りゅう弾が投擲された。

 9バンガーとは連続して炸裂する閃光手りゅう弾で、本来ならば室内向けの物だがこけおどしにはなる。

 投げられた手りゅう弾を即座に判別出来たり、対応できるような奴は多くない、アビドスにも居るがそういう奴はねじが飛んでいる。

 

「100m後退!」

「校舎まで後退!」

 

 アビドス校舎周辺、その前面800Mを前衛とした分遣隊は遅滞戦闘を行いながら後退している。

 土地を切り売りしながら時間を稼ぐ、本来SRTが担当する事が無い戦い方だが、要人退避用の訓練プロトコルを参考にしながら上手くやっている。

 しかし限界は近づいてきている、遊撃班がかなり蹴散らしたが、2個小隊も蹴散らした辺りで土地の余裕がなくなった。

 それに機動火力の要の40㎜自動擲弾銃搭載のMRAPがSMAW直撃で遂にお釈迦になったのもまずかった。

 外からの射撃音が少し下がった。

 

「煙幕展張!」

 

 81㎜迫撃砲がWP弾を放つ。

 

「敵が突撃準備中」

 

 遂に校門が爆破され、シールド持ちオートマタが横隊を組んで波状突撃する。

 ローマ軍の隊列(テストゥード)に近いが、理由は明らかだ。

 

「あいつらうち等が50口径少ないの知ってるな」

「556じゃ貫通しづらいですからねえ」

 

 CPは妙に他人事だが、こいつら本当に頭おかしいのか? と思わず法務要員はつぶやきかけた。

 しかし、あの先生が我々を見捨てるとは絶対に思えないというのはなんでだろうか。

 何故か私もMP5Kを手に持っている、どうも逃げるには早い気がした。

 

 

 

 GLOCK拳銃がせいぜいの自衛武装なお出迎え部隊と合流、アヤネのドローンで建物の陰から三点測量し観測を行う。

 校舎への直接射撃は理由が分からないが控えているようだが、校庭は弾痕まみれだ。

 探照灯まで当てられている、多分あれに見つかると機関砲や狙撃が飛んでくると言ったところだろう、軽装歩兵が多い我々には非常にまずい、機動戦力では負け砲戦力で劣る、あえて校舎占拠させて──ー

 

「先生、指示を出して」

 

 ホシノが俺を睨みつけた時と同じ敵意と殺意を持って敵を睨んでいる、校舎明け渡しは無理だろう、カイザーなどより切れたホシノの方がおっかない。

 エジプトで、砂漠で使った戦術機動のほとんどは使えない、あの時あったものがない。敵が我々に気づいて居ないのが救いか? 

 

「……あのー先生? 私の事忘れてませんか?」

 

 この何時も寝言を聞かせてくる声は……

 そう言えばこいつ

 

「アロナ、お前電子戦では何でもできるって言ってたよな!」

「ひっ、言った覚えはー……言ったかも……でも、私が長時間アクセスするとそのサーバー焼けちゃうんですよ」

 

 よぉ~し良い子だ、箱に声をかけてる怪しい図かもしれないが、この箱が切り札だと説明してやる。

 

「ん……先生がホシノ先輩に負けない迫力が出始めてる!」

 

 しかし敵の無線丸聞こえがここまで良い物とは思わなかった、明日までこのまま安眠できそうな心地よさだが、そうすれば俺が永眠する羽目になる。

 

「勝目が引き寄せれた、連中がここに来たこと4000年ほど、後悔させてやろうぜ、アロナ! CPのコンソールと繋げるぞ、秘匿通信行けるか、向こうと繋げられるな」

「はい、任せてください!」

 

 通信をつなげるが長い命令はできない、徹底的な持久と反撃のタイミングだけ伝え通信を切る。

 

「諸君、作戦を伝えるぞ」

 

 作戦概要を聞いた途端、周囲から狡賢いだのセコいだの、今にも飛び出しそうな奴諸々だが勝てる手で確実に勝つそれだけだ。

 相手の動きを聞きながら、配置と準備に掛かれるのだから楽なものだ、だが2度も3度も使えない詐欺の類だ。

薄汚れたラッパでも後退を敗走を間違えたり、何でも突破口を作れる、そうすれば均衡は崩れ、後には何も残さん

 

 

「これで三回目だぞ、本当に落とせれるのかね」

 

 アビドス砂漠のオアシスに駐屯するカイザーPMCの指揮官、理事は現地の様子を端末で確認しながらつぶやいた。

 声や口調は強い苛立ちがにじんでいる、2度校舎内に突入して2度撃退されたせいだ。

 

『サー、何故砲撃許可を出してくれないのでありますか』

 

 焦れた現地指揮官の問が理事に届き、理事はため息をついた。

 

「俺だってそうしたい」

 

 ジェネラルの奴、それに本社は”あまり事態を大きくされては困る”と主張して校舎砲撃を禁じた。

 ヘルメット団へ迫撃砲を貸与して攻撃させる案もダメだった、ヘルメット団側がやる気を失っているし、脱走者が何人もでている。

 だが流石にこれで解決する筈だ、そのはずだ、そうじゃないと夜明けまでかけては言い訳出来なくなる。

 

『サー、突入準備終わりました』

「やれ」

 

 返事がなかった。

 

「ん?」

 

 いつの間にか、接続中のままの表示が赤くなっている。

 接続不良? 通信状態がそんな急に悪くなるわけがなかろう、通信担当を電話で呼ぶが通じない。

 理事は知らない事であった、まさかカイザーアビドス方面隊の電話回線からアロナが悪戯しているなどという事は。

 そしてこのポンコツAIは、サーバーの破壊と故障原因については常習犯である。

 作戦データリンクがいきなり寸断され、前線部隊は足踏みし始めていた。

 その隙を突いて嫌気が差したヘルメット団の集団脱走が発生していたのも気づけなかったのも、脱走者がよりにもよってホシノ達に見つかったのも不運ではあるが必然であった。

 

「じゃあ、やるか」

 

 前線部隊指揮所が混乱というより困惑しているのは直ぐに見て取れる。

 

「大変っす! シャーレの大装甲部隊が来てるっす!」

 

 ヘルメット団団員が適当にホラを吹かせただけで、それは拡大した。

 冷静に考えればそんなはずないのだ、シャーレのSNSアカウントにそんなもの載ってないし、記録もないのに。

 ただのバカな不良が適当にホシノ達に言わされてついた嘘は、急変する事態では劇薬だった。

 

「どうします」

「え、とりあえず本部との通信を回復させんとだな」

「でもその本部まで数十キロっすよ」

 

 現場指揮官は典型的小役人だった、当たり前だ傭兵に愛国心があるものか。

 キャリア、計画、事態急変、責任、いろいろな惑星がそういう名前で周回する星系で、彼は決断した。

 

「作戦中止……い、いや状況急変につき、中断しよう、うん」

「帰っちゃダメだろ」

 

 先生と愉快な対策委員会の一味が指揮所テントに現れた時、彼の全てが崩壊した。

 

「しゃ、シャーレ……」

「俺の場所から出ていけェ!」

 

 指揮所の無線機と書類以外に射撃自由を許可したアビドス生徒たちは、予定通り指揮所要員を全滅させた。

 こそっと抜け出そうとするヘルメット団団員の首を抑えて、信号拳銃を渡す。

 

「完食しろ」

 

 カスみてえな大人は見てきたけど、鬼みてえな大人は見なかったなあ。

 彼女はそう思いながら、走馬灯を載せて信号弾を打ち上げた。

 全軍が統制の取れない退却を開始したのは、3分後であった。

 

 

 

 

 ──ー翌朝残ってたのは擱座した車両の山だった、戦車、戦闘装甲車応急処置でも直せば使えるレベルもあるが、大半はくず鉄行きだ。

 取り残された捕虜も居るが、とっちめればいい、しかし、このぐらいの詐欺で指揮崩壊を起こすんじゃない、将校や訓練課程を疑うぞ。

 結論は簡単だ敵先頭部隊がグラウンドに突入し部隊が展開を始めたとこにハッキングし、此方の精鋭を敵司令部に怒りのホシノと突撃、これですべてだ、後は追撃を続けて重装備を遺棄させ続けた。

数時間ほどして、満足気な笑顔を見せながら小隊指揮官の白河が報告した。

こいつもどいつも負傷者だ、頭の包帯に血が滲んでいるが士気は折れていない。

 

「空前絶後の大勝利です先生。現在までに確認・統計された遺棄気絶者は265名、放棄・損傷車両37、砲迫12門、投降298、逃亡183。我が方は戦闘可能負傷者含め残存戦力17名」

「結構!」

 

 機械化された歩兵大隊を概ね全て壊乱させた、カイザーの装甲小隊ほどと捜索部隊が一部隊列を維持して後退援護戦闘してきたのが心残りではあるが、大勢は完全に俺が作り変化させた。

 2日後にカイザーから「あれは手違いなんだ」と白旗添えてやって来たハンヴィーが文書で知らせてきた、手違い! なるほどそりゃあ仕方ないな。

 大人だから笑って許してやる、忘れてはやらない。

 因みに武器取引に関しては「横流ししてた社員が悪い」ということになったし、今回の攻撃も「拉致と誤認した軽率な判断」をした現地指揮官が悪いという事になった、ここまで続いたら管理責任だろ。

 

「だ、だからうちの装備品も返還していただけませんかね……」

「刻印削られてない奴はお前らのだからな、返してやるよ」

「えっ……」

 

 持ち物には名前を書きなさい、母は正しかったとまた実感した。

 シロコは「ん! 新しいスコープ!」と嬉しそうだし、ホシノは「ドラゴンブレス*1あったら回して」とポッケがハムスターみたいになっている。

 セリカはまだ大人しいがバイポットが長くなっているし、アヤネは無線機を対策室に輸送している。

 

「お前は良いのか?」

 

 ノノミは楽し気に笑うだけだ、それが一番の欲しい物か? 

 ヘルメット団団員にも参加賞と、ついでに名刺もくれてやった、食うに困ったらうちに来るがいい。

 ついでに感謝状もくれてやった、それだけの事はしてくれたんだ。

 勝利の美酒、素晴らしい! これが勝利の味だ。

 

『先生、損害報告書と戦闘報告に関してユウカさんから緊急通信が』

 

 味がしなくなった。

 ヘルメット団が公式にアビドスから退却・またはカイザーと手を切った朝が、昼へと変わろうとしている。

 

 

 戦闘要員の半数が後送! 残存も軽傷者を戦闘員として計算してるようなもんで、車両隊は6台中エンジン損傷1(これはまだまし)、全損1、その他車両も殆ど重大な損傷、事実上車両隊戦闘不能! 

 復帰の目途が立つまで数日は掛かる、それを悟られるのは不味い。

 その間に此方も何か手を打たねばな……。

 

 ユウカはさんざん言ってくれたが──それはそれとしてアビドス防衛に関しては同意してくれたが──初期任務目標達成の為に全力をかけるしかないのだ。

 ここでこの砂漠からカイザーにはご退場していただけなければ、彼女達も私もとても困る、ろくでもないスイス人以下の連中に負けてたまるか。

 だが久々の戦闘で俺も熱くなり過ぎたのか、全力追撃に出ようとした頭を冷やしてくれたユウカに感謝しよう。

 人的資源のストックがもう尽きてるのもそうだが、子供をこれ以上酷使してはいけない、夢見て60万溶かしたあの頃じゃないのだ。

 

「おやぁ~、先生思い悩んでるねぇ?」

 

 いつの間にかホシノが居る、これくらい熟練者だったら王党派も俺を殺せたな。

 

「この損害だからな、修理費は許容できても、このレベルの戦闘は少し待ってくれ」

 

 温めたタオルを目を覆うように載せてくつろぎながら、そう返す。

 ホシノが居るならある意味安心できる。

 

「うへぇ~、先生が何考えてるか怖いから聞かないけどさ、アレだけ戦ってくれてたらおじさんも感謝しかないよ」

「で、戦闘損害の督促じゃないならなんだ?」

「気分転換にラーメンでも食べに行かない? おいしい物食べると考えも纏まるかもよ」

 

 タオルで顔をぬぐい、深呼吸して「行くか」と告げた。

 そんな風にホシノ達に誘われ俺は柴関ラーメンで昼食と相成った、兵員に温食を食わせれる軍隊の強さはよく知っている。

 柴大将との雑談もいい刺激であり、この土地の市民の生活を知ることも出来る、帰ったらこの前聞きそびれた対策委員会の借金返済計画でも聞こうと思って居ると。

 店の扉が開かれ4人が入ってきて、セリカが対応に入る。

 

「四名様ですか? お席にご案内しますね」

「んーん、どうせ一杯しか頼まないし大丈夫」

 

 セリカと話している最先頭の少女を見て、護衛の一人が怪訝な顔をした。

 どこかで見たような、と言うが警戒心というより別の意味で有名人なのだろう。

 

「一杯だけ……? でも……どうせならごゆっくりお席へどうぞ。今は暇な時間なので、空いてる席も多いですし」

「おー、親切な店員さんだね! ありがとう、それじゃあお言葉に甘えて」

 

 良いバイトぶりじゃないかセリカよ、しかし見慣れん連中だ。

 ある程度修羅場慣れした雰囲気。嫌な予感がするが、俺がよく知ってる雰囲気を纏っては居ない。

 PMSCの連中では無いのは確かだが、いやまて、あいつらの一人の制服は前に資料で見た、ゲヘナの連中だ、という事は外から何か図ろうとしてるのか? 

 しばらく様子見をするため、俺はギョーザを注文した。

 

「あ、わがままのついでに、箸は四膳でよろしく。優しいバイトちゃん」

「えっ? 四膳ですか? ま、まさか一杯を四人で分け合うつもり?」

「ご、ご、ごめんなさいっ。貧乏ですみません!! お金がなくてすみません!!」

「あ、い、いや……! その、別にそう謝らなくても……」

 

 金が無い? 継続的な貧困ならあそこまで着飾れない、ヘイローもアビドス組の様に特徴的だ、こんな時にここへ旅行? 有り得ん、しかし公然とヒューミントをするための理由にはなる。

 静かに聞き耳を立てる、ラーメンは聞き耳を立てるのに向かないからな、サイドメニューが多いのは良いことだ。

 銃器の方もかなり使い込んでいる類だ、それにリーダー(又はマスコット?)のアルとかいう生徒の銃器は確かかなり高額であるから、妙な話だ。

 

「いいえ! お金がないのは首がないのも同じ! 生きる資格なんてないんです! 虫けらにも劣る存在なのです! 虫けら以下ですみません……!」

 

 セリカが慰めている、紫髪の少女の服どこかで見たことあるぞ、ゲヘナの風紀委員、伏魔殿とかなんだかの、ゲヘナの正規部隊系だ。

 エリート部隊にしては随分自己肯定感が低すぎる、しかし彼女にしてもだが、妙に抜け目なさがにじんでいる。

 訳ありで古巣から抜けて愚連隊? ありえんな、何処かの誰かがまた悪だくみだ。

 ちっ、こう言う予測は風見鶏のアイツの専門だろう、あいつは嫌いだが仕事は完璧だからな。

 直接探るかと席を立とうとすると、セリカが厨房に掛けていく、奢ってやるつもりか? 臨時収入大きかったもんな、危険手当と時間外協力で25万だもんな。

 

「おい、セリカ」

「ここは私に任せて先生」

 

 慈愛の目であった、ホシノ、お前の後輩は立派だぞ。

 何故かシロコが娘を見守る親父のような面をしてるがそれは知らん。

 

「こう言う時に見栄を張れるなら、出世できるぞ」

「何の話!?」

 

 ここはセリカのお手並み拝見をしながら、あのテーブル席に聞き耳を立てる。

 

「何か妙な勘違いをされてるみたいだけど?」

「まあ、私たちもいつもはそんなに貧乏ってわけじゃないんだけどね。強いて言えば、金遣いの荒いアルちゃんのせいだし」

 

 足を揺らして一番背の小さい少女が笑う、LMGとバッグ、かなり荷物は多そうだが重そうにしていない辺り体力は高そうだ。

 

「『アルちゃん』じゃなくて社長でしょ? ムツキ室長、肩書はちゃんと付けてよ」

「ん? だってもう仕事終わった後じゃん? ところで、社長のクセに社員にラーメン一杯奢れないなんて」

「…………」

 

 恥し気、というよりはやるせない顔をアルがしている。

 こいつら本当に何なんだ。

 

「今日の襲撃任務に投入する人員を雇うために、ほぼ全財産使っちゃったし……」

「ふふふ。でもこうして実際ラーメンは口にできるわけでしょ? それぐらい想定内、よ……」

 

 良くやったセリカ、ネコの日は近いな、後で別途で小遣いをやろう、向こうの次の手は割れた。

 こいつら襲撃というあたり、何らかの作戦を遂行する気だ、さて目標はなんだろうか。

 

「でも、たったの一杯分じゃん4人分ぐらいは取っておこうよ~」

 

 俺の耳にも刺さる言葉だ、ユウカによく言われるからな。ん、アルという奴に見られてないか? 気づかれたか。

 

「でも、今回の依頼は怪しいよ、アルちゃん、ターゲットの指名とターゲットはボロボロであるはず、って概要だけで詳しい内容は無し」

「はあ。ま、リスクは減らせたほうがいいし。今回のターゲットは、ヘルメット団みたいなザコみたいには扱えないってことには同意するし現地にに居たような連中は口を噤んで『こんな金額であいつらにまた喧嘩売りに行きたくない』って言われて、全財産はたいて、そこから交渉してようやく予定の半分しか集まらないって言うのは、このアビドスは異常」

 

 こいつら本当にカイザーに雇われてたのか。

 だが口が軽い、自慢じゃないがシャーレはSNSサービスなどで広報をしてるし、クロノスに協力もしている。

 それに俺の顔は分かりやすすぎる、俺の前でそれを話すのかお前ら!? いいのか? 

 

「……良い」

 

 他のメンバーが貰った依頼の異常点を考えて相談してる中、そのリーダーが俺を欲しい物を見つけた子供の視線を俺に送り続ける。

 向こうでも角の生えた子供に知り合いは居ないはずだ。

 

「どうしたの? アルちゃん? アル社長!」

「……とても良い」

「……社長?」

 

 

 

 あれほど純朴な視線で間合いを詰められたのは初めてもかもしれない、敵意が無かったもので一気に詰められ質問攻めだ。

 

「ねぇ、貴方何をなされてる方、世界を相手に復讐を考えたり、夢や理想の為には手段も択ばないけど、妙に情に弱そうな、半来混ざらない物さえ貴方の中では混在させれる、貴方はどんな悪党」

 

 褒めてるのか罵倒されてるのかどこかであった事でもあるかの如く、絡まれて周りに引きはがされるまで質問攻めにされた、全く読めないタイプった。

 攻め方が少数精鋭による、ゲリラ戦だろうか嫌になるがこちらも次の手を考えねば……

 純粋な憧れの含む瞳、少し羨ましいな。

 

 

 

 

 

 

「あー、あー、こちらカササギ3」

 

 シャーレパトロール分隊が、何とか動く車両──元カイザーの車両だった──からCPに報告を送る。

 車両の轍を数えて測りながら、無線機を握る。

 

「アビドス国道に不審車両隊の移動痕跡あり。そちらで何か情報有りますか」

『種別できます?』

「トラックの痕跡、多分重装の奴ですね。轍が深い事からかなり荷が重い奴です、それが6台分です」

 

 画像記録は別の隊員が撮影した。

 型が崩れているが、恐らく通過したのは夜明け辺りか? 

 という事はうち等の索敵網にかかってはいないな、センサーは戦闘で使えないし。

 

『進路方向推察できます?』

 

 道路痕跡は、まっすぐアビドス市街へ伸びている。

 

「あ、多分これだ」

 

 資料からタイヤの割り出しをしていた隊員がデータと参照した。

 MAN KAT1トラック……。

 ゲヘナか。

 

『状況は把握しました、任務に復帰してください』

「アイハブ」

 

 私ら、えらい騒ぎに巻き込まれてんじゃないか? 

 やっぱ勤務先間違えたかもしれねえや。

 

【次回予告】

 

誰が仕組むのか? 誰が望むのか?

満ちる物が満ち、たわむ物がたわむ。

ためられたエネルギーが出口を求めて沸騰する。

欲望と野心、策謀と疑惑、誇りと意地。

舞台が整い役者が揃えば、暴走が始まる。

そして、先頭を走るのは、いつも先生(あいつ)

 

次回『 次から次へと 』

 

メルトダウン、始まる。

 

 

 

 

*1
ショットガン用炸裂焼夷弾




校舎が損傷しちゃった許してホシノ
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