キヴォトスの若鷲(エグロン) 作:シャーレフュージリア連隊員
一昨日のことである。
キサキのお忍びに付き合って、お互い変装しまくったその時「其方も随分慣れておるの」とか言われた後。
それでも1人で外出は万が一もあるから、腕利きの護衛は付けとけとお忍びの先輩として色々説明して、後で2人仲良くミナに色々小言を言われた。
六和閣に箱詰めにしてどうする、キサキのやりたいことを見るになおさらだと思う、聞くのと見るのは随分違う。
「シャーレに来ることが有ったら、色々案内してやるよ」とは言ったが、そう簡単にいくわけがない。あいつの周りは、まぁ忠臣だが融通が利かないだろうしな。
ルスタムを思い出した、馬車の御者から口述筆記に護衛と色々役に立ってくれた。*1
「先生、警衛司令からです。」
「ん?分かった。」
シャーレ本庁の警衛は基本持ち回り制度である、後方の休養と再訓練期間と言える。
特定環境でしか戦えない部隊を作る贅沢などシャーレに作る余裕は無いし、そのような硬直など許すのは無論先生にとって許せない。
確か今配置についてる警衛司令は初期メンツのアリウスから交代で来たやつだ、堅物で融通が効きづらいが、逆にこういう仕事で困って呼び出すと言うのも不思議である。
どんな伝言だ?またお呼び出しかお小言か……?*2
『こちら警衛司令です。あの、正規の通行許可証をお持ちの梅花園のお子さんがですね、重要区画まで行くと。ハイ。あ、お茶お出ししてあげて』
警衛司令が完全に困りきった声をあげていた、端末ではスッゴイ見慣れた姿がある。
キャップ帽子やケピ帽をつけた警衛隊員がまさに困惑という顔をして、警衛司令はやや思考が停止している。
無理もない、シャーレ本庁にこんなのが起こる想定はしてない、なんならいつものデモ中の工務部員やミノリがデモを一時停止させて、首を傾げていた。
すぐに警衛司令に「通してよし。」と告げる、しまいにゃデカルトが児童誘拐と通報しかねん。*3
「ここがDUはシラトリ区の不夜城たるシャーレ、始めてきた!」
「お前、キサ--」
「私、玄龍門のキキ、こっちは友達のミミちゃん」
「--あー、うん。」
ミナの方がいたたまれない。*4
チーム派遣参謀も凍り付いている、あのイロハですら「凄い」と絶句している。
ミカだけが「どえらいのがきた」と面白がっている、キキョウはしばらくしてから「ユカリはまだおとなしいんだね」と空を仰いだ。
「シャーレ内なら何時も通りで良いぞ、外はその設定で行くか、どうしてまた?」
「ふむ、シャーレには当番制などがあるではないか、生徒が当番に来る。普通の事では」
「半分ぐらい有名無実化してますけどね……」
当番制度というのは要するにボランティア活動である。
無論当番には事前に申し込んでおく必要があり、それに加えて多種多様なスキルが要求される。
ゲヘナ・トリニティ・ミレニアムなどの三大校や他の学校はこの当番制度を「優秀な士官教育の実地体験」と考えてる節すらあった。
それ以外の申し込みは極端に落ちている、書類業務なら行けるんじゃないか?と志願してたちまちに仕事の数々でぶちのめされてノックアウトされてしまった。*5
「その前に、これ置かせてもらって構わないか?」
「ああ、香薬か。難儀だな」
キキョウが猫故か少し鼻を啜ったが、少しして落ち着いたので、片手をあげて大丈夫と呟いた。
皮肉だが、今本庁にいる派遣参謀がまともで助かったと言える。
キキョウ自体もユカリやレンゲ自体が名家の出だし彼女自体もそうであるし、イロハやユウカも中層以上で、ミカに至っては同格級だ。
彼女らは少なくともバカな騒ぎを起こさない、だから派遣参謀を容認した。*6
「ミレニアム会計にゲヘナの議員、トリニティの3頭の一人に最近は百鬼夜行の作戦参謀まで増えたらしいの」
キサキがデスクを確認しながら言った、人の組織を見本市みたいによく言う。
無論悪意というよりは合縁奇縁の結晶を見るような、王冠にはまった種々雑多の宝石を見るような言い方をしていた。*7
「いつの間にか集まっちまったよ。仕事してるだけなんだがな」
「そこに山海経の門主が偶に混ざっても問題あるまい、見学ついでに何か手伝えないかの?何時も大暴れだけではないのじゃろ」
ふむ、ではお手並み拝見。
ユウカがリトマス試験紙代わりに書類を配給する、機密資格自体は問題ない。
そういう小狡い手を使うのがキサキならもっと楽だったし、単純明快な解決ができた。
むしろキサキが"戯れにぽろっと"何かを言うのが怖い、彼女なら「私事をつい、な」とくらい言うだろう、信用は出来るが絶対やばい。
「廃ビルに個人撮影者が殺到し、近隣住民からの苦情と治安悪化が懸念されておるからこれを連邦捜査部シャーレに意見書及び協力を要請する……ふむ」
「どうする?」
相変わらず此処の注文は分からんと思いつつ尋ねる。
ちなみに先に渡されたキキョウ作戦参謀からの回答は「囮で強盗計画をぶち上げて見せ締めかねて摘発」し、一罰百戒とする案だ、目が光ってると見せつけるのも良い案だ。
「玄龍門のやり方じゃと、問題の原因となる一帯を更地にするとかじゃな」
「門主殿は話が早い!周辺封鎖して発破解体だな、工務部に依頼して」
「民間居留地!民間資産!周辺理解!」*8
見事にユウカがインターセプトしてきた。この場合の対応を説明して解説している。
キサキは「なぬ?行政権を握ってるわけではないのか」とユウカの言葉を聞いて驚いている。
「流石先生の筆頭文官じゃのぉ」
「ユウカは出来る奴だからなぁ」
声は出なかったが派遣参謀達の「そりゃそうだ」と言う同意の微笑がされた。
独裁とは掣肘も牽制もされない権力である、それがユートピア的統治による徳による統治だろうとそうなのである、そうした点に於いて先生は独裁権力となるには一致していなかった。
というか、そうならないようユウカは並々ならぬ努力をしているし、先生なりに負担を軽くしようと努力している。
何せシャーレ開庁以来、ユウカはこの全く政治的正当性もない上に誰の掣肘もされない権力の数々にドン引きしているし、無制限行使をするべきでないと考えている。
先生のオーパーツたる大人のカードなるものが使用されないのはユウカにとって幸いである、こんな怪しいものに頼って大人の責任もクソも無い、どんな請求書が周りに被害を及ぼすか知れたもんじゃ無いでは無いか。*9
「この手に明るい部下が居るのは羨ましいぞ先生」
「ユウカレベルを求めると中々大変だぞ*10、後貸したりもしないぞ、何時返されるか分からん」
「お主が貸し出しから既成事実化にもっていった様にかの?」
キサキが楽しそうに笑う。
何人かの派遣参謀や、シャーレの幕僚達がビクッと震えた。
組織というのがゴシップを必要とし、ある種の悪徳を要求するのは人間の組織である以上仕方ないが、かなり際どい危険球だ。
そういうゴシップに一番被害を受けてないのはスズ戦闘団長くらいである、彼女は元々そういうものがスカスカのスッカラカンであるから、被害があるわけなかった。
先生に関してもあまり多く無い、多くの生徒は先生に男性的魅力を感じているが、父性的魅力であった。
そうした点では梅花園の児童やゲーム開発部は素直だった、甘えるのが当然の児童や、先生に素直に泣きつけるのも才覚の一つである。
「それに関してはリオの勘違いだしな」
先生は危険球を受け取らずバントで逸らした。
小官は関与せず、役人の定番のバントであるが、こうしたことに
キサキはふーんと流して、次の仕事を確認する。
「こっちは最新の銃器や弾薬が補給されないことで、生徒からの不満が上がっておると」
「俺としては身の丈にあった装備などにして欲しいんだがな、というか変に新しいのを買っても慣れん気がする」*11
イロハが「だからってフリントロックはどうなんです」と呟いた。
ミカは「悪いもんじゃないと思うけど?」と言い、キキョウが「雨天中止はまずいんじゃない?」と呟いた。*12
三者三様の意見だが、組織的思考の違いだ。
ミカは「将校たるは威厳も必要だろう」と言い、イロハは「実益も含めては?」と言い、キキョウは単に「全天候活動を前提とする戦術面」で述べた。
各自の生まれがよく出ている、キサキは「惜しいの」と少し考える。
これほどの組織に対する正式な発令や任命の正当性への疑問が連邦生徒会にあるとは。
「ふむ、しかし原因は供給元にあるようじゃな」
「武器の御用商人何て大概悪党のクソ野郎だよ、買い占めによる価格つり上げなら全員吊るし首にしてやりたいが」
「流石は先生じゃな、しかしそうするにはしっかりとした裏付け捜査が必要じゃぞ」
即座に周りから制止を入れられる。
大半が「気持ちは分かるし売り惜しみと価格釣り上げは許せんとしてもまずい」である。
キヴォトスに於いて銃を持たぬとは、ハナコにすら思いつけず実行も出来ない程のアナキズム行為どころか反知性行動主義の権化であるから当然だ。
そして先生はキヴォトス以外で売り惜しむプチブルやブルジョワがどういう
「俺や玄龍門のやり方が世に理解されるにはまだ時が必要なようだな」
「しかし、世の一般的なやり方の勉強にはなるのう、じゃがこのような仕事はヴァルキューレや連邦生徒会の管轄ではないのか?」
やはりこれも危険球だ、政治的にはこれは「お前の上司や同僚まともなん?」と聞くに近い。
先生はキサキがある種の試験紙を浸している事を理解した。実地でやる辺り、カイやサヤもだが、実地で試す事を大事とする姿勢なのだろう。
風聞ではなく実際を見に来ている。
「共同捜査などがあるからヴァルキューレは仕方ない、市民もまだどちらに送れば良いのかよく分かって無いだろうし」*13
「そう思いますよねぇ……、実際問題、前会長は我々をどうしたかったかあまりわかりませんし」
結論から言うとこの危険球は回避された。
"創設者が居ない以上我々は市民生活の安定の努力あるのみ"という事を示した。
キサキは楽しげに微笑んでいる。
先生は内心、カイが妙に頭が回るやつだった理由を理解した、そりゃこの門主相手にしてればアイツがああ言うインテリになるわけだ。
喧嘩は同じレベルにならんと成立せん、ワカモに関する問題を上手くSRTへ流したニヤと言い、外地は内地より政治家が育ってやがる。
無論そう安穏と言うべき雰囲気で考えれるのは先生だけである。
ユウカからすれば「チキチキ楽しいポリティカルデッドボール大会」である、冗談ではない。
「次がどうなるかは分かりませんが、色々本庁を案内して差し上げた方がよろしいのでは?」
ユウカが遠回しに「ここでやるな!」と抗議したが、先生は少し申し訳なさげにーーこれでも本意だ!ーーすると、どこに行きたいと尋ねた。
キサキは矯正局でカイの面会と確認をしたいと言い、ユウカに許可を取るのを依頼しておく。
今回は1泊2日の日程らしいので、1日ぐらい余裕はあるらしい。
「泊まる場所あるのか?」
「シャーレに貴賓室があるじゃろ?広報を読んだぞ?」
「あ、たしかに」
「……おぬし本当にここを把握しとるのかの?」
「物置の布団の数みたいなものだよ」
キサキはそう返され、なるほどと笑う。
ミナはやはり「門主様もお人が悪い……」と困り果てているが、致し方ない。
荷物類を運ぶよう手配し、ミナはそれとなく後ろに下がった。
彼女なりの配慮である。
本庁舎を三段階に分けるとして高層部に位置する場所に執務室がある、正確な階層は機密指定である、少なくとも狙撃するには相手が先に丸見えになるくらいは高いが。
その高層部の中層との境目にそこそこ近いのが貴賓室である、完全に独立空間を確保している、具体的に言うと貯水タンクや食堂に風呂もある。
「隔絶したのじゃな」
「俺の手元で変な事件を起こすのを許せるとでも?」
実は先生私室は執務室とすぐ近くなのに貴賓室はここなのは、元々ここに私室予定があったのだ。
しかし先生がこれに関しては「近くないと嫌だ」といい、ユウカも理解したので承認され、貴賓室予定地が私室と交換されたのだ。
この件に関してはユウカは「あの当時はワーカーホリックとだけ警戒してればよかったんだ」とコユキにこぼしていた。
「本庁舎で次に案内できそうと成ると、ここになるな」
「ミレニアムに勝る勢いじゃな」
中層部においては航空関連ガレージや整備室がある。
連絡ヘリのOH-6やCP用のCH-53Eがメンテナンス中だ、セトが横転させたせいでメインローターが歪んだのである。*14
航空整備場のキャットウォークから見下ろしていると、整備士から「安全帽!」と声が上がる、つい習慣が身に付かないのだ。*15
これに関してはミノリのいう意見に同意できるのだが。
「あれはなんじゃの」
「どれだ。」
「あれじゃ、やたら長い筒があるが」
班長を呼んで尋ねた。
「はァ、おそらくF作戦でワカモ撃退用に納入したエグゾセです。でもシュペルピューマが調達されてませんから!」*16
「あれェ?書類に書いたぞ俺は!」
「だから会計にバレたんじゃないですか?」
あ、ユウカの奴ちゃんと形式から積めないタイプにしたのか、クソ、良い手だと考えていたが。
キサキが「想像以上に楽しいの」と呟いている。
中層階へ入ると、概ね隊員生活スペースだ。
「お疲れ様です」
「おう」
隊員生活スペース、と言っても特に何かがあるわけではない。
単に階層が一部違う以外はほぼほぼ二人部屋や個室だ、実は四人部屋のアリスクが異端児なのだ。
まあそうしたちょっとしたお願いが通る程度にはスペシャルというわけだ、大半の隊員は個室を好む。
生活スペースから降りると大浴場がある、これについては詳しくは機密である、立ち入るべきでない空間が紳士にはある。
少なくとも悪いものではない、まあ規模的にほぼ風呂場に誰か居るんだが。
数階降りて訓練区画がある、例えばキルハウス訓練、或いは射撃評価。
VRゴーグルをつけてホロ投影のシビリアンやサスペクトとの交戦を訓練していくのだ、SRTと大差ないどころか訓練内容はあやふやなSRTより尖っている。
因みに生活スペースと数階開いてる理由はここの真上の階層を空調システムが占領しているのだ、そうしないと瞬く間に鉛中毒へ高速鉄道一直線である。
≪訓練プログラム”CQC05”終了≫
ブザーが鳴る、訓練評価が報告されている。
交代で帰ってきた連中が「やっぱBCMは慣れてるから手が覚えてるな」とヘルメットを脱ぎながら話していた。
訓練チームを観測している統裁班も満足気だ、シビリアンの被害なし、実に結構。
こうした肉体訓練の下の階層では、スズたちが頭を悩ませている。
原語の意味の戦争ゲーム、つまり図上演習だ。
「兵棋演習か。」
「知育の形、とでもいうべきかな。」
今の演習は確か以前確認されたスランピアの暴走機関車のデブの豚だ。*17
前回出た際は置き石して脱輪させて奴の顔面に機関車ラミングさせたのだが、滅茶苦茶効いていた。
人に向かって大玉転がす阿呆に倍返しすると楽しいものだ。
その他道中色んな奴らに絡まれながら、下層の整備場にたどり着く。
車両整備場だ、今は試験調達中のM60‐120Sの慣らしと完熟中である。
「ほお、あれがか」
「防衛室が連邦重装備倉庫のメルカバを俺に寄越せば全部良かった」
「やるには開幕から飛ばし過ぎたの、防衛室は恐らく消えない汚点と考えておろうに」
「代わりに首都騒乱を終わらせたことを?」
キサキが屈託なく「そうじゃよ」と言う。
「人が自分並みには考えるはずだと考えるのは悪癖じゃぞ、お主生まれて以来考えれる人間を引き付ける類じゃろう?」
「参ったな、俺はそこまで単純じゃないと言いたいのに言い返せん、論外のバカは沢山見てるんだがなぁ」
「じゃろお?」
妖し気にキサキが微笑む。
傾国というべきか、正しく人を誘い込む笑い方だ。
大抵の男性ならモノにしたくなるだろう、大概は永遠に自分の下へ。
「それゆえに俺はあいつらもこいつらも手放せない」
理性と知性と思考の整理力は外付けが利くのである。
経済と民心をユウカに、政治をイロハとミカに、戦術指揮と調整をキキョウをセカンドオピニオンとしているのである。
まあセカンドオピニオンに関して求める要求過剰から派遣参謀の編成は極めて遅きに失した。
無論素質がある生徒を誰が手放すか!という事でもある、派遣しても得が勝ると理解するから決まっただけで、むしろこの信用を落とせないから猶更きつくなる。
「まあ組織もマグロと同じなんだろうなあ」
「止まれないのは大分お主の性じゃなかろうかのお?」
「痛いトコ突いてくるねぇ、親戚に外務大臣経験者とかいるか?」
「生憎そのような光栄に浴しておらん」
「分かっている、大人のどうしようもないときの嫌みで現実逃避だ、いずれわかる」
夢がないのおと楽しげに笑うキサキが、ふと窓を見た。
誰かが点けたままのラジオが近くから"Breakers Roar"が流しているが、音楽と夕暮れ時の輝きに照らされたキサキは、まるで空に溶けて消えていきそうなほどに美しかった。
神聖さとはある程度の見栄とハッタリがいる、時にサクラを用意し、演出する。
しかしこれはごく自然であるから神聖であるのだ、ミナ部長の忠誠の奥底がなるほどと腑に落ちる。
あの阿呆は阿呆であるから理解した、”誰かが彼女を護らねば”と、皮肉にもルミと同じ結論へ。
カグヤがそうであり、レイジョがそうであるように、彼女もそうしたのだろう。
「先生は、胡蝶の夢と言うのを知っておるかの?」
「哲学と自我の話だったな、
「ああ、自分が自分であり続ける事は難しい」
キサキの呟きは、彼女なりの精一杯の弱音なのだろう。
必死に背筋を伸ばし、なんとか歩いている。
シーシュポスの神話だ、誰もがシーシュポスのように人生の巨岩を押している。
”ひとはいつも、繰返し繰返し、自分の重荷を見いだす。
しかしシーシュポスは、神々を否定し、岩を持ち上げるよりも高次の忠実さをひとに教える。
かれもまた、すべてよし、と判断しているのだ。”と。
「まあ鉱物の輝き一つ一つが単体で一つの世界を形作るなんて、そう考えれるようになるのはそれもそれで大変だよな」
キサキは少しだけ顔をほころばせると、ふっと笑い、言う。
「妾がカミュの作品を読んだ事があると、何処で知ったのじゃ?」
「ノアのデスクに置いてあった”異邦人”を見た時の顔、かな」
「……注意深いのぉ?こわやこわや」
言葉とは裏腹に、キサキは深く安心したように言う。
「少し、疲れた。付き添うてくれるか?」
「よろこんで」
キサキは、静かに手を預ける。
不条理への反抗の始まり、自由への跳躍だった。
頂上を目がける闘争ただそれだけで、人間の心をみたすのに十分たりるのだ。
いまや、シーシュポスは幸福なのだと思わねばならぬ。
アルベール・カミュ『シーシュポスの神話』
ではまた来週に。
原作のどっちを見たり知ってます?
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長谷川ナポレオンシリーズは知ってる
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ブルーアーカイブだけは知ってます
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どっちも知ってます。