キヴォトスの若鷲(エグロン)   作:シャーレフュージリア連隊員

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モモイからクリスマスプレゼントです。




外伝5
モモイ・ザ・ワンダー


 

 

 ある日唐突にリオ会長から私用回線──盗聴されても構わない内容向けの一般回線──でお電話が来た。

 珍しい人間から珍しい回線で珍しい事が来たな、思わずそう驚愕した。

 ミレニアム自体があまり介入しなくて済むところで、大半の問題はネルとトキで解決が付く場所だし、深刻な問題は別回線になる。

 話を聞くと「ちょっと先生の力を必要としてるのよ、深刻な奴じゃなくて……」とやや消極的な言われ方をされたので、急用も無いので翌日向かうことにした。

 仕事は移動中に出来るし、大半は大概片づけれる軽い物ばかりだし、機密度合いは低いのを優先した。

 もっともアロナに侵入は事実上不可能らしいが。

 

「おっ先生ー!」

 

 モモイが開口一番バカ丸出しの声で手を振る。

 セミナーの待合室で何故コイツが居るのかと思えば、隣に自律ドローンのAMASがいた。

 かつて一戦交えたAMASシリーズの監視・多用途型ドローンだ。

 

『来てくれて有難いわ先生、感謝してる』

 

 リオ会長がホロ投影されて、少し困った顔をして話し出した。

 

「えーとあれか、モモイ、お前は珍しくゲーム開発が滅茶苦茶順調に進んだと」

 

 ででーんと漫画なら擬音が付きそうなほど無い胸をモモイが張る。

 ”どうだまいったか”と純粋無垢なクソガキ全開のドヤ顔を浮かべて、張り倒す気も浮かばない。

 

「で、お前らが新ジャンルを乗り出した。それは分かるよ。うん」

 

 ホロ映像のリオ会長が頭を抱えている。

 案外彼女の素はこのような感情豊かな人間なのだろう、”こんなの”でしりとうはなかった。

 

「だからってなんでお前ら突然ゲームジャンルがピクセルサバイバルシューティングになんだよ、いやそれはまだ良いよ」

 

 一番おかしいのは。

 

「なんで宣伝で実写作品撮ろうとしてうちの特務連れて来て、なんて言い出したボケェ……」

 

 おたくの教育どうなさってるんですか、リオ会長? 

 モモイがいつも通りと言うより、ややミレニアム生らしいびっちりと書き込まれた手帳を取り出した。

 モモイの奴文字は綺麗だし手帳などからはかなり知性がある方なのが分かるのがムカつくのだ、要点を押さえた手帳を要約すれば以下の通り。

 ”アリスを見るに勇者が色々使うのは許される”、”先生を見るにクエストは色々あるし世界の救い方も色々ある”、”サオリたいちょーを見るに特殊部隊は苦労する”、”ネルぱいせんを見るに正義感の強い人が多い”。

 であるからにして次の勇者は”シューティング勇者”、ついでにカルタゴ滅ぶべしという理屈らしい。

 なんだそりゃ、まるで分からん。

 

「で、だからなんでサオリ達を呼ぶんだよ……ネルが居るでしょうが……」

 

 まるでわからんとミレニアムのミネラルウォーターをグイッと飲む。

 

「え? 頼んで撮影してて人が足りない事に気付いたの」

「はァ⁉特務分隊1個で足りねえというのかバカ⁉」

 

 モモイがグイッと引っ張ってガレージの一つへ俺を連行していく。

 一応護衛でいるD分隊が呆れた顔をしていた。

 

 

 

 ガレージにはなんか見知った別の連中が居た。

 

「先生だろ、何とかしてくれんか。軽い口車だと疑ってたんだよ」

「ジェネラルお前もか……」

 

 なんでカイザーもいるんだよモモイ。

 アリスがにこやかにカメラを確認しながら言った。

 

「はい! アリスが考えるに作品のカウンターパートも大事な要素です!」

「もう嫌な予感がしてるんだ、勘弁してくれ、私はイメージ改善策と言われて送り出されたんだ、会社に返してくれ」

「それは本当ですよ?」

「代わりの副官じゃ駄目か?」

 

 ジェネラルが隣のカイザーのコロネル(中佐)を指さした。

 コロネルは露骨にNOと主張している。

 そもそもなんでこいつら呼んだんだよ?リオ会長が我々を呼んだのってまさか、ここら辺こいつら勝手にやり出したからか⁉

 ミレニアムで良かったな、半年前のトリニティとかならナギサが気絶しちまうよ。

 

「というかこいつらが居てなんで人が足りないんだ? ネルやこいつらいれば頭数も迫力も十分だろうが」

「そうだぞ、正規軍の仕事だ。うちはPMSCでエキストラ派遣会社じゃないんだ。公的機関の仕事だろうが」

「うるせえ引っ込んでろ」

「畜生」

 

 ジェネラルを引っ込めさせ、モモイに尋ねる。

 

「詳しくはこれを見て欲しいんだなあ!」

 

 満面の笑みでモモイがタブレット端末を取り出した。

 仮編集版とタイトルが付いた映像が流れる。

 

『キヴォトスに危機が迫っています……これを救う力になれるのは君達しかいない……』

 

 ピクセルにしては結構良くできたAPCやUH-60などが映る。

 

『混乱の中でかつての敵と手を取り、謎の陰謀を解明しよう』

 

 キャラクター紹介らしい映像が流れる。

 うすうす見えて来たがネルみたいな両手SMGやどこかでみたようなオートマタもいる。

 

『アタック・フロム・タクティカル』

 

 タイトルがでかでかと映り、シルエットだがピクセルのキャラクターが警戒前進していく。

 ジャンルはサバイバルシューティング、飯探して弾は自活で謎を解き明かすというローグライクを要点に置いたゲームらしい。

 

「で、なんで実写なんだよ」

「先生前にいったじゃん、速度が大事、初動が要だって」

「いやだからそうはならねえだろ」

「で、先生とか呼べば他が出来ない事が出来るよね、ゲームの詰めにもなるよねって……」

 

 モモイが満面の笑みで主張する。

 否定したいがかなり正論と言うか妥当ではあるのだ、理屈は通る。

 ユウカなら二つ返事でやるのに相手がモモイと言うだけでこうも拒絶反応が出るのか! 

 

「いやうん、だからなんでうちの特務なんだよ」

「説明や解説が必要なら!」

 

 アリスがぴょこーと現れる。

 

「実は本編開始以前から活動している謎の特殊部隊役が必要なのです!」

「そいつらじゃだめなんか」

 

 ジェネラルを指さす。

 

「カイザーの皆さんには現地で活動しているPMSC役を頼みたいので駄目です! カイザーでは謎の部隊と呼ぶには不適当です!」

「クソガキども……」

 

 ジェネラルが呟く。

 後ろじゃラビット小隊の馬鹿どもが服を着替えながらプロップガンを確認している、お前らというやつは! 

 ぺらりと企画書──クソムカつくことにわかりやすい!──には何人かの主人公パーティーのメンバーが出てくる。

 主人公は恐らくモデルはネル部長と思わしく、火力連射型のキャラらしい。

 次に出てくるのがロメオ、恐らくラビット小隊のメンバーを混ぜたキャラで、罠や捜索に優れた特技があり、狙撃型。

 そしてカイザー隊員と言う異色の設定のキャラもいた、三体のオートマタで、擲弾や機関銃支援ができるが消費は一番大きい。

 

「この珍道中の話は、まあいい」

 

 舞台が恐らくアビドスやアリウスなどを混ぜつつゲヘナっぽくあるのも別にいい。

 最終目標が地域隔離中のシャーレに真実を暴露しに行くのも別にいいし、なんでかエキストラで民兵役をどこからか集めたのももう良い! 

 ついでにアビドス駐屯地とアビドス生徒会に許可とって駐屯地借用許可まで取ってるのももう良い!! 

 

「なんでまた終盤ラスボス枠で呼んだんだ」

 

 モモイが企画書の後半を示した、ミドリが描いた絵コンテが書いてある。

 実写ムービーでは本編開始前を描くらしく、真相に触れた実写版の連中に最後に襲い掛かる謎の部隊が必要らしい。

 

「お望みならてめえにいつでもリアルな体験をさせてやるぞ」

「だってえええ! 私らが銃構えても様にならないじゃああああん!!!」

 

 駄々っ子モモイが発動した。

 くそう理屈は分かってしまう、なまじマジモンを見てるせいで手が抜けない職人の悪癖だ。

 それに確かにこういうメンツに襲い掛かる強い特殊部隊となると殆ど居ないし、モモイが軽く見てるのではなく創作で真面目に悩んだ結果であるから否定できない。

 ついでに一番笑えるのは、最後の民兵を隠れ蓑に突入するシーンでモモイ達が民兵役に交るというのも笑えた。

 こいつらカメオ出演はしっかりするのか……。

 

「だって私らが構えても様にならないけどその方がそれっぽくない?」

「くそう否定できねえな……」

 

 予定表を確認し、各自に連絡を取る。

 ユウカに「これ広報協力と言い張れると思うか?」と聞いたら、ユウカがフリーズした、そりゃそうだ。

 

 かくして撮影が始まった。

 ちなみに実写版主人公である”先遣部隊”役を演じるのはラビット小隊だ。

 

 

【Ep1】

 

 キヴォトス某地方、謎の研究会がその地域へ民間企業として進出した。

 当初健全な技術開発・機械工業であった会社は成長し拡大したが、ヴァルキューレの査察を拒否すると雇用していたPMSCで企業自治の観点から強制排除にかかる。

 連邦生徒会が混乱し前進命令がまだ出せないシャーレは周辺地域を封鎖した。

 状況を確認する為、高額な報酬のため、単に生き残るため、各々はこの混乱へ足を踏み入れた。

 

『市民が避難して数日、市外から銃声が聞こえない日はありません。各所で暴徒が展開しています』

 

 シャーレの封鎖部隊やMGバンカーが数秒のカットで映る、全員バラクラバやスカーフで身元を隠しているが、所作の全てが生々しい。

 

『現地ではPMCや一部特殊部隊が展開しており各所の映像は明らかに洗練された装備を有する人々が』

 

 2秒ほどで映り変わるカットの数々は射撃訓練場や明らかに堅気ではない姿のオートマタがキャリーバッグを引きずりながら歩く姿など映している。

 テレビ番組の画面からカメラのズームを戻していくと、飛行場やFOB特有の騒々しさが戻ってくる。

 手早く携帯や身分証、階級章、部隊章などを外していくラビット小隊演じる先遣部隊が映り、マガジンポーチを確認しチェストリグを確認する。

 

【6時間後】

 

 デカルト演ずる地元民兵としか言いようがないゲリラが廃工場の影を進む。

 FALを握りしめ、警戒はしてるのだがやはり素人で、様にはならない雰囲気を醸し出している。

 頭のターバンにしても服装も出来得る限り民生品と言う雰囲気だ、事実3000円で買えるコーデである。

 やがてデカルトが転がった廃車からスナック菓子を見つけ、安心した顔で慌てて口を開けて流し込もうとする。

 動きが明らかに素人だ、嬉しさのあまりそれまで的外れに警戒してたのに、途端に警戒を忘れている。

 流し込み終えようとしたデカルトがふと横を見ると、先遣部隊のマークスマン役のミユがSVDを構えている。

 

「あう!」

 

 そのままデカルトが倒れ、カメラが変わりミユの銃身から先遣部隊へ映す。

 先遣部隊役のサキが肩を叩き、ミユが二発確認射撃した。

 二発目を撃った際に車の冷却水がべちゃっとデカルトの顔にかかり、かすかに瞼が動く。

 

「漁るか?」

「あれが生ハムでも持ってるなら漁りますよ」

 

 ミヤコが先の問いかけにそう返し、移動を命じる。

 がたんと音が響き渡り、デカルトがライフルを握って走る! 

 続けて彼女たちの隠れている廃倉庫の薄壁をものともせず、FALの弾丸が壁を突き破り、段ボール箱が空を舞う。

 サキ、ミヤコの応射に続いてモエが手りゅう弾を投擲、爆発の煙を背を屈めながら逃げようとしたデカルトにキッチリ二発撃つ。

 

「目立ち過ぎました、急ぎましょう!」

「どうも手遅れみたい」

 

 ミユが指さす、カイザーのPMC隊員が走るのが映される。

 カットが変わり、カイザーのオートマタ達がカメラの方向へ走りながら射撃位置を確保しようとする。

 

『配置についた』

『展開よし』

 

 雑音交じりの無線が流れ、デカルト演じる民兵とはっきり見違う動きで射撃隊形を組む。

 

「数は」

「小銃班規模」

「裏口から逃げる」

 

 裏口を開けたとたんに跳弾する音が響き、民兵がフルオートなのに反比例して単発射撃で制圧しにかかる。

 続けて肩を叩いて制圧射撃中の隊員に合図し三名が詰め寄りにかかる。

 こうした細やかな演技指導はだいたい大人がしょうがねえなと協力した結果だ! 

 

「フランクしてる! 奴ら追い出しにかかってる!」

「ええ絶対罠ですよ! でもこのままじゃ喰い破るしかありません!」

「了解」

 

 サキが援護しモエとミユが陣地転換、続けてミヤコとサキが二人に援護されて陣地転換する。

 実は脚本では移動としか書いてない、相互援助はアドリブである。

 後退してるのを見てPMC隊員はM72LAWを構えた。

 

「ランチャー!」

 

 ロケット弾が炸裂し、伏せたモエがスモークを展開、ミユを引きずって全員を後退させる。

 

『状況鎮静化……、奴ら帰ったよ』

『OK、こちらの負傷者を収容しろ、お帰り願え……』

 

 カイザーの隊員たちがハンドサインを交わして粛々と撤退に入る。

 

 

【Ep2】

 

 先遣部隊がアパートを進む。

 まだ悪くない缶詰を揺らして確認し、背嚢へしまう。

 一室を出ようとしたサキの眼前を銃弾が跳ねた! 

 

「誰かいる!」

「やっちまえ!」

 

 AKやPPShを撃ちながら大きな声が響く、弾はばら撒いているが反動制御が甘く上へ上へ跳ねているため天井に刺さる弾丸が多く、粉塵が舞う。

 外では戦闘騒音で集まり出した民兵をモエとミユが排除しようとしていた。

 ちなみにこの民兵は所確幸やミレニアム生徒のエキストラである、当然戦闘シーンでは民兵らしく弾をばら撒いて当てれない。

 しかし弾幕は力だ、制圧されて進めない。

 

「迂回して別ルート!」

 

 適当に単発射撃で応射しながら、ミヤコとサキが走る。

 別の階段へ通じる通路へ進むと、ドアを開けた途端にカイザーのPMC隊員が出てきた。

 

『FUCK⁉』

「嘘だろクソ!」

 

 お互いの不意遭遇戦は双方のフルオート射撃で滅茶苦茶になる。

 無論当たるもんじゃない、お互いブレている。

 慌てて手りゅう弾を投げ込み、民兵相手のがマシと来た道を戻る。

 通路を通りかかればMk43軽機関銃から放たれた弾が通路へ飛び込む。

 

「ぐっ」

 

 サキが倒れ、ミヤコがアパートの陰に投げ込むように隠す。

 赤い液体がコンクリートに広がる。

 

「動脈ですか!」

「大丈夫いきてる!」

「こんな流して何言ってるんです!」

「トマト缶だよ!」

 

 サキの背嚢を見る、トマト缶から液体が流れていた。

 サキの肩を叩いて先行させ、クレイモアを置く。

 カメラ視点が変わり、ミユがMPLを構えて進む。

 

「ちょい誰か弾ないの!」

「回り込んでる奴味方か?」

「んなの分かるか!」

「だから弾くれ弾!」

 

 騒々しい上階へ駆け、階段を出て民兵へ制圧射撃を開始する。

 数人いたのに目の前の戦闘に夢中でまるで警戒がなっていない。

 

「あのさ聞いてる! 弾まだ!?」

 

 ミユが前衛の二人を更に排除、民兵を制圧し退路確保していたモエ達へサキとミヤコが合流する。

 追いかけてきていた後ろで爆発が起こり、今がチャンスと四人が走る。

 

「今日の晩飯トマトスープにしたかったが仕方ないな」

「助かったんですから感謝しなさい」

 

 

【Ep3】

 

 すすき野を四人が進む。小さな工業施設だが、最近この街ではほとんど見ないカイザーのMRAPがいる。

 情報収集と資料を奪取するに最適な標的だ。

 ミユが位置に付き、見張りを排除して進む。

 近づくに連れて油断からかDJの音楽が大音量で流れているのが漏れ聞こえる。

 カットが変わり、休息中のカイザーのPMC隊員たちがいる室内が映される。

 

『カスタム仕様のM4とか良い武器だな。誰のだよ』

『プライス大尉の奴』

『誰だよ、そいつあ』

『もう墓の下だ』

 

 気の抜けた会話をしながら煙草やグラビアを読んでるPMC隊員の前を多少装備の軽量なPMC隊員が走る。

 

『オキサイドからデシプル、連絡が絶たれてる。何があった!』

『どうせ腹痛だ、飯がヤバいんだから』

『黙れアホ!』

 

 バリンと窓を突き破ってライフルグレネードが飛び込む。

 途端に全員の動きが変わり、各自が遮蔽や伏せるなどして身を護る。

 爆発音が轟いて破片が飛び散り、先遣部隊が突入する。

 

『クソ! どこから』

 

 階段から降りて位置に付こうとしたPMC隊員を排除したミヤコに倒れたPMC隊員がのしかかる。

 サキが排除しようとするが、その隙に上階へ一人走るのが見えた。

 

『なんだよこいつら!』

 

 上階へ逃げたPMC隊員がアンダーバレルショットガンをつけたM4で射撃し、サキと撃ちあう。

 ピシッと音を立てて上階のPMC隊員が撃たれ、サキがふっと笑うが、続けてサキの頬を弾が掠める。

 

≪誤射だ! やめろ!≫

 

 応答がない。

 

「やばいぞ隊長! 後方の二人がやられた!」

「PMCですか?! 予想より多い!」

 

 上階へ二人で駆け込み、耳を澄ませる。

 かすかにBTRのエンジン音がする、無論双方の味方じゃないのは確かだ。

 14㎜機関銃が掃射され壁がハチの巣へと変えられていく。

 

「でもチャンスです! 機材を手に入れましょう!」

「おう!」

 

 制圧射撃の隙を突いて前進し、事務所だったらしい隊員たちのたまり場兼物置へ入る。

 中の敵を制圧し、ラップトップPCを起動して確認する。

 明らかに非友好勢力が接近してきている。

 

「ありました! クラウドサーバーの所在です!」

「よし! 逃げよう!」

 

 サキがそういうのと同時に、事務室へ手榴弾が放り込まれる。

 咄嗟にサキが掴んで窓から投げようとし、爆発が起きてサキが落ちる。

 爆発で叩きつけられたミヤコはすぐに拳銃を抜くが、黒づくめの見慣れない特務部隊がBCMを構えて侵入しようとする。

 

『クソ野郎が!』

 

 カイザーのPMC隊員が側面からSCAR-Hを射撃し倒すが、PMC隊員が入室しミヤコを見て銃を構える。

 しかしミヤコが抜いた拳銃はGLOCKを構えようとしていた特務部隊へ放たれた。

 

『……呉越同舟で手を打たないか』

「……取引成立です」

 

 2人は走る、硝煙の中を。

 

 

【Ep4】

 

 夜になり、なんとか外郭地域へ逃れた。

 本社からの支援が届かない。このPMC隊員はこれをチャンスにおさらばと考えており、奇妙な友好関係が成立している。

 森林部を歩く二人が、国道に沿って進み、橋へ近づく。

 橋の付近にシャーレのチェックポイントがある、そこへ行けばこの犠牲の大きな作戦も完遂だ。

 正義が少なくとも世界に示される。

 

≪喧嘩の訪問販売か、それとも難民か?≫

 

 MGタワーの上からサーチライトが向けられる。

 

「”クリス・カイル気取りは好きじゃない! ”」

『ろくでもない合言葉だな……』

 

 武器を置き、ゆっくりと歩いて検査を受ける。

 機密資料のパッケージは安全保護用のケースに収納してある。

 検査が終わり、コンクリート壁とヘスコ防壁の城壁で出来た砦へ踏み入る事が許された。

 中に入り、派遣部隊が架橋戦車で橋をかけるか話し合ってるのを横目に、流れる川を見つめる。

 夜の川は暗黒のような色をしている。

 

「ぎゃっ」

 

 バキンと異常な音を立てて、MGタワーガンナーが排除される。

 少し遅れてズドーンという妙に重い銃声がした。

 

『……民兵や暴徒の質が良くなり過ぎじゃねえか』

 

 にわかにシャーレ隊員が慌ただしく動き始める。

 すぐに北から射撃されてると概ねの火点を掴むが、サーチライトが次々破壊され、続いてMGが制圧されていく。

 

「民兵が暗視装置まで持ち出すわけないですよね」

『どーかん』

 

 とは言ってもどうしようもない。

 だが次に聞こえた音は二人を心底驚かせた、推進音に夜空から流星みたいにミサイルが降ってきた。

 携行型スパイクミサイルだ! 

 MGタワーが吹き飛び、空を舞うM2ブローニングが降り落ちる。

 

『隠れろ!』

 

 ゲート付近への銃撃が激しくなり、狙撃は停止したが代わりに雑多な銃声が響きだした。

 喊声をあげてG3やら雑多な武器をかき集めたらしい民兵の群れが突撃に移る。

 ゲートを超えた民兵がたちまちに銃列になぎ倒されるが、壁の裏で隊員一人を足場にして壁を乗り越えた4つ眼暗視ゴーグル装備の特務部隊が施設内に入り、防壁内の機関銃を狙撃して民兵を更に侵入させる。

 

『ごめん!俺はお先に失礼するわ、別口で逃げる』

「はいはいお達者で」

 

 カイザーのPMC隊員が逃げようとするが、乱戦の混乱でシャーレ隊員からも射撃される。

 慌ててミヤコのいる車の陰に逃げ戻る。

 

「お早いお帰りで」

『逃げ場ねえぞ』

 

 ミヤコが影を隠れて進むが、現れたM113ACAVがミヤコ達を捉える。

 M2ブローニングを三方に構えた掃射タイプで、個人携行火器じゃ話にならない火力だ。

 軽く一撫で掃射するだけで車をぶち抜き、ものの見事に貫通しタイヤは弾けて窓ガラスは砕け散る。

 しかし特務の先頭にいた隊員が煙幕を展開、その隙を埋めるように迂回しつつ大口径自動小銃を持った隊員が射撃し、砲塔が横を向く。

 その隙を待っていた様に砲塔に20㎜が突き刺さり、砲手ダウンを確認してAT4が発射される。

 爆発が巻き起こり、逃げようと動いていたミヤコ達は吹き飛ばされて意識を手放す。

 

≪ブラッドハウンド。ジャックポット。回収完了。≫

 

 ケースを確認し、ポーチへ吊るす。

 

「……あなたたちは」

 

 ミヤコの問いに答えるかのように、大口径自動小銃の銃声が響いた。

 ゲート付近では民兵の突撃が続いているが仕事は終わった。

 夜の闇の中へ特務部隊が消えていく。

 

『封鎖地域で状況が悪化し連邦生徒会では安保理会議が行われました。初めての重火器使用が観測され現地封鎖部隊で戦闘が相次いでいます』

 

 闇の中へ溶けて消えるように、ニュース音声が遠くなっていく。

 

 

【協力・賛助】

 

 主演及び一部演技指導:SRT学園有志会

 連邦捜査部シャーレ隊員一同

 カイザーグループ

 ミレニアム学園生徒諸氏

 所確幸

 BTRの貸出:レッドウインター工務部一同

 カメラ・撮影用ドローン提供:セミナー

 危険物取扱監督等:先生

 

 製作 ゲーム開発部

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数日後、ゲーム開発部新作として出た作品はかなり売れたのだが映像に凝りすぎたのか映画制作部なんじゃないのかという声があまりに多く届き、ユズ部長が再び引きこもったので今後の実写版PV構想は断念された。

 またユウカから「これ売上を加味しても赤字スレスレじゃない!」という点で怒られが発生し、モモイがまた逆さ釣りにされた。

 

 




感想評価お待ちしてます。

原作のどっちを見たり知ってます?

  • 長谷川ナポレオンシリーズは知ってる
  • ブルーアーカイブだけは知ってます
  • どっちも知ってます。
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