キヴォトスの若鷲(エグロン) 作:シャーレフュージリア連隊員
本年もよろしくお願いします
8月15日が過ぎ、ミレニアムの大騒動も終わらせた。
自分の誕生日を迎え、改めてこの不思議な状況を考え始める。
まさか、ある意味52歳の誕生日を迎えたこと、肉体年齢は30代ごろまで戻っている。俺はまだ夢でも見てるんじゃないか?
誰も居ないのでアロナと迎えようかと考えて居た時に、アロナから「ユウカさんからご連絡ですよ」と言われ、コンビニのケーキをアロナに預けた後に連絡に出ると、至急来て欲しいとのことだ。
あいつ今日は向こうで仕事終わらせてくるとか言ってたはずだ。確か大会が云々とかであったはずだ、連邦の体育室の室長から話は聞いてる。
急ぎと言う案件でも無いから、ヒヨリを連れてM151ジープでミレニアムへ向かう。
「リオも今更夜逃げしないだろうし、なんだ?」
待っていたのがある意味夏休みの宿題、その手伝いをやる羽目になるとは思わなかった。
そして暫くぶりのセミナーのオフィスに勢ぞろいだ、視界の端に特異現象捜査部の二人とトキも居た。
セミナー会議室に入って早々、リオが申し訳なさげな顔をしていた。
「何だ?今日が俺の誕生日だと知ってたのか?」
「私と一日違いなんですね」
「そんな日に呼び出して申し訳ないのですが」
流石にヒマリも何かあるのか、説明を始めた。
つまりだ、世界の危機に頭がいっぱいで2年に一回の大イベントの準備の進行がグダグダと言う事だ!
予算は辛うじてあるが、一部あの都市、というかアバンギャルドくん外装部品に消えたと。
「使い込みやら横領はその次の決済までにバレずに辻褄合わせて金庫に戻せば俺はまぁ仕方ないと思うが」
「良くない!」
「こればかりは超天才病弱ハッカーであり全知の学位を持つ私にもどうにもできません。無からお金は生えませんし」
ヒマリがどうすんだよと言いたげにリオを見ている、言わない辺り本気でどうすんだよと考えてる証拠だ。
こう言うのを計画するのは得意な方だが確かに困る。
「まずは
「数の主力のドローンはこの前のどたばたで随分」
「そこは仕方ないが、3大校だろ?動員数は多いだろう」
リオが会議室卓上端末にリストを投影した。
並ぶはミレニアム生徒の成績リスト群だが、体育に関してはE評価が多い。
「無理よ先生。ここはミレニアムサイエンススクールよ」
「なあオイ、そもそもE評価はこれ」
「平均体力テスト脱落と言う意味」
「なんてこった」
すげぇ、思ったより遥かに低い!トリニティは何だかんだ動ける奴多かったんだな……。
凄いぞ、既定の40キロ遠足で脱落者が出るのかよ!
なんで20年くらい前のアリウス偵察総局レベルの体力なんだよ!飢餓状態か⁉
「俺が間違ってお前が正しかったが、どうするんだ?」
「これだけで話は終わってないのよ」
リオが別の物を投影した。
【晄輪大祭中止嘆願書】
送り出し主は反晄同盟を自称、有形無形の妨害の数々を図るばかりか、遂に破壊工作へ踏み出したという。
シャーレ要注意リストにそうした連中は記録されていない、アナキストとかによるグループでもない。
と、なると上部組織がない感じの行動主義者グループか。
「破壊工作とこれが送られてきたわ」
「残ってる予算も風前の灯ですよ、ふふもう、カイザーローンから借りる、いや先生お金貸してくれません?シャーレの予算来月までには戻すんで」
「にははは……ごめんなさい」
お通夜モードだ、そしてシャーレの金庫にそんな余裕はない。
俺も貧乏では無いが、億単位で出してやれるほど金持ちでもない。
臨時に大金など要求されたら、ブラックマーケット大検挙やら汚職の証拠抑えて資産差し押さえを使うしかない。
3日以内にそれなりには集まるだろうが、普段ユウカが止めてることをこの状況で言って実行するのは外聞が悪すぎる。
「一応、大きい特許をかなり売れば即金にはなるんですが、その後の収入が……」
「諸君らが抱えている悩みは理解した、それを解決する手段も一つ提示できる」
全員が俺を見る、既視感がある。劣勢の時に良く周りから受けた目線だ、エリドゥに乗り込むときもこんな感じだったな。
「シャーレを参加校か協賛にカウントしてしまえ、そうすれば儀仗隊や設営に工兵を出せるし、こういうイベント協力が好きな工務部やその他の人手は集めてやる」
ミノリへの依頼料は俺の財布から出せばよかろう、あいつ小切手渡すと使用資材と労働時間纏めも添えてくれるからありがたいんだよな。
そういうの添えてくれるとその後俺が連邦へ経費請求するとき楽なんだよ。
「最低参加人数にアウリススクワッドの4人加えてもまだ少し足りませんよ?そもそも彼女達はアリウスですし」
「ヘルメット団とかのラヴとかいるだろ、あれ一応徴収したから名誉隊員だぜ?特別枠とかでねじ込む」
「きったねえ」
ユウカが呆れた顔をした、アビドスで色々してくれたんだ、これくらいは貸しがある。
「足りなきゃ最後の一人は俺が出る」
「まーたこの大人は滅茶苦茶言う」
「なんだぁ、今から持久走でもしてみるか?煮詰まってる頭もほぐれるかもしれんからな」
売り言葉に買い言葉で始まりかけたが、リオの咳払いで止められる。
ミレニアム生の基礎体力じゃ大体勝てる、スミレ部長やネル部長はともかく、大概勝てる。
「先生、鋼鉄プレートの防弾着で動き回ってましたね……」
「エデン条約の時に体力不足を感じてな、あれ以降よく外出してだろ?それに砲兵も体力仕事だぞ」
私室でエアロバイク漕ぎながら、雑務したり。
だてに砲兵の訓練に混ざって一緒に装填したりしてないぞ、砲架ばらして運んで組み立てたり。いやはや楽にはならんもんだな。
そう言えばあの事件の翌日は筋肉痛だとか言ってたな。
「しかし、分刻みと秒刻みの予定が多いな、無理だろ」
「で、ですけど……」
「ユウカ、ここの300分の移動中に信号で止まらない確率言ってみろ」
「うっ……」
「汗流して寝てろ、この程度のミスが多いなら、お前らに足りてないのは休息だ、サオリ、ミサキにトキ!皆様を風呂に入れてフートンに突っ込んどけ」
ヘーイと雑な返事と共に担いでスクワッドとトキ一同が退室する。
「では、我々もお暇しましょう、エイミ」
「ヒマリお前はお手伝いだよ」
ヒマリが「エッ」と声をあげた。
「私は超天才ですが病弱ハッカーですよ?」
「でも現状一番体力あるじゃん。おめでとう、私は君を徴集する」
「ヤダ―!」
「やだじゃない、査察のネタはあるんだぞ!」
まぁ、戦後処理ってこんなもんだよな。セミナーが回復するまで俺がやっておいてやるよ。
横でヒマリが「うぅこれは独裁者による搾取です……」などと言ってるが無視だ、知った事じゃない。
「先生、どこに行かれるので?」
「無人機は生産か修理だろ、エンジニア部に行って来る!後は電算処理にヴェリタスに行って来る」
ヒマリに細かな管制をぶん投げ、徒歩で行く。
「電話で良くないですか?ヴェリタスは部室が爆発してますし」
「あいつ等も半分はダウンだろ、直接激励に行く」
「その間の連絡などは?」
「俺の端末が強いのは知ってるだろう」
ケーキやったんだ。働いてくれよ、アロナさん!
「工務部や所確幸などに連絡でしたよね?」
「後、工兵に準備入れて置け!」
ミノリは業務内容を聞いて快諾、デカルトは「働きたくねえ」とほざいたが、弁当出るよと告げたら「若人を導くのも務め」と態度を翻した。
それ以外にも体育室長の予定を確認し、調整しながらエンジニア部の部室を開ける。
「おや、思ったより元気だな」
「晄輪大祭当日までに本調子にしておかないとね」
「元気があってよろしい、当日までに体調整えて置けと言いたいが、これを見てくれ」
ウタハ部長に工作機械の稼働数と稼働率の書類を見せる。
新素材開発部での爆発による予備部品問題があるから、一応警戒を厳とするように告げる。
「どこまで、無理せずやれる?」
「中々の難題だね。試算してみるから後で連絡するよ」
「破壊活動に注意しとけよ、アホみたいな内容だがレムナント絡みかもしれんし」
「そんなの来たら少なくとも家じゃ勝てないけどね。それじゃ、先生も無理しないでね」
頭に浮かぶ行動主義的破壊活動グループ、というとレムナントだ。
だが連中にしちゃ手ぬるい、杜撰、無計画。
となるとミレニアム内部のなんか変な勢力になるが、問題はミレニアムは奇人変人だらけである。
次はある意味本命、だがあいつ等は違う気もする。
「あっ先生、家の子たちはこの様子だからしばらくは大人しいと思うよ?」
ミレニアムの駐車場で停車してるトラックの後部を開ける。
部室大爆発に伴い、移動拠点化したらしい。
問題は運転免許を誰も有してなかったらしく、仕方ないから免許取るまで固定である。
「チヒロか、他の連中はなんかしてるか?」
「筋肉痛で全員寝てる、なにやらせたの?」
「ちょいと世界の危機を救っただけさ」
「ふーん?」
チヒロはそういうと、事前に頼んだ電子情報を渡してきた。
セミナーのサーバーに覗き屋する連中はあまり多くない、チヒロが単に優秀というのもあるが、リオが基本大事な物は内部ネットワークで管理している。
たびたびカイザーなどが覗きをしようとしてるが、そもそも目当ての情報は無い、金庫は別の場所にありますという訳だ。
「ただ変なんだよね、カイザーとかなら衛星経由なんだけど……これミレニアム内部からのアクセスなんだよねえ」
「派遣工作員でもいるんじゃないか?不思議でもない。」
「派遣工作員ならこのレベルのワケが無いんじゃないかな、先生がヴァルキューレ本館にしたようにね」
「さぁね、ただの抗議活動に工作員なんて送らんぞ?」
ぬけぬけと良く言う、チヒロは呆れながら言った。
「まあともかく、素人くさい手ではあるけど、誰かが何かを企んでる。」
「そこまで素人くさいかね」
「
チヒロの説明はやや感覚的であったが、故に理解できた。
剥き出しじゃない素人臭さ、そういう何処か隠せない雰囲気は専門家の嗅覚に引っ掛かりやすい。
俺にも似たような経験がある、過ちも幾つかある、だから言葉にしづらい感覚がある。
ともかく何かしら考えてる奴がいるのだ、それだけだ。
「ああそうだ、それと電波分析の結果」
チヒロが紙媒体の束を渡した。
前月と比較してアビドス駐屯地の通信量が増大、熱源量も増えているから何らかの計画が進んでいるらしい。
有線通信でハック出来ないから聞き耳を立て辛いのだ。
「カイザーがアビドスから送り出してる情報量が大きくなってる」
「長電話か、あいつら何考えてんだが」
そう考えながら、ヴェリタスのトラックを後にする。
ヒヨリがえへへと外で待機していた。
「済んだか」
「はい、他の案件は大体カタがついたそうです。」
そうかと返事をすると、ヒヨリが別の方向をじっと見た。
数秒して、いつものヒヨリに戻る。
「なんかいたか」
「双眼鏡……ですかね?何かで見ていたようです」
ヒヨリはそういうと、今はもういませんと告げた。
反晄同盟、正確には何かややこしい名前があるのだが省略してそう呼んでいる。
安全ヘルメットに反晄‼とガムテープで文字を書いて、使われてない倉庫を拠点としている。
中にいるのは10人も満たないミレニアム生徒ばかりで、はちみつレモンを齧りながら、計画会議を開始している。
計画会議と言っても、祭りを中止させるためのあらゆる手段に関してだが、大体上手く行っていない。
実力行使を論外としたのは絶対に勝てないからだ、メイド連中に勝てる訳無いし、体力が無いから反対してるのだ。
立て看板は撤去されたし、告知看板にホロで「中止だ中止!」と書いたけどマキの落書きのが話題になったし、セミナーにあれこれ言えるわけない、度胸も無い。
「んでどうすんの、先生まで来てるじゃん」
丸眼鏡の生徒が尋ねた、今回の会議の論題は其処なのだ。
あと数日後に控えた大会、なんとしても中止させねばならない。
其処に来て先生だ、てっきりヴェリタス部室棟などを巻き添えに大爆発した事件のせいで順延と思ったが予定通りという時点で、何もかも狂った。
「実力行使で勝てるはずないし……」
「先生の監視は?」
「やったけど直ぐに護衛にバレた」
「えーっ、つけられてないかな」
「多分それならもうバレてる……」
どんよりとした雰囲気が漂う。
そう、体育が嫌と言う猛烈な反感からこの様な行動に出てるのに、事態は肉体言語を要求してるのだ。
世界は何処まで理不尽なのだ!
「ハッキングツールも失敗したし」
「まずいよねえ」
「あ、シャーレ公式アカウントが祭りに関して協力するって」
「げえ!」
同盟の何人かが嫌な顔をした。
ゲヘナやトリニティ等ならともかく、ここはミレニアム、肉体言語じゃ勝てない。
そもそもだがここの同盟の約10名が、元気よく挑みかかってもシャーレ本庁正門の警衛隊員に勝てるわけがない。
土台がSRT・アリウスなどのがちがちのプロ相手にどうしろと言うのだ、猫がヒグマに勝てるわけない。
ゲヘナの不良ならまあ勝ち目もあるかもしれないが、ミレニアムの生態系では元気さしかないモモイ達ですら中位くらいの存在だ。
どれだけミレニアムの生態系が歪で歪んでいるか分かりやすいだろう、ナツやヨシミが正義実現委員会の委員に勝てないのと同じだ。
「私らじゃ勝ち目がない……」
「……待ってよ、確かエンジニア部がやってるんだよね?」
「そうだけど」
「じゃあ、まだセキュリティクラウドには未登録だよね」
「ウン」
ある生徒がふと提案した。
「あるじゃないの、ミレニアムにもうちらで何とかなりそうな手段」
端末を叩いて、あるものを見せる。
応援ロボが脱走という報せにやや面を喰らったが、続いての報せに思わず困惑した。
「は?もう一度言ってくれ」
『エンジニア部倉庫で保管してたチーフテンが盗まれましたァ!』
「なんじゃあそりゃあ」
アツコの軍縮で売りに出されたチーフテンがミレニアムが一部購入したのは知ってるが、ウタハが保管してたのか。
ウタハ部長が言うには「未知を既知にしたくて」らしいが、買って弄るのを後回しにしてたらしい。
更に言えば脱走したのは応援ロボとして制作していた6脚型多脚歩行システムのロボらしい。
なんでもAMAS3を見てタカアシガニをベースにしたらしいが、なんでそれが脱走してんだよ。
『自由へのあこがれは誰にも止められないんだ』
「どう考えてもAI叛乱とかじゃないでしょうが、それ。緊急停止させろ」
『押しても効かないんだよ、親の心子知らずだね』
ウタハ部長のヤケクソ染みた声がするが、そう言う事なら話は早い。
取り敢えず止めればいいのだ。
『ヘルファイアとかはダメですよ!』
「ダメか!?」
風呂と休息を取って復活してきたユウカに止められる、もう少し寝てればよかったのに。
『大会で使うんですよ!修理予算どうするんですか!』
「だけど止めろと言ってもなあ」
取り敢えず電子作戦部隊を展開するよう依頼しているが、ここじゃウサギ相手の様にドローン攻撃もしづらい。
だが物理破壊もダメだろう、取り敢えずエンジニア部に図面を要求した。
装甲は均質圧延装甲に複合装甲キットを一部搭載、センサー連動式の飛翔体排除もついている。
足裏にホイールがついて舗装路を高速疾走可能、かなり優れたメカだ、暴走してなきゃな!
「ええい、手は無いのか!」
『物理破壊させなきゃいいのよね?』
リオが、あるものを提案してきた。
チーフテンを略取して鋭意逃走中の反晄同盟は一路セミナービルへ驀進中である。
最早こうなれば実力行使あるのみ!セミナービルへ突入し正面ホールを占拠する!
半ばヤケクソで実行された計画だが、案外上手く行っている。
いやまあ、戦車が走ろうと大半のミレニアム生徒は「どこかの誰かがなんかしてんだろ」で気にしてないのだ。流石、毎日爆発とかで労災を起こすミレニアムである。
流石に部室棟をぶち抜いて、家屋を4件ばかしぐしゃぐしゃにしてようやく通報された。
ちなみに通報したのは隣の部室棟が潰されて寝るのを邪魔されたミサキとミドリである。
「進撃ィ!路地だろうと突き進めェ!」
強引に進みすぎたせいで、後ろじゃ銭湯の煙突がぶっ倒れた。
「道ちゃんとあってんのコレェ!」
「大丈夫だよ、GPSアプリじゃこっちに300mで……」
顔を出していた戦車長が落ちてきた角材に頭をぶつけた。
「ぐえ」
それと同時に、洋服店をぶち破って商店街に出る。
「あれえ、セミナーの近くに商店街なんかあった」
「いや……確かセミナーのビルから1キロくらいのとこだと思う」
「えーっ!じゃあGPSがおかしいってことになるよ」
「でも間違ってるようだし……」
キョロキョロと今度は落下物に気を付けて、辺りを見回す。
左を見た時、彼女は「あっ」と声をあげた。
セミナーの保安部隊が大型ランチャーを構えている。
「げえーっ!AT火器!」
「左に砲塔旋回!……ちょっと!弾無いよコレ!」
「機銃で構わない!」
チーフテンがゆっくりと砲塔を旋回させる。
しかしセミナー保安部隊の照準の方が早かった、撃ち出された弾は着弾と同時に液体をまき散らして固着する。
「ロケットじゃない……?」
「砲塔が旋回しない!」
ミレニアムの特許申請中の製品、大型兵器向けネットランチャーの一種だ。
もともとケテルとかのデカグラマトン向けに開発させていたもので、リオがプロトタイプを制作していたのである。
首謀者たちがハッチを開けて投降してきたのを確認して、先生は「作戦終了」と告げた。
後ろではアリスク一同が「じゃあ二度寝してくる」と疲れた目をしていた。
IP逆探知と尾行で全員検挙したグループの主張がまさか「体育嫌い」とは驚いた。
いやまあ、ミレニアムらしい問題ではあるが……。
無論理由はともかく、やらかした行為は行為だ。
どうすんのと会議室の面子に聞いてみたが、ノアが「……先生、体育室長にこれ渡せます?」と尋ねた。
「なにかね」
「ハイ、体力以外も鍛えるのが優れた身体の筋肉、とはスミレ部長の言ですから。」
「……なるほど?」
内容を見て、確かにそうだと笑いがこぼれる。
要するに障害物競走の中に、頭の回転も交える要素を入れた。
そうしたシステムはミレニアムらしいシステムを使う、そうすることで改めてシステムの強さを見せて製品を売り込む。
強かな奴だなノアは……。
「それにまあ、私としてはユウカちゃんの仕事を増やしたくないんですよ」
思想以外であれこれする奴は、妥結でケリがつくものだが……まさか体育嫌いと向き合うとはなあ。
反対者に「そうそう、俺も文学と国語系の成績誤魔化したり、ラテン語の成績がカスだったなあ」と語ると、かなり意外な顔をされた。
フェンシングも上級生に「お前少し試合してると直ぐに感情的になって隙が多いよ」と言われたりしたのも話したが、これは何故か全員に納得された、そんな分かりやすいか俺は?
「……ちょっと待って、先生どんな学校に居たんです?」
「ヒミツ」
教官に射撃姿勢が悪いから槊杖で叩かれたので、ムカついて銃構えた話はまだしない事にしよう。
空を行くAH-64EとUAVがカラースモークを展開しながら、スタジアム上空を編隊飛行する。
軍楽小隊--エデンの頃の軍楽分隊から拡大--によるファンファーレを流し、儀仗小隊によるドリルが始まる。
「これより、開幕の選手宣誓を----
大会が、始まる。
評価感想誤字報告などいつもありがとうございます。
原作のどっちを見たり知ってます?
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長谷川ナポレオンシリーズは知ってる
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ブルーアーカイブだけは知ってます
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どっちも知ってます。