適当に水注いでレンチンで戻したオートミールにミネストローネをぶちこんで食べるの、うめうめ。でもお腹に優しすぎてすぐにお腹が空腹ににににに。
割と五条家に関する独自設定が含まれています。重めの話だし、そういうオリジナルな設定が好みじゃない、飯テロだけを見に来たって人は飛ばしたほうがいいと思うよ。
二日目、個人戦。
ザコザコとメスガキチックに煽る悟が名前の知らない呪術師を蒼で引き込んで、そのまま殴り飛ばしていたりとか、吸い込んだらきのこが呪力を糧に生えてくる胞子を振りまく呪霊で胞子を撒きまくった上で、粉塵爆発を引き起こした傑のせせら笑いとか、そんな蹂躙はどうでも良いのである。
だってどうせアイツらなら勝てるだろうしね。
めめ先輩、このタイミングで鴉を神風特攻させるやつ編み出したんだ。はえ〜すごい……予備動作がいるとはいえかっこいい……。
何がすごいって、鴉に縛りを結ばせるってあたりが汎用性高そうでとても良い。うまくやれば鴉の命を生贄に反転術式使うなんてことも出来そうだね。ストック制かな?
おじいちゃん三年生の先輩と、歌姫先輩をぼんやりと眺める。おじいちゃん先輩、準一あるからそこそこ強いんだよね。
トリに私を据えるのはマジでどうなってんだ、などと思うが文句は言わないようにする。なんか言ったら悟が煽って来そうだしね。
対戦相手は、二級の先輩。身体から空気を放出する術式持ち、だそうだ。空気の刃や空気砲を撃ち込むのがメイン。空気圧である程度の攻撃を阻害することもできるらしい。
も、もったいね〜!!身体動かす時に噴射を利用すれば空だって飛べるし高速戦闘が展開出来ただろうに。なんなら頑張れば肉体の縁をぼやけさせて動きをわかりにくくしたりなんかもできそう。一級目指せるポテンシャルはあるのに勿体無いなぁ。
ガッチガチに緊張したその人は、術式反転を全身に起動した私が、光速で相手の空気砲に反応して回避した上で接近して気絶させる形で即戦闘が終了した。
流石の私も、空中の機動には対応しにくいし、速攻で行ったがそれはまだ練習中だったらしい。
私は靴の裏の影を利用して空を歩く程度なら出来るんだけれども、光の位置に左右されてくるし、あくまで立体的な機動までしか出来ないからね。
術式反転させれば光も蹴れるようにはなるが、それでも空中戦はそんなに得意ではない。
手駒を揃えた傑が光源となる呪霊で影や光の波動の位置を制限しながら空爆してきたら、私はかなりキツい。
悟もだ。無限で空に居座って遠距離からバンバン高火力の技を連発されると、死ぬ気で回避しながら腹から呪力を喰らって、呪力切れを狙いつつ内臓をズタズタに掻き回すくらいしか手段がない。そもそも私は遠距離攻撃に乏しい術式だからね。
……飛び道具になるものが欲しいな、クロスボウとか。クロスボウだと影を上手く使えばオートリロードが効きそうだし。
東京校の勝利で姉妹校交流会は終わったが、その後の自由時間はまだたっぷりある。京都を回ってから宿坊を借りて今日も泊まり、明日朝イチで帰るという予定を話している中、少しブッスリした顔の悟が目についた。
あぁ、実家に呼ばれてるからそっち行かざるを得ないのか。京都巡りも難しいのだろうな、残念なことに。
仕方ないなぁと思いながら、その言葉を口にする。「あくまで自分の立場のためにですよ」という建前を建てながら。おかしな派閥に取り入れられたら困るから、金魚のフンアピールはとても大事なのである。
「あ、私悟ん家で泊まってこうかな。五条派閥ってアピールもしときたいし、遊びに行くって前言ったからね」
「えっ」
「えっ?」
「ちょっ、清与?私たちのご飯……」
「、いや……でも。俺、「五条」だぞ?その、大丈夫か?後悔しないよな?」
歌姫のその一言で事態を瞬時に察知した同期二人は、「何言ってるんだこいつ」という目を瞬時に隠して「邪なことは考えてませんよ」という友情アピールをする。
嘘つけお前らメシマズが嫌なだけだろ。ちょっとは真実かもしれないけどもさぁ。
「あぁ、私も一緒に行こうかな。別に、お前が家でどんなだろうと軽蔑はしないよ。
枕投げには自信があるよ、私」
「じゃあ私も。友達の家でお泊まり会だなんて、生まれて初めてだから楽しみだね」
「…………オマエら〜!!!」
そんな思惑に一切気がついていない悟はそのクソ長い脚で飛び込み、抱きしめてくる。おいこら傑さりげなく背後に逃げてるんじゃねぇ、グエー!
硝子諸共ぎゅうぎゅうミチミチと抱きしめてくる腕は、傑とは違って程よい力加減だ。涼しくなってきたとはいえ筋肉がぽっかぽかで暑苦しいので離してもらいたい。
エヘエヘと笑いながらそのまま頭上でぽちぽちとガラケーを弄り、何処ぞへと電話する悟。あぁこれ実家に電話してるのか。
「もしもし?あー俺俺。同期三人連れて帰っから、泊まりの支度しといて。テキトーに俺の部屋使えばいいよ、布団は余ってんの何個かあるだろ?」
とんでもない名家な実家に電話する時に俺俺言うな。俺俺詐欺を疑われろ。
というか雑魚寝するのか、私たち。隣は多分私なんだろうけど、硝子のいびきうるさいよ?私は慣れたけどお前ら寝れる??でもまぁ防犯的にはそれが一番良いんだろうけどさ、本当に寝れる?
そのまま電話越しの、おそらく使用人に話を進めていく悟。リラックスして体重をややもたれさせながら、手持ち無沙汰な左手で背中をぽんぽん叩いてくる。クソッこののっぽ!重い!
「え?あぁ、うん。友達」
瞬間、周囲にいる人にも聞こえるほどの奇声が電話越しに放たれる。
耳元でそれをされた悟は、実に嫌そうな表情で耳から電話を離し、ある程度声が止んでからちょっとだけ距離を戻した。ちょっとだけ。
ワイワイガヤガヤざわざわ、と複数人の声が流れて聞こえてくる。
「ウワッなんだよ急に叫んで……あ?は???湯船に花を浮かべる?いややめろよ邪魔くせぇいつもので良いだろ……、あっそうだそのうちの一人は不動清与だから。わかる?うまいメシ作って改革進めてるヤツ。メシはいらねぇ、絶対に俺の邪魔すんなよ、俺達は俺達で食うからいらねぇ……えぇ啜り泣いてる……それコイツらの前でやるのやめろよ……ったく切るぞ」
「そのような非術師出身の者を呼ぶなんて」みたいに罵倒される覚悟はあったのだが、まさかのお祭り騒ぎ。コイツどんだけ甘やかされてきてこんな唯我独尊に……。
それより友達の一言で家中が湧き上がるとか、オマエ表面上でも良いからそういう家の人間と交友関係築かなかったんか?
見ろよ傑のあの顔。親友が思ってたより寂しい子ども時代送ってそうだなぁって、視線に憐れみが込められてるぞ。
「よし。あいつら法定速度無視してでも車かっ飛ばしてくるだろうから一緒に乗って行くぞ」「ねぇそれ途中でパトカーに追われない?」「犯罪者になるのはちょっと……」「というかさらっと私がメシ作るの確定事項にされたね」「呪術師なんて法律違反いくらでもしてるだろうがよ!この銃刀法違反!!」
それは本当にそう。呪具持ってた傑が警察に捕まったのを爆笑しながら迎えに行った悟の後ろ姿を思い出す。あの後、「呪具を使わない君はこういう事がないから笑っていられるんだ」と殴り合いの喧嘩を始めたりしていた。
私も呪具は持ち歩くけど、影の中に仕舞ってるからバレることは無いんだよな。でも銃刀法違反なのは事実その通り。ぐうの音も出ない正論が珍しく悟から飛び出してきた。
「多分父上と母上が顔出してくるだろうけど、挨拶しないでいいよ。……つーか、クソジジイが俺の失脚狙ってくるだろうしなぁ……、俺用の露天を順番に入ればいけるか?
念の為でいいからさ、風呂入る時外に呪霊を見張りに付けてくんね?傑」
「ごめん、ご両親の事を父上母上って呼んでるインパクトが強すぎて一瞬言われたことを聞き逃しそうになった。監視だね?わかった、任せておくれ」
「なんで父上母上呼びがヘンなの?」
きょとん、とした表情の悟に「ああコレは下手にいじれないな」と全員で思う。こいつに取ってはコレが普通なんだな。
ここは矯正する必要もないだろう、と察した傑が「いやね、君のことだからご両親とはあまり仲がよろしくないんじゃないか、って心配してたんだよ。この様子なら大丈夫そうだね」と誤魔化す。その言葉に対して、悟は微妙そうな顔で「あー……いや、まぁ……。そうだな、命の心配は無いな」とだけ返した。
おいコレ大丈夫か?御三家の闇ってやつに触れるやつでは?これ傑連れてきて大丈夫なんかな、いやでも呪術師のクソっぷりや立場は理解してもらったほうがいいんだが……
「ま、そういう訳だからこいつ持ってくな!」
「まー同期じゃし仕方ないじゃろー。それはそれとして、なんかつまめるものちょうだい?おにぎりとか」「私はパンでも構わないよ」「……うー。みんなで一緒に観光できると思ったのに。仕方ないか」
おさげを握ってがっくし、と肩を落とす歌姫先輩に、冷蔵庫にいろいろ詰めておきますねと言って、宿坊の小さな冷蔵庫におにぎりとサンドイッチを入れていく。これ、京都校の飢えを知った猛獣に知られたらどうなるんだろうなぁ、と思ったが人数分のみを入れるに留めた。
そのまま帰りは自分たちで朝起きて、10時までの新幹線に乗ってればいい、とのことだったのでひとまずその場で解散。それぞれの旅行用のトランクに着替えや風呂道具などをしまい込んで、そのまま全部影へと収納。
「お、おっちゃんが迎えに来てくれたんだ」
すっかり乾いた地面を歩き、そのまま校内から外に出ると、ちょうどそこには黒塗りの大きなリムジンが一台止まっている。うわコレめっちゃピカピカなんだけど。おいくらなんだろコワ〜。汚したくねぇな、と思ってしまった。
「坊ちゃん、お久しゅうございます」
「ン。こいつら、俺のダチな。蝶よりも花よりも丁重に扱えよ」
「承知いたしました」
未来の特級呪術師との血の繋がりを思わせる発言をしながら、悟は当たり前のようにリムジンの中に入り込む。うわっめっちゃだだっ広いソファーがある。卓上には花札やらお手玉やらが散らばっている。卓上の棚には……、あっこの無菌ボトルに入ってる水高いやつだ。その隣には瓶詰めされた大量の角砂糖。
……こいつ、こんなだだっ広いリムジンを一人だけで乗ってたのかな。なんというか、少し異様だ。
というより、この運転手も何か……その、変じゃないか?本当にうっすらとだけど、何かの残穢を纏っている。顔に残穢が集中というよりは……、頭?
なんか目が濁ってる気がする。頭の残穢といいこの感じ、どこかで見たような、と硝子は首を傾げた。
「?なんだよ早く乗れよー」
「あー、すまんすまん。あっ荷物は大丈夫です、清与が影にしまってるので」
「——なんと、坊ちゃんの御友人は、一級術師がいらっしゃると存じてましたが……斯様なことが出来るとは」
「あったり前だろー?俺が認める親友だからな、傑も硝子も清与も!」
ニッコニコでさりげなく親友発言をされてしまうが、ここでそれを否定するわけにはいかない。運転手が涙ぐんでいるのが、ミラー越しに見えてしまったから。でもおかしいな、影収納に関しては割と有名な話だと思ってたんだが。
しかし悟……、まだ九月なのに親友認定なのか。わかってはいたがこの男、色々と勢いが凄いし重い。
悪いとは言わないが、こういうジメジメっとした感情は呪いを多く内包する者特有だよなぁ、と感じてしまう。こういう感情を孕むからこその呪力量なのだろうが。
「これ好き」「コレもすごく好き」「この水飲みやすい」「コレ見た目良くて音が好き」などと、ワクワクでリムジン内に鎮座するものを紹介していく悟。窮屈な中、買い与えられたものの中でも思い入れがあるものを此処に置いているのだろう。自分のテリトリーだ、と認識するためにも。
あ、耳元で鈴ジリジリ鳴らされてキレた硝子が悟殴った。誰だってそうする、私だってそうする。
まぁこの後が暇すぎて、影から出したGBAでみんなで塊になってフロンティアクオリティに発狂するんですけどね。
いや本当なら状況再現したほうが楽なんだけどね、バトルビデオ使うなりして。でもこのメンツでそれをするのはちょっと憚られたというか。
バトルピラミッドで何処だよこことワイワイ騒ぎながら次の階層を目指して彷徨く。グロスにラティ兄、ハピのガチメンツだしまぁ行けるやろと思ってたら、意外とうまくいかない。また状態異常にさせられてるじゃん、ウケる。3連痺れとかそこそこ程度にしか見ないよ。
見事な運の無さを披露した硝子が不貞腐れてソファーに横になったところで、ちょうど五条本家に到着した。あっはいはいごめんなさい仕舞っときます。
いつも以上に目を輝かせながら硝子を小脇に抱き抱え、何故か傑も小脇に抱き抱え、なんなら私を肩車した悟が家へと突撃する。足は持ってくれないからマジで不安定すぎる。慌てて首筋をつかんだ。あれこいつ無限解いてるじゃんお前マジかよ。じんわりと汗をかいてるのか、少しじめっとしている。
あっ待て、でっかい木製の門を脚で蹴破るのはどうかと思う。壊しちゃいけないやつなのでは?というか頭ぶつかりそうで怖いんだけど。
「ただいまー!荷物は大丈夫、じゃあ俺達部屋行ってるから!」
流石にコレは怒られるだろ……と思っていたが、嘘だろ使用人全員とんでもねぇ笑顔で拍手喝采してやがる!ウワッこの家なんとなく予感してたけど使用人全員頭に残穢ついてやがる……、頭?あっ洗脳、せんの、洗脳?!
どう考えても五条マンセーの為に使用人を洗脳してるとか、終わってる家じゃねぇか!呪術師家系ってどこも腐ってるの?!
よくよく見たらこの残穢、質が全て同じ……、術式か呪具か?定期的に掛け直されてるみたいだけどこれいつから続いてんだ、洗脳をするってなると、何の為に?
乗っ取り……、いや、「五条悟」がいるのにそれは無理だろ。
となると、中にある守りたいものを守るために、だろうか、ら————
五条の至宝、五条悟が産まれた、その時点から、その兵器を計画的に運用するためだけにこんな暴挙を?
……キショ、キッショ!!!うわ嘘だろ鳥肌立った、普通現実でこんなことするか?!
その当時の当主は確か悟の父親だ、授業で習った。そして悟は、リムジンの中や普段の知識面をを見る感じだと、一般の情報が入らないように情報統制しながらも甘やかされ続けて、どう考えても毒親ですありがとうございましたァ!!
最悪だ、こいつの両親、悟のことを人間扱いしてねぇ!!もしかすると対立してるっていうジジババとやらの方が人としてマトモ説出てくるぞ!?
現当主の悟は今、当主にも関わらず文字通り孤立無援の状態だ!
悟のこの態度は……浮かれてる部分もあるけれども、これ、私達を守るためにやってるやつだ。無意識だとしても、「コイツは俺の身内」アピールしてるんだ。自分の、大切な人たちだから手を出すな、と。
浮ついた声で、とんでもなく冷たい視線をチラリと投げやってから、そのまま悟は玄関で靴を脱ぎ、ついでに私たちの靴も脱がせ、私の影に突っ込んでからドタバタと音を立てて自室へと向かっていった。
スパン、と行儀悪く足で襖を開いた先にはだだっ広い畳の部屋。ようやく地面に降ろされて……、唖然とする。
埃ひとつない箪笥や机と言ったものはまだいい。呪具の仕込まれた新品の編みぐるみやらなんやらが転がっているのはなんだコレ。……これ、悟の目だと、もっと色々見えてるだろ。
この時点で絶句の極みな傑と硝子。ぷち、ぷち、パキンと悟は無下限を駆使して、感知できる限りの呪具や盗聴器を丁寧に圧縮して壊していく。
一通り、終わってから。
「ようこそ、このクソッタレな俺の実家へ。まーまーゆっくりしてけよ!あんなもん見たら落ち着ける訳ないだろうけどさ!
でも、俺的にはオマエ達がいるってだけですげぇ心休まるっていうか。マ、客のオマエ達「は」危害を加えられないだろうから安心しててくれ!」
悟は、曇り一つない笑顔で言った。
「————君、こんな……ところで、生活してきたの?十何年……も?」
震えた、微かな声で傑が問いかける。
それを「当たり前」じゃないと教えてくれた親友に対して、悟はにこやかに答える。
「物はいくらでもあるし、死にかけても家の連中は必死こいて俺を生かそうとするし、まー住めば都ってヤツなんじゃねぇの?」
「コレ、なんとなく、聞くんだけれどもさ。
高専……わざわざ五条が東京校に通ってるの、って。誰が後押ししてくれたの?」
「クソジジイとクソババァ。あの二人は味方ではないけど、この家の中ではまだマトモな「人間」だよ、保証する。
まぁと言っても、俺を人間として見てるのかどうかに関しちゃ、疑わしいけどな!」
あっけらかんと告げる悟に、傑が手のひらに爪の跡が残るほど、強く強く拳を握りしめる。呪術師、予想以上にクソすぎて私もムカムカしてる。いやまぁ同じ人間なんだから誰も彼も同じ、なんだろうけれど。
同じ、人間で、赤い血は通ってるけど。それでもさぁ。
「お前もう、こんなとこ帰るな、高専にいろ」
「できると、思う?」
「特級になれ、私もなる。傑だってすぐに追いつく。
三人特級がいりゃあ、高専所属の呪術師として、お前が高専に居続ける話なんざ通すことができる」
「……は?いや待てよ清与、オマエ、特級になるつもりはねぇって、上層部から打診されてるの蹴ってるんじゃ」
呻くような声で、その問いかけに対して私は返す。
確かに、私は特級昇格を蹴ってる。二回ほど、特級任務ぶつけられたけど返り討ちにして生き延びてる実績持ちなのもそうだし、メシ関係で国が囲い込む前に呪術師としての立ち位置を確実とさせたい、という理由で特級昇格を打診されていたが、一度その話を私は蹴ったとも。
ああ、だが、それでも。コレを見過ごすのは、他の何者でもない私が納得できない。
「非術師を守るための守護者役として国の運営に携わる非術師の連中には怪物と謗られて、呪術師としてのくだらない名誉を守るための兵器役として家の連中に人間扱いされてないお前を、そのままにできねぇって言ってんだよ」
その言葉は、不気味なほど静かな部屋で響き渡る。……結界、張ってたんだな。
「……私も、コレを見過ごすのは無理。頭の残穢と濁った目の色で何されてんのか察したけどさ、ここの使用人、あれ脳みそ半分溶けてるよ」
呪具の被害に遭った人間の解剖をしている硝子だからこそ、症状を見て「どうなっているのか」を理解している。
なんたって、「一度」五条家の呪術師の死体を解剖したことがあるから。
最初は、呪霊からの攻撃でこうなった、と判断したが、この家に入ってから、その判断が過ちであったことを理解した。
「お前はこんな連中の為に腐る必要なんてない、腐るぐらいなら——私達の為に腐れ、このクズ」
「…………、そう、だ。硝子や、清与の言う通りだ。
君は、そんな……そんな猿の為に、犠牲になる必要なんて無い!」
傑がそう言うと共に、悟は俯いた。
もう一度、ぽつりとこぼす。
「……そう、だよなぁ。そうしたい、よなぁ」
諦観の心に火が灯る。
それは、憤り。未知を知るからこその世界へ対する怨嗟の声。
私と同じだね、と不意に思った。
「——俺も、任務頑張る!んで、特級までのしあがるぞ!」
「私も、絶対に追いつく」
絶対に、君を外の世界へ縫い付ける、重荷になってやる。
これが、四人の最初の起点。
全員が、世界を変革すると誓った日。
「あーもう!普通の飯なんて食ってられっか!糖分だ糖分オラァ大盤振る舞いじゃ持ってけェ!!」
新鮮なミカンから「私たちが新鮮なミカンと呼ばれていると聞いて」と頂いた夏蜜柑をふんだんに使った牛乳寒天を取り出した。ふるふると震える寒天は、小さいバケツにコレでもかと詰まっていたのをバケツからそのままの形を保ったまま皿に持った逸品だ。
そこからさらにとろとろのプリンにミルクセーキ、硝子用のコーヒーゼリーを取り出す。あとは取り寄せ品の羊羹に、バウムクーヘン。
全員でミルクセーキを引っ掴んで、無言で取り出したジョッキに注いでいく。オラッ乾杯!
一気に飲み干してから、やけ食いを開始した。
「ちくしょうあのおれを産んだだけのクソ女に利権しか興味ないクソ野郎!新鮮なミカンを見習えよこんなクソみたいなことしやがっミカン酸っぱ!!」
「呪術師本当にクソ。びっくりしたんだけどなにあれよく悟は我慢できるよね?
というか非術師からも怪物って謗られてるってどういうこと?」
「言ってるままのことがそのままそっくり起こってる、としか言えねーや。
メシ関係の法整備とか衛生法の改定の為に綺麗なミカンと国会に行ったりしたんだけどさ、アイツら私見てなんて言ったと思う?「五条のバケモンの金魚のフンはバケモンか」だよ!信じらんねぇ!
テメェらの命つなげて美味しいおまんままで食わせてやってんだぞこちとら、はァ〜世の中クソ!
レシピ公開やめてメシも自分だけで消費してやろうか!」
「やめて」「やめろ」「やめよう」「なんでそこは高速で否定してくるんだよ息ぴったりか?」
瓶詰めされたプリンを頬張る。あ〜……蕩ける甘味……
このままにしておいたら、今後のやらかしに繋がりかねないので、昏い目の傑に、スプーンを突きつけて言い放つ。
「————猿の鳴き声を真に受けるな、お前も猿になるぞ」
「え」
「他人が猿に見えて、気持ち悪いと思うのは好きにすりゃあいい。でも、その猿と同じことしちまったらその時点でお前はその猿と同類に成り下がる。
私達は人間だ。人間だと思える相手だけを対等な者として捉えればいいし、私達はそうあるが故に、人間として理性を保たなければならない。
そもそも私達が食ってるもんは、平等に泥、つまりうんこから出来てる、要は私たちも平等にうんこだ」
「ぶ」
あくまでも私はこう考えている、という持論を言い放った。おいメシ食ってる時になんつーこと言うんだって顔するのやめろ。メシ食ってるからこその話題なんだよこれは。
「全ての存在は、大きな視点からすれば等しく無意味で無価値な存在だ。そしてその認識は、他の存在という物差しによっては、同じような認識を抱くことすらあり得る。
私達は終わる事を前提として設計された、他とまるっきり同じ設計図の肉体を持ってる以上、私達という存在を「人間」として認識する為に、自分自身を磨き上げる必要がある。
わかるか、傑。だからこそ、私達はこの生で、自分が持つ価値観の物差しで「価値がある人間」と思わせるほどの意味を示さなければならないんだよ」
少なくとも、その行為に「自分にとってはまるで意味がないと思える行動だった」と少しでも疑うようなことだけはしてはならない。それは、自分自身という人間を否定すると同義だから。
私は、私自身を裏切ることだけはしたくはないから、と告げる。
「だからこそ、他者を人間ではないと切り捨てるのは別に構わない。でも、切り捨てた対象と同じ行為だけは絶対にするな。
自分が無意味と断じた事を真似する必要なんて、それこそそれをせざるを得ない時だけにしろ。でもって、やるんなら、私たちは根本的には皆平等に底辺だということを意識しろ」
最後の一口のプリンを飲み込んだ。全く、自分はこういうキャラじゃないというのに。
「私は、お前たちが、私にとっての人間で存り続けることを願ってるよ」
いや、ある意味合ってはいるか。
私も、特級の冠位を賜られるだけの、重たい感情を背負っているのだから。
五条悟、ポケモンのN説。思い浮かんだそれを形にしたかったんだぜ。結構難産だった。書いては「おかしいな」って思って書き直したりした部分があるんですけど、書き直し忘れて変なところがあったらごめんね。五条家のやばさに関しては、この世界ならあり得そうだなって思ってつい書いちゃった。
この後は怒涛の誕生日ラッシュ。えーっと……(ぽちぽち)11月は硝子、12月は悟、2月は傑かぁ。このオリ主の誕生日いつにするか考えるの忘れてたな、並べたいし1月らへんでいい?