【完結】魔法少女ハレル/OverPhantasm   作:青川トーン

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EP22

 ユニオンは旧ヨーロッパ圏一帯を勢力圏とする。故に日本からそこまで行くとなると結構な距離がある。

 

 

 何より問題となるのは空を覆う雲だ、大体上空2000メートルから3000メートルあたり。日によっては薄かったり厚かったり、高さが違ったりするが……基本的に常にあるこの雲だが多量の魔力を含んでおり、内部では空間の乱れやかなりの威力の衝撃が発生する事もあるらしい。

 またここを住処とする怪物がそれなりの数がおり、あまり迂闊に近づかない方がいい。

 

 この雲は戦乱期から局所的に発生していたのが段々と広がり……今では北極南極方面や赤道上……あるいはかなり強固な対策を行っている地域以外はこの雲で覆われている。発生原因は今の所不明、だが各勢力はこれ以上の寒冷化を防ぐ為にも対策を練っているそうだ。

 

 

 レナ代表に貰った手掛かりを辿って、ユニオンに向かうにはもう一つ問題がある。

 果たして誰がその世界を渡る技術を管理しているのか、どうやったら使わせて貰えるのか、そういった事もまだ知らないのだ。

 

 

「だから私を頼りに来たという?」

「ええ、アマネ大巫覡ならばユニオンに繋がりがあると思いまして」

「なるほど、賢明な判断よ……確かに繋がりはある、ユニオンに加わった暗夜教会……そこの聖女とは」

「どういう、組織なんでしょうか?」

「そう……概ね向こうのナユタみたいなモノ。巫女や神官の代わりに聖女という、守護者の力を宿した者を主力とする」

 

 聖女、それは管理人の様に創造主と呼ばれる者によって作られた「守護者」の力を譲り受けた者。簡単に言えば人造神格の巫女と近い存在らしい。となると暗夜教会にも管理人の様な守護者が居るのか?といえばNOらしく、既に倒れた後でその力の欠片を引き継いでいる様な感じらしい。

 

「暗夜教会はナユタが魔法少女システムを開発する際に資金供与を行っていて、それなりの協力関係にはある。そこを介してなら私からは紹介できる……ただまあそこまで行く足は自力でなんとかして欲しい」

 

 

 

 

 そんな話をしたのが三日前である、紹介状を書いて貰って。さあどうやって行くか?とアカネさんに相談しようと思ったら既に作ってあったよ弾道ロケット。墓所に貯めてあった資材を使って長距離移動の為にナインが設計・開発してくれて、管理人も手伝ってくれたらしい。

 

 ありがたい、ありがたいけどまた片道ロケットかぁ……とちょっと冷や汗をかいた。

 MCMSに攻め込んだ時のアレも乗り心地は最悪だった、魔法少女システム側のフローティング機能のおかげでこう中でぶつかったりとかはないんだけれど。狭い・早い・うるさいはやっぱりキツいのだ。

 

 ついでに前回はモロに敵地だったおかげで気にしなかったけれど今回はユニオン行きだ、間違って撃墜されたりしないだろうか?

 

「大丈夫よ、識別信号を放ちながら飛ぶから。なんならステルスをつけてもいいわよ?」

「それって逆に普通のミサイルに搭載されたらヤバい奴なんじゃないですか?アカネさん」

「そうね」

 

 そうねじゃないが、本当に大丈夫なんだろうか。

 

「まあちゃんと大気圏離脱の軌道で飛ばすし目的に付いたら燃料が切れて分解するようにしてあるから大丈夫よ、降りる時の雲だけはあなた達の能力でなんとかしなさい」

 

 確かにちゃんとロケットの軌道ならそう撃ち落とされない……のか?しかしこんな小型ロケットでよく大気圏離脱まで行けるな……燃料タンクも殆どないし……。

 

「頑張れば普通に宇宙開発できるんじゃないですか?」

「そうね、宇宙に行くだけなら簡単よ。でもそこに何を持っていくかよ、それを考えると大型ロケットが必要になるし、大型になると雲を抜ける為のバリア装置も大型化しなきゃいけない、そしてバリア装置は大型化すると加速度的にエネルギー消費量が増えるわ」

 

 ああ……そっか、カバーしなきゃいけない範囲が増えるとバリアの強度も落ちるもんな……。

 だから出来ないのか……ちょっとキツいな。

 

「そもそも荷物が魔法少女一人だから出来る輸送手段ね、忘れ物はないわね?通行証は?端末は持ったわね?」

「大丈夫ですよ、姉さん。ちゃんと紹介状もありますから」

「確認よし!じゃあ乗りなさい。私が外部から操作して送り出すから」

 

 ハレルに変身し、ロケットに乗り込むとドアが閉まる。窓が無いから外の様子見えないのが相変わらずこういう狭い場所は不安だ。

 

 

 

 

 

 

 到着のアラートが鳴る、ロケットの外装が剥離してバラバラに飛び散り。空へと投げ出される。

 空を飛ぶのは嫌いじゃない。

 

 大地を覆う雲に向かって突っ込んでいく、魔力を帯びた雷がこちらに向かってくるのを全て同化して受け止めて一気に突き抜けた先には白い雪と所々の緑が混じった大地があった。

 目的地は旧ドイツ、ベルリンだ。

 

 暗夜教会は一応はユニオンに属しているが、殆ど独立状態を保っており、保有している魔法少女戦力もユニオン統一軍には含まれない。その分かなり柔軟に動く事ができる為、色々な面倒事を解決する便利屋としても使われているらしい。

 

 近づいていくと分かるのはドームの様な建造物もあれば、塔の様な施設が所々に生えていてその周囲のもまだ新しい建物が多い事。

 

「あれはなんだ?」

「大気浄化装置ですよ、ユニオンは人が多いのでドームで全員暮らせるようにするよりこうやって浄化装置の周りに居住区を作ってるんです。逆にドームの中は農場だったり食糧生産設備になっていますよ」

 

 なるほど所々見える緑の理由は汚染度が低く、その分植物が生きていける余地があるということか。

 

 

「さぁ、そろそろ降りますよ。あまり街の上を飛ぶと不審がられますからね」

 

 ハレルの言葉に従い、無人区画向けて降下。所々取り壊しが行われており、おそらくは新たに人が住む為の再開発が行われているのだろう。もっとも今は人の気配はないが……。

 ふと看板を見れば、現在休止中の文字。

 

 

「まあ今は衛星ネットワークがやられた影響もありますでしょうね」

「そうだな、MCMSも迷惑な置き土産をしてくれたものだ」

 

 しばらく歩いていくと段々と人の姿が見えてくる、ユニオンは配給で貧しい人達にも物資を与えてるという事から皆、そこまで暗い表情ではなく建物の中ではテーブルを囲んでトランプをしていたり、チェスをしていたり。あるいは普通に働いている人達の姿があった。

 

 中には怪しい露店を開いていた者が警備員らしき格好をした者達に詰められてたりする一幕もあったりしたが、おおよそ平和と呼べる光景だった。

 

 

「平和だな」

「そうですね、大勢の人が血を流して得た平和です」

 

 この世界の戦乱の時代を俺は見て来た訳じゃない。果たしてどれだけの悲劇と惨劇があったのか、どれだけの痛みと苦しみがあったのか。

 俺にわかるのは今も残る傷跡だけだ、人々の中には手足が無く義肢を付けている者が多かった。視力を失ったのか杖をついて歩く者も。それもある程度歳のいった者達だ。

 

「彼らも戦って来たのか」

「戦傷者に対する保障というものはとても手厚いと言えるものではありませんでした、ハンデを背負った体で生きていくにはとても足りない。そういったものを支えたのが宗教勢力です、暗夜教会もそういった支援を行っていました」

「最後に人を救うのは、人か」

 

 この世界には神の力がある、けれど祈って助けてくれる神は居ない。

 人の力だけが、意志こそが人を救うのだと。

 

 ようやく中央市街地へと入る頃には人通りも増え、建物も近代的になっていき、中には少ないながらも車の通りもあった。そして検問で通行証を見せて暗夜教会までの道を尋ねる。

 

 暗夜教会はドイツ・ベルリンの拠点を構える組織、名前の由来は暗い夜でも人々が安心して眠れる様に、との事で。昔は吸血鬼だとかと対立していたそうだが今は違う、吸血鬼もまた人として扱われる様になった。俺達の前にあったのは大聖堂、とも呼べそうな建物。周囲では掃除や花々の手入れをする人達の姿があった。

 

 

「ようこそ暗夜教会へ、ナユタのお方」

 

 そこで待っていたのは糸目でニコニコと笑顔を向けてくる若い男で、滅茶苦茶失礼だが胡散臭さの塊みたいな人だった、すごいもん声までなんか表裏が激しそうな声してたし。

 

「はじめまして、俺はナユタ・シルス……ナユタの神官です。アマネ大巫覡からの紹介状を貰って、ユニオンで世界を渡る研究をしている組織なんかの情報を求めて来ました」

「どうも、私はネルラ司教……まあ司教といっても名前だけです、本物の宗教と違ってウチは便利屋みたいなものでね……それでお客人の目的はわかりました。確かにユニオンには世界を渡る術はあります、が何の目的かはまだお聞きできていませんね?」

「俺は、別の世界の人間なんです。元の世界に帰りたいのです」

「なるほど……それはとても切実な問題でしょう、して……」

 

 男の糸目が開かれ、役目を背負った者の目が俺を見据える。

 

「もちろんタダでとは言いません、がどの程度の対価を払えばいいのか。相場を知らないのです」

「素直な事は良い事です、しかしそれは付け入る隙にもなるから気を付けた方がいいでしょう。MCMSを墜とした英雄さん」

 

 ……最初からわかってやってたなこの人、それに俺が英雄呼ばわりされるの嫌がってるのもわかってるし……。

 

「あなた方は今、その手の道ではちょっとした有名人ですよ。とはいえまあナユタの者ですからそうそう変なのは寄ってこないとは思いますが。それで対価に関してはアマネ大巫覡が負担してくれるそうですから、ご心配なく」

 そう言って見せて貰った紹介状には確かにアマネ大巫覡が全額持つと書いていた、そこまでしてくれる配慮があったのか、ならいきなり俺達だけでMCMS落としてこいって無茶振りしないで欲しかったよ!

 

「さて……ユニオンは基本的に一枚岩ではありません、様々な勢力がそれぞれの思惑を持ちながらも最低限度「秩序」というものを取り戻す為に政治的な駆け引きを続ける魔境です。とてもではないが君達だけでは心配です。なので聖女クラレスティアとテレスティをつけましょう、彼女がいればそう面倒な事には巻き込まれません。彼女達が君達の望む場所まで案内してくれるでしょう……ただすぐにとは行きません、こちらにも用意があるので」

「どのぐらい待てばいいでしょうか?」

「夜になったらまた来てください、それとこの街のパンは美味しいですよ。ぜひ食べてみてください」

 

 司教ネルラはそういうと建物の奥に姿を消した、俺達は夜までこの街を探索する事にした。

 

 

 

 数時間後、噴水のある広場のベンチで座って、バゲットサンドをかじっていた。滅茶苦茶硬いパンだが間に挟まれた具材の水分のおかげで柔らかくなっていて食べやすくなっていた。

 結構なお値段がしたが、それに見合う満足度はあった。支払いは現金だ、ユニオンやアライアンスを含む勢力は共通硬貨を採用してて素材は人工クリスタル。

 

 偽装の恐れはないのかと聞いたところ材料費の方が高くつくのと、それだけの精度を出せるなら普通に金を稼げるとの事だった。

 

 

「はじめてこの世界で買い物したな」

「そう……ですね、確かに。大体拾ったり貰ったりで買い物での取引は初めてですね、どうでした?」

「うちの買い物はいつもカードだったから超心配だった」

「アライアンスではカード使えますね、傭兵ライセンスカードがそのままクレジットカードになるんですよ」

「絶対に借金で破産する奴居るだろ……」

「大丈夫ですよ、破産するより先にそんな奴は生き残れませんから」

 

 コワ~……そういえばメリエラは傭兵ライセンスは拾ったって言ってたけれどああいうのどうなるんだろうな……借金持ちだったらひどい事になりそうだ。

 

 

 ふとベンチの横を見てみれば、黒い猫が座っていた。

 

「猫、居るんだなこんな所にも」

「そうですね、猫は人の住んでる場所ならわりといますよ。犬もですね」

「野生動物ってやっぱり……」

「そうでもありませんよ、実は居るところには居ますよ。ただちょっと魔力の影響でパワーアップしてたりしてヤバい事になってたりしますけど」

 

 それは……安心していいのか?でも汚染された環境にも適応できる、ってのは命の強さを感じるな。

 

「この間。鬼の里に行ったときに居たイノシシや熊はまだマシなんですが北海道に行ったらそれこそ魔獣と呼ばれる様な狂暴な熊とかいますからね」

「試され過ぎだろ北海道」

 

 ハレルと話してる間も猫はまるで気にせずという顔でベンチで横になっている。よく見ればちゃんと首輪がついているから飼い猫なのだろう。ちょっと太り気味でふてぶてしい顔をしてやがる。

 

「あ!確保!ノワール居ましたよ!隊長!」

「よくやったテレスティ。ノワール、貴様また職務を放棄してこんな所でサボっていたな?」

 

 そんな時、黒い羽根を思わせる衣装に身を包んだ二人の魔法少女が音も無く現れ黒猫を捕まえた。突然現れた気配に俺は思わずびっくりした。マジで今の今まで、この距離に至るまでその存在を検知する事ができなかった。

 

「驚かせてすまない、こいつはウチの隊員だ。おいノワール、変身を解け」

 

 黒猫が光った、かと思えば同じく黒い髪をした少女が現れる……が猫の耳と尻尾が生えている。

 

「べ……別にサボってたわけニャないんだニャ。怪しい奴が教会に来たから見張ってただけニャ」

「珍しい、ケットシーですか?」

 ケットシー……猫の妖精かなんかだっけ。

 

「そうニャ。おぬしらは何ものにゃ!一つの体の三つの心!ただものではないんな!」

 ノワールと呼ばれた猫少女、驚いたな俺とハレルだけじゃなくて愛理の存在まで見抜くとは……。

 

「俺はナユタ・シルス、まあ名の通りナユタの神官だよ。で中に居るのが同じくナユタのハレル、故あって一体化してる。で最後に愛理、怪異なんだけれど心を持ってて、俺の大事な友であり仲間だ」

「呼ばれて飛び出て愛理だよ?かわいい猫ちゃん」

 

 愛理が突然出現した事でヌアーッ!と悲鳴をあげてノワールが飛び上がる、さすがにびっくりしたか二人組の背の高い「隊長」と呼ばれた方の肩に飛び移って威嚇している。

 

「ナユタのか、教会に行ったという事は既に用件は伝えたということか?」

「まあそんな感じです、夜になったらまた来いとの事で……お二人も教会の関係者なのですか?」

「ああ……ナユタになら言っても大丈夫か、我々は暗夜教会所属の魔法少女部隊「シュバルツフリューゲル」そして私のその隊長、クラレスティアだ」

「同じく、副隊長テレスティであります!この度は態々日本から何のご用件で?また厄介事ですか?」

 

 妙な偶然というものはあるものだ、さっきネルラ司教が言ってた二人の名前だ。

 

「ええ、今回は特にナユタからの依頼という訳ではないんです。このシルスが別世界から来た人間でしてね。帰る為の手掛かりを探しにユニオンまで来たというわけです」

「君がハレルか、なるほど普段は端末越しか。確かにユニオンには世界を渡る術がある……元の世界には帰還できるかもしれんな。しかしだ……世界を渡るのにどれだけのコストが掛かると思う?」

 

 ……確かに、世界を越えるのは容易にいかないとは想像していた。

 

「一体どれだけのコストが掛かるのですか?」

「はっきり言おう、純粋に機材を動かす為に必要とする電力だけで1年は都市一つ賄えるぐらいだ。加えてだ……君は知らないだろうが世界同士の狭間には追放された怪物などが漂っている事がある、それが稀にこの世界に現れるが……世界の扉を開いていればそのリスクも飛躍的に上昇するだろう」

「……俺一人が帰るのにそれだけのリスクとコストが?」

「その通りだ、過去に漂流者を元の世界へ返す実験を何度か行った。確かにそれで得た物もあるが……正直微々たるものだ。加えて今ユニオンはそう、別世界へ渡る事を禁止している。過激な貴族派が他の世界を侵略して資源地にしてしまえと言い出してな、勝手に渡らない様にする処置だ」

 

 

 別世界への侵略、その言葉がひどく重く圧し掛かった。

 わかる、わかってしまう。古代から人は新天地を求める、そしてその先の環境や文化をどれ程破壊してきたかも。加えてこの世界は今窮地に陥っている、安全な汚染されていない世界を求めて戦争を吹っ掛ける様な組織もいるかもしれない。

 

「……とは脅かしたが、まあ何も不可能という訳ではない。結局の所、現在の事情は我々も実際に行って確かめてみなければわからんしな、誰かさんがネットワーク衛星を叩き落してくれたおかげで情報が滞ってるんだ」

「脅かしすぎですクラレスティア隊長、ナユタの神官くん。そんなに心配しなくても君の活躍は聞き及んでいるから、ユニオン側としても恩を売れるとなれば貸してくれる可能性はあります」

 

 気休め、かもしれないがその言葉でここに来た事が無駄にならずに済むと思えると少し楽になった。

 だが……そういうリスクやコストまでは考えていなかった、どうにかなるだろうと甘えた考えをしていたのは自分だ、少し気を引き締めた方がいいな。

 

「にしてもおぬしは雷の匂いがするにゃ、術使いかニャ?」

「?いや……俺はそんなに術という術は使わないが……。そうナユタの神官の力で色々やるけれど電気は特に触らないし」

「そしたら本当に妙だニャ、普段使いしてないとそんなにエレメントは染みつかないニャ」

 

 雷、想像するのはカルヴァンク。奴を貫いたのは確か……右手だ。

 

「おお……何か変なモノさわったニャ?」

「MCMSでの戦いの時、そうですね。パワーアップしてエネルギー体になった状態のカルヴァンクを倒したのがシルスです、右手でカウンター気味に貫いて」

「多分それじゃニャいか。雷の力が滅茶苦茶染みついているからやろうと思えば放電とかでるんじゃないかニャ?」

 

 なるほど、力の残りが俺の中にあるのか……そういえば同化したあの爆発のエネルギーも取ったままだ。視界を閉じて亜空間を除けば光の球が浮かんでいる。

 

 とりあえず言われた通りに右手に意識を通して、自分自身を同化する感じで力を通してみる。すると何かが繋がった様に体に文字通りの電流が走った。

 

「あー……なるほどですね、しばらく戦いの後に痺れが残っていたのはそれが原因でしたか」

「なんだノワール……お前そんな技能あるなら普段から使えよ……」

「え、めんどくさいニャ。そもそも吾輩がおぬしらに協力してるのは酒の為にゃ、仕事をして欲しければもっと報酬をふやすニャ」

「これだから妖精は……ただでさえ酒は高いんだぞ……それでなんだ?よかったな新しい力を手に入れられて。しかし電気か、うまく使えればそれこそバッテリー充電なんかが出来る様になるかもな」

 

 そうか、さっき言ってた世界を渡る為に必要な電力の足し……になるか?いやちゃんと電圧とか考えないと逆に装置を壊しそうで危ないな。それにどの程度制御できるかも確かめないといけない。

 

「まあこんな所で立ち話もなんですし教会へ行きましょうよ。お客人、続きはそこで」

 

 テレスティさんが気を利かせてくれたおかげでさっきぶりに教会へ移動する事となった、途中ノワールがまた猫に戻って脱走しようしたがクラレスティアさんからは逃れられずそのまま捕まって連行された。

 

「おや……随分お早い帰還で聖女クラレスティア、ノワールはちゃんと捕まえましたか?」

「もちろんだとも司教ネルラ、そこの二人を追いかけて仕分け作業をサボったらしい」

「それはそれは……ノワール、いいですか。あなたにはちゃんと報酬を払っているのです……しっかり働いて貰わないと困るのですよ。うちは万年人手不足、それこそ猫の手だって借りたいぐらいなのですから」

「そうはいうけどニャ、鑑定してエレメント判別するのはもう飽きたニャ~もっと派手な事がしたいニャ」

 

 どうやら何かのアイテムのエレメント?とやらを見分ける仕事をしているらしいノワール、エレメントは多分属性、みたいなものだろうか?さっき俺の事を雷の匂いがするって言ってたし。

 

「ああ、うちも君達ナユタの様に色々なモノを集めててね。特に異世界の漂流物だったり、古代の遺物だったり……それを品々の属性を偏らせて保管すると何かのきっかけで連鎖起動しちゃったりするからそうならない様にこのノワールを雇っているんだよ」

「あーうちの墓所もそんな感じですね、それぞれが干渉しないように石の棺に詰めて保管してますよ」

「それが出来れば楽なんだけれど、保管しておけるいい感じの土地もそれだけの設備も無くてね……まあ大体終わったらうちの地下か他の分所に置いてあるんだ」

 

 ナユタにはナユタの苦労、暗夜教会には暗夜教会の苦労があるという訳か……。

 だが部外者の俺達にそこまで話していいのだろうか……それとさっきふと聞こえた聖女の言葉。

 

 クラレスティア、魔法少女部隊の隊長である彼女が聖女……はたして一体どんな存在なのか。

 気になる事がまた増えた。




クラレスティア/ヘブンスハート・ナハト

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テレスティ/ザーヴェラーモデル・オイレ

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ザーヴェーラモデル

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