ライジングボルテッカーズにポケモンオタクとバトルジャンキーを加えてみた   作:ギザ

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主人公たちをどこかで見たことあるって?

知らんなぁ……。


第一話 実際誘拐犯扱いされても仕方がないと思う

 深い紫色に染まった夜、カントー地方上空にて、巨大な飛行船が滞空していた。

 

 飛行船の名は《ブレイブアサギ号》。冒険家チーム《ライジングボルテッカーズ》が拠点としているアジトであり、地方から地方へと飛んでいくための移動手段だ。

 

「フリード博士、連絡がつかないなぁ……何かあったのかな……」

「たかが、女一人、捕まえんのに、なに手間取って、やがんだ……!」

 

 飛行船内の展望室。そこには2人の少年と、複数のポケモンがいた。

 

 片や屋内にも拘らず帽子を被り、ソファーに座ってスマホロトムを弄る、藍色で毛先のみ浅葱色のメッシュが入った赤い瞳の少年。

 

 片や、窓枠を掴んで懸垂をしている、薄い金髪に青目の三白眼の少年だ。

 

 2人はライジングボルテッカーズのメンバーであり、それぞれダイチとシンゴという。2人は、ライジングボルテッカーズのリーダーであり、ポケモン博士のフリードが、訳あってある少女を連れて帰還するのを待っているところだった。

 

「ジメメ?」

「マァァグ……」

 

 そして、ダイチの隣に座ってスマホロトムを覗き込んでいるのはダイチの相棒、みずとかげポケモンのジメレオン。

 

 退屈そうにあくびをしているのは、シンゴの相棒、かざんポケモンのマグマラシだ。

 

 その他にも、パモ、ホゲータ、ユキワラシ、2体のドラメシヤが楽しそうにおいかけっこしていたり、その様子をヨルノゾクが優しく見守っていたりと、ブレイブアサギ号に乗り込んだポケモンたちが思い思いに過ごしている。

 

「おいダイチ! 連絡まだつかねーのかよ!」

「待ってよシンちゃん、さっきからずっとかけてるでしょ。あと捕まえに行ったんじゃなくて保護しに行ったんだからね?」

「似たようなもんだろ」

「全然違うけど!?」

 

 シンゴは懸垂をやめて床に降り、ツボツボが作ったきのみジュースを一気飲みしてからダイチに向かって吠える。ダイチはシンゴの認識の酷さにツッコミつつ答えた。

 

 一から状況を説明すると、ライジングボルテッカーズの面々は次の冒険はどこに向かおうかと情報を集めていた時、フリードのスマホロトムに電話が入ったのだ。相手はフリードの学生時代の恩師、ルッカ。

 

 曰く、カントー地方のセキエイ学園に留学した娘に危機が迫っているので、保護してきて欲しいとのこと。

 

 具体的にどういう危機なのかも聞かずにフリードは「わかりました! 任せてください!」と二つ返事で了承してしまい、他メンバーは半ば呆れつつもいつものことかと納得し、カントー地方のセキエイ学園へと進路をとったのであった。

 

「それにしても危機って、穏やかじゃないよね……」

「つえーやつとバトル出来るんならなんでもいい」

「マァグ!」

「平常運転すぎる……!」

 

 肩を回しつつ、獰猛ともいえる笑みを浮かべるシンゴと、瞳をメラメラと燃やしてやる気満々のマグマラシのそっくり具合にダイチは溜め息をつきつつ、スマホロトムに目線を戻した瞬間だった。

 

『ロトロトロト!』

 

「おわっ!?」

「ジメ!」

「はっ! やっときたかぁ!?」

 

 けたたましく着信音を鳴らし始めたスマホロトムにダイチは驚いて取り落としそうになり、ジメレオンが舌を伸ばしてキャッチした。シンゴもマグマラシと共に、期待に満ちた目でダイチを見る。

 

 ダイチはジメレオンからスマホロトムを受け取り、電話の相手に応答した。

 

「ありがとうジメレオン。はいもしもし。フリード博士?」

『戻ったぞ。ウイングデッキ展開』

「おっせえんだよフリードぉ! 待ちくたびれたわ!」

『すまんすまん。ちょっと妙な奴らに絡まれてな』

「敵かぁ!?」

「なんで嬉しそうなのさシンちゃん……ほら、デッキの準備も整ったし行ってみようよシンちゃん」

 

 窓ガラスから外を見ると、ブレイブアサギ号の翼部分が折り畳まれて連結され、バトルフィールドのように変形し終えた。直後にバリアが張られ、準備が整ったようだ。

 

「ホゲ! ホゲ~!」

「うん、ホゲータも行こう!」

 

 スマホロトムの通信を切り、外へと通じる扉を開けようとジャンプしていたホゲータの代わりに扉を開け、ダイチとシンゴ、ジメレオンとマグマラシ、さらにポケモンたちも一緒に展望室から外に出た。

 

 やや肌寒い夜風を受けながらデッキに向かうと、同じライジングボルテッカーズのメンバーであり、褐色肌の大柄な男性でキッチン担当のマードックに、ピンク色の髪が特徴の女性で医務室担当のモリーが既に、フリードと彼を背に乗せて飛んできたリザードン、それに護衛対象の少女……リコと、彼女のポケモンであろうニャオハを出迎えているところだった。そのニャオハは、マードックの相棒であるイワンコとじゃれ合って遊んでいる。

 

 しかしポケモンたちはともかく、マードックとモリーが何やらフリードを問い詰めているように見えた。

 

「ホンゲ~! ホンゲホンゲ!」

「フリード博士、おかえりなさい……あの、何かあったんですか?」

「ああダイチ、フリードがまたな……」

「どうもリコになにも説明せずに連れてきたみたいでな……」

「ええ……?」

 

 リザードンの方へと嬉しそうに駆けていったホゲータとパモを見送り、モリーとマードックの言葉を聞いたダイチはフリードのいる方を向いた。フリードは罰の悪そうに苦笑している。

 

 何があったかまではわからないが、ダイチは「それって誘拐なのでは?」と思ったが、決して口には出さなかった。

 

「そりゃ誘拐じゃねえか」

「シンちゃん、言っちゃ駄目だよそれ……!」

「ぐっ! い、いやこれには事情がだな……」

 

 ゆっくりしたペースでマグマラシと一緒に歩いて合流してきたシンゴの身も蓋もないド直球な物言いに、思わず口を出してしまったダイチ。フリードは慌ててそれを弁解しようとするが、モリーとマードックから睨まれて身動きが取れなくなる。

 

 しかしそんな様子を他所に、ホゲータとパモはリザードンに嬉しそうにじゃれていた。リコもしゃがんで微笑ましそうにそれを眺めている。

 

「あの、どうしてパルデア地方の子がここに?」

「ああ。そいつらか? 旅してる間に住みついちまったんだ。パルデアのだけじゃないぞ、ほら」

 

 とマードックが指を差した先では、ヨルノゾク、ツボツボ、ユキワラシ、2体のドラメシヤがリコを歓迎するようにはしゃいでいた。

 

 ともかく、ダイチはひとまず優先しなければならないことを片付けることにした。

 

「えーと、リコさんで良いよね?」

「あ、は、はい」

「いろいろ聞きたいことはあると思うけど、まずは自己紹介させてもらうね。僕はダイチ。ライジングボルテッカーズのメンバーなんだ。で、こっちは相棒のジメレオン」

「ジメ」

「ほっといて悪かったね。私はモリーだ」

 

 ジメレオンがピッと手を上げて挨拶をし、モリーへと繋げた。そして一歩引いた位置にいたシンゴをたくましい腕で肩を組んで引きずり込んだマードックが続ける。

 

「俺はマードック。そんでこっちの無愛想なのがシンゴと相棒のマグマラシだ」

「やめろ暑苦しい! それに誰が無愛想だぶっ飛ばすぞおっさんコラァ!」

「マァグ!」

「そしてあいつが俺の相棒のイワンコだ」

「無視すんなや!」

 

 吠えるシンゴは置いといて、マードックが視線を向けた先にはじゃれているニャオハとイワンコの姿がある。

 

 イワンコの尻尾をふみふみしていたニャオハの前足から甘い香りが放たれ、その匂いを嗅いだイワンコは顔を緩ませて仰向けに転がった。

 

 その様子を見たホゲータとパモもニャオハ達の元に集まり、イワンコと同じように笑顔になって皆で寝転んでしまった。

 

「ニャオハ、もう仲良くなってる……!」

「おお! ニャオハが前足でふみふみするとアロマセラピー効果のあるいい香りが放たれるって聞いたことがあるけど、こういう感じなんだ!」

「おいコラポケモンオタク! 脱線してんぞ!」

「あっ……こほん、ごめん話が逸れました。リコさんは何か聞きたいことはある?」

 

 ダイチは初めて生で見たニャオハの生態に思わずスマホロトムの録画機能で撮影してしまったが、マードックの肩組みから脱出したシンゴの指摘に咳払いして中断した。

 

 リコもリコで微笑ましい光景に、思わず口元を両手で抑えていたが、ハッと我に返り状況を詳しく聞いて確認しようとする。

 

 が、結局それも叶うことはなかった。フリードのスマホロトムからアラームが鳴り始めたからだ。

 

「ちょっとごめん……1、2、3。まさか、さっきの奴らか?」

「敵かぁ!」

「だからなんで嬉しそうなのシンちゃん……」

「下手な真似はするなよシンゴ。操舵室に行く。船を出すぞ! ヨルノズク、周囲の警戒を頼む! まだ奴らは諦めちゃいない!」

 

 バトルの気配を感じ取ったのか、無愛想から一転、狂暴な笑みを浮かべたシンゴをなだめつつ、フリードはヨルノゾクに指示を出す。フリードの指示を聞き、ヨルノズクはブレイブアサギ号の展望室の屋根まで飛んで警戒を始めた。

 

「フリード、奴らってなんだ?学校で何があった?」

「詳しい話は後だ。マードックは下を見てくれ! モリー、ダイチ、シンゴはポケモン達とリコを頼む!」

「わかった」

「はい!」

「けっ。しゃーねーな……」

 

 フリードの指示にマードックとダイチは頷き、シンゴは面白くなさそうに渋々頷いた。

 

 一方、機関室で炉に石炭をくべているであろうライジングボルテッカーズのメンバーの一人、オリオとスマホロトムで通話をしていたモリーが、フリードに声をかける。

 

「進路に嵐が発生してるって、オリオがテンパってるけど?」

「なんとかする。行くぞリザードン」

 

 フリードはリザードンを連れて操舵室へと向かい、ホゲータもリザードンを追いかけていってしまった。

 

 マードックもイワンコをボールに戻してデッキから移動し、リコもニャオハを抱き抱え、パモを肩に乗せたダイチとツボツボを抱えたモリーに促されてデッキから展望室へ入っていく。ジメレオンは見えない何かを警戒するかのようにキョロキョロと辺りを見回しながら最後尾に続いた。

 

 なおシンゴはリコを気にすることなく、マグマラシとドラメシヤ2体を連れ、ユキワラシを脇に抱えてズカズカ先に歩いていった。

 

 犬歯を剥き出しにした獰猛な笑みを浮かべたまま。

 

□□□

 

 デッキから展望室に入り、エレベーターの前まで足を進めると、その途端にガタンッと言う音が響き、展望室の明かりが消えた。

 

「停電!?」

「はぁ、こんな時に限って……」

「あ、あの、すみません。何が何やら……私、さっきまで学校にいて、知らない人達に……」

「あーっと、落ち着いてリコさん。こっちも説明しなきゃなのは山々なんだけど……」

「んな暇なさそうだぜ」

「フォロロロロ! フォロロロロ!」

 

 リコは意を決して比較的に話を聞いてくれそうなダイチに事情を伺おうとしたが、窓の方を向いたシンゴの言うとおり、展望室の屋上で見張りをしていたヨルノズクが大声で鳴き始めた。

 

「ついにおでましか!」

 

 その声を聞き、モリーが展望窓側の望遠鏡を覗き込んでブレイブアサギ号の後方を確認すると、アーマーガアとエアームドに乗って飛行する3人組を発見した。

 

「すごい怪しかったんです。ペンダントがどうとか聞いてきて……」

「アイツら、エクスプローラーズじゃん!」

『待て、エクスプローラーズだと!?』

 

 スマホロトム経由でモリーの言葉を聞いたマードックの驚愕の声が返ってくる。ダイチは息を飲み、シンゴはますます獰猛な笑みを浮かべた。

 

「あ、あの、エクスプローラーズって?」

「ポケモン使って悪どいことしてるって噂の組織だとよ。はっ! 面白くなってきやがったなぁ……!」

「いやいやいや、逃げるの優先だからねシンちゃん!」

 

 リコの質問に答えて戦意を昂らせているシンゴにツッコみ、ダイチは壁のハッチを開けて配線を確認して停電の原因を調べようと試みる。しかし、少なくともダイチが直せるレベルの損傷ではないようだ。

 

「どう?」

「……駄目ですね、電源から吹っ飛んでるかも。オリオさんは機関室で手一杯だろうし……!」

「だそうだよフリード、どうする?」

 

 追ってきているエクスプローラーズから身を隠すようにしゃがんだモリーがスマホロトムで状況を操舵室のフリードに伝えた。その間にもエクスプローラーズを乗せたアーマーガアとエアームドはどんどんと距離を詰めてきている。

 

 フリードの判断は早かった。

 

『──よし、雷雲に向かって進路を取るぞ』

『ピーカァ!』

『はぁ!? 何言ってんだ!?』

「ちょ、あれ雷雲どころか積乱雲ですよ!?」

 

 積乱雲。強い上昇気流によって鉛直方向に著しく発達した雲で、雲の高さは10キロメートルを超え、時には成層圏まで達することもあるという。

 

 地上には大雨や雷を降りそがせ、その中身もそれどころではない荒れ具合になっているであろうことは想像に難くない。

 

 だが、フリードは判断を変える気はなさそうだった。

 

『そうでもしなきゃ、アイツら帰ってくれないだろ。まったく……今日にピッタリないい天気だぜ……!』

「また無茶を……ま、それしかないか。オリオ、あんた次第だが」

『好き勝手言ってくれるね……了解!やったろーじゃん! リザードン!』

 

 やがて、ヨルノズクを展望室に入れて待っていると、機関室で火力を上げたらしくブレイブアサギ号がグン、と速度を上げた。それを確認したフリードは、感謝を全員に伝えた。

 

『皆サンキュー! 面かぁーじ!』

 

 舵を切ったのであろうフリードの気合いの入った掛け声と共に、船は雷雲へと進路を変えて突っ込んでいく。

 

 展望窓から後方を確認すると、エクスプローラーズが大きく引き離されるのが見え、モリーは小さくガッツポーズした。

 

「(この人達、豪快です……)」

「おい」

「……え、あ、はい! 私!?」

「他に誰がいんだよモブ女。連中の使ってたポケモンとか教えろ」

「(も、モブ女?)」

「あーごめんねリコさん。シンちゃんはこれがデフォだからあんまり気にしないで。シンちゃん、とりあえずよく知らない人をモブっていうのやめなよ……」

「るせぇ! んなことどうでもいいんだよ! 敵の情報知る方が最優先だろうが!」

 

 シンゴの相変わらずな態度と暴言に縮こまるリコを見て、ダイチは代わりに謝ってシンゴを嗜めるも、聞く耳もたずだ。しかも割と筋が通っているのがたちが悪い。

 

「(この人はちょっと怖い……)ええと、リーダーっぽい人がソウブレイズを使ってました。あと大柄な男の人がサイドンを。女の人はわかりません」

「……チッ、どっちもマグマラシと相性が悪いじゃねえか……どいつで行くか……」

「マグ!? マグラァ!」

 

 それだけ聞いたシンゴは舌打ちし、ソファーに座って腰のベルトに下げられた3つのモンスターボールと、クモの巣のように貼りめぐされたネオン模様に4本の黄色い突起物が付いた、どこか幾何学的なデザインをしているボールを並べて考え始めた。マグマラシは心外だとばかりに抗議の声を上げている。

 

「あ? しょうがねえだろうが。雷雲の中で雨降ってたらてめえはますます不利なんだからな。大人しくしてろや」

「マァグ……」

「いや、そもそもなんでバトルする前提なのさシンちゃん。このまま逃げきろうよ」

「ハッ、たかがペンダントのためにわざわざ空飛んで追っかけてくる連中だぞ。この程度で諦めるとは思えねえなぁ! おら見ろ!」

「ジメ! ジメ!」

 

 こういう時のシンゴの感はよく当たる。その事を一番よく知っているダイチは嫌な予感を覚えた。おまけに後方を警戒して窓ガラスに張り付いていたジメレオンがダイチを呼んでいる。ダイチとリコは、窓から船の後方を確認した。

 

 外ではいつの間に追い付いてきたのか、ウィングデッキのバリアを破ろうと技を放つ2体のエアームドとアーマーガア、そしてその背中に乗るエクスプローラーズがいる事に気付き、ダイチは驚いてスマホロトムでフリードに伝えた。

 

「うわ、ホントに追い付いてきてる!? フリード博士、ウィングデッキにエクスプローラーズが接近してます!」

『なんだと!? モリー、ウィングデッキ畳めるか?』

「さっきダイチが言ってただろ。電源が死んでる……仕方ない、リコはここにいて。ダイチとシンゴはこっち手伝って」

「待てや」

 

 配線を改めて確認したモリーはそう言って、ガラス扉から外に出ようとする。それに待ったをかけたのはシンゴだった。

 

「何する気だ?」

「手動で畳む。急がないとアイツらが……!」

「今から3人で畳んでも間に合わねえよ」

 

 ウィングデッキはバトルフィールドも兼ねており、ポケモンバトルをするのに申し分ない広さがある。つまり、それだけ重い。

 

 手動で畳むハンドルもあるにはあるが、嵐の中、人間の力で回して畳めるとは思えない。

 

「じゃあどうするのさ!」

「決まってんだろうがよぉ……! 迎撃して全員ぶちのめす!」

「絶対言うと思った!!」

 

 ダイチはバトルジャンキーである幼馴染みの選択があまりにも予想通りすぎて、思わず叫んで頭を抱えてしまった。しかしそんなダイチの状態なんて知ったことじゃないシンゴはモリーを押し退けて扉を開けた。

 

「ちょっとシンゴ! 相手はただのトレーナーじゃない、エクスプローラーズなんだよ!?」

「エクスプローラーズだろうがエクソプローラーズだろうが関係ねえわ。どんな野郎だろうが叩きのめす! 戻れマグマラシ!」

 

 その時、とうとうバリアが一部破壊され、エクスプローラーズがウィングデッキに降り立ったのが見えた。シンゴはマグマラシをモンスターボールに戻し、外に出て階段を下りていく。2体のドラメシヤも顔を見合わせてからそれに着いていった。

 

「ああもう、仕方ないなぁ……モリーさんはここお願いします」

「全く……わかったよ。シンゴのやつのこと、頼んだ」

 

 お互い半ば呆れた様子のモリーに告げて、ダイチも外に向かおうとする。まだ状況を飲み込めていないリコはどうしようかと視線を右往左往させていた。

 

「(わ、私はどうすれば……!?)」

「リコさんもここでポケモンたちを見ててくれる?」

「え、で、でも……」

「大丈夫」

 

 この船に来るまでリコがどんな目にあったのかはダイチにはわからない。

 

 しかし、困惑と、わずかな恐怖に満ちた目を見れば、連中に危害を加えられそうになっていたのは間違いない。リコは、ただ普通に学生生活を送っていただけだろうに。エクスプローラーズは悪意に満ちた手を向けたのだ。

 

「(許せないな……)」

 

 握った拳に力が入る。

 

 正義を気取るつもりはないが、今よりも子供のころ、テレビで見たヒーローアニメのワンシーンと、ヒーローの台詞を思い出した。

 

 怖がっている子を安心させるコツは、常に笑顔を絶やさないこと。

 

「フリードさんは説明不足なところあるから、突然ここに連れてこられて、いろいろわけわかんないと思う。けどリコさんを助けにきたのは事実なんだ。それだけ信じてほしい」

「は……はい!」

「うん、ありがとうリコさん。まあ僕らはこれでも色んなところを冒険して荒事も多少慣れてるんだ。だから大丈夫! すぐに片付けてくるから! 行くよジメレオン!」

「レオっ!」

 

 笑顔で言い切り、ダイチとジメレオンもまた外に出た。リコはそれを見送り、ハッとなった。

 

「(ち、ちょっと待って……この展開……! ペンダントを巡って振り回されてるなんて、私……私……物語のヒロインですか~~!?)」

「リコ? ちょっとリコ。大丈夫?」

 

 ──この少女、意外と大物なのかもしれない。

 




ダイチとシンゴはリコより一世代上くらいの年齢です。

ダイチの手持ち
ジメレオン
?????
?????

シンゴの手持ち
マグマラシ
?????
?????
?????


次回 第二話 テメエらまとめて経験値になりやがれ!
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