ライジングボルテッカーズにポケモンオタクとバトルジャンキーを加えてみた 作:ギザ
「はぁ……なんとか移動できたわね……」
「イワンコ、昼飯遅くなってすまんなぁ」
「無駄に疲れた……つーかランドウの爺さんはともかく、あのヒッキー女も駆り出せやぁ……!」
「ドットさんはこういう肉体労働系は向いてないんじゃないかなぁ……はい、ミックスオレ」
蒼く澄み渡っていた空に暗い雲がかかり、その下を頭にキャップを乗せたリザードンが周囲を警戒して飛行する中、ブレイブアサギ号を砂浜へと移動させ終えたライジングボルテッカーズの面々は甲板でポケモンたちに昼食を与えて休んでいた。
再びメタグロスの頭上にぐったりと腹ばいに乗っかっているオリオと、ポケモンたちにフードを配り終えて胡坐をかいて座るマードック。階段に座って膝に乗せたパモを撫でているモリー。そしてメタグロスの足にもたれかかって座るシンゴとその近くで丸まっているマグマラシに、ダイチとジメレオンがミックスオレが入ったボトルを手渡して、ダイチもシンゴの隣に座った。
「ど、ドットはダメだ! 怪我したら危ないだろ!?」
「俺らは怪我していいってかおっさんコラァ! いい加減その過保護どうにかしろや!」
「疲れてるのに怒鳴るのはやめてシンゴ。それより……少し傾いてない?」
モリーがパモを膝から下ろして立ち上がり、船から海を見下ろす。ガス袋からガスが抜けて船が徐々に降下して傾き始めたのだ。マードックとシンゴも海面を覗き込んだ。
「これじゃ着水するのも時間の問題だな……」
「いっそ下ろした方が良いんじゃねえの?」
「そうだな。その方が安定するか……」
「──ピカピァカ!」
フリードたちが戻るまでにどうするかと一同が考えていると、リザードンの頭に乗ったキャップが声を上げて遠方に指を向ける。
何事かと全員がその方向を見れば、3体の鳥ポケモンに乗り込んだエクスプローラーズが船に向かって迫ってきていたのだ。
「あれは……エクスプローラーズ!」
「見つかった!? こんな島まで追ってくるなんて……! リザードン、フリード博士のところへ飛んで!」
「ハッ、なんでここがわかったか知らねえが面白え。あの半分頭、今日こそ叩きのめしたらぁ!」
「あ、おいシンゴ! 俺達もとりあえず船を降りるぞ!」
ダイチの指示を受けたリザードンがキャップを頭に乗せたまま飛んでいき、バトルになるのを予感したシンゴとマグマラシが嬉々とした表情で砂浜へと真っ先に降りていく。マードックとイワンコ、オリオとメタグロス、ダイチとジメレオンも追いかけて砂浜へと降りた。
エクスプローラーズ側で上空から降りてきたのはジルとコニアだ。2人は砂浜に降りるとエアームドをボールに戻し、それぞれサイドンとゴルダックを繰り出してくる。
「この船は我々が占拠する!」
「馬鹿なこと言わないで!」
「オリオさんとマードックさんは船を守ってください。やろうシンちゃん!」
ダイチはそう言ってジメレオンと一緒に前に出る。ライジングボルテッカーズのメンバーの中でバトルの経験が多いのはフリードとシンゴとダイチくらいなもので、正直マードックたちでは荷が重いだろうと判断したからだった。
ゆえにシンゴにも声をかけたのだが、シンゴからの返事はない。
「シンちゃん?」
「……チッ。半分頭は高みの見物かよ、つまんねーなァ」
「うわすごいやる気なさそう!? シンちゃん今そんなこと言ってる場合じゃないから!」
「わかっとるわ。あいつはフリードが戦るみてーだしな」
シンゴは上空でアーマーガアに乗ったままこちらを見下ろしているアメジオに舌打ちして睨み付けていた。あくまでもシンゴの本命はアメジオだというのはわかるが、ダイチの説得で渋々といった様子で前に出る。
ちょうどその時、リザードンに乗り込んだフリードがアメジオと接敵し、ジルとコニアより向こう側に降り立って対峙していた。ダイチたちは知らないが、フリードとリコがロイの案内で出向いた村に慌てた様子のホゲータが駆け込んできて、その尋常ではない様子に危機感を覚えたフリードが船に急いで戻る途中でリザードンと合流したがゆえに早く戻ってきたのだった。
「シンゴとか言ったな! なんだその明らかにガッカリした態度は!? アメジオ様の手を煩わせるまでもない。俺とバトルしろ!」
「一回負かした雑魚トサカなんざどうでもいいんだよ。俺が用あんのはテメエらのリーダー様だけだわ」
「なんだと……!? 舐めやがって、絶対に許さん! いけ、サイドン!」
「サイィィッ!!」
「ちょっとジル! あんな安い挑発に乗ってどうするのよ! ゴルダック!」
「ゴルダッ」
あからさまにやる気のなさそうに耳に小指を突っ込んでほじっているシンゴの様子に腹を立てたジルの指示でサイドンがズンッ! と前に出た。サイドンも主人同様、シンゴの態度が気に食わなかったらしく憎々しげに睨み付けてくる。そんなサイドンのサポートするため、コニアのゴルダックも前に出てサイドンの隣に並んだ。
「シンちゃん、なんでそう相手を挑発するのさ……」
「ケッ。あっちのババアはお前が片付けとけダイチ……経験を積ませんのに丁度良いか。戻れマグマラシ」
一度倒した相手とはいえ、マグマラシでサイドンの相手はタイプ相性的に不利と判断し、マグマラシを下がらせた。代わりに腰のホルスターからネオンカラーのボール、ウルトラボールを手に持って投げつけた。
「行けやへベノム!」
「──ヴェヴェー!」
投げたボールから出てきたのはベベノム。浮遊したまま体をグーッと伸ばしてからサイドンを睨み付けた。
ベベノムを見たジルは呆気にとられ、見くびられていると悟ってまた表情を怒りで歪めた。
「そんな小さなポケモンでサイドンの相手をするつもりか……! どこまでも舐めやがって! サイドン!『ロックブラスト』だ!」
「『ミサイルばり』!」
ジルの指示でサイドンは『ロックブラスト』をベベノムに向かって発射。ベベノムはケタケタ笑いながら飛んでくる岩の弾丸を空中を泳ぐようにすいすいかわし、お返しとばかりに頭の毒針から『ミサイルばり』を放つ。数は4発だ。
しかしサイドンは技名の通りミサイルのように自分めがけて飛んできた『ミサイルばり』を、腕を振るっただけで4発まとめて弾き飛ばした。
「なんだそのヘナチョコは! 食らえ!『ロックブラスト』!」
「チッ。やっぱサイドン相手じゃ威力が雑魚過ぎるか。まあいい、やりようはいくらでもあるわ!『ようかいえき』!」
サイドンは『ロックブラスト』を放ち続けるもベベノムはかわし続け、サイドンに近づいて毒針から『ようかいえき』をぶっかけた。サイドンはそれも腕で防ぎ、腕を伸ばしてベベノムを捕らえようとする。しかしやはりというか、ふよふよ浮いたままのベベノムはクルクル回りながら伸びてきた手から逃れ続けた。
「ええいちょこまかと鬱陶しい! サイドン、『ロックブラスト』!」
「それしか出来ねえのかテメエはぁ!」
「ヴェヴェ~♪」
ジルはムキになっているのか懲りずに『ロックブラスト』の指示を出してベベノムを捕捉しようとし、ベベノムもひたすら逃げ続けるのは飽きてきたのか挑発するように煽りながらかわし続ける。
しかし、問題はそのかわされた『ロックブラスト』の流れ弾の行き先だった。騒ぎを聞き付けて住みかから様子を見に砂浜に出てきたクラブたちの近くに着弾し始めたのだ。クラブたちは慌てて右往左往しており、それを見たダイチとマードックたちは焦る。
「しまった、クラブたちが!」
「助けないと!」
「ちょ、ちょっと! 野生のポケモンを巻き込むような攻撃をするんじゃない!」
「ふん、知ったことかそんな下らないこと! 我々エクスプローラーズは自分たちの目的を最優先するだけだ!」
「そういうこと。そろそろ私たちも始めるわよ!」
「……下らない?」
ジルの物言いに反応したのはダイチだった。少しうつむいて、わなわな震える拳を力強く握る。そして顔をあげると、普段は見せないような鋭い目つきでジルとコニアをキッと睨み付けた。
「シンちゃん」
「あ?」
「あいつら、ぶっ飛ばそう」
「……ハッ。久々にキレてるじゃねえか」
今までの行いも許せなかったが、今はそれ以上に目の前のエクスプローラーズに激しい怒りが燃え上がる。それに釣られるようにしてシンゴも好戦的な笑みを浮かべた。
「……あいつら、ダイチの逆鱗に触れたな?」
「どこを見ている! アーマーガア!『ぼうふう』!」
「マァガァーッ!」
「おっと!」
背後のダイチたちの様子を窺ったフリードは不敵な笑みを浮かべ、アメジオはバトル中に余所見をしているフリードを見て苛立たしそうに指示を出す。アーマーガアが放った『ぼうふう』をリザードンはさらに高く飛行することで回避した。
「真剣勝負だ! 余所見をするな!」
「悪い悪い! そうイライラすんなって! それよりお前の部下たち、危ないんじゃないか?」
「俺の部下はそんなに軟ではない! たとえシンゴと言えど……!」
「違う違う! 俺が言ってるのはダイチの方だよ!」
「何?」
「良く言うだろ? 普段大人しい奴ほど、怒ったら一番怖いのさ!」
ダイチは、自然やそこに生きるポケモンたちのことを誰よりも尊く思い、考えている。だからこそ、エクスプローラーズが非道な行いをすることも許せず怒りを沸かせていた。
要するに、シンゴのようにあからさまではなく、ダイチは静かにキレていた。
「何をごちゃごちゃと。いくわよゴルダック!『みずのはどう』!」
「ゴダッ!」
「ジメレオン! ガードして受けて!」
「ジメ!」
ダイチとシンゴが闘志を燃やした頃、コニアは先制攻撃を仕掛けてくる。ゴルダックが口から発射した『みずのはどう』を、ジメレオンは両腕で防いだ。全身が濡れたことでジメレオンの姿が周囲に溶け込んで見えなくなる。
「ジメレオンの透明化ね。けれど砂浜で透明化なんて意味ないわよ! ゴルダック『ひっかく』!」
「『とんぼがえり』!」
コニアの言う通り、ジメレオンは姿が見えずとも砂地に足跡が残って位置が丸わかりだった。だがそんなことはダイチもわかっていた。
ゴルダックは足跡がする位置へと『ひっかく』を繰り出すも、ジメレオンは腕を振りかぶったゴルダックの顎にサマーソルトキックをお見舞いした。位置が分かっても透明化のおかげで攻撃の動作までは分からなかったゴルダックはもろに受けてのけ反り、ジメレオンは『とんぼがえり』の効果でそのままモンスターボールに戻ってくる。
ダイチは腰のホルスターから、通常のモンスターボールをベースに左右に丸い黄色のアクセントが描かれ、中心部に稲妻のようなマークが入ったデザインをしているボール……スピードボールを手に持ち、投げつけた。
「お願い、ライチュウ!」
「──ラーイ!」
スピードボールから飛び出したのはピカチュウの進化系でねずみポケモンのライチュウ。ただし、通常のライチュウではない。アローラ地方におけるリージョンフォームのライチュウだ。通常種と比べて尻尾や耳が丸くなり、目は澄んだ水色、体の色も通常種よりも明るくなっている。
なにより最大の特徴は通常種の電気タイプに加えてエスパータイプが追加されたこと。その新たに会得したサイコパワーを大型化した尻尾に集中させることでサーフボードのように浮遊することができ、常に尻尾に乗ったサーフィンスタイルをとる様になったことだ。
「ライチュウですって!? ゴルダック、電気技に注意しなさい!」
「ふんっ、問題ない! コニア、電気技が来たらゴルダックをサイドンの後ろに下がらせろ! 全てサイドンが受け止めてやる!」
コニアが警戒するのは当然ゴルダックの弱点である電気技。しかし相方のジルはむしろ余裕綽々だ。地面タイプのサイドンには電気技は効かないのでその余裕の態度も当然ではある。
しかしそんな余裕は数秒と続かなかった。
「行けライチュウ! 全部飲み込め!『なみのり』だ!!」
「ラァーーーーイ!!」
「「は!?」」
ダイチの指示を受けたアローラライチュウは力いっぱい両腕を上げ、海から大きな波を巻き起こす。『なみのり』はアローラで初めて出会ったピカチュウの頃から得意としていた技だ。アローラライチュウは尻尾サーフィンスタイルのままその波の上に乗り、波をサイコパワーで操ってサイドンとゴルダックに突撃した。
「ご、ゴルダック、波に潜りなさい!」
「くそっ! サイドン!『アームハンマー』で薙ぎ払え!」
予想外の技に気を動転させながらもジルとコニアは何とか指示を出した。ゴルダックは自分から波に飛び込み、サイドンはエネルギーを込めた腕を振るい波を薙ぎ払おうとするが、海から直接発生させたその水の量はあまりにも膨大でサイドンが『アームハンマー』を振るったところで波は止まらない。4倍弱点の大波を叩きつけられてサイドンは波の中で苦しそうにするが、そのまま押し流されまいと足に力を込めて踏ん張っていた。
「いいぞサイドン! なんとか堪えろ!」
「させるかボケが! ベベノム!『ようかいえき』ぃ!」
「ヴェ~! ヴェッ!」
「サイッ!?」
踏ん張っていたサイドンの眼前に浮遊したベベノムが接近し、『ようかいえき』を今度はサイドンの顔面にぶっかけた。サイドンは顔が毒液で濡れて、それを拭い取ろうと両腕で顔をごしごしとこする。
ついでに言うと『ようかいえき』には相手の特殊防御力を確率で下げる効果がある。それが発動したらしくサイドンに青いエフェクトがかかっていた。
「ライチュウ! もう一発『なみのり』!『サイコキネシス』で全部叩きつけてやれ!」
その隙を見逃さずダイチはアローラライチュウに追加の『なみのり』と『サイコキネシス』を指示する。アローラライチュウはもう一度大波を巻き起こし、今度はサイコパワーを駆使してサイドンへと集中して叩きつけた。すると元々足場が砂地なのも相まって踏ん張りが効かなくなり、完全に水の勢いに負けたサイドンはそのままジルの方まで押し流され始めた。
「サイイィィィィッ!?」
「ば、馬鹿! サイドン! こっちに来るなぁぁぁっ!?」
サイドンが押し流される勢いは止まらず、そのままジルに背中からぶつかって仲良く波にのまれて転倒した。ジルは仰向けのまま目を回したサイドンの下敷きになってしまっている。
「嘘でしょジル!? ええい、サイドンはともかく、ゴルダックに『なみのり』なんて効かないわよ!」
危うく自分もサイドンごと押し流されそうになるも真横に逃げて避けたコニアはなんとか叫んだ。事実、ゴルダックはポケモン一泳ぎが得意な事で知られ、両手両足の水かきを使ったその遊泳スピードも全ポケモン中で一番だと言われている。水タイプでもないアローラライチュウが放った『なみのり』なんて屁でもない。
しかしポケモン図鑑を読み込んでいるダイチはそんなこと想定済みだった。というか電気タイプ相手に水中にいる時点で詰みである。
「ライチュウ!『10まんボルト』だっ!!」
「ラーイヂュゥゥゥゥゥッ!!」
「ゴルダダダダダダッ!!?」
水中にいるなら当然電気技が感電して水の範囲内全てに届く。アローラライチュウが星形に成形した独自の『10まんボルト』を『なみのり』に放てばゴルダックの遊泳スピードなど関係なかった。ゴルダックは『10まんボルト』をモロに受けてしまい、そのあまりの衝撃とダメージで目を回した。そしてそのまま波に流されてコニアの方へと逆戻りだ。
「そんな……!? ゴルダック!しっかりしなさい!」
コニアが慌ててゴルダックに呼びかけるが、黒焦げになって目を回して完全にダウンしているゴルダックには届かなかった。
ダイチとシンゴはお互いを見ないまま手を上げ、パァン! とハイタッチした。
「シンちゃん、ナイスアシスト」
「ケッ。結局美味しいところもってくんじゃねえわ」
「ラーイ♪」
「ヴェヴェヴェ!」
悪態をつくシンゴだが、その表情はどこか嬉しそうだった。そしてアローラライチュウとベベノムも両手でハイタッチしていた。
「すごいよ2人とも!」
「ダイチ、シンゴ! 大丈夫だった!?」
「あれ、リコさんにロイ? いつの間に……」
「虫ポケモンたちを連れて戻ってきたんだよ!」
「! じゃあ袋の修理が出来たんだね!?」
ニャオハを抱きしめたリコとロイ、ホゲータはいつの間にかロイの実家から戻ってきていたらしくダイチとシンゴの近くにまで駆け寄ってきた。バトルに集中していたあまり気が付かなかったが、ダイチとシンゴの背後のブレイブアサギ号では、キャタピーとビードルの糸とストライクの鎌でガス袋の修理が終えたらしく、傾いていた船が安定していた。
「よかった、これで……」
「お前たち! すぐに逃げろ!!」
「え!?」
ダイチが一安心して胸を撫で下ろしたその時、フリードが突然声を張り上げた。フリードとリザードンとバトルをしていたはずのアメジオがアーマーガアに乗って急速に迫ってきていたのだ。
「だから言った! 余所見をするなと!」
「マグマラシぃ!『かえんほう──!」
「遅い!」
低空飛行でリコへと迫って来たアーマーガア。シンゴはマグマラシに『かえんほうしゃ』の指示を出して妨害しようとするが、アーマーガアは一気に急上昇することで砂を巻き込んだ竜巻を作り出して妨害を阻止し、一同の視界を砂で潰してリコの姿を見失わせた。
「くそっ! リコ! どこだ!?」
「半分頭が舐めた真似しやかって……!」
「リコさん! 逃げて!」
「きゃああああぁっ!?」
「っ!? リコさ……!?」
砂の竜巻に阻まれて動くことすらままならないダイチたちの耳にリコの悲鳴が聞こえ、ダイチはその声に最悪の事態を連想する。
──カッ!!
しかしその直後、視界が不明瞭な砂の竜巻の中であっても見えたのは、リコの首にかけられたペンダントから発せられる強く輝かしい光だった。その光は六角形をいくつも組み合わせてリコとニャオハを包み込むようにバリアを張り、アーマーガアの接近を防いでいる。
「あれってリコさんが言ってたバリア!?」
「うわっ!? なんだこれ!?」
「え?」
バリアに気を取られていたダイチは隣のロイの声に反応してそちらを見ると、ロイがカバンから取り出した"いにしえのモンスターボール"もまた金色の光を発していたのだ。
「なんでロイのボールが!? まさかリコさんのペンダントと何か関係がある……?」
「考えんのは後にしろアホ!」
不可思議な現象を前にしてつい長考してしまいそうになっているダイチにシンゴが怒鳴る中、砂嵐が収まると同時にペンダントの光が消えてリコとニャオハを覆っていたバリアも消失した。時間制限があるのか、それともエネルギーが切れたのか、はたまた別の理由か。それはダイチたちからすればわからないが、とにかくペンダントの力に助けられたことは間違いない。
「また守ってくれたの……?」
「リコさん! 大丈夫だった!?」
「うん、平気だよ。でも……」
リコは前を見据えた。襲撃こそ免れたが、アメジオは健在だ。アーマーガアから降りて歩いてくるアメジオの前にリコとロイを下がらせたダイチとシンゴが立ち塞がった。
「ペンダントと娘を渡してもらおう」
「同じことしか言えねえのかボキャブラリーゴミカスの半分頭が! ダイチ、テメエも下がってろ。こいつは俺がぶちのめす!」
「いやそんなこと言ってる場合じゃないってば。2人でやろうシンちゃん!(フリード博士は……来れないか……!)」
フリードの方を見れば、自分を下敷きにしていたサイドンをボールに戻してなんとか復帰したジルと、倒れたゴルダックをボールに戻したコニアのエアームドの『ふきとばし』によってリザードン共々こちらに向かおうとしているのを妨害されていた。援軍は見込めないらしい。
「……どちらでも構わん。ソウブレイズ!」
アメジオはモンスターボールからソウブレイズを繰り出し、アーマーガアがその隣に並んだ。それに対し、アローラライチュウとベベノムが並んで対峙する。
「ヴェヴェヴェー!」
「テメエは下がってろ!」
「ヴェ~?」
訂正。シャドーボクシングをしてやる気満々だったベベノムはリコとロイの位置に下がり、マグマラシが前に出た。
「この際だ。2人まとめて決着をつけてやる。ダブルバトルだ!」
「上等だぁ! テメエが泣くまでボコして海に沈めてやらぁ!!」
「リコさんの大事なペンダント、渡すもんか!」
リージョンフォーム多すぎやろって? 自分でもそう思います。
ライチュウ(アローラのすがた) がんばりやな性格 特性:サーフテール
10まんボルト サイコキネシス なみのり エレキフィールド
次回第十話 黒龍。そして旅立ち
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