魔法科高校に多次元宇宙の神の弟子が入学しました   作:ビリオネア

10 / 11
投稿開いちゃった。許し亭許して


模擬戦

〜三人称side〜

「私は彼…司波達也を風紀委員会に任命するのに反対です。過去、ウィードを風紀委員に任命した例はありません。」

 

歩利矢達三人が生徒会室について、席に着いた直後、生徒会副会長の服部は摩利に対してこう言った。

 

「いい度胸だな、服部。生徒会の一員でもあるお前が、委員長である私の前で禁止用語を口にするとは」

「取り繕っても仕方がないでしょう。それとも、全校生徒の3分の1以上を摘発するつもりですか?一科生ブルームとニ科生ウィードの間の区別は、学校制度に組み込まれた、学校が認めるものです。一科生ブルームとニ科生ウィードには、区別を根拠付けるだけの実力差があります。風紀委員は、ルールに従わない生徒を実力で取り締まる役職だ。実力に劣るニ科生ウィードには務まらない」

 

二科生は実力に劣るから、風紀委員が務まる訳がない。これが服部の言い分だった。そんな服部に摩利は冷ややかな笑みを浮かべてこういった。

 

「確かに風紀委員会は実力主義だが、実力にも色々あってな。達也くんには、展開中の起動式を読み取り発動される魔法を予測する目と頭脳がある」

「まさか!?基礎単一工程の起動式でもアルファベット3万文字相当の情報量があるんですよ!それを一瞬で読み取るなんて出来る筈がない!」

 

 服部の常識からすればありえない話だろうが、達也にはそれを可能とするだけの力がある。

 

「常識的に考えれば出来る筈がないさ。だからこそ、彼の特技には価値がある。彼は今まで罪状が確定出来ずに、軽い罰で済まされてきた未遂犯に対する強力な抑止力になる。それに、私が彼を委員会に欲する理由はもう一つある」

 

 摩利はそこで一旦言葉を切り、再び口を開いた。

 

「お前の言う通り当校には、一科生とニ科生の間に感情的な溝がある。一科の生徒が二科の生徒を取り締まり、その逆は無いという構造は、この溝を深める事になっていた。私が指揮する委員会が、差別意識を助長するというのは、私の好むところではない」

 

摩利にこう言われた服部は複雑な表情を浮かべながらこう言った。

 

会長・・・やっぱり私は副会長として、司波達也の風紀委員就任に反対します。魔法力のないニ科生に、風紀委員は務まりません」

 

ここまで来れば駄々を捏ねているようにしか見えないが、服部としてはここで達也の風紀委員の就任を認めれば、ニ科生である達也の実力を認めたことになる。一科生としてのプライドがある服部にはそれが許されないのだろう。

 

「待ってください」

 

と、ここで不満顔をしていた深雪が口を開いた。

 

「兄は確かに魔法実技の成績が芳しくありませんが、それは実技テストの評価方法に兄の力が適合していないだけなのです。実戦ならば、兄は誰にも負けません」

 

深雪がこう言うと、その場にいた真由美と摩利が深雪と達也に真剣な眼差しを向けた。だが、唯一服部だけは深雪に対して真剣味に欠けた視線を向けていた。

 

「司波さん。魔法師は事象をあるがままに、冷静に、論理的に認識できなければなりません。身内に対する贔屓は、一般人ならばやむを得ないでしょうが、魔法師を目指す者は身贔屓に目を曇らせてはいけません」

「お言葉ですが、私は身贔屓で目を曇らせてなど・・・」

「あのすいません。ちょっといいですか?」

 

と、ここでずっと黙っていた歩利矢が口を開いた。

 

「要は、風紀委員に入っても問題がない実力があればいいんですよね?」

 

「確かにそうだけど…それがどうしたの?」

 

「だったら簡単ですよ。達也と服部先輩が模擬戦をすればいいんです。」

 

「「「「「!」」」」」

 

歩利矢の言葉にその場にいる全員が驚いた。

 

「ニ科生である達也が一科生の服部先輩と模擬戦をして、それに達也が勝てば実力を証明できて深雪の目が曇ってないということがわかるでしょう?それに服部先輩もまた、達也に勝てばニ科生は実力に劣るということを証明できるのでwin-winです。」

 

「ほう…」

 

歩利矢の提案に、摩利はいい事を聞いたと言わんばかりに笑みを見せ、深雪もまた歩利矢に目を輝かせていた。そして達也がここで口を開いた。

 

「…分かった。服部先輩、俺と模擬戦をしましょう。風紀医院に入るつまりはありませんでしたが、妹の目が曇っていないと証明したいので。」

 

「いいだろう…。実力の違いを分からせてやる。」

 

そうして達也と服部の模擬戦が決定された。

 

○*○*○*○*○*○*

あの後、歩利矢達は生徒会室を出て、第三演習室に来ていた。

 

演習室には歩利矢と深雪、服部と審判の摩利、そして真由美ら生徒会のメンバーがいた。

 

「お待たせしました。」

 

そうこうしているうちに、準備が終わった達也が姿を表した。

 

「いつも複数のストレージを持ち歩いているのか?」

 

 特化型のCADは使用できる起動式の数が限られている。

 なぜなら、汎用型CADが系統を問わず99種類の起動式を格納できるのに対して、特化型CADは系統の組み合わせが同じ起動式を9種類しか格納できないからだ。

 その欠点を補う為に、起動式を記録するストレージを交換可能としたCADが開発されたが、元々特化型は特定の魔法式を得意とする魔法師が好んで使用するデバイスだ。その為、魔法のバリエーションを増やすニーズは余り高くなく、複数のストレージを携帯しても結局使うのは1種類だけというケースがほとんどである。

 

「えぇ。汎用型を使いこなすには、処理能力が足りないので」

 

 好奇心を丸出しにした渡辺先輩の問いかけに、達也の回答は複数のストレージを使い分ける少数派に属している事を示すものだった。

 

ルールを説明する。相手を死に至らしめる術式、並びに回復不能な障碍を負わせる術式は禁止。直接攻撃は相手に捻挫以上の負傷を与えない範囲であること。武器の使用は禁止。素手による攻撃は許可する。勝敗は一方が負けを認めるか、審判が続行不能と判断した場合に決する。ルール違反は私が力ずくで処理するから覚悟しろ。以上だ」

 

達也も服部先輩も共に挑発も無い引き締まった表情をしていた。

 

そんな中、歩利矢は真由美に質問をしていた。

 

「先輩、達也はともかく服部先輩って強いんですか?」

 

「ええ強いわよ。魔法科高校の正式な試合なら負けなしだからね。」

 

「へぇ…さいですか」

 

そんな会話をしていると、演習室の真ん中にいる二人が持ち場について構えていた。達也はCADを握る右手を床に向けて、服部先輩は左腕のCADに右手を添えて、摩利の合図を待つ。

 場が静まり返り、静寂が完全なる支配権を確立した、その瞬間。

 

「始め!」

 

摩利の合図と共に、達也と服部先輩の模擬戦の火蓋が切って落とされた。

 服部はCADを操作し、起動式の展開を即座に完了させて魔法を放とうとした瞬間、達也の姿が消えたと思ったら服部が突然倒れ、後ろにはCADを水平に伸ばした達也が立っていた・・・と、思うだろう。勿論、俺には何が起こったのか全て分かった。

 

「・・・勝者、司波達也」

 

 達也と服部の模擬戦は達也の圧勝で終わるのだった。

 

○*○*○*○*○*○*

 

「今の動きは・・・自己加速術式を予め展開していたのか?」

「いえ、魔法ではなく、正真正銘、身体的な技術です」

 

模擬戦が終わり、一礼をしてその場を後にしようとした達也を摩利が止めた。

 

「私も証言します。あれは、兄の体術です。兄は、忍術使い・九重八雲先生の指導を受けているのです」

「あの九重先生に・・・!」

 

深雪の言葉に摩利は驚いていた。

 

 

「それじゃあはんぞー君を倒した魔法も忍術ですか?」

 

「いえ、あれはただのサイオン波です」

 

「でもそれじゃあ、あのはんぞー君が倒れてる理由が分からないのだけど」

 

 達也が言ったように、達也が使った魔法は単一系統の振動魔法だ。だがそれだけの説明では納得が行かないようで、真由美は次々と質問を達也にぶつける。その中で鈴音が自分の中で結論が出たかのように口を開いた。

 

「波の合成ですね」

 

「リンちゃん?」

 

 自分の推論を淡々と披露しながらも、鈴音は次の疑問が頭に浮かんでいたのだが、その事は今は気にしてないようだ。

 鈴音の言った言葉の意味が分からず、首を傾げる真由美とは違い、達也は苦笑い気味に笑いながら頷いた。

 

 

「さすが市原先輩、お見事です」

 

「ですが、あれだけの短時間で三回の振動魔法の発動…その処理速度で実技評価が低いのはおかしいですね……」

 

 達也の処理速度は一科生としてのラインを十分クリアしてるのに、何故達也が二科生なのかと首を傾げる鈴音だったが、ひょっこりと現れたあずさのおかげでこの疑問は解決した。

 

「あの~、これってひょっとしてシルバーホーンじゃないですか?」

 

「シルバーホーン? シルバーってループキャストを開発したあのシルバー?」

 

 真由美の疑問に、あずさが嬉々として話し始めた。デバイスオタクと揶揄されているらしいのだが、これなら言われても仕方ないなと達也は内心でため息を吐いた。

  

「でもおかしいですね、ループキャストは全く同じ魔法を連続発動する為のシステム、波の合成に必要な振動数の異なる複数の波動は作れないはず……もし振動数を変数化しておけば可能ですが、座標・強度・魔法の持続時間に加えて四つも変数化するなんて……まさかその全てを実行してたのですか!?」

 

 鈴音の独り言のようなこのセリフは、演習室に居た全員が息をのむような内容だった。だが聞かれた達也だけは苦笑いのような笑みを浮かべながら淡々と答えた。

 

「学校では評価されない項目ですからね」

 

「なるほど、司波さんの言っていた事はこう言う事か……」

 

 達也が答えたのと同時に、倒れていた服部が起き上がった。すると、真由美が服部を覗き込むように身を乗り出して声をかけた。

 

「はんぞーくん、大丈夫ですか?」

 

「だ、大丈夫です!」

 

 顔を赤くして立ち上がりながら服部は返事を返した。そして深雪に近づいてこういった。

 

 

「司波さん、先ほどは身贔屓などと失礼なことを言いました」

 

「はい...」

 

「目が曇っていたのは僕の方でした、許してほしい」

 

「いいえ、私の方こそ生意気を申しました。お許しください」

 

 (最初はなんだこの人と思ったけど…案外話が通じそうでよかった)

 

 二人がお互いに頭を下げて謝罪を行った後、服部は達也を一瞥してから何も言わず第三演習場を出た。歩利矢は服部に対して少し好印象を抱いていた。

 

****************

〜歩利矢side〜

 

「じゃあ、予定通り風紀委員会本部に行k「待ってください」…どうした達也くん?」

 

「可能なら…夢骸と模擬戦をしても構わないですか?」

 

「俺とか?」

 

模擬戦が終わって、さぁ本部に行こうかとした時、達也がそう言い出した。

 

「夢骸君と?別に構わないが…一体何故?」

 

「個人的に、彼の実力を知りたいんです。」

 

「そうか…わかった認めよう。夢骸君、いいか?」

 

「俺は大丈夫ですよ。」

 

そうして俺と達也の模擬戦が急遽決定し、俺は準備に入っていた。

 

(模擬戦か…。そういや俺、この世界に来てから1対1で戦うことがなかったな)

 

俺は、模擬戦の準備をしながらそう思っていた。1対1の戦いは、天界の牢獄でerror404サンズとやった以来ずっとしていなかった。

 

(とりあえず、最初は攻撃を避けまくって様子を見るか。今度の相手はやべえ技を連発してくるどっかの理不尽骨野郎とは訳が違うからな。)

 

*****************

〜三人称side〜

 

「お兄様はどうして歩利矢さんと模擬戦をしようと思われたのですか?」

 

模擬戦が始まる前に、深雪は達也にそう質問をしていた。

 

「この前言ったように、今はあいつについての情報が少なすぎる。だからこの模擬戦でひとまずあいつの事が少しだけわかるんじゃ無いかと思ったんだ。」

 

「なるほど…。では先程と同じように攻めるのですか?」

 

「あぁ、体術で先手を仕掛けてみる。問題はあいつに通じるかどうかだが…」

 

そうこうしているうちに準備を終えたらしい歩利矢が達也の前に立った。だが、達也は歩利矢の状態に驚いていた。歩利矢は構えようとせず、ポケットに手を突っ込んだまま先程とは違い白い歯を見せてうっすら笑っていたのだ。

 

(あまりにも隙だらけすぎる…。一体何を考えているんだ?)

「二人とも、準備はいいな?」

 

達也がそう思っていると、摩利が二人に声をかけた。

 

(って、駄目だ。今はとりあえず集中しよう。)

「では…、始め!」

 

摩利がそう言った途端、達也は歩利矢との距離を一瞬で詰めて渾身の蹴りを放った。しかし、歩利矢はいたって落ち着いた雰囲気で体を逸らしてそれを避けた。

それに思わず達也は顔を顰めた。

 

「速いなやっぱ。一瞬見えなかったぜハハハ」

 

歩利矢は達也に対し、そう声をかけたが達也はそれに応答せずに攻撃を仕掛けた。しかし達也が放った攻撃を、歩利矢は全て完璧に避けていた。しかも、手をポケットの中身に突っ込んだまま。このままじゃ埒が開かないと思った達也は一旦距離をおくが、その瞬間

 

「もう終わりか?」

 

歩利矢が手を出す。明らかに雰囲気が変わった歩利矢に、達也は再び構えた。

 

「じゃ、今度はこっちの番だ。」フッ

 

「!!」

 

歩利矢の姿が消える。達也は突如のことに一瞬驚いたが、横からの殺気に気付いた。横を向くと、歩利矢が殴りかかろうとした。達也は回避が不可能だと判断し、ガードしようと腕をクロスして、それを受けたがその威力思わず顔を顰める。が、すぐに蹴りを放ってきたので、達也はそれを避ける。そして反撃をしようと歩利矢に殴り掛かるが、歩利矢は体を低くして倒れ込むようにして避ける。そしてその体制のまま足をあげ、達也に蹴りをくらわした。予想外の攻撃に達也はガードをしようとしたが、防ぎきれずくらってしまう。

 

「くっ…!」

 

「お、当たった。」

 

当の歩利矢は、いまだに笑みを浮かべていた。が、達也は再び歩利矢に攻撃を仕掛けた。達也はこの模擬戦の最中、驚愕とともに一抹の興奮を覚えていた。歩利矢という強敵の出現に、柄にもなく気が高ぶっていた。そのままずっと猛攻を仕掛けていたが、それは摩利の声によって遮られた。

 

「二人とも!そこまでだ!」

 

その言葉に二人は立ち止まり、達也は思わず不服と言わんばかりの顔を浮かべていた。

 

「驚いたわ二人とも。魔法を使わずに体術だけで戦っちゃうもんだから…」

 

「今ので夢骸君の実力はだいぶ知れただろう。だからこれ以上続けるのは流石に酷だ。」

 

真由美と摩利は2人に向けてそう言った。その後、模擬戦を終えて達也はシルバー・ホーンをケースに戻していたが、その間に深雪が話しかけてきた。

 

「お疲れ様です、お兄様。お怪我はございませんか?」

 

「あぁ、大丈夫だ。そんなことよりも…見ていたか?」

 

「はい、まさか夢骸君がお兄様と対等に戦えるなんて…」

 

深雪がそう呟いている中、達也は先ほどまでの模擬戦を思い返していた。戦っていてわかったが、あの時夢骸は明らかに本気を出していなかった。それなのにこちらからは一切攻撃を与えることができず、終始あっちのペースだった。そして達也は、ある一つの疑問に行き着いた。

 

  あの体術を、動きをどこで身に付けたのか…

 

達也はもう、歩利矢に対して警戒ではなく興味の気持ちを示していた。

 

「そういえば歩利矢君。あの体術は誰かから教わったものなのか?」

 

「確かに気になるわね。あの動き中々のものよ。」

 

模擬戦を終え、一息ついていた歩利矢に摩利がそう聞いた。真由美もまた、それに賛同するように言った。歩利矢は少し考えてから口を開いた。

 

(やっぱ聞かれるか…。流石にerror404については深く言えないからな。適当言って誤魔化すか。)「あー、詳しくは言えないんですけど…親がいない俺を親代わりとして育ててくれた人(?)に教わったんです。」

 

「親代わりに…その人とは今も一緒に住んでいるの?」

 

「いや。今はいないし、何してるかもわかりません。まぁ、元々結構気まぐれだったしあんまり気にしてないですが。」

 

「その人は…強いのか?」

 

「…強いよ。少なくとも俺はあいつに一回も攻撃を当てることができなかった。」

 

「そうか…。」

 

歩利矢の話を聞いた達也は、また考え込む。彼にあの動きを叩き込んだ、というのなら相当な実力者なのは確定だ。しかも、それ程の人物なら少なくとも裏では十分名が広まっているはずだ。しかし過去、そのような人物の名前は聞いたことがない。達也の頭の中にはまた一つ疑問が残った。

 

○*○*○*○*○*

 

歩利矢の風紀委員会入りが決定した日の夜、とある廃墟の中では…

 

「や、やめ…ギャぁ…」ザクン

 

とある男が何者かによってナイフで首を引き裂かれ、死亡した。

 

「うん、まだ足りないな。」

 

そしてその男を殺した…緑に薄い黄色のラインが一本入ったセーターを着た赤い目をした少年は男を一瞥して、そう吐き捨てた。

 

「まだまだ集めないと、()()を作るには全然足りない。」

 

そして少年は、男を殺したナイフを振り回しながらその場を後にした。

 

「なるべく早く集まってほしいな…。()()()()()()

 

 

 

 




ラストに出てきた人物、一体誰なんでしょうね〜。結構後になるんですが、少しだけオリジナル展開を出していきます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。