魔法科高校に多次元宇宙の神の弟子が入学しました 作:ビリオネア
〜三人称side〜
あの後歩利矢は、ほのかに誘われて雫と深雪を含めた四人でオリエンテーションに向かった。深雪に関しては教室で何人かの男子生徒に言い寄られていたが、その場ではほのかがなんとかして事を収めた。その時にその男子生徒たちは歩利矢のことを恨めしく睨んでいた。
オリエンテーション自体は至って普通だったが、歩利矢はある事に引っかかっていた。それは一科生とニ科生の違いだ。一科生は専門の教師による解説が付いていたが、ニ科生にはそれがなかったからだ。それに加えてもう一つの事に引っかかっていた。それは、一科生の生徒の言動だ。
『二科の補欠はかわいそうだよなぁ、最初から放置だろ?』
『入れただけで喜んでるからいいんじゃね』
『たいした実力もなくて魔法師になろうとか図々しいよな』
『一般人は一般人らしくしてろって』
一科生のこのような言動に、歩利矢は顔をしかめていた。
(どうしてあそこまで威張れるんだか…たかだか試験の結果が良かったぐらいで…。)
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〜歩利矢side〜
オリエンテーションが終わった後、俺は食堂へと来ていた。注文した物を受け取って座れる席を探していたが俺は少し顔をしかめた。なぜなら、目の前で言い争いができていたからだ。
「席を譲って欲しいと言ったんだよ、補欠くん?」
「なんで私達が席を譲んなきゃいけないのよ!」
茶髪の一科生の生徒が先に席に座っていた二科生達に対してとんでもないことを言いだし、明るい栗色の髪の女子生徒がそれに反論していた。俺は目の前の出来事に、少し苛立ちを覚えていたが特に一科生の生徒の言動に対してかなり苛立っていた。
「黙れ!お前たち二科生ウィードはおとなしく俺たち一科生ブルームに従え「あのさぁ」ばいい…って」
堪忍袋の緒が切れた俺は、その生徒が何かを言い切る前に彼らに声をかけた。
「ここどこかわかってんの?飯食う場所でそんなつまらない議論をしないでくれる?」
「なっ…!?お前は一科生の癖して、二科生の肩を持つのか!?」
「話聞いてた?俺は別に一科生がどうとかの話をしてないんだよ。ただでさえ狭い通路でそんな固まってつまらない事をペチャクチャ喋られたらストレスがたまるんだよ。」
「も、元はと言えばそこの雑草が席を譲らないから…!」
「
そう言うと目の前の生徒は反論したいが、何も言葉が出ないのかその場で顔を赤くしながらプルプルと震えながら食堂を後にした。俺もそれを見届けてから席を探して、ちょうど一人席があったのでそこに座って昼食を取った。
(はぁ…やっぱり制度変えろよ。あんな奴が生まれるなんて百も承知だっただろうに…)
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〜三人称side〜
放課後になり、歩利矢は帰宅するために俺は正門へと向かっていた。そこでまた生徒達が言い争っているのを見て、今日で何回目かわからなるくらい顔をしかめた。
「一体何の権利があって二人のことを引き裂こうというのですか!」
眼鏡をかけた物静かそうな少女―美月が深雪にまとわりついてくる一科生に向けて叫んだ。今までの美月からは想像も出来ない姿に周りは少し驚いていたが一部そうではない者もいた。
「み、美月はなにを勘違いしているのでしょうね?」
「深雪、何故お前が焦る?」
「えっ?いえ、焦ってなどおりませんよ?」
「そして何故に疑問系?」
美月の言葉に顔を赤くしていた深雪に困惑した達也。その間にも一科生の生徒たちは美月の言葉に反論していた。
「僕たちは深雪さんに相談することがあるんだ!」
「そうよ! 司波さんには悪いと思うけど、少し時間を貸してもらうだけなんだから!」
そう言う一科生だが、確実に彼らは今日深雪との接点は二科生の生徒よりもあったはずである。それなのに時間を貰うというのは少し厚かましいであろう。他の二科生もその事について反論した。
「ハンッ! そういうのは自活(自治活動)中にすればいいだけだろ。俺らと違って接点は多いんだし、ちゃんと時間は取ってあるんだろうに」
「同感ね。そもそも、相談というのなら予め深雪本人の同意を得てからするものでしょ。一方的な言いがかりで深雪の意思を無視してる時点でルール破りよ。高校生にもなってそんなことも理解できないのかしら?」
二科生の生徒-西城レオンハルトと千葉エリカがそう反論した。これ以上無いくらいの正論であったが、その事に納得いかない一人の一科生の男子生徒がとんでも無いことを口走った。
「煩い!他のクラス、ましてや雑草ごときが僕達花冠に口出しするな!」
(うわ…とうとう言っちゃったよ。反論できないからって差別用語使ったらダメだろ…。「自分はもう反論の余地はございません」って言ってるようなものだろ。)
男子生徒がブルーム、ウィードという差別的なニュアンスを出して反論する。これには遠目で見ていた歩利矢も呆れていた。
「同じ新入生じゃないですか。あなた達ブルームが、今の時点で一体どれだけ優れているというんですかっ」
すると美月がそう反論する。すると一科生の男子生徒がニヤリと笑みを浮かべた。
「どれだけ優れているかだって?いいだろう。だったら、今この場で教えてやる!」
(あ、まずいなこれ。)
遠目で様子を見ていた歩利矢が、危機を察知して体を乗り出す。なぜならその男子生徒がホルスターからCADを取り出して魔法を放とうとし、それに気づいたエリカもCADを取り出して反撃しようとしていたからだ。
「これが一科生と二科生の実力差…ってなにっ!」
「えっ!?ってきゃあ!」
その刹那、魔法を放とうとした男子生徒が突如として静止し、エリカもまた引っ張られたように後ろに転んだ。一体何が起こったんだと周りが困惑していると、一人の人物が向かってきた。
「はいストップ。お前ら流石にやりすぎ。」
歩利矢だ。彼は二人がぶつかる前に糸を出現させて、二人の動きを止めたのだ。
「なっ…!お前は夢骸歩利矢!また邪魔をしようとするのか!?」
「当たり前だろ。お前自分のやってることわかってる?れっきとした犯罪行為だぞ?」
そう。本来この一高では自衛目的以外のCAD使用は禁止されているのだ。歩利矢もその事を出して彼らに反論する。
「黙れ!!これは俺たちの問題だ!!一科生のくせに二科生の肩を持つようなやつが口出しするな!」
そう言って男子生徒はまた魔法を歩利矢に放とうとする。もうそこに冷静さは感じられなかった。が、それが当たることはなかった。
「とりあえずさ。落ち着け。」ポンッ
なぜならいつのまにか歩利矢が、彼の背後に回って肩を叩いていたからだ。その事にその場にいる全員が驚いていた。
「なっ…!お前いつの間に…!」
「別に。そんなことより、ちょっとまずいことになりそうだぜ。」
そう言って歩利矢がある方向に目を向けると、二人の人物がこっちに向かってきているのが見えていた。
「止めなさい!自衛目的以外の魔法による対人攻撃は、校則違反である以前に、犯罪行為ですよ!」
そのうちの一人が、彼らに向かってそう言い放った。
「あなた達、1ーAと1ーEの生徒ね。事情を聞きます。ついて来なさい」
すると、もう一人の人物も彼らに向かってそう言い放つ。
(あれは…、確かあの人は生徒会長の七草真由美だったか?でもう一人は確か…風紀委員長の渡辺摩利だったか?)
歩利矢がそう考えていると、達也が身を乗り出して二人の前に立った。
「すみません、悪ふざけが過ぎました」
「悪ふざけ?」
達也は一礼してからそう言った。唐突に思えるそのセリフに、渡辺先輩の眉が軽く顰められる。
「はい。森崎一門のクイックドロウは有名ですから、後学の為に見せてもらうだけのつもりだったんですが、あんまり真に迫っていたもので、思わず手が出てしまいました」
それは真っ当な嘘だったが、妙な説得力があった。それを聞いていた歩利矢は達也に感心していた。
(すげえなあいつ。生徒会長と風紀委員長にあんな嘘つけるのか。やっぱあいつ相当できるな。)
その後、達也に色々質問していた摩利だったが結局今回のことに関しては不問ということになった。
「.....借りだなんて思わないからな」
真由美たちがいなくなった後、一科生の男子生徒-森崎駿は達也に向けてとても不服そうな顔でそんなことを言った。
「貸しだなんて思ってないから安心しろ」
棘のある口調でそういった森崎に達也も同じく棘のある言い方で返した。
「・・・僕の名前は森崎駿。お前が見抜いたとおり、森崎の本家に連なる者だ」
「見抜いたとか、そんな大袈裟な話じゃないんだが。単に模範実技の映像資料を見たことがあっただけで」
(あ、そんなのあったんだ。ぼーっとしてたから気がつかなかったな。)
達也の言葉に歩利矢はそんな事を思っていた。
「僕はお前を認めないぞ、司波達也。そして夢骸歩利矢…!司波さんは、僕達と一緒に居るべきなんだ」
「おい待て。なんで俺が巻き込まれてるんだ。」
森崎は捨て台詞を残し、背を向けた。
「いきなりフルネームで呼び捨てか」
達也が独り言のように呟いた言葉に、森崎はピクッと背中を震わせた。そこで立ち止まらず、そのまま立ち去ったのはある種の意地が作用したからだろう。
「はぁ、やっぱ人の考えっていうのは中々変えられんものだな」
「あいつ自身が変えようと思わない限り、変わることはないだろう。」
二人でそんな会話をしていたが、その後一緒に駅まで帰るという話になった。歩利矢はそれに承諾して、それに加えて達也に頭を下げてきた雫とほのか、そして深雪と二科生と一緒に帰ることになった。
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歩利矢達が駅まで向かっている途中、歩利矢はエリカに質問されていた。
「そういえば歩利矢君ってあの時どうやって私達の動きを止めたの。」
「あーそれ俺も気になってた。あとあの森崎ってやつの背後を一瞬で取ったのも気になるな。」
「あぁ、言ってなかったな。あの時俺は
そう言って俺は糸を取り出す。
「なんだそれは?」
達也がそう質問する。
「まぁ…、端的に言えばサイオンを凝縮して作成した糸だ。これでエリカとあの森崎ってやつの動きを止めたんだ。あと、背後を取ったのはただの自己加速術式を使っただけだから特に詳しく話すことはないよ。」
(まぁ、嘘なんだけどな。)
そう言いながら、歩利矢はその糸を使ってあやとりをしていたが、すぐにある異変に気がついた。
「あれ、どうしたのさみんな。そんな黙りこくって。」
歩利矢の話を聞いていた七人が急に黙り込んでいたからだ。
すると達也が口を開いた。
「歩利矢、普通はみんなお前のようにそうやってサイオンを自由自在に操作することができないんだ。」
達也にそう言われた歩利矢はハッとして先程の異変の原因に気がついた。
「いや…、ちょっと衝撃的すぎて…」
「深雪さんと同じ主席で、実技だけで言えばその深雪さんを超えているとは聞いていましたが…」
「化け物ね…」
レオ、美月、エリカも続いてそう語る。しばらくその場には気まずい空気が流れていた。その場にいる全員が改めて歩利矢の化け物具合を再確認し、ただ一人だけ達也は彼に対しての警戒を強めていた。