制裁タッグデュエル後のペナルティの課題が無事終わった数日後、みさとは十代に迫られていた
「─なぁーみさとー!!
いつになったらオレとしてくれるんだよー!?」
「へ……?」
その大声に周りはシン…と固まって十代を見ていた
「ア、アニキ…みさとさん……?」
「それって、どういう意味…?」
「あたしに聞かれても困るわよ!?」
側にいた翔と明日香は、何とも言えない表情でみさとを見ていた
「十代…どういう意味なわけ…?」
「だ~か~ら~、いつになったらオレとデュエルしてくれるんだよ?」
「肝心な所を抜かすなーっ!!」
「うわああっ!!」
殴り掛かりそうな勢いのみさとに、十代は思わず身を引いた
「…デュエルって一言が抜けただけで、スゴい事になるんスね」
「……別に忘れてたわけじゃないわよ
何だかんだありすぎて、バタバタしてたから先伸ばしになってただけ」
翔達に宥められてみさとは、落ち着きを取り戻した
「まあ、海馬の奴にもアンタの事を報告しなきゃだし……いいわ
今日の放課後にでもやりましょう」
「ホントか!?」
「ええ」
「やったぜ!!」
「いいのみさと?」
「オシリスレッド生とわざわざデュエルしなくてもいいじゃないですの」
「ジュンコ・ももえ、忘れたの?
アイツ、一応はあの明日香や饅頭に勝った奴よ」
「だから万丈目さんだってば」
「どっちでもいいじゃない
何にしても、面白そうだし」
「ふふ、確かに
私も見てみたいわ、あなた達のデュエル」
頬杖をつきながらジュンコ達と話すみさとに、明日香はクスクスと笑った
「よっしゃ!!
約束だからなー!!」
無邪気にはしゃぐ十代を、みさとは笑いながら見ていた
(本当、楽しい奴…)
…その日最後の授業の終了のチャイムが鳴り、担当のクロノスは全く覇気の無い仕草で教科書を閉じた
「…それでーハ、本日の授業を終わりまスーノ……」
「起立、礼」
《ありがとうございました》
「よっしゃーっ!!
授業終わったーっ!!
みさと、デュエルデュエル!!」
授業が終わった途端、席をとび出した十代はみさとの片腕を掴んだ
「へ?」
「行くぞーっ!!」
「いィィィィやァーァァァァァーッ!!」
片腕を掴まれたみさとは、十代の勢いに負けて足を宙に浮かせながらも、片手でスカートを押さえながら悲鳴をあげていた
「……誘拐、かしら?」
「それに近いっスね……」
「……何だったんだ、一体…?」
明日香と翔が十代達が出て行った方を呆然と見ていると、何も知らない三沢は十代の奇行に首を傾げていた
「あ、そっか
昼間、三沢くんはいなかったっスね」
「これから、みさとと十代がデュエルをする約束をしているのよ」
「何!?
あの2人がか!?
是非とも見学させてもらいたいな!!」
目の色を変えた三沢に、翔は一歩後ろに下がった
「めちゃくちゃハッスルしてるっスね、三沢くん…」
「あの2人は本年度の注目株だからな!!
その2人がデュエルをするとなると、自然と興味も湧いてくるさ!!」
「確かに、私も見てみたいわ
……でもあの2人、どこへ行ったのかしら?」
困ったと言わんばかりに明日香が片手を頬に当てた
「あ、それならアニキが言ってたっス
「やるならレッド寮前の広場がいいよな、広いし」って」
「じゃあ2人はレッド寮に?」
「多分そうっス」
「じゃあ、行ってみましょうか」
翔の案内で、三沢と明日香はレッド寮へ向かって行った
「な、何なノーネ……?」
そして完全に忘れられていたクロノスは、翌日に迫った再教育プログラムに行く為泣く泣く教室を後にした
…一方、先に教室をとび出した十代とみさとはレッド寮の前の広場まで来ていた
「到着ーっと!!
よォーしみさと、デュエル[ちょっと待ちな、ボウズ]へ…?」
聞こえてきた声に十代は辺りを見渡した
[後ろだ、十代]
「え、後ろ?」
声のした後ろを振り返ると、三騎士達が揃っていた
「おおっ!!
この間、みさとと話してたクィーンズ・ナイト!!
キングス・ナイトにジャックス・ナイトもいる!!
やっぱ本物だ、スゲー!!」
[…本当に私達の事が見えているんですね]
「ああ!!
みんなはみさとの精霊か?」
[ああ
お前の所にいるハネクリボーと同じ、オレ達はみさとのカードの精霊だ]
[クリクリー!!]
ハネクリボーが嬉しそうに三騎士達の方へ飛んでいく
[あら、ハネクリボー
お元気そうで良かったです]
[クリクリー!!]
[…悪いがボウズ、お嬢とのデュエルは少し待ってやれ]
「ええーっ!?
何でだよー!?」
[……お嬢がこんな状態じゃ、ロクにデュエルなんか出来ねぇだろ?]
「へ?」
キングが指差した下には、目を回して伸びているみさとがいた
「はらひれほろろぉ~……」
「みさと!?
どうしたんだ!?」
[お前が力任せにここまで引っ張って来たからだろーが]
「あ…」
[みさとちゃんは女の子なんですから、もっと丁寧に扱ってくださいね
この子、ずっとスカートを押さえてたんですよ?]
「お、おう…ごめん」
端から見れば何とも珍妙な光景の中、しばらくの間みさとは目を回し続けた
「…アンタねぇ!!
あんなやり方は無いんじゃないの!?」
しばらくして復活したみさとは開口一番、十代を怒鳴った
「いや、悪かったよ」
「まったく……」
[クリィ~……]
「ほら、ハネクリちゃんも呆れちゃってるじゃない」
みさとは腕の中にいるハネクリボーを撫でた
「しっかし驚いたよなぁ?
オレ達だけだけど、カードの精霊が見えるなんてさ」
「強い絆を持つカードには精霊が宿るって言われてるわ
そして極稀にその精霊を目視出来て、話せる人間もいるのよ……あたし達みたいにね」
「そうなのか、スゲーなぁ」
「…あ、見つけたっス!!」
後ろからの声に2人が振り返ると、翔・三沢・明日香…そして途中合流した隼人がいた
「アニキ、速過ぎるっスよー」
「へへっ悪ぃ、みさとと早くデュエルしたくてさ
それより明日香に三沢も来たのか?」
「ええ、あなた達のデュエルに興味があってね」
「是非とも見学させて欲しい」
「いいぜ!!」
「あたしも
…じゃあ、そろそろ始めましょうか」
「おうっ!!
待ってたぜ!!」
デュエルディスクを起動させた2人が間をとって向かい合う
(無駄なんだな
オベリスクブルー相手に、敵うハズないんだな……でも、もしかしたら…)
隼人はこっそりとみさとにもらったビック・コアラのカードを握った
「いくぜみさと!!」
「いつでもいいわよ」
「「─
みさと LP4000
十代 LP4000
「あたしのターン、ドロー
『クィーンズ・ナイト』を守備表示で召喚」
みさとのフィールドに現れたクィーンは、そっと盾を構えて守りの体制をとった
クィーンズ・ナイト
☆4 光属性 戦士族 ATK 1500 DEF 1600
[早速ですか
十代くん、よろしくお願いしますね]
「おう、楽しいデュエルにしようぜ!!」
「カードを1枚伏せて、ターン終了よ」
「オレのターン、ドロー!!
いくぜ、『
十代のフィールドに、黄色と青のヒーロースーツを身に纏ったヒーローが現れた
☆4 光属性 戦士族 ATK 1600 DEF 1400
「─更に魔法カード『H ーヒートハートー』を発動!!
自分フィールドのモンスター1体の攻撃力はエンドフェイズまで500アップし、守備モンスターを攻撃した時、貫通ダメージを与えられる!!
スパークマンの攻撃力を500上げるぜ!!」
「いきなり攻撃力2100!?」
「しかも貫通ダメージ付き…」
「クィーンズ・ナイトの守備力を上回った!!」
「いけ、スパークマン!!
─クィーンズ・ナイトを攻撃、スパークフラッシュ!!」
「うかつよ十代
─リバース発動、速攻魔法『頼もしき守護者』
クィーンの守備力を発動ターンの間、700アップさせるわ」
「ゲッ…!!」
[ふふ、ごめんなさいね十代くん]
クィーンズ・ナイト DEF 1600→2300
「うわっ」
十代 LP 4000→3800
「前にも見せたカードなんだから、ちゃんと警戒してちょうだい」
「ちぇ~
カードを1枚伏せて、ターンエンドだ
ヒートハートの効果が切れて、スパークマンの攻撃力は元に戻るぜ」
「こっちも頼もしき守護者の効果が切れて、クィーンの守備力が戻るわ」
クィーンズ・ナイト DEF 2300→1600
「あたしのターン、ドロー」
カードを引いたみさとは、十代のフィールドの伏せカードを見ていた
「(通常モンスターを1体だけフィールドに置くっていうのは悪手、あの伏せカードはヒーロー用のトラップと見て間違いない
とすれば…)
『マハー・ヴァイロ』を攻撃表示で召喚」
みさとのフィールドのクィーンの隣に、青いローブを纏った魔法使いが現れた
マハー・ヴァイロ
☆4 光属性 魔法使い族 ATK 1550 DEF 1400
「攻撃力がスパークマンより低いモンスター?」
「いや、あのモンスターは少し厄介な効果を持っているぞ」
首を傾げる翔の隣で、三沢はみさとの次の手を観察していた
「─装備魔法『秘術の書』をマハー・ヴァイロに装備、攻守共に300アップよ」
マハー・ヴァイロは目の舞に現れた魔道書を読み、体に力を漲らせた
マハー・ヴァイロ ATK 1550→1850 DEF 1400→1700
「そしてマハー・ヴァイロの効果、装備カードの枚数だけ自身の攻撃力を500アップさせる」
「じゃあ攻撃力は800ポイントも上がるのか!?」
マハー・ヴァイロ ATK 1850→2350
「マハー・ヴァイロ、スパークマンを攻撃よ
─ホーリー・ライトニング!!」
パリパリッと音をたてて手の中で聖なる雷を瞬かせたマハー・ヴァイロが
「─させねぇぜ、罠カード『ヒーローバリア』発動!!
自分フィールドに
マハー・ヴァイロが放った電撃は、
「やっぱそれか…カードを1枚伏せて、ターン終了よ」
「…今のところ、みさとくんが優勢だな」
「ええ…」
十代とみさとの攻防を見ていた三沢と明日香は、苦い表情で十代を見ていた
「え?
どういう事っスか?」
「そりゃあ、向こうのモンスターの方が攻撃力は上だけどそれも少し上ってだけなんだな」
「それだけじゃないのよ…」
状況を理解出来ていない翔と隼人に、明日香は冷静な口調で話し始めた
「─十代はさっき、ヒーローバリアを使わされたのよ」
「「「使わされた」…?」」
「ああ
本当に攻撃するつもりなら、さっきのターンでみさとくんはクィーンズ・ナイトを攻撃表示に変更するべきだった」
「なのにしていない…伏せカードを消費させる事がさっきの攻撃の本当の目的よ
そしてそれだけ考えられる余裕がある、その時点で今はみさとが有利に立っているわ」
「そんな…」
「十代…」
「まだまだデュエルは始まったばかりだぜ、オレのターン!!」
勢いよく引いたカードを見た十代は、パアッと表情を明るくさせた
「来たァー!!
─魔法カード『融合』発動!!
フィールドの
十代のフィールドに、大きな体を持つ電撃のヒーローが現れた
☆6 光属性 戦士族 ATK 2400 DEF 1500
「ここでサンダー・ジャイアントか!!」
「あのモンスターの効果でなら、十代の逆転も不可能じゃないわ!!」
[本当に、面白い子ですね]
(…そうね)
「サンダー・ジャイアントの効果発動!!
手札を1枚墓地に送ってフィールド上にいる元々の攻撃力が、このカードの攻撃力より低いモンスター1体を破壊する!!
─マハー・ヴァイロを破壊だ、ヴェイパー・スパーク!!」
「ッ…!!」
「よっしゃ、そのままクィーンを攻撃だ!!
─ボルティック・サンダー!!」
続けざまにクィーンズ・ナイトに雷撃が放たれようとする前に、みさとは伏せていたカードを開いた
「それは通さないわよ
─リバース発動、罠カード『イタクァの暴風』
相手フィールドのモンスター全ての表示形式を変更する!!」
フィールドに巻き起こった暴風が、
「これじゃ攻撃出来ねぇ!!
仕方ねえ、ターンエンドだ」
「やった!!
相手のマハー・ヴァイロを破壊出来たっス!!」
「みさとくんのフィールドを全滅させる事が出来れば言う事無しだが、ドローしたカードだけで逆転する事が出来たのは素直にスゴいな」
「ええ…偶然、というのは流石に違うわ
十代、なんて引きの強さなの…」
「十代…!!」
「低ステータスのモンスターが多いのに、融合で能力を一気に跳ね上げる…本当、そこがヒーローデッキの怖い所なのよね…あたしのターン!!」
引いたカードを確認したみさとは、そのカードをデュエルディスクにセットした
「せっかくだから見せてあげるわ
─クィーンを生け贄に、出てらっしゃい『ブラック・マジシャン・ガール』!!」
みさとのフィールドのクィーンがいなくなり、入れ替わるように魔法使いの少女が現れてポーズを決めた
ブラック・マジシャン・ガール
☆6 闇属性 魔法使い族 ATK 2000 DEF 1700
「─ブラック・マジシャン・ガール、キタアアァァーッ!!!!」
その場に盛大に響いた翔の雄叫びに、その場の全員が目を点にして翔を見つめた
「翔くん…?」
「そんなにファンだったのか…?」
「だってブラック・マジシャン・ガールっスよ!?
最高のカードっス、興奮しない訳ないじゃないか!!」
「「そ、そうだな…;」」
握り拳片手に力説する翔に、三沢と隼人はどこか引いたような声をもらした
「スゲー!!
本物のブラマジガールだ!!
前の万丈目とのデュエルの時に聞いてたけど、やっと会えたぜ!!」
「アンタは、翔くんみたいなミーハーじゃないのね
まあとにかく、ガールで守備表示のサンダー・ジャイアントを攻撃!!
─いくわよ、ブラック「
技名を興奮した翔に横取りされてイマイチ締まらないガールの攻撃が、十代のフィールドの
「くっ…サンダー・ジャイアント……!!」
「翔くん、アンタねぇ……ターン終了」
「オレのターン、ドロー
『カード・ガンナー』を守備表示で召喚」
十代のフィールドに、小さな機械の戦車のようなモンスターが現れた
カード・ガンナー
☆3 地属性 機械族 ATK 400 DEF 400
「カード・ガンナーの効果発動
デッキの上から3枚まで墓地に送る事で、このカードの攻撃力を墓地に送ったカードの枚数×500アップさせる
オレは3枚のカードを墓地へ」
十代がデッキから3枚のカードを墓地に送ると、カード・ガンナーは力を漲らせた
カード・ガンナー ATK 400→1900
「何やってるんスかアニキ!!」
「攻撃力がブラック・マジシャン・ガールに届いてないし、守備表示じゃ攻撃出来ないんだな」
「いいえ
多分、十代の目的はカードを墓地に送る事よ」
十代のやり方に翔と隼人が文句を言うと、明日香と三沢は翔達に答えるように話し出した
「攻撃力だけ見れば確かに隼人くんの言う通りなんだけど、それは十代も分かっている事だと思うの」
「アレは墓地にカードを送る事で、『死者蘇生』のような墓地から復活させる事の出来るカードを使う為の布石だろうな」
「これでターンエンドだ
カード・ガンナーの攻撃力は元に戻るぜ」
カード・ガンナー ATK 1900→400
「(墓地を肥やして来た…分かってるじゃない、十代)
あたしのターン、ドロー
『味方殺しの女騎士』を召喚」
みさとのフィールドのブラック・マジシャン・ガールの隣に、大振りの剣を構えた女騎士が現れた
味方殺しの女騎士
☆4 地属性 戦士族 ATK 2000 DEF 1000
「また攻撃力 2000のモンスター…!!」
「女騎士でカード・ガンナーを攻撃
─裏切りの剣!!」
大振りの剣を構えた女騎士の一太刀が、十代のカード・ガンナーを真っ二つに斬り裂いた
「グッ…!!
カード・ガンナーが破壊されて墓地に送られた時、デッキからカードを1枚ドロー出来る」
「けどこれで丸裸よ
─ガールでダイレクトアタック」
「ブラック「翔くん?」…はい」
「ったく…改めて、
再び横取りしようとした翔を黙らせたみさとの掛け声で空中へ飛び上がったブラック・マジシャン・ガールは、杖先に溜めた魔力を十代に向かって思い切り振り下ろした
「うわあああァァーッ!!」
十代 LP 3800→1800
「カードを1枚伏せて、ターン終了」
「アニキのライフが…」
「後1回でもダイレクトアタックが入れば、十代の負けだな…」
(やっぱり、無理なんだな…レッドがブルーに勝てる訳ないんだな…)
「へへっ、やっぱ強ぇなみさと!!」
「ん?ありがと」
「けどまだ負けねぇぜ!!
オレのターン、ドロー!!
─魔法カード『戦士の生還』発動!!
墓地の戦士族モンスター1体を手札に戻すぜ」
「今アニキの墓地にいる戦士族は、サンダー・ジャイアントとその融合素材のスパークマンとクレイマンだけのハズ…」
「何を戻すつもりなんだ…?」
翔と隼人の疑問に答えるように、十代はデュエルディスクの墓地から1枚のカードを取り出した
「─オレは墓地の『
「バーストレディ!?」
「いつの間にそんなカードが墓地に…?」
「─カード・ガンナーの効果か…!!」
驚いている翔達の隣で、閃いた三沢は思わず大声を上げた
「カード・ガンナーの攻撃力を上げる効果で、十代はさっきカードを3枚墓地に送っている
その中にバーストレディがいたと考えれば納得出来る」
「ああ、その通りだぜ!!」
三沢に答えた十代は、そのまま握っていたバーストレディと手札の2枚のカードをデュエルディスクにセットした
「─2枚目の融合を発動!!
─手札の『
十代のフィールドに現れたフェザーマンとバーストレディが1つになり、1人の炎のヒーローとなって十代のフィールドに現れた
☆6 風属性 戦士族 ATK 2100 DEF 1200
「来た!!
アニキのエースモンスター!!」
「ここでフレイム・ウィングマンを出すか…」
フィールドに出て来たモンスターを見て、みさとは思い出したような声をもらした
「─そーいえば…」
「ん?何だ?」
「いやね、ただ単純に思っただけだし貶すつもりは無いんだけど…フレイム・ウィングマンって風属性よね?」
「おう、そうだぜ?」
「技名も、確かフレイム・シュートだったわよね?」
「ん?おう」
「─……風属性要素、どこ…?」
みさとの率直な疑問に、その場はシン…ッと静まり返った
「えっと…」
「そう言われてみれば…」
「わからないんだな…」
「僕、今気付いたっス」
「何だよー!!
カッコいいだろ、フレイム・ウィングマン!!」
「まあ、うん…そうね
それは否定しないわ…なんかゴメン」
「まあ良いや…バトルだ!!
フレイム・ウィングマンでブラック・マジシャン・ガールを攻撃!!
─フレイム・シュート!!」
「さよなら、ブラック・マジシャン・ガール…」
悲しそうな声で呟いた翔を尻目に、
「ッ…!!」
みさと LP 4000→3900
「まだだ、フレイム・ウィングマンの効果発動!!
このカードがバトルで相手モンスターを破壊して墓地に送った時、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを与える!!」
「うわわわわっ」
みさと LP 3900→1900
「カードを1枚伏せて、ターンエンドだ」
「─それならこっちもリバース発動、速攻魔法『終焉の焔』
自分フィールドに『黒焔トークン』2体を特殊召喚出来る」
ボウッと音を立てて、みさとのフィールドに黒い焔のトークンが2体現れた
黒焔トークン×2
☆1 闇属性 悪魔族 ATK 0 DEF 0
「あたしのターン、ドロー
女騎士の効果、自分のスタンバイ時に自分フィールドのモンスター1体を生け贄に捧げる
黒焔トークン1体を生け贄に捧げるわ」
みさとのフィールドの黒焔トークン1体が、光に包まれて消えていった
「あのトークンは女騎士の為に出していたのね」
「デメリットの対策もしている…考えられているデッキだな」
「─魔法カード『強欲な壺』、デッキからカードを2枚ドロー
そして『心眼の女神』を召喚」
みさとがデッキから引いた片方のカードをデュエルディスクにセットすると、フィールドに額に3つ目の瞳を持つ女性が現れた
心眼の女神
☆4 光属性 天使族 ATK 1100 DEF 1200
「反撃開始よ、こっちも融合を発動!!
手札の『暗黒騎士ガイア』とフィールドの心眼の女神を融合、ここで女神の効果発動!!」
「心眼の女神は融合補助の効果を持つモンスター
融合素材の代わりにする事が出来るカードだ」
「暗黒騎士ガイアを融合素材にするモンスターって事は…!!」
三沢と翔が話をしている間に、みさとのフィールドに現れた2体のモンスターが融合の渦に飲まれていく
「─いらっしゃい、『竜騎士ガイア』!!」
みさとのフィールドに、『カース・オブ・ドラゴン』に乗った2枚の槍を持った槍騎士が現れた
竜騎士ガイア
☆7 風属性 ドラゴン族 ATK 2600 DEF 2100
「今度は竜騎士ガイアか…」
「決闘王 武藤 遊戯のモンスターが次々と出て来るわね…」
「(本人達からお下がりもらってる、なんて言えないわよね…)
バトルよ、竜騎士ガイアでフレイム・ウィングマンを攻撃!!
─ダブル・ドラゴン・ランス!!」
竜騎士ガイアの2枚の槍が、十代の
「うわあっ!!」
十代 LP1800→1300
「─ッ…罠カード『ヒーローシグナル』発動!!
自分フィールドのモンスターがバトルで破壊された時、手札かデッキからレベル4以下のE・HERO1体を特殊召喚出来る
来い、『
十代のフィールドに、水色のヒーロースーツを来た小太りなヒーローが現れた
☆4 水属性 戦士族 ATK 800 DEF 1200
「バブルマンの効果発動!!
このカードの特殊召喚に成功した時、デッキからカードを2枚ドロー出来る」
「こっちの攻撃を活かして手札を増やしたのは良い手だと思うけど、せめて守備表示で出しなさいよ…
─女騎士でバブルマンを攻撃、裏切りの剣!!」
味方殺しの女騎士の剣が、十代のフィールドの
「ぐぅ…っ!!」
十代 LP 1300→100
「ターン終了よ」
「オレのターン、ドロー
…『フレンドック』を守備表示で召喚、カードを1枚伏せてターンエンドだ」
十代のフィールドに、黒い機械の犬が現れて守りの体制をとった
フレンドック
☆3 地属性 機械族 ATK 800 DEF 1200
「あたしのターン、ドロー……ッ!?」
引いたカードを見たみさとは、どこか怯えたような表情に変わった
「みさと?」
「どうしたんだ?」
様子がおかしい事に気付いた明日香と十代が声をかけるが、みさとは振り切るように首をブンブンと振った
「な、何でもない!!
女騎士の効果で、もう1体の黒焔トークンを生け贄に捧げる
このままバトルよ、女騎士でフレンドックを攻撃!!
─裏切りの剣!!」
一気に跳び掛かった味方殺しの女騎士の剣が、十代のフレンドックを真っ二つに斬り裂いた
「ッ…フレンドックの効果発動!!
このカードがバトルで破壊されて墓地に送られた時、自分の墓地から融合と
「これで終わりよ、竜騎士ガイアでダイレクトアタック!!
─ダブル・ドラゴン・ランス!!」
竜騎士ガイアの槍が十代を襲う前に、十代の伏せカードが開いた
「─罠カード『攻撃の無力化』!!
攻撃を無効にして、バトルを強制終了させる!!」
竜騎士ガイアの攻撃は、十代の前に張られた渦に止められた
「ッ…カードを1枚伏せて、ターン終了よ」
「みさとさん、どうしたんだろ…?」
「ドローしたカードに、どこか怯えたような感じだったけど…」
「だが、何はともあれ状況はみさとくんが優勢だ
十代の残りライフは僅か100、手札は4枚あるがフィールドはがら空き
このターンで逆転しないと、十代に勝ち目は無い…」
「…き」
苦い表情をする三沢の隣で、拳を握った隼人は一歩前に出た
「─気張れェ、十代ッ!!!!」
「隼人くん!?」
隼人の熱烈な声援を受けた十代は、ニッと笑ってデッキの上に指を滑らせた
「おう、任せとけ!!
オレのターン、ドロー!!
─魔法カード『ホープ・オブ・フィフス』発動
自分の墓地の
十代は自分の墓地から、スパークマン クレイマン サンダー・ジャイアント バブルマン フレイム・ウィングマン…の5枚のカードを取り出した
「この5枚をデッキと融合デッキに戻して、2枚ドローする!!
─魔法カード『O-オーバーソウル』発動、墓地の
来い、バーストレディ!!」
十代のフィールドに、赤いヒーロースーツに身を包んだ炎使いの女ヒーローが現れた
☆3 炎属性 戦士族 ATK 1200 DEF 800
「─そして融合を発動!!
手札のフェザーマンとフィールドのバーストレディを融合して、戻って来いフレイム・ウィングマン!!」
十代のフィールドに、
「─更に墓地の『
「ネクロダークマン!?
それもカード・ガンナーの効果で墓地に行ってたんスか!?」
「いや、十代には好きにカードを墓地に送れるチャンスが1回だけあった」
「ええ…サンダー・ジャイアントの効果を使う時のコスト
あの時墓地に送られたカードが、多分ネクロダークマンだったのよ」
三沢と明日香が分析する中、十代は手札のカードをデュエルディスクにセットした
「ネクロダークマンが墓地にいる時、手札からレベル5以上のE・HERO1体を生け贄無しで召喚出来る
─来い、『
十代のフィールドの
☆7 地属性 戦士族 ATK 2600 DEF 1800
「アニキのフィールドに、2体も強力なヒーローが…!!」
「─更にフィールド魔法『摩天楼-スカイスクレイパー-』発動!!」
辺りが一瞬で、たくさんのビルが立ち並ぶ夜の大都市に変化した
「
行け、エッジマン!!
味方殺しの女騎士を攻撃!!
─パワー・エッジ・アタック!!」
十代のフィールドの
「ッ…!!」
みさと LP 1900→1300
「決めるぜ!!
フレイム・ウィングマンで、竜騎士ガイアを攻撃!!
スカイスクレイパーの効果で、フレイム・ウィングマンの攻撃力は1000アップだ!!」
「これが通ったら十代の勝ちだ!!」
活き活きとした表情でデュエルする十代に、みさとは目を奪われていた
(何て清んだ眼差しでデュエルしてるの…)
「─スカイスクレイパーシュート!!」
「ぅあぁっ!!」
みさと LP 1300→800
「フレイム・ウィングマンの効果!!
バトルでモンスターを破壊した時、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを与える!!」
「くぅ…!!」
みさと LP 800→0
「やった!!
アニキの勝ちだ!!」
「十代!!」
デュエルに決着が着き、翔と隼人が十代に駆け寄る
「やったっスね、アニキ!!」
「ありがとな翔!!
隼人も、応援してくれてありがとな」
「オ、オレ……」
「いやー、負けたわ十代
参った参った」
口ごもる隼人の後ろから、デュエルディスクを片付けたみさとが近寄っていく
「みさと、最後のターンの伏せカードって…「さーてと!!」
十代が言い終わる前に、みさとは大声を出した
「日も暮れてきちゃったし、そろそろ帰るわね
楽しかったわ、十代」
ウインクするみさとに、十代は笑って得意のポーズをとった
「ガッチャ!!
楽しいデュエルだったぜ!!
またやろうな!!」
「ええ、約束するわ
それじゃ明日香、帰ろっか…あ、三沢もね」
「そうね、それじゃまたね」
「オレは付け足しか!!
…またな」
3人がレッド寮を後にするのを、十代達は見送った
「─…さっきのデュエル、みさとは何で伏せカードを使わなかったんだ?」
「「え?」」
十代の一言に、隼人と翔は目を点にした
「確かにみさとさんには、伏せカードが残ってたっスけど…使えるカードじゃなかったからじゃないかなぁ?」
「そうなのかなぁ……ああーっ!!
もう1回デュエルしてぇー!!」
(オレも、頑張れるかもしれない……もう一度、頑張ってみるんだな
見ててくれ、父ちゃん…)
ビッグ・コアラのカードをしまった隼人の目は、いつもとは違っていた
夜、女子寮で髪を乾かしたみさとはデッキから1枚のカードを引いた
[そのカード、十代くんとのデュエルで最後に伏せたカードですね]
「うん…罠カード『破壊輪』……克服のためにね
攻撃してきたタイミングでコレを使ったらフレイム・ウィングマンを破壊して…」
[その攻撃力分のダメージを与える
お嬢もボウズもライフが尽きて引き分けだった、だろ?]
「ええ…」
[─…やっぱ、まだ無理だったか]
みさとは椅子に腰掛けて、机にカードを置いてから口を開いた
「それもある
けど…隼人くん、最初に会った時はあんなに気弱だったでしょ?
なのにあんなに一生懸命に十代を応援して……デュエリストとしての気質を思い出すキッカケになったかもしれないじゃない?」
[そこでお前が勝ってしまったら、アイツはまた塞ぎ込んでしまう
だから、わざと負けたのか]
「ちょっと傲慢が混ざってるかもだけど、そんな感じ
結構ギリギリだったけどね」
背もたれに凭れたみさとは、引き出しから1枚のドラゴンのカードを取り出した
「……十代といれば、あたしが無くしたモノを取り戻せるかもしれない
そうしたら、またこの子を使ってあげられるかな…?」
[…きっとその時が来ますよ]
[そいつの主はお嬢しかいねぇからな]
[オレ達もだかな]
「…ありがと、みんな」
みさとの微笑みに、三騎士達は優しく微笑んだ
ペガサスからのプレゼントという理由で、ちょくちょく世代では無いカードが出て来るかもしれません
みさとちゃんは、あるカードをデッキに入れて戦えなくなってます
そのカードと理由が何なのか、それはまたいずれという事で