遊戯王GX 戦場に立つ乙女   作:なおにぃ

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タイトル通りです
今回、みさとちゃんの正体がバレます


TARN 14  正体発覚  VS 決闘王デッキ

授業が終わった放課後、居眠りをしていた十代を文字通り叩き起こしたみさとは、一緒に購買へ向かっていた

 

「なんだぁ…あの騒ぎ?」

 

購買へ向かっていた道中、謎の人だかりが出来ていた

 

2人がその人だかりをかき分けて進むと、騒ぎの中心で翔がラーイエローの生徒とのデュエルの真っ最中だった

 

「翔?」

 

「何やってんの?」

 

「あ、アニキにみさとさん!!」

 

翔はみさとの質問には応えず、購買部のトメさんの後ろの大きな張られたポスターに視線を向けた

 

「あー?

「…あの伝説のデッキが蘇る…明日の朝から…デュエルキング武藤 遊戯のデッキがアカデミアに…展示…され…る」って!?」

 

「ああ、そういえばそんな話もあったわね…」

 

ポスターに映っている武藤遊戯の姿とその横に書かれた文字を読み出す十代を、みさとはどうでも良さそうに見ていた

 

「…つまり展示を見るのに必要な整理券を賭けてデュエルをしてる、と?」

 

「そういう事っス!

あ、ちなみに僕はもう買ったんスけど、これはアニキの分なんスよ!!」

 

「翔…絶対勝ってくれよ!!」

 

「任せてくれよ!!」

 

再開された翔のデュエルの相手、ラーイエローの神楽坂はクロノスのコピーデッキを使い、入学試験で十代とのデュエルで見せたものと全く同じコンボで古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)を召喚した

 

そのまま翔に攻撃を仕掛けるが、翔は『ジェットロイド』の効果で手札から発動した罠カード『魔法の筒』で攻撃を全て神楽坂に返して勝利した

 

「やったぁ!!

僕の勝ち!!」

 

「すごいぜ、翔!!

オレが苦労したコンボをあっさり破りやがって」

 

(アレ、そこまで言う程のコンボだったかなぁ…)

 

「アニキとクロノス先生のデュエルを覚えてて、カウンターをデッキに入れといたらばっちり決まっちゃった」

 

そう言って笑う翔を睨み、神楽坂は悔しそうにその場を逃げ去って行った

 

十代の隣にいつの間にか立っていた三沢は、神楽坂はいつも誰かのコピーデッキを使うと話した

 

そう言われ、十代はなぜか納得いかないように神楽坂の去った方を見た

 

「コピー…ねぇ、オレは自分のデッキを自分で作るからこそデュエルは面白いと思うんだけどな」

 

「まあね~…デッキはデュエリストの魂

他人のデッキを真似るのは有りがちだけど、オリジナリティーは大事よ」

 

「誰もがみんな、十代達のように考えるというわけではないということだ」

 

「そう言うもんかな」

 

「どうかしらね」

 

十代はつぶやき、翔から整理券を受け取った

 

「そういえば、みさとさんも当然持ってるっスよね?」

 

「ん?

整理券の事?

持ってないわよ

っていうか、その話もスッカリ忘れてたし」

 

「「「ええっ!?」」」

 

当たり前のように言ったみさとに、十代・翔・三沢の3人の声が揃った

 

「な、何よアンタ達…?」

 

「何やってるんスかみさとさん!!」

 

「あの遊戯さんのデッキだぜ!?」

 

「この機会を逃す手は無いハズだぞ!?」

 

「い、いいのよ別に

見なきゃ死んじゃうってわけでもないんだし」

 

「そんな呑気なぁ」

 

唖然とする3人を尻目に、みさとは明後日の方向を向いた

 

(それに、遊戯兄ちゃんのデッキなんて…嫌になるほど見てるし、内容全部知ってるしね…)

 

[まあ、確かにな…]

 

[ここまで来てまで、見たくは無いですね…]

 

[1度も勝てた事ねぇもんな…]

 

(うるっさい)

 

整理券が無くなった事を皮切りに生徒達は去って行き、十代達もそれぞれの寮へ帰って行った

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜、オベリスクブルーの女子寮の明日香の部屋でみさと達は制服のまま話に華を咲かせた

 

「いよいよ明日ですね!!」

 

「あの遊戯様のデッキを見れるなんて幸せですわー!!」

 

「ふふ、そうね」

 

「明日は4人で見に行きましょうね、明日香さん!!」

 

「あー、ゴメン

あたしはパスね」

 

「「「ええっ!?」」」

 

その一言に、明日香・ジュンコ・ももえの視線がみさとに集まった

 

(ま、またこのパターン…?)

 

「何でですの!?」

 

「ぇ、いや…あたし、整理券持ってないのよね~、あはは…」

 

「何やってたのよアンタは!?」

 

「ゴメンってば…だから明日は、アンタ達だけで楽しん……」

 

話の途中で、みさとの端末が鳴り出した

 

「あ、ゴメン

あたしのだわ…十代?

もしも~し?」

 

『みさと、大変なんだ!!』

 

「どうしたっていうのよ?

そんな焦って…トイレ?」

 

『違ぇよ!!』

 

『十代、代わってくれ……夜遅くにすまないみさとくん、三沢だ』

 

「三沢?

アンタまで一緒にトイレ?」

 

『…とりあえずトイレから離れてくれ

─実は…明日から公開される決闘王のデッキが、何者かに盗まれたみたいなんだ』

 

「なっ…!?」

 

「「「「何ですって!?」」」」

 

その場にみさとと、電話を聞いていた明日香達の声が揃った

 

『オレ達も探しているんだが、すまないが手を貸してくれないか?』

 

「(このあたしがいるってのに遊戯兄ちゃんのデッキを盗むなんて、どこのバカか知らないけどいい度胸……腹の底から後悔させてやるわよォ!!)

わかったわ、任せなさい

…行くわよ、アンタ達!!」

 

「「「ええ/はい!!」」」

 

「このあたしに逆らったバカは、このあたしが直々にブチのめしてやろうじゃないの!!

おーっほっほっほっほっほっ!!!!」

 

「「ヒィ!!」」

 

みさとの謎の高笑いに、定期試験を思い出したジュンコとももえは脅え始めた

 

「さあアンタ達、急ぐわよォ!!」

 

どこかハイになったみさとを先頭に、デュエルディスクを持った明日香達は寮を飛び出した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

寮を出た4人はジュンコとももえ・明日香・みさとの3組に散った

 

1人になったみさとは、空中から精霊の三騎士達に協力してもらいながら犯人を探していた

 

「ったく、どこにいるっていうのよ!!」

 

[この学園のガキ共には、使われる方も使う方も役不足な代物だってのにな]

 

「まったくよ、遊戯兄ちゃんのデッキを使いこなせる奴なんているわけ無いわ!!」

 

走り続けていたみさととキングの元に、空からジャックとクィーンが降りてきた

 

[みさと、犯人見つけたぞ!!]

 

[今、翔くんが戦っている最中です!!]

 

「何ですって!?

…2人共案内して、急ぐわよキング!!」

 

[おうよ]

 

[こっちだ!!]

 

[ついて来てください!!]

 

ジャックとクィーンを先頭に、みさと達は走り出した

 

 

 

 

 

 

たどり着いた先には、膝をつく翔と向き合って立っている1人の生徒……ラーイエローの神楽坂の姿があった

 

(アイツ、昼間のイエロー生……アイツが犯人…?)

 

そんな翔の後ろから、十代・隼人・三沢が走ってきた

 

「翔!!」

 

「神楽坂!?

君がデッキを盗んだ犯人なのか!?」

 

「翔…負けたのか……?」

 

「うぅ…アニキぃ、悔しいよぉ……」

 

「これこそオレが求めていた最強のデッキだ

オレなら…武藤 遊戯のデュエルも徹底的に研究しているオレなら、彼のデュエルを100%再現できる!!

もうオレは誰にも負けない、クロノスだろうがカイザーだろうが誰にも!!」

 

「─…は?」

 

神楽坂の話を聞いたみさとの口から、ドスの効いた低い声がもれた

 

[行くんだろ、お嬢?]

 

[オレ達で取り戻そうぜ]

 

[私達も覚悟は出来ています]

 

(…行くわよみんな)

 

[[[ああ/おう/ええ]]]

 

その間に声高らかに笑う神楽坂に、十代は翔の代わりに向きあうように立った

 

「誰にも負けないっていうならオレとデュエルしろ!!

そしてもし負けたらデッキは潔く返すんだ!!」

 

「お前…本当にオレに勝つ気でいるのか?」

 

そう問い掛ける神楽坂に、十代はワクワクするようにそれを急かし神楽坂はそんな十代の挑戦を受ける寸前、その場にみさとの大声が響いた

 

「─待ちな十代!!」

 

「な、何だ!?

って、みさとじゃねぇか!!」

 

「…お前は、オベリスクブルーの女子か」

 

神楽坂に答えず、みさとは十代の前に立った

 

「下がっときな十代、アレはあたしの獲物よ」

 

「何でだよォ!!

折角、あの遊戯さんのデッキとデュエル出来るっていうのにさ!!」

 

「だからこそよ!!

…アンタ、コピーとはいえよくもあたしの師匠のデッキを盗んで自分の物みたいな顔してくれたわね」

 

体中から怒りのオーラを出すみさとに、十代達は身を引いた

 

「な、何かみさと…めっちゃ怒ってね?」

 

「も、物凄く怒ってるよ…」

 

「怖いんだな…」

 

「どうしたというんだ……ん?

「あたしの師匠のデッキ」…?」

 

そんな中、三沢はみさとの一言を繰り返して首をかしげた

 

「お前の師匠のデッキだと?

何を言うかと思えば…これは決闘王 武藤 遊戯のデッキだ、お前の師匠のデッキなんかじゃない!!」

 

「…あたしの変装スキルも捨てたモンじゃないわね

問題、伝説のデュエリストの中で最年少は何歳で、性別は何でしょうか?

はい、三沢くん速かった!!」

 

「大喜利か!?

えっと…最年少の伝説のデュエリストは、確か今のオレ達と同い年の女性……え?

ま、まさか……」

 

答えていた三沢の頭の中に1つの可能性が浮かび、目を見開きながら震える指でみさとを指差した

 

「そのまさか、よ」

 

「う、嘘だろう!?」

 

「何がだよ三沢!?」

 

「僕達にも分かるように説明して欲しいっス!!」

 

「─……あたし、不知火 みさとなんて名前じゃないわ」

 

「「「へ?」」」

 

呆けた声をもらす十代達に背を向けたまま、みさとはかけていた眼鏡を外した

 

「…最年少の伝説のデュエリストは決闘王 唯一の弟子

─アンタ達が決闘乙女(ヴァルキリー)なんて、あたしに似合いもしない異名をつけて呼ぶ女……七瀬 みさととは他でもない、このあたしよ!!」

 

髪をかきあげて親指で自分を指差しながら、素顔を晒したみさとは十代達の方を振り向いた

 

「「「でええええええーっ!!?」」」

 

「ほ、本物の決闘乙女(ヴァルキリー)なんだな…」

 

「こんな…近くにいたなんて……」

 

「スゲー…スゲースゲースゲーよ!!

本物の伝説のデュエリストがオレ達の目の前にいるんだな!!」

 

呆然とする隼人や翔とは対照的に、十代は目を輝かせてみさとを見た

 

「隠してて悪かったわ、調査員の仕事の為に偽名と変装は必須だったのよ」

 

「だから不知火って名乗ってたんスね…」

 

「そういう事…とにかく、ここはこのみさとちゃんに任せなさい」

 

神楽坂に向き直ったみさとは真剣な眼差しに変わった

 

「…まさか、本物の伝説のデュエリストがこの学園にいたとはな」

 

「アンタ言ったわよね?

「武藤 遊戯のデュエルも徹底的に研究しているオレなら、彼のデュエルを100%再現できる」って

…あたしは遊戯兄ちゃんに1度も勝った事は無いわ

そんなあたしを倒せたら、アンタのその言葉の証明になるんじゃない?」

 

「いいだろう、例え伝説のデュエリストだろうとこの最強のデッキで軽く捻ってやる!!」

 

「やれるもんなら、やってみな

(行くわよみんな!!)」

 

自分のデュエルディスクを起動させるみさとの周りで三騎士達は強く頷き、その様子に十代は目を見開いた

 

(みさとの騎士達があんなに真剣な顔してんの、初めて見たぜ…)

 

「覚悟しなさい」

 

「来るなら来い!!」

 

「「─決闘(デュエル)!!」」

 

みさと LP 4000

神楽坂 LP 4000

 

決闘乙女(ヴァルキリー) 七瀬 みさと……決闘王 武藤 遊戯の唯1人の弟子

国内外の大会で優秀な成績を修め続け、女性デュエリスト進出の切っ掛けとなった1人

だが1年前、表舞台から突然姿を消した謎の少女……まさか、とっくに知り合っていたとは……」

 

三沢が呆然と呟く中、みさとのディスクにランプが灯りデュエルが始まった

 

「あたしの先攻、ドロー!!」

 

6枚の手札を見つめ、みさとは思案した

 

ーー

「武藤 遊戯のデュエルも徹底的に研究しているオレなら、彼のデュエルを100%再現できる!」

ーー

 

(まずはあの言葉がハッタリかどうかを確かめる!!

幸い、ペガサスがくれたカードがこのデッキには結構入ってるし)

 

方針を決めたみさとは、手札の2枚に手をかけた

 

「モンスターを裏守備でセット、カードを1枚伏せてターン終了」

 

「伝説を見るがいい…オレのターン、ドロー!!

─手札から魔法カード『融合』を発動!!」

 

(マジで来たし……出て来るのは、遊戯兄ちゃんのデッキの切り込み役のアイツね)

 

「─『幻獣王 ガゼル』と『バフォメット』を手札融合し、『有翼幻獣 キマイラ』を融合召喚!!」

 

神楽坂のフィールドで2体の獣が融合し、四つ足で翼の生えた双頭の獣が現れた

 

有翼幻獣 キマイラ

☆6 風属性 獣族 ATK 2100 DEF 1800

 

「いきなり攻撃力2100のモンスターなんだな!!」

 

「これが決闘王のデッキ…」

 

「これはほんの序の口だ、キマイラで裏守備のモンスターを攻撃!!

─インパクト・ダッシュ!!」

 

神楽坂のフィールドの有翼幻獣 キマイラが、裏守備のモンスターに向かって走り出す

 

「来ると思った…リバース発動!!」

 

みさとは伏せていたカードを発動したが何も起こらず、有翼幻獣 キマイラの攻撃でみさとのモンスターは破壊された

 

「伏せカードが発動したのに、何も起きてないっス!!」

 

「プレイングミスなんだな!!」

 

「何やってんだよみさと!!」

 

「まあ見てなさいって」

 

「ふん、大口をたたいた割りには大した事ないな

本当にお前、伝説のデュエリストか?」

 

「この程度の事で自慢気になってんだったら、話にならないわね

キマイラを見てみなさい」

 

「何…?」

 

神楽坂のフィールドの有翼幻獣 キマイラの背後に1つの影が現れ、手にしていた短剣で一気に斬り裂いた

 

「なっ…オレのキマイラが……!?」

 

「キマイラが一瞬で倒されたぞ!?」

 

「僕なんて、あのモンスターだけにやられたのに!!」

 

「どうなってるんだ!?」

 

「アンタが破壊した裏守備モンスターは『深淵の暗殺者(ナイト・アサシン)』、コイツのリバース効果は相手フィールド上のモンスター1体を破壊出来る」

 

「くっ…だが、キマイラの効果発動!!

このカードが破壊された時、バフォメットかガゼルのどちらか1体を特殊召喚する事が「出来ないのよね~」なっ…!?」

 

「さっきの伏せカード、ちゃんと発動してるのよ?」

 

「何だと!?」

 

驚く神楽坂を見ながら、みさとはデュエルディスクの墓地から1枚のカードを取り出した

 

「─さっきのバトルステップ時に発動させたのはコレ、速攻魔法『墓地封印』

手札1枚をコストにする事で、発動ターンの墓地で発動する効果を無効に出来るの」

 

「上手い…!!

リバース効果のモンスターで破壊し、速攻魔法の効果で墓地で発動する追加効果を無効化…キマイラを知り尽くしている」

 

感心したような三沢の声に、みさとは苦笑を漏らした

 

「遊戯兄ちゃんってば、キマイラのコンボで上級モンスターを簡単に呼び出しちゃうんだもん

対策の1つや2つはするわよ……で、どうすんの?」

 

「くっ、ターンエンドだ」

 

神楽坂は忌々しそうにみさとを睨んだ

 

「あたしのターン、ドロー

『コマンド・ナイト』を召喚!!」

 

みさとのフィールドに、赤い鎧に身を包んだ女騎士が現れた

 

コマンド・ナイト

☆4 炎属性 戦士族 ATK 1200 DEF 1900

 

「今、神楽坂のフィールドはがら空きだ!!」

 

「チャンスだぜみさと!!」

 

「わかってますって!!

コマンド・ナイトの効果、このカードがフィールドにいる限り自分の戦士族の攻撃力は400アップする

そのままダイレクトアタックよ!!」

 

コマンド・ナイト ATK 1200→1600

 

一気に走り出したコマンド・ナイトが抜いた剣が、神楽坂を一気に斬り裂いた

 

「ぐあ…っ!!」

 

神楽坂 LP 4000→2400

 

「みさとさんが先制したぞ!!」

 

「この調子でガンガン行けー、みさとさーん!!」

 

「任せなさい!!

カードを1枚伏せて、ターン終了よ」

 

「よくもやったな…だが、これしきの事でオレのデッキが負けると思うな!!」

 

「アンタのじゃないでしょーが、このボケ!!」

 

みさとのツッコミをスルーした神楽坂は、デッキに手をかけた

 

「オレのターン、ドロー!!

手札を1枚墓地へ送り、『THE トリッキー』を特殊召喚!!」

 

神楽坂のフィールドに、顔面と胸に大きな?マークつけたピエロのようなモンスターが現れた

 

THE トリッキー

☆5 風属性 魔法使い族 ATK 2000 DEF 1200

 

「THE トリッキーでコマンド・ナイトを攻撃!!」

 

THE トリッキーの放った?マークのビームが、コマンド・ナイトを直撃した

 

「チッ…」

 

みさと LP 4000→3600

 

「カードを1枚伏せて、ターンエンドだ」

 

「あたしのターン、ドロー」

 

カードを引いて4枚になった手札を見て、みさとは思案していると相棒の1人 クィーンが声をかけてきた

 

[みさとちゃん、私に行かせて下さい!!]

 

「(クィーン…わかった、任せたわよ!!)

─『クィーンズ・ナイト』を召喚!!」

 

みさとのフィールドに現れたクィーンは、自身の剣を構えてフィールドに降り立った

 

クィーンズ・ナイト

☆4 光属性 戦士族 ATK 1500 DEF 1600

 

「ダメだ、攻撃力が足りてない!!」

 

「あれじゃあ、みすみす倒されてしまうんだな」

 

「─……倒す必要など無いさ」

 

翔と隼人を嘲笑うように、神楽坂は笑った

 

「まんまとオレの罠にハマったな!!」

 

「何…っ!?」

 

「[まさか…!!]」

 

神楽坂の自信満々な声に、三沢・みさと・クィーンは焦ったような声を出した

 

「この瞬間、リバースカード オープン!!

─罠カード『黒魔族復活の棺』!!

相手がモンスターを召喚・特殊召喚した時、そのモンスターと自分フィールドの魔法使い族モンスターを生け贄に、デッキ・墓地から闇属性 魔法使い族モンスター1体を特殊召喚できる!!

オレは墓地のモンスターを復活させる!!」

 

神楽坂のフィールドに、赤黒い大きな棺が出てきてそっと蓋が開いた

 

「バカな!!

お前の墓地に、魔法使い族はいないハズ…!!」

 

「しくった……THE トリッキー特殊召喚のコスト、アレが……!!」

 

「その通りだ

THE トリッキーとお前のクィーンズ・ナイトを生け贄に…現れよ、『ブラック・マジシャン』!!」

 

[キャアアアーッ!!]

 

《クィーン!!!!》

 

神楽坂の前に現れた棺にクィーン達が引きずり込まれ、再び開くと同時に紺のローブに緑の杖を持ったデュエルモンスターズ最上級魔法使いが現れた

 

ブラック・マジシャン

☆7 闇属性 魔法使い族 ATK 2500 DEF 2100

 

「遊戯さんのブラック・マジシャンだ…!!」

 

「そんな…これじゃあみさとさんがますます不利に……」

 

(遊戯兄ちゃん……)

 

みさとは対峙するブラック・マジシャンの中に、遊戯の姿を見ていた

 

[みさと、しっかりしろ!!]

 

「っ…!!」

 

聞こえてきたジャックの声に、みさとは我に返った

 

[アイツは遊戯じゃない、遊戯とは似てもいねぇ別人だ!!]

 

「(そう、よね……ありがと、ジャック)

やってくれるじゃない、カードを1枚伏せてターン終了よ」

 

「オレのターン、ドロー

魔法カード『強欲な壺』発動、デッキからカードを2枚ドローする」

 

「ならリバース発動

─速攻魔法『スケープ・ゴート』、あたしのフィールドに『羊トークン』を4体特殊召喚」

 

ポンッとかわいい音を立てて、4体の羊がみさとの前に出て来た

 

羊トークン×4

☆1 地属性 獣族 ATK 0 DEF 0

 

「甘いぜ七瀬!!

─装備魔法『メテオ・ストライク』をブラック・マジシャンに装備、装備モンスターが守備モンスターを攻撃した時、貫通ダメージを与える

いけ、ブラック・マジシャン!!

黒・魔・導(ブラック・マジック)!!」

 

ブラック・マジシャンの攻撃が赤い羊トークンを破壊する前に、みさとは伏せていたカードを開いた

 

「─リバース発動、速攻魔法『収縮』!!

ブラック・マジシャンの攻撃力を、このターン半分にする!!」

 

開いたカードから出た音波のようなモノが、ブラック・マジシャンの魔法の威力を半減させた

 

ブラック・マジシャン ATK 2500→1250

 

「ぁぐっ…!!

(今、ブラック・マジシャンの様子が…?

まさか…!!)」

 

みさと LP 3600→2350

 

「─魔法カード『光の護封剣』発動してターンエンドだ」

 

「これでみさとくんは、3ターンの間攻撃を封じられる…」

 

「ただでさえブラック・マジシャンがいるのに…」

 

「くぅ…みさと、負けんなよ…!!」

 

「あたしのターン、ドロー

『ビッグ・シールド・ガードナー』を守備表示で召喚、カードを1枚伏せてターン終了よ」

 

みさとのフィールドに現れた大きな盾を構えた戦士は、そのまま守りの体勢をとった

 

ビッグ・シールド・ガードナー

☆4 地属性 戦士族 ATK 100 DEF 2600

 

「みさとさん、防戦一方なんだな」

 

「向こうにはあのブラック・マジシャンがいるし…」

 

「しかもメテオ・ストライクを装備している以上、貫通ダメージは必須

次に羊トークンを破壊されたら、みさとくんの負けになる…!!」

 

「ククククク…フハハハハハ!!

どうだ七瀬、これでオレの言葉は正しいと…武藤 遊戯のデュエルを再現できるという言葉が正しいと認めざるを得ないだろう!?」

 

神楽坂の高笑いを聞きながら、みさとはブラック・マジシャンを見つめた

 

「(やっぱり、見間違いじゃない…しかも、アレは…!!)

認められないに決まってんじゃない」

 

「何だと!?」

 

「認めるとか認めないとかそれ以前に、アンタどんだけデュエルをバカにしてんの?」

 

「オレがデュエルをバカにしているだと?

ハッ、それこそ馬鹿馬鹿しいな

オレはお前の師匠のデュエルも完全に再現できるんだぞ!!」

 

「遊戯兄ちゃんはね、あたしを「七瀬」なんて呼ばないのよ

その時点でアンタは遊戯兄ちゃんにはなれてないっての

っていうかそもそも、カードの苦しみや悲しみに気付かないバカがよく言うわ…もうアッタマきた!!

アンタには自分の馬鹿さ加減を徹底的に叩き込んでやる!!」

 

デュエルディスクを構え直したみさとの目は、怒りに燃えていた

 

(何で本物のデッキがここに在るのかはわからない

けどブラック・マジシャンが…マハードさんが心で泣いてる…遊戯兄ちゃん以外の人に、しかも自分のくだらないプライドの為だけにデュエルするこんな奴の言いなりにされるのが悔しいんだ……待ってなさい、必ず助けてみせる…!!)

 

「どうせこのターンで終わりだ

師匠のオレに勝とうなんて、まだまだ早すぎるぜみさと」

 

「─あ?」

 

遊戯のモノマネをした神楽坂に、みさとは再びドスの効いた低い声を出した

 

「オレのターン、ドロー!!

これでトドメだ、ブラック・マジシャンで攻撃!!

黒・魔・導(ブラック・マジック)!!」

 

どことなく悲しそうな顔をしたブラック・マジシャンが、自分の杖を羊トークンに向けて魔法を放った

 

「これが通ったらみさとくんの負けだ!!」

 

「「「みさと/さん!!」」」

 

「リバース発動!!

─永続罠『闇の呪縛』、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象としてこのカードを発動

そのモンスターの攻撃力は700ダウンし、攻撃できず表示形式の変更もできない!!」

 

罠カードから出て来た鎖が、ブラック・マジシャンを雁字搦めに縛りあげる

 

ブラック・マジシャン ATK 2500→1800

 

「やった、これでブラック・マジシャンは攻撃出来ないぞ!!」

 

翔のはしゃいだ声に、神楽坂は嘲笑うような笑い声をもらした

 

「─クックックックック…こんなザコモンスターで攻撃を続ける必要など無い」

 

「なっ…!?」

 

「何ですって…!?」

 

神楽坂のその一言に、みさとの目付きは一気に鋭くなった

 

(コイツ…どこまで調子にのってんのよ!!)

 

「─手札から速攻魔法『光と闇の洗礼』を発動!!

自分フィールドのブラック・マジシャンを生け贄に、手札・デッキ・墓地よりあるモンスターを召喚出来る!!」

 

「光と闇の洗礼…って事は、アイツ…!!」

 

「流石に知っていたか、その通りだ!!

─来い、『混沌の黒魔術師』!!」

 

魔法カードから出た混沌の渦が闇の呪縛を引きちぎり、ブラック・マジシャンをのみ込んで別の魔法使いが現れた

 

混沌の黒魔術師

☆8 闇属性 魔法使い族 ATK 2800 DEF 2600

 

「マハードさん…」

 

[かわいそうな扱われ方でしたね…]

 

[許せねぇな…]

 

[あのガキ、遊戯のデュエルを何も分かっちゃいねぇ]

 

混沌の黒魔術師と対峙するみさとの後ろには、怒りと悲しみに満ちた三騎士達が控えていた

 

「混沌の黒魔術師の効果発動、このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、自分の墓地から魔法カードを1枚手札に戻す

伝説の力を受けてみろ、混沌の黒魔術師でビッグ・シールド・ガードナーを攻撃!!

─滅びの呪文!!」

 

混沌の黒魔術師の杖から放たれた魔法が、ビッグ・シールド・ガードナーに向かっていく

 

「まずい!!

混沌の黒魔術師が破壊したモンスターは、ゲームから除外される!!」

 

神楽坂のフィールドの混沌の黒魔術師の魔法が、ビッグ・シールド・ガードナーの守りを撃ち抜いて消し飛ばした

 

「ッ…!!」

 

「黒魔術師の効果で手札に戻した強欲な壺を発動、デッキからカードを2枚ドローする

カードを1枚伏せて、ターンエンドだ」

 

「あたしのターン、ドロー!!

こっちも魔法カード 強欲な壺を発動、デッキからカードを2枚ドローする」

 

引いたカードの片方の赤い騎士のカードと緑のカードを見て、みさとは小さく微笑んだ

 

「折角出て来た黒魔術師には、早々に退場してもらうわ

『魔導戦士 ブレイカー』を召喚!!」

 

みさとのフィールドに、全身に赤い鎧を纏った魔法騎士が現れた

 

魔導戦士 ブレイカー

☆4 闇属性 魔法使い族 ATK 1600 DEF 1000

 

「ブレイカーの効果

召喚に成功した時、このカードに魔力カウンターを1つ乗せる

そしてブレイカーの攻撃力は、魔力カウンターの数×300アップ」

 

魔導戦士 ブレイカー 魔力C 0→1 ATK 1600→1900

 

「─そしてブレイカーのもう1つの効果

魔力カウンターを1つ取り除く事で、フィールド上の魔法・罠カード1枚を破壊する!!」

 

「何ッ!?」

 

「今在る魔法・罠カードは2枚!!」

 

「─光の護封剣を破壊よ、マナ・ブレイク!!」

 

魔導戦士ブレイカーの剣先から放たれた魔法が、みさとの周りを覆っていた光の護封剣を凪ぎ払った

 

魔導戦士 ブレイカー 魔力C 1→0 ATK 1900→1600

 

「これでみさとさんも攻撃が出来るんだな」

 

「だが…」

 

「光の護封剣を破壊した事は誉めてやるぜ

だが、お前のモンスターの攻撃力ではオレには敵わない!!」

 

また遊戯のモノマネをする神楽坂に、みさとは額に青筋をたてながら1枚のカードをデュエルディスクにセットした

 

「ちっとも似てないモノマネしてんじゃないわよ

─装備魔法『団結の力』をブレイカーに装備、装備モンスターの攻撃力・守備力を自分フィールドのモンスターの数×800アップさせる」

 

「今のみさとのフィールドには、ブレイカー自身と3体の羊トークンがいる」

 

「×800で3200アップっス!!」

 

三沢と翔の声を聞きながら、魔導戦士 ブレイカーは周りの羊トークン達から力を貰っていた

 

魔導戦士 ブレイカー ATK 1600→4800 DEF 1000→4200

 

「攻撃力 4800だと!?」

 

「このダメージが通れば、神楽坂のライフは残り400…!!」

 

「ブレイカーで混沌の黒魔術師を攻撃!!

─マナ・ソード!!」

 

自身の魔法剣を構えた魔導戦士ブレイカーは、一気に走り出して混沌の黒魔術師を斬り裂く前に神楽坂は伏せていたカードを開いた

 

「─させるか、リバースカード発動!!

速攻魔法 収縮、フィールドのモンスター1体の攻撃力を元々の攻撃力の半分下げる!!

ブレイカーの攻撃力を元々の攻撃力の半分、800ダウンだ!!」

 

カードの効果を受けた魔導戦士 ブレイカーは、ほんの少しだけ弱体化した

 

魔導戦士 ブレイカー ATK 4800→4000

 

「構わず攻撃ィ!!」

 

魔導戦士 ブレイカーの魔法剣が、神楽坂のフィールドの混沌の黒魔術師を一刀両断した

 

「ぐあぁッ!!」

 

神楽坂 LP 2400→1200

 

「やったぜ!!

混沌の黒魔術師を倒した!!」

 

「混沌の黒魔術師はフィールドから離れた場合、除外されるカード

易々とは復活させられない!!」

 

「ターン終了よ

収縮の効果も切れて、ブレイカーの攻撃力は戻る」

 

魔導戦士ブレイカー ATK 4000→4800

 

「くぅ…オレのターン、ドロー

『クリボー』を攻撃表示で召喚」

 

[クリクリ~!!]

 

ポンッという可愛らしい音を立てて、神楽坂のフィールドにクリボーが現れた

 

クリボー

☆1 闇属性 悪魔族 ATK 300 DEF 200

 

「クリちゃん…?」

 

[何でアイツがここに…!?]

 

[さっきまで、気配を感じ無かったぞ!?]

 

聞こえてきた声に、みさと達はパニックになりかけていた

 

[クリボー、何故あなたがここに…?]

 

[クリクリ~、クリクリクリクリ~]

 

「……は?

寝てたら知らない間にここにいた…?」

 

聞こえてきたクリボーの答えに、みさとと騎士達は目を点にした

 

[寝てたら知らない間にって…]

 

[道理で気配が無かったわけだ…]

 

[何とまあ……理由は分かりました

ですが今は、遊戯さんのデッキを取り戻さないといけない…その為にあなたに剣を向ける事を許して下さい]

 

[クリクリ~!!]

 

(「気にしないで」か…ホント、あの子はいい子だなぁ)

 

「いきなり変な事を言い出したかと思えば、今度は黙りか!!

一体何なんだ!?」

 

「アンタに言ったって意味無い事よ」

 

「虚仮にしやがって…!!

バトル、クリボーで羊トークンを攻撃!!」

 

突撃したクリボーが、みさとのフィールドのピンクの羊トークンを破壊した

 

「モンスターが減った事で、団結の力の効果

ブレイカーの攻撃力と守備力が下がる」

 

魔導戦士 ブレイカー ATK 4800→4000 DEF 4200→3400

 

「カードを1枚伏せて、ターンエンドだ」

 

「(クリちゃんを攻撃表示…普通に見たら自殺行為だけど、確実にアレを狙ってるわね

けど、アレが発動するのは遅かれ早かれ…ならっ)

あたしのターン!!

バトル、ブレイカーでクリボーを攻撃!!」

 

一気に走り出した魔導戦士 ブレイカーの剣がクリボーに当たる前に、神楽坂は伏せていたカードを開いた

 

「─させるか、速攻魔法『増殖』!!

自分フィールド上に表側表示で存在するクリボー1体を墓地へ送り、自分フィールド上に『クリボートークン』を可能な限り守備表示で特殊召喚する」

 

クリボーが分裂し、神楽坂のフィールドに5体のクリボートークンが現れた

 

クリボートークン×5

☆1 闇属性 悪魔族 ATK 300 DEF 200

 

「(やっぱそのカードだった…)

攻撃続行、クリボートークンを1体攻撃!!」

 

分裂したクリボーに動揺していた魔導戦士 ブレイカーは、1体のクリボートークンを斬り裂いた

 

「ありがとうクリボー…流石、オレが数千枚のカードの中から選んだモンスターだぜ

お前には、これまで何度も助けてもらったな」

 

[クリィ…;]

 

デュエルディスクを見ながらウットリとした表情でクリボーに語りかける神楽坂に、精霊のクリボーは引いていた

 

「あいつ、何言ってんだ?」

 

「さっぱりわからないっス」

 

「まったくだな」

 

「き、きっと神楽坂は決闘王になりきってるだけだと思うぞ…?」

 

遊戯のモノマネに浸る神楽坂を見たみさとは、据わった目付きで殺気を丸出しにした声で呟いた

 

「─…アイツ、すり潰す」

 

「みさとくん、落ち着くんだ!!」

 

「大丈夫よ三沢、あたしは落ち着いてるわ……冷静にあのゴミ猿野郎にどうやって今この世に生きている事を後悔と懺悔させようか考えてる途中だから」

 

「「みさとさんが悪魔族になっちゃったよぉ~/なっちゃったんだなぁ~」」

 

爆発する怒りに今にも体中からどす黒い炎を噴き出しそうなみさとを、三沢は必死に宥めていた

 

[…賛成ですよ、みさとちゃん

どんな風に痛め付ければ、効果的でしょうねぇ…]

 

[同感だぜお嬢、首撥ね飛ばしてやろうぜ]

 

[オレもだ、斬り刻んで殺る]

 

「いやいや、落ち着けよお前等っ!!」

 

みさとの周りで物騒な話をする三騎士達に、十代が全力でツッコんだ

 

「ンフフフフ…カードを1枚伏せて、ターン終了」

 

「オ、オレのターン、ドロー!!

…よし、魔法カード『天よりの宝札』を発動!!

互いのプレイヤーは手札が6枚になるように、デッキからカードをドローする」

 

カードの効果に従い神楽坂は5枚、みさとは6枚デッキからドローして互いの手札は6枚になった

 

「更に手札の『ワタポン』の効果を発動

このカードがカード効果で手札に加わった時、手札から特殊召喚できる!!

来い、ワタポン!!」

 

ポンッという音と共に、綿のような愛らしいモンスターが神楽坂のフィールドに現れた

 

ワタポン

☆1 光属性 天使族 ATK 200 DEF 300

 

「このワタポンを生け贄に捧げ、『ブラック・マジシャン・ガール』を召喚!!

伝説の力を見せつけてやれ!!」

 

神楽坂のフィールドのワタポンが消えて、代わりに魔術師の少女が現れた

 

ブラック・マジシャン・ガール

☆6 闇属性 魔法使い族 ATK 2000 DEF 1700

 

「イエエエエェェェイッ!!

本物のブラック・マジシャン・ガールっス!!」

 

「翔…お前、みさとが出したブラマジガールにも似たような事言ってなかったっけ?」

 

ブラック・マジシャン・ガールの登場に翔が興奮している隣で、十代はやんわりとツッコんだ

 

「何を言ってるんスかアニキ!!

確かにみさとさんのデッキにもブラマジガールは入ってるけど、本家本元は決闘王のデッキのブラマジガールなんスよ!!」

 

「「へ、へぇ~…;」」

 

鬼気迫る勢いで力説する翔に、十代と側にいた三沢は引いたような声をもらした

 

そんな様子を見ていた神楽坂のフィールドのブラック・マジシャン・ガールは、翔に向かってにこやかに微笑みながら手を振った

 

「ウッヒョー!!

ブラマジガールが僕に手を振ってくれたっス!!

頑張れブラマジガールーッ!!」

 

「─翔くん、それって遠回しにあたしに負けろって言ってんの?」

 

茶番が繰り広げられる中、その場にみさとのドスの効いた低い声が響いた

 

「い…っ!?

そ、それは…その…ブラマジガールになら、良いかな~…って」

 

「─アンタ、後でコイツと一緒にすり潰す」

 

「ヒイイィィーッ!!」

 

翔が隼人にしがみついて怯える中、神楽坂は手札のカードをデュエルディスクにセットした

 

「─さ、更に速攻魔法『魔法効果の矢』を発動!!

相手フィールド上に表側表示で存在する魔法カードを全て破壊し、破壊したカード1枚につき相手に500ポイントのダメージを与える!!」

 

神楽坂のカードから放たれた矢が団結の力のカードを破壊して、その衝撃がみさとを襲った

 

「っ…!!」

 

みさと LP 2350→1850

 

「団結の力が破壊されたんだな!!」

 

「装備魔法が破壊されたら、みさとくんのモンスターの攻撃力は元に戻ってしまう…!!」

 

魔導戦士 ブレイカー ATK 4000→1600 DEF 3400→1000

 

「─まだだ、魔法カード『蜘蛛の糸』!!」

 

「そいつは…!?」

 

神楽坂が出したカードに、みさとは目を見開いた

 

「相手の墓地に送られたカード1枚を自分の手札に加える事ができる

オレは団結の力をいただいて、ブラック・マジシャン・ガールに装備!!」

 

「まずいぜ!!

神楽坂のフィールドにはブラック・マジシャン・ガールとクリボートークンが4体もいるぞ!!」

 

「計5体…×800で4000ポイント攻撃力が上がるぞ!!」

 

「しかも、ブラマジガールの効果で300ポイント攻撃力が上がってるっス!!」

 

「これじゃさっきと逆なんだな!!」

 

ブラック・マジシャン・ガール(神楽坂側) ATK 2000→2300→6300 DEF 1700→5700

 

「攻撃力 6300…!?」

 

「アハハハハ!!

どうだ、自分がやっていた事を真似される気分は!?

いい加減お前もオレを認めたらどうだ?

オレがお前の師匠のデュエルを完全再現できるという事を!!」

 

[…言いたい放題ですね、彼]

 

(そうね…バカにしか見えないわ)

 

[どうします?]

 

(決まってるじゃない…叩きのめす!!)

 

[ですね!!]

 

「……アンタ、人を真似する事しか出来ないのね」

 

「何?」

 

「三沢の話だと、アンタは必ず誰かのコピーでデュエルするそうね

そんなんで、よくそんな大口が叩き続けられるわね」

 

「何が言いたい!?」

 

「アンタみたいなやり方じゃ、本当の意味で誰にも勝てやしないって言ってんのよ!!

この猿真似野郎!!」

 

「言わせておけば…その言葉、後悔させてやる!!

ブラック・マジシャン・ガールで、魔導戦士 ブレイカーを攻撃!!

黒・魔・導・爆・裂・破(ブラック・バーニング)!!」

 

神楽坂のフィールドで杖を構えたブラック・マジシャン・ガールが魔法を放つ前に、みさとは伏せていたカードを開いた

 

「─リバース発動、永続罠『銀幕の鏡壁(ミラーウォール)』!!

相手の攻撃モンスターの攻撃力を半分に!!」

 

みさとのフィールドに張られた鏡の壁が、ブラック・マジシャン・ガールの力を奪っていく

 

ブラック・マジシャン・ガール(神楽坂側) ATK 6300→3150

 

「ダメだ、それでも大ダメージは免れない!!」

 

放たれた魔法はチュドオオォォンッと音をたてて、魔導戦士 ブレイカーを破壊した

 

「ぐぅぅ…!!」

 

みさと LP1850→300

 

「バトルが終わり、ブラック・マジシャン・ガールの攻撃力は元に戻る」

 

ブラック・マジシャン・ガール(神楽坂側) ATK 3150→6300

 

「ターンエンドだ

ふん、大口を叩くからどんな事をしてくるかと思ったら…所詮お前はただの弟子

決闘王のデュエルを再現できるこのオレに勝てるわけがねぇんだよ!!」

 

「…本気でそう思ってるなら、おめでたいわね」

 

淡々とした口調に変わったみさとに苛立ちを見せながら、神楽坂はみさとにターンを始めるように急かした

 

「さっさとしろ、お前のラストターンだ!!」

 

「「ラストターン」?

誰のよ?

あたしのターン、ドロー

銀幕の鏡壁(ミラーウォール)の効果、ライフを2000払うかこのカードを破壊するかの効果を選択

あたしはミラーウォールを破壊する方を選択」

 

パリイィィンッと音をたてて、みさとの前の銀幕の鏡壁(ミラーウォール)が粉々に砕け散った

 

「─速攻魔法『サイクロン』、アンタに盗られた団結の力を破壊するわ」

 

カードから出た竜巻が、神楽坂のフィールドの団結の力のカードを吹き飛ばした

 

「これで神楽坂のフィールドのブラック・マジシャン・ガールの攻撃力は元に戻る」

 

「チィ…!!」

 

ブラック・マジシャン・ガール(神楽坂側) ATK 6300→2300 DEF 5700→1700

 

「─魔導戦士 ブレイカーを生け贄に…あのバカを凝らしめてやんなさい、ブラック・マジシャン・ガール!!」

 

魔導戦士 ブレイカーが光に包まれ、みさとのフィールドにもブラック・マジシャン・ガールが現れた

 

「みさともブラック・マジシャン・ガール…!?」

 

「ブラマジガール対ブラマジガール、夢の対決っス!!

どっちも頑張れー!!」

 

「アンタはどっちの味方よ!?」

 

2人のブラマジガールにテンションを上げ続ける翔に、間髪入れずにみさとのツッコミが入った

 

翔の声援に応えるように、ブラック・マジシャン・ガールは翔達にウインクした

 

「(ヲイ…;)

ガールの効果、互いの墓地にブラック・マジシャンかマジシャン・オブ・ブラックカオスが存在する時、その数×300ポイント攻撃力が上がるわ

今、あたし達の墓地にはアンタが雑な扱いをしたブラック・マジシャンが1体いるわよね?

当然、その効果はこっちにも適応される」

 

それを聞いたみさと側のブラック・マジシャン・ガールは、神楽坂を睨み付けながら墓地の師匠から力を貰っていた

 

ブラック・マジシャン・ガール(みさと側) ATK 2000→2300

 

「─装備魔法『黒いペンダント(ブラック・ペンダント)』をガールに装備、攻撃力を500アップさせる」

 

みさと側のブラック・マジシャン・ガールの首もとに黒いペンダントがつけられ、ブラック・マジシャン・ガールはペンダントから得た力を漲らせた

 

ブラック・マジシャン・ガール(みさと側) ATK 2300→2800

 

「─更に魔法カード『死者蘇生』、墓地からクィーンを復活させる」

 

みさとのフィールドのブラック・マジシャン・ガールの隣に、再びクィーンが現れた

 

「アンタはさっきから遊戯兄ちゃんを散々侮辱し続けた

そんなバカに、遊戯兄ちゃんのデュエルを再現できるわけないでしょが!!

ブラック・マジシャン・ガールで、ブラック・マジシャン・ガールを攻撃!!

─ゴメンねマナちゃん…黒・魔・導・爆・裂・破(ブラック・バーニング)!!」

 

「さよなら、ブラック・マジシャン・ガール…」

 

翔が悲しそうに呟くと同時に、神楽坂側のブラック・マジシャン・ガールはみさと側のブラック・マジシャン・ガールの魔法で倒された

 

「くうっ!!」

 

神楽坂 LP 1200→700

 

「クィーンでクリボートークン1体を攻撃!!

─クィーンズ・セイバー・クラッシュ!!」

 

[いきますよ!!]

 

クィーンの一太刀が、神楽坂のフィールドの残り4体のクリボートークンの1体を斬り裂いた

 

「カードを3枚伏せて、ターン終了よ」

 

「オレのターン、ドロー…!!

ククククク……」

 

いきなり笑い出した神楽坂に十代達は首を傾げ、みさとは警戒するようにディスクを構え直した

 

「何だ、神楽坂の奴?」

 

「きっと勝ち目が無いって分かったからっスよ」

 

「いや、どうだろうな…」

 

「……ここまでオレのデッキに食らい付いた事は、褒めてやるよ」

 

「だからアンタのじゃないでしょ!!」

 

「だがそれもここまでだ!!」

 

みさとのツッコミを無視した神楽坂は、ドローしたカードを手札に加え墓地を操作し始めた

 

「─オレは墓地より、闇属性と光属性のモンスターを1体ずつ取り除き…」

 

《なっ!?》

 

神楽坂は墓地から取り出したクリボーとワタポンのカードを懐に閉まった

 

(しまった…1番に警戒していたはずなのに、ブラック・マジシャンの扱いのザツさに動揺して忘れてた…!!)

 

[この召喚方法は…]

 

[奴が来るぞ!!]

 

「何!?

この特殊な召喚条件!?」

 

「そんなモンスターは…」

 

翔と隼人が呟くが、三沢だけはすぐに察した

 

「いや、あるぜ!!

この召喚条件で呼び出すモンスター…そのカードが入っているだけで、デュエルの勝敗を左右すると言われているカードが!!

その1枚は、余りの強さと凶悪な効果故、デュエルモンスターズの公式大会では禁止カードとなった『混沌帝龍(カオス・エンペラー・ドラゴン) ─終焉の使者─』!!」

 

鬼気迫る勢いで語る三沢の説明を、みさとが引き継いだ

 

「そしてもう1枚はその禁止カードにこそなっていないけど、混沌帝龍(カオス・エンペラー・ドラゴン)と双璧を成す強さを持ったモンスター…」

 

「そう…このカードこそこのデッキの真のエース!

─出でよ、『カオス・ソルジャー ─開闢の使者─』!!」

 

神楽坂のフィールドに、青を基調にした甲冑を纏った剣士が現れた

 

カオス・ソルジャー ─開闢の使者─ 

☆8 光属性 戦士族 ATK 3000 DEF 2500

 

「カオス・ソルジャー ─開闢の使者─……」

 

「攻撃力、3000……」

 

呆然と呟く翔と隼人の隣で、十代は真剣な眼差しでデュエルを見つめ、三沢は諦めの眼差しを送っていた

 

「あんなモンスターを召喚されてしまった以上、流石のみさとくんでも勝ち目は無いだろう…」

 

「そんな…!!」

 

「更に『磁石の戦士β(マグネット・ウォリアー・ベータ)』を通常召喚!!」

 

神楽坂のフィールドのカオス・ソルジャーの隣に、小柄な磁石の剣士が現れた

 

磁石の戦士β(マグネット・ウォリアー・ベータ)

☆4 地属性 岩石族 ATK 1700 DEF 1600

 

「史上最強のデッキのエースの力を見ろ!!

カオス・ソルジャーでブラック・マジシャン・ガールを攻撃!!

─開闢走破斬!!」

 

カオス・ソルジャーの剣撃がブラック・マジシャン・ガールを襲う前に、みさとは伏せていた2枚のカードの片方を開いた

 

「ッ…リバース発動!!

─永続罠『スピリットバリア』!!

自分フィールドにモンスターが存在する限り、戦闘ダメージを0にする!!」

 

「だがモンスターは破壊される!!」

 

カオス・ソルジャーの剣擊を受けたブラック・マジシャン・ガールは破壊されたが、みさとは目の前に張られたバリアに守られて無事だった

 

「ああっ!!

ブラック・マジシャン・ガール…!!」

 

「ッ…装備してたペンダントの効果!!

このカードがフィールド上から墓地に送られた時、相手に500のダメージを与える!!」

 

どこからか飛んできた黒い魔力の塊が、神楽坂の腹を直撃した

 

「ぐあッ!!」

 

神楽坂 LP 700→200

 

「カオス・ソルジャーの効果!!

このカードの攻撃で相手モンスターを破壊した時、このカードはもう1度だけ攻撃出来る!!」

 

「何ィ!?」

 

「そんな効果、無茶苦茶なんだな!!」

 

「行け、今度はクィーンズ・ナイトを蹴散らせ!!

─開闢走破斬!!」

 

[キャアアアーッ!!]

 

「クィーン!!」

 

カオス・ソルジャーの剣撃に、クィーンはあっという間に蹴散らされた

 

「磁石の戦士で、守備表示の羊トークンを攻撃!!」

 

突進した磁石の戦士βが、みさとのフィールドの青い羊トークンを殴り倒した

 

「神楽坂の残りライフはわずか200…だがフィールドには攻撃力 3000のカオス・ソルジャー、更に磁石の戦士とクリボートークンが3体

対してみさとくんの残りライフは300、フィールドには羊トークンが1体……状況は神楽坂が圧倒的に有利…流石の決闘乙女(ヴァルキリー)でも勝てないのか…」

 

「カードを1枚伏せて、ターンエンドだ

ククククク…これでお前に勝ち目は万に一つも無くなった

諦めてサレンダーでもしたらどうだ?」

 

「冗談でしょ?

デュエリストにとって最も大切な物が欠けているアンタに、遊戯兄ちゃんや遊戯兄ちゃんのデッキを散々バカにされ続けて大人しく引き下がる程、あたしはか弱い乙女じゃないわ!!」

 

「バカにしているだと?

何をバカな…オレは決闘王のデュエルを完全に再現「それが兄ちゃんをバカにしているって言ってんのよ!!」

 

神楽坂を遮ったみさとは、デッキのカードに指を置いた

 

「自分のデッキで戦う意味をキッチリ理解しなさい!!」

 

デッキの上のカードに触れたみさとは、指に力をこめてカードを引き抜いた

 

「(逆転の一手…あのカードさえ来れば、このターンで決着をつけられる……来い!!)

あたしの、タァーン!!

─魔法カード『貪欲な壺』発動

墓地のモンスター5体をデッキに戻してシャッフル、その後カードを2枚ドロー出来る

あたしは墓地のクィーン以外の5枚をデッキに戻すわ」

 

「バカな…!?

お前の墓地はクィーンズ・ナイトを含めて5枚、6枚もモンスターはいないだろう!!」

 

「それがいるのよね~」

 

みさとは墓地から、深淵の暗殺者(ナイト・アサシン) コマンド・ナイト 魔導戦士 ブレイカー ブラック・マジシャン・ガール…そして『魔法剣士 トランス』の5枚を取り出した

 

「そんなカードいつの間に…ッ!!

最初の墓地封印…!!」

 

「そういう事

この5枚をデッキに戻してシャッフル、デッキから2枚ドロー

…どうやらこのターンで決着がつけられそうね」

 

引いた2枚のカードを見て、みさとは勝利を確信した口調で言い放った

 

「フン、バカな事を!!

このデッキのエースであるカオス・ソルジャーを、どうやって倒すというんだ!?」

 

「……アンタはいくつか勘違いをしている

その内の1つ、そのデッキのエースはカオス・ソルジャーじゃないという事よ」

 

「何だと!?」

 

「確かに、カオス・ソルジャー ─開闢の使者─はとても強力な攻撃力と効果をあわせ持つモンスター

だけどそのデッキのエースにはなれないわ

真のエースは…さっきアンタがザコだと切り捨てたブラック・マジシャンよ」

 

「フン、何の効果も無いブラック・マジシャンがエースだと?

笑わせてくれるじゃねぇか」

 

「それはこっちのセリフ

ブラック・マジシャンは、海馬を始めとする色んなデュエリストと戦った遊戯兄ちゃんを一番支え続けてきた、遊戯兄ちゃんの相棒

…アンタの発言の9割以上が、そんな遊戯兄ちゃんとデッキをバカにしている

そんな奴に、遊戯兄ちゃんがどんな思いでそのデッキを作って戦ってきたかなんて分かる訳無いわ!!」

 

「言わせておけばペラペラと…!!」

 

「あたしは知ってる、遊戯兄ちゃん達をずっと見続けてきたんだから!!

そして背中で教えてくれたのよ!!

自分の信じたエースを、信じたカード達と一緒に戦う大切さをね!!

兄ちゃんのエースがブラック・マジシャンであるように、あたしにもあたしの信じたエースがいる!!

─リバース発動、永続罠『リビングデッドの呼び声』

自分の墓地のモンスター1体を自分フィールドに特殊召喚、戻って来てクィーン!!」

 

みさとのフィールドに、またクィーンが戻って来た

 

[まだまだ頑張れますよ、みさとちゃん]

 

(頼むわよ、クィーン!!)

 

「そんなザコで何をする気だ?」

 

「遊戯兄ちゃんはカードをザコとは決して呼ばない

そんな事を言ってる時点で、アンタは遊戯兄ちゃんのデュエルを再現なんて出来ないのよ

『キングス・ナイト』を召喚」

 

みさとのフィールドのクィーンの隣に、キングが現れてニヒルに笑った

 

[お嬢、ようやくオレの出番か?]

 

(お願いねキング…!!)

 

キングス・ナイト

☆4 光属性 戦士族 ATK 1600 DEF 1400

 

「クィーンにキング、と来れば…もうお分かりよね?

キングス・ナイトの効果、自分フィールドにクィーンがいる状態でこのカードの召喚に成功した時、デッキから『ジャックス・ナイト』を特殊召喚出来る!!

いくわよ、ジャック!!」

 

みさとのフィールドの1体の羊トークンとクィーンとキングの真ん中に、ジャックが現れて構えをとった

 

ジャックス・ナイト

☆5 光属性 戦士族 ATK 1900 DEF 1000

 

「みさとの精霊の三騎士達だ!!」

 

「伝説の決闘者 決闘乙女(ヴァルキリー)の絵札の三銃士っス!!」

 

「彼等があたしのエース達よ!!」

 

みさとの声に反応して、三騎士達は剣を神楽坂に向けた

 

「クックックックッ…偉そうな事を言った割りに、そんな低レベルモンスターを並べただけじゃないか!!

そんな事しても、オレのカオス・ソルジャーには敵わないぞ!!」

 

「確かに、みさとくんのフィールドで一番攻撃力の高いモンスターは、攻撃力 1900のジャックス・ナイト

カオス・ソルジャーには及ばないぞ…!!」

 

神楽坂が三騎士達を嘲笑うのを見て、三沢は苦い顔をした

 

「確かにね…でも、これならどう?

─装備魔法『下克上の首飾り』をジャックに装備!!」

 

「何ィ!?」

 

「そうか、その手なら上手くいく!!」

 

ジャックの首につけられた首飾りが輝き、ジャックは力を漲らせていく

 

[ガキが粋がったりするからこうなるんだよ]

 

[今のあなたでは、みさとちゃんの足元にも及びません]

 

[反省しやがれ!!]

 

「この装備魔法は通常モンスターにのみ装備出来る

装備モンスターよりレベルの高いモンスターとバトルする時、装備モンスターの攻撃力はレベルの差×500アップする!!」

 

「何だと!?」

 

「ジャックス・ナイトのレベルは5、カオス・ソルジャーのレベルは8

レベルの差は3…つまり1500ポイントアップか!!」

 

ジャックス・ナイト ATK 1900→3400

 

「カオス・ソルジャーの攻撃力を上回ったっス!!」

 

「今なら倒せるんだな!!」

 

テンションを上げる翔と隼人の声は、焦りだした神楽坂には届いていなかった

 

「バ、バカな…!?」

 

焦った神楽坂は、自分フィールドの伏せカードに目をやった

 

(落ち着け、オレのリバースカードは『聖なるバリア ─ミラーフォース─』、たとえ攻撃してきても返り討ちだ!!)

 

「どうせその伏せカード、ミラーフォースとかそういう迎撃系なんでしょ?」

 

見事に言い当てられた神楽坂が肩を激しく揺らすのを見ながら、みさとは伏せていたカードを開いた

 

「何か、クロノスの時と似たような展開ね……リバース発動

─罠カード『砂塵の大竜巻』、アンタの伏せカードを破壊するわ」

 

カードから吹き出した竜巻が、神楽坂のミラーフォースを破壊した

 

「そ、そんな…!!」

 

「覚悟はいいわね……ジャックス・ナイトでカオス・ソルジャー ─開闢の使者─を攻撃!!

ジャックス・セイバー・クラーッシュ!!」

 

[これで終わりだっ!!]

 

ジャックの一太刀が、カオス・ソルジャーを斬り裂いて神楽坂のライフを削り切った

 

「うわああああーっ!!」

 

神楽坂 LP 200→0

 

デュエルが終わり、スゥゥ…ッと立体映像が消えていく

 

「みさとの勝ちだ!!」

 

「スゴいっス、みさとさん!!」

 

「流石なんだな!!」

 

「見事、の一言だな…」

 

「オレは…こんな強いデッキを使っても勝てないのか…オレにはやはり、才能がまるでないんだ…っ!!」

 

「─いいや、そうでもないさ」

 

みさととのデュエルに負け落胆する神楽坂に声をかけたのは、岩陰から出て来た亮と明日香だった

 

「明日香、アンタいつの間に…」

 

「あの後、亮にも声をかけて一緒に探していたのよ」

 

「止めようとも思ったが、止めるにはあまりにも惜しいデュエルだったからな」

 

「アンタ等ねぇ…」

 

呆れ果てたように言うみさとの真上から、沢山の拍手が送られてくる

 

崖の上には、色んなところからイエローやレッドの生徒達が顔を覗かせていた

 

「いやァ、凄いデュエルだった」

 

「いいモン見させてもらった、勉強になったよ」

 

「確かに他人のデッキを勝手に使うことは許されない行為だ…しかし、その武藤 遊戯のデッキの戦い、力を発揮する姿を皆が見たがっていたことも事実だ

皆もここは大目に見るだろう」

 

亮の言葉に、崖の上から見ていた全員が頷いた

 

「決闘王 武藤 遊戯のデッキをあれだけ使いこなすなんて!」

 

「凄いぜ神楽坂!」

 

「けどオレは負けた…どうして…」

 

「それは簡単さ

お前にはなくて、みさとにはあるモノの違いだぜ」

 

十代に続くように、デュエルディスクをしまったみさとは神楽坂の方へ向かって行く

 

「言ったでしょ?

「アンタにはデュエリストにとって最も大切な物が欠けている」って

答えは自分のデッキを信じる強い気持ちよ」

 

「デッキを…信じる?」

 

「そうそう!!

確かにそのデッキは強い、けど所詮お前のアイディアが詰まったデッキじゃない、それじゃデュエルには勝てないんだ…う~んと、なんつったらいいかな~…」

 

そこまで言って、悩むように上を見上げる十代の代わりに呆れたように亮とみさとが続けた

 

「自分が時間と労力をかけたからこそ、デッキを心のそこから信じる事が出来る

そして…その信念がデュエリストに気迫を与え、ギリギリの戦いでは勝敗を左右する」

 

「さっきのデュエル、本物の遊戯兄ちゃんだったら…あたしはプレッシャーに負けていたと思うし」

 

「やっぱり、そのデッキの本当の力を引き出すのは遊戯さんにしか出来ないことなのさ」

 

神楽坂の前にしゃがみ込んだみさとは手を差し出した

 

「…デッキ、返して貰うわよ」

 

「…もちろんだとも」

 

そして神楽坂はデッキを返し、一件落着……になるハズだった

 

「─それにしてもビックリだぜ!!

まさかみさとが本物の伝説のデュエリストだったなんてな!!」

 

十代の無邪気な大声にその場の全員の視線がみさとに向き、本人はギクリと体を硬直させた

 

「そ、そういえばあたし……言っちゃったんだっけ……」

 

「そういえばそうだよな!!」

 

「本物の決闘乙女(ヴァルキリー)だ!!」

 

「し…しまったァー!!!!

やらかしたァァーッ!!!!」

 

[まあ、今回は仕方ねぇよな]

 

[自業自得ってヤツだぜ、お嬢]

 

[みさとちゃん…;]

 

[クリィ…;]

 

盛大に頭を抱えるみさとを、三騎士とクリボーは苦笑しながら見守っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…神楽坂の一件から2日後、デュエルアカデミアでは2種類の行列が出来ていた

 

1つは決闘王 武藤 遊戯のデッキの展示

 

そして、もう1つは……みさとを追い回す生徒達だった

 

「イィィィィヤァァァァァァーッ!!!!」

 

《みさとさーん!!!!》

 

悲鳴をあげながら必死の形相で逃げるみさとの後ろを、寮も学年も男女も関係ない連合軍がドドドドドドッという凄まじい足音をたてながら追い掛けていた

 

[昨日の倍くらいになったな]

 

[ク、クリィ…ι]

 

[整理券を使い終わった生徒達が、こっちに回ったんじゃないのか?]

 

[だろうな]

 

「呑気にお喋りしてないで、逃げ道探してよアンタ達!!」

 

必死に走るみさとの上でキングとジャックは談笑し、クリボーを苦笑していた

 

[みさとちゃん、次の角を左に曲がればエレベーターがあります!!]

 

「ありがとクィーン!!」

 

一気に加速して左折したみさとの腕を、物陰から出て来た腕が掴んで物陰に引きずり込んだ

 

「わぁ!!

だ、誰…!!」

 

「─ちょっ、待て待てみさと!!

オレだって!!」

 

「へ……十代?」

 

「おう……あっ、隠れろっ」

 

みさとを抱き締めたまま十代は物陰に身を潜めると同時に、バタバタと追いかけの足音が聞こえて来る

 

「いないわ!!」

 

「どこに行ったんだ?」

 

「きっとエレベーターよ!!」

 

「急ごう!!」

 

「でも上か下か、どっちに行ったんだ?」

 

バタバタと追いかけ達の足音が去り、十代は顔だけソッと物陰から出した

 

「……よし、上手く撒いたみたいだぜ」

 

「た、助かったぁ~…サンキュ、十代」

 

「気にすんなって、友達だろ?」

 

そう言って爽やかに笑う十代の後ろから、2人分の声が聞こえてきた

 

「─あっアニキー!!

みさとさーん!!」

 

「やっと見つけたんだな!!」

 

「ヒィ…!!」

 

「落ち着けよみさと、翔と隼人だぜ」

 

「へ?」

 

聞こえてきた声に逃げようとしたみさとを十代が捕まえて振り向かせると、翔と隼人が走って来ていた

 

「ぁ、翔くんに隼人くん…」

 

「みさとさん、スゴくくたびれてるんだな…」

 

「だ、大丈夫っスか…?」

 

「な、何とか今のところはね……;」

 

「─ってそれより大変だよーっ!!

みさとさんの偽者が現れたんだ!!」

 

「「なにィ/はぁ!?」」

 

それを聞いた十代とみさとは、翔を先頭に森の方向へ駆け出した

 

 

 

 

 

 

 

 

森の中には、みさとと同じ髪型にして同じ制服にして全く同じ着方をした……女装した神楽坂が立っていた

 

「─待ってたぞみさと!!」

 

それを見たみさとは、ズゴォッと頭から地面にズッコケた

 

[こ、これは……;]

 

[酷ェな…;]

 

[クリ…;]

 

[アイツ、そういう趣味だったのか…?]

 

クィーン・キング・クリボーが引く隣で、ジャックだけは的外れな事を言っていた

 

「ゲ、神楽坂…何やってんだよ…」

 

「オレはわかったんだ!!

─なぜデッキを信じることが出来なかったか…それはつまり、オレのなりきり方が半端だったからだ!!」

 

そう言って拳を作りながら力説する神楽坂に、十代達は一斉にズッコケた

 

「今回のデッキはみさとに似せて作ったんだ!!

さあ、このデッキでもう1度オレ……いや、あたしとデュエルよ!!

あたしの真の力を見せてあげるわ!!」

 

「んなモン見たか無いってェーのォーっ!!」

 

「グッハァッ!!」

 

デュエルディスクを構える神楽坂に、この数日でたまったストレスを発散するかのように、みさとは森に落ちていた大きな丸太を神楽坂に投げ付けた

 

(─拝啓、遊戯兄ちゃん 皆へ

何だかんだあるけれど、あたしは元気でやってます  七瀬 みさと)

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