遊戯王GX 戦場に立つ乙女   作:なおにぃ

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TARN 1  デュエルアカデミア 入学試験

…ここはデュエルアカデミア 入学実技試験会場の海馬ランドのデュエルフィールド

 

そこではたくさんの受験者達が試験官との実技試験を行っていた

 

 

 

その中で1人、観客席で貧乏揺すりをして露骨に苛立ちを見せながら実技試験を見る受験者 不知火 みさとがいた

 

「遅い…!!」

 

そんな彼女の声に答えるように、スウッと音を立てて3人の甲冑を纏った男女が現れた

 

[そんなに苛立つなよみさと]

 

[ジャックの言う通りだぜ、お嬢]

 

[でも…確かに遅いですね…]

 

「まったくよ、もう1時間以上待ってるってのに…いつになったらあたしの出番は来るってのよ?」

 

[怒ると肌に悪いぜお嬢]

 

みさとはニヒルに笑うオレンジ色の甲冑の男 キングス・ナイトを軽く睨んだ

 

「…キング、あたしをからかってる?」

 

[そんな訳ねぇだろ?]

 

[けどよ、もう実技試験は終わったみてぇだぞ?]

 

[…あら、そうでもなさそうですよ]

 

「クィーン?」

 

赤い甲冑を纏った女性 クィーンズ・ナイトが指差す方向では、派手な格好をした金髪の男と1人の少年がデュエルを始めていた

 

「まだあったんだ」

 

[それならみさとの出番はこの後かもな]

 

青い甲冑の美男子 ジャックス・ナイトは、デュエルを観戦するようにみさとの隣の席に座った

 

「…アンタ、実際には座れないんだから無理に座ろうとしなくてもいいんじゃない?」

 

 

 

「食らえ!

スカイスクレイパーシュート!!」

 

 

「フレイムウィングマンの効果により、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを受けてもらうぜ、先生!」

 

 

「ガッチャ!

楽しいデュエルだったぜ、先生!」

 

 

始まったデュエルは受験者の少年 遊城 十代の勝利に終わった

 

「……何でハネクリちゃんがアイツの所に?」

 

[遊戯があげたとしか考えられねぇな]

 

[きっと遊戯さんがあの子を気に入ったのよ]

 

[アイツのデュエリストを見る目は本物だからな]

 

「遊城 十代、か……」

 

 

フィールドでは、負けたことが悔しかったのかその場に立ち尽くしている教師 クロノスにサングラスをかけた試験官の1人が駆け寄っていく

 

「クロノス教諭、実は……」

 

試験官がクロノスに耳打ちをすると、クロノスは驚き声を上げた

 

「なんでス~ト!

まだ試験を受けていない受験者がいるなン~テ!?」

 

「はい……それがKCの社長からの紹介状を持っていまして、筆記試験を免除された受験者です

受けさせない訳には………」

 

「グヌヌ……」

 

クロノスは数秒間唸っていると、何かを閃いたかのように手をたたいた

 

「仕方なイ~ノ、試験を受けさせるノ~ネ

 すぐにその受験生を呼びナァ~サイ!!」

 

「はい!」

 

試験官は急いで戻って行った

 

 

 

《受験番号 0番 不知火 みさとさん

大変長らくお待たせしました、フィールドへお越しください》

 

そのアナウンスに会場は一気にざわついた

 

「0番!?」

 

「何だそりゃ!?」

 

「1番以上の奴がいんのか!?」

 

「けど名前、女子っぽかったぞ?」

 

 

 

「おおっ!!

またデュエルすんのか!?」

 

「十代くん、はしゃいじゃダメだってば…」

 

アナウンスに興奮した少年 遊城 十代は、水色の髪の眼鏡の少年 丸藤 翔に宥められていた

 

その横で生真面目そうな少年 三沢 大地は観戦する気満々で席に座った

 

「ん?

2番も見てくのか?」

 

「データは多いに超した事は無いからな」

 

 

 

「今度はどんな奴ですかね、万丈目さん?」

 

たくさんの取り巻きの真ん中にいる、プライドが高そうな少年 万丈目 準はニヤニヤしていた

 

「ふん、まぐれは1度だ

受験者が無様に散っていくに決まっている」

 

 

 

「またデュエルするみたいね

今度の子もさっきみたいに楽しませてくれるかしら?」

 

スタイル抜群の金髪の美少女 天上院 明日香は、隣にいたキリッとした青年 丸藤 亮に視線を向けた

 

「…それは、見ていれば分かるさ」

 

 

 

 

 

「……何が0番よ、意味分かんないし!!」

 

[まあまあ…ι]

 

会場からの声を知らず、フィールドへ向かいながら荒れていたみさとはクィーンに宥められていた

 

 

 

そしてみさとはフィールドのクロノスと向かい合う

 

「ボンジョ~ルノ!!」

 

「…よろしくお願いします」

 

「ワタクシはクロノス・デ・メディチ、デュエルアカデミアの実技担当最高責任者ナノーネ!!」

 

「…不知火 みさとです」

 

「では早速、実技試験を始めまスーノ!!

(このデュエルで名誉挽回ナノーネ!!)」

 

(考えてる事バレバレ、あの十代って奴に負けた八つ当たりなんだろうけど…まあ、いっか)

 

[どうするみさと?]

 

[オレ達ならいつでも大丈夫だぜ?]

 

(…大丈夫、コイツ程度なら皆に頼らなくても勝てるわ)

 

[そう?

無理そうならいつでも言ってくださいね?]

 

(ええ、ありがとう)

 

そんな会話をしているみさとを見て、観戦席の十代は目を擦った

 

「(今、アイツの後ろに誰かいた気がしたんだけどな……まっいっか!!)

頑張れよー女の子ー!!」

 

「だから騒いじゃ迷惑になるってば!!」

 

翔に宥められる十代を見て、フィールドのみさとは軽く微笑んだ

 

(ホント、面白そうな奴…)

 

ガシャンと音を立てて、みさとのデュエルディスクが起動する

 

「「─決闘(デュエル)!!」」

 

クロノス LP4000

みさと LP4000

 

クロノスのデュエルコートに赤いランプが点り、クロノスはデッキからカードを引いた

 

「今回はワタクシの先攻ナノーネ、ドロー!!

ワタクシは『トロイホース』を召喚しまスーノ!!」

 

トロイホース 

☆4 地属性 獣族 ATK1600 DEF1200

 

「─更にワタクシは魔法カード『二重召喚(デュアルサモン)』を発動しまスーノ!!

このカードの効果でワタクシはもう一度通常召喚を行えまスーノ、そしてトロイホースの効果発動!!

このモンスターは地属性のモンスターを召喚する時、2体分の生け贄にする事が出来まスーノ!!」

 

クロノスのフィールドのトロイホースが輝き、別の大きな物体がフィールドに現れていく

 

「トロイホースを2体分の生け贄にして、『古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)』を召喚しまスーノ!!」

 

古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)

☆8 地属性 機械族 ATK3000 DEF3000

 

(いきなり出て来た…形振り構わずって感じね)

 

「先攻は攻撃出来ないので、ワタクシはこれでターンエンドでスーノ!!

シニョーラ みさと、あなたのターンでスーノ」

 

「(わかってるわよ…ったく)

あたしのターン、ドロー

…『ビッグ・シールド・ガードナー』を守備表示で召喚

カードを3枚伏せて、ターン終了」

 

ビッグ・シールド・ガードナー 

☆4 地属性 戦士族 ATK100 DEF2600

 

「それだけでスーノ!?」

 

「…さあ、あなたのターンですよ?」

 

 

 

「ふん、所詮はザコか……」

 

「いきなり攻撃力3000の古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)を出されたら、まあ当然の対処だと思うけど……」

 

「デュエルはまだ始まったばかりだ…彼女がどう攻めるか、見せて貰おう」

 

嘲笑う万丈目、心配そうにフィールドを見つめる明日香…そして、何かの確信を持っている亮はそれぞれフィールドを見ていた

 

 

「どうしようー!!

あの娘いきなりヤバいっスー!!」

 

「この状況で守りに徹したのは当然の一手だが、古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)は守備表示のモンスターを攻撃した時、貫通ダメージを与える効果を持っている

次のターン、彼女がダメージを受けるのは避けられない……!!」

 

フィールドを見て翔は慌て、三沢が丁寧に解説する隣で十代はワクワクした顔でフィールドを見続けていた

 

「ちょっ十代くん、あの娘が心配じゃないんスか!?」

 

「大丈夫だって、アイツはきっと勝つぜ!!」

 

「え…?

何で分かるんスか?」

 

「んー…何となくだ!!」

 

言い切った十代に翔は激しく前のめりに転んだ

 

 

 

「ワタクシのターン、ドロー!!

このままバト「リバース発動」何でスート!?」

 

クロノスが攻撃宣言する前に、みさとの3枚の伏せカードの内1枚が開いた

 

「─速攻魔法 『頼もしき守護者』を発動

フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体の守備力はエンドフェイズ時まで700ポイントアップする

ビッグ・シールド・ガードナーの守備力を、エンドフェイズまで700ポイント上げるわ」

 

ビッグ・シールド・ガードナー DEF2600→3300

 

「上手い!!

古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)がバトルする時、ダメージステップ終了時まで魔法・罠カードを発動出来なくする効果がある!!

だがバトルの前にモンスターの守備力を上げれば攻撃を防ぎきれる!!」

 

上がっていく守備力を見て、観客席で見ていた三沢が興奮したように叫んだ

 

三沢の声が聞こえていたフィールドのみさとは、説明が省けたと言わんばかりにクロノスを見た

 

「…どこの誰か知らないけど、彼の言う通りですよ?

どうします、クロノス教諭?」

 

「ぬぅ……攻撃を中断しまスーノ

ワタクシはカードを1枚伏せて、ターンエン「リバース発動」またでスーノ!?」

 

「─速攻魔法『スケープ・ゴート』を発動するわ

あたしの場に羊トークンを4体、守備表示で特殊召喚」

 

ポンッという可愛らしい音を立てて、4体の羊トークンがみさとのフィールドに現れた

 

羊トークン×4 

☆1 地属性 獣族 ATK0 DEF0

 

「(一体何をしたいのか、わかりませンーノ

そんな弱小トークンを召喚しても、ワタクシの古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)の前では無力だというノーニ…)

ターンエンド、でスーノ」

 

「あたしのターン、ドロー……さーてと、そろそろ終わらせよっか」

 

「な、何を言い出しまスーノ!?

今のシニョーラのフィールドには守備表示のモンスターだけ、ワタクシの古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)を倒せるモンスターなど居まセーン!!」

 

「確かに…何をする気なんだ…?」

 

クロノスの大声でフィールドの注目はみさとに集まるのを見て、側で見ていた3人のナイト達は微笑んでいた

 

[…ありゃあお嬢、一気に決める気だな]

 

[あの程度の野郎じゃ、みさとの相手にもならなかったんだろ]

 

[そうでしょうね]

 

 

 

「─ビッグ・シールド・ガードナーを生け贄に、『聖導騎士(セイントナイト) イシュザーク』を召喚」

 

ビッグ・シールド・ガードナーが光に包まれ、代わりに白銀の騎士が姿を現した

 

「おおっ!!

格好いいーっ!!」

 

聖導騎士(セイントナイト) イシュザーク

☆6 光属性 戦士族 ATK2300 DEF1800

 

「で、ですーガそのモンスターの攻撃力ではワタクシの古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)にーハ、遠く及びませンーノ!!」

 

「分かってるわよ、そんな事

─装備魔法『団結の力』をイシュザークに装備」

 

「ナン!?」

 

みさとのフィールドの羊トークン達から放たれた光が、聖導騎士(イシュザーク)

の体を包んでいく

 

「この装備魔法を装備したモンスターの攻撃力と守備力は、自分フィールドの表側表示のモンスターの数×800ポイント上がるわ」

 

「─そうか!!

スケープ・ゴートは発動したターン、彼女は通常召喚・反転召喚・特殊召喚を封じられる

だから前のクロノス教諭のターンに発動させてそのデメリットを無くしたのか!!」

 

「そ、そんな効果もあったんスか?」

 

「……そして前のターンでモンスターを守ったのも、スケープ・ゴートを発動したのも、全て団結の力を最大限活かす為だ」

 

「何て娘なの……ビッグ・シールド・ガードナーに頼もしき守護者、スケープ・ゴート…彼女のデッキは守備デッキだと思っていたけど……あれじゃ完全に攻撃特化のデッキじゃない!!」

 

「って事は今、アイツのモンスターの攻撃力は……」

 

三沢・翔・亮・明日香・十代と次々と話す中、聖導騎士(イシュザーク)の攻撃力はみるみる跳ね上がっていく

 

聖導騎士(セイントナイト) イシュザーク ATK2300→6300

 

「こ、攻撃力6300ー!?」

 

跳ね上がった攻撃力にクロノスは狼狽えるが、冷静さを取り戻した

 

(お、落ち着くノーネ!

ワタクシのリバースカードは罠カード『聖なるバリア -ミラーフォース-』、攻撃してきたモンスターを破壊出来まスーノ!!

例えシニョーラ みさとが攻撃して来ても返り討ちに出来る、だから何も怖くないーノ

背中カイーノ!!)

 

クロノスが内心笑う中、みさとは最後の手札に手をかけた

 

「─手札から速攻魔法『サイクロン』を発動して、その伏せカードを破壊するわ」

 

「ナン!?」

 

問答無用で起こった竜巻が、クロノスの聖なるバリア-ミラーフォース-が破壊していく

 

「ま、まだですーノ!!

例えバトルで古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)が破壊されてーモ、ワタクシのライフは700ポイント残りまース!!」

 

「バトル

聖導騎士(セイントナイト) イシュザークで、古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)を攻撃

そしてこの瞬間、リバース発動」

 

「ウゲッ!?」

 

「─速攻魔法『突進』を発動

フィールドのモンスター1体を選択し、発動したエンドフェイズまで700ポイント攻撃力を上げる

イシュザークの攻撃力を更に700上げるわ」

 

聖導騎士(セイントナイト) イシュザーク ATK6300→7000

 

「こ、攻撃力が7000…!!」

 

「互いのモンスターの攻撃力の差は、クロノス教諭のライフと同じ4000…!!」

 

「ジャッ…ジャストキル…!?」

 

「ワ、ワタクシーはデュエルアカデミアの実技担当最高責任者ナノーネ!!

それなノーニ…受験者に2度も負けるナンーテ、有り得な「バトル続行」せめて最後まで言わせて欲しいノーネ!!」

 

[知るかそんなん]

 

[お前が悪いだろ、蝋人形]

 

[まあ、相手がみさとちゃんじゃ…]

 

受験者達がクロノスを哀れむ中、言いたい放題な3人の騎士達は呆れ返っていた

 

「イシュザークの攻撃!!

─斬り裂け、セイントセイバー!!」

 

「カ、カルボナーラァアァアァァーッ!!」

 

聖導騎士(セイントナイト)イシュザークの剣が、古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)を真っ二つに切り裂いた

 

クロノス LP4000→0

 

「ア、アガガ……」

 

「ふぅ…八つ当たり出来なくて残念でしたね」

 

放心しているクロノスに軽めの捨て台詞を残したみさとは、そのままフィールドを去って行った

 

 

 

 

「スゲー!!

アイツ、スゲー強ェな!!」

 

「女の子なのに、物凄い強さっス…」

 

「良いデータが取れた、早速彼女対策のデッキを構築しないとな」

 

はしゃぐ十代の両隣では、翔が呆然と呟き三沢は興味深そうに頷いていた

 

 

 

「守りから攻めへ、静から動への展開が鮮やかだったわね…」

 

「…彼女はあれでもまだ本気ではないだろう」

 

「えっ…!?」

 

ため息をもらす明日香の隣で呟いた亮の一言に、明日香は目を見開いた

 

「遊城 十代に不知火 みさと、か……今年は面白くなりそうだ」

 

そう呟いた亮は口元に笑みを浮かべていた

 

 

 

 

[また気持ちよく勝ったなみさと]

 

「相手が荒れてただけでしょ」

 

[あの男の子に負けた事に、物凄くご立腹でしたものね]

 

[それを差し引いても、相手がお嬢じゃ勝ち目はねぇだろ]

 

人気の無い所まで来たみさとは、3人の騎士達と話していた

 

「…ねぇ、これからあたしは遊戯兄ちゃん達と離れ離れになって1人で進んで行かなくちゃいけない

正直、まだ自信は無いわ……」

 

[みさとちゃん……]

 

「だからあたしが迷った時は遠慮なく叱ってね」

 

[ああ、わかった]

 

[お嬢の頼みなら仕方ねぇな]

 

[私達はいつまでも、みさとちゃんの騎士だから…]

 

「……ありがとう」

 

 

 

…それから1週間後、みさとの元にアカデミアからの合格通知が届いた




当たり前のように話している3人のナイト達は、デュエルモンスターの精霊です
詳しい事情は、追々明かされていきます
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