遊戯王GX 戦場に立つ乙女   作:なおにぃ

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いくつかの模造設定がありますので、お気をつけください


TARN 19  仲間達の闘い

デュエルアカデミアの応接室で1人の女子生徒が、スーツ姿の男と机を挟んで話し込んでいた

 

「……以上が現状よ」

 

「そうか、ご苦労だったなみさと」

 

「まあ、仕事だしね

…それより、あたしはアンタが直接来るなんて思ってもいなかったわよ、海馬」

 

みさとと向かい合っている男……海馬 瀬人は、手元の書類を整理して鞄の中にしまった

 

「セブンスターズとやらとの戦いはまだ続いているのか?」

 

「…向こうは7人中、まだ2人しか出て来て無いわ

こっちの鍵は、もう2つも取られちゃってるし」

 

「だが、残りの生徒の中には貴様や遊戯が目をつけている奴がいるのだろう?」

 

「……いるにはいるんだけど…」

 

「何だ、その煮えきらない態度は?

ハッキリ言え」

 

海馬の一言にみさとはため息をつくと、セブンスターズとの戦いで起こった事を話し始めた

 

「……という訳で、アイツは今悩んでるのよ

自分のデュエルが本当に正しかったのかって」

 

「下らんな

其奴の歩んで来たデュエル道など、まだ始まりに過ぎん

そんな事で立ち止まるとは」

 

「そう言ってやるもんじゃないわよ

あんなデュエル、誰だって戸惑うわよ…アンタだって戸惑ったでしょ?

ペガサスにモクバの魂を抜き取られた時

それこそ自分の命を盾にしてまで、遊戯兄ちゃんに勝とうとしたんだし」

 

みさとに図星を付かれ、海馬は押し黙った

 

「…あたしは、十代の信じたデュエルが……楽しめるデュエルが本来有るべき姿だと思う

デュエルを楽しむ心を無くしたら、ただ虚しいだけよ

……アイツには、あたしのようにその心を無くして欲しく無いわ」

 

[みさとちゃん……]

 

[クリ~……]

 

切なそうに俯いたみさとを、三騎士達とクリボーは悲しそうに見つめていた

 

「……行くぞ」

 

「へ?

行くって、どこに?」

 

「そいつのところだ」

 

椅子から立ち上がった海馬を、みさとは腕を掴んで止めた

 

「何をする?」

 

「アンタ、素顔でこんな所を歩き回る気!?

大騒ぎになるじゃないの!!」

 

「フン、ならばコレを使うぞ」

 

《……ゑ》

 

海馬が取り出したモノに、みさとと騎士達とクリボーは目を点にした

 

 

 

 

 

「……何でこうなったんだろ?」

 

[さぁな…;]

 

[クリィ……;]

 

海馬の精霊 『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)』が作り出した精霊の世界で、カイバーマンに変装した海馬は十代とデュエルを始めていた

 

先攻の十代は『E・HERO(エレメンタルヒーロー) バブルマン』と装備魔法『バブル・ショット』をフィールドに出した

 

E・HERO(エレメンタルヒーロー) バブルマン

☆4 水属性 戦士族 ATK 800 DEF 1200

 

次のカイバーマン…海馬のターン、海馬は『正義の味方 カイバーマン』を召喚した

 

正義の味方 カイバーマン

☆3 光属性 戦士族 ATK 200 DEF 700

 

(ツッコミたい…ツッコんでしまいたい……!!)

 

[みさと……;]

 

みさとは現状へのツッコミを耐えながら、物影に隠れてデュエルを見守っていた

 

「オレはこのカード、正義の味方 カイバーマンを生け贄に手札から下僕を1体召喚する!!」

 

フィールドのカイバーマンが光に包まれて、『青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)』が降臨した

 

青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)

☆8 光属性 ドラゴン族 ATK 3000 DEF 2500

 

(いきなり出して…手加減無しね)

 

[アイツが手加減なんて言葉、知ってるとは思えねぇぜ?]

 

(……確かに)

 

 

 

 

……デュエルはカイバーマンの優勢のまま進んでいた

 

「オレのターン、ドロー!!

オレは魔法カード『死者転生』を発動!!

手札1枚をコストに、墓地からクレイマンを手札に加える!!」

 

「フン…そんな雑魚カードを戻してどうなる」

 

「オレのデッキに雑魚なんていない!!

それにオレの狙いはクレイマンを呼び戻すことじゃない…オレが墓地に送った『E・HERO(エレメンタルヒーロー) ネクロダークマン』、このカードが墓地にあるとき一度だけ上級モンスター召喚に生け贄が必要なくなる!!

E・HERO(エレメンタルヒーロー) エッジマン』を召喚!!」

 

(コレ、あたしの時と同じ戦法…!!)

 

十代のフィールドに、全身金色のヒーローがポーズを決めて現れた

 

E・HERO(エレメンタルヒーロー) エッジマン

☆7 地属性 戦士族 ATK 2600 DEF 1800

 

[けどよ、アイツじゃブルーアイズは倒せねぇぞ?]

 

[それは十代も分かってるだろうぜ]

 

[ええ、恐らく十代くんの手札には……]

 

(あのカードか…)

 

「ダメだ!!

エッジマンの攻撃力は2600、ブルーアイズには敵わないよ!!」

 

「まだだ!!

─更に手札から、フィールド魔法『摩天楼 -スカイスクレイパー-』を発動!!」

 

鍾乳洞が一気に、夜の大都会へと風景を変えていく

 

「このカードはE・HERO(エレメンタルヒーロー)が攻撃する時、攻撃モンスターの攻撃力が相手より低かった時、攻撃力は1000ポイントアップする!!」

 

「よし、これなら!!」

 

後ろにいた翔達の声に答えるように、十代は青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)を指差した

 

「伝説をぶち破れ!!

エッジマン!!

─パワー・エッジ・アタック!!」

 

E・HERO(エレメンタルヒーロー)エッジマンの攻撃が、ついに伝説の龍を1体倒した

 

[ブルーアイズが……]

 

[やりやがったぜ、あのボウズ……]

 

[それに、今の十代くんのあの瞳…]

 

(うん…心の底から、デュエルを楽しんでる……)

 

「オレはカードを1枚伏せて、ターンエンドだ

これがE・HERO(エレメンタルヒーロー)の結束の力だ」

 

ホッとして胸を撫で下ろすみさとと三騎士達を後ろで一瞬見たカイバーマンは、十代のその姿勢を見てフッと笑った

 

「……迷いはふっ切れたか、遊城 十代」

 

「え?」

 

「貴様の歩んできたデュエル道など、まだ入り口だ

世界にはまだ未知のデュエルがある…見えるハズだ、果てしなく続く戦いのロードが

…なのに貴様はここで立ち止まるのか!!」

 

「─…立ち止まるもんか!!」

 

その声はその場に強く響いた

 

「そうだ!!

己がデュエルを、己のデッキを信じて進め!!

その踏み記したロード、それがお前の未来となるのだ!!」

 

(へぇ…良いこと言うじゃない、海馬の奴)

 

十代の答えを満足げに受けると、カイバーマンは魔法カード『黙する死者』で倒された青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)を呼び戻す

 

「─更に魔法カード『融合』を発動!!」

 

発動されたカードの名前に、十代と万丈目は反応した

 

「やはりもう1体…」

 

「やはりって?」

 

「…カイバーマンのデッキは、海馬 瀬人のデッキそのものだって事だ!!」

 

(そりゃあ、本人だしね……;)

 

真実を知っているみさとは、万丈目の言い分に遠い目をして内心ツッコんでいた

 

3体のドラゴンが融合し、『青眼の究極竜(ブルーアイズ・アルティメットドラゴン)』が姿を現した

 

青眼の究極竜(ブルーアイズ・アルティメットドラゴン)

☆12 光属性 ドラゴン族 ATK 4500 DEF 3800

 

「どうだ?

これが史上最強にして究極のドラゴンだ!!」

 

その圧倒的威圧感に、十代達は立ち尽くしていた

 

「行け、青眼の究極竜(ブルーアイズ・アルティメットドラゴン)!!

─アルティメット・バースト!!」

 

青眼の究極竜(ブルーアイズ・アルティメットドラゴン)の3つの首が、それぞれ強い光を蓄えて、エッジマンに放った

 

「─罠カード『エッジ・ハンマー』発動!!」

 

(ここでエッジ・ハンマー…エッジマン専用の罠カード)

 

「エッジマンを発動コストに、相手モンスター1体を破壊!!

破壊したモンスターの攻撃力分のダメージをプレイヤーに与える!!」

 

E・HERO(エレメンタルヒーロー)エッジマンが、青眼の究極竜(ブルーアイズ・アルティメットドラゴン)に捨て身の特攻を仕掛けていく

 

「これで4500のダメージ、オレの勝ちだ!!」

 

(上手い手だけど……アイツに通用するのかな…?)

 

その場で起きた大爆発がおさまった時、カイバーマンのライフは尽きていなかった

 

「フン…なかなかの戦略だったが、ツメが甘かったな」

 

カイバーマンは1枚のカードを十代に見せた

 

「─…『融合解除』!?」

 

「その通り

このカードの効果によりアルティメットは融合前の姿に戻り、対象を失ったエッジ・ハンマーは空振りに終わったという事だ」

 

(そして、今はまだ海馬のバトルフェイズ…ここまでか)

 

カイバーマンの頭上を飛ぶ3体の青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)が、口から強い光を十代に放った

 

青眼の白龍((ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)でダイレクトアタック!!

─滅びの爆裂疾風弾(バーストストリーム)!!」

 

3体の青眼の白龍((ブルーアイズ・ホワイトドラゴン)から攻撃を受けて、十代のライフは0になった

 

「強靭!!

無敵!!

最強ォ!!」

 

「クッ……うあぁああ!!!」

 

「粉砕・玉砕・大喝采!!

フハハハハハ!!」

 

「うわー…何か懐かしー……;」

 

カイバーマンのセリフと高笑いに呆然とする三騎士達を横目に、みさとはカイバーマン…海馬を見て乾いた笑いをもらしていた

 

 

 

 

 

 

 

 

……目を覚ました十代の前には、精霊達と戯れる翔達がいた

 

「へ……?

くっ…」

 

[クリィー]

 

心配そうに十代に寄り添うハネクリボーの前に、腕を組んだカイバーマンがやって来た

 

「己の力で立ち上がれるか?

立てれば良し、立ち上がれなければ…そこまでだ」

 

「立ち上がれるに決まってるだろ!!

ってェ……」

 

立ち上がった十代は、体の痛みに呻いた

 

「まだ、負けを恐れるか?」

 

「…いや、楽しいデュエルだったぜ」

 

「負けを怖れれば立ち止まるしか無い、負けて勝て遊城 十代」

 

「自分のデッキを信じて戦え、か……オレの友達も前に似たような事言ってたっけな…」

 

「フン…」

 

カイバーマンはこの場からの帰り道を教えて去って行った

 

「……カイバーマン…みさとと似たような事、言ってたな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

「……アンタにしては随分優しい言葉のオンパレードだったんじゃない?」

 

精霊界から戻り、ヘリポートで海馬を見送るみさとの第一声はこの一言だった

 

「フン、貴様1人ではこれからの戦いに勝てるとは思わんからな」

 

「ああ、そうですかぃ

…で、どうだった?」

 

「悪くは無い…だが、まだまだだ

しっかりしごいてやれ」

 

「わかってるわよ…何か分かったら連絡してよね」

 

「良いだろう」

 

そう言って、海馬を乗せたヘリコプターはアカデミアを去って行った

 

「ぷっ……」

 

[みさと?]

 

ヘリコプターを見送りながらいきなり笑い出したみさとに、三騎士達とクリボーは首を傾げた

 

[どうしたお嬢?]

 

「─ぷっくくく…海馬のコスプレ写真、ゲットしちゃった…!!

克也兄ちゃん達に送ってあ~げよっと」

 

[クリィ……;]

 

笑いながら端末を操作するみさとに、三騎士達とクリボーは呆れたような視線を向けていた

 

…その日の夜、みさとの端末に遊戯・城之内・本田・杏子・御伽・舞……仲間達からの爆笑の連絡が来て盛り上がっていたのは、言うまでもない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…カミューラ撃退から数日、万丈目の実家がデュエルアカデミアを買収しようと企んだが、万丈目が自分で兄達と闘って退けた

 

それから更に数日後、デュエルアカデミアの授業に男子生徒の半数以上が休むという謎の事態が発生した

 

「う~む…これは一体どうした事ニャ…?」

 

猫のファラオを撫でながら、教卓で出席した生徒の少なさを大徳寺は不思議がっていた

 

そんな大徳寺の下に、森の中で男子生徒の落とし物を発見したという伝達が入り、十代達は森に向かった

 

「なんだ…アレ?」

 

森を抜け、島の東部まで行くと謎の大きな建物が建っていた

 

「何か、コロシアムみたいね」

 

[[クリクリー!!]]

 

建物を見上げていると、ハネクリボーとクリボーが中へ入っていく

 

「ハネクリボー!?」

 

「ちょっとクリちゃん!!」

 

十代とみさとを先頭に、十代達は建物の中に入って行った

 

中では授業に出ていなかった生徒達…そして何故かクロノスが、建物の工事を行っている最中だった

 

「あれは川田くん!!」

 

「後藤くんもいるんだな」

 

「あ、あそこ見ろ!!」

 

「クロノス先生!?」

 

「マンマミーヤ?」

 

「そういえば、クロノス教諭の姿も見えなかったニャ」

 

「最初に言いましょうよ、そういう事は…」

 

大徳寺に呆れた視線を送ったみさとの視界の端に、巨大な虎が映った

 

「ゑ……?」

 

「みさと?

どうし……」

 

突然固まったみさとに気づいて振り返った明日香は…視線の先の虎に固まり、明日香の視線を追った十代達も虎の登場に固まった

 

虎の一吠えで、十代達は柱の天辺に慌てて避難した

 

「クロノス教諭!!

これは一体どうした事なのニャー!?」

 

「その虎に、みんな連れて来られたノーニャ」

 

「意味がわからないノーニャ!!」

 

「─うふふふふ…そう

おかげでこのコロシアムは完成した…者共、感謝するぞ!!」

 

虎に怯える十代達の前に、デュエルディスクをつけた筋骨隆々な1人の女がやって来た

 

「何だ、アイツは…?」

 

「…バース」

 

女が名前を呼ぶと、十代達を襲っていた虎は女の側にすり寄った

 

そして勇ましい姿から一転して人の良い笑顔を浮かべ、男子生徒達に振り返った

 

「皆さーん、ありがとうね協力してくれて!!

おかげで立派なコロシアムが出来たわ

コレ、ほんの気持ち」

 

女は封筒を生徒達に渡してそのままクロノス以外の全員を帰した

 

「カンツォーネ!!

ご褒美ナノーネ!!」

 

「お前は気色悪ぃからやんない!!」

 

(素直な人…;)

 

タニヤにハッキリと言い切られたクロノスに、みさとは引き攣った笑顔を浮かべていた

 

「そんなんナーイ!!

不公平ナノーネスター!!」

 

それでも食い下がるクロノスは、虎に脅され逃げていった

 

「こらぁ!!

お前一体何者だ!?」

 

叫ぶ十代の方を見ると、女はニヤリと笑う

 

「私はタニヤ!!

偉大なるアマゾネス一族の末裔にして長、そしてセブンスターズの1人だ…」

 

「アマゾネスって確か…」

 

「女子だけの一族が世界のどこかにいるって、聞いた事あったけど…」

 

「本当、だったのね……」

 

翔・隼人・明日香が呆然とした声をもらした

 

「これから七精門の鍵を賭けた聖なる闘いを行う!!

…でもねぇ、私と闘うことの出来るのはぁ…男の中の男だけ」

 

「な、なによそれ!!」

 

意気込んでいたタニヤがいきなり態度を変え、突然の条件に明日香は意味がわからないとばかりに叫んだ

 

「たまにいるのよね~、コイツみたいにデュエルを男あさりの道具にする女って」

 

首を横に振って呆れ返ったみさとを無視したタニヤは、男の中の男は誰だと叫んだ

 

「オレが!!」

 

「いや、オレだろう」

 

「いや、オレだ!!」

 

十代・万丈目・三沢と3人が名乗り出る中、明日香は頭を押さえてみさとに宥められていた

 

……そして鍵を持たない大徳寺は、何故か隠れていた

 

「今回、あたし等に出番は無さそうよ?」

 

「はあ……」

 

「ふむ…面構えは皆悪くない、が…YOU!!」

 

考え抜いたタニヤが選ばれた三沢は前に立ち、文句を言いながら十代と万丈目は下がった

 

タニヤは知恵のデッキ、三沢は持ち前の6つのデッキから地のデッキを選択してデュエルディスクにセットした

 

「言い忘れたが、このデュエルは闇のデュエルではない!」

 

「何…?

どういうことだ!?」

 

「魂なんていらなーい!!

私はぁ、お前自身が欲しいのぉ」

 

タニヤの身振り手振りの動作と言葉に、三沢は前のめりになる

 

[語尾にハートでもついてそうな勢いだな…;]

 

(そうね…)

 

目の前の光景に呆然としながら、みさとはジャックの意見にどうでも良さそうに答えていた

 

「つまり私が勝ったらぁ、お前を婿として村に連れて帰る!!」

 

意味のわからない申し出に、三沢は頭を押さえた

 

「わけの分からん事を…ならば、オレが勝ったらどうする!?」

 

「そしたらぁ、私 三沢っちのお嫁さんになったげるぅ~!!」

 

そんな謎のやり取りに隼人の顔は真っ赤になっていた

 

「このデュエル、何か羨ましいかも…!!」

 

「ヲイ」

 

謎の羨ましさに駆られる翔に、みさとのツッコミが入った

 

「お前など嫁にするつもり等毛頭無いが、このデュエルには絶対に勝つ!!」

 

「良いぞ三沢ー!!

ラストサムライ魂、見せてやれー!!」

 

「何それ…?」

 

十代の独特な応援に、みさとは首を傾げていた

 

 

 

 

そして始まった三沢対タニヤのデュエル

 

攻めの姿勢を崩さない三沢の攻撃を、タニヤは難無く跳ね返して徐々に三沢を追い込んでいく

 

更にタニヤのラブアタック(?)を幾度となく浴びせられ、三沢は徐々にペースを崩していく

 

「もしかしてあのタニヤって人、三沢くんの一番苦手なタイプかも…」

 

「大丈夫、なんたって三沢はラストサムライだからな」

 

「…それ、映画のタイトル?」

 

観覧席に移動した十代達は、三沢のデュエルを見守っていた

 

「分かっているぜタニヤ、お色気でオレのペースを崩そうというその陳腐な作戦

だがオレの戦術は鉄壁、お前の桃色光線など通用しない!!」

 

「桃色光線って…何だ?」

 

「「さぁ…?」」

 

「何か、凄くどうでもいい響き…」

 

十代達3人が首を傾げる隣で、みさとは終始呆れていた

 

 

 

 

 

 

タニヤの桃色光線で調子を崩し続けた三沢を、攻め続けるタニヤ……そして、デュエルについに決着が着いた

 

「アマゾネスペット(タイガー)、私の答えを三沢っちに伝えて!!

─お受けします、恋の成就…密林の王牙!!」

 

「ぐっ…うぅ……タニヤ、っち……」

 

「バカだアイツ…実力の半分も出さないまま負けてるし…」

 

「三沢!!」

 

呆れ返って額を片手で被ったみさとの隣から、十代が闘技場の三沢に駆け寄る

 

だがタニヤの虎にそれを阻まれ、十代達はコロシアムの外へ追いやられた

 

…そして三沢は、タニヤに捕らわれてしまった

 

 

 

 

 

 

 

……のだが数日後、三沢は変わり果てた姿で十代達の元へ帰って来た

 

そして翌日、ずっと上の空でぼうっとしている三沢

 

タニヤとのデュエルで落ち込んでいるのだと判断した十代は、三沢をデュエルに誘った

 

だが三沢はそれを断り、タニヤとまたデュエルをしたいと言う

 

「三沢くん、完全に別人っスね」

 

「タニヤに負けてフラれた事が、よっぽどショックだったんだろうな」

 

「けど、あのタニヤって奴、強かったよな

今度はオレが行く、三沢の仇はオレが討つぜ!!」

 

「十代…」

 

「バカ言わないの」

 

十代を心配そうに見守る明日香の隣で、みさとはジト目で十代を睨んだ

 

「三沢がやられて鍵は3つ奪われた、残りはあたし達4人で倒さないといけないのよ?

迂闊な事は出来ないわ」

 

「けどよ…」

 

「それに戦いが始まる前に言ったハズよね?

「1人でも犠牲者が出た相手とはあたしがやる」って」

 

「チェ…」

 

 

 

 

その夜、コロシアムにタニヤの気を感じたと言う三沢の先導で、十代達は真っ暗な森を駆け抜けた

 

「よく気づいてくれたな、デュエルに飢えた私の気を」

 

「あたしが相手よ」

 

前に出たみさとに、タニヤは目付きを鋭くした

 

「ふざけるな!!

私の相手は男の中の男だと伝えたハズだ!!

お前はどこからどう見ても、女ではないか!!

まあ、胸の小ささは男並みだが」

 

タニヤの最後の一言に、みさとの額にピキッと音を立てて青筋がたった

 

[あの女、お嬢の禁句を……;]

 

「…なら、アンタの不戦勝って事であたしの勝ちになるけど、良いわよね?

んっふっふっふっふっふ…」

 

怒りのオーラを出すみさとを見て、万丈目達は身を引いた

 

だが、そんな中1人だけ動けた男が片手を上げた

 

「─ならオレが相手になるぜ!!」

 

「十代!?」

 

「ちょっと、アンタ何考えてんのよ!?

折角楽に勝てそうだったのに!!」

 

「だってさ、折角デュエル出来るんだぜ?

勿体ないじゃねーか

それにしても…」

 

みさとの正面に立った十代は、そのままみさとを見つめた

 

「な、何よ…?」

 

「─いやぁ、タニヤに言われて気づいたんだけどさ…お前って胸小さいんだな」

 

[[[ッ…!!]]]

 

ヘラヘラ笑いながら言った十代の一言に、みさとはブチリッと何かを切れさせて三騎士達は声にならない悲鳴をあげた

 

「じゃかァしいわよ!!

言って良い事と悪い事の区別くらいつけろっての!!

つーか、放っておきなさいよねアンタ!!

ざけんじゃないわよ!!」

 

ドスバキボコッと転がりながらみさとは十代をボコ殴りにし、勢いよく振り回し続けた

 

 

 

 

 

 

…みさとの制裁が終わり、ボロボロの十代がタニヤと向かい合う

 

「面構えはいい…ちょっとおバカそうだが」

 

「っておバカは余計だろ!!」

 

ずるっとコケつつ怒鳴る十代の熱さを買い、タニヤはデュエルを受けた

 

「オレは遊城 十代…遊城っちって呼んでくれ!!」

 

そんな十代の軽さに、駆けつけた全員は肩から拍子抜けした

 

そして、十代対タニヤのデュエルが始まった

 

 

 

 

……一進一退の激しい攻防、そして最後まで正々堂々とデュエルをした十代とタニヤ

 

最後はフィールド魔法の効果による殴り合いでギリギリ十代が勝利した

 

「私は今まで一族の婿に合う男を捜していたが…最後に会えたのは、最高のデュエリストだった」

 

「…そうか、それはよかったぜ」

 

小さくと笑うとタニヤは白き虎へと姿を変えた

 

そして連れていた虎と一緒に去って行った

 

「オレは、虎に惚れたのか……?」

 

「いい女だったじゃないか」

 

「まあ、前の2人に比べたら遥かにまともね」

 

去っていくタニヤの後ろ姿に呟く三沢に、万丈目とみさとは慰めるようにそっと肩に手を置いた

 

「やっぱデュエルっていいよなぁ、最高だったぜ!!

タニヤー!!」

 

十代の声に答えるように2頭の虎は吠えて、やがて見えなくなった

 

 

 

 

 

 

 

……タニヤの襲撃から数日、みさとは目の前の光景に呆気にとられていた

 

「(…あれからお金で何もかも手に入るなんて考えてる勘違いバカな富豪が三幻魔と十代を買いに来たりしたけど、セブンスターズの動きは無い

けど、残りの鍵は十代に饅頭・明日香…そしてあたしの4つ、そして残りの敵は4人……いざというときはあたしが命を懸けてでも、十代達を守らないと…!!

けど、今はそれより……)

─あんな連中、いたっけ…?」

 

[[[さぁ…?]]]

 

[クリィ~…?]

 

突然現れた警部のマグレの提案で、鍵を身に付けずに別の場所へ移す事になった十代達

 

その意見にみさとは反対したが、十代達に宥められて渋々納得した

 

みさとは目の前を歩くマグレを不信な眼差しで見ていた

 

(コイツもそうだけど今日会った連中、あたし今まで見た事も無いんだけどなぁ……あたしが見落としてただけ?)

 

[レッド寮の管理人のゴーグに、レッド生のチック]

 

[警備員のクリフに、女医のミーネ]

 

[確かに見た事無いですね……]

 

[クリィ~]

 

([[[怪しい……]]])

 

みさとと三騎士達は彼等に疑心感しか持たないまま、その場は解散となった

 

 

 

 

 

……そしてその夜、残りの4つの鍵が何者かに盗まれるという事件が発生した

 

鍵を持つメンバーと翔・隼人・大徳寺は、万丈目の部屋に集まって相談していた

 

「…で、何でオレの部屋なんだ?」

 

「なんて事なのニャ……」

 

「─…大変な事になりましたな」

 

その場にはいない男の声に全員が入り口を見ると、警部のマグレ・管理人のゴーグ・レッド生のチック・警備員のクリフ・女医のミーネがいた

 

「みんな…!!」

 

「私がお呼びしたのです、事情聴取の為にね」

 

「それもそうですニャ」

 

「では皆さん、別室でお話を伺いましょう」

 

「よぉーし、オレ達も手分けして犯人を探そう!!」

 

犯人捜しに意気込む十代を万丈目は止めた

 

「─鍵を盗んだ犯人は…この中にいる!!」

 

《えええええーっ!?》

 

断言した万丈目に、その場の全員が絶叫した

 

「─この事件はオレが必ず解決してみせる、名探偵と 万丈目サンダーの名にかけて!!」

 

「おおっー!!

何かかっこいいぞ万丈目!!」

 

はしゃぐ十代を見た後、みさとと明日香はどこか遠くを見る眼差しを万丈目に向けた

 

「…何かそんなセリフの推理漫画、読んだ事ある気がする」

 

「私も…」

 

明日香・十代に翔と、部屋に合った証拠らしき物を見つけ、万丈目がその証拠を消し去った話に耳を傾けていたみさとは三騎士達にコッソリ目配せした

 

三騎士達は小さく頷くと、クリボーを連れて部屋の隅に寄って観察を始めた

 

「─犯人は……お前達だ!!」

 

万丈目が指差した先には、ゴーグ・チック・クリフ・ミーネがいた

 

「な、何を証拠に!?」

 

「そ、そうよ!!

犯人扱いするんなら、証拠があるんでしょうね!?」

 

「…あるとも」

 

チックとミーネの文句に、万丈目は不敵に笑った

 

「何っ!?」

 

「証拠は…コレだ!!」

 

万丈目が見せたのは、おジャマ三兄弟のカードだった

 

「それぞれの部屋を回った時に、オレはコイツ等をコッソリ置いてきた

そして、オレの部屋には大勢の目撃者がいる」

 

万丈目は精霊の宿った3枚のおジャマ三兄弟のカードを見せつけた

 

(精霊任せかい……;)

 

[お嬢、間違いねぇぜ]

 

[こちらもです]

 

(ありがと、キング・クィーン

……まあ、あたしも人の事言えたもんじゃないけどね)

 

万丈目がマグレも犯人だと言う話に苦笑しながらみさとは、そっとチックの後ろに回り隠し持っていた工具を奪った

 

「あっ!!」

 

「ふぅん…饅頭のバカ推理もどきはともかく、アンタ達が犯人である事は間違いなさそうね

コレ、穴開けドリルよね?

何でこんな物、ここに持ち込んでるの?」

 

「そ、それは……」

 

黙り込むチックから視線をずらし、みさとはミーネの片腕をとった

 

「きゃっ!!

何するのよ!!」

 

「…明日香、アンタの部屋に落ちていた付け爪って…コレ?」

 

みさとはミーネの付け爪が2枚剥がれた片腕を、明日香の前に差し出した

 

「そう!!

コレよ、この付け爪だわ!!」

 

「この付け爪、あたしのトコにも落ちてたもの

…アンタ達、セブンスターズね」

 

ミーネを突き放し、みさとはマグレ達を冷めた視線で睨んだ

 

「コイツ等が!?」

 

「セブンスターズ!?」

 

「そう

全てはこの名探偵 万丈目サンダーの推理通りだ!!」

 

(アンタねぇ……;)

 

自信満々に笑う万丈目に、みさとは呆れ返っていた

 

「フフフ…流石は名探偵を名乗る事はあるな、万丈目サンダーとその助手」

 

《何処が!?》

 

「誰が助手だ!!」

 

「目茶苦茶な推理だが、結果は全て大当たりだ

ここまで見抜かれてしまっては仕方ないな」

 

不敵に笑うマグレ達は変装を脱ぎ捨てた

 

「そう、私達の正体は……!!」

 

《黒蠍盗掘団!!!!》

 

マグレ達5人…黒蠍盗掘団が謎のポーズを決めた

 

(……そのポーズ、何か意味あんの?)

 

《黒蠍盗掘団?》

 

十代達は不思議そうに揃って首を傾げた

 

「私達は数年前、七精門の鍵を奪う仕事を受けて部下達をこの島に送り込んだのだ」

 

《それが、黒蠍盗掘団!!!!》

 

「時間をかけた割りには、仕事が雑だぜ」

 

[同感だな、ガキの遊びだ]

 

万丈目とキングが呆れたような声をもらした

 

《それが、黒蠍盗掘団!!!!》

 

「何か面白ェぞコイツ等」

 

[クリクリー!!]

 

「ホントホント」

 

謎のマヌケさを持つ5人を見て、十代・クリボー・翔はコッソリ笑っていた

 

《それが、黒蠍盗掘団!!!!》

 

「でも、鍵を盗んだだけじゃ七精門は開かない

意外と間が抜けてるのね」

 

[その辺りの情報収集もしておかないといけないですよね…;]

 

黒蠍盗掘団のお粗末な仕事っぷりに、明日香とクィーンは苦笑した

 

《それが、黒蠍盗掘団!!!!》

 

「…で、どうすりゃ開くんだ?」

 

[敵に聞くのか?]

 

[「開け ゴマー」とか言うのか?]

 

[ジャック、それは無いと思いますよ…?]

 

ジャックの天然発言に、キングとクィーンは呆れ返った

 

「敵に聞くなんて情けないんだな」

 

《それが、黒蠍盗「じゃかぁしいわよォ!!」

 

黒蠍盗掘団の変わらないセリフに、みさとはついに爆発した

 

「…このオレとデュエルして勝てば、門は開かれる」

 

自信満々に言い切った万丈目を、十代と明日香は眉をしかめて見た

 

「ちょっと待て、オレは?」

 

「私もいるわよ?」

 

「あたしも」

 

そんな十代達に、万丈目は怒りを我慢していた

 

「デュエル?

そうか依頼された時にもらったコイツが……ならばデュエルだ、小僧!!」

 

「あるなら最初っから出しなさいよ!!」

 

みさとのツッコミを無視したマグレはどこからか取り出したデュエルディスクとデッキを装着し、万丈目を指差した

 

「臨むところだ!!

来い、黒蠍盗掘団!!」

 

こうして、万丈目対黒蠍盗掘団のデュエルが決まった

 

「みさとさん、いいの?」

 

「何が…?」

 

「コイツ等、セブンスターズなんだな

つまりコレは……」

 

翔と隼人の不安げな声に、何を言いたいのか察したみさとは苦笑した

 

「ああ、コレは多分闇のデュエルにはならなさそうよ

だから饅頭にやらせても問題無いと思う」

 

「そうっスか」

 

「まあ、あんなマヌケに負けたら締めてやるけどね…ンフフフフ……」

 

「「ヒィッ!!」」

 

不気味に笑ったみさとに翔と隼人は怯え、十代・明日香・大徳寺は身を引いた

 

[みさとちゃん、あの人達は恐らく……]

 

(まあ、そうなるでしょうね……けど自業自得よ)

 

そして始まった万丈目と黒蠍盗掘団のデュエル

 

黒蠍盗掘団はフィールドに自分達が出るという摩訶不思議なデュエルを行い、罠カード『黒蠍コンビネーション』と盗掘団のモンスター効果のコンボで、確実に万丈目を追い詰めていく

 

だが万丈目は罠カード『おジャマトリオ』でそのコンボを崩した

 

更に融合モンスター『おジャマ・キング』を召喚、魔法カード『おジャマッスル』で相手のフィールドに召喚していたおジャマトークン達を破壊して攻撃力を0から3000に上昇

 

おジャマトークン達の効果で、黒蠍盗掘団にダメージを受けた

 

そのままおジャマキングが『首領(ドン)・ザルーグ』を攻撃して、デュエルは万丈目の勝利に終わった

 

「やったー!!」

 

「勝ったー!!」

 

「凄いぜ万丈目!!」

 

「サンダー!!」

 

「でも…受けたくは無い攻撃ね」

 

「アレにトドメ刺されたアイツ等がちょっと不憫かも…;

っていうかあたし、アイツとの初対面でおふざけで「おジャマキング」とか言っちゃったけど…」

 

「まさか本当に使うなんてね…」

 

はしゃぐオシリスレッド組の隣で、明日香とみさとは引いていた

 

……そして、黒蠍盗掘団はあっという間にカードになってしまった

 

「なっ……!?」

 

「どういう事!?」

 

万丈目は後に残ったカードと、首領がつけていた眼帯の闇のアイテムを拾った

 

「コイツ等、ただの盗賊かと思ったが……」

 

「コレの力で精霊にされたんでしょうね」

 

「とにかく、鍵が戻って良かったニャー」

 

「知らない内に、闇のデュエルをしていたのね」

 

「負けたら、カードに封印か…危ねー」

 

「まあ、これで残りは3人ね

十代・明日香、気を引き締めときなさいね」

 

「おう!!」

 

「ええ」

 

 

 

 

 

 

 

…翌日、アカデミアの廊下を歩いていたみさとの後ろから、万丈目が走ってきた

 

「みさと、頼みがある!!」

 

「何よアンタ、藪から棒に…?」

 

「とにかく来い!!」

 

「あっちょっ、何なのよ!!」

 

万丈目に連行されるみさとを見かけたジュンコとももえは、驚きに目を見開いた

 

「みさとさんと万丈目様が……」

 

「手を握りあっていた…!?」

 

 

 

 

 

 

 

「…で、話って何よ?」

 

場所を移したみさとは万丈目と向かい合った

 

「─…コイツ等をオレの部屋に置くのはもう限界だ!!

どうにかしてくれ!!」

 

万丈目の後ろには、精霊になった黒蠍盗掘団がいた

 

「結局、アンタが引き取ったのね…;

っていうかアンタ達、敵に助けてもらってプライドは無いの?」

 

《それが、黒蠍盗掘団!!!!》

 

「ああ、そう……;」

 

変わらないポーズとセリフに、みさとと三騎士達は呆れ果てた

 

 

 

 

 

 

 

 

…黒蠍盗掘団の襲撃から数日、アカデミアでは大徳寺の授業が行われていた

 

(大徳寺先生、何で手描き…?)

 

教卓の後ろの黒板には、大徳寺が描いたであろう遊戯と海馬の似顔絵が張られていた

 

「武藤 遊戯と海馬 瀬人

皆さん御存じの時代に選ばれた、伝説のお2人ですニャ

時代に選ばれた人は、勿論他にもいるニャ…七瀬さんもその内の1人ですニャ」

 

大徳寺の一言で、教室中の視線がみさとに集まった

 

「ど、どうもぉ~、おほほほほ」

 

教室中から向けられる視線に、みさとは愛想笑いで返した

 

「伝説を残したデュエリストが、実は古代エジプトにもいたんだニャ」

 

その一言に、みさとはピクリと強く反応した

 

(それって、まさか……!!)

 

「古代エジプト、そんなに昔からあるのかデュエルって」

 

「まだカードが無かった時代では、石板使ってデュエルしてたんスよ」

 

「翔くんの言う通りよ」

 

教室に響いた十代と翔の声に、みさとが答えた

 

「みさと?」

 

「…元々カードっていうのは古代エジプトに封印されていた身の丈以上の魔物の石板でね、ペガサスがそれをカードの姿として世の中に露見させたの

デュエルは元々儀式のようなものでね、モンスター…魔物が封印された石板を操り、魔力が尽きるまで戦う……この魔力は、今のライフポイントを意味しているのよ」

 

「よく知っていますニャ、その通りですニャ」

 

(…実体験した、なんて言える訳ないわよね……;)

 

ニコニコ笑う大徳寺に、みさとは明後日の方向へ視線を反らした

 

「これが生涯無敗の伝説を残し、デュエルの神と呼ばれた少年王『アビドス三世』なんだニャ」

 

「生涯無敗って、1度も負けた事が無い?

スッゲーなぁ、その神様とデュエルしてみたかったぜ」

 

「ふん、どうせ神のワンターンでライフポイントが尽きるに決まってるがな」

 

そんな十代と万丈目の話を聞かず、みさとは考え込んでいた

 

(どういう事?

アテムさんじゃない…誰よアビドス三世って?

聞いた事も無いわ)

 

[確かに、私も初耳です]

 

[オレも]

 

考え込むみさとの後ろに、三騎士達がやって来た

 

授業の小難しい話に目を回したクリボーは、ハネクリボーを連れて外で遊びに出掛けてこの場にはいなかった

 

[けどよお嬢、アイツ王様なんだろ?

もしかするとよ……]

 

(……ああ、なるほど

有り得なくは無いわね)

 

騒ぎを起こして居残り掃除を大徳寺に言い付けられた十代達を見ながら、みさとと三騎士達は考え込み、その様子を明日香は不思議そうに見ていた

 

 

 

 

 

 

その夜、みさとは部屋にいなかった明日香を探して外を出歩いていた

 

「明日香ってば、どこに行ったのよ…?

吹雪さんのところにもいなかったし…」

 

[今は闘いの真っ最中、単独行動は明日香ちゃんの為にはなりませんしね]

 

[デートでもしてるんじゃねぇか?]

 

「誰とよ…?」

 

[クリクリィー!!]

 

ジャックの斜め上な発言にツッコんだみさとの前に、クリボーが体を揺すってアピールした

 

「クリちゃん?」

 

「クリクリー!!」

 

クリボーが指差す方向には、灯台があった

 

「灯台?」

 

[下に誰かいるぞ]

 

[行ってみましょう]

 

「ええ」

 

クリボーの先導で、みさと達は灯台へ歩き出した

 

 

 

 

 

 

…灯台に近づくと、聞き覚えのある男女の声がみさと達の耳に入ってきた

 

「この声……」

 

[あのクールなボウズと嬢ちゃんか?]

 

[こんなところで何を…?]

 

[やっぱりデート[それはいいです]

 

ジャックの意見をクィーンはバッサリ切り捨てた

 

「……明けない夜は無い」

 

「え…?」

 

「…そうオレに言ったのは、お前だろ?」

 

「……ふふ、そうね」

 

「─…そういう事なら、あたしにも相談してくれて良かったのよ?」

 

後ろからの声に、亮と明日香は同時に振り返った

 

「みさと?」

 

「どうしてここに…?」

 

「部屋にも吹雪さんのところにもいなかったからアンタを探してたのよ

…んで、クリちゃんが見つけてくれたって訳」

 

みさとがクリボーのカードを見せると、明日香は小さく笑った

 

「…そうだったの、クリボーは探し物が上手いのね

どうもありがとう」

 

[クリクリー!!]

 

「喜んでるわよ、クリちゃん

…確かに、吹雪さんの症状は重いわよ」

 

和んだ雰囲気を壊して、みさとは真剣な口調で明日香と向かい合った

 

「…あたしも似たり寄ったりな経験があるから、何となく分かるのよ

洗脳から解放されても、直ぐには正気を保てない事もあるわ」

 

「君も吹雪と同じ経験を…」

 

「まあ、遊戯兄ちゃん達に助けられましたけどね

けど、そろそろ意識を取り戻してもおかしくない時期のハズよ」

 

「…ありがとう」

 

柔らかく微笑んだ明日香と明日香を見ていた亮とみさとは、地面の異変に気付いて振り返った

 

バキバキッと音を立てて、コンクリートの地面を砕いて謎のミイラ達が3人に襲い掛かり始めた

 

「キャーッ!!」

 

「カイザー・みさと!!」

 

「天上院くん!!」

 

「お兄さん!!」

 

崖の上から、明日香の悲鳴を聞き付けた十代達の声が響いた

 

「アンタ達…!!」

 

「来るなァ!!」

 

亮達を助けようとした十代達も、謎のミイラ達に囲まれた

 

そして、空から降りてきた謎の飛行艇から放たれた眩い光に、全員がのみ込まれた

 

 

 

 

 

全員が目を覚ますと、そこは飛行艇の中だった

 

「ここは……?」

 

「気がついたか」

 

十代・万丈目・明日香・みさとと鍵を持つ人間以外に、翔と亮…そして何故か大徳寺まで飛行艇の中にいた

 

「みんな!!

…ってあれ、先生も」

 

「これから夕飯だって時に、無理矢理ミイラに連れて来られたんだニャー」

 

「アンタねぇ…;」

 

「鍵を持つ者が揃ったか…」

 

「さっきのミイラ達も鍵を欲しがってた

加えてこの現実的じゃない状況、間違いなく……」

 

みさとを遮るようにゴオォーンッと鐘の音が響き渡った

 

飛行艇に取り付けられた玉座には、仮面を付けた1人の少年が座っていた

 

「お前一体、何者だ!?」

 

「─余の名はアビドス三世、セブンスターズの1人だ」

 

「アビドス三世?」

 

「あの、生涯1度も負けなかったという…」

 

「伝説の…」

 

答えられた名前に、十代・万丈目・明日香が警戒する中、みさとは不信に思っていた

 

(バカな…奴は大昔の人間のハズ

千年アイテムじゃあるまいし、死者の魂が現世に蘇るなんて…それに、コイツ…)

 

「そなた達の持つ、4つの鍵をもらい受ける」

 

「神と言われたデュエリストと、戦えというの…?」

 

「残り4つの鍵を、一気に手に入れようという気か」

 

「敵さんも焦ってきたという訳か」

 

「けど、かなりナメられたものね」

 

「鍵を置いて逃げるのなら今のうちだ

さて、どうする…?」

 

余裕綽々なアビドスに、万丈目と明日香はしり込みをした

 

「(まあ、無理も無いわね)

ここはあたしが「はーいはいはいはいはい、オレがやるー!!」

 

舞台に立とうとしたみさとの前に、十代が無邪気に手を上げた

 

「アニキ?」

 

「な、何か嫌な予感…;」

 

「オレお前と1度、デュエルしたいと思ってたんだ」

 

「無礼な、ファラオに向かって「構うな!!」

 

そんな十代にアビドスの手下達は怒るが、アビドスに宥められて下がった

 

「十代、コレは闇のデュエルだぞ」

 

「しかも、相手は神なのよ?」

 

「無茶だよアニキー、経験豊富なみさとさんが相手する方が良いよー」

 

「わかってるって

でも…このワクワクする気持ちは止めらんないんだ

オレにやらしてくれよ、みさと」

 

「……はぁ、良いわ

やっちゃいなさい、十代」

 

呆れたような口調のみさとに、万丈目達の視線が一気に集まった

 

「みさと!?」

 

「しかし、コレは闇のデュエルでは…!?」

 

「多分そうなんだろうけど、吹雪さんやカミューラに比べればかなりレベル低い、十代でも制せるレベルよ

…それに、あたしの推測が正しいならば、あのアビドス三世って奴は十代に敵わない」

 

「余がそいつに敵わないだと?

笑わせてくれる」

 

「なら試せばいいじゃない、やっておしまい十代」

 

「へへっサンキューみさと!!」

 

(それに、あのデュエルを心から楽しんでるあの笑顔

あたしってなんだかんだ、アレに弱いんだよなぁ…)

 

そして、十代対アビドス三世のデュエルが始まった

 

 

 

 

 

……十代は得意のE・HERO(エレメンタルヒーロー)とヒーロー専用の魔法カードを使って攻め続ける

 

だが、アビドス三世のデュエルは隙が大きく素人に近いタクティクスだった

 

……そして、十代がとうとう言ってしまった

 

「─なぁ王様、お前弱くね?

デュエルの神様っていうから、もっと容赦なくやられるって覚悟してたんだけどなぁ…」

 

「戦略もデッキも、何か普通っぽいよね

守備力 0とかのカードも入ってたし」

 

「十代ごときに押されるとはな…本当にアイツ、古代エジプトで神のデュエリストなんて呼ばれてたのか?」

 

「はぁ…そいつは神様なんかじゃ無いのよ」

 

その話に、呆れたように盛大なため息をついたみさとが割り込んだ

 

「へ…?」

 

「どういう事なんスか?」

 

「確かに、アイツは負けた事が無いんでしょうね

無敗っていうのは嘘じゃないハズよ」

 

「じゃあ、何であんなに普通なのニャー?」

 

「大徳寺先生、さっきまで気絶してたんじゃなかったの…?

─答えは簡単よ…アイツが王様だから」

 

その一言で万丈目・明日香・亮も、全てを察した

 

「なるほど、とんだ伝説のデュエリストだな」

 

「王様を相手に勝つなんて、無礼にも程があるものね…何だかかわいそうだけど」

 

「誰1人として奴に本気で向かってはいなかったという事か」

 

「古代エジプトで最強なのはアテムさんよ

大徳寺先生の授業でアイツの名前を聞いた時からおかしいとは思ってたんだけど…あーあ、アホらし」

 

「だからみさとさんは、あっさりアニキに相手を譲ったんだ…」

 

「……つまんなかったよな

全力でやるから、デュエルは楽しいのにさ」

 

十代のその一言に、その場に崩れていたアビドスは顔を上げた

 

「来いよ王様、思いっ切りやろうぜ!!」

 

「そなたは余と本気でデュエルしてくれるというのか…?」

 

「当ったり前だろ!!」

 

その答えに、アビドスはつけていた仮面をとってデュエルを再開した

 

そのデュエルを見つめるみさとに、亮は感心したような眼差しを向けていた

 

(恐らく、彼女は奴が偽りの神だという事に最初から気付いていたハズ…相手を満足させられるのは、本気でデュエルを楽しんでいる十代が1番適任、そう判断したから彼女は十代に相手をさせているんだろうな…

みさと……彼女はやはり本物の伝説のデュエリストだ)

 

 

 

 

……本気でぶつかり合ったデュエル、十代はデュエルで使用したH・E・R…そして『O-オーバー・ソウル』で、破壊されて墓地にいたフェザーマンを復活

 

更に4枚の魔法カードを除外して、十代は魔法カード『HERO(ヒーロー)フラッシュ』を発動、予め出していたスパークマンを含めて十代のフィールドに4人のヒーローが現れた

 

E・HERO(エレメンタルヒーロー) フェザーマン

☆3 風属性 戦士族 ATK 1000 DEF 1000

 

E・HERO(エレメンタルヒーロー) バーストレディ

☆3 炎属性 戦士族 ATK 1200 DEF 800

 

E・HERO(エレメンタルヒーロー) クレイマン

☆4 地属性 戦士族 ATK 800 DEF 2000

 

E・HERO(エレメンタルヒーロー) スパークマン

☆4 光属性 戦士族 ATK 1600 DEF 1400

 

「どうだ?

|E・HEROエレメンタルヒーロー》が4体だぜ?

カッコイイだろー?」

 

「ザコが何体かかって来ても同じだ!!

勝てる訳が無い!!」

 

「バぁーカぁ、デュエルってのは最後の最後までわかんねぇもんなんだよぉーっだ」

 

「ぶ、無礼者!!

余を誰だと思って…!!」

 

「王様だろうと何だろうと、バカなものはバカなのぉ」

 

「バカって言う方がバカなんだぞ!!」

 

「おう!!

オレはバカだ!!」

 

「バカバカ言い合ってないで、さっさとやりなさいよ!!

このどバカコンビ!!」

 

「何だアレ…?」

 

[最強バカ決定戦…?]

 

……子供のケンカのようなやり取りにみさとはキレ気味に割って入り、万丈目達や三騎士達は呆れかえった

 

「やれるものならやってみろ!!

『スピリッツ・オブ・ファラオ』の方が、攻撃力は上だ!!」

 

スピリッツ・オブ・ファラオ

☆6 光属性 アンデット族 ATK 2500 DEF 2000

 

HERO(ヒーロー)フラッシュの効果で、E・HERO(エレメンタルヒーロー)はプレイヤーを直接攻撃出きるんだ!!

行けー、ヒーロー達!!

─必殺 ヒーロー・フラッシュ!!」

 

この一撃で、デュエルは十代の勝ちに終わった

 

 

 

 

 

「……そなたも一緒に来ないか?」

 

デュエルに決着が着き、天に帰るアビドスが十代を天に誘い始めた

 

「へ?」

 

「そんなぁ!!」

 

「だってあんなに楽しいデュエルを、1度だけで終わらせるなんて勿体ない!!

だから、な?」

 

「「な?」って言われても…;」

 

「ア、アニキ!!

ダメダメ、絶対ダメ!!」

 

「ちょっと待てェ!!

アンタ、いきなり何言い出すのよ!?」

 

「おう!!

連れてけ連れてけ!!」

 

「「ゴラァ!!」」

 

必死に止める翔とみさとの隣で悪のりした万丈目は、みさとの回し蹴りを喰らって吹っ飛んだ

 

「あ、あのさ…100年くらい待っててくんない?

そしたら、いっくらでも相手してやるからさ」

 

「約束するんかい!!」

 

十代の呑気な答えに、みさとの鋭いツッコミが入った

 

「100年か……まあ、3000年に比べればあっという間だな」

 

…そして、十代達を地上に降ろしたアビドスは、飛行艇と共に天に帰って行った

 

 

 

 

 

 

 

…アビドス三世の襲撃から数日、保健室にいる明日香は未だに正気にならない吹雪の側にいた

 

(闇のデュエリストも、残るは後2人

きっとこの戦いももうすぐ終わる…それなのに兄さん、いつになったら私の名前を呼んでくれるの…?)

 

「─……取り戻したく無いか?

貴様の兄を…吹雪の記憶を…」

 

その場に不意に、謎の男の声がした

 

 

 

 

 

一方、みさとはまた明日香への夜食を持って暗い校舎を歩いていた

 

「ったく明日香ったら、何時だと思ってるのよ……」

 

[明日香ちゃん、ずっと吹雪さんに付ききっきりですね]

 

「そりゃ、気持ちは分からない訳じゃないけどさ…ん?」

 

そんな話をクィーンとしながら歩いていると、廊下の先に数人の男が立っていた

 

「みんな、こんな時間にどうしたんです?」

 

「シニョーラ みさと、あなたこそ何してるノーネ?」

 

「あたしは明日香に夜食を持ってきたの

ここのところあの娘、ロクに食べてないから……そっちは?」

 

「…明日香が灯台に現れなかった」

 

「ワタクシは非化学的な事は大嫌いナノーネ

けど、嫌ーナ予感がするノーネ」

 

「今日はやけにコイツ等が騒いでな」

 

万丈目の上では、おジャマ三兄弟が騒いでいた

 

「ふぅ~ん」

 

話ながら明日香がいる保健室に行くと、そこには吹雪が1人で倒れていた

 

《吹雪/さん/シニョール 吹雪!!》

 

「大丈夫か!?」

 

「明日香はどうした?」

 

亮に抱き起こされた吹雪は掠れた声をもらす

 

「─タイ…タ…ン……」

 

その一言に、十代とみさと…そしてクロノスは反応した

 

「タイタン?」

 

「タイタンって、あのペテン師の?

確か……」

 

(マンマミーヤ!!

タイタンは借金の取り立てに来たノーネ!!

やっぱりギャラーを払わなかったのは、まずかったノーネ!!

タラーリ…;)

 

みさとに睨まれたクロノスは、滝のような冷や汗を流した

 

そして吹雪を担いだ十代達は、廃寮へと走り出した

 

 

 

 

 

 

 

たどり着いた時には、デュエルが始まりかけていた

 

「もう始まっちゃってるよ!!」

 

「ヤバいんだな!!」

 

「明日香、やめるんだ!!

そいつは闇のデュエリストかもしれない」

 

「明日香、あたしが代わるからデュエルはやめなさい!!」

 

「ぇ、借金の取り立てじゃないノーネ?」

 

「何言ってるんだ、クロノス先生?」

 

「な、何でも無いパスタ…」

 

「……その話は後でゆっくりしましょうね、クロノス先生?」

 

「マンマミーヤァー!!」

 

目が笑っていないみさとの上品な笑顔を向けられたクロノスは悲鳴をあげた

 

…そして明日香対タイタンのデュエルが始まった

 

 

 

 

 

 

……デュエルは明日香が優勢に進められていた

 

(けど、明日香にしては焦り過ぎているような……)

 

だが明日香の優勢は、タイタンが出したフィールド魔法『闇の闘牛場-ダーク・アリーナ-』により一変した

 

デュエルをしている明日香とタイタンの周りを、どす黒い闇の球体がみるみる被っていく

 

「何だ、あの闇は…!?」

 

「この球体、前に十代が奴と戦った時の後半に出て来たのと似てる…!!」

 

「本当に、奴は本物の闇のデュエリストなのか…!?」

 

「けど、前にアニキが戦った時は偽者だったハズっスよ?」

 

「そうナノーネ、ワタクシがお金で雇ったノーネ」

 

《え?》

 

クロノスの一言に、真実を知るみさと以外の全員が一斉に振り返った

 

「な、何でもないバジル…」

 

「─キャアアアーッ!!」

 

突如、闇の球体の中から明日香の悲鳴が響き渡る

 

「今の声…」

 

「明日香だ!!」

 

「─サレンダーしろ

貴様には闇のデュエリストとして更正する道が待っているぞ」

 

聞こえてきたタイタンの声に、十代達に緊張が走った

 

「明日香の身に危険が…!!」

 

「そうでしょうね…明日香……」

 

「どうすればいいんだ?

このままじゃ、明日香さんが…!!」

 

何も出来ない自分達に歯痒さを感じている万丈目達の横で、十代は吹雪に語り掛けた

 

「吹雪さん、明日香に呼び掛けてくれ

アンタの声なら、きっと明日香に届く!!」

 

「ぇ……?」

 

「吹雪さんの声を聞けば、何があっても明日香は勝ってくれる!!」

 

切羽詰まった様子の十代に、考え込んだみさとは1つ頷いた

 

「…確かに一理有る

闇のデュエルで最後まで持っていなきゃいけないもの、それは強い気持ち

明日香の強い気持ちの正体は、愛する兄…あなたへの想いのハズ…つまりあなたの声が届きさえすれば、明日香は負けないわ」

 

「君は…?」

 

「七瀬 みさと、明日香の友人よ

…けど、問題はあの空間内にどうやって声を届けるかよね」

 

[クリクリー!!]

 

難しい顔をして考え込むみさとの前に、実体化したクリボーが出て来た

 

「クリボーだ!!」

 

「カミューラの時と同じだ、精霊が実体化して…!!」

 

「クリちゃん、やってくれるの?」

 

[クリッ!!]

 

クリボーは強い眼差しで1つ頷いた

 

「わかった、頼んだわよクリちゃん!!

さぁ吹雪さん、クリちゃんの手を握って!!」

 

「あ、ああ…」

 

状況を飲み込めず戸惑いながらも、吹雪はクリボーの手を握った

 

「呼んでやって、明日香の名前を!!」

 

「明日…香……明日香……明日香!!」

 

強く響いた吹雪の声に反応するように、ダーク・アリーナの闇は薄れていく

 

「─サイバー・ブレイダーは闇のデュエルぐらいで、光を失うモンスターじゃないわ

真のプリマは自らの光で舞台を照らし、踊り続けるのよ!!」

 

聞こえてきた明日香の凛々しい声に、十代達は頬を紅潮させた

 

「今の声…」

 

「明日香さんなんだな!!」

 

「サイバー・ブレイダーを呼んでいるという事は、今天上院くんのフィールドに…!!」

 

「ああ、明日香のエースがいるという事だ」

 

「やっちゃいなさい、明日香ァー!!」

 

「─パ・ド・カタル!!」

 

明日香の声と共にガラガラと音をたてて、闇の闘牛場が崩れていく

 

「おおっ!!

闇が消えてくぜ!!」

 

崩れた闘牛場の中には、明日香とサイバー・ブレイダーが身構えていた

 

「同時にまた『デーモンズ・マタドール』の戦闘ダメージを0にする効果も無効になったわ」

 

「何ィ!?」

 

「デーモンズ・マタドールは攻守共に0のモンスター」

 

「決まったな」

 

「バトルよ!!

サイバー・ブレイダー、デーモンズ・マタドールを攻撃!!

─グリッサード・スラッシュ!!」

 

サイバー・ブレイダーの蹴りがデーモンズ・マタドールをとらえ、更にタイタンも蹴飛ばされ、明日香の勝利が決まった

 

「やったー!!

明日香さんの勝ちっス!!」

 

サイバー・ブレイダーに蹴飛ばされたタイタンは、闇のモンスターにのみ込まれて消えていった

 

 

 

 

 

夜が明けて、廃寮を出た十代達は抱き合う明日香と吹雪を見ていた

 

「吹雪兄さん…」

 

「明日香……」

 

「兄さん…お帰りなさい……」

 

「すまない、心配かけたな…」

 

「でも兄さん、どうして闇のデュエルの世界に…?」

 

「自ら望んで入った訳じゃないんだ」

 

「…ここで、闇のデュエルの研究がされていた事と関係が…?」

 

「みさと…?」

 

「な、何でスート!?」

 

会話に入っていったみさとから出て来た単語に、クロノスは飛び上がった

 

そんなクロノスを無視して、みさとはポケットに隠し持っていた録音端末をコッソリ起動させて話を聞く姿勢をとった

 

「…そう、彼女の言う通りさ

僕達はこの寮で特別授業を受けていた

そして、そんなある日…地下のデュエルリングに呼び出された僕は、テストデュエルの最中に、さっき目の前で消えたタイタンのように、闇の世界に取り込まれてしまった

そこは悪夢のような世界…そこで、この世の物とは思えないデュエルの修業を続けてきた」

 

「誰が、兄さんをそんな世界に…!?」

 

「─それは今でも分からない…でもあの日、僕を呼び出しテストデュエルを行ったのは……大徳寺先生だった」

 

その証言に、十代達は目を見開いて固まった

 




今回と次回はセブンスターズ編を一気に進める為に書きました
今回のを含めて、後数話でセブンスターズ編は終わらせるつもりです

補足説明として、十代対海馬のデュエルの設定は一応有ります
十代達が迷いこんだのは海馬の精霊、青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)の力で作られた精霊界の空間だった、という何とも訳のわからない設定です

前回のあとがきで書いたオリキャラ同士のデュエルの前に、もう1本くらい登場キャラとのデュエルを書こうかなと思ってます
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