デュエルアカデミア 学園祭 当日
各寮がそれぞれの出し物の準備で忙しい中、オベリスクブルー 女子寮の部屋で、みさとはノートパソコンで海馬兄弟とテレビ電話を行っていた
『─教員の中に闇のデュエリストが混ざっているだと?』
「その可能性が出て来たのよ、そしてその教師が行方不明者達を闇の世界へ飛ばしてる…そういう証言を手に入れたわ」
『それでみさと、その教師はどこにいんだよ?』
「…アカデミアの中を探し回ったんだけど、どこにもいないのよ
最後に見たのは、5人目のセブンスターズの時ね」
『そうか…引き続き調査しろ』
「分かってるわよ
…それで、そっちは何か進展あったの?」
『……モクバ』
『うん、兄さま』
モクバが手元のパソコンを操作すると、みさとのパソコンに1通のメールが届いた
「これは…?」
『現時点で最も怪しい人物 デュエルアカデミア理事長 影丸の資料だ』
「理事長…!?
…ありがと、貰っておくわ
じゃあ、そろそろ切るわね」
『みさと、気をつけろよな』
「分かってる、ありがとモクバ
じゃあ、また連絡するわ」
電話を切ってカーテンを開けると、外にはブルー寮の出し物が広がっていた
オベリスクブルーで優雅な喫茶店や、ラーイエローで明るい屋台が出回っている……そんな中、オシリスレッドはまだ準備がままならない状態であった
「急げ 急げ!!」
準備に焦る翔は白線を引きながら近くに置いてあった缶に躓いて転び、粉まみれになっていた
「隼人君、ここはデュエルステージだよ?
看板書くなら他の所でやってよー」
白線の粉にむせながら、翔が足を引っ掛けた隼人が書いているパネルを見下ろす
「悪い悪い…」
隼人のデザインしたデュエルパネルを見て見ると『RED名物 COSPLAY DUEL大会』のタイトルと、綺麗に描かれたモンスターがあった
「隼人くん、絵上手いねー…でもデスコアラとデスカンガルーじゃイマイチなぁ…」
褒めつつも翔はブラック・マジシャン・ガールを要求し、少し渋りながらも隼人は渋々頷いた
「とにかく、アニキ達は大徳寺先生の事とかで元気ないし…この学園祭は僕たちが頑張るしかないんだから!!」
意気込む翔に隼人も頷き、2人は他のレッド生と一緒にまたいそいそと作業を再開した
…その様子をレッド寮の階段に腰かけながら、十代は見つめていた
寮の階段の周りには亮や吹雪、三沢・万丈目・明日香………みさと・クロノス・大徳寺以外のセブンスターズとの戦いの関係者が揃っていた
「どこ行っちゃったんだろうな、大徳寺先生?」
「本当にな」
そんな十代達の元に、三騎士達とクリボーを連れたみさとがやって来た
「十代やほー、みんなも一緒ね」
「よっ、みさと」
「仕事は終わったのか?」
「なんとかね
海馬への報告も吹雪さんの事への手回しも完璧」
「ありがとう、みさと」
「いいのよ…元はこんな事態を野放しにしたKCの責任なんだし
ただ…行方不明の間の単位はどうにもならないから、留年は免れないわ」
「それでも助かったよ
それにしても、まさか伝説のデュエリスト 本人がこのアカデミアにいて、しかも明日香の友達でいてくれたなんてね」
「まあ、あたしはここの調査員もやってますし
それはそれとして…大徳寺先生は見つかった?」
空気を変えたみさとに、十代達は揃って首を横に振った
「…明日香とタイタンのデュエルの後からまだ行方不明だ」
「そっか」
「まさか闇のデュエリストにやられてるなんてことはないかしら…」
「それは考えにくい
吹雪先輩を闇の世界へ連れ込んだのは、大徳寺先生なわけだしな」
[アイツ、あのタニヤとかいう奴とのデュエルにヘコんでいたっていうのに…]
[大分早く立ち直ったな]
[…というか、私は彼を久々に見た気がするんですが…]
[クリー]
「─ルールルル」
《ん?》
三沢を見て話していた三騎士達とクリボーの話を聞いていたみさとや、話を続けていた十代達は猫じゃらしを持って謎の行動をしている万丈目に目を向けた
「おーい、万丈目ー」
「サンダー、何をやってるんだ?」
「遂にボケたの?」
「誰がだ!!
…デブ猫をおびき寄せているに決まっているだろうが
奴のいるところに大徳寺はいる」
そう言って、万丈目は猫じゃらしを持って去って行った
《─コスプレデュエル!?》
隼人が完成させた看板の前に集まった十代達は、翔から出し物の説明を受けていた
「隼人くんから教わった、レッド寮の伝統の出し物!!」
「そうなのか、隼人?」
「そうなんだな」
「楽しそうだな」
興味を見せた吹雪に、十代は首を傾げた
「知らないんスか?」
「イエローの縁日には行った事が有るが…」
「ここまで来た事は無いな…」
「ええーっ?」
「そこなんスよ!!
レッドの出し物に誰も来ないのは、レッドには女の子がいないからっス」
「いや、イエローにも女子はいないぞ…?」
力説する翔に、三沢はヤンワリとツッコんだ
「そこで僕は考えた!!」
「聞いて無いし…;」
「はは…;」
無視された三沢は隣の十代と一緒に苦笑した
「こういうものには華が無いと……そこで明日香さん・みさとさん」
「「え?
私/あたし達?」」
翔に愛想のいい笑顔を向けられた2人と隣にいた亮は目を丸くし、そんな3人に翔は土下座し始めた
「レッド寮を助けると思って、お願いします!!」
「ちょっ、ちょっと翔くん!?」
「止めてよ!!
それに伝説のデュエリストのみさとのコスプレならみんな反応するかもしれないけど、私は……その……///
そもそも私、ブルーだし……」
「明ぁ~日ぅ~香ぁ~、あたしも一応ブルーなんだけどぉ?」
1歩後ろに下がった明日香の肩を、グワシッという音をたてながらみさとは掴んだ
「逃げようったって、そうはいかないわよ」
「みさと……」
「いいじゃない、アンタはスタイルいいんだしさ!!
それに比べて、あたしは…あたしは……」
ズーン……ッという音と共に闇を纏ったみさとは、体育座りでいじけ始めた
[お嬢…まあ、元気出せよ…]
「確かに、みさとくんは明日香くんよりスタイルは劣っているからな」
「じゃかましい!!」
「ぐはっ!!」
何気無く言った三沢に、いじけから復活したみさとの跳び蹴りが入った
「─…いいじゃないか?」
目の前のコントに呆然としていた明日香と亮の後ろから、吹雪は快活な口調で話にのりだした
「明日香のコスプレなら、僕も見たいぞ」
「に、兄さん…」
「オレも参加しようかな」
「面白そー!!」
「…仕方ないか」
三沢・十代・みさと…と、次々と参加を決める横で、吹雪は亮の肩を叩いた
「…という訳だから、亮も参加ね」
「何が「という訳」なんだ?
…まあ、いいだろう」
「やったー!!
お兄さんのお許しが出たー!!
やったやったー!!」
全員の参加に翔は飛び上がってはしゃぎ出した
「あ、でもブラマジガールは……」
「─ウフンッ」
「うわぁーっ!!
どうしてトメさんがブラマジガールなんスかー!?」
衣装のある室内に入った十代達を、ブラック・マジシャン・ガールのコスプレをした購買のトメさんが出迎えた
「言いそびれたんだけど、毎年ブラマジガールはトメさんが……」
「そんなぁ~……聞いて無いっス 聞いて無いっス!!」
号泣する翔の後ろで隼人は苦笑し、十代達はその強烈さに呆然と立ち尽くしていた
「何よ失礼ね!!
ブラック・マジシャン・ガールは私の十八番だよ?
ほら、こんなにピッタリ…」
ポーズを決めたトメさんの衣装がビリッと音を立てて破け、男達は石化した
「ワァーン!!
僕のブラマジガールがぁー!!」
……そんな悲鳴を1つの影が聞いていた事を、彼等は知らずにいた
「ワァオ、なんだな!!
明日香さん、『ハーピィ・レディ』なんだな!!」
レッド寮のコスプレ衣装の中から、明日香はハーピィ・レディを選んで着替えて十代達の前に出て来た
「ちょっと派手だったかな?
女性向け、そんなに数が無くて……」
「いいんだな!!
有りなんだな!!
バッチグーなんだな!!!」
明日香のコスプレ姿に、隼人はテンションをあげていた
「隼人ぉ、日本語おかしいぞ…;」
いつもよりテンションの高い隼人に、十代は苦笑していた
「ホントはジュンコとももえも呼んで、『ハーピィ・レディ三姉妹』をやろうと思ったんだけど、逃げられちゃって…みさとはまだ奥で選んでいたし」
「そうなのか?」
「みさとさんのコスプレかぁ…何にするんだろうなぁ?」
「バーストレディとかどうだ?」
「それ、アニキのモンスターじゃないスか
ここはやっぱり、異名からとって『ヴァルキリー』っスよ!!」
「『治療の神 ディアン・ケト』もいいんだな」
「隼人くん、中々通だねぇ」
「じゃあ、吹雪さんは何だと思うんだ?」
「僕かい?
そうだなぁ……ここは大人の色気漂う、『月の女戦士』なんてどうだろう?」
「みさとさんが使ってるカードっスね!!」
「それもいいんだな!!」
「カッコ良さそうだな!!」
十代・翔・隼人・吹雪がボーイズトークに華を咲かせる中、亮は黙って腕を組んで4人を眺めていた
「亮はどうだい?」
「何がどうなんだ?」
「だから、みさとちゃんはどんなコスプレをしてくるかって話さ」
「オ、オレも混ざるのか…?」
吹雪のテンションに引いている亮は、口元を引き攣らせた
「お兄さんも一緒に当てっこしようよ!!」
「カイザーもやろうぜ!!
面白ェぞ!!」
「ほら、翔くんや十代くんもこう言ってるわけだし…ね?」
「そ、そうだな……彼女のフェイバリットモンスターのクィーンズ・ナイトだろうか?」
「も~、亮は真面目だね~」
「あ!!
みさとさんはいつも明るいから、逆に清楚な『月明かりの乙女』もギャップが有っていいと思うっス!!」
「『薄幸の美少女』も捨てがたいんだな」
「翔くんも隼人くんも分かってるねー!!」
「…ダメだわ、話についていけない」
男達の会話に、明日香は頭痛を感じていた
「─お待たせ~」
間延びした声と共に入って来たみさとは……『カラテマン』だった
「「「「ズゴォッ!!」」」」
十代・翔・隼人・吹雪は揃って前のめりに転び、明日香と亮は口をポカンと半開きにして固まった
「何でカラテマンなんスかぁ!?」
「いやぁ、敢えてウケを狙ったつもりだったんだけど……ダメ?」
「「ダメっス/ダメなんだな!!」」
翔と隼人が同時に怒鳴る中、吹雪は奥に向かい複数の衣装を持ってきた
「男装…それも有りだね!!
みさとちゃん、良かったらそのカラテマンで1枚写真をとらせてもらってもいいかい?
その後、この『魔法剣士 ネオ』や『月風魔』の衣装も…」
「あっそれも中々…いいですよ
けど、明日香のコスプレ写真は撮らなくても平気なんですか?」
「問題無いよ、もう10枚撮ったから」
「兄さん!?
いつの間に!?」
顔を真っ赤にして怒る明日香を、吹雪はいつもの笑顔で宥めた
「まあまあ、いいじゃないか明日香
せっかくのお祭りなんだからさ……あれ?
そう言えば亮はどこに行ったんだろ?」
「はぐらかさないで…って、本当だわ
亮がいない」
「お兄さん?」
「おーい、カイザー?」
「─ここだ」
奥の衣装部屋から、『ジャックス・ナイト』のコスプレをした亮が出て来た
「お兄さん!?」
「ジャックス・ナイトなんだな」
「何だかんだ、ノリノリね亮」
「放っておいてくれ…///
それより翔、ビラは有るのか?」
「え?
向こうの部屋に置いて有るけど…」
「─吹雪・みさと、手伝ってくれ」
「「え?」」
亮に名前を呼ばれた吹雪とみさとは、顔を見合わせた
…ザワザワと騒がしい祭りの中を歩く3人の男女は、生徒達の注目を浴びていた
「おい、あれってカイザー?」
「吹雪様も一緒よ!!」
「みさとさんもいるぞ!!」
「しかもジャック・クィーン・キング、絵札の三銃士のコスプレしてるぞ!!」
宣伝用のビラを持った亮・みさと・吹雪は、それぞれジャック・クィーン・キングのコスプレをしていた
「やぁみんな!!
レッド寮ではコスプレデュエル大会が行われているよ!!」
「衣装は寮内に有るから、デッキを持って向かうだけでいい」
「せっかくのお祭り、あたし達みたいに思いっ切り羽目を外しちゃいましょー!!」
「今なら僕の妹 明日香のコスプレも見られるよ!!」
「コスプレデュエル大会に行きたい人ー!?」
《はーい!!!!》
「よぉーし野郎共!!
レッド寮へ行ってみよーう!!」
男達を中心に周りの生徒達は、レッド寮へ向かって行った
「いやぁ、効果絶大だねぇ」
「ホント、想像以上
流石亮さん、考えてるわね」
「…オレも予想外だ」
「あらま…;」
[ふふふ、何だか姉妹になった気分ですね]
[ご機嫌だな、クィーン]
[勿論ですよ]
[お嬢がオレ達と同じ姿をしてるのは、まあ珍しいからな]
[クリクリィー!!]
「よし、イエロー辺りはここらで切り上げて、次はブルーへ行ってみよう!!」
「「ああ/はーい」」
ビラ配りと宣伝を行う3人を、三騎士達とクリボーは微笑ましそうに見守っていた
《キャアアアアーッ!!!!》
ブルー寮についた途端、3人は女子達に囲まれた
「カイザー様よ!!」
「吹雪様ー!!」
「みさとさんもだわ!!」
「みんなコスプレ!!
素敵ー!!」
「…凄まじいな;」
「ほんとそれ…;」
「やぁみんな!!
楽しんでるかい?」
《はーい!!!!》
女子達に圧倒されている亮とみさとを尻目に、吹雪はアイドルのような笑顔を女子達に振り撒いた
「今、レッド寮でコスプレデュエル大会が行われているよ」
「コスプレデュエル大会?」
「みんなコスプレ?」
「そう!!
勿論僕達もこの仕事が終わった後で参加するよ」
「コスプレをしたカイザー様や吹雪様とデュエル…!!」
《キャアアアアーッ!!!!》
(ヤバ……;)
「みんな、レッド寮へ是非来てね?」
《勿論です!!!!》
「…結局、ブルーへの宣伝は吹雪1人にやらせてしまったな」
「まあ、適材適所ってヤツでしょ」
「「みさと/さん!!」」
吹雪を遠目に見ていた亮とみさとに、ジュンコとももえが走り寄ってきた
「ジュンコ・ももえ」
「どうしたんですの?
そのコスプレは?」
「今、吹雪が説明した通りだ
レッド寮の出し物にオレ達も協力している」
「統一性が有る方が目立つでしょ?
だからコレって訳」
ジュンコとももえと話していたみさとは、思い出したように手を叩いた
「ぁそうだ
アンタ達、明日香が探してたわよ」
「ぁ、その……;」
「私達、コスプレは……;」
「あの真面目な明日香がやってるんだもの、たまにはいいじゃない?」
「そうだよ君達」
話しているみさと達の方に、ビラを配り終えた吹雪が帰って来た
「吹雪」
「あ、吹雪さん」
「「吹雪様!!」」
「可愛らしい君達のコスプレ姿、僕も見てみたいな」
吹雪のその一言に、ジュンコとももえはピクリと耳を反応させながら食い付いた
「ホントですか!?」
「本当だとも」
「わかりましたわ吹雪様!!
私、コスプレデュエル大会に参加します!!」
「あ、ズルいももえ!!
私も参加します!!」
「ありがとう、楽しみにしているよ」
「「はい!!」」
ジュンコとももえは足取り軽く、レッド寮へ向かって行った
「…鮮やか;」
「流石は吹雪だな」
「ンン~JOIN!!」
「…あんな人なのね;」
「あれが吹雪の通常運転だ」
「……苦労してるのね;」
……ビラを配り終えた3人がレッド寮に帰って来ると、既にデュエルが行われていた
「あれ?
もう始まってるの?」
「お帰り」
クロノスや『アマゾネスペット
(アマゾネスペット
[アマゾネスといえば、この間の人の事ですよね…]
[あのタニヤとかいうヤツの事…]
[実はまだ引き摺ってたかアイツ…]
「ただ今、シニョール 十代とブラマジガールのデュエル中ナノーネ」
「「「ブラマジガール?」」」
クロノスの一言に3人がフィールドを見ると、十代と対峙しているのは何故か『ブラック・マジシャン・ガール』だった
「どういう事だ?」
「本物そっくりじゃないか!?」
「何がどうなってんの…?」
十代のフィールドには、『
☆5 水属性 戦士族 ATK 1800 DEF 1000
対するブラマジガールのフィールドには、『マジシャンズ・ヴァルキリア』が2体、『ブラック・マジシャン・ガール』が1体いた
マジシャンズ・ヴァルキリア
☆4 光属性 魔法使い族 ATK 1600 DEF 1800
ブラック・マジシャン・ガール
☆6 闇属性 魔法使い族 ATK 2000 DEF 1700
「みんなー、いくっスよー!!」
翔の掛け声に観客が一斉に湧いた
「1・2・3!!」
《バトル!!!!》
「ブラック・マジシャン・ガールでスチーム・ヒーラーを攻撃!!
─
ブラック・マジシャン・ガールの魔法の直撃を受けた
「ぐっ…うぅ……やってくれるぜ…」
十代 LP 4200→4000
「まだまだ!!
今度はダイレクトアタックしちゃいまーす!!
マジシャンズ・ヴァルキリア達の攻撃!!」
「せーの!!」
《ダブル・マジック・イリュージョン!!!!》
翔の掛け声で観客達とブラック・マジシャン・ガールが一斉に叫び、十代はマジシャンズ・ヴァルキリア達の攻撃を受けた
十代 LP 4000→800
(へぇ~、あのガールちゃんやるじゃん
でもあの娘、どっかで見たような気が…)
デュエルを見ながら、みさとは考え込んでいた
「オレのターン、ドロー!!
手札より魔法カード『
自分の墓地から『融合』と融合素材モンスター 1体を手札に加える!!」
十代の手札に、融合と『
「そしてバーストレディと『
『
エースモンスターを出した十代に、観客達はブーイングを始めた
「アニキ酷いよォ!!
このままじゃブラマジガールが負けちゃうよォ!!」
「ギャル相手でも手を抜かず
流石極悪非道の遊城 十代」
(何なのよ、これは……ったく、仕方ないわね)
号泣する翔と強く頷く万丈目に、みさとは呆れ果てた顔を向けてつつも実況席に割り込んだ
「ちょっとゴメンね……そこまで心配する必要無いんじゃない?」
「へ?
みさとさん……じゃなかった、クィーンズ・ナイト?」
翔の一言に、その場の全員がみさとの方を見た
「ガールちゃんのフィールドのヴァルキリア達… マジシャンズ・ヴァルキリアが場にいる限り十代は他の魔法使い族モンスターを攻撃出来ないわ」
「片方のヴァルキリアがもう一方を守り、他の1体がそのヴァルキリアを守っているという訳か」
「あの守りを崩さない限り、十代くんに勝ち目は無いね」
亮・三沢・吹雪がみさとの解説に加わり、クロノスは観客達と一緒になって十代に野次をとばしていた
「カードを2枚伏せて、ターンエンドだ」
「ふ~ん、どんなカード伏せたんだろ?
頑張らなくっちゃ!!」
ブラック・マジシャン・ガールの可愛らしいセリフに、観客達は更に盛り上がっていく
「やれやれ…」
「何か、可愛そうに見えてきた……はは…」
呆れ果てた顔をした十代とみさとを見て、万丈目は気分良さそうに鼻を鳴らした
「十代は八方塞がりだな」
「さあ、ブラマジガールのターンだ!!
みんなで応援しようぜー!!」
《おおーっ!!!!》
「ドロー!!
…みんなありがとう!!」
ブラック・マジシャン・ガールは引いたカードを観客達に見せて発動させた
「『魔術の呪文書』で私のブラマジガールの攻撃力は、700ポイントアップよ!!」
ブラック・マジシャン・ガール ATK 2000→2700
「みんなー、行くぜー!!
せーの!!
1ー!!」
「2ーノ!!」
「3だ!!」
《バトル!!!!》
「ブラック・マジシャン・ガールで、フレイム・ウィングマンを攻撃!!
─
ブラック・マジシャン・ガールの魔術が
「─罠発動『立ちはだかる強敵』!!」
「あれは、相手に強制戦闘を強いるカード…!!」
「明日香、アンタいつの間に…?」
「ついさっきね」
「う~ん、でも君はカードをもう1枚伏せているのよね~」
「フッ…更に罠発動!!
『ヒーロー・バリア』!!」
ブラック・マジシャン・ガールの魔術は、
「あちゃ!!
そう来ますか」
「え、何…?
何スか、
何がどうなっているか分からない翔は、
「立ちはだかる強敵の効果で、強制戦闘だ」
「強制戦闘…?」
「終わったわね…」
《鬼ー!!!!
悪魔ー!!!!》
「…酷い言われよう;」
観客達に言われ放題な十代に、明日香は苦笑いした
「さあ来い!!
フレイム・ウィングマンでマジシャンズ・ヴァルキリアを迎撃だ!!」
飛び上がって杖を向けるマジシャンズ・ヴァルキリアに、
「バトルだ!!
フレイム・ウィングマン!!」
ブラマジガール LP 2000→1500
《うぅー……》
泣いている観客達に、ブラック・マジシャン・ガールは満面の笑顔を向けた
「はいはい、みんなガッカリしないで
最後まで楽しもう?
私、今日はみんなに応援してもらってとっても幸せだよ!
よーし最後の攻撃よ、行けマジシャンズ・ヴァルキリア!!
─マジック・イリュージョン!!」
(君は…ひょっとして……)
(あ…あの娘まさか……!!)
翔が呆然とする隣で、みさとはブラック・マジシャン・ガールの正体に気付いた
マジシャンズ・ヴァルキリアの魔術は
ブラマジガール LP 1500→1000
「フレイム・ウィングマンは戦闘で破壊した相手モンスターの攻撃力分のダメージを相手プレイヤーに与える」
マジシャンズ・ヴァルキリアを倒した炎が、ブラック・マジシャン・ガール本人を襲った
ブラマジガール LP 1000→0
「あーん、やっぱり負けちゃったー!!
でも最高、楽しかったよー!!」
《ありがとー!!!!
楽しかったぜー!!!!
よくやったよー!!!!》
笑顔で手を振るブラック・マジシャン・ガールに、観客達は盛大な拍手を送った
「…本当にとても幸せなデュエルでしたね、万丈目さん
…じゃなかった、
「まあな」
そんなガールを完全に蚊帳の外にされた十代は、頭をかきながら見ていた
「参ったなぁ、これじゃオレ悪役だ」
そんな十代の後ろに、明日香やみさとがやって来た
「そんな事無いんじゃない?」
「え?」
「楽しいデュエルだったんでしょ?」
「ああ、最高!!」
「きっと彼女もそう思ってるさ」
「うん、正体は謎だがな」
「まあ、謎のままにしてあげとこうよ」
「そうだな
ガッチャ、楽しいデュエルだったぜ!!」
「よーし!!
次はみさとちゃん、行っきまーす!!」
その後も、みさと・亮・吹雪・明日香・三沢がデュエルして、次々とコスプレデュエル大会は大盛り上がりに終わった
……夜になり、キャンプファイアから離れた場所で、みさとは三騎士達やクリボーと一緒に、ブラマジガールと向かい合っていた
「─本当に何やってるのよマナちゃん?」
「…やっぱりバレちゃったか」
ブラック・マジシャン・ガールの正体…マナは悪戯っ子な笑顔を向けた
「どうしてここに?」
「何だか楽しそうな声が聞こえて、私も混ざりたくなったんです!!」
「そっか…どうだった?」
「もう最高!!
スッゴく楽しかった!!」
「そう…なら良かったわ」
はしゃぐマナにみさと達はそっと微笑んだ
「─けど、あなたは心から楽しんでなさそうだったよ?」
マナのその一言に、みさとは言葉に詰まった
[お嬢…]
[クリィ……]
キングとクリボーの声に答えず、みさとは左腕を押さえて空を見上げた
「……分からなくなったの
心からデュエルを楽しむって、どんな感じだったのか…昔はこんな事無かったのに…」
[みさと……]
みさとの泣きそうな声に、ジャックは歯がゆそうに目を伏せた
「…それなら、彼の傍にいたらどうかな?」
「え?」
マナの一言に、上を見ていたみさとは顔を戻した
[彼って、十代くんの事ですか?]
「うん
だってあんなに楽しいデュエルが出来るんだもの、あなたの心の闇も彼がきっと何とかしてくれるから!!」
「曖昧だなぁ……でも、そうかもしれないね」
「うん!!
それじゃあ、私はそろそろ…」
スゥ…とマナの体が透けて空に浮いた
「もう行くの?」
「あんまり長い事留守にしたら、ファラオ達に叱られますから」
「そっか…いつか、また会えるかな?」
「うん、きっと」
ファ…ッと小さな音と共に、マナは消えていった
「ありがとう…マナちゃん……」
空を見上げていたみさとは、キャンプファイアの方へ戻って行った
キャンプファイアの前では、明日香・ジュンコ・ももえがハーピィ・レディ三姉妹になって場を盛り上げていた
「へぇ、明日香達やるじゃない」
「僕も、妹がいつの間にかあんなにキレイになって幸せだよ」
みさとの後ろから、カメラを持った吹雪がやって来た
「吹雪さん…そのカメラは?」
「勿論、可愛い妹の思い出をフィルムに写しておくための物さ」
「昼間撮ったんじゃ無かったんですか…?
(これは、明日香のファン達に配る気ね…)」
「そうだ、みさとちゃん
君に折り入って頼みが有るんだ」
「何ですか?」
「この写真を伝説のデュエリストの誰かに見せて欲しいんだよ」
「明日香のコスプレ写真を?
けど、明日香が嫌がるんじゃ…」
「心配はいらないよ、明日香にはもう許しをもらったから」
「本当に…?」
「本当だとも!!」
「まあ、そこまで言うなら……ハーピィだし、舞さんにでも送っておきます」
「ありがとう、みさとちゃん」
……このやり取りが、後に明日香に黒歴史を刻ませるという事を、当の本人は知らずにいた
「ちょっとジュンコ、流石にそんなポーズは…!!」
「天上院くん、素敵だ…!!」
アニメではブラック・マジシャン・ガールの正体は結局分からずじまいでしたので、この作品ではDM編で登場したマナの変装という設定にしています