遊戯王GX 戦場に立つ乙女   作:なおにぃ

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TARN 23  三幻魔と心の闇

突然の地鳴りに、十代達は戸惑いながら辺りを見渡した

 

「な、何だぁ…?」

 

突如空に昇った緑色の光が消えたと同時に、森の中を大地を突き破り巨大な7本の柱が現れた

 

それに反応するように、万丈目の首に掛けられた7つの鍵が光り出し万丈目ごと何かに引かれるように向かっていく

 

「ぐぅ!

な、なんだァ…ッ」

 

「万丈目くん!?」

 

「万丈目!!」

 

「グググ…サンダぁッ!!

ぐ、あああぁぁー……」

 

驚いて名を呼ぶ十代に懲りもせず訂正しながら、万丈目は鍵に引き摺られて行った

 

「万丈目くんが!!」

 

「追い掛けるぞ!!」

 

「ええ!!」

 

残された十代達は、一斉に万丈目を追い掛け始めた

 

「まずい…七精門が開いたらとんでもない事に…!!」

 

《「とんでもない事」?》

 

走りながら切羽詰まったような声を出したみさとに、全員が一斉に聞き返した

 

「あのボケ饅頭が騒ぎを起こすちょっと前に、KCのモクバから連絡が来たのよ

七精門が開いたら、具体的にどうなるかって内容のメールが!!

……急ぐわよ!!」

 

走るみさとの傍には、三騎士達とクリボーが真剣な顔で飛んでいた

 

 

 

 

 

 

鍵はつけられていた紐を引きちぎり、木にぶつかって倒れた万丈目から離れて行く

 

「アレは…!!」

 

「鍵が…!!」

 

「吸い込まれた…」

 

「他の柱にも…」

 

「遅かったか…!!」

 

その場は7本の柱の中心以外、荒れ果てた大地へと姿を変え鍵は7本の柱に吸い込まれるようにして消えていった

 

「もしかして……」

 

「まさか、七精門が…!!」

 

「開くのかァ!?」

 

「アンタのせいでしょうが!!」

 

鍵に振り落とされて倒れていたが勢いよく顔を上げた万丈目を、一斉に責めるような視線を向ける亮達の前で、みさとはどこからか取り出した竹刀で万丈目を地面に殴り付けた

 

「皆さーん!!」

 

「これは一体何事ナノーネ!?」

 

騒ぎを聞き付けた鮫島校長とクロノスが、その場に走りながらやって来た

 

「一体全体、どうなってるノーネ!?」

 

「それが…七精門が…」

 

《サンダーのせいで!!!!》

 

十代の言葉に続くように、全員が万丈目を指差して口を揃えた

 

「そうか!!

愛の力のせいか!?

オレの天上院くんへの愛が、七精門の鍵を開けたのか!!」

 

「そんな力が有るかァー!!

どこまでもバカな奴め!!」

 

「どこまでプラス思考なんだか……」

 

変に前向き思考な万丈目にみさとがツッコミながら竹刀で殴打していると、荒地の更に中心部分で地鳴りが起こった

 

地鳴りがおさまると1つの装置が現れ、光に包まれた3枚のカードが出現する

 

「まさか…」

 

「アレが……!!」

 

「三幻魔のカード…!?」

 

「こうなったら、何としてでも三幻魔をこっちの手元に…「任せとけ!!」

 

十代と万丈目は、いち早く三幻魔を回収しようと走り出した

 

「コラ、待ちなさいアンタ達!!」

 

「─そのカードを貴様等に渡すわけにはいかんな」

 

みさとの声を遮るように、ゴオオォオォッと音をたてて空からジェット機が現れた

 

「何だ?」

 

「何か、落っことしたぞ!!」

 

ジェット機から落とされた巨大な装置を前に十代達は立ち止まり、装置は1人の男をカプセルに入れたロボットのような形に変形した

 

「何だ、あのロボットは…?」

 

「ふふふ、ふははははは…鮫島校長、私の声を忘れたのかね?」

 

「─その声は…影丸理事長…!?」

 

「影丸っ…!?」

 

「やっぱり、アンタが今回の黒幕だったのね…」

 

鮫島校長とみさとの言葉に、十代達は揃って首をかしげた

 

「理事長?」

 

「時は満ちた

─今ここに、三幻魔 復活の儀式を行う」

 

「三幻魔 復活の儀式だと!?」

 

「どういう事だ、何故七精門の鍵が勝手に開く?」

 

「最初からそういう仕組みだからだ

三幻魔のカードをここに封印し、7つの鍵を鮫島に託したのは、私自身だからだ」

 

「何トォ!?」

 

驚くクロノスの隣で、鮫島は強く影丸を睨み付けていた

 

「……七精門の鍵はデュエリスト達とセブンスターズとを戦わせて、島にデュエリストの闘気を蔓延させる為の道具なんですって」

 

「ホッ…よかった、オレのせいじゃないのか」

 

安心したようにため息をもらした万丈目を、みさとはギロリと睨み付けた

 

「……けど、最後の引き金を引いたのはアンタがあんな滅茶苦茶なデュエルをしかけたからよ」

 

「ぅぐ…!!」

 

「ほう、知っていたのか

今から3年前、私は永遠の命と世界の覇権を手にするという伝説のカード 三幻魔を手にした

だが…三幻魔に眠る力を蘇らせるには、デュエリストの闘気に満ちた空間が必要だったのだ」

 

「それだけの理由でこの学園を作って、デュエリスト達を育成していた……な~んて有りがちな寝言言うんじゃないでしょうね?」

 

「その通りだ

諸君、御苦労だったな」

 

シレッと言ってのけた影丸に、全員は顔をしかめた

 

「ふざけないで!!

それじゃ私達は、あなたに最初から利用されてたって言うの!?」

 

「そうだ!!

勝手な事ばかり言うな!!」

 

「自分達の道は、自分達で切り開いてみせるんだな!!」

 

明日香・翔・隼人が啖呵を切り、続くように亮が1歩前に出た

 

「ならばお前の野望を打ち砕く為、そのデュエル、オレが相手をしよう!!

オベリスクブルーのカイザー 丸藤 亮が!!」

 

「いいや!!

このデュエルだけは、この…一・十・百・千…万丈目サンダーが受けて立つ!!」

 

「いいや!!

このデュエルは、この僕 デュエルアカデミアの…えーと……ブリザードプリンス 天上院 吹雪がお相手する!!」

 

亮に続くように万丈目はデュエルディスクを…吹雪は何故かウクレレを構え、吹雪の自己紹介に明日香は呆れていた

 

3人に出遅れた三沢が言うより早く、みさとが3人の前に出た

 

「何言ってんのよアンタ達!!

相手は幻魔、神のカードに匹敵する力を持ってんのよ!?

アンタ達が束になったって、勝てる保証は無いわ!!

ここはあたしが……!!」

 

影丸を鋭く睨み付けて、みさとは自分のデュエルディスクを向けた

 

「─……精霊騎士(エレメント・パラディン) 七瀬 みさとか…お前には、別の相手をもう用意してある」

 

「「別の相手」…?

ここまでふざけた事やりまくって、今更あたしと戦うのが怖い訳?

逆上せ上がるのもいい加減にしなさいよ!!」

 

「……いつまでその強気を保てるだろうな」

 

影丸の前に、1つの黒い渦が現れる

 

「何だ…?」

 

渦が消えて現れたのは…1人の少女だった

 

「アレは!?」

 

「マンマミーヤァ!!」

 

「あたし…!?」

 

「どうしてみさとさんが2人に…!?」

 

「どういう事なの…!?」

 

影丸の前には全身真っ黒なみさと…にそっくりな女が卑しく笑っていた

 

「…三幻魔の力で七瀬 みさと、お前の心の闇を実体化させたのだ」

 

「アタシはアンタと違って、甘っちょろくないわよ」

 

「…言ってくれるじゃない」

 

その女 闇みさとに対して強気な口調で返すみさとだが、腕は微かに震えていた

 

(…「精霊騎士(エレメント・パラディン)」?

そんな単語、初めて聞いた…一体どういう…?

……今考えても仕方ないか…それよりあたしの心の闇…って事は、間違いなく「あの時」の……)

 

[クリクリィー!!]

 

震えていたみさとの前に、実体化したクリボーと三騎士達が現れた

 

「みんな…」

 

「みさとのフェイバリットモンスター達!!」

 

「カミューラの時と同じだ!!」

 

十代達が騒ぐ中、三騎士達はそっとみさとに語りかける

 

[大丈夫だ、みさと]

 

[もうあの時のお嬢じゃねぇ…違うか?]

 

[私達がずっと傍にいますよ、みさとちゃん]

 

[クリクリィー!!]

 

「みんな…ありがと

……良いわ、先にアンタから片付けてあげる」

 

「出来るの?

闇にビクビクしているアンタなんかに?」

 

「闇を怖れるのは、人間の本能……けど人間は、理性を持ってる

今こそ心の闇を封じてみせる!!」

 

みさとは懐にしまったデッキケースから、明日香とのタッグデュエルで使用した『ドラゴン族・封印の壺』を戻し、1枚のドラゴンのカードを手に取った

 

(……大丈夫、やれるハズ!!)

 

ドラゴンのカードをデッキに入れ、デュエルディスクはデッキをシャッフルした

 

「覚悟しなさい!!」

 

「いつまで強気でいられるかしらね!?」

 

「「─決闘(デュエル)!!」」

 

掛け声と共に、光と闇 みさと同士のデュエルが始まった

 

みさと LP 4000

闇みさと LP 4000

 

「あたしの先攻、ドロー…ッ!!」

 

先攻をとり、デッキからカードを引いたみさとは固まった

 

(この子は…!!)

 

デッキに入れたばかりのドラゴンの姿に、みさとは動揺を隠せなかった

 

「みさと…?」

 

「どうしたんだ、アイツ?」

 

「……どうせ、さっき入れたアイツが来たんでしょ?」

 

固まったみさとを不思議がる十代達を見て、闇みさとは嘲笑うような口調で言い切った

 

「っ…!!」

 

「図星ね……けど、アンタにそのカードが使えるのかしら?

そのカードも可愛そうね、未熟な主人に持たれたりして」

 

「うるさいわね……手札のレベル5以上の光属性モンスター 1体を墓地へ送って、『ライトレイ グレファー』を特殊召喚!!」

 

ドラゴンのカードを墓地に送ったみさとの前に、光の戦士が姿を現した

 

ライトレイ グレファー

☆4 光属性 戦士族 ATK 1700 DEF 1600

 

「あらら、早速墓地送り?

所詮はそこまでのクズなのね、アンタは」

 

「うるさいっつってんでしょ!!

グレファーを生け贄に『太陽の戦士』を召喚!!」

 

みさとのフィールドのライトレイ グレファーが消え、白銀の鎧に太陽の仮面を着けた戦士が現れた

 

太陽の戦士

☆5 光属性 戦士族 ATK 2100 DEF 1400

 

「─800のライフを払って、装備魔法『早すぎた埋葬』を発動

自分の墓地のモンスター 1体を自分フィールドに特殊召喚する、ライトレイ グレファーを復活させる」

 

みさとのフィールドの太陽の戦士の隣に、ライトレイ グレファーが戻って来た

 

みさと LP 4000→3200

 

「ライトレイ グレファーの効果発動

1ターンに1度、手札の光属性モンスター1体を墓地へ送る事で、デッキから光属性モンスター1体を除外出来る

手札の光属性モンスター『聖導騎士(セイントナイト) イシュザーク』を墓地に送り、デッキから光属性モンスター『ロケット戦士』を除外する

ターン終了よ」

 

「ただモンスターを列べただけ?

つまらないわね…アタシのターン!!

『デーモン・ソルジャー』を召喚!!」

 

闇みさとのフィールドに、デーモンの戦士が現れた

 

デーモン・ソルジャー

☆4 闇属性 悪魔族 ATK 1900 DEF 1500

 

「─更に魔法カード『ブラック・コア』

手札を1枚墓地へ送って、フィールド上のモンスター 1体を除外する

太陽の戦士を除外!!」

 

魔法カードから放たれた黒い塊が、みさとのフィールドの太陽の戦士を包み込み消えていった

 

「まだ終わらせない、アンタのモンスターを見てみなさい」

 

「えっ…?」

 

その声にみさと達がフィールドに視線を向けると、ライトレイ グレファーは苦しそうにもがいていた

 

「みさとくんのモンスターが!!」

 

「どうなってるんだな!?」

 

ライトレイ グレファーの上に取り憑いた見覚えのある半透明な悪魔を見て、みさとは目を見開いた

 

「─…遊戯兄ちゃんの愛用モンスター、『暗黒魔族 ギルファー・デーモン』……!!」

 

「ブラック・コアのコストとして墓地に送っていたのか!!」

 

「その通り

知ってるだろうけどギルファー・デーモンの効果、このカードが墓地へ送られた時フィールド上の表側表示のモンスター 1体の攻撃力を500下げる装備カードとなるわ

これで、アンタのモンスターの攻撃力はがた落ちね」

 

「くっ…!!」

 

ライトレイ グレファー ATK 1700→1200

 

「デーモン・ソルジャーで攻撃!!」

 

デーモン・ソルジャーの剣が、ライトレイ グレファーを荒っぽく斬り捨てた

 

「ぅああっ!!」

 

攻撃の衝撃でみさとは吹き飛んで、岩の地面に体を叩きつけられた

 

《みさと/さん/くん/ちゃん!!》

 

「七瀬くん、大丈夫ですか!?」

 

「シニョーラ みさとがこんなあっさり……信じられなイーノ…」

 

みさと LP 3200→2500

 

「本当につまらないわね、こんなのとデュエルする意味なんて無いわね

ターンエンド」

 

「くっ……あたしのターン、ドロー

『ビッグ・シールド・ガードナー』を守備表示で召喚…ターン終了」

 

起き上がったみさとは、震える体に鞭打ってデュエルを続行させた

 

ビッグ・シールド・ガードナー

☆4 地属性 戦士族 ATK 100 DEF 2600

 

「なーんだ、ただ守りを固めただけ?

でも、そこそこ高い守備力ね……ならアタシはっと!!」

 

デッキからカードを引いた闇みさとは、2枚のカードを手に取った

 

「『ダークフレーム』を守備表示で召喚

カードを1枚伏せて、ターンエンドよ」

 

闇みさとの前に、黒い四角形が無数に集まった物体が現れた

 

ダークフレーム

☆4 闇属性 悪魔族 ATK 1500 DEF 0

 

「みさとさんのビッグ・シールド・ガードナーの守備力は2600」

 

「そう簡単には倒されないんだな」

 

「そうだろうか……」

 

翔と隼人の意見に、亮は苦い顔で呟いた

 

「お兄さん?」

 

「確かにビッグ・シールド・ガードナーは2600の守備力を持つ、強力な防御モンスターだ

だが、1度攻撃を受けたら攻撃表示に変わるという弱点がある」

 

「モンスターを2体以上列べ、1体目でわざとダメージを受けて2体目で破壊する事も出来るよ」

 

「そうなった場合、攻撃力 100のビッグ・シールド・ガードナーは手も足も出ず、みさとは大ダメージを受ける事になるわ」

 

「それに、あの伏せカードも気になるぜ…」

 

亮に続くように、吹雪・明日香・十代が解説しながら調子が悪そうにデュエルをするみさと見守っていた

 

 

 

 

 

 

「あたしの、ターン…!!」

 

引いたカードを確認したみさとは、そのカードをデュエルディスクにセットした

 

「魔法カード『強欲な壺』、デッキから2枚ドローする

そしてガードナーを生け贄に、『ブラック・マジシャン・ガール』を召喚」

 

みさとのフィールドの盾の戦士が消え、魔術師の少女が現れた

 

ブラック・マジシャン・ガール

☆6 闇属性 魔法使い族 ATK 2000 DEF 1700

 

「行きなさい、ガール!!

デーモン・ソルジャーを攻撃!!」

 

一気にジャンプしたブラック・マジシャンガールは、杖をデーモン・ソルジャーに向けた

 

「アハハハハ!!

甘すぎんのよ!!

─罠発動、『破壊輪』!!」

 

「[[[なっ…!?]]]」

 

発動されたカードの名に、みさとと三騎士達は息を飲んだ

 

「ブラック・マジシャン・ガールを破壊して、その攻撃力 2000をアタシ達はダメージとして受けるのよ!!」

 

「ぁ、ああ……!!」

 

首に付けられた破壊輪に恐怖して脅えるブラック・マジシャン・ガールが爆発して消えていった

 

「みさとくんのブラック・マジシャン・ガールが…!!」

 

「くっ……ぅああ!!」

 

みさと LP 2500→500

闇みさと LP 4000→2000

 

衝撃が止んだ後みさとはその場に座り込み、ガタガタと怯えたように全身が震え始めた

 

《みさと/さん/ちゃん/くん/七瀬くん/シニョーラ みさと!!!!》

 

十代達が一斉に駆け寄ろうと走り出すが、影丸の無慈悲な声が全員の足を止めた

 

「いいのか?

今ここでデュエルを止めたら、その瞬間に七瀬 みさとの敗北が決まり、三幻魔は復活するだろう

その時、精霊に選ばれし者である七瀬 みさとの魂は三幻魔の物となる」

 

「何ですって!?」

 

「そんな…!!」

 

「くっ……しっかりしろみさと!!

どうしちまったんだよ!?」

 

十代の叫びに、闇みさとは卑しく笑みを浮かべた

 

「アンタ達、なーんにも知らないのね~

コイツに何があったのかを……なら教えてあげるわ、コイツの心の闇をね」

 

[テメェ…!!]

 

[止めろ!!]

 

[そんな事をしたらみさとちゃんが…!!]

 

止めようとする三騎士達に、闇みさとはシレッと言い放った

 

「アタシもみさとよ、何しようとアタシの勝手じゃない

……大体1年半前だったわね、アタシは闇のデュエルを無理矢理やらされたのよ」

 

《なっ…!?》

 

まさかの言葉に、十代達は固まった

 

「KCの副社長の海馬 モクバを人質にとられたアタシは、犯人の闇の力を欲するデュエリストとのデュエルを強いられた

けど、アレはデュエルでは無かった…「闘えばモクバの命は無い」……そう脅されていたアタシに選択肢なんて無かった…一方的な嬲りを受けるしか無かったのよ」

 

「酷い……」

 

「そんな事が……」

 

「まさか、あの腕はその時に……!!」

 

「─……そうよ」

 

聞こえてきた声に全員が振り向くと、体を震わせながらも立ち上がるみさとがいた

 

「みさと!!」

 

「……覚悟を決めてから話すって言ったばかりだったのにな…」

 

「ふぅーん、ワリと平気そうね」

 

「腕の事を話した時から…あたしの過去を伝えないといけないかもって…考えてたからね

……カードを1枚伏せて、ターン終了よ」

 

「あら、まだやるの?

残りライフ 500なのに?」

 

「……まだ500も残ってるじゃない

デュエルは、まだ終わらない……ここで負けたら、あたしは永遠に心の闇に負けたままだからね……」

 

「フン、とっとと負けを認めれば良いのに……アタシのターン!!」

 

闇みさとは苛立ちながら、デッキからカードを引いた

 

「そんなにまだ苦しみたいなら、このターンで思う存分苦しめてから終わらせてやるわ!!

ダークフレームの効果、闇属性の通常モンスターを召喚する時、ダークフレームは2体分の生け贄に出来る!!」

 

「最上級モンスターが来るぞ!!」

 

三沢が焦ったような声を出すのを聞きながら、闇みさとは手札のカードを1枚抜いた

 

「─ダークフレームを2体分の生け贄にして、『トライホーン・ドラゴン』を召喚!!」

 

ダークフレームが闇に包まれ、闇が晴れると同時に頭に三ツ又の角を持った凶悪な悪魔のドラゴンが雄叫びをあげた

 

トライホーン・ドラゴン

☆8 闇属性 ドラゴン族 ATK 2850 DEF 2350

 

「トライホーン・ドラゴンだと!?」

 

「攻撃力 2850の強力モンスター!!」

 

「みさとちゃんのフィールドにモンスターはいない!!」

 

「みさとォー!!」

 

「死になさい!!

トライホーン・ドラゴンで、ダイレクトアタック!!

─イービル・トライ・ブラスター!!」

 

トライホーン・ドラゴンが放った闇の魔力が、みさとに向かっていく

 

「─…リバース、発動…カウンター罠『攻撃の無力化』

攻撃1つを無効にして、そのバトルを強制終了する……」

 

トライホーン・ドラゴンの攻撃は、みさとの前に現れた渦が全て吸収した

 

「チィ!!

カードを1枚伏せて、ターンエンド」

 

「あたしのターン…ドロー…モンスターを裏守備表示でセット

カードを1枚伏せて、ターン終了」

 

「たったそれだけ?

強がったわりには大した事はして来ないのね?」

 

「うるさいわね……アンタのターンよ」

 

「言われなくても!!

アタシのターン、ドロー!!

─アタシも強欲な壺を発動、デッキからカードを2枚ドローよ

このままトドメよ、トライホーン・ドラゴンで攻撃!!

─イービル・トライ・ブラスター!!」

 

トライホーン・ドラゴンの放った闇の光線がみさとのフィールドのモンスターを貫くと、一瞬だけ現れた女性のモンスターが光球を投げた

 

投げられた光球が破裂すると、異次元の渦が現れて女性のモンスターとトライホーン・ドラゴンは異次元の渦に飲み込まれて消えた

 

「今のは、まさか…!!」

 

「セットしていた『異次元の女戦士』の効果……このカードが相手モンスターとバトルした時、そのモンスターとこのカードを除外出来る」

 

「けどこれでモンスターはいないわ

デーモン・ソルジャー、トドメよ!!」

 

一気に走り出したデーモン・ソルジャーは、持っていた剣でみさとに斬り掛かった

 

「みさと!!」

 

「─リバース、発動…永続罠『闇の呪縛』

相手モンスター1体の攻撃力を700下げ、攻撃と表示形式の変更を出来なくする

デーモン・ソルジャーを呪縛…!!」

 

カードから出た複数の闇の鎖が、デーモン・ソルジャーをがんじがらめに縛り上げた

 

デーモン・ソルジャー ATK 1900→1200

 

「チィ、しぶといわね

モンスターを裏守備表示で召喚、カードを1枚伏せてターンエンドよ」

 

「あたしのターン、ドロー

…魔法カード『天使の施し』、デッキから3枚ドローして手札を2枚墓地に送る」

 

デッキから3枚ドローしたみさとは、モンスターカードと魔法カードを墓地に送った

 

「─墓地に送った『代償の宝札』の効果発動

手札から墓地に送られた事で、デッキからカードを2枚ドロー」

 

引いた緑のカードに、みさとは希望を託した

 

「(このカードに、賭ける…!!)

─永続魔法『未来融合-フューチャー・フュージョン』を発動!!」

 

「未来融合-フューチャー・フュージョン!!」

 

「よしっ!!

あのカードならば…!!」

 

「自分の融合デッキの融合モンスター 1体を選択し、素材のモンスターをデッキから墓地に送る

発動後2回目のあたしのスタンバイフェイズに、選択した融合モンスターを融合召喚出来る!!」

 

「後2回、アイツの攻撃に耐えられたら…!!」

 

「みさとさんに逆転のチャンスが回って来るんだな!!」

 

十代達が興奮する中、闇みさとはニヤニヤと嘲笑うように笑みを浮かべていた

 

「あたしは融合デッキの『アルカナ ナイトジョーカー』を選択

素材の三騎士を墓地へ送り「─カウンター罠カード発動!!」なっ…!?」

 

「─『封魔の呪印』、手札の魔法カードを1枚墓地に送って発動

魔法カードの発動を無効にして破壊する

更に相手はこのデュエルの間、この効果で破壊された魔法カード及び同名カードを発動出来ない!!」

 

「アレは、ノース校との交流戦代表を決めるデュエルで、オレが十代を相手に使ったカード!!」

 

罠カードから飛んで行った呪印が、みさとの永続魔法に張り付いて粉々に砕け散った

 

「そん、な……」

 

「墓地に送った代償の宝札の効果で、2枚ドローっと

アハハハハ!!

最後の希望も砕けちゃったわねぇ?

……所詮デュエルは勝負事、勝たないと意味が無いのよ!!

アンタはそれを身をもって分かってるハズでしょ!?

とっとと諦めなさい!!」

 

「っ……除外されている光属性モンスターが3体以上の時、『ライトレイ マドール』を特殊召喚出来る…」

 

みさとのフィールドに、光の水晶の氷柱に囲まれた光の魔法使いが守りの体勢で現れた

 

ライトレイ マドール

☆6 光属性 魔法使い族 ATK 1200 DEF 3000

 

「ターン終了…」

 

 

 

 

 

「そんな…」

 

「あのカードが、最後の賭けだったハズだ…」

 

「もう…勝ち目は無いのか…」

 

起死回生の一手を封じられたみさとを見て、翔達は絶望したようにデュエルを見ていた

 

 

 

 

 

 

 

「うざったいわね、アタシのターン!!」

 

忌々しそうにみさとを睨んだ闇みさとは、デッキからカードを引いてターンを始めた

 

「裏守備表示のモンスターを反転召喚!!」

 

闇みさとのフィールドに、鈍い金色の仮面のモンスターが現れた

 

「仮面…?」

 

「あのモンスターは…!!」

 

「『闇の仮面』だわ!!」

 

「その通りよ」

 

闇の仮面

☆2 闇属性 悪魔族 ATK 900 DEF 400

 

「─闇の仮面のリバース効果を発動

アタシの墓地にある罠カードを1枚、手札に加える」

 

「罠カードを!?」

 

「今、向こうの墓地にある罠カードは2枚…!!」

 

「そしてこの状況で手札に戻すのは、1枚しか無いノーネ!!」

 

闇みさとはデュエルディスクの墓地から、1枚の罠カードを取り出した

 

「当然アタシはこのカード 破壊輪を手札に加える

ウフフ…また同じ恐怖を味わうといいわ」

 

「汚ねぇぞ!!」

 

怒鳴る十代に、闇みさとは淡々と返した

 

「これは戦術よ、卑怯じゃないわ

それにまだ終わらせない……闇の仮面とデーモン・ソルジャーを生け贄に捧げる!!」

 

闇みさとのフィールドの2体のモンスターが、光となって消えて行く

 

「2体も生け贄に…!?」

 

「という事は、また最上級モンスターが…!?」

 

「─『ダーク・ホルス・ドラゴン』を召喚!!」

 

闇みさとのフィールドに、真っ黒で巨大なドラゴンが現れた

 

ダーク・ホルス・ドラゴン

☆8 闇属性 ドラゴン族 ATK 3000 DEF 1800

 

「ダーク・ホルス・ドラゴン…!?」

 

「攻撃力 3000…!?」

 

「あんなに攻撃力の高いモンスターを次々と…!!」

 

「奴も、一応はみさとくんであるという事か…!!」

 

「だが、対するみさと本人はタクティクスに乱れが生まれている…まずい!!」

 

新たなドラゴンの登場に十代達が警戒する中、闇みさとは伏せていたカードを開いた

 

「─永続罠『闇次元の解放』発動

除外されている闇属性モンスター1体を、自分フィールドに特殊召喚出来る

戻って来なさい、トライホーン・ドラゴン!!」

 

闇みさとのフィールドのダーク・ホルス・ドラゴンの隣に、トライホーン・ドラゴンが戻って来た

 

「最上級ドラゴンが2体も…!!」

 

「─フィールド魔法『ダークゾーン』発動

フィールド上の闇属性モンスターの攻撃力を500アップさせ、守備力を400ダウンさせる」

 

フィールドを覆う闇の力を受け、2体の闇のドラゴン達は力を漲らせた

 

ダーク・ホルス・ドラゴン ATK 3000→3500 DEF 1800→1400

トライホーン・ドラゴン ATK 2850→3350 DEF 2350→1950

 

「バトルよ!!

トライホーン・ドラゴンでライトレイ マドールを攻撃!!

─イービル・トライ・ブラスター!!」

 

トライホーン・ドラゴンの放った闇の魔力を、ライトレイ マドールは光の水晶の盾で受けきった

 

「ライトレイ マドールは、1ターンに1度だけバトルでは破壊されない…!!」

 

「ならダーク・ホルス・ドラゴンでライトレイ マドールを攻撃!!

焼き尽くせ、地獄の闇の炎よ!!

─ダークネス・メガ・フレイム!!」

 

ダーク・ホルス・ドラゴンの放った黒い炎が、ライトレイ マドールをあっという間に飲み込んで消滅させた

 

「ぐうぅ…っ!!」

 

「アタシはこれでターンエンド」

 

「あたしの、ターン…!!

カードを2枚伏せて、ターン終了…」

 

悪あがきを続けるみさとに、闇みさとは目を血走らせながら睨み付けた

 

「アタシのターン!!

これで終わりよ!!

トライホーン・ドラゴン ダーク・ホルス・ドラゴン、ダイレクトアタック!!

─イービル・トライ・ブラスター!!

─ダークネス・フレイム!!」

 

2体のドラゴンの黒い炎がみさとを襲う寸前、みさとは伏せていた2枚のカードの片方を開いた

 

「─ッリバース発動、罠カード『ホーリーライフバリアー』

手札1枚を墓地に送る事で、発動ターンに受けるダメージを全て0にする…!!」

 

2体のドラゴン達の攻撃はみさとの前に現れた水色のローブを着た集団が防いだが、衝撃までは防ぎ切れずに吹き飛ばされた

 

「ウアアアアアーッ!!」

 

《みさと/さん/くん/ちゃん/七瀬くん/シニョーラ みさと/お嬢ッ!!!!》

 

吹き飛ばされたみさとは、大岩に体を強く打ち付けて倒れた

 

「ぐ……ぁ…」

 

「もう止めて!!

このままじゃ、みさとが死んでしまうわ!!」

 

「止めろー!!」

 

明日香と十代の叫びに、闇みさとは冷めた視線を返した

 

「大人しく負けてれば、こんな目にはあわなかったのよ

これはアイツの自業自得……分かったでしょ?

デュエルは勝負事、デュエルを楽しむなんて不可能な事なのよ」

 

「それはどういう事ですかな?」

 

鮫島の質問に、闇みさとは冷めた視線を向けたまま口を開いた

 

「……良いわ、アイツが起きて来る時間までさっきの話の続きをしてあげるわ

…モクバを人質に取られたアイツは文字通り、なぶり殺しを受け続けた

けど相手はそれで満足はしなかったのよ……相手は決闘乙女(ヴァルキリー)のドラゴンを召喚する事を強要したわ」

 

決闘乙女(ヴァルキリー)のドラゴン…!?」

 

「みさとくんがバトル・シティからずっと使用していた、あのドラゴン族のモンスターか!!」

 

「……ここからは実際の映像を見せてあげる」

 

闇みさとが片手をかざすと、闇が渦を巻きながら映像を映し出した

 

「アレは……みさとか!?」

 

「伝説のデュエリスト、武藤 遊戯さん達もいるぞ!!」

 

 

 

 

 

ーーー

 

映像ではみさとがデュエルをして、遊戯・海馬・城之内・杏子・本田が後ろで見守っていた

 

みさとと戦う相手の後ろでは、闇の力に体を縛られているモクバが苦しそうに唸っていた

 

みさとのフィールドには『女剣士 カノン』と『斬首の美女』、ライフは1200

 

相手のフィールドには『人造人間7号』と伏せカードが1枚、ライフは無傷の4000

 

「……あのドラゴンを…?」

 

「そうだ

お前を倒すという事は、あのドラゴンを倒さないと意味が無い

早くしろ!!

さもないと…」

 

「ぐっ……うわあああーっ!!」

 

「モクバー!!」

 

「くっ……あたしのターン!!

カノンと斬首の美女を生け贄に捧げる!!」

 

相手の指示に従い、みさとはドラゴンを召喚した

 

「ハハハハハハ!!

これでオレの勝ちだァ!!

─罠カード『破壊輪』!!」

 

「破壊輪だと!?」

 

「お前のドラゴンを破壊して、攻撃力分のダメージをお互いに受ける!!」

 

「そ、そんな……!!」

 

「みさとーっ!!」

 

杏子の悲鳴が響く中ドラゴンは破壊されて、みさとのライフは尽きた

 

「勝った……オレの勝ちだァー!!」

 

「汚ねぇぞてめぇ!!」

 

「汚ねぇのが何だ?

勝ちゃあ良いんだよ、勝ちゃあな

決闘乙女(ヴァルキリー)、闇のデュエルの代償がお前を襲うぜ」

 

「ぁ……ああ…!!」

 

一斉に左腕を包み込んだ闇は……みさとの左腕を引きちぎった

 

「あァアあアァあアあァーっ!!!!」

 

ーーー

 

 

 

 

 

映像を見た十代達は固まり、明日香や翔は怯えながら震えていた

 

「っ……」

 

「そんな…」

 

「酷い……」

 

「コレが…みさとがオレ達をセブンスターズとの闘いに参加させたく無かった、本当の理由か…」

 

「ええ…その通りです…」

 

亮と鮫島の真剣な眼差しに、十代達は目を向けた

 

「みさとがセブンスターズとの戦いにオレ達が加わる事に反対した理由は、オレ達を巻き込むからでは無く……」

 

「あなた達に、自分と同じ運命を辿って欲しく無かったからだったんでしょう……」

 

あまりの出来事に何も言えない十代達を見ながら、闇みさとは映像を消した

 

「……相手のクズは、海馬・遊戯・城之内が3人掛かりでリンチの勢いで倒して闇に葬られた

けど、アイツの左腕は永遠に戻らない物となったわ」

 

「じゃあ、今のみさとちゃんの左腕は……!!」

 

この場で唯一事情を知らなかった吹雪は、倒れているみさとの左腕に目を向けた

 

「海馬が弟の命を救った礼として、KCの技術の粋を集めて作った義手よ

海馬には、アイツに大きな借りがあるからね……けど、心の方はどうにもならなかった」

 

「心……?」

 

「…デュエルを楽しむ事が出来なくなった、デュエルに恐怖を持つようになったのよ」

 

《なっ…!?》

 

十代達はその一言に硬直し、三騎士達は唇を噛み締めた

 

「デュエルに、恐怖を…?」

 

「本当なのかよ、ジャック・キング・クィーン!!」

 

十代の叫びに、三騎士達は力無く項垂れた

 

[……全部、そいつの言う通りだよ]

 

「そんな…!!」

 

キングの声に、翔や隼人は言葉を失った

 

[…あの事件の後、お嬢の体はデュエルを拒んでデュエルディスクを構える事も出来なくなっちまったんだ]

 

[人の言葉で言うと、確か『PTSD』とかいう症状だ

それでも遊戯達の懸命な努力で、何とかリハビリをやり続けてたんだ…]

 

[ですが、リハビリデュエルの最中にみさとちゃんは過呼吸を起こして倒れてしまって…

その後すぐにあのドラゴンを封印して、みさとちゃんはプロデュエリストを休業する事にしたんです]

 

[そして1年経って、心の休息をとったみさとは海馬からアカデミアの内部調査員の仕事を命じられたんだ]

 

[まあ、それはアイツなりの優しさなんだとは思うけどよ…]

 

「どういう事だ?」

 

話を続ける三騎士達に、万丈目が割って入った

 

[お前達はまだ未熟だ]

 

「何だと!?

この万丈目サンダーが「黙って万丈目くん!!」

 

食って掛かる万丈目の文句を明日香は宥めて、話の続きを促した

 

[……けどな、未熟だからどんな形にも変わるんだ]

 

[あなた達はまだ加工されていない原石のような存在、磨き方で姿形が変わっていきます]

 

[その変わっていく様子を傍で見ていれば、みさとの心にも良い影響を与える事が出来るかもしれねぇ…海馬はそんな事も考えたんじゃないか?]

 

「─んな訳無いでしょうが!!」

 

三騎士達の話に、闇みさとが怒りの形相で割って入った

 

「アイツにそんな意図が有る訳無い!!

大方、面倒事を押し付けたに決まってるわ!!」

 

「何故、そう言いきれる?」

 

怒りの形相の闇みさとを、亮は真っ向から見つめた

 

「アイツは闇のデュエルが研究されていたこんな場所に送り込んだのよ!!

更にこんな闇のデュエルでの戦いにまで巻き込んどいて何もしない…アイツに優しさなんて有る訳無い!!

デュエルは勝負事、デュエルに優しさなんて無意味な物よ!!」

 

「違うわ!!

デュエルは私達の心を 魂をぶつける事が出来る行為よ!!

だからこそデュエリストは相手に全力で挑み、相手を敬わなければならないのよ!!」

 

「そうだ!!

相手をリスペクトする事、デュエルではそれが大事なんだ!!

僕はお兄さんとアニキ…そして、みさとさんからその事を教わった!!」

 

闇みさとの叫びに明日香と翔が抗議し、亮と鮫島は強く頷いた

 

「アンタ達もよ!!

この戦い、アンタ達が首を突っ込んで来なければアタシは楽だったのに!!」

 

「どういう意味だ…?」

 

隼人の疑問に答えるように、闇みさとは叫び続ける

 

「アンタ達が首を突っ込んで来なければ、アタシはこんなにも多くの足手まといを抱えて気を張る必要も無かったって事よ」

 

「なっ…!?」

 

「何だと貴様ァ!!」

 

闇みさとの言葉に、十代は戸惑い万丈目は怒鳴り出した

 

「まともに戦えたのは遊城 十代だけじゃない」

 

「オレだってセブンスターズを倒したぞ!!」

 

「1人だけね

その後、最後のセブンスターズに早々にやられて、あっちで倒れてるアタシの足枷になったのは誰よ?」

 

「そ、それは…!!」

 

「そこの女、アンタもよ!!」

 

「っ…くっ……」

 

闇みさとの怒鳴り声に、万丈目と明日香は返す言葉も無く黙りこんだ

 

「クロノス・デ・メディチ 丸藤 亮、アンタ達は全くの役立たずだったじゃない

アッサリやられてそれでお仕舞い、本当に馬鹿馬鹿しいわ」

 

「そ、そレーハ……」

 

「っ…返す言葉もない…」

 

クロノスと亮も、何も言えずに視線を反らした

 

「お、お兄さんは僕を人質にとられたから!!

だから自分から負けを選んだんだ!!」

 

翔の抗議を聞き、闇みさとの視線は翔と隣にいた隼人に向いた

 

「丸藤 翔 前田 隼人、アンタ達は実力も無いのに闇のデュエルに関わった…ただの自殺行為よ

邪魔でしか無かったじゃない」

 

「ぅ……」

 

「確かに…そうなんだな……」

 

闇みさとの視線が三沢を向いたが、すぐに逸らされた

 

(オレは無視か…!!)

 

「アンタ達全員、アタシの邪魔でしか無かった!!

何が「楽しいデュエル」よ、何が「リスペクト」よ…そんなもの、弱者の戯れ事だわ!!」

 

「─……いい加減に、しなさいよ…」

 

闇みさとの声に答えたのは、倒れていたみさとだった

 

《みさと/さん/ちゃん/くん/七瀬くん/シニョーラ みさと!!!!》

 

「……やっと起きたの?

待ちくたびれたわ」

 

「…そのワリには、随分おしゃべりが過ぎたんじゃない……ゲホッ!!」

 

起き上がりながら咳き込んだみさとの口から、鮮血が溢れ出た

 

「みさとさん、血が…!!」

 

「さっきのダメージが大きすぎるんだな!!」

 

「みさとちゃん、もう止めるんだ!!」

 

「……ダメ、よ」

 

翔達の制止を振り切って、みさとはヨロヨロと元の位置まで歩いて行く

 

「これは…あたしの戦い……あたしの過去との、決別の為に…必要な事なのよ……グッゴホッ!!」

 

「みさと……っ」

 

みさとの痛々しい姿に明日香は口元を片手で押さえて顔をそむけ、吹雪に支えられていた

 

「……よくもあたしの声で、好き勝手に言ってくれたわね…」

 

「フン、アタシはもう1人のアンタなのよ

アタシの言葉はアンタの言葉…アンタだって、デュエルを楽しむ事なんてもう出来ないでしょうが!!」

 

「そうね…少し前までのあたしなら…アカデミアに来る前までのあたしなら、そうだったでしょうね…」

 

「どういう意味よ…?」

 

「アンタはあたしなんでしょ?

なら、もう分かってるハズよ……十代に会ってから、あたしの世界は少し変わった事に」

 

「えっ……?」

 

名前を呼ばれた十代本人は、キョトンとして自分を指差した

 

「……根っからのデュエルバカでお調子者だけど、心の底からデュエルを楽しむその姿勢は知り会った時からスゴかった…あの頃のあたしには眩し過ぎるくらいに」

 

1歩1歩と元の位置に戻って行きながら、みさとは話を続ける

 

「明日香や亮さんとのデュエルは、確かに楽しいと思った

けど、その楽しいは…強い相手って意味合いが大きかった……ッゴホゴホッ」

 

「だ、だから…何よ……?」

 

「けど、十代とのデュエルは少し違った…アイツはあたしの1手1手に目を輝かせて心から楽しんでいた……あたしもアンタも、昔はあんな感じだった」

 

「ふざけた事言うんじゃないわよ!!

アタシがデュエルを楽しんでたなんて、有る訳無いでしょうが!!」

 

「アンタはあたし…なら、あたしはアンタ

だからあたしがデュエルを楽しんでたなら、アンタもデュエルを楽しんでた頃があったという事よ」

 

「うるさい…」

 

「けど、あんな事が起きてしまって…アンタはその時のあたしから出来た心の闇…あたしはアンタから逃げていたと思う……だけど、それも今日で終わりよ!!

過去を乗り越えて、あたしはあたしの道を進み出す!!」

 

決意のこもった眼差しで相手を睨むみさとに、闇みさとは狂ったように叫び出した

 

「うるさいって言ってんでしょ!!

過去を乗り越えた所で、その腕が元通りになる訳無い!!

一生傷ものの人生なのよ!!」

 

「それが何よ!?」

 

「なっ…!?」

 

「……確かに、こんな酷い過去と傷を持つ女の傍にいようと思う奴なんて、相当の物好きしかいないでしょうね

けど、信頼出来る人があたし達の周りにいない訳じゃないでしょう?」

 

「そ、れは…」

 

「あたしには遊戯兄ちゃん達がいる…そして、この戦いで得た新しい仲間もいる」

 

みさとの言葉に、十代達は揃って強く頷いた

 

「頑張れよみさとー!!」

 

「僕達がついてるっスよー!!」

 

「気張れ、みさとさーん!!」

 

「負けないで、みさと…!!」

 

「お前なら出来る、オレは信じているぞ」

 

「大丈夫だ、君なら必ず!!」

 

「頑張るんだよ、みさとちゃーん!!」

 

「シニョーラ みさと、頑張るノーネ!!」

 

「私達は、あなたの勝利を願っていますよ」

 

「─…そうか!!

みさとがさっきのタッグデュエルでおかしかったのは、オレの天上院くんへの愛にアイツが嫉妬したからだったんだな!!」

 

全員が一言ずつみさとに声をかけた所で出た場違いな一言に明日香は出所に冷めた視線を送り、場違いかつ見当違いな一言を言った本人 万丈目が吹雪・クロノス・鮫島以外から鉄拳ツッコミを受けるのを三騎士達とクリボーは見守っていた

 

[みさとちゃんに、こんなに大勢のお友達が出来る日が来るなんて…]

 

[ああ、本当に良かった]

 

[青クセェ連中だが、お嬢を思ってくれんのは有りがてぇな]

 

[クリクリィ!!]

 

「友情ごっこで勝てる程、デュエルは甘くは無いわよ!!

カードを2枚伏せて、アタシはターンエンド」

 

闇みさとのフィールドに伏せられたカードに、十代達は警戒の視線を送った

 

「伏せカード…!!」

 

「あのカード、まさか…!!」

 

「片方は間違いなく、あのカードだろうね…」

 

「…あたしのターン!!」

 

手札0の状態で引いたカードを、みさとはすぐに発動させた

 

「─魔法カード『命削りの宝札』

手札が5枚になるように、デッキからカードをドローする

そして発動後5ターン目に、手札を全て墓地に送る」

 

「よし、ここで手札増強のカードを引けたか!!」

 

「この瞬間、ダーク・ホルス・ドラゴンのモンスター効果が発動するわ

ホルスが表側表示で存在する限り、相手のメインフェイズ時に魔法カードが発動した場合、自分の墓地からレベル4のモンスターを1体 特殊召喚出来る!!

ダーク・フレームを守備表示で特殊召喚」

 

闇みさとのフィールドのドラゴン達の隣に、闇のキューブのモンスターが復活した

 

「ダークゾーンの効果で、ダーク・フレームはパワーアップ」

 

ダーク・フレーム ATK 1500→2000 DEF 0→0

 

「またモンスターが…!!」

 

「奴のフィールドのモンスターは3体…」

 

「このターンでどうにか逆転しないと、次のターンに起こる総攻撃を防ぎ切れないぞ…!!」

 

「─次のターンなんて、来ないと思うわよ」

 

警戒する亮達の声に、みさとはキッパリと言い切った

 

「何を根拠に…!!」

 

「だって…このターンで終わらせるもの」

 

《なぁ!!!?》

 

「…随分強気になったわね

けど、本当にそれが出来るのかしら?」

 

「─勿論…魔法カード『ナイト・ショット』

相手フィールドにセットされた魔法・罠カード 1枚を破壊する!!

あたしが選ぶのは……アンタから見て左の伏せカードよ!!」

 

カードから放たれた光線が、闇みさとの伏せカードに向かって飛んでいく

 

「そうか!!

伏せカードを破壊してしまえば、使われずに済むんだな!!」

 

「バカね、破壊する前に発動させてしまえば良いのよ

罠カード発ど…えっ!?」

 

伏せカードを発動させようとした闇みさとだが、伏せカードは開かなかった

 

「な、何で!?」

 

「ナイト・ショットの発動に対して、相手は選択されたカードを発動出来ない」

 

「そんな…!!」

 

闇みさとの伏せカード 破壊輪は、光線に貫かれて消えていった

 

「よっしゃ!!」

 

「これで破壊輪が使われる事は無いわ!!」

 

「だが、奴のフィールドにはモンスターが3体」

 

「しかも内2体は攻撃力 3000越えの大形モンスター」

 

「対するみさとくんのフィールドにモンスターはいない…どうする気だ?」

 

「くっ…破壊輪が使えなくても、アタシにはまだドラゴン達がいるわ!!

(残りの手札は最上級闇モンスターの『コスモクイーン』

ダーク・フレームを生け贄に召喚すれば良い、そして総攻撃で終わりよ)」

 

「─魔法カード『貪欲な壺』発動

墓地のモンスター5体をデッキに戻してシャッフル、その後デッキからカードを2枚ドローする」

 

みさとは墓地から、ジャック クィーン キング ブラック・マジシャン・ガール ライトレイ マドールの5枚のカードを取り出した

 

「この5枚をデッキに戻して、更に2枚ドロー

─魔法カード『死者蘇生』、墓地のモンスター 1体を復活させる!!」

 

「まさか……!!」

 

「そのまさかよ…今こそ、過去を乗り越える!!

─優しき光が 総ての闇を振り払う

純粋な想いよ その翼に宿れ

─眩け、『ホーリー・ナイト・ドラゴン』!!」

 

その場をパアアアアッと強い光が包み込み、淡桃色のドラゴンが1頭 空からみさとの元へ降りてきた

 

「アレは…!?」

 

「ホーリー・ナイト・ドラゴン……決闘乙女(ヴァルキリー)のドラゴン…」

 

「オレ、テレビで見た事有る!!」

 

ホーリー・ナイト・ドラゴンは、ゆっくりとみさとの前に降り立ち足元にそっと跪いた

 

「ホーリー・ナイト……今まであなたに散々酷い事をしたあたしを、まだ主だと思ってくれるの…?」

 

みさとに答えるようにホーリー・ナイト・ドラゴンはゆっくり頷き、それを見たみさとはそっとホーリー・ナイト・ドラゴンを抱き締めた

 

「今までゴメンね……ありがとう…」

 

抱き合いを止めたみさととホーリー・ナイト・ドラゴンは、闇みさととダーク・ホルス・ドラゴン達を睨み付けた

 

ホーリー・ナイト・ドラゴン

☆7 光属性 ドラゴン族 ATK 2500 DEF 2300

 

「いくらそのドラゴンを出したからって、そいつじゃアタシのドラゴン達は倒せない!!」

 

「─リバース発動、罠カード『イタクァの暴風』

相手フィールドのモンスター全ての表示形式を変更する」

 

その場に強い暴風が吹き荒れ、闇みさとのフィールドのモンスター達は守りの体勢をとった

 

「─更に魔法カード『ダブルアタック』発動

手札のモンスター1体を墓地に送り、墓地に送ったモンスターよりレベルの低い自分フィールドのモンスター1体を選択

選択したモンスターはこのターン、2回攻撃出来る

あたしは手札からレベル8『ギルフォード・ザ・ライトニング』を墓地に送り、フィールドのレベル7 ホーリー・ナイト・ドラゴンを選択する」

 

「いくら2回攻撃出来ても、アタシのモンスターは守備表示

ダメージは受けな……ッまさか」

 

「その「まさか」、よ

─装備魔法『ビックバン・シュート』をホーリー・ナイト・ドラゴンに装備、攻撃力を400アップさせる

更に装備モンスターが守備表示モンスターを攻撃し相手モンスターの守備力が攻撃モンスターの攻撃力より下の時、貫通ダメージを与えられる!!」

 

みさとのフィールドのホーリー・ナイト・ドラゴンが、赤いオーラを纏ってパワーアップした

 

ホーリー・ナイト・ドラゴン ATK 2500→2900

 

「バトルよ!!

ホーリー・ナイト・ドラゴンで、ダーク・フレームを攻撃!!」

 

ホーリー・ナイト・ドラゴンが攻撃する前に、闇みさとは伏せていた最後の1枚を開いた

 

「─させないっての、速攻魔法『神秘の中華鍋』発動!!

自分フィールドのモンスター1体を生け贄にして、生け贄にしたモンスターの攻撃力か守備力分のライフを回復する

アタシはダーク・フレームを生け贄に、今の攻撃力 2000のライフを回復するわ」

 

闇みさとのフィールドに出て来た中華鍋に、ダーク・フレームは吸い込まれていった

 

闇みさと LP 2000→4000

 

「そんな…!!」

 

「攻撃対象がいなくなった事で、この攻撃は空振りだ…!!」

 

「このターンはダブルアタックの効果でもう1度攻撃出来るが…」

 

「今のホーリー・ナイト・ドラゴンでは奴のライフを削り切れないノーネ…!!」

 

「残念だったわねぇ?」

 

露骨にバカにする闇みさとに、みさとはニヤリと笑い返した

 

「─そんなところだろうと思ってたのよ」

 

「え…?」

 

「ダブルアタックの効果で、もう1度攻撃!!

ホーリー・ナイト・ドラゴンで、ダーク・ホルス・ドラゴンを攻撃!!」

 

空へ舞い上がったホーリー・ナイト・ドラゴンが、ダーク・ホルス・ドラゴンに狙いを定めた

 

「バカなの?

倒せてもライフはまだ残るわよ?」

 

「─手札の『オネスト』の効果発動!!」

 

「何…ッ!?」

 

「自分の光属性モンスターがバトルする時、手札からこのカードを墓地に送って発動

対象にした光属性モンスターの攻撃力を、このターンの間だけバトルする相手モンスターの攻撃力分アップさせる

ホーリー・ナイトの攻撃力に、ダーク・ホルス・ドラゴンの今の攻撃力 3500が追加される!!」

 

空に舞い上がったホーリー・ナイト・ドラゴンは後ろに現れた天使の恩恵を受け、更にパワーアップした

 

ホーリー・ナイト・ドラゴン ATK 2900→6400

 

 

 

 

「こ、攻撃力 6400…!?

しかもビックバン・シュートの効果で貫通ダメージが…!!」

 

「みさとはこの為にイタクァの暴風を使ったのね…!!」

 

「フィールド魔法の効果で、向こうのモンスターの守備力は下がっている…そこを利用する作戦だったのか!!」

 

「おそらく…全て、彼女の計算通りでしょうね」

 

 

 

 

「─焼き尽くせ、浄化の炎 ホーリー・フレイム・ブレス!!」

 

ホーリー・ナイト・ドラゴンが放った浄化の炎が、ダーク・ホルス・ドラゴンを焼き尽くした

 

「ウアアアアアアーッ!!」

 

闇みさと LP 2000→0

 

デュエルが終わり、モンスター達が消えていく

 

「やったぜ!!」

 

「みさとさんの勝ちだー!!」

 

「これが、決闘乙女(ヴァルキリー)…」

 

「みさと…良かった……」

 

十代達ははしゃぎ、亮と吹雪は最後の1ターンのタクティクスに感心したようなため息をつき、明日香はホッとしたように胸を撫で下ろした

 

攻撃の衝撃で地面に倒れ込んだ闇みさとを、デュエルディスクをしまったみさとが見下ろした

 

「フン…アタシの負けよ……良かったわね、これでアンタはアタシから解放されるわ…」

 

「─何言ってんの…あたしはアンタと、これからもずっと生きていくわ」

 

「えっ…?」

 

まさかの一言に、闇みさとは耳を疑い顔を上げた

 

「アンタはあたしで、あたしはアンタ…アンタはデュエルに恐怖していた頃のあたしだもの

アンタがこうやって現れたのは、三幻魔の力だけじゃない…あたしがデュエルに恐怖し逃げたから、アンタが生まれたのよね

だから…その過去の象徴であるアンタを受け入れて、あたしはこれからも生きていくわ」

 

みさとの言葉に、闇みさとは呆れたような顔をして大きく息を吐いた

 

「……どこまでも、バカな女ね…」

 

「あたしがバカなら、アンタもそのバカな女なのよ」

 

「……それもそうね」

 

スゥ…ッと音をたてて、闇みさとは静かに消えて行った

 

もう1人の自分を見送ったみさとは、糸が切れた人形のようにその場に崩れ落ちた

 

「みさと!?」

 

慌てた十代達が駆け寄り、みさとを抱き起こした

 

「みさと、しっかりしろ!!」

 

「酷い怪我だわ!!」

 

「デュエル中、あれだけの衝撃を生身で受けたんだ

無理も無い」

 

「─…ほぅ、まさか自らの心の闇に撃ち勝つとはな」

 

デュエル中、殆ど何も喋らなかった影丸が意外だと言わんばかりの口調でみさとを見た

 

「だが、もうそいつに戦うだけの力は残っていない

ならば私の相手は遊城 十代、お前という事になる」

 

「面白ぇ、やってやろうじゃねぇか!!」

 

「十…代……」

 

「「「みさと/さん!!」」」

 

[[[[みさと/ちゃん/お嬢/クリクリィ!!]]]]

 

弱々しく起き上がったみさとを明日香・亮・翔が支え、三騎士達とクリボーも周りに集まった

 

「あと……よろし…」

 

「…おう!!

任せとけ!!」

 

快活に笑った十代の顔を見たみさとは、崩れるように意識を手放した

 

(アテムさんを見送った時の遊戯兄ちゃんって…こんな気持ちだったのかなぁ…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………みさとが意識を取り戻した時には、十代と影丸のデュエルは大詰めを迎えていた

 

「ぅ……」

 

[みさとちゃん!!]

 

[気が付いたか、お嬢]

 

まだ実体化したままのクィーンとキングの声に、翔達が一斉に振り返った

 

「みさとさん!!」

 

「やっと起きてくれたんだな」

 

「良かった、気が付いたのね…」

 

「何とか…今はどんな状況…?」

 

三騎士達に手を借りて起き上がったみさとの目の前には、三幻魔と対峙する十代がいた

 

「三幻魔が…!!」

 

「ああ…影丸は三幻魔を召喚した」

 

「このデュエルに十代くんが負けたら、十代くんと君の力は影丸理事長の物になってしまうみたいなんだ」

 

「…その力で、アイツは永遠の命を手に入れる…そんな所?」

 

「え、ええ…」

 

「理事長はそう言ってたノーネ」

 

 

 

 

 

「オレのターン!!」

 

十代は手札に加えた最後のカード、『ミラクルフュージョン』が発動する

 

「行くぞ!!

墓地のフェザーマン、バーストレディ、バブルマン、そして場のクレイマンを除外し…『E・HERO(エレメンタルヒーロー) エリクシーラー』を召喚!!」

 

E・HERO(エレメンタルヒーロー) エリクシーラー

☆10 光属性 戦士族 ATK 2900 DEF 2600

 

「─更に装備魔法『賢者の石-サバティエル-』をエリクシーラーに装備!!

このカードがエリクシーラーに装備されたとき、エリクシーラーは相手フィールドにいるモンスターの数だけ…攻撃力を倍にする!」

 

「倍だと…!?

バカな…!!」

 

「お前の場にモンスターは5体!!

よってエリクシーラーの攻撃力は…14500だ!」

 

最強のヒーロー E・HERO(エレメンタルヒーロー) エリクシーラーは、ラビエルに攻撃をしかける

 

破壊されたラビエルは、その差分のダメージを影丸に与えた

 

攻撃力 14500に対し、4000の攻撃力のラビエル……その圧倒的な攻撃力の差に、影丸のライフは尽きた

 

 

 

 

「バカな…!!

三幻魔が、敗れただと…!!」

 

目の前の現実に膝を付いて崩れ落ちる影丸のモンスターの生気を吸って若返っていた体は、すぐに老人の姿へと戻っていった

 

それと同時に、カードのモンスター達が元の姿に戻っていった

 

消えていく大徳寺の残したカードを見つめていた十代の傍に翔達は駆け寄り、絶望を味わう影丸の前に立った

 

「若さをとりもどし、青春をもう一度味わいたかった」……影丸は永遠の命を欲しがった理由をベラベラと喋り出した

 

「何言ってんだ、じいさんは十分元気だぜ

幻魔なんかに頼らないで、自分の力で立てよ」

 

そう言って笑う十代に影丸は励まされ、十代の手を借りつつゆっくりと地に足をつけ体を起き上がらせた

 

「立てた…!!

わしが、立てた…!!

君と戦うことで、生気と熱意を取り戻したのかもしれん!」

 

「よかったな、じいさん!!」

 

言いながら両手を広げ影丸を抱きしめた十代だが、その馬鹿力で影丸は悲鳴をあげながらのけぞった

 

「…理事長って確か100歳超えてるって話だけど、本当?」

 

「ええ、本当です」

 

「…はー!?

ひゃ、100歳!?」

 

みさとと鮫島の会話に驚いた十代はその拍子にまた力を入れ、影丸の背骨はボキボキと痛々しい音をたてた……影丸はそのまま迎えのヘリで強制的に帰って行った

 

 

 

 

 

 

 

 

…影丸を全員で見送り、鮫島はもう一度三幻魔を封印した

 

「……終わったな」

 

「事後処理は色々あるでしょうけど…まあ、取り敢えず一件落着って所かしら?」

 

その場に和やかな空気が流れるが、クロノスの一言でその場の空気は一変した

 

「─後は、来週に控える…進級試験ナノーネ」

 

「…し…し、進級…試験…!?

忘れてたァ!!

全然勉強してねー!!」

 

その一言で十代は頭を押さえて沈んでいく

 

「情けない奴だ」

 

「十代くんにとっては、それが一番の脅威みたいだね…」

 

腕を組んで言い捨てる万丈目の隣で、吹雪は苦笑していた

 

「十代らしいな」

 

「ホントね」

 

その様子を見ていた三沢の呟きに、明日香はクスクスと笑った

 

「みさと!!

助けてくれ!!

お前なら分かりやすく教えてくれるだろ!?」

 

みさとの目の前まで走り、十代はその勢いのまま拝み倒した

 

「悪いけど、あたしはこれから今回の一件をKCに報告しないといけないからね…

っていうかアンタ、怪我人に何させようとしてるのよ…?」

 

「その前に、シャワーとその怪我の手当てが先よ」

 

「…それもそっか」

 

「仕方無い、このまま保健室の鮎川先生の所へ連れて行くか」

 

「鮎川くんには、私から説明しておくよ」

 

「うむ、善きに計らえ」

 

「どんなキャラよ…」

 

亮に背負われたみさとはその場を後にして、十代に呆れながら翔達もアカデミアへと戻っていく

 

「─ぁ、そうだ

校長、鍵を勝手に持ち出したそこのバカ2人にキッツイお仕置きをお願いね」

 

「「なっ…!?」」

 

視線を向けられた万丈目と吹雪は、思い出したように硬直した

 

「そういえば、そうでしターノ」

 

「…分かりました

君達には、追って処罰を伝えます」

 

「そ、そんなぁ~…亮・明日香、何とか言ってくれ!!」

 

吹雪にすがられた2人は、呆れたようなため息をついた

 

「吹雪、自業自得だ」

 

「今回の事は、どう見ても兄さんと万丈目くんが悪いから反省…いいえ、猛省してちょうだい」

 

それだけ言って、2人は翔達を追って行った

 

「そんなぁ!!

何故このオレが処罰を受けなければならないんだーっ!?」

 

「僕はただ、恋を応援しただけなんだーっ!!」

 

「する!!

最高に勉強する!!

だからどうすればいいか、誰か教えてくれーっ!!」

 

その場に、3人の男達の情けない悲鳴が響いた




セブンスターズ編、終了です

今回、初めてオリジナルデッキ同士でのデュエルを投入しました
闇のみさとの正体は、闇のデュエルに敗れて地獄を見たみさとちゃんの心の闇…みたいなモノです
ですので、デッキも闇属性にしました(一応、悪魔とドラゴンをメインで固めてあるデッキです)

…そして、今まで何回か話の中に出て来たドラゴンの事を覚えていらっしゃるでしょうか?
それが今回出て来た、ホーリー・ナイト・ドラゴンです
遊戯にはブラック・マジシャン、海馬にはブルーアイズといったようにパートナーがいるので、みさとちゃんにもパートナーを持たせておきたくて色々調べた結果、「あ、コイツ良さそう」って思ったのが、ホーリー・ナイト・ドラゴンでした…ステータスもそこそこ悪くは有りませんしね

次回で1年生編は最後です
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