これまでデュエルアカデミアでやりたい放題やっていた事が海馬にバレて、特大の雷…を軽く飛び越えて滅びの
それでもレッド寮廃止を諦めていなかったナポレオンは、職員会議でその意志を強く示した
その意見に反対したのは……これまで一緒になってレッド寮を廃止しようとしていたクロノス臨時だった
デュエルで決着を着ける事になり、レッド寮の前で行われた教師同士のデュエル
それを制したのはクロノスで、レッド寮は無事に守られたのだった
…十代とエドのデュエルからしばらくして、朝一の女子生徒の座学に出席する明日香とみさとに先に来ていたジュンコとももえが一気に詰め寄った
「「みさと/さん!!」」
「ん?
ああ、おはよ~」
「「おはよ~」、じゃないわよっ!!」
「一体どういう事ですの!?」
2人の猛烈な剣幕に、みさとは口元を引きつらせながら身を引いた
[物凄い勢いですね……]
[何だ…?]
そんなみさとの周りで、三騎士達とクリボーは揃って顔を見合わせた
「「どういう事」って、何が…?」
「この前のエド様とのデュエルよ!!」
「何であんな酷い事をなさったんですの!?」
「ああ、アレね
別に良いじゃないの、自分勝手な事ばっかやってたんだから返り討ちにしても
自業自得・因果応報ってヤツよ」
「勝手って…あんなにイケメンじゃありませんの!!」
「そうよ!!
エド様は間違って無いじゃない!!」
そのままヒートアップするジュンコとももえに、呆然としていた明日香が割って入った
「ちょっとジュンコ・ももえ、一旦落ち着い…」
明日香が言い終わる前に、みさとが教室の机をバンッと強く叩いた
「─……前々から言おう言おうって思ってたんだけどさ…」
「みさと…?」
全身に怒りのオーラを纏うみさとにジュンコとももえだけでは無く、教室にいた女子生徒全員が金縛りにあったように動かなくなった
「…アンタ達、顔が良ければ何をしても許されるなんて思って無い?
顔が良ければ、どんな悪さをしても許されんの?」
「そ、そんな訳無いじゃない!!」
「アンタ達は今、そう言ってんのよ!!
アンタ達もう忘れたの?
亮さんがあんな風になったきっかけは、結果的にアイツの自己満足だったじゃない!!」
エドとのデュエルの後から負け続けていた亮が、豹変して『ヘルカイザー』となった姿を思い出したジュンコとももえは黙り込んだ
「いつまでも甘ったれてんじゃないわよ!!
事の善悪くらい、自分でちゃんと分かるようになりな!!
それまではあたしや明日香に話し掛けないで……行くわよ、明日香」
「えっちょっと!?」
明日香の手を引っ張ってみさとは教室を出て行き、ほぼ入れ違いで担当の鮎川が教室に入って来た
「……あら?
何かあったの?」
みさとの剣幕に気圧され、鮎川の質問に答えられる生徒はその場にいなかった
……教室を出て来て中庭まで来たみさとは、明日香の手を離した
「まったく、あなたって人は……」
「悪かったわよ……けど、嘘はついて無いわ
あの2人、前からそんな所あったし」
「…否定はしない」
「それに、あの2人はアンタかあたしの後ろでしか強気になれないじゃない?
けど、世間はそんな甘くは無い……いい加減、あの2人も自立しなきゃいけないのよ」
「言っている事は正しいし、気持ちは分かるけど……何もあんな言い方しなくてもよかったんじゃない?」
「ぅ……わ、わかってはいるんだけど……アンタを巻き込んだのも、悪かったって思ってるし……;」
バツが悪そうに視線をそらすみさとに、明日香は呆れたようなため息をついた
「はぁ…まったく、相変わらず変なところ不器用ね」
[ええ、本当に]
[クリクリ]
明日香の意見に、クィーンとクリボーは頷いた
……その日の夕方、レッド寮の万丈目ルームにジュンコとももえがやって来た
「……で、どうしたのよ?」
「その……今朝はすみませんでした」
「私も、ちょっと言い過ぎたかもって思って……」
「あれから言われた事について考えたんです…みさとさんの言う事は間違って無いって気付いたんです」
「私達、ミーハーになり過ぎてたし……」
しょんぼりして言うジュンコとももえに、静観していた明日香がみさとに視線を向けた
「…そろそろ許してあげても良いんじゃない?」
「そうね……あたしも言い方がキツかった感は拭えないし…まあ良いわ」
みさとの一言でジュンコとももえは、パアッと顔を綻ばせた
それを見た明日香は微笑んで、腰掛けていたソファーから立ち上がる
「明日香さん?」
「お茶でも淹れるわ」
「ぁ、わたくしも手伝いますわ!!」
「それじゃあたし、外国の友達が送ってくれた茶葉持ってくるわね」
…あっという間にその場の空気は壊れ、20分後には女達の笑い声が響く女子会の会場へと姿を変えた
ジュンコとももえの門限ギリギリまで、その女子会は続いた……だが、そんな女子会が次に行われるのは、それなりの時間を置く事になる
「…最近ブルーの奴等、見ねーなぁ」
…始まりは十代の呟きだった
ここ数日の授業も歩く生徒の制服も赤と黄色で、これまであった青がいつの間にか消えていた
「レッド寮もゴタゴタしてたから…気づかなかったっス」
「あのイカれたジョメも見ないしね」
「…「ジョメ」?
万丈目くんの事っスか?」
「そうよ」
「けど、この前まで饅頭って呼んでたのに……」
そう言った翔の目の前で、みさとは露骨に体をガタガタと震えさせ始めた
「だって…だって……」
(ああ、この前のアレがトラウマなんだ……;)
白い服に変わった万丈目とみさとのやり取りを思い出した翔は、そっと遠い目をした
…授業後に集まった十代・翔・剣山・みさと・明日香・ももえ・ジュンコはブルー寮の方へと向かった
「うわっ眩し…ッ!!」
ブルー寮へついた十代達は、突然の眩い光に顔を腕で隠した
「な、何なんスか!?」
「真っ白だドン!!」
目の前のブルー寮は青から、何もかもが白色に変わっていた
「ど、どうなってんのよコレ!?」
「ぅ……うぅ…」
呆然とする十代達の近くの物影に、ボロボロの吹雪が倒れていた
「兄さん!?」
「吹雪さん!!」
十代達は一斉に吹雪に駆け寄り抱き起こした
「兄さん、一体何があったの!?」
「知ってる事があったら教えて!!」
「ま、万丈目くんが……」
「万丈目くん?」
「まさか、コレをやったのはアイツなの!?」
全員が真っ白になったブルー寮を見ていると、入り口から1人祀りあげられている万丈目がニヤリとこちらを見ていた
「…万丈目…くん…?」
「天上院くん、オレを呼ぶときは万丈目サンダー…いや、万丈目ホワイトサンダーと呼んでくれたまえ!!」
《万丈目ホワイトサンダー!!!!
ホワイトサンダー!!!!
ホワイトサンダー!!!!》
呆然と万丈目を呼んだ明日香に、何事も無かったように万丈目が高らかに叫ぶ
周りにいた他の白制服の生徒達が万丈目に続き一斉に叫び、その光景を十代達は呆気に取られた顔で見つめていた
「フフフ…その通り、斎王様からデュエルアカデミアを白く染めておけと命令されし…光の使者なのだ!!」
《ウワァー!!!!
万丈目ホワイトサンダー!!!!》
意味の分からない茶番劇を見ながら、みさとは万丈目の一言に眉をしかめた
(「斎王」…またその名前……)
[エドのボウズも言ってた名前だな]
[十代にカードを見えなくさせたのも、そいつなんだろう?]
[正確には、今のところ一番可能性が高い人物ですね]
みさとと三騎士達が話している間も、十代達と万丈目…ホワイトサンダー達の話は続く
「斎王って、エドのマネージャーじゃないのか?」
「マネージャーとは仮の姿…斎王様こそ、この世を治めるべき御方!!
我ら光の結社の盟主様なのだ!!」
十代の一言に万丈目は浮かされたような返事を叫び、理解出来ない内容に十代達は後ろを向いてヒソヒソ喋り出す
「何言ってんだろう…?」
「意味が分からないザウルス」
「私も」
「わたくしもですわ」
「けど、斎王って奴は怪しいのよね…」
「そうなのか?」
「うん
海馬とも相談したんだけど、前に十代をカードが見えなくしたのはエドだと思ってた
アイツのデッキから邪気を感じたし」
「エド様が!?」
「けど、実際にデュエルしてこの考えは違う事に気付いたのよ
しかもエドは、「斎王の運命を変える」とかなんとか言ってたし…あたしはここ最近起きてる事件の黒幕は斎王だと睨んでるわ」
「けど十代は闇の力を持った三幻魔に勝ったのよ?」
明日香の一言に、みさとはピッと明日香を指さした
「そう、そこが問題なの
闇の力に打ち勝った十代が影響を受けた……つまり、斎王は闇の力じゃない別の何かの力を持ってる」
「その力が、万丈目先輩達をあんなにしたドン?」
「今のところ、そう考える他無いわ」
「何だか良く分かんねぇけど……」
ヒソヒソ話を止めた十代が、万丈目に振り返った
「─おいサンダー、大丈夫かぁ?
保健室の鮎川センセー呼んでこようかー?」
《ダァーッ!!!!》
十代のその真剣な一言にその場の全員が一気に倒れ込み、怒り気味に跳ね起きた万丈目は怒鳴る
「オレは問題ない!!
問題なのは…未だ目覚めていない君達なのだ!!
それを証明してやる…オレのデュエルでな!!」
「確かにそれが手っ取り早いよなぁ…よし、ならオレが「待って十代」
万丈目とデュエルする構えをとろうとした十代を明日香が制した
「明日香?」
「これはオベリスクブルー内部の問題、だから私達が何とかするわ」
「そういう訳だからジョメ、あたしが…「私が相手よ!!」へ…?」
デュエルディスクを構えようとするみさとの前に、明日香が立ってデュエルディスクを取り出した
「ちょっと明日香!!
アンタ、話聞いてたわよね!?
今のコイツ等は危険なのよ!?
…まあ、ジョメのイカれっぷりは今に始まった事じゃないけど」
「ダァーッ!!」
みさとの最後の一言に、万丈目はひっくり返った
「ええ…けど、あなたがジュンコとももえの事をこう言ってたじゃない?
「私達の後ろにいないと強気になれない」って……私もそうなのかもって思ったの」
「え…?」
「…セブンスターズとの闘い、結局私達は十代や伝説のデュエリストのあなたに頼った形で何とか勝てた
みさと…私も、あなたの影に隠れて強気になっているのかもと思ったの」
「…アンタ、そんな風に考えて……」
「考え方を改める良いきっかけになったわ、ありがとうみさと
大丈夫よ、心配しないで」
(何だか、凄く嫌な予感がする…)
いつものように綺麗に笑う明日香に、みさとは不安を拭えずにいた
「私でいいわね?
万丈目くん」
「いいだろう天上院くん…君には是非、光の結社の素晴らしさを体感して欲しいと思っていた…」
……そしてデュエルが終わった後、明日香はフィールドの上で倒れてしまった
「運命は自分で切り開くモノ」…そう強く信じて闘った明日香だが、以前とは大きく変化していた万丈目のデッキと戦術に明日香は敗れた
「明日香!!」
みさとを先頭に、十代や吹雪達が明日香に駆け寄った
「デュエルが始まる前からこの瞬間が来る事は決まっていたのだ…人間の意思ではどうする事も出来ない、それが運命と言うものなのだ!!」
ゆっくりと明日香に歩み寄り、駆け寄った十代達を見下す万丈目
ゆっくり起き上がる明日香だが、その様子がおかしい事に全員がすぐ気づいた
「明日…香…?」
「大丈夫よ」
背を向けたままそう言った明日香はゆっくり、俯かせていた顔を上げた
「私は何物にも変えられない…素晴らしい体験をしたのよ」
明日香の一言に万丈目は口の端を上げ、十代達は戸惑った顔で明日香を見上げる
「─素晴らしい…私も、光の結社の洗礼を受ける事が出来たのね」
「そういうことさ…」
歓喜に満ちた表情のまま、明日香は万丈目と向き合う……明日香が万丈目達 光の結社の手に落ちた瞬間だった
「正位置の運命の輪…カードの意味は…『定められた運命』」
とある部屋で、1人の男が白い椅子に腰掛け白いテーブルにカードを並べていた
そのカードはデュエルモンスターズでは無く、現在も占い等に用いられる15世紀北イタリアから伝わるとされているカード…『タロットカード』
22枚の大アルカナと56枚の小アルカナの計78枚のカードで構成されているカード
大アルカナのカードにはそれぞれ意味があり、そのカードの位置で占いは行われている
この白い部屋にいる男が手にしたのは10番目の大アルカナ『運命の輪』
そのカードの上に被せるように、残ったカードを全てばらまいた
何枚かのカードは床に落ち、何枚かのカードはテーブルの上に残った
男はテーブルに残ったカードを一枚一枚手に取り、確認していった
「5番目の大アルカナ『
男はこの部屋でタロットを用いて何度も様々な占いを行う……だが、ある事を占う度にこの3枚は必ず残ってしまっていた
だがこの日の占いの結果は、いつもと少し変わっていた
2枚のカードに寄り添うように、裏側にされた1枚のカードが残っていた
「このカードが、私の運命に影響を及ぼすというのか…」
男は裏側のカードをそっと裏返すと、1枚の大アルカナがあった
「17番目のカード『
その男は、星のカードを手にとってそっと呟いた
「この星のカードが…私の運命を変える希望になるのか……?」
男の脳裏に、1人の少女が浮かび上がった
(以前エドに勝利したあの娘、何故ここで私は彼女を連想した……?)
カードをそのままに、男は部屋を出て行った
……その男の名は、斎王 琢磨
みさとは世話焼きのわりに不器用です
その不器用さが、今回も大暴れ(?)してくれました
本格始動した光の結社とのデュエル、勿論みさともデュエルさせたいと思っています
……相手はモブキャラになりそうです
最後の1ページのタロットは、ネットで調べました
タロットって、こんなに複雑なんですね