かりんが光の結社を抜けてから数日後、デュエルアカデミアに斎王が入って来るという事件が起きた
光の結社の幹部のような立場にいる万丈目と明日香は、斎王を元ブルー寮だったホワイト寮へ招き入れて光の結社の生徒達を集めた
《斎王様、盟主様!!!!》
大勢のホワイト生達が叫ぶ中、斎王は中心の万丈目と明日香の下へと寄り深く頭を下げ、万丈目と明日香は顔を上げた
「ようこそお越し下さいました…デュエルアカデミアへ」
「力無き私達へ、斎王様のお導きを…」
明日香に答えるように、光の結社の生徒達は腕を高く掲げた
「いいえ…私があなた達を導くのではありません…運命があなた達を導くのです
私は貴方たちと同じ、一生徒
これから皆様と共に学び、光の結社の繁栄を育んでいきましょう…これは、運命なのです」
斎王の演説に光の結社の生徒達は雄叫びをあげ、その声はホワイト寮の外まで響き外から寮を見上げていたエドは、怪しむように眉をひそめた
…エドとは別の場所で、十代達も同じようにホワイト寮を睨みつけていた
「斎王め…転校なんてしてきやがって、何を企んでるドン?」
「白い制服の人達もあんなに増えて…」
剣山に続くように、翔は呟いた
「何にしても、気を付けたほうがいい」
「そうね…これ以上、味方が減るのはごめんだわ」
三沢とみさとの一言に、十代は考えるような視線を寮へと向けた
……その日の夕方、万丈目ルームでみさとは海馬へアカデミアの現状報告書を送った…今回のタイトルは『光の結社の現状』
「ふぅ…整理してみたけど、アカデミアの生徒の7割以上が光の結社に飲み込まれちゃったわね…」
[残りの面子で主力になる奴といったら…]
[お嬢を除けば、十代のボウズぐらいしかいねぇな]
[一応、エドくんも状況次第では手を貸してくれるかもしれませんよ?]
[クリクリィ~!!]
周りに浮く三騎士達の傍で、クリボーはバランスボールの上で遊んでいた
「クリちゃん、どうやってんのよそれ…;
…どっちにしても、いつかは斎王達とガチンコしなきゃいけなくなるわ
気合い入れとかないとね」
[[[[ええ/おう/ああ/クリッ!!]]]]
精霊達が揃って頷いたと同時に、バンッと音をたてて十代達が部屋に雪崩れ込んで来た
「「「みさと/さーん/先パーイ!!」」」
そんな十代達に、問答無用でバランスボールが投げ付けられた
「ぶっ!!」
翔は顔面からボールを受け、十代と剣山は反射的にキャッチした
「っと、いきなり危ないだろー!!」
「アンタ達ねぇ……レディの部屋にノックも無しに入って来るんじゃないわよ!!」
「ここ万丈目の部屋じゃんか」
「うるさいっ!!
細かい事にイチイチツッコミ入れんじゃないわよ!!」
「横暴だドン……;」
「……で、どうしたのよ?」
腕を組んだみさとに、十代はズィッと顔を近付けた
「聞いてくれよみさと!!
修学旅行の行き先が決まったんだぜーっ!!」
そんな十代の顔を片手で遠ざけながら、みさとは気だるそうに頬杖をついた
「修学旅行って…光の結社と旅行なんて嫌だから、あたしはパスって言ったじゃないの~」
「そう言うなよーっ!!
聞いて驚け…行き先は、なんとっ!!」
「「「─童実野町なんだぜ/なんスよ/ザウルス!!」」」
十代・翔・剣山の声が揃い、みさとや三騎士達とクリボーはポカンとなった
《……は/クリ?》
「童実野町と言えば、デュエルの聖地!!」
「デュエリストなら誰もが憧れる町だドン!!」
「な!?
行きたくなっただろ!?
これを逃すのは損だぜー!!」
[……猛烈なハイテンションですね;]
舞い上がる十代達に、クィーンは引いたように頬を引き攣らせた
「「「みさと/さん/先輩、さあ一緒に!!」」」
「─…アンタ等ねぇ……」
「「「へ?」」」
ズゴゴゴゴ……と、不気味なオーラを纏うみさとに十代達はギョッとして固まった
「……修学旅行の行き先が、童実野町…?
よりにもよって、あたしの地元……?
そこに今のアカデミアの生徒達を連れてくって言う訳……?
…あの、イカれた光の結社を……?」
「ぁ、いや……そ、それはその……;」
「せ、先輩落ち着くザウルス…!!」
「……何て事してくれたのよ、このドアホーっ!!」
勢い良く十代を押し倒したみさとは、そのまま両足を掴みブンブンブンブンッと猛スピードでジャイアント・スイングを始めた
「うわあぁぁぁぁぁ~!!」
「「ア、アニキー!!」」
「先輩、どこにそんな力が有ったドン!?」
「ツッコむ所はそこじゃないよ剣山くん!!」
……怒り狂ったみさとの暴走は、夜遅くまで続いた
……そして修学旅行 当日、アカデミアの生徒達は童実野町へやって来た
「おぉ~!!
来たぜ、童実野町!!」
十代は船から降りると童実野埠頭を見渡し、その後ろでは翔達も辺りを見渡してはしゃぎ出す
「あーあー……それではこれからの予定を言うのでアール」
メガホンで機械声を出すナポレオンを斎王が遮った
「私はこれから大事な用事がある、別行動とさせてもらおう」
「…ちょっと待ちな斎王!!」
そのまま去っていく斎王に、仁王立ちしたみさとは叫んだ
「みさと、斎王様に何て無礼な…!!」
怒鳴る万丈目を無視し、みさとは視線を向ける斎王と睨み合う
「…アンタ、この町で何をするつもり?」
「私は運命の導きに従うのみです」
「運命、ねぇ……一言だけ言わせて貰うわ
……もし、あたしの故郷で何か仕出かしたら…アンタ、問答無用で徹底的に潰すわよ」
「いい加減にしなさい、みさと!!
斎王様への無礼は、私達が「じゃかましいっ!!」
明日香の怒声は、みさとの怒声でかき消された
「お止めなさい
……肝に命じておきますよ」
言うが早いと斎王は別の方へと歩き出し、光の結社もぞろぞろと斎王の後を追って歩んでいき……残ったのは、十代達だけとなった
「……彼らの面倒を見たってしょうがないノーネ
今日1日、自由行動とするノーネ」
クロノスとナポレオンは十代達を置いて、別の道を行ってしまった
「職務放棄で海馬にチクっとくわよー!!」
みさとの一言に、クロノスとナポレオンはビクッとなりながら去って行った
「全くどうなっているんだ、光の結社とやらは」
「ま、今に始まったことじゃないドン」
「そーそ
オレ、行きたい所あるし
自由行動大歓迎だぜ」
「まあ確かに…知り尽くしてる故郷であれこれ指示されるのは、何か癪だわ」
「なら僕が案内するッス」
「いや、オレが案内するドン」
翔と剣山のアニキ独占戦が本格的に始まる前に、十代が割って入った
「や…やっぱここは1番詳しい、みさとにガイドしてもらったほうがよくないか?」
「へ?
あたし?」
[十代くん…うるうると涙を溜めて、まるで小動物みたいな顔ですね…;]
[よっぽどお嬢にガイドして欲しいんだな]
[まあ、確かにここはみさとちゃんの故郷ですしね…]
[つーか、アイツ等のケンカに付き合わされるのが嫌なだけなんじゃねぇか?]
[[あ~…]]
「……はぁ、分かったわよ
どこに行きたいの?」
「よっしゃーっ!!」
大はしゃぎする十代に呆れるみさとを見て、翔は思い出したように言った
「そういえばみさとさん、よく来る気になったっスよね?」
「散々「面倒だから嫌だ」って言ってたのに…」
「当たり前でしょー!?
ここはあたしの故郷よ!?
そこにあの頭のイカれた光の結社が行って、童実野町まで光の結社で溢れさせる訳にはいかないわ!!
もし連中がそうするつもりなら……いっそ、燒でも入れてやろうかしらね?
おーっほっほっほっほっ!!」
どこかハイになって高笑いするみさとに、翔と剣山は怯えた
「…まあ、何も無いなら里帰り気分でいるわよ」
そこに、バタバタと足音をたてて1人の女子が走って来た
「─お姉様ァーっ!!」
「あ、かりんちゃんっス」
光の結社の服を捨て、元のブルーの制服姿のかりんがみさとを目掛けて突進していく
「お姉様 お姉様!!
わたしもご一緒させて下さい!!」
「だから、お姉様は止めいって言ったでしょーっ!?」
「じゃあ……女王様?」
「もっと悪くなってるわよ!?
アンタ、あたしをバカにしてんの!?」
「まあまあ…先輩、落ち着くザウルス…;」
剣山に宥められて落ち着いたみさとは、かりんに視線を向けた
「…で、何であたし達と?
アンタ、友達は?」
「友達は皆、光の結社にいるんです
だからわたし、今は1人ぼっちで……」
「そっか、お前も大変だな…なぁみさと、かりんも連れてってやろうぜ」
「まあ、置いてって迷子になられるよりは良いけど…」
「ありがとうございます!!
それで、まずはどこから回られるんですか?」
「って言ってるけど十代、アンタ何が見たいのよ?」
「やっぱまずはあそこだろ!!」
「ぇ……」
十代が無邪気に指差した方向に、みさとは頬を引き攣らせた
「─ここは武藤 遊戯さんと、ライバルであり仲間でもある城之内 克也さんが死闘を繰り広げた場所っス!!」
「2人が何で闘ったのかは詳しく知らされて無いけど、熱い闘いだったに違い無いドン!!」
「素敵!!
ここであのお2人がデュエルを……!!」
「見てみたかったぜ!!
きっと最高なデュエルだったんだろうなーっ!!」
「─……そんなんじゃないわよ」
埠頭の一角ではしゃぐ十代達の後ろで、みさとは暗い顔をして近くの壁にもたれていた
「みさと…?」
「どうしたんスか…?」
「お姉様、ご気分でも悪いのですか?」
「そんなんじゃないわ……ここは、あたしにとって嫌な思い出しか無い場所なのよ
自分の無力さを、嫌になる程痛感した場所だからね……」
[みさとちゃん……]
暗い顔のまま話すみさとに、三騎士達とクリボーは悲しそうに控えていた
「……なんてねっ!!
ゴメン、空気悪くしちゃったわね
そろそろ次に行きましょ!!」
わざとらしく無邪気に歩くみさとに、十代達は首を傾げながら後を追い掛けた
「……ここが遊戯兄ちゃん達の行き付けだった、バーガー店よ」
「へぇーっ!!」
十代達が次に来た1軒のバーガー店で、お昼をとっていた
「昔、ここであたしの従姉妹の杏子姉ちゃんが童実野高校では禁止されてるバイトをしててね、そこで強盗があったのよ
その時、杏子姉ちゃんが人質に取られてそこを遊戯兄ちゃんが助けたんだって」
「きゃーっ!!
お姉様、それでそれで!?」
「多分、そこで杏子姉ちゃんが遊戯兄ちゃんを意識する切っ掛けはそこだったんじゃないかなーってあたしは思うわけよ」
「素敵ー!!」
……話はいつしかガールズトークになり、十代達は置いてけぼりをくらっていた
「……着いたわ、ここよ」
「「「「おぉーっ/わぁーっ!!」」」」
目の前のゲーム屋に、十代達は歓声をあげた
「ここが遊戯さんの家か!!」
「そうよ
小さいけど、結構種類が豊富なんだから」
話していると、家の中から1人の老人が出て来た
「─遊戯……!!」
「へ…?」
「双六おじいちゃん!!」
「…ん?
おぉ、みさとちゃんじゃないか!!」
老人の方に駆け寄ったみさとに、十代達は連れられるように続いた
「帰っとったのか!!」
「修学旅行でね
何でか、ここが行き先になっちゃったの」
「そうかぃ……で、此方さん達は友達かい?」
「うん
アカデミアで出来た新しい仲間よ」
視線を送ったみさとに、十代達は次々と双六に挨拶し始めた
「オレ、遊城 十代っていいます!!」
「僕、丸藤 翔っス!!」
「ティラノ 剣山だドン!!」
「わたし、みさとお姉様の弟子になった二階堂 かりんといいますぅ~」
「アンタねぇ……;」
かりんの自己紹介に、みさとはゲンナリとしていた
「ほっほっほっ、可愛い娘じゃのぅ…」
「おじいちゃん、鼻の下伸びてる…;
ところで、遊戯兄ちゃんは中に……?」
「遊戯は今、旅に出ておってのう……今どこにいるのやら」
双六は虚ろな瞳で空を見上げた
「そっか…まあ、遊戯兄ちゃんなら大丈夫でしょ」
「そうじゃのぅ…遊戯は今は居ないが、ゆっくりしていってくれ」
「はい!!」
双六に招かれ、十代達は遊戯の家の中へ入って行った
「スゲー!!」
店の中のケースの中には、何種類もの珍しいカードが多彩に置いてあった
「そういえばこの前、カードの絵が消える不思議な現象を見てのう
あの時はビックリしたもんじゃ」
「ああ……三幻魔の一件ね」
「知っとるのかい?」
「うん
その事件はアカデミアで起きてたからね
闇のデュエルなら、あたしが出ない訳にはいかないでしょ?」
「じゃが、のぅ……」
言葉を濁す双六を見て察したみさとは、声を小さくして双六と話した
「…あの一件で、あたしは腕の件を乗り越えられそうだから大丈夫
心配してくれてありがと」
「…そうかい、それは良かった」
心底嬉しそうに笑う双六に、十代達は首を傾げた
「なぁ、聞いてんの?」
「ん?
おぉスマンの……で、何じゃったかの?」
「だからその事件なら、こちらのいるオレのアニキがデュエルで解決したドン」
「見てないクセに……」
「翔くん、アンタねぇ……;」
拗ねたような口調の翔に、みさとと周りにいた三騎士達とクリボーは苦笑した
「おぉ……お前さんが…!!」
双六はお礼にと町の案内を買って出て、双六を先頭に十代達は外に出た
…双六が最初に十代達を連れて来たのは、町の広場だった
「ここで、あの伝説となったバトルシティが開催されたのじゃ」
「確かあの時は、遊戯兄ちゃんとレアハンターがデュエルしてたんだったよね」
「そうじゃ」
「バトル・シティにはお姉様も出場なされていらっしゃったんですよね?」
「そうだけど…あたしはその時、相手を探してる途中でデュエルは見て無いわよ」
「そうなのか?」
「そうよ
遊戯兄ちゃんはエクゾディア相手に、見事な逆転勝利だったらしいわよ」
「「「「へぇ~!!」」」」
十代達は感激して目に光景を焼き付けていた
…次に連れて来られたのは、とある川原だった
「ここでは、遊戯がマリクの操る『オシリスの天空竜』と闘ったんじゃ」
「遊戯兄ちゃんは、オシリスの効果を活かす布陣を逆手に取って勝ったのよね
んで、遊戯兄ちゃんは見事にオシリスをゲットしたって訳よ
ちなみに名前は引き継がれてアカデミアの寮にも入っているのよね」
「そういえば、何でアカデミアではオシリスが1番下ザウルス?」
「さあ?
海馬の嫌がらせじゃない?」
「……そんな事言えるの、みさとさんだけっスよ;」
平然と言ってのけるみさとに、翔はやんわりとツッコんだ
「オレも見たかったぜ、そのデュエル!!」
「まだまだ、遊戯の闘った場所はいっぱいあるぞ」
「よーし、次行くぜ!!
次ー!!」
十代は興奮しながら、先へ先へと突っ走って行く
……暫くして、十代達はある異変に気づいた
「あれ?
─じーちゃん、どこ行ったんだ?」
「そういえば……」
十代とかりんに言われて、その場の全員が周りを見渡した
「しまったぁーっ!!
双六おじいちゃんは、拐われ易い体質なのスッカリ忘れてたーっ!!」
「どんな体質っスか!?」
頭を抱えて嘆くみさとに、翔のツッコミが入った
「おじいちゃんは事有るたびに誰かに拐われるのよ~」
「そうなんですか!?」
「そうなの!!
しかも今、この町には光の結社がいるっていうのに……あぁーっ!!
あたしのミスだーっ!!」
「お、落ち着けよみさと
皆で手分けして探そうぜ」
「うん」
全員が散らばり、双六を探し始めた
……1人になって探すみさとは、激しく息切れしていた
「ハァ…ハァ…ハァ……!!
ダメ…全然見つからない…!!」
[あのじいさんの行きそうな場所は、全部探したってのに……]
[こうまで見つからないとなると……]
[やっぱ、光の結社の仕業か……?]
「ハァ……ハァ……そうかもね……アイツ等、言ったそばから……!!」
「みさと!!」
激しく息切れするみさとの後ろから、十代走って来た
「じーちゃん居たか!?」
「ダメ……心当たりは全部探したけど、どこにもいないわ……」
「どこ行っちまったんだろうなー……ん?
何だあの空?」
「へ?」
空を見上げると薄黒い雲が童実野町を覆い尽くし、太陽が陰って辺りはドンドン暗くなる
[[クリクリ~]]
「ハネクリボー?
どうした?」
ハネクリボーとクリボーが暗い顔で飛び出した
「クリちゃん?
何があったの……?」
[お嬢・十代
ビルの向こうに、精霊がいるぞ]
みさとの後ろにいたキングが指差す方のビル付近の空を見ると、青い巨体の精霊が十代達を睨みつけている
[こっちもだ]
[此方もです]
ジャックやクィーンの見る方にも、強張った表情で精霊が童実野町を囲んで支配していた
[これは…誰かが結界をはったようだな]
[合計5体の精霊が張った結界だな]
「どうなってんのよ……」
尋常では無い空を見上げ、みさとは困惑気味に呟いた
……奇妙な空と結界を後回しにして、十代とみさとは双六を探し始めた
隅々まで探してゴミ捨て場を横切ると、黒いゴミ袋の上に1つの人影があった
「「─じ、じーちゃん/おじいちゃん!!」」
倒れていた双六を揺すると、双六はゆっくり起き上がる
「わしは……何を……」
「それはこっちが聞きたいよ」
「もー…本当に毎度の事ながら、拐われるの上手いよねおじいちゃん…;」
呆れたような声を出す十代とみさとの横で、双六は頭を掻いた
「うーん…誰かに襲われてビリビリっとやられたような……あれ?
バンダナが無い!!」
頭に巻いていたバンダナを探す双六を見ていた十代とみさとの後ろから、聞き覚えのある声がした
「─十代・みさと」
「エド!!」
「アンタ、1人なの?」
「ああ
光の結社の連中と仲良くは出来ないからな」
「そこは同感……双六おじいちゃん、この生意気なのはエドっていうの」
「ほお!!
君も「お年寄りの長話は後だ
十代・みさと、お前達は何か感じないか?」
「え…?」
双六を遮り、エドは空を見上げた
「僕にはぼんやりとだが、この町の周りにとてつもない圧迫感を生み出している巨大な影が見える」
[コイツ、精霊が見えてるのか?]
[それは無いと思いますけど…何かしらの気配を感じ取ってはいるようですね…]
「お前達とのデュエルの後、たまに変なものが見えるんだ」
「そ、それじゃあお前にも精霊が……?」
「可能性が無い訳じゃないわ
何かのきっかけで、ある日いきなり見えるようになったりもするんだもの…あたしもそうだし」
「何の話だ、くだらん……それよりアレを見ろ」
エドの目線は、近くの大きなビルの屋上のソリッドヴィジョンに見覚えのあるモンスターが映っていた
「アレ、『ダーク・ティラノ』か!?」
「まさか、剣山くん達がデュエルしてるんじゃ…!?」
「この不思議な感覚と関係あるのかもしれない、行くぞ」
踵を返し、エドはビルの方へ走って行く
「お、おいエド!!
一応、オレ達は先輩だぞーっ!!」
「言うだけ無駄よ、アイツはああいう性格だからね」
[[[[確かに/クリクリ]]]]
十代の文句を宥めたみさとの周りで、三騎士達とクリボーが頷いた
「わしのバンダナ~!!」
「はいはい、それは後で探してあげるから!!」
……ビルへ行く途中、横断歩道の向こうに1人の男が腕を組んで信号に寄りかかっていた
「来たな、遊城 十代にエド・フェニックス
─そして
名前に反応した3人は、立ち止まって身構えた
(
呼ばれた名前に反応するみさとの後ろで、三騎士達は真剣な顔で頷きあっていた
「誰だ、お前…」
「─オレは美寿知様の支配下、六帝の一人 氷丸」
「六帝…?」
「美寿知……斎王の妹、斎王 美寿知の事か!?」
「妹!?」
「そんなのいたの?」
氷丸の一言に反応したエドの一言に、十代とみさとはギョッとしてエドを見た
「探し物なんだろ?
お前達の探しているゴミ共は、オレが預かった」
氷丸がそう言った途端に、童実野町に季節外れの粉雪が降り始める
「まさか…っ!!
翔と剣山とかりん……!?」
「って事は、間に合わなかったのね……」
十代は驚きに青ざめ、みさとは苛立ちながら氷丸を睨み付けた
「フフ……フッハハハハハ!!」
粉雪は次第に吹雪に変わり、氷丸は吹雪の中に姿を消して行った
[…この結界、さっきの奴等の仕業みたいだな]
[精霊の力をどうやって使ったかは置いとくとして…この環境は、却って好都合じゃねぇか?]
[それは確かに、そうですが……私は、みさとちゃん達を危険に晒すような真似は……]
[正直今のみさとじゃ実力はともかく、あの妙な力を使う斎王とかいう奴には勝てねぇ]
[ああ……奴等が何を考えてるかは知らねぇが、こっちもこの事態を利用してお嬢の中の力を目覚めさせてやろうぜ]
……氷丸が消えた場所を探す十代達の後ろで、三騎士達はそんな会話をしていた
修学旅行編、スタートです
この回では、あの双六が出てくるのが良いと思います
そして、以前影丸が言ったみさと自身も知らない謎の力