童実野町のホテルの一室で、斎王は机に列べたタロットカードを見つめていた
「─第17の大アルカナ『
斎王はそのまま、机の上のタロットカードと向かい合い続けた
…一方十代達は、双六とみさとの案内で海馬ランドへ向かっていた
「…おーいみさと、歩くの早すぎだぞー?」
「アンタ達こそ何ちんたらしてんのよ!?
さっさと行って、あの美寿知とか言う女をシバき倒して帰るわよ!!」
「随分機嫌が悪いね、みさとちゃん…」
「どうしたんだ?」
「アイツの事だ、どうせ下らない事だろう」
十代と双六の後ろにいる吹雪と三沢に、エドはそっけ無く返した
「本当にどうしたんだよみさと?
こんな感じの時のお前、何だかんだで1番頼りになるってのに…」
「…十代、アンタがホワイトの連中の所に行ってた間、あたしがどこに行ってたか忘れた…?」
「え?
確か、KCの海馬社長に会いに行って居なかったから帰って来たんだろ?」
「そうよ…けど、いくら居ないからってアイツがここまでの事をさせる訳が無いわ…」
「どういう事だ?」
「─…つまり、海馬社長もグルに近いという事だろ」
首を傾げる十代の後ろで、呆れ果てたようなエドがため息交じりに言い切った
「そうよ……あの野郎、きっと居留守使ってたのよ!!
毎度毎度の事ながら、面倒事をあたしに押し付けて!!
今度会ったら、あの襟足毟り取ってやるぅ…覚えてなさいよォーっ!!」
「燃えてるね、みさとちゃん…;」
「相変わらずじゃのぅ…;」
ゴゴゴゴゴ…ッと1人で燃え上がるみさとを見て、吹雪と双六は引いたような声を出した
(こんな下品な女に、何故僕は勝てないんだ……?)
「何か言った!?」
「いや、何も……」
1人で燃えるみさとに内心悪態をついていたエドは、勢いよく振り返ったみさとから視線をそらした
(地獄耳め……)
…そして十代達は、海馬ランドへやって来た
「あれが海馬ランドじゃ
海馬 瀬人が自らの生涯をかけて創り上げた夢、そして遊戯がいくつもの歴史を創った場所でもある」
三沢に背負われている双六が淡々と語り始めた
「デュエルアカデミア入学試験の時以来だな」
十代は2年前を思い出し懐かしさを身に感じていると、ゾロゾロと不気味な集団が十代達を取り囲んだ
「何だコイツ等は!?」
「また美寿知の刺客のようだな…」
「へぇ、随分手荒な出迎えね……十代・エド、アンタ達は先に行きなさい
ここはあたしが受け持つわ」
自分のデュエルディスクを起動させ、みさとは一歩前に出た
「何言ってんだみさと!!
皆で闘った方が良いじゃんか!!」
「いや、ここはみさとの言う通りにするべきだ」
デュエルディスクを構えようとする十代を、エドは片手で制した
「何でだよ!?」
「お前は一刻も早く人質を取り戻したいんだろう?
なら、ここはみさとに任せて僕達だけでも早く行くべきだ」
「そうそう!!
それに……」
そこで区切ったみさとは、片手をプルプルと振るわせ始めた
「みさと…?」
「…地元を土足で踏み荒らして、こんな大騒ぎまで起こされて……あたしゃ今、猛烈に機嫌が悪いのよ!!
いい加減何かでストレス発散したいのよ、邪魔しないで!!」
「つまり、この人達に八つ当たりする気なんだね……;」
怒鳴り散らすみさとを見て、吹雪はどこか呆れた顔で乾いた笑い声をもらした
[大丈夫ですよ]
スゥ…ッと音を立てて、三騎士達とクリボーがみさとの周りに現れた
「クィーン!!
ジャックにキング、クリボーも!!」
「実体化しているだと!?」
「さっきのあの2人とのデュエルでも、同じ事が起きていたが…」
[ここに入って姿を見せようとしたら、何でか実体化しちまった]
[あの美寿知とか言う奴が、何かの力を使ってんだろうな]
「多分ね…さあ、行きな十代!!」
「分かった!!
気を付けろよみさと!!」
「このあたしを誰だと思ってんのよ!!」
走り出した十代を見送ったみさとは、エドに視線を移した
「何こんな所でボーッと突っ立ってんのよ、アンタも行きなさい!!」
「僕もか!?」
「当たり前でしょー!?
…良い機会だから、パートナーシップってモノを学んどきなさい」
「それがアイツで学べるといいがな」
十代の後を追って行ったエドを見送ったみさとの隣に、デュエルディスクを起動させた三沢と吹雪が並んだ
「数は全部で7人か…」
「あたしが中央の3人をやるわ、アンタ達はそれぞれ2人ずつ倒して」
「大丈夫かい?」
「問題無いわ……おじいちゃんは下がってて」
「わ、分かった」
双六が後ろに下がるのを確認した3人は頷き合った
「全員のライフは4000、フィールド全体に及ぶ効果は相手全員に及ぶわ」
全員が頷くのを確認したみさとは、半歩前に出て大声をあげた
「さぁて……かかって来なさい、ザコ共!!」
《─
海馬ランド内で、みさと・三沢・吹雪がそれぞれデュエルを始めた
みさと LP 4000
美寿知の手下 A LP 4000
美寿知の手下 B LP 4000
美寿知の手下 C LP 4000
「あたしから行くわ、ドロー
あたしは『連弾の魔術師』を攻撃表示で召喚」
みさとのフィールドに紫のローブを纏い、両手に杖を持った魔術師が現れた
連弾の魔術師
☆4 闇属性 魔法使い族 ATK 1600 DEF 1200
「─更に永続魔法『未来融合 ―フューチャー・フュージョン』を発動
自分のエクストラデッキから融合モンスター1体を選択し、その融合モンスターの素材モンスターをデッキから墓地へ送る
発動後2回目のあたしのスタンバイフェイズに、選択した融合モンスターをあたしのフィールドに特殊召喚する
あたしはエクストラデッキから『アルカナ ナイトジョーカー』を選択し、デッキから素材の三騎士を墓地へ送る
カードを1枚伏せて…一先ずこれでターンを終了するわ」
「ぼ、僕のターン…ドロー!!」
内向的な雰囲気の男は怯えでフラつきながらもデッキからカードを引いて、手札のカードを発動させた
「─フィールド魔法『聖域の歌声』を発動
このフィールド魔法が有る限り、守備表示モンスターの守備力は500ポイントアップする
─次に永続魔法『波動キャノン』を発動」
美寿知の手下の1人のフィールドに、大きな大砲が現れた
「フィールド上に有るこのカードを自分のメインフェイズに墓地へ送る事で、このカードが発動後に経過した自分のスタンバイフェイズの数×1000ポイントのダメージを与える
そして、『イースター島のモアイ』を守備表示で召喚」
美寿知の手下の1人のフィールドに、大きなモアイ像が現れた
イースター島のモアイ
☆4 地属性 岩石族 ATK 1100 DEF 1400
[みさとちゃん、このパターンは…]
(……相手の攻撃を封じつつ、効果ダメージで確実に相手のライフを削るロックバーンデッキか
っていうか…あのカードデッキに入れる人、本当にいるんだ…)
傍に控えるクィーンに答えながら、みさとは相手の次の出方を伺った
「─装備魔法『明鏡止水の心』を、イースター島のモアイに装備
このカードを装備している限り、装備モンスターは戦闘及び装備モンスターを対象とした効果では破壊されない
僕はこれでターンエンド」
「次はオレだ、ドロー!!
─オレは永続魔法『平和の使者』を発動
この永続魔法がフィールドに有る限り、攻撃力 1500以上のモンスターは攻撃出来ない
更に『ミドル・シールド・ガードナー』を守備表示で召喚!!」
美寿知の手下の1人のフィールドに、盾を持った戦士が現れた
ミドル・シールド・ガードナー
☆4 地属性 戦士族 ATK 100 DEF 1800
「─装備魔法 明鏡止水の心を、ミドル・シールド・ガードナーに装備
更に永続魔法 波動キャノンを発動して、ターンエンドだ」
「へ……?」
[同じ、やり方か……?]
[クリィ~?]
同じ戦法に、みさとはジャックとクリボーと一緒になってキョトンとなった
「ボクのターン、ドロー!!
─ボクは永続魔法『レベル制限B地区』を発動
フィールド上の全てのレベル4以上のモンスターは、守備表示になる
キミの連弾の魔術師を守備表示に変更させてもらう」
レベル制限B地区から出た光線を浴びた連弾の魔術師は、守りの体勢に変わった
「更にボクは『ニュードリュア』を守備表示で召喚」
美寿知の手下の1人のフィールドに、不気味なアンデットが現れた
ニュードリュア
☆4 闇属性 悪魔族 ATK 1200 DEF 800
「─装備魔法 明鏡止水の心をニュードリュアに装備
そして永続魔法 波動キャノンを発動させてターンエンド」
「お前もかっ!!」
[ヘッ、何とかの一つ覚えってヤツだな]
我慢出来ずにツッコんだみさとの傍で、キングは呆れたように吐き捨てた
「ったく…あたしのターン!!」
デッキからカードを引いたみさとは手札を見つめた
「(とは言っても、今のあたしの手札は3枚
ここで何とかしないと次のあたしのターンが回って来るまで、最低3000のダメージを喰らう事になる……ここは)
─魔法カード『強欲な壺』、デッキからカードを2枚ドロー
そして連弾の魔術師の効果、このカードがフィールドにいる限りあたしが通常魔法を使う度に相手に400のダメージを与える
喰らっときなさい!!」
連弾の魔術師の杖から放たれた魔力球が、美寿知の手下の1人を直撃した
「うわぁっ!!」
美寿知の手下 A LP 4000→3600
「─更に『天使の施し』を発動、デッキからカードを3枚引いて手札を2枚墓地に送る
んで、連弾の魔術師の効果
もう1回喰らっときなさい!!」
2枚のモンスターカードを墓地に送ったみさとの前にいる連弾の魔術師は、再び杖から魔力球を放った
「うわぁッ」
美寿知の手下 A LP 3600→3200
「(まあ、この状況をどうにかする方法は色々あるけど、コレが手っ取り早いわね)
─速攻魔法『魔法効果の矢』を発動
相手フィールド上の表側表示の魔法カードを全て破壊し、破壊したカードの数×500のダメージを相手に与える!!」
「「「何っ!?」」」
「おおっ!!
上手いぞみさとちゃん!!」
発動されたカードの効果に美寿知の手下達は怯み、後ろにいた双六は興奮したように叫んだ
「アンタ達のフィールドの表側表示の魔法カードは、それぞれ3枚……よって1500ずつダメージを受けて貰うわ!!」
カードから放たれた矢が、美寿知の手下達の全ての魔法カードを貫いた
「「「ぐわあああーっ!!」」」
美寿知の手下 A LP 3200→1700
美寿知の手下 B LP 4000→2500
美寿知の手下 C LP 4000→2500
「くっ…」
「何て奴だ……」
「これが伝説のデュエリスト…」
「あのねぇ~…そんな隙だらけなデュエルするそっちが悪いんでしょうが、ったく…さーて、ここからが本番よ!!
覚悟しな!!」
尻込みする美寿知の手下達を見ながら、みさとは手札を引き抜いた
「このモンスターは、自分の墓地の光属性モンスターが5体以上の時のみ特殊召喚出来る!!
『ライトレイ ギア・フリード』!!」
みさとのフィールドに出た光が爆発し、光の中から屈強な戦士が現れた
ライトレイ ギア・フリード
☆8 光属性 戦士族 ATK 2800 DEF 2200
「まだよ、同じ召喚条件のコイツも特殊召喚!!
『ライトレイ ディアボロス』!!」
ライトレイ ギア・フリードの隣に出た光が爆発し、1頭の光のドラゴンが現れた
ライトレイ ディアボロス
☆7 光属性 ドラゴン族 ATK 2800 DEF 1000
「おおーっ!!
攻撃力 2800を2体も並べおった!!
流石はみさとちゃんじゃ!!」
興奮する双六の声を聞きながらも、みさとは手を休めなかった
「─魔法カード『死者蘇生』、墓地のモンスターを復活させる
─優しき光が 全ての闇を振り払う 純粋な想いよ その翼に宿れ!!
眩け、『ホーリー・ナイト・ドラゴン』!!」
みさとのデュエルディスクの墓地から出た光が空へ向かい、やがてドラゴンの形になってフィールドに降り立った
ホーリー・ナイト・ドラゴン
☆7 光属性 ドラゴン族 ATK 2500 DEF 2300
「連弾の魔術師の効果、まだまだ喰らいなさい!!」
光る魔力球が、美寿知の手下の1人にぶつけられた
「うわあぁっ!!」
美寿知の手下 A LP 1700→1300
「どんどん行くわよォ!!
─リバース発動、永続罠『正統なる血統』
墓地の通常モンスター1体を特殊召喚する、あたしは『ジャックス・ナイト』を特殊召喚!!」
ジャックス・ナイト
☆5 光属性 戦士族 ATK 1900 DEF 1000
[…なぁ、少しイジメ過ぎじゃないか?]
(いいのよ、これくらいはやらないとストレス発散にならないんだから!!)
フィールドに出たジャックの声に、みさとは精霊にしか聞こえない程度の声で答えた
「モンスターが……」
「たった1ターンで、4体も…!?」
「ば、バカな…!!」
怯え出す美寿知の手下達を見ながら、みさとはニヤリと笑いながらデュエルを続けた
「─装備魔法『ビックバン・シュート』をディアボロスに装備
装備モンスターの攻撃力を400アップさせる
更に装備モンスターが守備表示のモンスターを攻撃した時、貫通ダメージを与えられる」
ライトレイ ディアボロスが、赤いオーラを纏ってパワーアップした
ライトレイ ディアボロス ATK2800→3200
「…どうやら勝負は着いたようね
けど、あたしの地元を荒らした罪は重いわよ!!
連弾の魔術師を攻撃表示に変更して、ニュードリュアを攻撃!!」
体勢を変えた連弾の魔術師の魔法を受けたニュードリュアは、あっという間に破壊された
「ぐっ…ニュードリュアの効果!!
このカードを破壊したモンスターを破壊する!!」
破壊されたニュードリュアの怨念が連弾の魔術師を包み込んで、一緒になって消えていく
「けど、あたしの攻撃は終わらないわ!!
ジャック、ミドル・シールド・ガードナーを攻撃!!
─ジャックス・セイバー・クラッシュ!!」
[はああああっ!!]
気合いの掛け声と共に、ジャックはミドル・シールド・ガードナーを盾ごと斬り裂いた
「まずは丸裸のアンタ達よ
ライトレイ ギア・フリード
ホーリー・ナイト・ドラゴンで、アンタ達にダイレクトアタック!!
─光芒一閃!!
─ホーリー・フレイム・ブレス!!」
「「ぐわあああーっ!!」」
2体のモンスター達の攻撃を受けた美寿知の手下2人は、一緒に吹っ飛ばされた
美寿知の手下 B LP 2500→0
美寿知の手下 C LP 2500→0
「お前等…ッ!!」
「さぁて、残りはアンタね
ライトレイ ディアボロスで守備表示のイースター島のモアイを攻撃して、ビックバン・シュートの効果で貫通ダメージよ!!
─イノセント・ストリーム!!」
ライトレイ ディアボロスの放った光のブレスが、イースター島のモアイを粉々に破壊した
「ぐあああーっ!!」
美寿知の手下 A LP 1300→0
「…あーっ、スッキリした!!
ここんとこ、ずっとストレス溜まってたのよね~!!」
晴れやかな笑顔で伸びをするみさとの後ろでは、吹雪と三沢のデュエルが大詰めを迎えていた
「『不屈闘士 レイレイ』でダイレクトアタック!!」
「『リトマスの死の剣士』で『モリンフェン』を攻撃!!」
相手のライフが0になるのを確認した吹雪と三沢は、デュエルディスクをそっと下ろした
「お疲れ、そっちも終わったみたいね」
「みさとちゃんもお疲れさま」
「だが、コイツ等は何だったんだ…?」
「さぁ…?」
「─やはりこの程度ではどうにもならないか」
いつの間にかみさと達の後ろにいた巫女服を着た女 斎王 美寿知は、1人の女を連れていた