この日は、デュエルアカデミアで行われる定期試験の日
既に筆記試験が終わった教室で、2人の男女が注目を浴びていた
「十代アンタねェ!!
遅刻してきた上に寝るとか、どういう神経してんのよ!?」
「だってよぉ、眠かったんだもんよ」
「「だもん」とか言うな!!」
机でだらけている十代を、みさとは両手を腰にあてて説教していた
「まあいいじゃねぇか
終わっちまったもんは、しょうがねぇし
じゃあオレ、昼飯行って来るなーっ!!」
「あっちょっ…コラーッ!!」
足取り軽く、十代は教室を出て行った
「ったく…」
[あのボウズ、肝が据わってんな]
[ある意味大物だな]
(誉める必要無いと思うんだけど?)
「…まったく、そこまで世話を焼かなくてもいいんじゃない?」
頭の中でキングやジャックと会話するみさとの後ろから、明日香がジュンコやももえを連れてやって来た
「ん?
ああ、アンタ達…」
「ホントよ、オシリスレッドを世話するだけ無駄だって」
「そうですわ、時間と労力の無駄ですわ!!」
「アンタ達ねぇ…」
[何もそこまで言わなくても…]
ジュンコとももえの発言に、みさととクィーンは呆れたような眼差しを向けた
「まあいいわ
私達もお昼にしましょう」
「はい、明日香さん」
「お供しますわ」
「はいはい」
肩を竦めて、みさとは明日香達について行った
「……何でこうなってんのよ」
午後からの実技試験、みさとが最初に口にした言葉はこの一言だった
デュエルフィールドで向かい合うのは、オシリスレッドの十代とオベリスクブルーの万丈目だった
[あのクロノスという教師が一枚咬んでいますね]
[みさとを潰すのが出来なかったから、アイツを先に潰す気だろうな]
(でしょうね)
[あの面白そうなボウズと、身の程知らずのボウズの戦いか…見物だぜお嬢?]
(まあ、確かにね…何にしても、クロノスの事は報告書に纏めときましょ)
[[[賛成]]]
そんな会話をしながら、みさとは観客席にいた翔や三沢に近付いた
「はぁい、ここ空いてる?」
「あ、みさとさん」
「君の試験は終わったのか?」
「この後だって…それよりまた面倒事に巻き込まれたわね十代」
「え、どういう事っスか?」
「これ、大方クロノスの悪巧みよ
あの饅頭に十代を潰させる気なの」
「いくらクロノス先生でも、そこまではしないだろう?」
「どうかしらね…」
「っていうか、もう万丈目くんは「饅頭」で定着なんスね…」
「オレの先攻、ドロー!」
[クリクリ~!]
十代がカードを引くと、聞き覚えのある声にカードを確認すると、そこには相棒であるハネクリボーが頼もしそうにウインクしていた
「(ハネクリボーか…相棒、最初っから来てくれるとは心強いぜ)
オレは、『
ターンエンドだぜ」
☆4 地属性 戦士族 ATK 800 DEF 2000
(今、十代の手札にハネクリちゃんが入ったわね)
[アイツがいれば守りは大丈夫だな]
[問題は、あの男がどんな手を使って来るか…ですね]
(そうね…流石にあたしと戦った時とは違うだろうし)
[あの蝋人形がなにかしらの手助けはしてるだろうしな]
「雑魚揃いの駄目ヒーローデッキめ…お前のもろさをみせてやる
オレのターン、ドロー!」
万丈目がカードをドローすると、見覚えのないカードが1枚入っていた
「(いきなりクロノス教諭から貰ったレアカード…)
─オレは魔法カード『打ち出の小槌』を発動!」
十代は聞いたことのないカード名に眉をひそめ、万丈目の行動を見ていた
「打ち出の小槌ってどんなカードっスか?」
「結構強力な手札交換カードよ」
万丈目は4枚のカードをデッキに戻し、シャッフルした
「え?4枚もカードを変えるの?」
翔は万丈目の動向を見て、不思議そうに首を傾げた
「自分の手札からいらないカードを捨て、新たにカードを入れ替えることが出来れば…手札に好きなカードが入る確率が高くなる」
「しかも打ち出の小槌は使い捨てのカードではない
何度もデッキに戻ることにより、何度もオレの手中に入る!」
「何だよそれー」
十代は万丈目の言葉を聞いてげんなりと声を上げた
更に万丈目は、以前みさとを相手に使用したコンボで、『Vータイガー・ジェット』と『Wーウィング・カタパルト』をフィールドに揃えた
Vータイガー・ジェット
☆4 光属性 機械族 ATK 1600 DEF 1800
Wーウィング・カタパルト
☆4 光属性 機械族 ATK 1300 DEF 1500
万丈目は2体のモンスターを融合させ、『
☆6 光属性 機械族 ATK 2000 DEF 2100
「あたしの時に、XYZとVまで出して来たからまさかとは思ってたんだけど…やっぱりか……」
[流石にまずくなってきたぞ]
[みさとちゃん……]
「驚いたか十代!!
だがオレのターンはまだ終わっちゃいない!!
更にオレは
手札を1枚捨て、相手モンスターを攻撃表示に変える!!」
十代の場にいた
「何!?」
十代は驚いたように
「ずるいぞ、攻撃力800のクレイマンが攻撃に回ったら……!!」
「ふははは!!
行くぜ十代!!
クレイマンを粉砕せよ!!」
「うぁああっ…くっ!!」
十代 LP4000→2800
「アニキ~…」
「あっちゃ~」
十代の先制ダメージに、翔が心配そうに声を上げた
「ブラ~ボォ!!
シニョール 万丈目は投入した戦略を確実~に、存分~に、使いこなすーノ!!
(先日のシニョーラ みさとの時のようニーハ、いかなイーノ!!)」
上のデッキから見ていたクロノスは今のバトルを見て感動したように興奮したように窓にすがりつき、食いつくように見ていた
そのクロノスの隣にいた鮫島校長は静かに十代に目を向けていた
「なんの、デュエルはまだ始まったばかりだぜ
行くぞ、オレのターンドロー!!
『
カードを1枚伏せて、ターンエンドだ!!」
☆4 光属性 戦士族 ATK 1600 DEF 1400
十代はそう言ってターンを終了させ、十代の戦い方に翔は心なしか首を傾げた
「あれ?
守備表示なんてアニキらしくない…」
「相手の攻撃力に太刀打ちできるカードが手札に無かったんじゃない?」
「そ、そっか…」
「オレのターンドロー!!
『X-ヘッド・キャノン』を攻撃表示で召喚
更に永続魔法 前線基地の効果により…『Z-メタル・キャタピラー』を特殊召喚!!」
Xーヘッド・キャノン
☆4 光属性 機械族 ATK 1800 DEF 1000
Zーメタル・キャタピラー
☆4 光属性 機械族 ATK 1500 DEF 1300
万丈目の次々と現れるモンスターの名称にことごとくついている英語記号…それを察知して、十代は嫌な汗を流した
「ま、まさか…みさとさんの時と同じ…」
「タイガー・カタパルトの効果で墓地に送ったのは、あのカードか…」
翔達も、十代と同じく危険を察していた
「X・Zと続いているとしたら…まさかあのリバースカードは…!!」
「リバースカード オープン!!
オレはこの『リビングデッドの呼び声』の効果により、自分の墓地からモンスターカードを1体復活させることが出来る
そのモンスターは…『Y-ドラゴン・ヘッド』!!」
「ま、まずい!」
Yードラゴン・ヘッド
☆4 光属性 機械族 ATK 1500 DEF 1600
翔達の近くにいた三沢が声を上げた
「行くぞ、十代!
XYZを合体させ、『
万丈目が高らかに叫ぶと合体したモンスターが1体現れ、万丈目のフィールドに融合モンスターが2体そろう
「攻撃力2000以上のモンスターがフィールド上に2体も…これでもう十代に勝ち目はないか…」
三沢がため息をつくように下を向き翔は何も言えなる、それでも十代から目を離さぬようにしてフィールドを見ていた
(十代…アンタは遊戯兄ちゃんに認められた奴、こんなところで終わる訳ないわよね…)
「まだだ…まだ終わっちゃいない!
オレはこの『
「また~!?」
万丈目の連続融合に、十代は呆れたような声を出した
2体の機械が合体し、万丈目のフィールドに大きな巨大モンスターが現れた
「これがオレの最強モンスター、『
☆8 光属性 機械族 ATK 3000 DEF 2800
「そして
1ターンに1度、相手フィールドのカード1枚を除外する!!」
十代のフィールドにいた
「あぁ~…スパークマンが…」
驚いたような悲しいような声を出す十代を、万丈目は満足そうに十代を見て嘲笑った
「たっぷりと味わうんだなぁ、持たざる者の悲しさを…」
「チョ~キモチイイ~!!
いよいよドロップアウトボーイのドロップするところが見れまスーノ!!」
クロノスはこれ以上ない至福の笑みを浮かべて、万丈目と十代を交互に見ていた
「行け、
プレイヤーにダイレクトアタック!!」
「十代!!」
万丈目の声が響いてみさとは思わず叫び翔が目をつむった時、場の空気を変えるような十代の声が万丈目の言葉をかき消した
「待った!!」
そして十代の足下には、伏せカードが1枚残っていた
「─リバーストラップオ-プン『ヒーロー見参』!!」
十代の場のオープンされたカードを見て、クロノスは目を見開く
「ナニ~!?」
「ヒーロー見参!?」
万丈目は思い切り顔をしかめた
「このカードにより、相手に選ばせたカードがモンスターカードだったらこの場に召喚することが出来る
さぁ選べ、万丈目!」
「万丈目さんだ!!
一番右だ!!」
突きつけるように前に出された手札を見て、万丈目は苦々しく舌打ちをする
万丈目に指示されたカードを見ると、十代はカードを場に出した
「ラッキー!
オレはこのカード、『
☆3 炎属性 戦士族 ATK 1200 DEF 800
「守備表示にはさせん!
バーストレディを攻撃、
十代 LP2800→1000
万丈目のモンスターの効果によって、攻撃表示にされた
「アニキ!」
見ていられない、と言わんばかりに翔が叫んだ
「これでまた丸裸
1体のモンスターも、お前の場にはいやしないぜ」
絶望を与えるように万丈目は十代を嘲笑った
だが、十代はそれでも諦めることなくデッキに指先を置いた
「オレはオレのデッキを信じる…オレと共に最後まで戦ってくれるモンスターがこの中にいる限り、オレは戦い続けるぜ!
ドロー!!」
十代は手に握りしめたカードを見て、目を見開いた
[クリクリ~!]
(ハネクリちゃんが何かをアピールしてる?)
[何か、あったのでしょうか?]
[アイツと相性の良いカードでも引いたか?]
フィールドの十代の隣で一生懸命アピールするハネクリボーに、みさとと騎士達は首を傾げた
「お前がそこまでいうなら、オレはこのカードに賭ける!
オレは『ハネクリボー』を守備表示で召喚!」
十代の前に、ハネクリボーが姿を現した
[クリクリ~!!]
ハネクリボー
☆1 光属性 天使族 ATK 300 DEF 200
《カワイイ~!!!!》
その姿に、女子生徒達は歓喜の声を上げている
ただ1人、ハネクリボーの声を聞いたみさとは十代の賭けたという可能性が、ハネクリボーにあることに気づいた
(ハネクリちゃん……)
[でもそれだけじゃアイツの攻撃は防げないぜ?]
[諦めたのか?]
[確かに…何か策でも有るっていうのなら話は変わってきますけど…]
カードを1枚伏せてターンを終了した十代に、翔は落胆した
「また守備表示だ…アニキ、もう打つ手無しなのかよ~…」
十代の場のハネクリボーが守備表示なのを見て、翔はため息をもらした
翔の近くに来ていた明日香はそれを遮った
「あのハネクリボーには、確か破壊されたターンにどんな攻撃からもプレイヤーを守る効果があったハズよ」
「それじゃ、アニキはまだ諦めていないんだ!」
翔の活気がみなぎってきたところで、みさとは首を横に振った
「…いいえ、アレだけじゃダメよ」
「え?」
翔はみさとの視線が十代から外れていないので、みさとの方を向いていた顔を十代にむき直した
「ハネクリボーは破壊され、墓地に行ったときのみ効果を発動する
けど…」
「オレのターン、ドロー!!」
そして勝ち誇ったかのように笑うと十代を見る
「無駄だぜ、戦闘ダメージを0にするその毛玉野郎がいたところで、
だが、十代はそれを聞いても不敵に笑っていた
「だったら、やってみな」
その十代の態度に、万丈目は怒りを露にして声を荒らげた
「ハネクリボーを蹴散らして十代へダイレクトアタックだ!
─アルティメットデストラクション!!」
「もうダメだ!!」
翔は目を堅く閉じた
「─来たぜ相棒!!」
ハネクリボーが破壊される前に十代が声を上げて叫び、その声に観客は十代へと釘付けになった
「─オレは手札2枚をコストに、速攻魔法『進化する翼』を発動!!」
「なっ…何よそれ!?」
見覚えの無いカードにみさとは動揺し、万丈目は訳がわからないと動揺し始め十代に叫んだ
「どういう事だ!!」
「進化する翼により、ハネクリボーが進化!!
ハネクリボーは今…レベル10!!」
十代の場にいたハネクリボーは、小さな翼を大きな翼へと変え、頼もしげな姿へと変わった
ハネクリボーLv10
☆10 光属性 天使族 ATK 300 DEF 200
「ハネクリボーLv10の効果!!
自分フィールド上に表側表示で存在するこのカードを生け贄に捧げる事で、相手フィールド上の攻撃表示モンスターを全て破壊し、破壊したモンスターの元々の攻撃力の合計分のダメージを相手ライフに与える!!」
「今アイツのフィールドにいるモンスターは攻撃表示の
そしてその攻撃力は3000…」
「つまり、3000ポイントのダメージか!!」
「ハネクリボー!!
全エネルギーをアイツに返してやれ!!」
[クリクリー!!]
ハネクリボーは
「うっ…うあぁああ!!」
万丈目 LP4000→1000
「くっ…ターンエンド」
「アニキ…すごい…」
立って見ていた翔は、あまりの攻防についていけず十代を見ていた
(進化する翼…まったくペガサスってば、とんでもないカード作っちゃったわね…
けど、それ以上にどうやって手に入れたのか知らないけどまさかそれを、この場面で引き当てるなんて…遊城 十代、想像以上に面白い奴)
みさとは面白いと言わんばかりの眼差しで十代を見ていた
「万丈目、これでお互いライフは1000ポイントずつ
でもここでオレが攻撃力1000以上のモンスターを引いたら面白いよなぁ?」
十代はカードをドローする前に、万丈目に向かって叫ぶと、万丈目はイライラとさせたように舌打ちして、十代を睨んだ
「なぁにを戯言を…そう簡単に…」
「でも引いたら面白いよなぁ!
オレのターン!!」
ターンドローを宣言し、デッキからカードを引く十代
それを横目で見て、デュエルディスクにカードをセットした
「オレはこのカード、『
─フェザーブレイク!!」
E・HERO フェザーマン
☆3 風属性 戦士族 ATK 1000 DEF 1000
「うあぁあああ!!!!」
万丈目 LP1000→0
デュエルは十代の逆転勝利で終わった
「やったーっ!!
アニキの勝ちだーっ!!」
「まさかあんなカードが存在するとはな…」
「ええ、アイツには本当に驚かされてばかり…」
十代の勝利に翔ははしゃぎ、三沢と明日香は驚いたように、フィールドを見ていた
(…ハネクリちゃん、嬉しそうだったわね)
[ああ、良いパートナーに会えたみたいだな]
[ふふ、よかったですね]
[お嬢、こんな所にいていいのか?
次はお嬢の番だろう?]
「(っと、そうだった)
じゃあ、次あたしだから行って来るわねー」
「いってらっしゃいっス…って、どっから行ってるんスかーっ!?」
翔達に見送られ、みさとは観客席からフィールドに跳び下りた
「バカな…このオレ様が、ドロップアウトボーイに、負けた…?」
フィールドではオシリスレッドに負けたショックで立ち尽くしている万丈目と、勝利にはしゃぐ十代がいた
「(まあ、あの饅頭は放っておいた方がいいわね)
お疲れ、十代」
「おっみさと!
見ててくれたか!?」
「バッチリ見させてもらったわよ」
[クリクリー!!]
「ふふ、ハネクリちゃんもアンタをスッカリ気に入ったみたいだし、よかったわ」
嬉しそうに体を揺するハネクリボーを見て笑うみさとに、十代は固まった
「みさと、お前…」
「あ…
(マズったかも…)」
「─ハネクリボーが見えんのか!?」
「え?
うん、見えるけど…」
「よかった、オレだけじゃなかったんだな!!
みさとにもお前が見えるってよ、ハネクリボー!!」
[クリクリー!!]
嬉しそうにはしゃぐ十代を、周りは不思議そうに見ていた
「それにしても、まさか
まあ、2連敗もすればアイツも流石に懲りるでしょ……どっかの誰かさんと違って」
「ギクゥッ」
真後ろの観客席にいたクロノスを睨み付けると、クロノスは盛大に体を震わせた
「まあいいわ…十代、ハネクリちゃんの話は今度ゆっくり聞かせてあげるわね」
「おう!!
次はみさとの番なんだろ?
頑張れよ!!」
「任せときなさい…さてと、相手は「私ですわ!!」
聞こえてきた声に2人が振り向くと、デュエルディスクをつけた見覚えのある顔があった
「アイツ、確か明日香とよく一緒にいる……」
「ももえ…?」
「その通りですわ、私が相手です」
「ふーん、自信有るみたいね……手加減しないわよ」
「臨むところですわ!!」
十代と万丈目が下がり、実技試験 最後の試合が始まった
「「─
ももえ LP4000
みさと LP4000
ディスクにランプが灯ったももえがデッキに手をかけた
「私の先攻、ドローですわ!!
キャー!!」
「へ…?」
いきなりの黄色い悲鳴に、全員がももえに注目した
「な、何スか!?」
「デッキに何か問題でもあったのか!?」
「いいえ、違うと思うわ…」
ももえのデッキを知っている明日香は、盛大なため息をついた
「─私は『もけもけ』を守備表示で召喚しますわ」
ポンッという可愛い音を立て、小さな天使が現れた
もけもけ
☆1 光属性 天使族 ATK 300 DEF 100
《キャー!!!!
可愛いー!!!!》
殆どの女子は黄色い悲鳴をあげ、明日香は額を覆い…みさとは男達に混ざって盛大にコケた
「な、ななな…?」
「カードを2枚伏せて、ターンを終了しますわ」
「(もけもけって…
ひょっとして、モンスターは囮で本命はあの伏せカード?)
何にしても、やらないとわからないわね
あたしのターン、ドロー!!」
ドローしたカードを手札に加えたみさとは、1枚のカードに手をかけた
「あたしは『隼の騎士』を攻撃表示で召喚」
みさとのフィールドに、鳥の頭と体を持つ騎士が現れた
隼の騎士
☆3 地属性 戦士族 ATK 1000 DEF 700
「あら、中々可愛らしい!」
「ヲイ…;
─装備魔法『メテオ・ストライク』を隼の騎士に装備」
空から振ってきた隕石が隼の騎士を直撃し、隼の騎士は眩いオーラに包まれた
「このカードを装備したモンスターが守備表示のモンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていた数値だけ、相手に貫通ダメージを与えるわ
行け、隼の騎士でもけもけを攻撃!!」
隼の騎士が手にした剣で、もけもけを斬り裂いた
「きゃあ!!」
「もけもけの守備力は100、隼の騎士の攻撃力は1000
900のダメージを受けてもらうわ」
「うぅ~…」
ももえ LP4000→3100
「リバースカード オープンですわ!!
─永続罠『人海戦術』!!
各ターンのエンドフェイズに、そのターン戦闘によって破壊された自分のLv2以下の通常モンスターの数だけ、デッキからLv2以下の通常モンスターを特殊召喚出来ます」
「何する気か知らないけど、隼の騎士は1ターンに2回攻撃が出来るわ
今度はダイレクトアタックよ!!」
再び剣を構えた隼の騎士が、ももえに向かって行く
「そうはさせませんわよ!!」
「何っ!?」
その声にみさとは緊張に顔を強張らせた
「リバースカード オープン!!
─速攻魔法『スケープ・ゴート』発動ですわ!!
私のフィールドに『羊トークン』を4体特殊召喚しますわ!!」
ポンッという音を立てて、ももえのフィールドに4体の羊が出て来た
羊トークン×4
☆1 地属性 獣族 ATK 0 DEF 0
再び盛大に転んだみさとは、片腕をピクピクさせていた
「こ…このタイミングで発動させても意味無いでしょーがっ!!」
「何を言ってますのみさとさん
私のトークン達が、あなたの隼の騎士の攻撃から守ってくださるじゃないですか?」
「アンタ、さっき何でダメージ喰らったのよ…?」
「え?……あっ!!」
「遅いわァ!!
羊トークン1体を攻撃ィ!!」
隼の騎士の剣が赤い羊トークンを斬り裂いた
「きゃああっ!!」
ももえ LP3100→2100
「貫通ダメージの効果を得た隼の騎士に、守備力0のモンスターで挑んでも…」
「実質、ダイレクトアタックと同じよね」
「はぁ…ターン終了」
「このエンドフェイズに、人海戦術の効果を発動しますわ!
出て来て、『プチリュウ』!!」
ポンッという音を立てて、小さなドラゴンが出て来た
プチリュウ
☆2 風属性 ドラゴン族 ATK 600 DEF 700
「ぁ、そう……;」
呆れ果てたみさとの後ろに、苦笑を隠せない表情のクィーンが出て来た
[みさとちゃん、私達も出ましょうか?]
(いい…アンタ達まで出ちゃったら、完全なイジメになっちゃうし)
[……そうですね]
その会話に、観客席の十代は目を擦った
(今、みさとの後ろにクィーンズ・ナイトがいた……間違いじゃねぇ!!
みさとにも精霊がいるんだ!!)
「私のターン、ドロー
─魔法カード『迷える仔羊』を発動し、私のフィールドに『仔羊トークン』を2体、特殊召喚してターン終了ですわ」
ポォンッという音と共に、2体のトークンがももえのフィールドに現れた
仔羊トークン×2
☆1 地属性 獣族 ATK 0 DEF 0
ドテェッと盛大に転んだみさとは、地面に顔面を打ち付けた
「あれじゃさっきと同じだぞ…」
「あの人になら僕でも勝てるかも…」
「ももえ…」
その余りにもお粗末なタクティクスに、明日香は頭を抱えた
「もォーっ!!
だから意味無いでしょーがァ!!
あたしのターン!!」
苛立った勢いのまま引いたカードを、みさとはデュエルディスクにセットした
「『コマンド・ナイト』を召喚!!」
みさとのフィールドに、赤い鎧に身を包んだ女騎士が現れた
コマンド・ナイト
☆4 炎属性 戦士族 ATK 1200 DEF 1900
「コマンド・ナイトの効果!!
コイツがフィールドにいる限り、自分の戦士族の攻撃力は400アップ!!」
コマンド・ナイト ATK 1200→1600
隼の騎士 ATK 1000→1400
「─装備魔法『ビッグバン・シュート』発動!!
コマンド・ナイトの攻撃力を400上げる!!
更に、守備表示モンスターを攻撃した時、貫通ダメージを与える効果も追加される!!」
コマンド・ナイト ATK 1600→2000
「ひえぇっ!!」
「コマンド・ナイトでプチリュウを攻撃!!」
コマンド・ナイトの一太刀が、プチリュウを真っ二つに斬り捨てた
「きゃあっ!!」
ももえ LP2100→700
「隼の騎士で、羊トークンを攻撃!!」
隼の騎士の剣が、青い羊トークンを斬り裂いた
「きゃあーっ!!」
ももえ LP700→0
デュエルが終わり立体映像が消えていく中、あまりの展開に全員が言葉を発せなかった
「ひ、酷い……みさとさん、酷すぎます!!
あんまりですわー!!」
「そりゃこっちのセリフよ!!
アンタ、プチリュウを生け贄に上級モンスターを召喚出来たでしょ?」
「私のデッキに、4つ星以上のカードはありませんわ」
「じゃあ何で迷える仔羊なんて入れてんのよ!?」
「─だって…可愛いじゃないですか」
「だっはぁ!!
しびびびーん……」
また盛大に転んだみさとは両足をピクピクさせ、やがてゆっくりと起き上がったみさとは不気味に笑い出す
「んふ…んふふ……」
「ぇ、みさとさん…?」
「……こォーなったらあたしがみっちり鍛えてやるわ!!
ももえ、特訓よ!!」
「ええっ!?」
「ジュンコ!!
アンタのデュエルも酷かったからアンタもよ!!」
自分に飛び火したジュンコは、目を見開いた
「え、私もっ!?」
「それから十代・翔くん!!
アンタ達は勉強よ!!
明日香・三沢、手伝ってちょうだい!!」
「うぇっ!?」
「僕達もっスか!?」
「…断ったら、後が怖いな」
「逃げられそうにないわね…」
「4人纏めてキッチリ鍛え上げてやろうじゃないのよ!!
おーっほっほっほっほっほっ!!」
みさとの謎の高笑いに、十代達は本気で怯えだした
「あまりのデュエルの酷さに、みさとさんが壊れたっス!!」
「さあアンタ達、今夜は寝かさないわよォー!!」
「に、逃げろーっ!!」
「「「「うわああああっ/きゃあああああっ!!」」」」
「逃がさないわよ、アンタ達ー!!
おーっほっほっほっほっほっ!!」
逃げ出した4人を、みさとは高笑いをあげながら追い掛け始めた
「完全に壊れたな、彼女…」
「まあ、あんなデュエルをしたらそうなるのも頷けるけど…」
「あの高笑い、怖いっス!!」
「ちょっとももえ!!
アンタのせいよ、どうするのよ!?」
「わ、私に言われましてもー!!」
「とにかく走れーっ!!」
「待ちなさァーい!!
おーっほっほっほっほっ!!」
「「「「うわああああーっ/きゃああああーっ!!」」」」
その日のデュエルアカデミアには、レッドとブルーの生徒達が協力して何かにあたるという、珍しい光景があったとか
ももえのデッキは完全に創作です
可愛いもの好きなももえなら、こんなデッキ組むだろうなという私の考えからきました
そして今回はギャグ、のつもりです