推しのために死に続ける話。   作:三つ首黒虎

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お待たせしました!
オリジナル要素ってなんかちゃんと創作してるなぁって気分になれていいですね!
さてさて、今回はトーナメント1〜2回戦をサラッとお送りします。
あ、ちゃんと大事なところは描写してるので…

それではどうぞ!


20話 ガチバトルトーナメント1

 

 

 プレゼントマイクのルール説明が聞こえた。

 

『ルールは簡単!相手を場外に落とすか、行動不能にする。あとはまいったとかいわせても勝ちのガチンコだ‼︎』

『ケガ上等‼︎こちらとら我らがリカバリーガールが待機してっから‼︎道徳倫理は一旦捨てておけ‼︎』

『だがまぁもちろん命に関わるようなのはクソだぜ‼︎アウト!ヒーローはヴィランを捕まえるために拳を振るうのだ!』

 

 

 [一回戦第一戦、緑谷出久vs心操人使]

 

 心操くんの個性で一時洗脳されるも舞台際で洗脳が解除。最後は緑谷くんが心操くんの言葉に反応せず、個性使わずの戦闘にて緑谷くんが投げ飛ばし心操くん場外。

 

 勝者、緑谷出久。

 

 

 

 [一回戦第二試合、飯田天哉vs発目明]

 

 飯田くんは発目さんの希望で彼女作のサポートアイテム着用。そのアイテム解説付きの鬼ごっこは10分間繰り広げられ、最後は満足した発目さん自己場外による決着。

 

 勝者、飯田天哉。

 

 

 [一回戦第三試合、鬼瓦鬼人vs上鳴電気]

 

 僕はいつものメンツ、葉隠さんと尾白くんと観戦に来ていた。

「鬼人と上鳴くんの試合か……どうなるんだろう」

 

 横から葉隠さんが疑問を投げかけた。

「ねーねー、鬼瓦くんって……どんな個性なの?」

「鬼人の個性は――見た通り、'個性“'鬼」

「鬼……?」

 

「うん、鬼。たしか、邪悪になる代わりに強靭な肉体、膂力を得るって言ってたかな……」

「邪悪――えっと、顔は、ともかくそうは見えないけど――」

「あはは……顔はね……邪悪さは、うん、頑張って抑えてるみたい。それでも戦ってる時ノってくると抑えられなくなるって言ってたけど……」

 

 尾白くんも気になったのか話に混ざってきた。

「強靭な肉体と膂力か……かなりフィジカル面強そうだな」

「うん、かなりの頑丈さと腕力あるよ。攻撃直撃されたってちょっとふらつくくらいだし、逆に攻撃一発受けただけで倒れちゃうから」

 

「あわわ、怖い……」

「やばいか――上鳴……」

 

 

「といっても上鳴くんの個性、帯電もかなり強いと思うけど――」

 

 

「つまり勝負は上鳴の個性が通用するかどうか、か……」

「んー、私たち的にはクラスメイトの上鳴くん応援したいけど……」

「あはは……ぼくは鬼人よりかも、負け越してるし戦いたいな――」

 

 尾白くんが僕に言った。

「まぁ、今の置換なら少しはやれんだろ。な?」

「うん、尾白くんには色々教えてもらってるからね。力だけなら少しは受け流せると思う」

 僕は、それに鬼人もそのことについては知らないしね――と笑いながら呟き舞台に視線を向けた。

 

 

 ♦︎

 

 舞台で向き合う、鬼人と上鳴くんの二人。

 何か言い合っているようだが距離が離れているため聞こえない。

 

 尾白くんが疑問を浮かべた。

「なんか言ってねぇか?」

「もしかしたら、試合前喧嘩してたからそれかも……」

 僕がそう答えると尾白くんは納得したのか上鳴、あんまり気が長くなさそうだもんな……と呟いた。

 

 

 初撃は上鳴くんの放電だった。鬼人に命中したと思ったのも束の間鬼人は一瞬怯むだけで確かな足取りで上鳴に歩いて行く。

 

 上鳴くんの表情が変わった。油断できる相手ではないと思ったのだろう。今度は電気を溜めるように少し間を置き、先程とは比較にならないほどの光が舞台を埋め尽くす。

 

 上鳴くんは荒い息を吐きながら呼吸を整えようとしている。土煙の中、鬼人が先程とは変わらぬ足取りで進んでいた。

 

 上鳴くんの表情が絶望に歪む。自身の攻撃が効かなかったことを見たくないとでもいうように何かを叫びながら放電を繰り返している。

 

 鬼人は呆れるような表情をしたかと思うと放電されている電撃の中に向け走り出した。そこで上鳴くんの表情が変わった。一瞬口角を上げたかと思うと鬼人に向け走り出した。

 

 

 鬼人と上鳴くんの拳が交差したと思った瞬間――

 再び舞台上を眩い光が覆う。僕らが眩さに慣れ目を見開いた時――――立っていたのは鬼人だった。

 

 上鳴くんは血に伏せ倒れ伏している。しかし、立っている鬼人は無事ではなかった。身体中が軽度の火傷で覆われ特に最後上鳴くんに接触したであろう右の拳と左脇腹は赤く爛れていた。

 

 鬼人は上鳴くんを一瞥すると爛れている右腕を天に掲げ突き上げた。

 

 

『勝者、鬼瓦‼︎上鳴の電撃を全て受けた上でフィジカルの勝利だあぁぁぁぁ‼︎‼︎』

 そんなプレゼントマイクの実況が聞こえると同時に会場を歓声が包むのだった。

 

 葉隠さんは驚愕の表情を浮かべている。

「うそ……上鳴くんの電気浴びてたのにそのまま殴ったの……?」

 

 尾白くんも続く。

「しかも……一瞬しか見えなかったが、技もなんもない。ただただ力フィジカルのゴリ押しだ――」

 

 

「鬼人……自分ルールがあるみたい。技は弱者の使うものだからって――俺には最初から持ってる力がある。だから、相手の攻撃を受けた上で潰すって確か言ってたかな……」

 

 やっぱり鬼だから小細工とか嫌いなのかもねと僕が笑いながら言うと二人は言葉を失っていた。

 

 勝者、鬼瓦鬼人。

 

 

 

 

 [一回戦第四戦、鎌切尖VS八百万百]

 

 数多の刃を身体中から出す鎌切に対し強力な磁石の盾を出す。刃に磁石がくっつきまくり重さで動けなくなったところで鎌切行動不能のため決着。

 

 勝者、八百万百。

 

 

[一回戦第五戦、青山優雅VS角取ポニー]

 

角取の角による先制攻撃。青山はネビルレーザーで角を消滅を繰り返すが、その後腹痛に襲われて青山行動不能にて決着。

 

 勝者、角取ポニー。

 

 

 

 [一回戦第六戦、鉄哲徹徹VS切島鋭児郎]

 

 どちらも硬化の個性でぶつかり合うガチンコのステゴロ。数多の拳の応酬の結果両者ダウンにて引き分け。

どうやら引き分けの場合は回復後簡単な勝負、腕相撲等で勝敗を決めるとのこと。

 

 勝者、現状不明。引き分け。

 

 

 

[一回戦第七戦、爆豪勝己VS麗日お茶子]

 

 麗日さんの休むことなき突撃、そして爆豪くんの迎撃。そして爆豪くんの迎撃による地面という武器を蓄えた麗日さん。秘策の落石攻撃も爆豪くんは正面突破。変わらず戦闘続行しようとした麗日さんだったが限界を越えていて行動不能に。

 

 勝者、爆豪勝己。

 

 

 ♦︎

 

 

 小休憩後、行われた切島くんvs鉄哲くんの腕相撲の勝者は切島くんだった。

 これにて一回戦終了。

 二回戦のトーナメント表がこうなる。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 [二回戦第一戦、緑谷出久vs轟焦凍]

 

 轟くんの氷結、それに対して緑谷くんは自傷前提の超パワーで対応。だけど、緑谷くんの個性は制御できていないから……指の一本ずつそして右腕次は左腕……と壊れていく。同時に轟くんも氷結しか使っていないため体温が下がり動きが鈍くなっていく……。

 

 両腕が壊れた緑谷くんに止めを刺そうと轟くんは氷結を使ったが、緑谷くんは壊れた腕で個性を使いこれを迎撃。

 その後……炎の個性を使わない轟くんに対して緑谷くんは発破をかけた。皆本気でやっていると、全力でかかって来いと、それに――たとえどうであっても炎だって君の、力じゃないか……と。

 

 轟くんは緑谷くんの勢いに押されたのかついに左の炎の個性を使うのだった。その試合の最後は緑谷くんの調整された超パワーと轟くんの炎がぶつかり合い――

 

 これは当然の結果だったのだろう。炎を使い出したことで調子が戻ってきた轟くんと、両腕が壊れボロボロの緑谷くん。緑谷くんは場外となり結果は必然――轟くんの勝利となる。

 

 勝者、轟焦凍。

 

 

 

 僕は第三試合なので控え室から飯田くんvs常闇くんの試合を観戦することにした。

 僕の初戦は鬼人……当然中学時代より個性も強化されているだろう。中学時代、訓練での勝利はなく、ここ数ヶ月の付け焼き刃でどこまでやれるだろうか――そんな僕の心境を他所に第二戦の開始宣言がされた。

 

 

 [二回戦第二戦、飯田天哉vs常闇影踏]

 

 試合は飯田くんの個性エンジンによる速度での撹乱から始まった。常闇くんのダークシャドウは飯田くんの速度に追いつけず時折くる攻撃から常闇くんを守るばかり。しかし、耐久戦になり飯田くんのエンジンの冷却時間に入った瞬間常闇くんの反撃が始まった。

 

 目で終える速度になった飯田くん。そこに対しダークシャドウの猛攻が始まった。飯田くんはそこから反撃しようと奥の手であるトルクオーバー・レシプロバーストを使うが…時すでに遅く。ダークシャドウによって羽交締めにされ捕まるのだった。

 

 飯田くんはダークシャドウから抜け出そうと足掻くも足が地面におらず、ダークシャドウに攻撃しようにもことごとく躱される。そのまま場外に落とされ決着となる。

 

 勝者、常闇踏陰。

 

 

 ♦︎

 

 飯田くんたちの試合が終わり、鬼人との試合僕はどう戦えばいいか考えていた。力じゃ敵わず、速度も……そして、なにより個性使用のための道具がない。だから、僕にできるのは――

 

 

 [二回戦第三戦、置換隷vs鬼瓦鬼人]

 

 僕は右手を挙げながら舞台の上に立つ鬼人に話しかけた。

「や、鬼人。こんな場所で戦うのって緊張するね」

 

 鬼人も苦笑しながら言葉を返した。

「確かに。今までは森の中ばっかりだったからなぁ……ま、俺は二戦目だからいくらかマシだぜ。」

 

『さぁ、この二人どうやら中学一緒らしいし因縁対決ってかぁ?』

 

「そっか、それは羨ましいや。僕たちの戦績って覚えてる……?」

 

『置換隷vs鬼瓦鬼人』

 

「戦績?いや、覚えてねぇけど……」

 

『試合……START‼︎』

 

 

「三十八戦三十八敗――だよ‼︎」

 先制攻撃は僕からだった。重心を低くしたまま鬼人に特攻を仕掛ける。そう、僕は現在個性を使えない。置換対象がないからだ。だから――

 

 

「わははは!いきなりじゃねぇか‼︎嫌いじゃねぇぜ」

 

 ――まずは小細工だ。

 

 鬼人が僕に向け右拳を振り下ろす。僕はそれを見て避ける。動体視力はかなりのものと自負している。例え鬼人の一撃であろうと避けに専念すれば見てから避けるは容易い。

 

「それッ」

 鬼人に特攻を仕掛けては爆撃のような拳の一撃を躱す、躱す、躱し続ける。

 

「いいぞ、いいぞ――まだまだアクセルあげてけるよなァ‼︎」

 

「何言ってんのさ鬼人――まだまだ準備運動でしょ!」

 

 鬼人は足を高く掲げたかと思うと――

「よく言った‼︎んじゃま、これも――避けてみろやァ‼︎」

 勢いよくそれを地面に振り下ろした。

 

 

 鬼人の一撃をかろうじて躱せた僕は小声で呟く。

「参考になったんだ。ありがとう麗日さん。やっぱり勝つためには準備をしないとね――」

 

 

 土煙に覆われながら僕は鬼人のいる舞台の中心へ向けて進む。わざと瓦礫を踏み締める音を立てながら進む。そうすれば――鬼人なら、そこに攻撃をすると信じて。

 

「おいおい、分かりやすすぎんだろが‼︎」

 

 

 僕は瓦礫幾つか握るとその内一つを空に投げ、タンっと小さく舌を鳴らした。

 

 

 瞬間――鬼人の右拳が僕のいた場所を撃ち抜いていた。

 拳圧により土煙がどんどん晴れていく――

 

 だけど、僕はそこにはいない。

 

 プレゼントマイク先生の困惑した声が聞こえる。

『置換が消えたぞ?どこ行ったァ⁉︎』

 

 

「あ?あぁ……なるほど個性か……」

 鬼人は納得したように呟くと僕を探すため辺りを見回している。

 

 

 僕はね、思うんだよ、技名とかさ……叫びながらの攻撃とか今から攻撃しますよって伝えてるようなものじゃんって……

 

 

 だから無言だ。静かにだけど致命の一撃となり得るように……僕はソラから堕ちていた。

 

 

「どこだ……?左右前後どこもいない。となると――」

「――上かッ‼︎」

 周りを見渡してた鬼人が勢いよく上を向いた。

 そして落ちてくる僕を迎撃しようと攻撃を構えた。

 

 

 僕は一瞬焦る表情を見せると、体を小さく丸めてそのまま落下を続けた。

 

 

 

 鬼人は誰よりも知っている。僕が個性を使う時両手を叩くことを、そして置換可能距離も――

 だけどそれは……昔の話だ。

 

 

 両方の手を使わず、いつもの落下攻撃をするように見せかける。僕の一番の高火力の攻撃がそれだ……それだったんだから。

 

 鬼人がいるのは舞台の真ん中。つまり先ほど踵落としをした位置だ。ならば、そこは必然僕の道具で溢れている。

 

 

 

 

 舌を鳴らし、個性を使い鬼人の下にあった比較的大きい四十センチ大の瓦礫と入れ替わる。上空二十メートルからの置換。当然鬼人は混乱するだろう。予備動作がない置換だ。

 

 突然もう一度消えた僕に対して鬼人は困惑の声を上げた。

「……は?」

 

 

 さて、答え合わせだ。

 Q.鬼人には生半可な攻撃は効きません。当然落下攻撃だって軽傷でしょう。どうすればいいでしょうか?

 A.内部攻撃。上と下から頭を攻撃して脳震盪させましょう。

 

 

 僕は困惑している鬼人の下から弾丸のように拳を掲げ立ち上がった。同時に――上から瓦礫も落ちてくる。

 まずは、僕の一撃が顎に入る。軽く脳が揺れている状態でさらなる衝撃を上から与える!

 

 落ちてきた瓦礫が鬼人の頭上に当たると――

「ぐがっ……」

 鬼人はよろめき膝をついた。

 

 

 僕はバックステップで距離を取る。試合終了の宣言があるまで集中を切らしてはいけない、残心だ。入ったはず、今鬼人は脳が揺れているはずなんだ。いくら鬼であっても元は人。脳だってあるし人体構造は同じはずだ。

 それになんだか――嫌な予感がする。

 

 

 嫌な予感は当たってしまった。

「……」

 無言で鬼人がゆらりと立ち上がった。

 

 

「やっぱり……か。」

 だけど何故かいつもと鬼人の様子が違うような……

 

 

「……」

 鬼人の気配がだんだんと禍々しいものになっていく。

 

「………………」

 

 嫌な予感がずっとし続けている。起こしてはいけない何かを目覚めさせてしまったかのような。何か手遅れになることをしてしまったような。そんな予感がある。

 

「鬼……人?」

 

「……消えろ……」

 鬼人がそう言うと同時だった。鬼人の左掌に火球が浮かぶと僕の方へ飛んできた。

 

 僕は瓦礫と入れ替わりそれを躱す。しかし、避けた事で僕が置換した瓦礫とその火球がぶつかり合い爆発し――視界が白に染まった。

 

 

 あの一撃受けてはいけない……

 受けたら終わる確信がある。あれは僕にとって……いや、普通の人間にとって致命の一撃たり得る。

 

 

 いや、そんなことより鬼人の様子だ。そもそも鬼人はあんなことできなかったし、仮に出来ていたとしても好まないはず……

 

 

 何故ああなった?きっかけがあるとするなら鬼人に与えたあの一撃。他に要因になりそうな事はないはずだ。つまり、今の鬼人は暴走状態…ってことかな。同様の一撃を与えるか、時間稼ぎで鬼人が戻ってくるのを待つしかない……か?

 

 

 考えている時間はなさそうだ。鬼人の左手にまた火球が収束して生成されつつある。

 僕は手を叩き、あいつの足元の瓦礫と置換していた。

 このまま火球を打たせるわけにはいかない。

 

 

 だから――左手に生成されている火球を下から殴って上にかち上げる。丁度発射タイミングだったのか。僕が鬼人の手を上に向けると同時にそれは、再び打ち出され、空に大きな花火が舞った。

 

 

 上に向けた事で被害はどこにも出ていない。

 しかし、二度撃たれたことによりその危険性が解ったのだろう。相澤先生が言った。

『おい、鬼瓦。次その攻撃使ったら失格だ。それは命を奪いかねない』

 

 

 僕がやらなければいけないこと……あの攻撃をさせず、鬼人の目を覚まさせこの試合をちゃんとやり切る。

 つまり――火球を溜めさせる時間を作らせないよう攻めて攻めて攻め続けるって感じだ。

 

 

 だけど、どうする…?鬼人の頑強さは誰よりも知っている。生半可な攻撃じゃあ……ふと、嫌な予感がして僕は身体を一歩分下げた。風を切る音と共に僕のいた場所にあいつの左拳が通過していた。

 

 

 危なかった。一撃喰らえばアウト。立ち止まって考えるだけは出来ない、攻めながら思考するんだ――

 

 

 僕は個性を使い周囲の瓦礫と入れ替わり続ける。合間合間で右脇腹、鳩尾、左脇腹、腰、首、頭部様々な部位に一撃を加えていた。そんな僕に対しあいつは左腕で迎撃及び攻撃を繰り返していたが、殴られた直後一瞬硬直する時があった。

 

 

 僕は攻撃を続けながらふと思い浮かんだ疑問に思考を巡らす。

 …………左腕?なんで?鬼人の聞き手は右。実際試合が始まってからも右手で攻撃してきてなかったか?だけど今はなんで左手なんだ……?

 

 右手を視線を向けた。右手は多少回復していたがそれでも――火傷の跡が残っていた。

 

 火傷の跡‼︎思い出すんだ、あれはいつ出来た?一試合前、上鳴くんの最後の攻撃でできたものではなかったか?火傷ならなら、もう一箇所あったはずだ。

 

 たしか――左脇腹‼︎

 

 そう、そうだ。左脇腹。今思えばあいつが硬直していたのは左脇腹殴った直後だ。通常時の鬼人には今の僕は勝てないのだろう。だけど今なら――上鳴くんの放電でダメージの残っている今なら……やれるかもしれない。

 

 

「ごめんね、鬼人。正々堂々とは程遠いけど……」

――僕はこれ以上君のそんな姿見てたくないんだ。

 

 

 僕は瓦礫を上空に投げる。僕の予想が正しければこいつは僕のことを知らない。事実今までの攻撃も鬼人なら

知っている以上、対応出来ていたはずだ。それが出来ずに殴られっぱなしになっていた。それはおかしい。だから――

 

 

 

 だから、結局僕の最大火力――いつものだ。

 落下攻撃を左脇腹に命中させる。それこそ僕の勝機。

 

 

 まずは、あいつをあの場所から動けないようにしなきゃ。あんまりやりたくなかったけど――

 僕は鬼人の攻撃によって砂となった瓦礫を握り込み、あいつの上空に向かって撒いた。

 

 

 そして、柏手を鳴らす。

 動きを止めたいなら大きな瓦礫で囲めばいい‼︎

 そう、こういったように――

 

 

 柏手の音一つで砂は瓦礫の塊へと変貌する。

 あいつに向かって瓦礫の山が降り注いだ。

 

 

 砂は基本遠くに飛ばすのに向いていないし集合していないと見えないから置換ができない。だけど、近距離で動きを止める時なら、使える。

 

 

 この一瞬に僕は空に手を伸ばす。今の僕は上空に投げて入れ替え――この一回で二十メートルの高さにいける。

 ――僕は上空二十メートルの高さから落ち始めた。

 

 

 入学試験は高度二十メートルの落下攻撃で腕が動かなくなり頭を打ったり、攻撃後はそのまま落ちたりと不様を晒した。

 

 

 今なら…攻撃時の衝撃は仕方ないにしても落下の受け身はとれる。なるようになれ、だ。少なくとも鬼人をこのままにはしては置けない。

 

 

 だから――

「帰ってこい、鬼人‼︎」

 僕は落下をしながら鬼人の左脇腹へ一直線に落ちていき、僕の右足が砕けることを代償にその一撃を炸裂させた。

 

「がッ…………いってぇなぁ!おい……」

 

 僕は無事受け身を取ると呼びかけた。

「鬼人‼︎」

 帰ってきた⁉︎どうだ?鬼人の言葉の続きを待つ。

 

 

 鬼人は頭と左の脇腹を抑えながら言った。

「……頭ふらつくし、右掌はいてぇし、左脇腹もいてぇし散々だな、オイ」

 

 僕は右足の痛みに耐えながら倒れていると――

 鬼人はそんな僕を見つけたのか尋ねてきた。

「……待て、オイ隷。俺何をした……?」

 

 

「……わからない…………僕が一撃入れたと思ったら……様子がおかしくなって……」

 

 悔しがるように頭を抑える鬼人。

「……そうか。……抑えられなかったって事かよ、クソが」

 

 

『これは置換ダウンか⁉︎勝者――』

 

 首を横に振ると一息ついて言った。

「審判!わりぃ、俺棄権する」

 

『What's⁉︎』

 

「いいから、俺の負け、隷の勝ちだ。わりぃ隷。落ち着いたら話させてくれ」

 そう言って鬼人は舞台から一人降りて歩き出した。

 

 

『あ〜、本人が言うならまぁいいか。勝者、置換隷‼︎二人ともとっとと、ばあさんのところいけよな〜』

 

 

 僕も、審判も、観戦者も――そして、鬼人も誰しもが納得のいかないまま僕の第一試合は終わりを迎えた。

 

 

「こんな勝ち方……そんなのないよ……鬼人――」

 僕は三十九戦目の初めての勝利に複雑な感情を抱くことしか出来なかった。

 

 

 

♦︎

 

 

 

 [二回戦第四戦、八百万百vs塩崎茨]

 

 ツルを伸ばしてくる塩崎さんに対して、八百万さんは除草剤を創造して対抗。塩崎さんも様々な手段で除草剤を避けようとしたが避けきれず、攻撃の手が緩む。最後は八百万さんの創造した巨大空気砲に押し出され場外。

 

 勝者、八百万百。

 

 

 

 [二回戦第五戦、芦戸三奈vs角取ポニー]

 

 芦戸さんの溶解液、そしてそれを掻い潜って攻撃しようとするポニーさんの角。状況は膠着状態に。最終的にはキャットファイトになったそうで勝者は――

 

 勝者、角取ポニー。

 芦戸さんはどうやら個性の使いすぎによる脱水で体力がかなり消費されていたとのことだ。

 

 

[二回戦第六戦、爆豪勝己vs瀬呂範太]

 爆豪くんを捕縛しようとテープを伸ばす瀬呂くん。しかし、爆豪くんの反射神経によりことごとく避けられる。最後は爆豪くんの爆発に巻き込まれて場外。

 

 勝者、爆豪勝己。

 

 

 二回戦が全て終了した。次は準々決勝だ。

 僕の相手は――




とりあえず、ちゃんと書いたところは楽しかったです!
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