推しのために死に続ける話。   作:三つ首黒虎

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いや、もうほんとお待たせしました。
流石に元がないと書くのも大変ですね。
ヒロアカ、ヴィジランテキャラ登場します!

それでは23話職場体験です。どうぞー!



23話 職場体験1

 

 

 

「ねぇ、職場体験どうするー?」

 葉隠さんにそんな疑問を投げかけられた。

 

「僕は結局何もないと個性使えないから個性なくても戦えるところ行きたいかも」

 

 横から尾白くんが口を挟む。

「俺は自分の技を磨けるところ行きたいかな」

「んー、私も見えないだけだし武道?的なところ行った方がいいのかな……」

 

「たしかに、見えない攻撃は強いし怖いね……」

 葉隠さんの個性上武器がない方が強い。だって見えないから。だからこそ、近接格闘が出来るようになるのならより強くなるのが目に見えてわかる。

 

「案外、三人ともやりたいこと一緒なら同じ場所になったりしてー?」

「いやいや、まさか〜」

 その日は僕のこの言葉で締められた。

 

♦︎♦︎♦︎

 

 

 

 [職場体験、当日]

 

 僕たちは職場体験のためヒーロースーツを持ちながら駅に集まっていた。

 

「コスチューム持ったな。本来なら公共の場じゃ着用厳禁の身だ。落としたりするなよ」

「はーい!!」

「伸ばすな。はい、だ芦戸くれぐれも失礼のないように!じゃあ行け」

 

 相澤先生の合図の後、皆はそれぞれの職場体験に使うのだった。

「それじゃ、二人ともまたね!」

「うん、また来週学校で」

「またな、二人とも」

 

 葉隠さんと尾白さんと別……れない。

 どうやら、向かう電車は一緒のようだ。

 

「あれ?二人ともこっち方面なんだ」

「い、一応確認しておいてもいい?二人は何市のどこに行くの?」

「僕は田曽宮市の……」

 

「「田曽宮市!?」」

 葉隠さんと尾白くんが驚きの声をあげる。

 

 僕は嫌な予感がして二人に尋ねる。

「え、その反応もしかして……オフィスパープルレボリューションさんに行く予定だけど……」

 

 一瞬の間。

「「「…………」」」

 

 

「ほっ、違ったよ……」

「いや、違ったわ。よかった」

 

「なんだ、びっくりしちゃったよ。二人はどこ行くの?」

 

「私は――」

「俺は――」

 三人で向かう職場体験の場所について話ながらその場を後にした。

 

 

 ♦︎♦︎♦︎

 

 僕たちが駅に着くと野太い男の声が聞こえた。

「あら、やっと来たわね」

 

 声の行方を探すとそこには身長180〜190ほどで胸元の開いた軍服に肩章を付けた口髭、顎髭を生やしたとても濃い男がそこに立っていた。

 

「…………」

「あ、それじゃあ私たちは……」

「俺も先に行くわ……がんばれ」

 

「え?いやいやいや、ちょっと待って。二人とももうちょっと一緒に――」

 

 僕が二人の方を振り返るとそこに姿はなかった。

 

「あら?お友達との挨拶は済んだのかしら。それじゃあ、行きましょうか。わたしのオフィスパープルレボリューションに」

 

 …………え?ほんとに。この人のところに一週間お世話になるの?僕。

 

 相澤先生とミッドナイト先生におすすめされたから来たのに……いや、まって思い出したら相澤先生は気まずそうに、ミッドナイトは笑いを堪えていたような……

 

 ♦︎♦︎♦︎

 

 僕は職場体験でどこに行ったらいいのか迷っていた。

 どこをみてもいいところがある。自分に足りないところも見えている。それならば……と、相澤先生に肉体を技を鍛えられるところはないか職員室に聞きに来ていた。

 

「んで、置換お前はどこに行ったらいいかわからない……と」

「はい、僕の今の戦闘スタイルだとどうしても素が弱すぎていけないと思うんです。個性ではなく肉体を鍛えられるところがいいと思って、どこにしよう……ってなっちゃって」

「ふむ、あんまりこっちから言うのは良くないんだがな……」

 

 相澤先生はあまり乗り気ではなさそうだ。ふと後ろから声が聞こえた。

「あら、イレイザー。置換くんなら丁度いいところから指定きてるじゃない……ふふ」

「あー……ミッドナイト。確かに……あそこは……まあ」

「武技を鍛えられて肉体も精神も鍛えられる。昔の貴方みたいにね。今の置換くんにはちょうどいいんじゃないかしら」

 

 相澤先生は頭を右手でボリボリとかくと言った。

「俺は提案するだけだ。行くかどうかはお前が決めろ――」

 

 

 ♦︎♦︎♦︎

 

 気づいたらオフィスパープルレボリューションに到着していた。

「さて、改めてまして。オフィスパープルレボリューションで代表させてもらってるハイネス・パープルよ。昔の怪我で前線は退いてるけど……気軽に社長と呼んでくれていいわ」

 

「何言ってんすか社長!ハイネス・パープルじゃなくて中王子天馬でしょ!」

「本名言うんじゃないわよ!!」

 

 ビクッ

 

「あら、失礼したわ。怖がらせちゃったわね」

「えっと、大丈夫です。今日から一週間よろしくお願いします」

「ええ、田曽宮市はここ数年凶悪ヴィランなんて出てきてないわ。基本は見回り、書類仕事がこのオフィスの仕事ね。いきなりだけど時間は有限。見回り――行きましょうか」

 

「それじゃ、私も久しぶりに身体動かしたいしこの子と見回り行ってくるわ」

「はーい、社長お気をつけて〜」

 

 ♦︎♦︎♦︎

 

 

 僕は社長に田曽宮市を見回る……と言う名目で案内してもらっていた。一時間もあればざっと一通り回れる小さな市だった。

「さて、あとはこの山ね。田曽山って言われてるわ。昔は鬼が出た……みたいな話あったらしいけど今は全くね」

 

 

「鬼……ですか……」

 鬼人……ほんと、どこ行ったの。

 

「……ェンジャー……チェンジャー!」

「は、はい!ごめんなさい」

「大丈夫?ぼーっとしてたけど……」

「大丈夫です!ちょっと友達のこと思い出しちゃって」

 

 

「あれ、社長?今何か音が聞こえたような……?」

「音?ここはもう危険だから誰も立ち入らないようにって話がされているはずだけど……万が一ってこともあるわね。見に行ってみましょうか」

 

 

 

 社長と共に田曽山を探ってみた。焚き火の後や折れた草など誰か人がいる形跡はあったけど、その人は見つからずその日は見回りを終え解散となった。

 

 

♦︎♦︎♦︎

 

 

「さて、二日目ね。残り四日間頑張りましょう。今日も見回りをしつつヴィランがいたら捕縛。その後は一応もし希望するようならあの二人から鍛えてくれって頼まれてるけど……」

「はい!ぜひお願いします!!」

 

 

 僕たちは今日の見回りを終え、オフィスに戻ってきた。

「それじゃ、この子と訓練場にいるから何かあれば連絡頂戴。さ、行きましょ」

「あいあい、社長。チェンジャーくんも頑張ってね〜」

 

「ありがとうございます。それでは社長よろしくお願いします!」

 

 訓練場に到着し社長と向き合う。

「まずどのくらい動けるか確かめたいから、個性ありで向かってきてもらってもいいかしら」

「わかりました!」

 

 

 社長が戦っているところはまだ一度も見たことがない。それだけこの田曽宮市が平和ってことだろうけど……だから、社長の個性も戦闘スタイルもわからない。

 だけど、今回は体育祭の時とは違ってヒーロースーツがある。いつもはビー玉や石を投げていたけどそれじゃあ予備動作が大きすぎる。だから今回は武器を新調したんだ。まずはいつも通り個性で攪乱して一撃を与える!

 

 

 

 僕は新たな武器エアガンを社長に向け撃ちはなった。当然弾はただのBB弾当たったらちょっと痛いくらいで殺傷性はない。今後はサポート科に依頼して弾の種類を増やすつもりだ。

 そう、新たな武器は銃だ。素手で投げるよりも早く目的地に移動でき引き金を引くだけだから予備動作も少ない。問題は早すぎるから僕の動体視力でも時折見逃しちゃうこと。

 

 

 「銃っ!?」

 社長は目を見開き銃口の射線に入らないように動き続ける。だけど僕の場合はあまり意味をなさない。銃弾を撃ちその弾と自身の位置を置換する。

 置換したことで社長の正面にたどり着く。足を踏み込み無防備な腹部に尾白君直伝の正拳突きを――打ち込む。

 

 

 あたりを土煙が包んでいる。

 「入った……?」

 

 おかしい、こんな簡単に一撃が入っていいの……?

 土煙が徐々に晴れていく。社長はやはり無防備にそこに立っていた。

 「無傷っ?!」

 

 

 僕は距離を取ろうとする。

「あら、もう離れちゃうの……?それならお土産を――」

 だけど、社長はそんな言葉と共に僕の腕をつかみ――

 

「持っていきなさいなっ」

 その言葉と共に社長に投げ飛ばされた。

 

「んー、まぁこんなものかしら」

 

 僕はがらがらと崩れる瓦礫に埋もれ土煙に包まれる。

 せなか痛い。痛いけど、まだやれる。社長は動いていないはず、銃口を社長のいた場所に向け引き金を引く。放たれた弾丸は土煙を裂き社長目掛け一心に突き進む。

 

 当然それは躱される、それは織り込み済み。大事なのは躱した後、一瞬の油断が生まれるこの瞬間。

 柏手を打ち社長の後ろにある銃弾と置換する。まだ僕のいた位置は土煙に包まれている。だからこのチャンスを逃せない。突きでダメなら――蹴りだ。

 

 

 今は僕は宙にいる。足音でバレないようにするためである。このまま体重を乗せたこの一撃、踵落としを社長に食らわせる。

「これで――」

 

「――どうですか!!」

 僕の踵落としは社長の右肩に命中した。

  

「……いいわね、悪くない。でも――」

 今度は足をつかまれた。

 

「やっぱり、威力が足りないわね」

 ぽつりとつぶやかれたその言葉と共に地面にたたきつけられ、僕は意識を失った。

 

 

 ♦︎♦︎♦︎

 

 目を覚ました僕があたりを見渡すとまず時計が視界に入った。もう夜みたいだ。

 そして、いるはずのない人が社長と会話していた。

 

 

 ミッドナイトに社長が詰め寄られている。

「まったく、社長。一年の学生相手に何してるんですか!!」

「いえね、あなたとイレイザーがここを紹介したっていうからどのくらいできるかと……つい、やりすぎちゃったわね」

「つい……じゃないですよ……社長。で、どうでした?」

「悪くないわね、見どころはある……でも一撃が弱いのが難点ね……」

 

 

 一撃の威力……そう、だよね。だから鍛えてもらっているわけだし。どうやって改善しようか。

 

 

「ん?目が覚めたかしら」

 気づかれた。あ、物音が出たんだ。立ち上がった時に銃が落ちたみたい。

 

「ご指導ありがとうございました。強いですね、社長。個性を使わせることすら出来なかったです……」

 

 ミッドナイトが社長に問いかける。

「あれ、社長もしかして、まだ言ってないんですか?」

「あ、そういえば言ってなかったわね。わたし個性あるけど昔の傷でほとんど無個性みたいなものなのよね」

 そう言った社長は開いている胸元をさらにがばっと開いて見せる。そこには胸一面に広がる抉られたような傷があった。

 

 

「無個性……?あの強さで……」

「えぇ、人間やればできるものね。無個性でも身体を鍛えて技を磨けばこのくらいはできるようになるんだもの」

「それは……社長が」

「ミッドナイト、それ以上はダメ。私のせいで終わらせてしまった子がいた。ならその子の分も私は救わなくちゃいけないわ」

「そんなわけでほぼ無個性なのよ。今からでも別のところに行ってもいいけど……」

 

 

「いえ、残り四日お願いします。少しでも強くなりたいんです」

 むしろやる気が出た。社長の技を学び体を鍛えればこのレベルの強さになれるということだ。

 鍛えてくれるというならぜひお願いしたいくらいだ。

 

「いいわね、そういうの大好物だわ」

 

 

「それじゃあ、置換くん。社長たまにやりすぎるから様子見るためにまた顔出すわね」

 ミッドナイトはそれじゃ頑張ってと言い訓練場を後にした。

 

「さて、それじゃあ今日は終わりましょうか。また明日九時にオフィスで待っているわ」

 

 

♦︎♦︎♦︎

 

「ちなみに社長の個性って……」

「わたしの個性?胸毛、よ」

「胸毛!?」

「昔の傷で胸の毛根抉られちゃって、胸毛なきゃ個性使えないじゃない?」

「あ、はい。そうですね……」

 

 そんな会話があったとかなかったとか。

 




今回も読んでいただきありがとうございました!
次回職場体験後半?中盤………どっちになるかは分量次第ということで…

では、本当にありがとうございました。
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