活動報告には書いたんすけどリアルがちょい忙しでして…
そんなこんなで職場体験2でございます。
次回で職場体験は終わりかな。置換くんの職場体験にはステインなんて出てこないし…
いいところ、ヒロアカ本編のキャラはミッドナイトくらいしか出てこないんじゃないかな!
それでは、どうぞ。
[職場体験三日目]
職場体験三日目九時、僕はオフィスにて社長と今日の予定を確認していた。
「おはよう。今日もよろしく頼むわね」
「よろしくお願いします!」
「まずはいつも通り見回りから……」
社長がそう言いかけたと同時だった。オフィスに一本の電話がかかってきた。周りがざわざわと騒がしくなる。
「社長!!通報入りました。田曽山の山間より大きな破壊音あり。至急確認してほしいとのこと。これより実地確認のため捜査隊のメンバーを集めます!」
社長は少し考えるように頭をひねる。
「いえ、確認だけなら私が行くわ。ヒーローの卵もいるしね。チェンジャー今日の予定は変更、町の見回りから田曽山の捜査よ。準備はいい?」
「はい、わかりました!」
♦♦♦
社長が車を走らせ田曽山に向かっている。いつもとは違い真剣な表情で社長は僕に声をかけた。
「目的地は田曽山。到着したらわたしから離れないように。まだ仮免もないから許可なく個性も使わないで頂戴」
「はい。わかってます」
田曽山に近づくにつれて破壊音が聞こえている。
「社長!これ……」
「えぇ、どうやら何かが起きているのは確かなようね急ぎましょう」
そうして目的地に着き車から出ると断続的な破壊音に紛れながら僅かに声が聞こえる。
「うざ……はや…………けや」
「この声……」
「チェンジャーどうしたの?」
「いなくなってた友達の声に似てるような……」
「っ、急ぎましょう」
破壊音に近づくにつれて声が鮮明に聞こえるようになっている。やはり一人は鬼人でもう一人も聞き覚えのある少女の声だ。
「さっさと消えろよ。このっ糞女が!!」
「ぶーぶー、ひどいじゃんかよー。ちょっと俺の実験手伝ってほしいだけじゃん」
「ざけんな、んなことに協力するわけねぇだろ!!」
二人が争っているところに到着した。社長が前に出る。
「そこの二人今すぐ争いをやめなさい!!個性の無断使用は犯罪よ!!」
少女と鬼人はこの間も睨み合っている。
鬼人の姿を見つけ僕は嬉しさのあまり声をかけた。……声をかけてしまった。
「鬼人!!」
僕の声に反応して鬼人が僕へと視線を向けた。
「隷……」
鬼人に出来た一瞬の隙。少女が嗤った。
「ありがとう……君のおかげで目的が達成できそうだよ――」
鬼人に女の子が迫り――触れた。
「しまっ――」
「はい、おしまい」
一瞬の出来事だった。鬼人の意識の間をついて少女が触れた。ただそれだけだったのに、徐々に鬼人の身体が黒く染まり頭の角が大きくなっていく。
「あ、が、ガ、レ、レ……イ」
「鬼人!!」
「下がって!チェンジャー!!」
「うんうん、やっぱりこういうのもできるんだね俺の個性は……となると」
「お前、鬼人に何をした!!!」
僕は社長の言葉を無視し怒りのままぶつぶつと何かを言っている少女の胸倉をつかみ詰めよった。
「あ?いってぇ……」
少女は一瞬顔を顰めたが僕を認識すると何が面白いのかにやにやと笑顔を浮かべた。
「誰かと思えば隷くんじゃん。そんなに近いとドキドキしちゃうぜ。それにお前なんていうなよ。寂しいじゃないか。俺にはカイって名前があるんだ」
僕はカイと名乗った少女を睨みつける。しかし後方から聞こえた鬼人の雄たけびに少女を離し振り返った。
「オオオォォォォォォぉ!!!!!」
鬼人が社長に襲い掛かっていた。
「っく、力強いわね……」
社長はかろうじて攻撃をいなしているが徐々に傷が増えていく。
「チェンジャー、オフィスに連絡して応援と頼んでもいいかし、らっ!」
僕は少女に対する怒りを飲み込んだ。
「……わかりました」
「現場からオフィスへ。社長が交戦中、応援お願いします!!」
『おーけー。別事務所にも応援依頼かけてる。しばらく耐えてくれ!』
「社長!依頼しました。しばらく耐えてくれとのことです!!」
「わかったわ!じゃあ、申し訳っ、ないんだけどっ、手を貸してもらってもいいかしらっ……」
「っはい!」
「えー、ほかのヒーローも来るの?じゃあ、今日はもう帰ろうかな。――またね隷くん」
「まっ――鬼人を戻して……」
振り返るとそこに少女はいなかった。いや、いなくなった人より今は鬼人だ。待ってて今行くから。
「鬼人っ」
僕が交戦場所に到着した時にはお社長と鬼人は睨み合い佇んでいた。
「社長、状況……教えてください」
「鬼と思わしきヴィランと交戦中。かなり頑丈でこちらあの攻撃は全く効いている様子わないわ」
「全く……ですか」
「えぇ、全く。だから時間を稼ぐので精一杯なの……」
「学生であるあなたを危険な目に合わせるわけにもいかないし、このまま応援来るまでは時間稼ぎ……ね」
「わかりました。えっと……一ついいですか。鬼人さっきから僕たちが話してるのに襲ってこないんです」
「っ確かに、何故かしら……」
「もしかしたら鬼人も抵抗しているのかも……」
「抵抗?」
「都合のいい考えかもしれないですけど。鬼人ああなる前に僕の名前呼んでました」
「もともと鬼人の個性はかなり精神が強くないと邪悪さに飲まれちゃうみたいで……」
「それに鬼人体育祭の時もこんな感じになってはいたんです……」
「体育祭……たしかに一瞬おかしくなってたけど……」
「……あの時は強い衝撃でもとに戻ってくれたんです」
「そうなのね。自分の手で友達を戻してあげたい……って気持ちはわかるわ。それでも、チェンジャー貴方の安全が第一よ。新しい芽を摘むのはありえない。それに……もうあの時のような思いはしたくないから――」
社長は目を閉じながら何かを思い返すように言ったのだった。
♦︎♦︎♦︎
動かない鬼人の様子を伺いながら応援を待っている最中、オフィスより連絡が来た。
『もう少し耐えてくれ、あと十分で助っ人が到着する!』
「社長!あと十分だそうです」
「ええ!聞こえていたわ。あと十分動かなければいいのだけど……」
このまま動かないでくれればいい……その願いは――裏切られてしまった。
先程の僕の声に反応したのだろうか鬼人が唸り声をあげ、辺りを見回している。
「ゥゥゥ……」
目があった。いつもの鬼人の瞳の色と違う赤の眼。そして鬼人は……獲物を見つけた喜びなのか口元を歪にゆがませた。
「下がって!!チェンジャー!」
社長の指示に従い僕は後退する。
「本当に貴方の考える通り彼が抵抗しているとするなら声をかけてあげて!!それで少しでも動きが鈍れば――くっ」
社長が鬼人に襲われた。変貌した鬼人は禍々しい気配に黒い身体、伸びた角、鋭い鉤爪、裂けた口、そしてそこから覗く牙。最初に変わった時より怪物らしさが増している。
「アァ、ウゴカシやすくナッテキタ」
「鬼……ひと……?」
「何ダ……ソレハ……まァ……ドウデモいいカ」
鬼人……いや、鬼は首を鳴らすと再びこちらを見た。
「アぁ、ホントウにドレ程ぶりだろうか。ゴツいオスがイッピキとオスのガキがイッピキ。目覚メノショクジトシテは最悪ダガ、今ハ腹がヘッタ」
「トリアえず目ノ前のオスヲ――イタダキマス」
そう言うや否や裂けた口を大きく開き社長に噛みつき鮮血が辺りに舞った。
「社長――!!」
社長が食べられた?鬼人が食べた。……いや、あれは鬼人なのか……?いや、あれは……別の何かだ。どうする。僕はどうすればいい?あれが鬼人じゃないとしても……止めなきゃ。あれは鬼人の身体だ。あんなのが使っていいわけがない。そんなことは許せない。
だけど、今はそれより社長だ。無事なのだろうか。
僕は改めてそちらに意識を戻した。
絶え絶えではあるが社長の声が聞こえた。
「……心配しなくても……大丈夫……腕が一本持っていかれた……だけよ」
無事だ!無事だった。でも、声が絶え絶えで、左腕も……
「あー……残り八分……応援来るまで死ぬ気で持たす……せめて……あなたを無事返さないとね」
ぐちゃぐちゃと音を立てて社長の腕を噛んでいる鬼人……いや、あれを鬼人とは認められない。邪悪な鬼だ。
「ヤハり……カタイな、マズイ……」
「ちょっと……腕を縛れる何かくれないかしら……」
社長は残った右腕と口を使い僕の渡したタオルで無くなった左腕を止血している。
「いま……食べてる間は……おとなしい、みたいね……」
「そう、ですね」
「あ……血、ダメだったかしら……」
「いえ……血は、大丈夫です。ただ……」
僕の声を遮るように通信が入った。
『あと、五分だ。もう少し、もう少しで応援が――』
鬼が、社長の腕を食べ終えた。
「はァ、タラン……」
「っ……」
そう言って鬼が伏せていた顔を上げた次の瞬間鬼は姿を消し僕の横を風が横切った。そして、僕は殴り飛ばされていた。
「ガッ――」
何故、何故。疑問が僕の頭の中を埋め尽くす。動体視力だけは誰にも負けない……と思っていた。なのに鬼の動きは見えなかった。そして、何故、あの位置から僕を殴るには社長のいた位置からしかし殴れないはずだ。だって隣にいたんだ。何故……、社長が僕を、殴った?
その疑問はすぐに解決することになる。
「ァ……はっ、がはっ、チェン……ジャー、生きて、る……?」
土煙に社長の影、そして何かを咥えている鬼の影が映っていた。
「……し、社長!!」
「はァ……ジャマ」
鬼のその一言と共に社長は僕に向けて蹴り飛ばされた。受け止めないと、あそこに社長と鬼がいた。本来だったあそこにいたのは僕のはずだったんだから――
「グ、ガあぁぁぁぁ!!!」
僕は少しでも力を出すために痛む身体に鞭を叩き声を張り上げる。社長を無事受け止めるために。
「ぁぁぁぁぁぁあああ!!!!」
あんなに軽く蹴ったように感じたのに、ここまで受け止めるのに力がいるなんて……でも、受け止めた。そして、僕は社長の姿を直視することになる。
社長は左腕だけじゃない、右腕も無くなっていた。
さらに、鍛えられた腹筋には蹴りの跡が刻まれ、身体には至る所に小さな切り傷が。頰は裂け歯茎が剥き出しになっている。
「社長!」
僕は社長に声をかける。しかし返事はない。声は返ってこない。野太い声で女口調の社長の声は、返ってこない。
「しゃ、社長……」
僕のせいだ。僕が避けられなかったから社長が、僕を庇って――
「ごぼっ」
「社長!!」
まだ生きてる。まだ動いてる。意識がないだけ。どうする、どうすればいい。僕はどうすれば。こんなことなら学んでおけばよかった。人を治す方法、応急処置の方法を。でも今は無理だ、動かして悪化させたら致命的だ。安静にこのまま、社長には休んでもらおう。
『あと、三分。もう少し持ち堪えてくれ!!』
僕が、やらなきゃ。鬼人を、アレを止めなきゃ。
今の手持ちは銃が一丁、残弾数ゴム弾十八発、特殊弾なし。
僕の状態、打撲打ち身切り傷その他――状態は良くない、よくないけど。誤差でしょ、普通の状態なら勝てるの?いいや、無理だ。怪我をしててもしてなくても勝率は変わらない。だけど、必要なのは勝つことじゃない。
今、僕にできるのは、必要なのは――時間を稼ぐことだけだ。
拳銃を鬼人に向け、撃つ。
「っ」
当然効かないのだろう。
「?、ナンダ、コれ」
だけど、注意はこちらに向けることができる。
社長から注意をそらせればいい。あと三分……いや、二分と三十秒。この時間を社長と共に生き延びれば応援が来る。
さぁ、この時間に全てをかけろ。ここで終われば失われるのは僕の命だけじゃない。社長もだ。僕は雑魚だ、弱い。敵の攻撃すら見破れない。見ろ、観察しろ、敵の様子を、初動が読めれば何をしようとしてるのか推測できる。鬼は動かない。辺りを見まわし僕を見つけた。
ふと、この場所に嫌な予感を覚えた。僕は直感に従い個性を発動させた。
次の瞬間、僕のいた場所に腕を伸ばして鬼が立っていた。
「……アァ?」
「ッ」
またしても見えなかった。予感を信じなければここで終わってしまったのだろう。ここにおいては見て避けることは諦めた方がいいのかもしれない。根拠なんてない予感を、直感を信じるのがいいのだろう。思ってみれば、今までだって予感が僕を救ってくれた気がする。それなら、今回だって――ここもダメだ。いたら終わる。再びそんな予感を感じた。
すぐさま銃を空に向けて撃ち放つ。そして個性を使用して空の弾と置き換わる。
「…………アァ?……ンダよ。サッキから……」
今回も直感を信じてよかった。またしても先ほどの光景が僕の眼前に再現されていた。僕のいた場所に手を突き出して立っている鬼が、再びそこにいた。
今は気づかれてない、から攻撃のチャンスだけど……社長の攻撃が通ってなかったんだから、僕の攻撃が通るわけがない……かな。やっぱり応援が来るまで避けに徹するのがいいだと思う。だけど、それは敗者の思考だろう。
「おい!!鬼。僕の個性はな――置換だ。モノとモノを入れ替える。ただそれだけの個性。お前みたいに頑丈じゃないし力もない。お前は、そんな弱者の足掻きに倒されるんだ」
社長に注意を向けない為に挑発を……
鬼はいい玩具を見つけたとばかりに邪悪な笑みを浮かべた。
この思考の間、鬼に宣言している間も僕は空から落ち続けている。次の置換場所を決めなければ。僕が逃げれば鬼の獲物はすぐにでも社長に変わってしまう。やはり、鬼の近くで僕が避け続けることが社長の安全に繋がる……逃げてばかりじゃいられない。それに効かなくても攻撃しない理由にはならない。
僕は空からさらに上に向け銃弾を発射した。さらに上へ上へ。個性を使い僕は天高くまで駆け上る。上空四十メートル、トーナメントの時の倍、だ。
鬼の視線は僕の宣言と銃声により上に向いている。僕はさっきから二度置換を見せ個性を明かしている。だからこそこのまま落ちてくるのか別のところに行くのか、思考する生物であれば考えなければならない。
僕の身体は無事に済むのかもわからない。だけど社長の両腕を失わせてたのは僕のせいだ。なら自分の安全なんて気にしてる場合じゃない。さぁ、落ちよう――鬼、この一撃は重いぞ。
落ちながら僕は鬼に向け銃弾を放ち続ける。一発、二発、三発、四発、五発。どれも微妙に角度をずらして……だ。そうすることで置換対象を増やして混乱させる……そういう目的だった。
でも、鬼は避けない。何故、鬼のプライド故か、鬼人が残っていたのか、そもそもこんな攻撃効くわけがないと思っているのか。理由はなんでもいい、今は避けようとしないこと。それが大事だから。
「それなら――」
小細工は無しだ。このまま落ちてやる。鬼との距離が迫る。四十メートル、ビルで言うと十三階相当の高さからの落下。その衝撃はかなりのものになるだろう。既に鬼との距離は五メートルもない。瞬きの間に僕の一撃が入るだろう。鬼は……動かな――動いた。こちらを迎え撃つように拳を引き絞る。
僕の右拳と鬼の拳が衝突した――そのはずだった。
人の拳と鬼の拳、当然ぶつかり合えば人の拳が砕ける。だけど何故か、僕の右拳は鬼の拳ではなく胴体に当たりその胴体に確かな爪痕を与えていた。鬼を中心に砕けた地面がその威力を物語っている。当たる場所が違くても当然、僕の拳は腕は粉砕骨折レベルで砕けた。
僕は着地すらままらなず、そのまま鬼に寄りかかるように地面に落ちた。いた……い?いや、痛くない。熱い。右腕が熱い。見なくてもわかるぐちゃぐちゃになっているのだろう。だけど今はそんな場合じゃなくて、ここにいたら攻撃されちゃう、早く、移動しなきゃ。
舌を鳴らし個性を発動し、鬼から距離を取る。この間も鬼は動いていない。何故か瞼を閉じている。すーすーとまるで寝ているよう――そっか。このかおりあのひとが、きてくれたんだ。
社長に対する申し訳なさと感謝、鬼人の変貌、少女カイへの疑惑、そして少しの安堵、様々な感情を抱きながら僕は眠りに落ちるのだった。
「あ、置換くん!そこ風下……」
あ、寝てる…やっば、やからかしちゃった……いや、激戦だったみたいだし?疲れて気絶したとか、そんな感じじゃないかしらと言いつつも内心あわあわしていたミッドナイトがみれたとかみれなかったとか。
まぁ、この現場社長ボロボロすぎてこの直後社長に駆け寄るんですけどね!人命救助、大事。
まだ死にませんよ。うん、誰も。この世界での最初の死別はミッドナイトであってほしいからね。
今回も読んでいただきありがとうございました。出来うる限り悲惨目に書いたけど…もっとやりたい放題してもよかったかもしれない。でも、隷くゆここで部位欠損すると先がまだ長いから…