推しのために死に続ける話。   作:三つ首黒虎

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今日は筆がノってまして!2話いきますー!
次回はいつになるだろう…


2話 入学試験

 雄英高校ヒーロー科‼︎

 そこはプロに必須の資格取得を目的とする養成校!

 全国同科中、最も人気で最も難しく、その倍率は例年三百を超える‼︎

 

 

 国民栄誉賞に打診されるもこれを固辞‼︎

「オールマイト」‼︎

 

 

 事件解決数史上最多!

 燃焼系ヒーロー「エンデヴァー」‼︎

 

 

 ベストジーニスト八年連続受賞‼︎

「ベストジーニスト」!

 

 

 偉大なヒーローには雄英卒業が絶対条件なのだ‼︎

 

 ――――――――――――――――――――――

 二月二十三日

  雄英の一般入試は実技試験と筆記試験が別日に行われるらしい。

 今日は筆記試験の日だ。

 この日のために、この半年鬼人とは散々勉強や個性訓練を欠かさずやってきた。

 実技試験は三日後の二十六日に行われる。

 

 

 僕たちは入学試験の為、雄英高の門前に来ていた。

「いや、でけぇなぁ、流石天下の雄英高」

 と隣から呑気な声が聞こえる。

「相変わらず呑気だね……鬼人……」

 僕の隣に立つのは中学生にして身長180cmまだまだ成長中の僕の友人こと、鬼瓦鬼人である。

 僕は入学試験に緊張して少しお腹が痛くなってきた。

 鬼人は相変わらずのようで少し心強い。

 

 

「ヴィラン?え。なにあれヴィラン?」

「うわ、でっけ、顔こっわ」

「ヒッ」周りが少し騒いでいる。

 

 

「鬼人周りの人に怖がられてるよ」苦笑しながら僕は鬼人に伝える。

「ん?いつものことっしょ!そんなん俺の勇姿見せときゃいつか怖がられなくなるさ」

 周りに怖がられても自己がブレてない。流石鬼人だ。

 

 

 筆記試験の会場だが……

 僕の指定された会場はAの2。

 鬼人の会場はBの5らしい。

 残念ながら、鬼人とは違う会場らしい。

 

 

「それじゃあ、鬼人頑張ろう!今の鬼人なら合格点よゆーだよ!」

「おう!ありがとよ先生、いっちょ頑張ってみるわ!」

 そういうと鬼人は会場に向かい歩き出した。

 

 

「さて、僕も会場へ急がなきゃ」

 道中、常闇踏陰、拳道一佳や吹出漫我などの将来のヒーロー科生が歩いているのを見て密かにテンションを上げていた。

 

 

 僕の筆記試験に特出する点はない。

 いつも通り、溜め込んだ知識をただ問題と照らし合わせるだけである。

 前世含めて他の受験生とは2倍の人生経験の差がある。当然勉学もそこに含まれる。まぁもっともこちらの世界特有の知識を覚えるのはかなり大変ではあったが……

 

 

 試験後、鬼人と合流した。

「鬼人はどうだった?」と問いかけると彼は満面の笑顔を作り右手でピースを作ると僕に見せてきた。

「ありがとよ!先生」

「問題集は持ってきた?今日はこれで終わりみたいだし……一緒に採点しよっか」

「おう!頼むぜ」

 

 

 二人で採点した結果僕は当然合格ラインに達しており、鬼人もギリギリではあるが合格ラインに達していた。

「っしゃ!!」鬼人は嬉しそうだ。

「あんだけ頑張ったもんね、結果出てよかったよ……」

「ほんとありがとな!おかげで後は実技頑張るだけだぜ」

「それじゃ、今日は解散して三日後に備えて身体休めよっか」

「んー、ちと動かしたい気持ちはあるが……怪我したら後悔しまくるだろうし、そうすっか」

「んじゃまた実技試験の日なー」と鬼人は言って帰って行った。

 

 

 

 

 きた、来てしまった。

 二月二十六日雄英高校ヒーロー科入試実技試験の日付けである。

 

 

 三日前にも筆記試験できたがやはりでかい。

「いや、この前も言ったけどやっぱデケェわ…雄英高校……」と鬼人は呆れるように少し嬉しそうに言った。

「なんで少し嬉しそうなのさ」と僕が聞くと

「ん?そりゃこんだけでかけりゃ、トレーニング施設だって山ほどあるだろう?てか、学校案内のパンフに書いてあったし……」

 見かけによらずしっかりと下調べはしていたらしい。

「そうだね、今日はその一部を使って実技試験をするらしいからちょっぴり楽しみだね」

「おう!俺がどこまで通用するかわからんけど、全力でやってやらァ!」

 

 

 鬼人とそんな雑談をしていると……

「ん?」

 周りの喧騒に負けぬ大声が聞こえる。

 声の主を探そうと周りを見渡すと

 イガグリのような髪型をした人相の悪い少年、爆豪勝己と

 ワカメのような髪型をした気弱そうなそばかすがある少年、緑谷出久が揉めていた。

 

 

「どけデク‼︎」

「かっちゃん‼︎」

 

 

「俺の前に立つな、殺すぞ」

 と言うと爆豪は緑谷の横を通り過ぎ先に向かって行った。

 

 

「気が立ってるなぁ」とは相変わらず呑気な鬼人だ。

「っっっ!」僕は飛び上がるのと叫ぶのを我慢して心の中で大声を上げる。

 

 

 デクとかっちゃんだ!!!!

 リアルで見てもわかる。本当にヒロアカの世界に来たんだ……とちょっぴり感動する僕。

 

 

「あ、あれ転ぶな」と鬼人が言った。

 そちらに視線を向けると……

 今度は主人公とヒロインの出会いが繰り広げられていた。

 

 

「大丈夫?」

「わっ え!?」

 と緑谷が麗日お茶子に助けられていた。

 

 

「私の"個性"ごめんね勝手に」

「でも、転んじゃったら縁起悪いもんね」

 と少女は白い息を吐きながら両手を合わせ笑顔を浮かべる。

「緊張するよねぇ」

「へ……あ…………えと……」

「お互い頑張ろう」

「……………………」

 

 

 お茶子だー!!!可愛い、流石ヒロイン。

 またまた僕は感動していた。

 

 

「なんだあのワカメ、女の子と話して吃ってると思ったら今度はめをギョンってかっぴらいてるよ、おもしろっ」と鬼人は爆笑している。

 

 

 ……と、そんなことをしてる場合じゃない。

 まずは試験だ。合格しなければミッドナイト救うどころじゃない。強くなるためにも入学は必須。

 がんばれ、僕はまだ無力なんだ。結局個性訓練では一度も鬼人に勝てなかった。この学校に入学して強くならなきゃ。

 じゃなきゃ、ミッドナイトを救えない。

 

 

「鬼人行こう、僕らのヒーローアカデミアを始めに」

 そう鬼人に告げ僕は歩き出す。

 

 

「……隷、おまえ、それ恥ずくね?それにまだ入試だし……」

 僕は顔を真っ赤にして恥ずかしがりながら歩き出す。

「わり、悪かったって。俺らのヒーローアカデミア始めようぜ!」

 鬼人も少し顔を赤くしながら復唱してくれる。

 

 

 ちょっと似合わず臭いこと言ったなとは思ったけど……かなり恥ずかしかった。

 もう二度と言うもんか……

 

 

 

 

 

 あらためて今日は実技試験の日だ。

 

 

『今日は俺のライヴにようこそー‼︎』

『エヴィバディセイヘイ‼︎』

 とプレゼントマイクが舞台に立ち叫んでいる。

 

 

 プレゼントマイクは耳に手を当て受験生の反応を期待しているが……誰も反応をしていない。

 

 

『こいつぁ、シヴィーーー!!受験生のリスナー!』

『実技試験の概要をサクッとプレゼンするぜ‼︎アーユーレディ⁉︎』

『YEAHHーーーー‼︎』

 やはり、受験生の反応はない。

 

 

『入試要項通り!リスナーにはこの後!十分間の「模擬市街地演習」を行ってもらうぜ‼︎』

『持ち込みは自由!プレゼン後は確実指定の演習会場へ向かってくれよな‼︎』

『O.K!?』

 シーンと誰も反応をしない。

 

 

「ダチ同士で協力させねぇってことか……」と横に座っている鬼人が呟く。

 なんか爆豪もこんなこと言ってたような?と少し思いながら

「そうだね、僕と鬼人も会場違うしそう言うことだと思う」と返答する。

 

 

『演習場には"仮想敵"を三種・多数配置してあり、それぞれの「攻略難易度」に応じてポイントを設けてある‼︎』

『各々なりの"個性"で"仮想敵"を行動不能にし、ポイントを稼ぐのがリスナーの目的だ‼︎』

 『もちろん、他人への攻撃等、アンチヒーローな行為はご法度だぜ⁉︎』

 

 

「…………」

 

 

「質問よろしいでしょうか⁉︎」

 1人の青年が手をピンと伸ばし姿勢よく立ち上がる。

 彼は飯田天哉だったはずだ。

  

 

『!』

 

 

「プリントには四種の敵が、と記載されております!」

「誤載であれば日本最高峰たる雄英において恥ずべき痴態‼︎

 我々受験者は規範となるヒーローのご指導を求めてこの場に座しているのです‼︎」

「ついでにそこの縮毛の君」

 

 

「⁉︎」驚く緑谷。

 

 

「先ほどからボソボソと……気が散る‼︎

 物見遊山のつもりなら即刻雄英から去りたまえ!」

 

 

「すみません……」と周りに笑われながら申し訳そうに緑谷は謝った。

 

 

『オーケー、オーケー。受験番号7111くんナイスなお便りサンキューな!』

『四種目の敵は0P!そいつは言わばお邪魔虫!

 スーパーマリオブラザーズやったことあるか⁉︎』

『あれのドッスンみたいなもんさ!

 各会場に一体!所狭しと大暴れしている「ギミック」よ!』

 

 

「なるほど……避けて通るステージギミックか」

「まんまゲームみてぇな話だぜ、こりゃ」

 と周りの受験生たちが呟く。

 

 

 ゲーム感覚……でいいのだろうか。

 少なくともこれからヒーローになりたい人たちが。

 とそんなことを考えていると、

 飯田が「有難う御座います!失礼いたしました!」とこれまた固い挨拶をして席に着く。

 

 

 それを確認したプレゼントマイクは

『俺からは以上だ‼︎最後にリスナーへ

 我が校"校訓"をプレゼントしよう』

 

 

「!」

 

 

『かの英雄ナポレオン=ボナパルトは言った‼︎

「真の英雄とは人生の不幸を乗り越えていく者」と‼︎』

 

 

『"Plus ultra"(更に 向こうへ)‼︎』

『それでは皆、良い受難を‼︎』

 そう言い残すとプレゼントマイクは舞台袖に下がった。

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ、お互い頑張ろうね」と鬼人に告げ

「だな、無事合格しよーぜ!」と鬼人が言葉を返す。

 

 

「そういや、これやってみたかったんだよな」と鬼人が言い拳をこちらに突き出してくる。

「?」

「わかるだろ?ほら拳同士をぶつける奴だよ。なんかカッケェじゃん?」

「やれやれ、鬼人も恥ずかしいところあるじゃないか」と苦笑しながら拳を突き出しぶつける。

 

 

 

 

「んじゃ、Puls Ultraだ。また後であおーぜ」

「はいはい、Puls Ultraね。全くこっちの方が恥ずいじゃんか……」僕はそう呟くと試験会場へ歩き出した。

 

 

 

 

 

「さてと、僕はこの会場だったね」

 他にはどんな人がいるんだろう……と周りを見渡す。

 

 

 個性"蛙"の蛙吹梅雨

「ケロケロ……」

 

 

 個性"透明化"葉隠透

「うっわ〜、ひろいなぁ……」

 

 

個性"コピー"物間寧人

「へぇ……君の個性はそうなんだ。僕は物間よろしくね」

 

 

 自由に過ごす者、会場の広さに感心する者、個性を使うため策を弄する者、さまざまなものが集う。

 

 

『ハイ、スタートー!』プレゼントマイクの声が会場に響く。

 

 

「……ん?……」

 

 

『どうしたぁ⁉︎実戦じゃカウントなんざねえんだよ‼︎走れ走れぇ‼︎』

『賽は投げられてんだぞ!⁉︎』

 

 

 そうだった!!忘れていた。

 この実技試験、急に始まるんだった。

 

 

 道に落ちてる小石をまとめて拾い、一つだけ前方に投げる。

 手を叩き個性を発動させ、小石と自身の位置を置き換える。

 

 

 前へ前へ。

 この個性が他の人より優れている点は置き換える際ラグがほぼないこと、自身を半径の中心点として十メートル、直径二十メートル以内であれば好きなものの場所と置き換えることができる自由度の高さだ。

 

 

 周りの喧騒を横に一番手に躍り出た。

 手が届く仮想敵は個性で高く飛び落下攻撃で破壊。

 だが、まだダメだ。ここから更に奥へ。人がすぐ来れるということはすぐに仮想敵が狩り尽くされるという事、ならば他の人が手前で手間取っている内にもっと奥へ。

 

 

 五分ほど個性を使い壊しながら移動しただろうか。

「ここならしばらくは誰も来れない……かな」

 ここからだ、まずこの仮想敵の動力源がどこにあるか戦いながら確定させる。

 

 

 1Pの仮想敵だ。

 道中狩っていた仮想敵でも検証はしていたが弱点の確認をしよう。

 まず腕、違う。まだ動く。

 足、やはり違う、当然動く。

 頭部、まだ動くのか。

 やはり、胸部か、そこを拾った鉄パイプで貫くと手足と頭部をを削がれた仮想敵が機能を停止した。

「ちょっと残酷だったかな……」

 少し申し訳なく思いながら、鉄パイプを引き抜き穴を覗く。

 やはり、回路が胸部に向かい集中して集まっている。

 道中の仮想敵も胸部に強い衝撃を与えた場合や、破壊した際に停止していた。

 それならば、ここが弱点なのだろう。

 

 

 それが分かればあとは簡単だ。

 仮想敵を見つけ次第、動力源を小石と置き換えるだけだ。

 

 

「個性が全力で使えるのは初めてだし……調整もさせてもらおうかな……」

 

 

 来た。2Pの仮想敵だ。

 仮想敵を視界に入れ、手を叩き仮想敵の動力源と小石の位置を置き換える。

 さすれば必然、動力を失った仮想敵には機能停止の結末が訪れる。

 

 

 次だ。

 六、七分ほど続けていただろうか。

 僕の足元には1〜3Pの仮想敵の動力源ともいえるコアが積み上がっていた。

 自分とモノの置き換えは慣れているが……自分以外のモノとモノの置き換えは、特に対象が動いているなら尚のこと難易度が高い。

 時間がかなりかかってしまった。

 

 

「んー、ざっと計算して40後半から50前半ってところかな?もうちょいポイント欲しいけど……」

 そんなことを言葉にした直後……

 ゴゴゴゴゴと大きな物音が聞こえる。

 目の前のコンクリートが砕け持ち上がる。

 

 

 これは……手だろうか、大きい。

 圧倒的質量の塊が徐々に足元から姿を現していく。

 失念していた。これが0Pの仮想敵……

 ――お邪魔虫のギミックボスか!!

 

 

 ――気づく

「やばっ」

 足元には先ほどまで倒していた仮想敵の動力源が乱雑に積んである。

 

 

 動力源しかもあれだけの精密機械を動かせるエネルギー源だ。電気だとしても複数個纏まっているところに衝撃でも受けたらと思うと冷や汗が出る。

 軽く周りに絶縁体を巻いて処理はしているけど……

 あの巨大の攻撃にあたりでもしたら纏めて……ボンっと爆発するだろう。

 ここに来てから行動不能にした仮想敵は二十体と少し。

 つまり、それだけの数の動力源が足元に転がっている。

 

 

 逃げるは容易い。僕の能力はそれに特化しているともいえる。でも、自分のせいで他の人が巻き込まれるのは違う。それはダメだ。本来自分はこの世界において異物である。

 僕がいることで救われるのならばいい、僕はその為に来たのだから。

 だが、だがもし、僕のいるせいで誰がが終わることになるとするならそれはなんという悲劇だろうか。

 

 

 周りから叫び声が聞こえる。

「おい……マジかよ……無理だろそりゃ……」

「助けてっ!ねぇ、助けてよ……」

 入学試験であることを忘れ、この巨体を前に絶望しているのだろうか。

 

 

 だが、その裏で

「ケロケロ……そっちは危ないわ」

 と舌で落ちそうになっている受験生を助けるカエルっぽい子、蛙吹梅雨。

 

 

「みんなこっち〜!あのおっきいのから離れて!」

 と女の子の声で避難誘導する浮いている手、葉隠透。

 

 

「あれれー?ヒーロー志望生なのに逃げるの?ねぇねぇ。あ、ところでキミ個性は?発火?へぇ、そんな強そうな個性持ってて……ねぇ。まぁ、好きにしなよ」

 ニヒルな笑顔浮かべながら皮肉げに逃げる少年の肩に手を置き話す、物間寧人。

 

 

 一部ではある、それでも誰がが誰かを助けようと協力している。

 それなら、僕も動かなければ。

 さっきまではただの爆弾に見えていたこの動力源。

 爆弾なら爆弾としての使い道があるかもしれない……

 僕の個性じゃあ、今の練度ではこの巨体にできることは少ない。

 

 

 だから、まずは試す。

 鉄パイプで動力源を全力で叩いてみる。

 爆発しない……この程度の衝撃ではダメだ。

 では……熱はどうか?

 

 

「ねぇ!そこの発火の人!」

 さっき個性が発火と言っていた少年に声をかける。

 

 

 聞こえないのか、聞こえた上で逃げることを優先して無視されたのか……

「ぷぷぷー、うっわ、この人無視されてるー?はっずかしぃー」と皮肉げな少年こと物間が近寄ってくる。

 

 

 今は構っている場合ではない。

「みんなで協力してあれ、止めたい!個性教えてっ」

 

 

 一瞬煽るような表情を見せた物間だったがそんな場合ではないと気づいたのだろう。

 チッと舌打ちしながら

「個性"コピー"触れることを条件にその人の個性を五分使える……」

「さっき発火の人触ってたよね?!熱起こせる!?」僕がそう問うと

「あー、はいはいできますよー、……で、何したいの?」物間は気だるげにそう尋ねる。

 

 

 僕が試験中手に入れた仮想敵の動力源があること、もしかしたらこれを熱で爆発させられるかもしれないこと、足元を爆発させ崩落地面の底に叩き落とすことで時間稼ぎができるかもしれない事を説明する。

 

 

「あー、なるほどね?なるほど、僕が必要って事だね?なら相応のお願いの仕方ってあるよねぇ?」

 

 

「わかった!お願いします!」僕は迷わず頼む。

 物間は驚いた表情をしている。

 

 

 物間と話していると避難誘導を終えたのか蛙吹、葉隠も集まってくる。

 話を途中から聞いていたのだろう。もしかしたらあれを足止めできるかもしれないと、二人も僕に追随して頭を下げる。

「ケロ……私もお願いするわ……人が傷つくのは見たくないもの……」

「私からも……お願いします!」

 

 

「…………」

 物間は頭をボリボリと掻くと

「あー、はいはい!これじゃ、僕が悪者みたいじゃん、やるよやりますよ」

 少しいじけたようにそう言い何をすればいい?と尋ねてきた。

 

 

 まずは実験だ。

「この仮想敵から取り出した動力源に発火の個性を使って欲しい」

「はい、やったよ」

「もっと熱上げられる?爆発させるレベルまで」

「……できるけどこのままやったら僕たち纏めてドカンってなると思うよ?諦めてみんなまとめて死のうってことかなぁ?」

 

 

「大丈夫、僕の個性は置換、モノとモノの位置を置き換えることができる」

「だから爆発しそうになったら遠くに移動させられる」

「あっそ……じゃ、やるよ」

 

 

 僕、蛙吹、葉隠の6つの瞳が動力源に向く。

 物間のコピーした発火により仮想敵の動力源にどんどん熱が込められていく。

 赤く赤く、少しずつ膨らんでいく。動力源がパンパンに膨れ上がりはじめた。

「え、ちょいちょいちょい、もうやばいんじゃない?ねぇ?」と冷や汗をかく物間。

 

 

「もうちょっと……もうちょっと……――今!」

 

 

 ――――手を叩く――――

 

 

 先ほど見当をつけていた、仮想敵の進路上であり尚且つ、もろそうな地面に置いてあった石と爆弾になった動力源を置き換える。

 

 

 ドンっという大きな音と共に地面にヒビが入る。

 

 

「イケるっ!」

「じゃあ、君はこのままこれ全部に熱を込めて!」

「僕はあの仮想敵をポイントまで誘導する!」

「ケロケロ……私たちも手伝わせて欲しいのだわ……」

「そうだよー!ここまできてのけ者にしないでよっ」

 

 

「じゃあ、僕たちはあの仮想敵をポイントまで誘導する……いける?」

「「もちろん!」」二人の返事が重なる。

 

 

「え……これ全部?20個ぐらいあるんだけど……」時間足りるかな……と冷や汗をかき呟く物間を尻目に僕たちは行動を開始する。

 

 

 まずは僕だ、あの仮想敵の上空へ小石を投げては自身と置き換え、投げては置き換えを繰り返す。

「二十メートル上空からの落下攻撃……初めてだけど……やるよっ!」

 今まで落下攻撃は十メートルしか試してこなかった。

 今までの威力ではあの巨体を揺らすことすらできないだろう。

 だが……二倍の二十メートルなら、威力も上がるはずだ。

 

 

 拳を下に向け――

 落ちる、落ちる、真下にある巨大仮想敵に向け落下する。

 

 

 ドガンという音と共に巨大仮想敵に拳大の凹みをあたえふらつかせる。

 

 

「つっっっぐっっっ……」

 僕は落下でダメージを与えた際二十メートルは無理があったのか。巨大仮想敵を殴った腕が動かない、さらに頭ぶつけたのかぐわんぐわんと揺れている。それでも僕は止まらず落下する。

 ――落ちる、落ちる、落ちていく。

 蛙吹が舌で僕を巻き取ると地面に下ろした。

 

 

 さらに足元に控えていた蛙吹、葉隠の二人がどこから用意したのだろうか長くワイヤーを巨大仮想敵の足に絡ませて左右から引っ張りつまづかせようとしている。

 

 

「むむむむむむ……」

「ぐぐぐぐぐぐ……」

 唸る2人だが……

 足りてない………力が足りてない……

 失敗したか……?しっかり作戦立てるべきだった。

 そこに二人が先ほど避難誘導したであろう受験生たちが集まる。

 

 

「あんな女の子二人に全部任せて逃げるやつ、いねぇよなぁ!!」

「「「もちろん!!!」」」

「「「みんなひっぱれー!!!」」」

「がんばるぞー!!」と葉隠が叫ぶ。

「「「おぉーーー!」」」

 綺麗に左右に分かれ先ほどまで逃げていた受験生も協力していた。

 

 

 巨大仮想敵はさらにふらついている。

 物間は?と彼がいた場所を向くと、グッと親指を立てぐったりしている。

 

 

 なら、あとは僕がもうひと頑張りするだけ……

 動け――動け、動かせ、

 

 

 ――――――パン――――――

 

 

 手を叩く音が辺りに響き渡った。

 その瞬間巨大仮想敵の足元が爆発する。

 

 

 踏みしめる足場を失った巨大仮想敵はどんどん沈んでいく。みんなが大歓声を上げるそんな景色を映しながら

 

 

『終了〜〜〜‼︎‼︎』というプレゼントマイクの声と共に僕の意識は暗い世界に落ちていった。

 

 

 

 

 実技試験後、鬼人と打ち上げした際聞いた話だが

 鬼人は緑谷、爆豪、麗日、青山たちと同じ会場だったようだ。

「目を引くのはワカメ、イガグリ、ほんわか少女、他には…キラキラした奴いたわ」

「いやぁ、ワカメがすごくてさぁ、0Pの仮想敵ワンパンしちゃったんよなぁ!すげぇって思わず叫んじゃったぜ。ああいうやつに合格してほしいよな。」

 

 

 うん、彼らは良いヒーローになるよ。見る目あるね、鬼人。

 

 

「にしても、隷。お前毎回気絶しすぎじゃね?」

 あ、うん、それは言わなくていいと思う。

 僕もそう思ってる……

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