推しのために死に続ける話。   作:三つ首黒虎

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お待たせしました!
ここからまた物騒なお話が始まりますね!
やったぜ。





32話 林間合宿 強襲

 

 

 暗闇の中に複数の影が佇む。

 その中の一人、セーラー服を着た少女――トガヒミコは口元につけたマスクを指して不服そうに呟いた。

「ていうか、これ嫌。可愛いくないです」

 

 ガスマスクをつけた少年は言葉を返す。

「裏のデザイナー・開発者が設計したんでしょ、見た目はともかく理には適ってるはずだよ」

 

 しかし、そんなことは知らないとばかりにトガヒミコは眉を顰める。

「そんなこと聞いてないです。可愛くないって話です」

 

 黒い外套を被った男は唸りをあげる。

「どうでもいいから早くやらせろ。ワクワクが止まんねえよ」

 

 そして、火傷の青年――荼毘、彼の言葉と共に足音が響く。

「黙ってろイカレ野郎共。まだだ……決行は――十人全員揃ってからだ」

 

 サングラスをかけたオネェ味のある髭面の男。

「おまた――」

 

 拘束具に包まれた歯茎剥き出しの男。

「仕事……仕事……」

 

 トカゲのような緑色の肌をした異形型の男。

「……」

 

「威勢だけのチンピラをいくら集めたところでリスクが増えるだけだ。やるなら経験豊富な少数精鋭」

 

 現時点で総勢七人、彼らが動くのは――今ではない。

 今はただ高みから見下ろすのみ。

 

「まずは思い知らせろ……てめェらの平穏は俺たちの掌の上だということを――」

 

 

 

 ♦︎♦︎♦︎

 

 二日目も初日同様個性伸ばす訓練。記録は初日の256mに対し368m。少し要領がつかめてきたように感じる。怪我をする頻度も昨日に比べ格段に減った。昼間は鍛え、食事食べ、夜は遊び、疲れて寝る――僕たちの林間合宿は二日目を無事に終えた。

 

 

 起床そして朝食を終え、三日目へ物語は進む。

 

 訓練再開直後ピクシーボブが告げた。

「ねこねこねこ……皆!今日の晩はねぇ……クラス対抗肝試しを決行するよ!しっかり訓練した後はしっかり楽しいことがある!ザ!アメトムチ!」

 

「というわけで、今は全力で励むのだぁ!!!」

 

 A組、B組共に士気が高揚し訓練に身が入る。

 当然僕もこんな青春みたいなものにテンションを上げないわけもなく……

 置換隷、記録更新。本日の記録467m、残り33mもうゴール目前。ピクシーボブの魔獣の動きに慣れ避けることが上手くなってきた。もう一日あれば50cm単位の置換を繰り返し魔獣を避けながら500m先のゴールまで辿り着けるだろう。

 

 攻撃に対し個性を使って避けるのか、使わずに避けるのかの避ける判断が出来るようになってきている。また、午後にはヒーローの指導のもと検証も行えた。

 

 置換できる最小サイズが直径8mm程度、最大サイズは全長10mほど。置換対象は視界に収める必要があり、自身の身体であればその条件を必要としない。最大置換可能距離は20m、最小置換距離は約1cm。

 個性発動から置換対象まで移動する時間は約1秒、距離の変化で時間は増減しない。ラグドール曰くそしてこの1秒僕は何処にも存在しない可能性が高い……らしい。らしい……と言うのもラグドール自身もあまりわかっていないらしい。

 

 思い当たる原因は個性そのものの問題なのか、転生くらいしかないが……伝えるわけにもいかず……さっぱりわからない。今考えてもわからない為、置換中の僕の在り方については記憶の隅に留めておくことにした。

 

 

 

♦︎♦︎♦︎

 

 

 

 そして夜――辺りは闇に包まれている。僕たちは夕食を終え森の前に集まっていた。

 そう、クラス対抗肝試しだ。

 

 

 上鳴くんの後に芦戸さんが言葉を続ける。

「さて!腹も膨れた。皿も洗った!お次は……」

「肝を試す時間だーーー!!」

 

 そこに水をさすように……いや水を差して相澤先生が口を挟む。

「その前に、大変心苦しいが……補習連中は……これから俺と補習授業だ」

 

 

 芦戸さんは一度ポカンと表情を固まらせると全力でツッコんだ。

「ウソだろ!!!!!!」

 

 

 欠片も悪びれた様子なく淡々と言いながら補習組を捕縛布で捕縛し引きずる相澤先生。

「すまんな、日中の訓練が思ったより疎かになってたのでこっちを削る」

 

「うわああ――堪忍してくれえ、試させてくれえ!!」

 非常に物悲しい声があたりに響く……芦戸さん、瀬呂くん、上鳴くん、砂藤くん……南無。

 

 肝試しの内容についてはプッシーキャッツの面々が説明をしてくれた。

「はい。というわけで脅かす側、先行はB組。A組は二人一組で三分おきに出発。ルートの真ん中に名前を書いたお札があるからそれを持って帰ること!」

 

「脅かす側は直接接触禁止で、個性を使った脅かしネタを披露してくるよ」

 

「創意工夫でより多くの人数を失禁させたクラスが勝者だ!」

 

 

 肝試しのメンバーはくじ引きで決まり――

 こうなった。

 ①常闇、障子

 ②爆豪、轟

 ③耳郎、葉隠

 ④八百屋、青山

 ⑤麗日、蛙吹

 ⑥尾白、峰田

 ⑦飯田、口田

 ⑧置換、緑谷

 

 上記の8チームである。

 

 

 

 

 12分後――

「じゃ、五組目……ケロケロキティとウララカキティGO!」

 ピクシーボブの言葉とともに五組目の麗日蛙吹ペアが出発した。

 

 その後すぐのことだった。

 あたりに焦げ臭い匂いと視界に黒煙が漂い始めた。

 この場にいるのは僕、緑谷くん、飯田くん、口田くん、峰田くん、尾白くん、プッシーキャッツの四人だけである。

 

「何このこげ臭いの――……」

「?」

「黒煙……」

 

 

 

「確認してくるわ」

 そう言い状況を確認するため森の中にピクシーボブが進む。直後何かを鉄のようなもので硬い何かを打ったような鈍い打撃音。飛び散る血痕、人が地面に崩れ落ちる音。ピクシーボブが頭部より血を流し倒れ周囲にざわめきが広がった。

 

 そして――森の中より二人の男が出てきた。ロン毛のサングラスをかけた男、トカゲのような見た目の男の二人組だ。

 

 

「何で……!万全を期したハズじゃあ……!!」

「何で…………何でヴィランがいるんだよォ!!!」

 

 

 そんな峰田くんの声に呼応するようにトカゲ男が下品な高笑いを誇らしげにあげた。

「ご機嫌よろしゅう雄英高校!!我ら敵連合開闢行動隊!!」

 

 

「敵連合…………!?何でここに……!!」

 

 

 サングラスの男は倒れたピクシーボブの頭にに鉄の棍棒を滑らせる。

「この子の頭潰しちゃおうかしら、どうかしら?……ねぇ、どう思う?」

 

「させぬわ、このっ……」

 虎が激昂し近寄ろうとするが何故か仲間であるトカゲ男が前に立ち待ったをかけた。

 

「待て待て早まるなマグ姉!虎もだ落ち着け。生殺与奪は全て――ステインの仰る主張に沿うか否か!!」

 

 この場で誰よりもステインと因縁のある飯田くんが反応した。

「ステインの……!あてられた連中か――――…………!」

 

 

「そして、アァ、そう!俺はそう、おまえ。君だよメガネ君!保須市にてステインの終焉を招いた人物」

 

 男は背中に背負っていた布の巻かれた大剣……だろうかそう思われる柄を手に取る。

 

「申し遅れた。俺はスピナー――」

 

 そのまま剣を振り抜き、剣に巻かれていた布が解かれた。そこには日本刀、西洋剣、中国剣などさまざまな刀剣がベルトやチェーンでで乱雑に一つに纏められていた。

 

「――彼の夢を紡ぐ者だ」

 

 スピナーそう名乗った男は目を見開き笑みを浮かべた。

 

 そんなスピナーに対し虎は怯まず一歩前に進む。

 

「何でもいいがなぁ、貴様ら……!その倒れてる女……ピクシーボブは最近婚期を気にし始めててなぁ。女の幸せを掴もうって……いい歳して頑張ってたんだよ」

 

「そんな女の顔、キズモノにして――男がヘラヘラ語ってんじゃあないよ」

 

 虎から強い怒りを感じる。当然だろう、婚期が……と虎も言っていたこともあるし、ピクシーボブがいい人だって僕らもこの三日間実感している。仲間がやられて怒らない人はいない。

 

 スピナーはそんなことはあってはいいはずないだろうと大剣を構え虎に迫る。

「ヒーローが人並みの幸せを夢見るか!!」

 

 虎とマンダレイがスピナーと僕らを遮るように前に出た。

「虎!!指示は出した!他の生徒の安否はラグドールに任せよう。私らは二人でここを押える!!」

 

「皆行って!!良い!?決して戦闘はしない事!委員長引率!」

 

 飯田くんがそれを受け取り僕たちを先導する。

「承知しました!行こう!!」

 

 

 

 しかし何故か緑谷くんが待ったをかけた。

「………………飯田くん、先行ってて」

 

「緑谷くん!?何を言ってる!?」

「緑谷!!」

 

 緑谷くんは僕たちの声を無視しマンダレイに声をかける。

 

「マンダレイ!!僕――知ってます!!」

 

 

 緑谷くんは何かすることがあるらしい。僕たちはその場面を尻目にその場からさり宿泊所へと戻る為森の中を駆ける。僕が先行しても意味がない、だからここで個性は使わない。ここにいる飯田くん、尾白くん、峰田くん、口田くん、僕の五人で戻らなければいけないんだから――

 

 

 

 宿泊所の方角をみると黒い煙が空へ向かって漂っている。

「飯田くん!煙が……」

 

「何っ!?本当だ……置換くん、上に上がって様子を見てもらってもいいか!?」

 

「うん!任せて!!」

 

 僕は個性を使い空を駆ける。闇の中生い茂る木の葉を抜け宿泊所の方角に視線を向けた。

 

「戦ってる!捕縛布がみえる……相澤先生とヴィランだ!!」

 

 下の森から飯田くんの声が聞こえた。

「わかった。感謝する置換くん!一旦降りて共に戻ろう!宿泊所が心配だ」

 

「わかっ――」

 了承の返事を返そうとしたその時だった。僕の腕は何かに吸い寄せられるように引っ張られた。個性を使い別の場所に移動するも引力は変わらない。

 

「ごめんっ……飯田くん、皆、僕捕まった!!どうにかするから、先に行ってて――」

 

 そうして僕は森の中へ――誰もいない深淵へと誘われた。

 




執筆時間が……とれぬ……

始めた以上完結は絶対にさせるのでご安心を!と言うよりまだ書きたいところぜんっっぜん書けてないのです。
プロット見たら完結目標文字数の半分終わってて無理じゃんってなってます。
現時点で、物語的に10%進んでたら良い方……
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