文章量が……いい感じの区切りにすると短くなっちゃうすね。
少ないですがどぞ!
33話 再会
──引き寄せられる、吸い寄せられる、謎の引力に僕の身体は導かれてる。
なぜか僕の意思とは反して、どれだけ抵抗しようとも身体は森の中をどこかに向かいまっすぐ引き寄せられている。
「ぐっ……」
僕は引き寄せられた事による自然の暴力を防ぐので精一杯だ。枝や葉は僕の引き寄せられる速度のせいで鋭い刃になる。
右頰が軽く裂けた。前腕に、脇腹に枝が刺さる。掌は葉や枝などの自然の猛威を払い続けてもうボロボロだ。
どこで聞いたか覚えてはいないけれど、柔らかい豆腐ですら時速340kmでぶつかれば人を殺せてしまうらしい。
実現不可能と思うだろう、当然だろう。そもそも風圧で豆腐は崩れるだろうし、そんな速度で投げられる人がいるわけがない。
僕が言いたいのは――速度は武器になる。
たとえ普通では凶器にならないものすらも人を殺せる凶器に変えてしまう。
目的地に辿り着いたのだろうか、引力は弱まり僕は地面へと投げ出された。
「っは――は――はっ――はっ――」
……止まっ……た………?
まずは呼吸を整えないと……
呼吸を整えることに成功すると今度は身体の痛みに意識が向く。
「……っ……」
数分といえど、自然の猛威に晒され続けた僕がこうなっているのは必然だった。
身体中は薄い切り傷で覆われ、掌はズタズタに右脇腹と左腕には枝が突き刺さった後がありそこから雫のように血が滴っている。
いたい……けど……今はそれより……誰が僕を――
周りを見渡す。
変わらずあたりは森のまま、しかしその場所に木はなく少し開けた広場……のように見える
この広場は森を切り取り人為的に作られた――僕にはそう思えた。なにせ、明らかにここにあったであろう木材が大きさはバラバラのまま乱雑に置かれている。
ザッと足音が聞こえた。僕はすぐさま音の方向へ振り向く。
「や、隷くん。元気してた?あれ、なんでそんな怪我してるのかな」
「――カイ」
「そーそー、俺様カイちゃん。会えて嬉しいよ――と言っても俺が呼び寄せたんだけどね」
カイは警戒する僕の周りをぐるぐると歩き回る。
「ここで会う予定はなかったんだぜ?ほんとに、嘘じゃない。ただ……連合についてきてみたら、なんか隷くんたちの学校が来てるじゃん?これは会いに行くしかないなぁ……と」
僕は疑問をカイに投げる。
それなら――
「ここに引き寄せたのはおまえが――?」
カイは足を止めると頰を朱に染め恥ずかしげに視線を逸らす。
「んー、まぁそだね。やっぱ好きな人がいるなら会いたいじゃん?」
「……好き……?」
「そう、好きな人……だ。愛していると言ってもいい。キミだけが俺を理解出来るし、俺だけがキミを理解出来る」
他にこんな人はいないよ?と自慢げにカイは僕に視線を向ける。
「本当はさ……忘れるつもり……我慢するつもりだったんだ。それがキミとの約束だったから。でも好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで大好きでたまらなくて、愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて――だけど……だけどさぁ、他の女見てるんだぜその男が……だから、見てるだけじゃ我慢できなくなって……俺のことずっと見てもらうためにはどうしたらいいかなって。俺は思いついた、革命的だと思った。俺はヴィランでキミはヒーローだ。俺をみてもらう、強い感情を向けてもらう為に……そう――恨んでもらおうと思ったんだ」
……意味がわからなかった。何を言っているのかさっぱりわからない、なんで僕にそんな感情を向けるのか、何故そこで恨んでもらおうというように思考がいくのか何もかも意味がわからない。狂気を感じた。
「イカれてる――」
そう言われたカイはそれでも笑う。
「そう!イカれてるんだ。いいんだよそれで、愛に狂わされたんだ。好きな人がいるってのはね、とっっっっっっっっっても素晴らしいんだよ」
「でね、そんな隷くんにアピールする為にプレゼントを用意してみたんだ」
カイの言葉と共に落下音が響く。あたりは土煙に覆われた。土煙の中から凄まじい圧を感じ背筋が凍る。
「ほら、覚えてるかな?田曽宮市、あの時の男。なんか聞いた話だと一番仲がいいって話じゃないか。いつまでもそんなやつを閉じ込めておくのもアレだろう……?だから――」
煙が少しずつ晴れる。黒い筋肉に覆われた肉体が姿を表していくにつれ、それから出る圧も加速度的に増していく。
「だから――ここに連れてきてあげました!!」
それを見た瞬間、なんでここにいるとか、そんな姿の理由もとか、さっきまで感じていた圧とか、全て頭の中から消え去った。
「……鬼……人……?」
「ふと、隷くんいるならなーと、さっき思いついてさ。ほんと黒霧って便利だよね。どこにでも行けるんだもん。ちょっと渋ってたけどそんなの知らないし俺の為に働けって話だ」
カイが何かを言っている。しかし僕は鬼人に視線が固定され他の情報は何も入らない。
……鬼人……鬼人だ!よかった無事だったんだ!
僕は痛みを忘れ鬼人に駆け寄ろうと近づ――
「あ、隷くんダメだよ――」
黒い何かが一緒見えたかと思うと左腕に衝撃、僕は吹き飛ばされた。
「そいつ回帰させたのはいんだけど……戻りすぎたのか壊れちゃっててさ……」
一本二本三本と木の幹に衝突しようやく止まった。
カイは微笑う、笑う、嗤う。
「だから――みてくれるでしょう?俺に何よりも強い感情を向けてくれるでしょう?」
僕は折れた左腕を抱えながら怒号をあげた。
「カ……カイィィィィィィィィーーーーーー!!!!!」
「そう、それ!それが欲しかったんだ。ちゃんと俺をみてね――」
「隷 く ん ?」
一応自分にも刻み込む為にここに残しておきます。ヒロインはミッドナイトですよ?
カイは少なくともこの作品ではヒロインになりません。
それは絶対。
次回、置換vs鬼人
ふぁい!