推しのために死に続ける話。   作:三つ首黒虎

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お待たせしました!
基本夜勤でしか執筆しないもので…時間かかって申し訳ない。
今回は体力テストのお話です。

それでは、どうぞ。

あ、ちょっと最後の方加筆してます。


4話 個性把握テスト

「実技総合出ました」

 暗い会議室で話す数多の教員ヒーロー達。

 

「救助P0で一位とはなぁ‼︎」

「仮想敵は標的を捕捉し近寄ってくる。後半他が鈍っていく中派手な"個性"で寄せ付け迎撃し続けた。タフネスの賜物だ。」

 

「対照的に敵P0で七位。アレに立ち向かったのは過去にもいたけど……ブッ飛ばしちゃったのは久しく見てないね」

「思わずYEAH!って言っちゃったからな――」

 

「しかし自身の衝撃で甚大な負傷……まるで発現したての幼児だ」

「妙な奴だよ。あそこ以外はずっと典型的な不合格者だった。」

 

「細えことはいんだよ!俺はあいつ気に入ったよ‼︎」

「YEAH!って言っちゃったしな――」

 

「そういえば、最後にグループ一丸となって0Pを文字通り倒した奴らもいたな」

「うん、いたね。男女四人が先導して立ち向かっていたグループだろう?少年少女らの行動が他の受験生の気持ちを動かしんたんだろう」

「あれね……ああいう青臭いの……好み‼︎」

「実際先導した少年は我先にと仮想敵を止めに走っていた。実際、あの救助行動と敵Pで二位にまで食い込んだ」

「うん、よく機転を効かせたと思うよ。そうじゃなければあの少年が集めた仮想敵のコアと0P仮想敵がぶつかり大爆発でも起こすところだった」

 

 

 (…………ったく、わいわいと……)

 

 

 

 

 

 春

 そう、それは高校生活の始まり。

 

「隷や……忘れ物……ないか?」

「うん!ないよ」

「じゃ……頑張れよ」

「ありがと!じいちゃんばあちゃん行ってきます」

 

 気持ち良い太陽がこれからの学生生活を祝福するように僕を照らす。

 

「おはよ!鬼人」

「おう、隷。おはよさん」

 鬼人と最寄り駅で合流し雄英高等学校に向かう。

 

 そこから電車移動すること二時間。

 そこに雄英高等学校が聳え立っていた。

「相変わらずデケェなぁ……」

「もう、鬼人くるたびにそれ言ってるよ」

 僕は苦笑いしながら鬼人に軽くツッコむ。

 

 毎年三百を超える倍率の正体。

 

「あ、僕は1-Aみたい鬼人は?」

「あー、マジかよ。俺は1-Bだ……またクラスちげぇじゃん」

 

 一般入試、定員三十八名。

 十九人ずつでなんと二クラスしかない。

 

「お、俺はここだな。流石雄英、ドアすらデケェ……俺の身長の倍あるとか……」

「それじゃあ、鬼人また後で!」

 そう言って鬼人と別れた後、僕は1-Aに辿り着いた。

 

 ドアの前でモジモジしている緑谷を見つけた。

「あの受験者数から選ばれた人たち……」

 目を閉じ扉に手をかけている。

 

 あ、扉を開けて覗き込んでる……

 急に目が死んだ!⁉︎何あった⁉︎

 

「おはようございまーす……」

 と小声で挨拶し緑谷の後ろからそっと教室を覗き込むと……

 

 

 机に足をかけたイガグリ少年こと爆豪勝己と、ガリ勉メガネこと飯田天哉が言い争っていた。

 

「ボ……俺は私立聡明中学出身、飯田天哉だ」

「聡明〜〜〜?くそエリートじゃねぇか、ぶっ殺し甲斐がありそだな」

 飯田に対し爆豪が睨みつけている。

 

「君ひどいな、本当にヒーロー志望か⁉︎」

 と飯田が驚愕した表情を浮かべる。

 

 飯田と僕の前にいる緑谷の目線が合った。

 緑谷の方に飯田が歩いてくる。

「俺は私立聡明中学の……」

「聞いてたよ!あっ……と僕、緑谷。よろしく飯田くん……」

 

そんな二人の横を素通りし自分の席を探していると

「あ、試験の時の気絶した男の子!」

 後ろから聞き覚えのある声がして振り向くと

 

 ――――そこには制服が浮いていた。

 

「‼︎⁇」

 

「あ、まったくもう。忘れちゃったの?一緒に試験受けた葉隠、葉隠透だよ!」

「あ、見えなかった女の子!」

「ひどい覚え方だ!!?」

 見えないが眼前の少女は驚愕しているのだろう。服がコミカルにぴょこぴょこ動いていて少し面白い。

「えっと、僕は置換隷。よろしくね葉隠さん」

「うん!置換くんこれから一年間よろしく!あとね、梅雨ちゃんもいるんだよ!」

「梅雨ちゃん…?」

 あぁ、蛙吹梅雨……のことだろう。

 なんだか前より原作の記憶がはっきりしないような……

 あまり思い出せない。

 

 そこに横から話しかけられる。

「ケロ……私蛙吹梅雨っていうの。梅雨ちゃんって呼んで」

「うん、確かにあの時の蛙の子だね。女の子を下の名前で呼ぶのは恥ずかしいけど……梅雨ちゃんって呼べばいいのかな?」

「えぇ、そうしてくれると嬉しいわ」

 嬉しそうに梅雨ちゃんは笑顔を浮かべる。

 

「置換くん!私、流石に蛙の子って言い方はどうかと思います!」

「確かに……ごめんね。あす…梅雨ちゃん」

 梅雨ちゃんの少し悲しそうな表情を見て言い直す。

 

「いいのよ、気にしてないわ」

「そうだ、もう一人の男子は………?」

「あー、もう一人はねこのクラスじゃないみたい」

「ケロ……Bクラスで見かけたわ」

「あ、そうなんだね。Bクラスかぁ、後で鬼人に聞いてみよ」

 そんな話をしているとチャイムが鳴った。

 始業の合図だろう。

 

 席に向かっていると、

「お友達ごっこしたいなら他所へ行け」

 と低い声が教室に響き渡る。

 

 声の聞こえた方向を向くと

 緑谷、麗日が後ろを向いて固まっている。

 さらにその奥、足元を見ると廊下に寝袋に包まった浮浪者のような男が寝転んでいた。

「ここは……ヒーロー科だぞ」

 男はそう言いながら飲むゼリーを寝ながら勢いよく吸っていた。

 

 え……

 あ、相澤先生か……と思いつつもやっぱり

 (((((なんか‼︎いるぅぅ‼︎)))))

 という反応はしてしまう。

 クラスメイトも同じだろう。

 まさか、天下の雄英にこんな浮浪者のような男がいるとは……と。

 

「ハイ、静かになるまで八秒かかりました。時間は有限。君たちは合理性に欠くね」

 と言いながら寝袋から出てくる相澤先生。

 

「てことは……この人もプロのヒーロー……?」

 緑谷が呟く。

「担任の相澤消太だ。よろしくね」

 そう相澤先生は挨拶すると寝袋の中から体操着を出し

「早速だが、体操着着てグラウンドに出ろ」

 と生徒に言い放った。

 

 ……え、さっきまで先生入ってたよね……その寝袋……生暖かくない……?

 あと……入学式……え?大丈夫なの?

 

 

 まぁ、そんなこんなで僕たちA組は体操着に着替えグラウンドに出る。

「個性把握……テストォ⁉︎」

「入学式は⁉︎ガイダンスは⁉︎」

 という生徒たちの質問に相澤は淡々と言った。

「ヒーローになるなら、そんな悠長な行事出る時間ないよ」

「……⁉︎」

 

「雄英は"自由"な校風が売り文句。それてそれは"先生側"もまた然り」

「………………?」

「ソフトボール投げ、立ち幅跳び、五十メートル走、持久走、握力、反復横跳び、上体起こし、長座体前屈。中学の頃からやってるだろ?"個性"禁止の体力テスト」

「国は未だ、画一的な記録を取って平均を作り続けている。合理的じゃない。まぁ文部科学省の怠慢だよ」

 

「爆豪、中学の時ソフトボール投げ何メートルだった?」

「六十七メートル」

「じゃあ"個性"を使ってやってみろ。円から出なきゃ何してもいい。早よ」

「思いっ切りな」

 

「んじゃまぁ」

 と爆豪は言うと、思い切り振りかぶり

「死ねぇ‼︎!」

 と言う声と共に"個性"を発動させる。

 大気を揺るがす爆発音と共にボールは雲を裂きながら飛んでいく。

 

 トッと地面についたと同時に

「まず自分の『最大限』を知る。それがヒーローのそじを形成る合理的手段」

 相澤先生そう言いながら数字の書かれた端末を見せてくる。

 端末上705.2mと記されていた。

 

「なんだこれ‼︎すげー面白そう!」

「705mってマジかよ」

「"個性"思いっきり使えるんだ‼︎さすがヒーロー科‼︎!」

 

「…………面白そう……か」

「ヒーローになる為の三年間」

「⁉︎」

「そんな腹づもりで過ごす気でいるのかい?」

「よし、トータル成績最下位の者は、見込み無しと判断し……除籍処分としよう」

「はぁぁぁ⁉︎」

 

 そうだ、そうだった。思い出した、相澤先生は見込み無しの生徒を除籍処分にするんだった‼︎

 

「生徒の如何は先生の"自由"ようこそ。これが……」

「雄英高校、ヒーロー科だ」

 

 ダメだ、ここで当然手は抜けない。

 目的のために頑張らないと……

 

 

「最下位除籍って……!」

「入学初日ですよ⁉︎いや初日じゃなくても……理不尽すぎる‼︎」

 クラスメイトが相澤に訴えている。

 

 でも……そう、

「自然災害……大事故……身勝手な敵たち……。いつどこから来るかわからない厄災、日本は理不尽にまみれている」

 

 そうなのだ、相澤先生の言うとおり

 日本は……いや、世界は理不尽にまみているのだ。

 思い出せないけどこの先、雄英には理不尽が降りかかり続ける。

 仮に雄英ではなくてもそう。

 僕みたいにある日突然人混みに押されて電車に潰される……そんな理不尽があるかもしれない。

 生まれが……見た目が悪いから、そんなことで迫害される理不尽があるかもしれない。

 ある日仕事をしていたら……理不尽に命が奪われることだって……あるかもしれない。

 

 だから……

「そういう理不尽を……覆していくのがヒーロー」

「放課後マックで談笑したかったならお生憎。これから三年間、雄英は全力で君たちに苦難を与え続ける」

「"Plus Ultra"さ。全力で乗り越えて来い」

 

 まず、強くなる。そのために……鍛えてもらうために。まずはこの個性把握テスト、クリアしなければいけない。

 そもそも、僕は弱い。もう思い出せないけれどミッドナイトが命を失うことだけは知っている。だからそこを覆せる程度には……強くならなければならない。

 

「さて、デモンストレーションは終わり。こっからが本番だ」

 

 

 

 第一種目:五十メートル走

 

 これは得意分野だ、

 準備のため校庭の石を5個ばかし拾う。

 

 石を投げ"個性"を使い石と自分の場所を置換するだけでいい。

 ただそれだけで……

「4秒06」

 平均を半分以上上回ることができる。

 

「うぉっ、すげぇ!転移系か⁉︎」

「あはは……」

[置換 隷 “個性"「置換」モノとモノの位置を置き換えることができる! 当然自分だけで移動はできない。置き替えるモノが必要だ!]

 

「3秒04!」

「もっとすげぇ‼︎」

 [飯田天哉 "個性"「エンジン」見たまんまだ!脚が速い!]

 

 流石だなぁ、速さでは勝てないかぁ…………

 

 蛙吹梅雨

 5秒58。

 

 [麗日お茶子 "個性"「無重力」 触れたモノにかかっている引力を無効化する!ただしキャパオーバーすると激しく酔う]

「7秒15」

 

 

「フフ……皆、工夫が足りないよ」

 

 ヨーイ

 

「“個性"を使っていいってのは」

 

 START!

 

「こう言うことさ!」

 進む方とは逆を向き、腹部からレーザーを出し後方へ飛ぶ。途中で落ちたがそこからもう一度“個性"を使用し飛ぶ。

「5秒51‼︎」

「一秒以上射出すると……お腹壊しちゃうんだよね」

 [青山優雅 “個性"「ネビルレーザー」 へそからレーザーが出る!持続時間がネックだ!]

 

「爆速‼︎」

「4秒13!」

 [爆豪勝己 “個性"「爆破」]

 

「7秒02!」

 [緑谷出久 “個性"「  」]

 

「………………」

 

 第二種目:握力

 これは……うん、無理だ。個性使ってもしょうがない。

 記録 60.5kgw

「やった!中学より伸びた。鬼人とのトレーニングのおかげだね」

 

 

「540キロて‼︎あんたゴリラ⁉︎タコか‼︎」

「………………」

「タコって……エロいよね……」

 

 うわぁ、すごいなぁ……

 憧れるや。

 

 第三種目:立ち幅跳び

 

 これは得意分野だ。

「よいしょっと」

 石を拾い投げるッ!

 あとは手を叩けば石の落ちた位置に置換できる。

 

 第四種目:反復横跳び

 これも……ギリいける……かな?

 線の横に石を置いて……っと

 手で拍手し置換し続ける。

「おぉ!」

 周りから声が上がる。

「でも……シュールだ……」

 

 やっぱり、カッコ悪いよね。僕もそう思う。

 

 第五種目:ボール投げ

 んー、ボールかぁ。これは普通に投げるしかないかな。

 僕の置換は置き換えた時点で元々のものにかかっていた加速は消えてしまう。だから、石を投げてボールと置換しても真下に落ちることになるのだ。

 

「セイ‼︎」

 麗日が投げる。綿毛のようにボールは飛んでいき……

 記録 ∞

「∞!⁉︎すげぇ‼︎∞がでたぞ――!」

 

 

 飯田と爆豪が話している。

「緑谷くんは、このままだとマズいぞ……?」

「ったりめーだ。無個性のザコだぞ!」

「無個性⁉︎彼が入試時に何を成したか知らんのか⁉︎」

「は?」

 

 そう、緑谷はオールマイトの個性の継承者。

 

 そんな、緑谷が……投げる。

 

 

「46m」

 相澤先生の淡々とした声が聞こえた。

 

 

 緑谷は絶望した表情をしている。

「な……今確かに、使おうって……」

「“個性"を消した」

 

「⁉︎」

 

「つくづくあの入試は……合理性に欠くよ。お前のような奴も入学できてしまう」

「消した……‼︎あのゴーグル……そうか…………!」

 

 視ただけで人の“個性"を抹消する“個性"‼︎

「抹消ヒーロー、イレイザーヘッド‼︎‼︎」

 

「イレイザー?俺……知らない」

「名前だけは見たことある!アングラ系ヒーローだよ!」

「マイナーだもんね……」

 

 

 「見たとこ……“個性"を制御できないんだろ?また行動不能になって……誰かに助けてもらうつもりだったか?」

「そっ、そんなつもりじゃ……!」

「どういうつもりでも、周りはそうせざるを得なくなるって話だ」

 

「昔、暑苦しいヒーローが大災害から一人で千人以上を救い出すという伝説を創った」

「同じ蛮勇でも……おまえのは一人を助けて木偶の坊になるだけ……緑谷出久、お前の"力"じゃヒーローにはなれないよ」

 

「“個性"は戻した……ボール投げは二回だ。とっとと済ませな」

 

「…………」

 緑谷はぶつぶつと独り言を言っている。

 

 上から青山、飯田、爆豪が呟く。

「彼が心配?僕はね……全っ然」

「指導を受けていたようだが……」

「除籍宣告だろ」

 

 緑谷が再びフォームに入った。

 

「見込み――」

 

 投げ――

「ゼロ……――――――⁉︎」

 

「今」

 緑谷はボールが指から離れる一瞬、その一瞬に“個性"を使った。

 SMASH‼︎

 

「あの痛み……ほどじゃない‼︎」

 

 記録705.3m

 

「先生…………!まだ……動けます」

 緑谷は涙を浮かべ唇を噛み締めながらそう言った。

「こいつ…………」

 相澤先生が目を見開き呟く。

 

 

 そうだ、これが緑谷出久だ。

 僕の憧れた"僕のヒーローアカデミア"の主人公緑谷出久だ。無個性から始まり、“個性"を得て、努力して試行錯誤しながら成長していく少年だ。

 

「やっとヒーローらしい記録出したよ――」

「指が腫れ上がっているぞ。入試の件といい……おかしな個性だ……」

「スマートじゃないよね」

「………………、………………‼︎!」

 

「どーいうことだ!ワケを言え!デク、テメェ‼︎」

「うわぁぁ‼︎!」

 爆豪に襲われる緑谷。

 白いテープが爆豪を縛り付ける。

 

「んぐぇ‼︎」

「ぐっ……、んだ!この布、固くっ……‼︎」

 

「炭素繊維に特殊合金の鋼線を編み込んだ『捕縛武器』だ。ったく、何度も“個性"を使わすなよ……」

「俺は……ドライアイなんだ」

 [相澤消太 “個性"「抹消」 視た者の“個性"を消す!瞬きすると解ける!]

 

「時間がもったいない。次、準備しろ」

 

「指、大丈夫?」

 と麗日が心配そうに緑谷に尋ねている。

「あ……うん……」

 

「っ…………」

 

 

 いいものが見れた。さぁ、残りの種目も頑張ろう。

 

 第六種目:上体起こし

 第七種目:長座体前屈

 第八種目:持久走

 

 あれ……?さっき頑張ろうって決めたのに残りの種目……僕の“個性"いかせなくない!!!?

 いいさ、“個性"なしでやってやる。

 あんなにかっこいいものを見せてもらったんだ。

 なくなって……できる……はず……。

 

 そんなこんなで全種目を終了――――

「んじゃ、パパッと結果発表」

 相澤先生がそう告げる中、緑谷以外のみんなは申し訳なさそうに俯いている。

 それはそうだろう、緑谷はボール投げ以外はパッとした記録はない。だから、トータル最下位は緑谷になるだろう……と。

 

「トータルは単純に各種目の評点を合計した数だ。口頭で説明すんのは時間の無駄なので一括開示する」

 

「ちなみに、除籍はウソな――」

 ぽつりと相澤先生はつぶやいた。

 

「⁉︎」

 驚くクラスメイト。

 

 ……………………あ、そうだった。

 思い出した。そうだ。結局緑谷に可能性を見た相澤先生は除籍をウソということにしたんだった。

 

 それにしても、やはりもう原作知識は頼りにならなそうだ。全てを終えた後にその場面についての記憶が呼び起こされる。それより前はどんなに頑張ろうが思い出すことはできない。

 

 

「……………………⁉︎」

 

「君らの最大限を引き出す……合理的虚偽」

「はーーーーーー‼︎‼︎⁇」

「あんなのウソに決まってるじゃない……ちょっと考えればわかりますわ……」

 

「そゆこと。これにて終わりだ。教室にカリキュラム等の書類あるから目ぇ通しとけ」

「緑谷、リカバリーガールのとこ行って治してもらえ。明日からもっと過酷な試練の目白押しだ」

 

 そう言えば……と順位を見る。

 僕の順位は二十一人中十二位、まずまずの出来だろう。

 

 

 

 初日終了。下校時間――――

 

「それじゃ、梅雨ちゃん、置換くんまた明日ね〜!」

「ケロケロ、二人ともまた明日。」

「うん、また明日」

 僕は葉隠さんと梅雨ちゃんと別れ、校門前で鬼人を待っていた。

「お、きたきた。鬼人〜!」

「ん?おぉ、隷じゃん。入学式いなかったけど何してたんよ」

「あー、個性ありの体力テスト」

「マジか!?羨ましいな、オイ。俺らなんて座って先生の話聞くだけのクソつまらん入学式だぞ……」

「いやいや、それがさ〜」

 

 僕は今日あったことを鬼人に話しながら帰路に着く。

 

「除籍⁉︎」

「いやまぁ、ウソってことになったんだけど……」

 

 また明日も学校だ。早く帰って休もう。

 流石に今日は精神的にも肉体的にも疲れたからね。

 

 

 翌日、プレゼント・マイクが授業をしている。

「んじゃ、次の英文のうち間違っているのは?」

 

 返答がないクラスメイトたちを見かねたのか

「おらエヴィバディヘンズアップ盛り上がれーーー!‼︎」

 といつものテンションになり始めた。

 

 いやぁ、普通だなぁ…

 

 午前は必修科目・英語などの普通の授業!

 昼は大食堂で一流の料理を安価で頂ける!

 

 クックヒーロー、ランチラッシュ

「白米に落ち着くよね。最終的に‼︎」

 

 そして午後の授業!

 いよいよだ。

 ヒーロー基礎学‼︎

 

「わーたーしーがー‼︎」

 教室の外からオールマイトの大きな声が聞こえる。

 

「来っ」

 

「普通にドアから来た‼︎!」

 発言の勢いの割に随分と丁寧にドアを開けて教室に入ってくるのが少し面白い。

 この画風の違う感じ流石No.1ヒーロー、オールマイトだ。

 

「オールマイトだ……!すげぇや、本当に先生やってるんだな……‼︎!」

「銀時代のコスチュームだ……!画風違すぎて鳥肌が……」

 

 いや、誰だよ最後。

 オタクすぎるでしょ、わかんないよ普通……

 でも流石オールマイト。いるだけで存在の圧が違う。

 

「ヒーロー基礎学!ヒーローの素地を作る為、様々な訓練を行う課目だ‼︎単位数も最も多いぞ」

「早速だか今日はコレ‼︎戦闘訓練‼︎!」

 

「戦闘……」

「訓練……!」

 

 来た!戦闘訓練。

 今まで僕は鬼人との訓練と、入試の仮想敵しか実践の代わりになるものは行えなかった。ここで経験値を稼ぐのだ。様々なクラスメイトの個性、それと戦いその場に合わせた戦い方を。

 そのために、他のクラスメイトの個性を本人に聞かないできた。とはいえ、見てはいるので想像はできてしまうのだが……

 本来であれば知っているのだろう。僕はこの物語を知っているはず。だが、今はもう思い出せない。

 なんだろう……雄英に入学してからどんどんこの物語に関する知識だけが……消えていく。

 生憎と残っているのは僕の最初に残していたノートのメモだけ……

 

 確か……家にあるはずだ。

 次帰宅したら確認しよ――今授業が優先だ。

 分からない先より、確実に鍛えられる今を。

 オールマイトの話を聞かなければ……

 

「そしてそいつに伴って……こちら‼︎」

「⁉︎」

「入学前に送ってもらった『個性届』と『要望』に沿ってあつらえた……」

 

「戦闘服‼︎」

 

 みんなは立ち上がり声を上げる。

「「おおお‼︎‼︎」」

 

 

「着替えたら順次グラウンド・βに集まるんだ‼︎」

「はーい‼︎!」

 

 恰好から入るってのも大切なことだぜ。少年少女‼︎

 自覚するのだ‼︎‼︎今日から自分は……

 ヒーローなんだと‼︎

「さぁ‼︎始めようか有精卵共‼︎」

 




次回は…7日か8日に更新できたらいいなぁと思います。
がんばります…
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