ギリ、まだ3/8!そう、今は3/8の26時。
なーに締め切りはすぎていないのサ。
ほんとは投稿時間とかも気にしたいんすけどね……
あ、おひとつアンケートをさせてください。
僕後書にちょっとしたエピソード書く時があるんですけど本編に組み込んだ方が見やすいかどうか。
投票して教えていただけると幸いです。
それでは長々と失礼しました。
こちらの世界をおたのしみください。
あの後、僕は影人さんと梢さんにインターンでお世話になることを伝えその場は解散になった。
夜の帳が降り、世界は静寂に包まれていた。
試験会場の正面門に立ち尽くす僕の周りには、風の音と、遠くで虫の鳴く声だけが響いている。
まるでこの広い世界に、僕しかいないような錯覚を覚えた。
暗闇に溶け込むように、僕はそこに立ち尽くしていた。
考えなくてもいいこと、考えてはいけないこと――そんなものが次々と頭をよぎる。
「……ひとりだ」
ミッドナイトもいない。友達も、クラスメイトも。
まるで、世界の全てが僕を拒絶しているように感じた。
僕が、尾白くんや葉隠さんに……友達に何をしたのか、家族もいなくなりこれからどうすればいいのか……
唯一の肉親でだったじいちゃんはもう居ない。
僕は家に帰っても、一人。
ひとり孤独に過ごさなくちゃいけない。
ふと思い出せば、今まで一人で過ごしたことも暮らしたこともなかった。常に誰かが側にいた、居てくれたんだ。
じいちゃん達がいた時はじいちゃん達が、じいちゃんがいなくなってからは……ミッドナイトが、一緒に居てくれた。
だから、かな……
だからここまでの孤独感を感じずに済んだのかもしれない。問題はこれだけに尽きない。
――失われた記憶の事もある。
記憶だ。これを取り戻さないと……友達に謝ることすらできない、じいちゃんの最後を知ることすらできない。だから絶対に取り戻さなくてはいけない……でも、今それを思い起こそうとすると頭が酷く痛む。
それでも考えずにはいられない。
僕が奪われたこの記憶は絶対に取り戻さないと、いけないないものである……と僕の何処かが叫びを上げている。
自身の罪の証明であり、覚悟の源泉である。
『ふふふ、あはははは……そう、そうだ。もっと、求めてよ。もっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっと強く感情を、俺に――』
そう、そうだ。これについても考えなくてはいけない。時折自身の頭に響く女の子の声……何処かで聞いたことがある声、絶対に忘れるはずのない――忘れられるはずのないその声。
『あはははははは――』
でも今の僕にはそれすら思い出せない。
ねぇ、君は誰……なの?と己が内に問いかけた。
返事は、期待していなかった。今まで話そうとも思っていなかったんだから――だからこその驚きだった。
『誰……?誰、ねぇ……そこは奪ってないんだけどね』
っ――はな、せる……?
『あぁ、話せるよ、話せるとも――君の声を俺が聞き逃す訳ないじゃん。
それに……残ってるはず、なんだけどなぁ?――ねぇ?隷くん』
心臓が跳ねる。同時に僕の中に膨らむ疑問。
『思い出せないのは、君がそう望んでいるから。俺の名前は――』
頭の奥で言葉が響く。けれど、そこだけが雑音に掻き消された。
『……ほら、こうやって届かない。だから俺がなんと言っても、どれほど切望しても、どれだけ願っても意味がないんだ』
意味が、ない……
『そう言う意味でもあの梢、とか言うチビ女の誘いに乗って正解だったね……これで、君の唯一に"俺が"なれる』
君が、何を言っているのか意味がわからない。
『あぁ、うん……いいんだ、理解なんて最初から求めてない。俺は、ぼくが望む願いは……◼️◼️に許されなかった。あのゴミカス◼️に何もできず……◼️を奪われた。◼️◼️したものは、帰ってこない』
何……を?
『帰ってくるはずが、ないんだ。わたしの求めたそれは――
……あれ?なんだ。俺、ぼく、わたし……何を……言って――』
どうしたの……?
『また、奪うのか……?なぁ、ゴミカス◾️よぉ……!!』
ねぇ、ねぇ!!
それ以上自身の内に問いかけても声はもう帰ってこなかった。
結局は謎が増えるばかり。成果があるとすれば……僕の内にいるあの子は僕の記憶を奪い、僕の唯一になろうとしている……?
何故、どうして、僕に拘るのか。そもそも記憶を奪うことと僕の唯一になることの前後関係も見えない。
だけど、それでも……何故か心の底から憎めないのだ。まるで何処かで長い間共に過ごしたような――
こんな事をしたのも何か理由があるのかもしれない、そう言う幻想を、何故か僕は彼女に抱いている。
あの子のことは何も知らない、はずなのに――
ポケットの中で、スマホが小さく震えた。
一瞬、幻聴かと思った。でも確かに、画面には未読の通知がある。
『お疲れ様。そして、おめでとう、置換くん。』
その一行目を読んだだけで、視界がぼやけた。
『相澤くんから聞いたわ。無事に合格できたんですってね。わたしも、心から嬉しいわ。
正面口で待ってるから、お祝いも兼ねて一緒にご飯でも行かない?
もし用事があるなら教えてちょうだいね。
それじゃ、また。』
画面を握る手に、少しだけ力が入った。
一人じゃなかった。一人じゃ、なかったんだ。
先生としての社交辞令かもしれない、それでもわざわざ相澤先生に聞いて、メールを送ってお祝いもしてくるって……それは、今の僕にとってどんなに嬉しいと感じられることだろう。
僕の為にこんな手間を踏んでくれたんだ。
些細なことなのかもしれない、それでも僕にとってはその些細な彼女の優しさが心の底に染みる。
天涯孤独になってしまった僕、それでも誰か……あの人が、例え仕事であったとしても僕に寄り添ってくれるのなら――
どう思われていたとしても僕はあの人を、救いたい……と改めてそんなことを心の底から想った。
そんな覚悟を胸に抱き、彼女のいる正面口に向かう。
視界はまだ滲んでいるけど、此処から正面口まで歩いていればそれも治るだろう――と歩き出すと後ろから二つの走る足音が聞こえた。
「置換!」
「置換くん!」
「一緒に帰ろうぜ!」
「一緒に帰ろ!」
僕は立ち止まった。
その声を聞き、滲んでいたものは形を成す、
それは目尻を伝い地面に一粒の雫を落とした――
ある少年少女の選択
「さぁてと……お二人さん。置換くん、帰るらしいで――どするん?友達……なんやろ?」
「「……」」
「尾白、くん。置換くん……さ。私たちの、知らない何かが……あったと思うんだ。」
「そう、だな……俺もそうだと思う」
「とっても、辛かったって思うんだ。他の誰にも言えないで、抱え込んで――」
「……だな」
「だから、今はあの事はなかったことに、しよう?」
「……あぁ……」
「それで、いつかその事を思い出したら、いっぱい怒ろう!よくもあんなこと言ったなー!って……」
「そう……するか。よくもあんな事言いやがったなって、そんなんされても離れてなんてやらねーぞって言ってやる!」
「あははっ!そうだね、そうしよう!!」
そう言って二人の少年少女は走り出した。